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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E05F
管理番号 1095788
審判番号 不服2003-3296  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-07-15 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-28 
確定日 2004-04-21 
事件の表示 平成 7年特許願第352418号「給排気窓」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 7月15日出願公開、特開平 9-184353〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成7年12月28日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年1月8日付け手続補正書で補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりである。
「窓枠と、この窓枠に水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状の障子部とを備えた給排気窓において、前記障子部の上部の室内側に重りを設置し、前記水平回転軸が、この回転軸を中心として、前記重りを含んだ障子部の一方の重心に係る回転モーメントと、障子部の他方の重心に係る回転モーメントとがほぼ釣り合う位置に設けられ、尚且、両方の重心を合わせた重心位置の上位位置に設けられたことを特徴とする給排気窓。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開昭54-79942号公報(以下、「引用例」という。)には、特許請求の範囲に「(イ)ウエイト7と風受け5とクッション2をつける。(ロ)作動方法は外気の流れによる。以上の如く構成されたダンパー付換気口」、1頁8〜20行に「この発明は室内の換気をする為に関するものである。・・・(イ)壁1の中にダンパー4を入れて外気を調節する。(ロ)ストッパー3とクッション2を一体としてダンパー4の作動時の衝撃を吸収する。(ハ)ウエイト7はダンパー4のバランスをとり風受け5を付けることにより弱い風のときでも作動させる。」と記載されており、当業者の技術常識をもって図面をみると、第1、2図には、壁1中に設けられた換気口本体の外部側にはフードが有り、換気口本体内に、センター6位置で水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状のダンパー4が設けられ、ダンパーの下部の室内側にウエイト7を設置し、水平回転軸が、この回転軸を中心として、ウエイトを含んだダンパーの一方の重心に係る回転モーメントと、ダンパーの他方の重心に係る回転モーメントとがほぼ釣り合う位置に設けられ、尚且、風等の外気の流れによりダンパーを作動させる位置、ということは、両方の重心を合わせた重心位置の下位位置に設けられていることが明らかである。これらの記載を含む明細書全体および図面を参照すると、引用例には、「壁中に設けられた換気口本体と、この換気口本体に水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状のダンパーとを備えたダンパー付換気口において、ダンパーの下部の室内側にウエイト7を設置し、水平回転軸が、この回転軸を中心として、ウエイトを含んだダンパーの一方の重心に係る回転モーメントと、ダンパーの他方の重心に係る回転モーメントとがほぼ釣り合う位置に設けられ、尚且、風等の外気の流れによりダンパーを作動させる、両方の重心を合わせた重心位置の下位位置に設けられたダンパー付換気口」が記載されていると認められる。

3.対比・判断
本願発明と引用例記載の発明とを対比すると、引用例記載の発明の「ウエイト」は、本願発明の「重り」に相当し、引用例記載の発明の「壁中に設けられた換気口本体」、「ダンパー」、「ダンパー付換気口」と、本願発明の「窓枠」、「障子部」、「給排気窓」とは、それぞれ、「開口形成部」、「閉鎖部材」、「給排気装置」で共通し、本願発明において、「水平回転軸が、両方の重心を合わせた重心位置の上位位置に設けられた」のは、風等の外部からの力が働いたときに障子部を作動させるためであり、引用例記載の発明の「風等の外気の流れによりダンパーを作動させる、両方の重心を合わせた重心位置の下位位置に設けられた」と、「風等の外部からの力が働いたときに閉鎖部材を作動させる位置に設けられた」で共通しているから、両者は、開口形成部と、この開口形成部に水平回転軸を介して回動自在に取付けられた平板状の閉鎖部材とを備えた給排気装置において、前記閉鎖部材の室内側に重りを設置し、前記水平回転軸が、この回転軸を中心として、前記重りを含んだ閉鎖部材の一方の重心に係る回転モーメントと、閉鎖部材の他方の重心に係る回転モーメントとがほぼ釣り合う位置に設けられ、尚且、風等の外部からの力が働いたときに閉鎖部材を作動させる位置に設けられた給排気装置の点で一致し、下記の点で相違している。
相違点:本願発明は、給排気装置が給排気窓であるので、開口形成部が窓枠、閉鎖部材が障子部であり、かつ、重りを障子部の上部の室内側に設置し、水平回転軸が、風等の外部からの力が働いたときに障子部を作動させる位置である両方の重心を合わせた重心位置の上位位置に設けられたのに対し、引用例記載の発明では、給排気装置がダンパー付換気口であるので、開口形成部が壁中に設けられた換気口本体、閉鎖部材がダンパーであり、かつ、重りをダンパーの下部の室内側に設置し、水平回転軸が、風等の外部からの力が働いたときにダンパーを作動させる位置である両方の重心を合わせた重心位置の下位位置に設けられた点。
上記相違点について検討する。
本願発明において、「重りを障子部の上部の室内側に設置し、水平回転軸が、風等の外部からの力が働いたときに障子部を作動させる位置である両方の重心を合わせた重心位置の上位位置に設けられた」のは、換気口という雨水が吹き込まない状態のものではなく、窓に取付けるために、水平回転軸で分割された広い面を下方の面とし、この面を常に外側になるように傾斜可能として、なるべく室内に雨水が入らないようにするためであると、請求人は審判請求書において主張しているが、換気口であっても、換気口本体の外部側にフードが無く雨水が吹き込みうる状態のものであって、かつ、水平回転軸で分割された広い面を下方の面とし、この面を常に外側になるように傾斜可能とすることは、周知技術(平成13年11月6日付け拒絶理由通知書で提示された引用例4である、実願昭57-166434号(実開昭59-70135号)のマイクロフィルム等参照)にすぎず、その場合、本願発明と同様に、室内に雨水が入りにくいという作用効果を奏することは自明である。
したがって、引用例記載の発明のダンパーの傾斜方向を逆にし、重りをダンパーの上部の室内側に設置し、水平回転軸が、風等の外部からの力が働いたときにダンパーを作動させる位置である両方の重心を合わせた重心位置の上位位置に設け、これを窓に適用することは当業者が適宜なしうることにすぎない。
そして、本願発明によってもたらされる効果も、引用例記載の発明および周知技術から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別なものとはいえない。

4.むすび
以上のように、本願発明は、引用例記載の発明および周知技術から当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-10 
結審通知日 2004-02-17 
審決日 2004-03-01 
出願番号 特願平7-352418
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E05F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渋谷 知子  
特許庁審判長 鈴木 憲子
特許庁審判官 山田 忠夫
新井 夕起子
発明の名称 給排気窓  
代理人 佐藤 正年  
代理人 佐藤 年哉  
代理人 佐藤 年哉  
代理人 佐藤 正年  
代理人 佐藤 年哉  
代理人 佐藤 正年  

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