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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1095812
審判番号 不服2002-18063  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-03-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-19 
確定日 2004-04-22 
事件の表示 平成 6年特許願第157670号「3次元形状生成システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 3月20日出願公開、特開平 7- 78271]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成6年7月8日(優先権主張平成5年7月12日)の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に係る発明は、平成14年7月22日付けの手続補正によって補正された明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項3に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「既存の図面を取り込んで画面上に表示する取り込み処理手段と、
前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている既存の図面の要素を複写することで作図する機能と、前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている図面をなぞることで作図する機能とを用いて断面形状を生成して表示する断面形状生成処理手段と、
生成された断面形状の寸法と拘束条件の入力および奥行きの入力に対応して、断面形状を指示された方向に押し出して3次元形状を生成する3次元形状生成処理手段と
を備えたことを特徴とする3次元形状生成システム。」
2.引用刊行物記載の発明
これに対し、原査定の拒絶理由に引用された特開昭62-105271号公報(以下「引用刊行物」という。)には、次の記載がある。
「第1図に示すように、本実施例の対話形形状モデリングシステムではグラフィックディスプレイ6、タブレットとスタイラスあるいはキーボード等の入力手段8を介して、コマンドとそのパラメータを入力し、演算装置5を動作させ、二次元ワイヤフレーム図形定義部13で二次元ワイヤフレーム図形データを生成し、該データをデータベース2に入力する。次に、このデータベース2から取出された二次元ワイヤフレーム図形データを用いて前記入力手段8、演算装置5を動作させ、二次元面・線モデル生成処理部9、三次元線モデル生成処理部10、三次元面モデル生成処理部11、閉曲面中実体モデル生成処理部12で二次元もしくは三次元の形状を生成し、得られた三次元立体形状データをデータベース3に、二次元形状データをデータベース4に入力する。」(2頁右下欄8行〜3頁左上欄2行)
「まず、ステップ21でオペレータが、二次元ワイヤフレーム呼出コマンド及びそれのパラメータを入力すると、演算装置5は、製図システム等で生成、定義された二次元ワイヤフレーム図形のデータをデータベース2(第1図参照)より呼出し、ディスプレイ6上に表示する(第3図1参照)。(3頁左上欄10〜15行)
「次に、閉曲面中実体モデル生成処理過程では第6A図に示すように図形a1 の内点Pもしくは特定の図形を指示することにより二次元面f1 を取出し、平行移動量c1 を入力し、同一対象立体を示す図形a2の点e1 および方向を示す点e2 を指示し、平行掃引体s1 を生成する。」(4頁左下欄5〜10行)
この記載事項によると、引用刊行物には、「グラフィックディスプレイ、タブレットとスタイラスあるいはキーボード等の入力手段を利用して、平行移動量c1 を入力し、二次元面f1 を指示された方向に平行掃引して、3次元形状である平行掃引体s1 を画面上において生成する発明」(以下、「引用刊行物記載の発明」という。)が記載されていると認められる。
また、原査定において、例示された特開昭63-253471号公報(以下「周知例」という。)には、次の記載がある。
「コンピュータ・エイテッド・デザインによる図面編集方式において、図面を構成する図形要素それぞれの図形特徴部分にかつ該図面の全域にわたって補助線を自動生成する手段と、それらの補助線の間および円もしくは円弧については半径に対して寸法値を設定する手段と、前記生成された補助線と前記設定された寸法値に基づき前記図形要素自体さらに該図形要素相互の位置関係を自動的に変更および編集する手段を設けたことを特徴とする図面編集方式。」(1頁左下欄5〜14行)
「第1図は本発明を用いたCADによって新たに作図した編集前の図面である。線、円、円弧とそれらの端点、中心点等図形特徴部分に自動生成した縦横の補助線が作図時に図面全域にわたって自動生成されている。このような図面は、作業者のイメージに基づくラフスケッチのものであってよい。
次に、作業者は、第2図に示すように、補助線間および円もしくは円弧に関しては半径に寸法線と寸法値を設定する。この際、他の寸法線と寸法値で論理的に算出可能な補助線の間に関しては寸法線と寸法線を設定する必要はない。
第3図は、第2図に示したように、生成された補助線と設定された寸法値に基づき図面を自動的に編集した結果であり、ラフスケッチされた第1図とは異なったものになっていることがわかる。」(2頁左上欄17行〜右上欄12行)
「以上は新規に作成した図面の編集について述べたが、次に作成済の図面を利用して別の図面を作成するときの編集について説明する。
第5図は、最終的に作成したい図面で、第6図は、最終的に作成したい図面の作成に利用する作成済の類似図面である。」(2頁右上欄19行〜左下欄4行)
3.対比
そこで、本願発明と引用刊行物記載の発明(以下「引用刊行物発明」という。)を対比検討する。
引用刊行物発明において、3次元形状を生成するためのものである「二次元面f1 」、「平行移動量c1」は、それぞれ本願発明の3次元形状を生成するための「断面形状」、「奥行き」に相当するものであることは、明かである。
そして、引用刊行物発明は、二次元面f1 を指示された方向に平行掃引して、3次元形状を生成しているものであり、この「平行掃引」も、本願発明の断面形状を指示された方向に押し出して3次元形状を生成するための「押し出し」に相当しているものと認められる。
してみると、両者は、
「奥行きの入力に対応して、断面形状を指示された方向に押し出して3次元形状を生成する3次元形状生成処理手段を備えた3次元形状生成システム。」
である点で、一致しており、次の点で、相違しているものと認められる。
相違点:本願発明は、
「既存の図面を取り込んで画面上に表示する取り込み処理手段と、前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている既存の図面の要素を複写することで作図する機能と、前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている図面をなぞることで作図する機能とを用いて断面形状を生成して表示する断面形状生成処理手段」を備えると共に、3次元形状の生成において、奥行きの入力に加え、「生成された断面形状の寸法と拘束条件の入力」を行うのに対して、
引用刊行物発明は、「グラフィックディスプレイ、タブレットとスタイラスあるいはキーボード等の入力手段」が明記されているのみである点。
4.当審の判断
そこで、この相違点について検討する。
図形生成システムにおいて、「既存の図面を取り込んで画面上に表示する取り込み処理手段」は、前記周知例に「作成済の図面を利用して別の図面を作成すること」、が記載されているように、周知の技術的事項であり、さらに、「画面に表示されている既存の図面の要素を複写することで作図すること」、および「画面に表示されている図面をなぞることで作図すること」も、図形生成システムの分野において、きわめて一般的な常套手段であると認められる(必要であれば、既存図面の複写による作図について、特開昭63-181074号公報、表示画面をなぞることによる作図について、特開平1-223525号公報、特開平2-299013号公報参照)ので、「既存の図面を取り込んで画面上に表示する取り込み処理手段と、前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている既存の図面の要素を複写することで作図する機能と、前記取り込み処理手段によって取り込まれ、画面に表示されている図面をなぞることで作図する機能とを用いて断面形状を生成して表示する断面形状生成処理手段」を備えるものとすることは、当業者が容易に想到できるものと認められる。
また、生成された2次元形状に対して寸法と拘束条件を入力することは、図形生成システムの分野において、きわめて一般的な常套手段である(必要であれば、前記周知例、及び特開平4-311272号公報、特開平2-186482号公報参照)と共に、正確な3次元形状を生成するには、生成された断面形状の寸法と拘束条件の入力が当然必要となるから、3次元形状の生成において、奥行きの入力に加え、「生成された断面形状の寸法と拘束条件の入力」を行うものとすることも、当業者が容易に想到できるものと認められる。
5.むすび
以上から明らかなとおり、本願発明は、引用刊行物記載の発明および周知の技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-01-30 
結審通知日 2004-02-10 
審決日 2004-03-01 
出願番号 特願平6-157670
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 加舎 理紅子田中 幸雄  
特許庁審判長 東 次男
特許庁審判官 江頭 信彦
関川 正志
発明の名称 3次元形状生成システム  
代理人 岡田 守弘  

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