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審決分類 |
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06T |
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管理番号 | 1095826 |
審判番号 | 不服2001-18782 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1997-04-04 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-10-18 |
確定日 | 2004-04-22 |
事件の表示 | 平成 7年特許願第270734号「パノラマ画像合成システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 4月 4日出願公開、特開平 9- 91410〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件出願は、平成7年9月26日の出願であって、平成13年6月7日付で拒絶理由が通知されたのに応じて、平成13年8月20日付で意見書と明細書についての手続補正書が提出され、平成13年9月5日付で先に通知した拒絶理由に基づいて拒絶査定がなされ、審判請求人はこれを不服として平成13年10月18日付で審判を請求し、平成13年11月19日付で審判請求理由を補正する手続補正書と共に、明細書についての手続補正書が提出され、この平成13年11月19日付の明細書についての手続補正書に記載の補正は、当審により特許法第17条の2に規定する要件に適合しないとして却下され、それに伴い平成13年8月20日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載について、記載に理解できない点や不明確な点があるとして当審より平成15年11月26日付で拒絶の理由が通知され、これに応じて、審判請求人より平成16年2月2日付で意見書と明細書についての手続補正書が提出されたものである。 2.平成15年11月26日付で通知された拒絶の理由 平成15年11月26日付で通知された拒絶の理由は次のとおりである。 『 本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。 (1) 明細書の下記それぞれの段落中に、 【0049】 まず、一方の画像(画像Aとする)における当該箇所にマウス3を移動しそのマウス3のボタンを押下する。すると、その押下された点を中心にある大きさの画像が切り出される(A-1)。次にユーザがマウス3のボタンを押下したまま該マウス3を移動(ドラッグ)すると、それに伴って切り出された画像も移動する。ユーザはその切り出された画像をもう一方の画像(画像Bとする)上の一致点に移動しそこに置く(B-1)。切り出された画像が画像Aあるいは画像B上を移動している間は、両者の画像の画素単位でビットごとに、AND演算をして重なった箇所を表示する。 【0050】 これによって重なった箇所は、両方の画像が透けて見えるので、ユーザは切り出された画像を画像B上の最も一致している箇所に配置することができる。・・・ 【0084】 (2)画像重ね操作により複数の画像の対応関係を指定し、切り出し画像を他の画像上で移動している最中には背景の画像が透けて見え、また切り出された画像を重ねる際にも背景の画像が透けて見えるようにしたので、ユーザは切り出した画像を他の画像に重ねる際に両方を同時に透かして見ることができるため、両方の差異を明確に知ることができ、ユーザの負担が軽減しまたより正確に対応点を指定することができる。 【0090】 第2の発明によれば、1つの画像から部分的な画像を切り出し、その切り出し画像を移動させて他の画像に重ねて置く画像重ね操作により複数の画像の対応関係を指定する指定手段と、該指定手段により前記切り出し画像を他の画像上で移動している間は、該切り出し画像と他の画像との画素単位でビットごとにAND演算を行って、重なった箇所を表示画面上に表示する表示手段とを備えたので、ユーザは切り出した画像を他の画像に重ねる際に両方を同時に透かして見ることができる。これにより、両者の差異を明確に知ることができ、ユーザの負担を軽減しまたより正確に対応点を指定することが可能となる。 という記載があるが、両者の画像の画素単位でビットごとにAND演算をして、何故「両方の画像が透けて見える」のか明らかでない。 (2) 特許請求の範囲の請求項1の記載は、対応点設定手段自体が行う設定手法が概括的にも何ら限定されていない点で、発明自体が明確でない。(設定手法が限定されなければ、画像重ね操作の技術的意義が生ぜず、ひいては特許を受けようとする発明がどのようなものか明確でない。画像重ね操作の技術的意義が生じなくても構わない発明とすれば、請求項1の発明は、本願明細書の【0005】に記載の従来技術と格別異ならないものとなろう。) (3) 同請求項2の記載は、上記(1)で指摘の点と同様な理由で請求項2の特定事項だけで所望の作用効果を奏するものであるか否か明らかでない点で、発明が明確でない。 (4) 同請求項4は、画像重ね操作が1回しか行われない場合について限定したものであるが、請求項1及び請求項1も引用する請求項3の限定では、複数組の対応点の情報に基づいて画像合成をすること、即ち、画像重ね操作が複数回行われることを前提としているから、請求項4の限定は、引用する請求項の限定と齟齬を来している。 』 3.本件出願の拒絶理由の有無ついての判断 (1)審判請求人は、提出した平成15年2月2日付意見書において、拒絶理由(1)については次のように釈明している。 『審判官殿は、「2つの画像の画素単位でビットごとにAND演算をして、何故両方の画像が透かして見えるか明らかでない」と指摘しています。 本願では、切り出し画像を他の画像上で移動している間は、該切り出し画像と他の画像との画素単位でビットごとにAND演算を行います。その際、2つの画像において等位置の画素同士で論理的なAND演算を行って例えば輝度値の低い方の画像が上書きされた場合、切り出した画像を一方の画像に重ねたときに、2つの画像がぴったり合う位置からずれると、境界線が2重に見えるのは理解できると思います。当然、ぴったり合う位置では境界線も重なるので、指定した位置が対応点に近いことが判るはずです。 本願明細書では「透けて見える」という表現でしたが、この点について本願出願人は、「大まかな位置のずれが判別できる程度に、上下の画像の境界線等が判る」という意味で考えています。このような考えが、「透かし表示」に該当せずに不明瞭際が残るとの認識であれば、補正後の請求項2は削除の用意があります。』 (2)そこで、上記釈明と明細書についての補正によって、当業者が実施できる程度に記載が明確かつ十分になったかどうか判断する。 明細書についての補正では、上記拒絶理由(1)に関しては特段訂正していないので、上記釈明について検討する。 「 切り出し画像を他の画像上で移動している間は、該切り出し画像と他の画像との画素単位でビットごとにAND演算を行います。」と釈明しているので、その技術内容について考えると、例えば、画素の輝度値が0から255までの256段階表現できるものにおいて、切り出し画像の輝度値が128すなわちビットで表して[1,0,0,0,0,0,0,0]で、そのときの対応する他の画像の輝度値が16すなわちビットで表して[0,0,0,1,0,0,0,0]である場合に、「画素単位でビットごとにAND演算を行」うといえば、AND演算は対応するビットの両方が1のときだけ1となりその他の場合は0となるから、演算結果は、[0,0,0,0,0,0,0,0]となって、輝度値は0となることを意味すると解される。そうすると、上記釈明に続く「その際、2つの画像において等位置の画素同士で論理的なAND演算を行って例えば輝度値の低い方の画像が上書きされた場合、切り出した画像を一方の画像に重ねたときに、2つの画像がぴったり合う位置からずれると、境界線が2重に見える」中の「例えば輝度値の低い方の画像が上書きされた場合」が何を説明しようとしているのか理解し難く、また、「2つの画像がぴったり合う位置からずれると、境界線が2重に見える」理由が明らかでない。 そして、ここで説明している動作は、複数の画像のオーバーラップ位置を見つけるためにシステムに必要な動作に関することであるから、この動作が分からなければ、当業者が開示発明の実施をすることができる程度に明確かつ十分に発明の詳細な説明が記載されているとはいえないことになる。 4.むすび そうすると、本件明細書の記載は依然として少なくとも特許法第36条第4項に規定する要件を満たしていないから、本件出願は、拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-02-18 |
結審通知日 | 2004-02-25 |
審決日 | 2004-03-09 |
出願番号 | 特願平7-270734 |
審決分類 |
P
1
8・
536-
WZ
(G06T)
P 1 8・ 537- WZ (G06T) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 真木 健彦 |
特許庁審判長 |
東 次男 |
特許庁審判官 |
江頭 信彦 井上 信一 |
発明の名称 | パノラマ画像合成システム |
代理人 | 渡部 敏彦 |