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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1096112
審判番号 不服2003-3614  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-06-02 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-06 
確定日 2004-05-06 
事件の表示 平成 9年特許願第315743号「イメージセンサ、原稿読取装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 6月 2日出願公開、特開平11-150640〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成9年11月18日の出願であって、平成15年1月31日付でなされた拒絶査定に対し、平成15年3月6日に審判請求がなされるとともに、平成15年3月27日付で明細書についての手続補正がなされたものである。

2.平成15年3月27日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成15年3月27日付けの明細書についてした手続補正を却下する。
[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】センサ基板上に設けられ、ガラスプレートを介して光を原稿に照射する光源と、
前記原稿で反射された光をロッドレンズアレイを介して受光する受光素子と、
前記ガラスプレートおよび複数の壁面で囲まれた内部に、ガラスプレートと対向するよう配置された光源と、ロッドレンズアレイと、光源からの光が直接入射しないよう遮光部材によって遮光された受光素子とを格納し、前記複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端がセンサ基板の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴が設けられた筐体と、
前記貫通穴を脱着可能に閉塞する前記筐体内部に向かう全面に接着剤を付けたテープと、を有することを特徴とするイメージセンサ。」
と補正された。
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「閉塞手段」について「前記筐体内部に向かう全面に接着剤を付けたテープ」と具体的にすると共に限定を付加するものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するものか)どうかについて以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された特開平5-191562号公報(以下、引用例という。)には、次の事項が記載されている。
(a)【0014】に
「【0014】本実施例の密着型イメージセンサは、セルフォックレンズアレー(SLA)20と、原稿に摺接するガラス26と、原稿からの反射光を光電変換する画像読取り素子を備えた画像読取り素子列28と、SLA20とガラス26と画像読取り素子列28とを一定の位置関係を保って保持する金属フレーム34と、SLA20を金属フレーム34に固定するための固定ネジ36と、金属フレーム34の側面を覆うための側板38とを備えるものである。」
(b)【0018】に
「【0018】図1に示すようなSLA20の位置調整は、図3に示す側板38を金属フレーム34の両端に取り付ける前に行ってもよいが、より完成に近づいた段階で調整を行うことを望む場合には、側板38を取り付けた後に行ってもよい。かかる場合には、図4に示すように側板38に開口部40を設け、ここに図1の支持棒14を通してSLA20を支持しSLA20の上下の位置を調整する。したがって、このような移動が可能なように開口部40は上下方向に細長い長穴形状としてある。位置調整が終わり支持棒14を抜き取った後は、この開口部40を通って光が内部に入り込むのを防ぐために、開口部40にシールなどを貼る。」

したがって、これらの記載事項によると、引用例には、
「セルフォックレンズアレーと、原稿に摺接するガラスと、原稿からの反射光を光電変換する画像読取り素子を備えた画像読取り素子列と、セルフォックレンズアレーとガラスと画像読取り素子列とを一定の位置関係を保って保持する金属フレームと、金属フレームの側面を覆うための側板と、側板に設けた上下方向に細長い長穴形状の開口部と、開口部に貼るシールとからなる密着型イメージセンサ。」
との発明(以下「引用例発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例発明とを比較すると、引用例の「セルフォックレンズアレー」、「画像読取り素子列」は、本願補正発明の「ロッドレンズアレイ」、「受光素子」に、それぞれ相当し、
引用例の「金属フレーム」は、下記の相違点を除いて、本願補正発明の「筐体」に相当し、
引用例では、本願補正発明の「貫通穴」については記載されていないが、引用例の図の記載等からみると、金属フレームの両側端を貫通する穴があることは明らかであり、
引用例では、光源については明記されていないが、原稿からの反射光を光電変換しているのであるから、原稿に光を照射する光源が、金属フレームの内部に原稿に摺接するガラスと対向するよう配置され、かつ、光源からの光が画像読取り素子列に直接入射しないよう遮光部材によって遮光されされていることは、明らかなことであり、
また、引用例の「シール」は開口部の穴に貼り付けられる点では、次の相違点を除いて本願補正発明の「テープ」に相当するから、
両者は、
「ガラスプレートを介して光を原稿に照射する光源と、
前記原稿で反射された光をロッドレンズアレイを介して受光する受光素子と、
前記ガラスプレートおよび複数の壁面で囲まれた内部に、ガラスプレートと対向するよう配置された光源と、ロッドレンズアレイと、光源からの光が直接入射しないよう遮光部材によって遮光された受光素子とを格納し、貫通穴が設けられた筐体と、
前記穴を脱着可能に閉塞するテープと、
を有することを特徴とするイメージセンサ。」
で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
(相違点1)
原稿に光を照射する光源が、本願補正発明では、センサ基板上に設けられているのに対して、引用例では、どこに設けられるか明記されていない点。
(相違点2)
筐体と貫通穴について、本願補正発明では、前記複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端がセンサ基板の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴が設けられた筐体であるのに対して、引用例では、筐体を形成するのは金属フレームであり、金属フレームはセルフォックレンズアレーとガラスと画像読取り素子列とを一定の位置関係を保って保持しており、一応、貫通穴もあるが、貫通穴としては本願補正発明のように限定されていない点。
(相違点3)
テープが、本願補正発明では、貫通穴を脱着可能に閉塞する筐体内部に向かう全面に接着剤を付けたテープであるのに対して、引用例では、金属フレームの側面を覆うための側板に設けた上下方向に細長い長穴形状の開口部に貼るシールであって、貫通穴を着脱可能に閉塞するものでない点。

(4)判断
(相違点1)について
密着型イメージセンサにおいて、原稿に光を照射するための光源を、センサ基板上に設けるようにすることは周知事項である(例えば、特開平6-217070号公報(第2図b〜f)、特開平5-91245号公報、特開平5-83469号公報、特開昭63-217870号公報等参照。)から、引用刊行物発明において、原稿に光を照射する光源を、センサ基板上に設けることは当業者が容易に考えられることである。
(相違点2)について
光源をセンサ基板上に設けることは、上述したように周知のことであり、そのように構成した場合において貫通穴として、例えば、上記周知例の特開昭63-217870号公報では、複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端がセンサ基板の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴を有し、また、特開平5-83469号公報では、複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端が前記複数の壁面の底面の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴を有する。このように、貫通穴とはイメージセンサの内部の構成より適宜形成されるものである。
したがって、引用例において、センサ基板上に光源を設け設けることにより、形成されいる貫通穴を、複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端がセンサ基板の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴とするようにすることは当業者にとって設計事項であると認められる。
(相違点3)について
穴からのごみの侵入を防ぐために、テープなどで穴や開口部を塞ぐことは、どの分野にかかわらず日常的に行なわれることである。イメージセンサにおいて、ごみ等の侵入を防ぐために、イメージセンサの両端を側板で塞ぐことも周知のことである(例えば、特開平5-122438号公報等を参照)。引用例では、金属フレームの両端を側板で塞ぎ、側板の開口部にシールを貼るものであるが、引用例により、イメージセンサにおいてその開口部をシールで閉塞するという考え方が既に存在していたことも明らかである。
さらに、引用例では、シールを貼ることが、光が内部に入り込むのを防ぐためにおこなっているが、本願補正発明においても、テープが光が内部に入り込むことも防いでいる点では相違せず、また、シールやテープには全面に接着剤がついているのが通常のことであると認められ、テープの全面に接着剤を付けたことを限定することも格別のことではなく、テープの接着性を利用してゴミを取ることも、掃除をするときなどに日常的におこなわれていることである。
これらのことより、イメージセンサの両端を筐体内部に向かう全面に接着剤を付けたテープで閉塞することは当業者が容易に思いつくことである。

したがって、本願補正発明は、引用例に記載された、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上から明らかなとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成15年3月27日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成14年1月11日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】センサ基板上に設けられ、ガラスプレートを介して光を原稿に照射する光源と、
前記原稿で反射された光をロッドレンズアレイを介して受光する受光素子と、
前記ガラスプレートおよび複数の壁面で囲まれた内部に、ガラスプレートと対向するよう配置された光源と、ロッドレンズアレイと、光源からの光が直接入射しないよう遮光部材によって遮光された受光素子とを格納し、前記複数の壁面の内少なくとも1つの壁面に、上端がガラスプレートの下面と、下端がセンサ基板の上面とに略接し、かつ、両側端が前記複数の壁面によって形成される内表面と同じ輪郭を有する貫通穴が設けられた筐体と、
前記貫通穴を脱着可能に閉塞する閉塞手段と、を有することを特徴とするイメージセンサ。」

(1)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された引用刊行物、及び、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、前記2.で検討した本願補正発明の「前記筐体内部に向かう全面に接着剤を付けたテープ」を、上位概念である「閉塞手段」にしたものである。
そうすると、本願発明を特定するために必要な事項を全て含み、さらにその一部の特定事項を具体的にして下位概念としたものに相当する本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用例、及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明、周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-03-09 
結審通知日 2004-03-09 
審決日 2004-03-23 
出願番号 特願平9-315743
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 安田 太廣川 浩木方 庸輔  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
関川 正志
発明の名称 イメージセンサ、原稿読取装置  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 宮田 金雄  

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