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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C08F
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08F
管理番号 1096212
異議申立番号 異議2003-70409  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-01-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-02-10 
確定日 2004-02-25 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3314319号「常温硬化性組成物」の請求項1ないし16に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3314319号の請求項1ないし16に係る特許を維持する。 
理由 [1]手続の経緯
本件特許第3314319号は、平成6年7月11日に出願された特願平6-158546号に係り、平成14年6月7日に設定登録がなされた後、梅田敏之から特許異議の申立てがあり、平成15年6月19日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成15年8月29日付けで特許権者より特許異議意見書と訂正請求書が提出されたものである。

[2]本件訂正請求
本件訂正請求は、本件明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その訂正事項は以下のとおりである。
(1)訂正事項a
請求項1中の記載「(D)成分:α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体及びポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体からなる群より選ばれた親水性ビニル系単量体の少くとも1種。」を、「(D)成分:ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル」に訂正する。
(2)訂正事項b
請求項7の「前記(D)成分が、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。」を、「前記(D)成分におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位が、2〜30であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。」に訂正する。
(3)訂正事項c
明細書の段落【0009】中の「(D)成分:α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体及びポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体からなる群より選ばれた親水性ビニル系単量体の少くとも1種。」を、「(D)成分:ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル。」に訂正する。
(4)訂正事項d
明細書の段落【0020】の「それに加えて、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルメタクリレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することにより、生成するポリマーが架橋構造を有するものとなるようにすることも可能である。(C)成分は芯部分では60〜99.49%共重合される。」を、「それに加えて、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルメタクリレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することにより、生成するポリマーが架橋構造を有するものとなるようにすることも可能である。また、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸など)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びその塩酸塩)、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体(ブレンマーPP-1000、PP-500、PP-800、AP-400(以上、日本油脂(株)製)、RS-30(三洋化成工業(株)製)など)も使用可能である。(C)成分は芯部分では60〜99.49%共重合される。」に訂正する。
(5)訂正事項e
明細書の段落【0023】の「(D)成分[親水性ビニル単量体]エマルション粒子の最外殻部分には、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体及びポリプロピレン鎖を有するビニル系単量体から選ばれる親水性ビニル系単量体(D)を共重合することが必須である。」を、「(D)成分[親水性ビニル単量体]エマルション粒子の最外殻部分には、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを共重合することが必須である。」に訂正する。
(6)訂正事項f
明細書の段落【0026】中の「ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが好ましく、具体例としては、」を、「ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの具体例としては、」に訂正する。
(7)訂正事項g
明細書の段落【0027】の記載を削除する。

[3]訂正の目的の適否、訂正の範囲の適否及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項a
訂正事項aは、(D)成分として、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド及びポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体を削除し、ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体をポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとする訂正であるが、これは特許請求の範囲の減縮を目的とすることは明らかであり、また、訂正前の明細書の段落【0026】に「ポリオキシエチレン鎖を有するビニル系単量体に限定はないが、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルが好ましく」と記載されているから、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内でされたものである。
(2)訂正事項b
訂正事項bは、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位を2〜30とする訂正であるが、これは、特許請求の範囲の減縮を目的とすることは明らかであり、また、訂正前の明細書の段落【0028】に「このポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位は2〜30が好ましい。」と記載されているから、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内でされたものである。
(3)訂正事項c,e及びf
訂正事項c、e及びfは、上記訂正事項aにおける特許請求の範囲の訂正に対応させて発明の詳細な説明の記載をこれと整合させるものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内でされたものである。
(4)訂正事項d
訂正事項dは、(C)成分の例示化合物として、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸など)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びその塩酸塩)、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体(ブレンマーPP-1000、PP-500、PP-800、AP-400(以上、日本油脂(株)製)、RS-30(三洋化成工業(株)製)など)を追加するものであるが、訂正前の明細書の段落【0017】には、(C)成分の中には(D)成分も含まれると記載され、同じく段落【0023】には、(D)成分として、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリプロピレン鎖を有するビニル系単量体から選ばれる親水性ビニル系単量体が記載され、また同じく段落【0024】には、α,β-エチレン性不飽和カルボン酸としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸が記載され、更に同じく段落【0025】には、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩としては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びその塩酸塩が記載されていることからみて、訂正事項dは、訂正前の明細書において、(C)成分として用いることができる化合物の例として、(D)成分の具体的な化合物を引用していた部分を、(C)成分の具体的な化合物の例として直接記載したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とし、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内でされたものである。
(5)訂正事項g
訂正事項gは、上記訂正事項aにおいて削除された化合物に関する発明の詳細な説明の記載を削除するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、また、訂正前の明細書に記載された事項の範囲内でされたものである。
(6)そして、訂正事項a〜gは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことは明らかである。
(7)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

[4]特許異議申立についての判断
(1)特許異議申立理由の概要
特許異議申立人 梅田敏之は、
甲第1号証(特開平5-263034号公報)、
甲第2号証(特開平6-179726号公報)、
参考資料1(特開平3-227312号公報)、
参考資料2(特開平4-170402号公報)、
参考資料3(特開平4-331265号公報)、
参考資料4(特開平5-51559号公報)、
参考資料5(特開平4-214747号公報)、
参考資料6(特開平5-310857号公報)、
参考資料7(特開平5-140248号公報)及び
参考資料8(特開平5-93071号公報)
を提出して、訂正前の本件請求項1、2、4〜6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、又は、訂正前の本件請求項1〜16に係る発明は甲第1号証及び甲第2号証並びに参考資料1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるから、訂正前の本件請求項1、2、4〜6に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるか、又は、訂正前の本件請求項1〜16に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるものであり、取り消されるべきものであると主張する。

(2)本件発明
本件特許第3314319号の訂正後の請求項1〜16に係る発明(以下、「訂正後の本件発明1」〜「訂正後の本件発明16」という。)は、訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】多段乳化重合することにより芯部分と殻部分とが形成されたエマルション粒子を含有する常温硬化性組成物であって、前記エマルション粒子における芯部分の組成が、(A)成分0.5〜30重量%、
(B)成分0.01〜10重量%、及び
(C)成分60〜99.49重量%であり、
前記エマルション粒子の殻部分における最外殻部分の組成が、
(A)成分0.1〜30重量%、
(B)成分0〜10重量%、
(C´)成分30〜99.4重量%、及び
(D)成分0.5〜30重量%であることを特徴とする常温硬化性組成物。
[但し、上記(A)成分〜(D)成分は次のとおり。
(A)成分:下記一般式(I)で示されるシリル基を有するビニル系単量体。【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれた1価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、又はアルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基より選ばれる基、yは0〜2の整数である。Siに結合するXおよびRがそれぞれ2個以上ある場合、それらは同一の基であってもよい。)
(B)成分:連鎖移動剤
(C)成分:(A)成分以外のビニル系単量体
(C´)成分:(A)成分、(D)成分以外のビニル系単量体
(D)成分:ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル]
【請求項2】前記(A)成分におけるシリル基が、アルコキシシリル基であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】前記(A)成分が、1分子中に、トリエトキシシリル基とジエトキシシリル基のどちらか一方を含有する化合物、あるいはトリエトキシシリル基を含有する化合物とジエトキシシリル基を含有する化合物の混合物であることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】前記(B)成分である連鎖移動剤が、メルカプタン系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】前記メルカプタン系化合物が、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランよりなる群から選ばれる1種または2種以上よりなる混合物であることを特徴とする請求項4記載の組成物。
【請求項6】前記(C)成分あるいは(C´)成分に、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、または前記アルキルメタクリレートとC4以上のシクロアルキル基を有するシクロアルキルメタクリレートが50重量%以上含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】前記(D)成分におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位が、2〜30であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】前記エマルション粒子が、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン系界面活性剤を用いて共重合することにより得られてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】前記アニオン系界面活性剤が、重合性二重結合を併有することを特徴とする請求項8記載の組成物。
【請求項10】前記エマルション粒子にカルボニル基が導入されてなり、架橋剤として1分子当たり少なくとも2個のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物が配合されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】硬化剤を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】前記硬化剤が、有機アルミニウム化合物または有機スズ化合物をアルキルエーテル型界面活性剤を主体とする界面活性剤で乳化したものであることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項13】前記硬化剤が、酸性リン酸エステルとアミンの混合物または反応物であることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項14】前記硬化剤が、スルホン酸基含有化合物であって、スルホニル基が反応してブロックされていることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項15】等電点7以上の二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】塗料に用いることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。」

(3)各甲号証及び各参考資料の記載事項
(a)甲第1号証(特開平5-263034号公報)には、
「下記(イ)アクリル系共重合体ラテックスを固形分換算で10〜95重量部、ならびに下記(ハ)水溶性アクリル樹脂を固形分換算で90〜5重量部〔ただし、(イ)+(ハ)=100重量部〕を主成分する水性分散体組成物。
(イ);下記(ロ)水性分散体を、下記(a)〜(d)成分の合計100重量部に対し、固形分換算で1〜100重量部の存在下で、(a)エチレン性不飽和カルボン酸および/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート1〜40重量%、(b)アルキル(メタ)アクリレート20〜70重量%、(c)芳香族ビニル単量体0〜75重量%、および(d)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜79重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)=100重量%〕を乳化重合して得られるアクリル系共重合体ラテックス。
(ロ);(e)エチレン性不飽和カルボン酸5〜80重量%、(f)アルキル(メタ)アクリレートおよび/または芳香族ビニル単量体20〜95重量%、および(g)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜75重量%〔ただし、(e)+(f)+(g)=100重量%〕を乳化重合して得られる水性分散体。
(ハ);(h)エチレン性不飽和カルボン酸5〜60重量%、(i)アルキル(メタ)アクリレートおよび/または芳香族ビニル単量体40〜95重量%、および(j)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0〜55重量%〔ただし、(h)+(i)+(j)=100重量%〕を共重合して得られる水溶性アクリル樹脂。」(特許請求の範囲の請求項1)、
「さらに、(イ)成分に使用される(d)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、……γ-(メタ)アクリロイルプロパントリメトキシシラン、チッソ(株)製のサイラプレーンFM0711などの反応性シリコーンなどのシリコーン化合物などが挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を併用することができる。」(段落【0009】)、
「……さらに(ロ)成分に使用される(g)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体は、前記(イ)アクリル系共重合体ラテックスに使用される(d)成分と同様の化合物が挙げられる。……」(段落【0011】)、
「本発明に使用される前記(ロ)水性分散体は、通常の乳化重合法により得ることができる。例えば、水性媒体中に、(e)〜(g)からなる単量体成分……連鎖移動剤……を添加し、……行うことによって得られる。……」(段落【0012】)、
「……連鎖移動剤の使用量は、単量体成分100重量部あたり、0〜5重量部程度である。」(段落【0019】)及び
「……(イ)アクリル系共重合体ラテックスは、前記(ロ)水性分散体存在下で前記(ロ)水性分散体の重合方法と同様の方法で重合することによって容易に得ることができる。……」(段落【0023】)と記載されている。
(b)甲第2号証(特開平6-179726号公報)には、
「α,β-エチレン性不飽和単量体を多段乳化重合して共重合体エマルジョンを製造する方法において、α,β-エチレン性不飽和単量体としてスチレン及びカルボキシル基含有α,β-エチレン性不飽和単量体を用い、第1段階から最終段階にわたって該スチレン及びカルボキシル基含有α,β-エチレン性不飽和単量体の使用量を次第に減少させることを特徴とする共重合体エマルジョンの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項1)、
「第2段階以降の少なくとも一つの段階で、カルボキシル基以外の親水性基含有α,β-エチレン性不飽和単量体を用いることを特徴とする請求項1記載の共重合体エマルジョンの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項2)、
「連鎖移動剤を第1段階から最終段階にわたって使用することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の共重合体エマルジョンの製造方法。」(特許請求の範囲の請求項4)、
「本発明で乳化重合に用いられるα,β-エチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2-エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸エステル類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸の各エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、第3級カルボン酸ビニル等のビニルエステル類;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエンの如き芳香族ビニル化合物、ビニルピロリドンの如き複素環式ビニル化合物;塩化ビニル、アクリロニトリル、ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルアミド等のビニル化合物;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等ハロゲン化ビニリデン化合物;エチレン、プロピレン等のα-オレフィン類;ブタジエンの如きジエン類などがあり、又所望により、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリルアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートの如き1分子中に2個以上の不飽和結合を有する単量体なども用いることができる。」(段落【0011】)、
「更に、……また、反応性極性基を持つエチレン性不飽和単量体であるビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン化合物等も使用可能である。」(段落【0012】)、
「本発明に使用するカルボキシル基等の親水性基含有α,β-エチレン性不飽和単量体としては、水に2%以上溶解する化合物を言い、親水性基としてカルボキシル基以外のものとしては、エポキシ基、アミノ基、アミド基、水酸基、スルホン酸基等を挙げることが出来るが、エポキシ基、アミノ基又はアミド基が好ましい。」(段落【0014】)及び
「これらの化合物の使用量は、全α,β-エチレン性不飽和単量体(A)100重量部中0.5〜10.0重量部の範囲で用いる事が好ましい。……」(段落【0022】)と記載されている。
(c)参考資料1(特開平3-227312号公報)には、
参考資料1には、
「(A)アルキル基の炭素数が4以上のメタクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上 94〜70重量部
(B)アルコキシシラン基を有する重合性単量体 6〜30重量部
(C)アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、アクリル酸、スチレンスルホン酸ナトリウムから選んだ1種又は2種以上 0.1〜5重量部
とを乳化重合してなる安定な常温架橋型エマルジョン。」(特許請求の範囲の請求項1)、
「本発明は皮膜形成後に常温で架橋反応が進む合成樹脂水性エマルジョンであって、エマルジョン状態では架橋反応が進まず、経時的に最低造膜温度が上昇しない安定な常温架橋型エマルジョンおよびその製造方法に関する。」(1頁右下欄15〜19行)、
「従来からシラン基は、常温架橋性があるため、これらを共重合したエマルジョンは、接着剤、塗料用バインダー、繊維加工用バインダーなどとして、特に注目されている。」(2頁左上欄1〜4行)及び
「本発明においては、シラン基としてアルコキシシラン基が最適であり、アルコキシシラン基を有する単量体としては、
ビニルトリメトキシシラン……
ビニルトリエトキシシラン……
γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン……
γ-メタクリロキシプロピルトリメチルジエトキシシラン……」
等であり、これらの群から選ばれる1種又は2種以上の混合物を使用することができる。」(3頁左上欄18行〜4頁左上欄2行)と記載されている。
(d)参考資料2(特開平4-170402号公報)には、
「エチレン性不飽和単量体100重量部を連鎖移動剤0.1〜1.0重量部およびラジカル反応性乳化剤の存在下に乳化重合してなる水性樹脂分散体。」(特許請求の範囲の請求項1)と記載されている。
(e)参考資料3(特開平4-331265号公報)には、
「下記A成分およびB成分よりなり、A成分とB成分が固型分重量部で1:5〜5:1の割合で混合していることを特徴とする水性被覆組成物。
A成分:重合可能な不飽和二重結合を有する単量体100重量部に対して連鎖移動剤を0.03〜0.4未満重量部を含有する混合物を乳化重合して得られる樹脂水性分散液。
B成分:架橋性モノマー0.1〜10重量%および重合可能な不飽和二重結合を有する単量体99.9〜90重量%の混合物100重量部に対して連鎖移動剤0.4〜5重量部を含有する混合物を乳化重合して得られる樹脂水性分散液。」(特許請求の範囲の請求項1)及び
「連鎖移動剤の使用量は、A成分の分散液が耐水性を低下させることなく光沢を上げるためのものである……」(段落【0008】)と記載されている。
(f)参考資料4(特開平5-51559号公報)には、
「(A)カルボニル基を含有する不飽和単量体0.1〜30重量%、及び同不飽和単量体と共重合可能な他の不飽和単量体99.9〜70重量%の混合物100重量部に、連鎖移動剤を0.03〜5重量部を含有せしめてなる単量体混合物の乳化重合によって得られた樹脂水性分散液に、(B)分子中に少なくとも2個のヒドラジン残基を含有するヒドラジン誘導体を配合してなることを特徴とする自己架橋型樹脂水性分散液。」(特許請求の範囲の請求項1)及び
「本発明の乳化重合における連鎖移動剤使用量は、前述のとおり、不飽和単量体混合物100重量部に対して0.03〜5重量部である。連鎖移動剤の使用量が少なすぎると生成樹脂の分子量が高くなりすぎて、得られる自己架橋型樹脂水性分散液の塗膜の光沢性が劣ってくるし、また連鎖移動剤の使用量が多すぎると生成樹脂の分子量が低くなりすぎて、得られる自己架橋型樹脂水性分散液の塗膜の耐水性が低下してくるので、いずれも好ましくない。」(段落【0014】)と記載されている。
(g)参考資料5(特開平4-214747号公報)には、
「(A)加水分解性シランの存在下において、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体と他のエチレン性不飽和単量体とを共重合せしめて得られた高分子ラテックスと、(B)分子中に少なくとも2個の-NH-NH2基を有するヒドラジン誘導体とからなる自己架橋型高分子ラテックス組成物。」(特許請求の範囲の請求項1)及び
「本発明において使用される加水分解性シランとは、……エチレン性不飽和単量体と共重合可能な……γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシランなど……も用いることができる。」(段落【0010】〜【0013】)が記載され、4頁6欄46行以降の実施例では、顔料ディスパージョン中の顔料としてルチル型酸化チタン:石原産業(株)製を使用することが記載されている。
(h)参考資料6(特開平5-310857号公報)には、
「シリコン成分として一般式(I)で表される化合物(以下重合性シリコンという。) 2〜60重量%【化1】

アクリレート及び/またはメタクリレート 98〜40重量%からなる単量体組成物を反応性官能基を持つノニオン及び/またはアニオン性乳化剤の存在下に重合することを特徴とするアクリル酸エステル共重合体エマルジョンの製造法。」(特許請求の範囲の請求項1)及び
「反応性乳化剤の使用量はエマルジョンに対し0.1〜3.0重量%である。このような反応性乳化剤としては……アデアリアリーブNE-10(ノニオン性)、同NE-20(ノニオン性)、同NE-30(ノニオン性)(以上旭電化(株)製品)、……など多数の市販品があり、それらの中から適当なものを選んで使用しても良い。」(段落【0020】)と記載されている。
(i)参考資料7(特開平5-140248号公報)には、
「【請求項1】加水分解性シリル基を1分子中に少なくとも1個有し、主鎖が実質的にビニル系重合体からなるビニル系樹脂(A)と、主鎖の両端に重合性二重結合を有するTg0°C以下の軟質樹脂(a)、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体(b)、および加水分解性シリル基を有しないビニル系単量体(c)を重合することにより得られる、加水分解性シリル基を1分子中に少なくとも1個有する変性軟質樹脂(B)と、硬化触媒(C)と、からなることを特徴とする硬化性組成物。
【請求項2】前記硬化触媒(C)が有機スズ化合物、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルとアミンとの混合物または反応物、有機チタネート化合物、有機アルミニウム化合物、またはこれらの2種以上の混合物である請求項1記載の硬化性組成物。」(特許請求の範囲の請求項1及び請求項2)と記載されている。
(j)参考資料8(特開平5-93071号公報)には、
「(1)一般式R1-Si-(R2 )3 (式中R1は炭素数1〜12の脂肪族炭化水素基、アリール基またはシクロアルキル基を、R2 は1〜8個の炭素原子を有するアルコキシ基、アセトキシ基または水酸基であり、R2 はすべてが同一であっても一部または全部が異なっていてもよい。)であらわされる少なくとも1種の化合物(A)と、少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体とラジカル共重合可能な加水分解性シラン化合物(B)と、少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体と、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体とを同時に乳化重合して得られたシリコーンを含むシードラテックスと、(2)少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体および少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体より重合された重合体とからなるシリコーン含有高分子ラテックス。」(特許請求の範囲の請求項1)、
「(2)の重合体が、(1)のシリコーンを含むシードラテックスの存在下において、乳化重合された重合体であることを特徴とする請求項1記載のシリコーン含有高分子ラテックス。」(特許請求の範囲の請求項2)、
「本発明において、(1)のシリコーンを含むシードラテックスが、少なくとも1種の化合物(A)が1〜80重量%、少なくとも1種の化合物(B)が0.1〜10重量%、少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体が0.1〜20重量%、少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体が1〜98.8重量%からなり、……」(段落【0010】)、
「本発明におけるシリコーン含有高分子ラテックスの製造方法が、水性媒体中において、少なくとも1種の化合物(A)、少なくとも1種の化合物(B)、少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体および少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体の少なくとも4成分を界面活性剤の存在下、同時に乳化重合させてシリコーンを含むシードラテックスを得る第一段階と、第一段階で得られたシリコーンを含むシードラテックスの存在下、少なくとも1種のカルボキシル基を持つエチレン性不飽和単量体および少なくとも1種の他のエチレン性不飽和単量体を乳化重合させる第二段階であることが好ましい。」(段落【0014】)、
「なお、本発明においては上記要件を満足する範囲内において、第一段階を2つ以上の段階に分けてもよいし、または第二段階を2つ以上の段階に分けても実施することもできる。……」(段落【0020】)、
「本発明におけるエチレン性不飽和単量体とラジカル共重合可能な加水分解性シラン化合物(B)の具体例としては、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルエトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルジメトキシメチルシランなどがあげられる。」(段落【0021】)、
「……さらに本発明における他のエチレン性不飽和単量体を具体的に示せば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル(以後単に(メタ)アクリル酸エステルのように表すことがある。)、……アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等がある。」(段落【0022】)及び
「また所望によってドデシルメルカプタン等の分子量を調節するための連鎖移動剤を添加することも可能である。……」(段落【0024】)と記載されている。

(4)新規性について
(a)訂正後の本件発明1について
(ア)甲第1号証に記載された発明との対比
甲第1号証に記載された水性分散体組成物において、訂正後の本件発明1のうち、エマルジョン粒子の殻部分における最外殻部分の組成(D)に対応するものは、甲第1号証に記載された発明の(a)成分:エチレン性不飽和カルボン酸および/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであり、これは、訂正後の本件発明1の(D)成分であるポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと異なるものである。そして単量体が異なれば、得られるエマルジョン組成物も異なるといえるから、訂正後の本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。
よって、他について検討するまでもなく、訂正後の本件発明1は甲第1号証に記載された発明ではない。

(イ)甲第2号証および参考資料1〜8に記載された発明との対比
甲第2号証には、訂正後の本件発明1の(A)成分に相当する化合物を含むα,β-エチレン性不飽和単量体、スチレン及びカルボキシル基含有α,β-エチレン性不飽和単量体を多段乳化重合して共重合体エマルジョンを製造する方法の発明が記載されているが、殻部分における最外殻部分を構成する単量体として、訂正後の本件発明1の(D)成分である、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを用いることについての技術思想は記載されていない。
また、参考資料8には、シリコーンを含むシードラテックスを含有するシリコーン含有高分子ラテックスの発明が記載され、単量体成分として、訂正後の本件発明1の(A)成分に相当する化合物を含むシードラテックスを多段乳化重合にて製造することが記載されているが、殻部分における最外殻部分を構成する単量体として、訂正後の本件発明1の(D)成分である、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを用いることについての技術思想は記載されていない。
更に、参考資料1〜7に記載されたいずれの発明にも、殻部分における最外殻部分を構成する単量体として、訂正後の本件発明1の(D)成分である、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを用いることについての技術思想は記載されていない。
よって、他について検討するまでもなく、訂正後の本件発明1は甲第2号証および参考資料1〜8に記載された発明でもない。

(b)訂正後の本件発明2〜16について
訂正後の本件発明2〜10は、訂正後の本件発明1を引用して限定する発明であり、訂正後の本件発明11〜14は、訂正後の本件発明1の組成物に更に硬化剤を含有させた発明であり、訂正後の本件発明15は、訂正後の本件発明1の組成物に更に二酸化チタンを含有させた発明であり、訂正後の本件発明16は、訂正後の本件発明1の組成物を塗料に用いるとした発明であるから、上記[4](4)(a)で示した理由と同じ理由で、訂正後の本件発明2〜16は、甲第1号証および甲第2号証並びに参考資料1〜8に記載された発明ではない。

(5)進歩性について
(a)訂正後の本件発明1について
[4](4)(a)(ア)で示したとおり、甲第1号証には、訂正後の本件発明1の(D)成分に対応する化合物として、(a)エチレン性不飽和カルボン酸および/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが記載されており、これは、訂正後の本件発明1の(D)成分であるポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルと異なるものである点で甲第1号証に記載された発明は訂正後の本件発明1と相違する。
そこで、この相違点について先ず検討する。
参考資料6には、反応性官能基を持つノニオン及び/またはアニオン性乳化剤の存在下に、重合性シリコンとアクリル酸エステルとの共重合体エマルジョンを製造する方法に関する発明が記載され、反応性乳化剤として、アデアリアリーブNE-10(ノニオン性)、同NE-20(ノニオン性)、同NE-30(ノニオン性)が記載されているが、参考資料6には、訂正後の本件発明1のエマルジョンとは単量体の構成が異なる重合性シリコンとアクリル酸エステルとの共重合体エマルジョンを製造する場合に、反応性乳化剤としてアデアリアリーブNE-10(ノニオン性)、同NE-20(ノニオン性)、同NE-30(ノニオン性)が記載されているにすぎず、これらの反応性乳化剤がポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルに該当するものとの裏付けもなく、また、単量体の構成が異なる共重合体エマルジョンを製造する系である甲第1号証に記載された発明にこれらの反応性乳化剤を適用することが直ちになし得るものともいえない。
そして、訂正後の本件発明1は、訂正後の請求項1に記載された構成を採用することにより、白エナメル光沢、耐光性及び保存安定性に優れる等、訂正後の明細書に記載された効果を奏することは明らかである。
よって、訂正後の本件発明1は、甲第1号証及び参考資料6に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。
なお、甲第2号証及び参考資料1〜5、7並びに8には、多段乳化重合により芯部分と殻部分とが形成されたエマルション粒子を含有する組成物において、殻成分を構成する単量体として、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを用いることは記載されていないので、甲第2号証及び参考資料1〜5、7並びに8に記載された発明を参酌したとしても、上記判断を覆すことはできない。

(b)訂正後の本件発明2〜16について
訂正後の本件発明2〜10は、訂正後の本件発明1を引用して限定する発明であり、訂正後の本件発明11〜14は、訂正後の本件発明1の組成物に更に硬化剤を含有させた発明であり、訂正後の本件発明15は、訂正後の本件発明1の組成物に更に二酸化チタンを含有させた発明であり、訂正後の本件発明16は、訂正後の本件発明1の組成物を塗料に用いるとした発明であるから、上記[4](5)(a)で示した理由と同じ理由で、訂正後の本件発明2〜16は、甲第1号証及び甲第2号証並びに参考資料1〜8に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。

[5]むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立人の提示する証拠及び主張する理由によっては訂正後の本件発明1〜16についての特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の本件発明1〜16についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
常温硬化性組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多段乳化重合することにより芯部分と殻部分とが形成されたエマルション粒子を含有する常温硬化性組成物であって、
前記エマルション粒子における芯部分の組成が、
(A)成分0.5〜30重量%、
(B)成分0.01〜10重量%、及び
(C)成分60〜99.49重量%
であり、
前記エマルション粒子の殻部分における最外殻部分の組成が、
(A)成分0.1〜30重量%、
(B)成分0〜10重量%、
(C´)成分30〜99.4重量%、及び
(D)成分0.5〜30重量%
であることを特徴とする常温硬化性組成物。
[但し、上記(A)成分〜(D)成分は次のとおり。
(A)成分:下記一般式(I)で示されるシリル基を有するビニル系単量体。
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれた1価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、又はアルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基より選ばれる基、yは0〜2の整数である。Siに結合するXおよびRがそれぞれ2個以上ある場合、それらは同一の基であってもよい。)
(B)成分:連鎖移動剤
(C)成分:(A)成分以外のビニル系単量体
(C´)成分:(A)成分、(D)成分以外のビニル系単量体
(D)成分:ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル]
【請求項2】
前記(A)成分におけるシリル基が、アルコキシシリル基であることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記(A)成分が、1分子中に、トリエトキシシリル基とジエトキシシリル基のどちらか一方を含有する化合物、あるいはトリエトキシシリル基を含有する化合物とジエトキシシリル基を含有する化合物の混合物であることを特徴とする請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記(B)成分である連鎖移動剤が、メルカプタン系化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記メルカプタン系化合物が、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン及びγ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランよりなる群から選ばれる1種または2種以上よりなる混合物であることを特徴とする請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記(C)成分あるいは(C´)成分に、炭素数4以上のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、または前記アルキルメタクリレートとC4以上のシクロアルキル基を有するシクロアルキルメタクリレートが50重量%以上含まれることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記(D)成分におけるポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位が、2〜30であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記エマルション粒子が、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン系界面活性剤を用いて共重合することにより得られてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記アニオン系界面活性剤が、重合性二重結合を併有することを特徴とする請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記エマルション粒子にカルボニル基が導入されてなり、架橋剤として1分子当たり少なくとも2個のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物が配合されてなることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
硬化剤を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
前記硬化剤が、有機アルミニウム化合物または有機スズ化合物をアルキルエーテル型界面活性剤を主体とする界面活性剤で乳化したものであることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項13】
前記硬化剤が、酸性リン酸エステルとアミンの混合物または反応物であることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項14】
前記硬化剤が、スルホン酸基含有化合物であって、スルホニル基が反応してブロックされていることを特徴とする請求項11記載の組成物。
【請求項15】
等電点7以上の二酸化チタンを含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物。
【請求項16】
塗料に用いることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エマルション粒子を含有する常温硬化性組成物に関し、詳しくは、例えば建築外装、自動車、家電用品、プラスチックなどに対する各種塗装、特に耐候性、耐久性の要求される塗装などに用いられるエマルション粒子を含有する常温硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
近年、塗料や接着剤の分野において、公害対策あるいは省資源の観点より、有機溶剤を使用するものから水溶性あるいは水分散樹脂(以下、総称して「水系塗料」という)への転換が試みられている。
【0003】
しかしながら、従来の水系塗料は架橋性の官能基を持たないため、その結果として重合に使用する界面活性剤の影響を強く受け、形成された塗膜の耐候性、耐水性、耐汚染性が著しく悪くなり、溶剤系塗料に比べ塗膜物性が劣るという欠点を有していた。
【0004】
この欠点を改良するために種々の試みが提案されており、その1つに、架橋性の官能基であるアルコキシシリル基を有する重合体のエマルションを塗料に応用する提案がなされている(特開平3-227312号公報参照)。
【0005】
これにより、ある程度の問題は解消できたものの、アルコキシシリル基は加水分解しやすいため安定性については不十分であり、長期保存後の成膜性が低下すること(エマルションの機械的安定性が低下すること)、白エナメルの光沢性が劣ること、また硬化物(例えば塗膜)の耐候性がまだまだ満足できるものではなく前記光沢が劣化しやすいこと、などの問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記問題点について鋭意研究を重ねた結果、多段乳化重合を行なって製造されたエマルション粒子の芯部分に連鎖移動剤を用いることにより、重合中や保存中にシリル基が反応して成膜性が低下するということがないこと、白エナメルの光沢が向上すること、さらには、耐候性も改善されること等を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の常温硬化性組成物は、
多段乳化重合することにより芯部分と殻部分とが形成されたエマルション粒子を含有する常温硬化性組成物であって、
前記エマルション粒子における芯部分の組成が、
(A)成分0.5〜30重量%、
(B)成分0.01〜10重量%、及び
(C)成分60〜99.49重量%であり、
前記エマルション粒子の殻部分における最外殻部分の組成が、
(A)成分0.1〜30重量%、
(B)成分0〜10重量%、
(C´)成分30〜99.4重量%、及び
(D)成分0.5〜30重量%
であることを特徴とする組成物である。
【0008】
[但し、上記(A)成分〜(D)成分は次のとおり。
【0009】
(A)成分:下記一般式(I)で示されるシリル基を有するビニル系単量体。
【化2】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基より選ばれた1価の炭化水素基、Xはハロゲン原子、又はアルコキシ基、ヒドロキシ基、アシロキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシ基、アミノ基より選ばれる基、yは0〜2の整数である。Siに結合するXおよびRがそれぞれ2個以上ある場合、それらは同一の基であってもよい。)
(B)成分:連鎖移動剤
(C)成分:(A)成分以外のビニル系単量体
(C´)成分:(A)成分、(D)成分以外のビニル系単量体
(D)成分:ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル]
なお、本明細書における「(メタ)アクリル〜」は「アクリル〜及びメタアクリル〜」を意味する。例えば「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド、及びメタクリルアミド」を意味し、「N-メチロール(メタ)アクリルアミド」は、「N-メチロールアクリルアミド、及びN-メチロールメタクリルアミド」を意味する(以下同様)。
【0010】
以下、ビニル系単量体(A)成分、(B)成分、(C)成分、(C´)成分、及び(D)成分を順次説明する。
【0011】
(A)成分[シリル基を有するビニル系単量体]
一般式(I)で示されるシリル基を有するビニル系単量体(以下、「シリル基含有ビニル系単量体」ともいう)には特に限定はない。その具体例としては、
【化3】

【化4】

【化5】

などが挙げられる。
【0012】
上記シリル基含有ビニル系単量体(A)は、1種を単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。特に、取り扱いの容易さ、価格、反応副成物の点からアルコキシシリル基含有ビニル系単量体を使用することが好ましく、トリエトキシシリル基、ジエトキシシリル基含有ビニル系単量体が安定性の点で特に好ましい。
【0013】
シリル基含有ビニル系単量体(A)は、芯部分において0.5〜30重量%(以下単に「%」という)共重合される。芯部分において0.5%未満では耐水性、耐久性などが低下し、30%を超えるとエマルションが不安定となり、芯部分重合中にゲル化する。
【0014】
また、殻部分における最外殻部分にあっては、0.1〜30%共重合される。0.1%未満では耐水性、耐久性などが低下し、30%を超えるとエマルションが不安定となり、重合中にゲル化する。
【0015】
(B)成分[連鎖移動剤]
(B)成分は連鎖移動剤であり、メルカプタン、スルフィドベンゼン、イソプロピルベンゼン、クロロホルム、四臭化炭素、塩化第二鉄などが挙げられる。特にメルカプタンの中でも価格、臭気、効率の点でn-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ブチルメルカプタン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジエトキシシランが好ましい。また、アルコキシシリル基含有メルカプタンは、架橋するアルコキシシリル基を導入する方法として好ましい。
【0016】
連鎖移動剤(B)成分は、多段乳化重合における芯部分においては0.01〜10%共重合され、最外殻部分においては使用しても使用しなくてもよい。使用する場合にあっては0.01〜10%共重合される。10%をこえるとフィルムの着色、あるいは耐水性、耐久性の低下が認められる。
【0017】
(C)成分
(A)成分以外のビニル系単量体ならば、特に限定はない。なお、(C)成分の中には(D)成分も含まれる。その具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリレート系単量体;ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロ(メタ)アクリレート、ペンタフルオロ(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、β-(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレートなどのフッ素含有ビニル系単量体;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン、4-ヒドロキシスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族炭化水素系ビニル単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレートなどのビニルエステルやアリル化合物;(メタ)アクリロニトリルなどのニトリル基含有ビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有ビニル系単量体;ホルミルスチロールおよびビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどの炭素数4〜7個のビニルアルキルケトン;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシスチレン、アロニクス5700(東亜合成化学(株)製)、PlaccelFA-1、PlaccelFA-4、PlaccelFM-1、PlaccelFM-4(以上、ダイセル化学(株)製)、HE-10、HE-20、HP-10、HP-20(以上、日本触媒化学(株)製)、ブレンマーPEPシリーズ、ブレンマーNKH-5050、ブレンマーGLM(以上、日本油脂(株)製)、水酸基含有ビニル系変性ヒドロキシアルキルビニル系モノマーなどの水酸基含有ビニル系単量体;(メタ)アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル類などのα,β-エチレン性不飽和カルボン酸のヒドロキシアルキルエステル類とリン酸もしくはリン酸エステル類との縮合生成物たるビニル化合物あるいはウレタン結合やシロキサン結合を含む(メタ)アクリレートなどのビニル系単量体;東亜合成化学(株)製のマクロモノマーであるAS-6、AN-6、AA-6、AB-6、AK-5などの化合物、ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、プロピレン、ブタジエン、その他のビニル系単量体、旭電化工業(株)製のLA87、LA82、LA22などの重合型光安定剤、重合型紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0018】
また、重合性二重結合を有するシリコーンマクロマーも共重合できる。例えばX-22-164B、X-22-164C、X-22-5002(信越シリコーン(株)製)のようなメタクリロキシ基含有反応性シリコーンオイル、KR211、KR212、KR213、KR9218(信越シリコーン(株)製)等の変性用シリコーンワニスと前記(A)成分のような反応性シリル基含有ビニル系単量体との反応により得られる二重結合含有シリコーンワニス、水酸基含有環状または直鎖状シロキサンとm-イソプロペニル-α,αジメチルベンジルイソシアネートあるいはメタクリロイルイソシアネートのような1分子中にイソシアネート基と重合性二重結合を有する化合物との反応物が挙げられる。
【0019】
また、フッ素含有ビニル系単量体、シロキサン含有ビニル系単量体を使用することにより、撥水性が向上し、耐水性、耐久性が向上する。
【0020】
それに加えて、例えば、ポリエチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルシアヌレート、アリルメタクリレートなどの重合性の不飽和結合を2つ以上有する単量体を使用することにより、生成するポリマーが架橋構造を有するものとなるようにすることも可能である。
また、α、β-エチレン性不飽和カルボン酸((メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸など)、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートナトリウム、2-スルホエチルメタクリレートアンモニウム、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート、ジアルキルアミノアルキルメタクリレート塩酸塩(ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート及びその塩酸塩)、2-アミノエチルメタクリレート塩酸塩、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン鎖を有するビニル系単量体(ブレンマーPP-1000、PP-500、PP-800、AP-400(以上、日本油脂(株)製)、RS-30(三洋化成工業(株)製)など)も使用可能である。(C)成分は芯部分では60〜99.49%共重合される。
【0021】
(C)成分に、C4(炭素数4の意、以下同様)以上のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、または前記アルキルメタクリレートとC4以上のシクロアルキル基を有するシクロアルキルメタクリレートを50%以上含むことにより、シリル基の安定性は向上し、又、耐候性も向上する。
【0022】
具体例としては、n-ブチルメタクリレート、iso-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどが挙げられる。
【0023】
(D)成分[ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル]
エマルション粒子の最外殻部分には、ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステル(D)を共重合することが必須である。
【0024】〜【0025】(削除)
【0026】
ポリオキシエチレン鎖を有するアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの具体例としては、ブレンマーPE-90、PE-200、PE-350、PME-100、PME-200、PME-400、AE-350(以上、日本油脂(株)製)、MA-30、MA-50、MA-100、MA-150、RA-1120、RA-2614、RMA-564、RMA-568、RMA-1114、MPG130-MA(以上、日本乳化剤(株)製)などが挙げられる。
【0027】(削除)
【0028】
(D)成分を用いるとシリル基の安定性が著しく向上し、成膜性の低下がなく、エマルションの機械的安定性、白エナメルの光沢も良好である。このポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位は2〜30が好ましい。2未満だとエマルションの機械的安定性、白エナメル光沢が劣り、30を超えると塗膜が柔らかくなり、汚れやすくなる。
【0029】
(D)成分は0.5〜30%共重合される。0.5%未満では機械的安定性、白エナメル光沢などが劣り、30%を超えると耐水性が低下する。
【0030】
(C´)成分
(C′)成分は、(C)成分から(A)成分、(D)成分を除いたビニル系単量体である。(C′)成分としてC4以上のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、または前記アルキルメタクリレートとC4以上のシクロアルキル基を有するシクロアルキルメタクリレートを50%以上含むことにより、シリル基の安定性は向上し、又、耐候性も向上する。
【0031】
次に、乳化重合体(エマルション粒子)の製造について説明する。
まず、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分からなる混合物(モノマー乳化液)を第1段目として公知の乳化重合法で乳化重合し、得られた重合体(これが芯部分となる)の存在下で第2段目以降の乳化重合を逐次行なう。
【0032】
この際、第2段目以降の乳化重合は第1段目と同一単量体組成で行なってもよいし、異なる組成で行なってもよい。そして、最終段目の単量体組成の重合体が最外殻部分となる。
【0033】
本発明では、最外殻部分の単量体全量中に(D)成分を0.5〜30%含むことが必須である。
【0034】
多段乳化重合としては2〜4段乳化重合が好ましく、また、芯部分とその他の部分の重量比が10:90〜90:10の範囲となるように重合させることが好ましい。このような方法によって得られた重合体を、本発明の多層重合体と称する。
【0035】
重合の際に、界面活性剤としてポリオキシエチレン鎖を有する陰イオン系(アニオン系)界面活性剤を用いることにより、シリル基は安定化される。陰イオン系界面活性剤の具体例としては、Newcol-560SN、Newcol-560SF(以上、日本乳化剤(株)製)、エマールNC-35、レベールWZ(以上、花王(株)製)のようなポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルサルフェート;Newcol-707SF、Newcol-707SN、Newcol-723SF、Newcol-740SFのようなポリオキシエチレンアリルエーテルサルフェート;Newcol-861SEのようなオクチルフェノキシエトキシエチルスルホネート;Newcol-1305SNのようなポリオキシエチレントリデシルエーテルサルフェート(以上、日本乳化剤(株)製)が挙げられる。
【0036】
特に、重合安定性、加水分解性シリル基の安定性の面で、ポリオキシエチレン鎖のオキシエチレン単位が1〜70であることが好ましい。また、エマルションから得られる塗膜の耐水性の観点より、アンモニウム塩の陰イオン系界面活性剤が好ましい。
【0037】
ポリオキシエチレン鎖を有する陰イオン系界面活性剤は、他のイオン界面活性剤あるいは非イオン界面活性剤と併用することが可能である。
【0038】
他のイオン界面活性剤としては、特に限定はないが、例えば、ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソオクチルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩などが挙げられる。
【0039】
また、非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシエチレン類;L-77、L-720、L-5410、L-7602、L-7607(以上、ユニオンカーバイド社製)などのシリコンを含む非イオン界面活性剤などが代表例として挙げられる。
【0040】
界面活性剤としては、1分子中に重合性二重結合を有する反応性界面活性剤を使用することも本発明を妨げるものではない。特に、分子内に重合性二重結合とポリオキシエチレン鎖とを併有するアニオン系反応性界面活性剤を用いると耐水性が向上する。具体例として、アデカリアソープNE-10、NE-20、NE-30、NE-40、SE-10N(以上、旭電化工業(株)製)、Antox-MS-60(日本乳化剤(株)製)、アクアロンRN-20、RN-30、RN-50、HS-10、HS-20、HS-1025(以上、第一工業製薬(株)製)が挙げられる。
【0041】
ポリオキシエチレン鎖を有する陰イオン界面活性剤の使用量は、全モノマーの重量基準として0.01〜20%、好ましくは0.05〜10%である。0.01%未満だと重合が不安定となり、20%を超えると耐水性が低下する。
【0042】
なお、水溶性樹脂を併用して重合することも可能である。この方法を用いると塗膜の耐水性が向上する。水溶性樹脂に一般式(1)で示されるシリル基を導入することにより、より耐水性を高めることができる。
【0043】
重合をより安定に行なうためには、レドックス系触媒を用いて70℃以下の温度、好ましくは40〜65℃で行なう。また、シリル基安定化のために、重合中のpHは5〜8が好ましく、pH6〜7がより好ましい。
【0044】
前記レドックス系触媒としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムと酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリットの組み合わせ、過酸化水素とアスコルビン酸の組み合わせ、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイドなどの有機過酸化物と酸性亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどとの組み合わせが用いられる。特に、有機過酸化物と還元剤の組み合わせが、安定に重合を行なえるという点から好ましい。また、触媒活性を安定的に得るために硫酸鉄などの2価の鉄イオンを含む化合物とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムのようなキレート剤を適宜併用してもよい。
【0045】
このようなレドックス系触媒(開始剤)の使用量は、全モノマーの重量基準として、0.01〜10%が好ましく、更に好ましくは0.05〜5%である。
【0046】
本発明におけるエマルション中の固形分濃度は、20〜70%が好ましく、更に好ましくは30〜60%である。固形分濃度が70%を超えると、系の粘度が著しく上昇するため重合反応に伴う発熱を除去することが困難になったり、重合機からの取り出しに長時間を要するなどの不都合を生じる。また、固形分濃度が20%未満の場合、重合操作の面ではなんら問題は生じないものの、1回の重合操作によって生じる樹脂の量が少なく、経済面から考えた場合、著しく不利となり、また、20%未満の濃度では、塗膜が少くなってしない、性能劣化を起こしたり、塗装作業性の点で不利となるなど用途上の問題が生じる。
【0047】
また、エマルションは、平均粒子径が0.02〜1.0μm程度の微粒子より構成されており、その結果として優れた被膜形成性能を有している。
【0048】
なお、本発明の組成物を塗装する際に硬化剤を添加することにより、架橋が促進される。硬化剤としては、有機金属化合物、酸性触媒、塩基性触媒が使用される。特に、有機アルミニウム化合物あるいは有機スズ化合物または酸性リン酸エステルとアミンの混合物または反応物が硬化活性の点で好ましく、有機金属化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジブチルスズアセテート、ジブチルスズジメトキサイド、トリブチルスズサルファイト、ジブチルスズチオグリコレート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等の有機アルミニウム化合物などが挙げられる。
【0049】
これらの有機金属化合物は、予めアルキルエーテル型界面活性剤を主体とする界面活性剤で乳化して使用時に添加することにより、硬化活性、保存安定性に優れる。使用量は、有機金属化合物として、シリル基含有エマルションの固形分100部(重量部、以下同様)に対して0.01〜10部配合することが好ましく、特に、0.1〜5部配合することが更に好ましい。酸性リン酸エステルとアンモニアあるいはアミンの混合物または反応物の酸性リン酸エステルとしては、例えば、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ジ-2-エチルヘキシルホスフェートなどが挙げられ、アミンとしては、例えば、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルドデシルアミン、3-プロパノールアミンなどが挙げられる。又、スルホン酸基含有化合物のブロックタイプ、具体的にはキングインダストリー社製のNACURE X49-110,3525,5225,5925,5543,2500Xも使用できる。これらの混合物または反応物は、シリル基含有エマルションの固形分100部に対して有効成分として0.001〜10部配合することが好ましく、特に0.01〜6部が好ましい。硬化剤は0.01部未満では硬化活性が低く、10部を超えると耐水性が低下する。酸性リン酸エステルとアンモニアあるいはアミンの混合物または反応物、またはスルホン酸基含有化合物のブロックタイプを用いると、硬化剤存在下でも組成物は安定であり、1液化が可能である。
【0050】
得られた硬化性組成物に、必要に応じて、通常塗料に用いられる顔料(二酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、カオリンなどの白色顔料、カーボン、ベンガラ、シアニンブルーなどの有色系顔料)を使用できる。二酸化チタンは顔料の中でも最も使用量が多く重要である。
【0051】
シリル基含有エマルションに二酸化チタンを配合する際に、等電点が7以上の二酸化チタンを用いることにより、光沢、耐候性は向上する。
【0052】
具体的には、JR901,JR603,JR602(テイカ(株))などが挙げられる。又、造膜剤、コロイダルシリカ、可塑剤、溶剤、分散剤、増粘剤、消泡剤、防腐剤、紫外線吸収剤などの通常の塗料用成分として使用される添加剤を混合して使用することも差し支えない。
【0053】
他の架橋方式を併用することもできる。例えば、エマルション粒子に水酸基あるいはカルボキシル基等の反応性基を導入し、架橋剤としてメラミン、イソシアネートを用いる方法。エポキシ基とアミノ基あるいはカルボキシル基を組合せたエポキシ架橋を用いる方法。共重合成分として、カルボニル基含有ビニル系単量体を用いてエマルション粒子にカルボニル基を導入し、架橋剤として1分子当り少なくとも2個のヒドラジド基を有するポリヒドラジド化合物を樹脂分散液中に含有させる架橋方法などが挙げられる。これらのうち、カルボニル基を導入する方法が組成物の安定性及び塗膜の耐久性の点で好ましい。
【0054】
カルボニル基含有ビニル系単量体としては、例えばアクロレイン、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトンなどの炭素数4〜7個のビニルアルキルケトンが挙げられる。上記カルボニル基含有ビニル系単量体は、(C)成分または(D)成分として配合される。ポリヒドラジド化合物としては、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジドなどが挙げられる。さらには、(メタ)アクリル酸等を共重合することによりエマルションにカルボキシル基を導入し、架橋剤としてオキサゾリン基を用いる架橋方法などが挙げられる。
【0055】
本発明の組成物は、例えば建築内装用、メタリックベースあるいはメタリックベース上のクリアーなどの自動車用、アルミニウム、ステンレス、銀などの金属直塗用、スレート、コンクリート、瓦、モルタル、石膏ボード、石綿スレート、アスベストボード、プレキャストコンクリート、軽量気泡コンクリート、硅酸カルシウム板、タイル、レンガなどの窯業系直塗用、ガラス用、天然大理石、御影石などの石材用の塗料あるいは上面処理剤として用いられる。また、接着剤や粘着剤としての使用も可能である。
【0056】
また、市販されている水系塗料ともブレンドすることも可能であり、例えば、アクリル系樹脂、アクリルメラミン系樹脂のような熱硬化性アクリル塗料、アルキッド塗料、エポキシ塗料、フッ素樹脂塗料とブレンドし、これら塗料の耐候性、耐酸性、耐溶剤性を向上させることができる。
【0057】
【発明の効果】
本発明の常温硬化性組成物は、シリル基の安定性に優れ、長期保存後の成膜性が大幅に改善され、また耐久性(耐候性)、白エナメルの光沢性に優れている。
【0058】
【実施例】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0059】
合成例1〜7
撹拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管及び滴下ロートを取付けた反応装置に、初期仕込みとして、脱イオン水160部、ロンガリット1.4部、Newcol-707SFを4部、酢酸アンモニウム1.2部、t-ブチルハイドロパーオキサイド0.5部および下記[表1]に示したモノマー組成液を仕込んだ。
【0060】
次に、窒素ガスを導入しながら50℃に昇温し、1時間重合を行なったのち、t-ブチルハイドロパーオキサイド1.0部を純水30gに溶かして3時間かけて連続的に追加した。モノマー乳化液については[表1][表2]に示した追加モノマー乳化液1を30分、追加モノマー乳化液2を90分、追加モノマー乳化液3を60分、トータル3時間かけて滴下し、多層構造をなすエマルション粒子を得た。
【0061】
その後、1時間後重合してアンモニア水でpHを7に調整し、脱イオン水を用いて固形分濃度が40%となるように調整し、エマルション粒子を含有する常温硬化性組成物(以下、単に「エマルション」という)を得た。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
実施例1〜8、及び比較例1、2
合成例1〜7により得られたエマルションを使用して白エナメルを作製した。白エナメルの作成方法は以下の通りである。すなわち、
下記[表3]に示した各成分を同表に示す割合で配合し、サンドミルを用いて1,000rpmにて1時間分散し、顔料ペーストを得た。
【表3】

得られた顔料ペースト30部に対し、エマルション60部、CS-12(チッソ(株)製の成膜助剤)2.4部、プロピレングリコール3部、SNディフォーマー381を0.02部、20%UH420(旭電化工業(株)製の増粘剤)を4部、及び2%チローゼH4000Pを2.0部加え、混合して白エナメルを得た。
【0065】
その後、前記白エナメルに、硬化剤として、下記[表4]の処方で調製したジブチルスズジラウレート乳化物を下記[表5]に示した割合で添加し、のち被塗装物に塗布した。
【0066】
そして、▲1▼常温2週間放置した後の光沢性、▲2▼耐候性(サンシャインウェザオメーター)、及び▲3▼エマルションの保存安定性を評価した。その結果を[表5]に併記する。
【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
なお、それぞれの物性の評価方法は以下の通りである。
【0070】
▲1▼白エナメル光沢性
硬化剤添加白エナメルをガラス板に塗布し、常温2週間後に60°光沢を光沢計で測定した。数値が大きい方が光沢性により優れていることを示す。
【0071】
▲2▼耐候性
スレート板に前記塗料を塗布し、常温2週間放置した後に、サンシャインウェザオメーター試験を行い3,000時間後の光沢保持率を求めた。数値が大きい方が耐候性により優れていることを示す。
【0072】
▲3▼長期保存安定性(5℃成膜性)
エマルションを50℃で1ヵ月保存し、のち、各エマルション固形分100部に対して10部のCS-12(チッソ(株)製の成膜助剤)を添加し、5℃にて1晩放置し、ガラス板上に塗布し、塗布したガラス板を5℃で1晩置き、表面状態を観察した。
○ : 問題なし
△ : 一部細かいワレが観察される
× : 全面にワレ発生
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-02-05 
出願番号 特願平6-158546
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C08F)
P 1 651・ 113- YA (C08F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 中島 庸子  
特許庁審判長 谷口 浩行
特許庁審判官 佐藤 健史
船岡 嘉彦
登録日 2002-06-07 
登録番号 特許第3314319号(P3314319)
権利者 鐘淵化学工業株式会社
発明の名称 常温硬化性組成物  
代理人 蔦田 璋子  
代理人 蔦田 正人  
代理人 蔦田 正人  
代理人 蔦田 璋子  

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