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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B66F 審判 全部申し立て 特120条の4、2項訂正請求(平成8年1月1日以降) B66F |
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管理番号 | 1096303 |
異議申立番号 | 異議2002-71664 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1999-08-17 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-07-01 |
確定日 | 2004-02-16 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3250510号「バッテリフォークリフト」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3250510号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 |
理由 |
【1】手続きの経緯 本件特許第3250510号についての出願は、平成10年2月6日に特許出願されたものであって、その請求項1〜8に係る発明は、平成13年11月16日にその特許権の設定登録がなされたものであるが、その後、本件の請求項1〜8に係る特許に対して、柳原和男より特許異議の申立てがなされ、平成14年11月5日付けでなされた取消理由通知に対して、その指定期間内である平成15年1月27日に訂正請求がなされたものである。 【2】訂正の適否についての判断 ア.訂正の要旨 (1)訂正事項a 特許請求の範囲の記載を、設定登録時(訂正前)の記載である、 「【請求項1】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているバッテリフォークリフト。 【請求項2】 前記バッテリ収容部はその後側が車体の幅とほぼ同じに形成され、前側はその左右両側にステップを形成するスペースを確保可能な形状に形成されている請求項1に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項3】 前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成され、その片側にステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されている請求項1に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項4】 前記バッテリ収容部は車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項5】 前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項6】 前記バッテリ収容部はその上端が前記ステップの上面より低く形成され、バッテリ収容部に収容されたバッテリケースの上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、バッテリケースの上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項7】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部はその上端が前記ステップの上面より低く形成され、バッテリ収容部に収容されたバッテリケースの上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、バッテリケースの上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われているバッテリフォークリフト。 【請求項8】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われているバッテリフォークリフト。」から、 「【請求項1】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成され、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側にステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されているバッテリフォークリフト。 【請求項2】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成され、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側にステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設され、前記ステップの下方には油圧装置の作動油タンクが配設されているバッテリフォークリフト。 【請求項3】 前記バッテリ収容部は車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されている請求項1又は請求項2に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項4】 前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバッテリフォークリフト。」 に訂正する。 (2)訂正事項b 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0008】の記載を、 「【0008】また、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されている。さらに、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されている。」に訂正する。 (3)訂正事項c 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0009】の記載を、 「【0009】請求項2に記載の発明では、バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設けた。」に訂正する。 (4)訂正事項d 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0010】の記載を、 「【0010】また、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されている。さらに、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設され、前記ステップの下方には油圧装置の作動油タンクが配設されている。」に訂正する。 (5)訂正事項e 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0011】の記載を、 「【0011】請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記バッテリ収容部は車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されている。」に訂正する。 (6)訂正事項f 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0012】の記載を、 「【0012】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている。」に訂正する。 (7)訂正事項g 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0015】の記載を、 「【0015】請求項1及び請求項2に記載の発明では、バッテリ収容部の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているため、ステップを広く形成でき、運転室への乗降性がより向上する。また、バッテリ収容部の形状が単純な四角形状となり、構造が簡単でバッテリケースとともにバッテリを出し入れする際の作業も簡単になる。」に訂正する。 (8)訂正事項h 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0018】の記載を、 「【0018】請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、バッテリ収容部が車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されるため、バッテリ収容部の位置を低くするのが容易となる。」に訂正する。 (9)訂正事項i 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0019】の記載を、 「【0019】請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、バッテリフードはバッテリ収容部の上部開口の一部を覆う状態で設けられる。従って、バッテリフードの形状をバッテリ収容部の上部開口の形状をほとんど考慮せずに設計でき、バッテリフードのデザインの自由度が高くなる。」に訂正する。 (10)訂正事項j 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0059】の記載を、 「【0059】前記各実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。」に訂正する。 (11)訂正事項k 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0061】の記載を、 「【0061】(1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記バッテリ収容部に収容されるバッテリケースは前後方向において複数個に分割されている。この場合、各バッテリケースの取り出し作業時に、後側のバッテリケースを取り出した後、前側のバッテリケースをバッテリ収容部内で後側に移動させてから取り出すことにより、バッテリケースが運転室内の装備品とより干渉し難くなる。また、バッテリ交換作業時の精神的な疲労が軽減される。」に訂正する。 (12)訂正事項l 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0062】の記載を、 「【0062】(2)(1)に記載の発明において、前記バッテリケースは2個に分割されている。この場合、バッテリケースが3個以上に分割されている場合に比較して、バッテリの交換作業の時間を短縮できる。」に訂正する。 (13)訂正事項m 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0063】の記載を、 「【0063】【発明の効果】以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、車両の安定性と運転室への乗降性を両立させることができる。」に訂正する。 (14)訂正事項n 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0064】の記載を、 「【0064】請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、バッテリ収容部の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているため、ステップを広く形成でき、運転室への乗降性がより向上する。また、バッテリ収容部の形状が単純な四角形状となり、構造が簡単でバッテリケースとともにバッテリを出し入れする際の作業も簡単になる。」に訂正する。 (15)訂正事項o 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0066】の記載を、 「【0066】請求項3に記載の発明によれば、バッテリ収容部の位置を低くするのが容易となる。請求項4に記載の発明によれば、バッテリフードの形状をバッテリ収容部の上部開口の形状をほとんど考慮せずに設計でき、バッテリフードのデザインの自由度が高くなる。」に訂正する。 (16)訂正事項p 上記訂正事項aに伴って、願書に添付した明細書の段落【0013】、【0016】、【0017】、【0020】、【0060】、【0065】、【0067】の記載を削除する。 イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否 (1)上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、かつ、新規事項の追加に該当しない。 (2)上記訂正事項b〜pは、上記訂正事項aに伴って、発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の記載に整合させるものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではなく、かつ、新規事項の追加に該当しない。 ウ.むすび 以上のとおりであるから、上記訂正請求は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する特許法第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 【3】本件発明 上述したように、訂正請求による訂正が認められたので、本件特許第3250510号の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ「訂正発明1〜4」という。)は、訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定される上記【2】ア.の「訂正事項a」の箇所に記載したとおりのものと認める。 【4】特許異議申立の概要 特許異議申立人柳原和男は、証拠として、甲第1号証[実願平1-57653号(実開平3-1644号)のマイクロフィルム]、甲第2号証[実願平5-41794号(実開平7-5868号)のCD-ROM]、甲第3号証[実願平2-125153号(実開平4-81889号)のマイクロフィルム]を提出し、本件特許に係る発明(訂正発明1〜4)は、甲第1〜3号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである旨主張している。 【5】甲各号証記載の事項 ・ 甲第1号証(以下、「刊行物1」という。): 第1図の記載より、「バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設ける」ことが看取できる。 ・ 甲第2号証(以下、「刊行物2」という。): 段落[0008]〜[0010]の記載、及び、図面の記載からみて、刊行物2には、「バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にタイヤハウス20を兼用した空所が形成され」ることが記載されているものと認められる。 ・ 甲第3号証(以下、「刊行物3」という。): 刊行物3の明細書第3頁第6〜8行に、「フロア両側または片側を一段下げたオープンステップはフロアが階段状になっている」と記載されている。 【6】対比・判断 (訂正発明1) そこで、 訂正発明1と刊行物1〜3記載の発明とを対比すると、刊行物1〜3記載の発明は、いずれも、訂正発明1の発明を特定するための必要事項である「(同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成された)バッテリ収容部はその片側にステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されている」点(以下、「構成A」という。)を備えていない。 そして、バッテリ式フォークリフトにおいて、車体内に収納されるバッテリケースを全体が車体の幅より狭い同一幅に形成すると共にその平面形状を単なる四角形状に形成することは、例えば、実願昭57-82276号(実開昭58-184775号)のマイクロフィルム、等に記載されるように、本願出願前、当業者にとって周知の技術事項であったものと認められるが、このような周知事項を勘案したとしても、上記「構成A」が各刊行物記載の発明から当業者が容易に想到し得る、とする根拠を見いだせない。 しかも、バッテリ式フォークリフトにおいて、バッテリ収容部を車体の片側に偏倚した状態で配設し得るということが、本願出願前、当業者にとって周知であったことを認めるに足る証拠も見当たらず、また、当業者にとって必要に応じて適宜選択し得る程度の事項であったとする根拠も見当たらない。 そして、訂正発明1は、当該事項を備えることにより、訂正明細書記載の「バッテリ収容部の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているため、ステップを広く形成でき、運転室への乗降性がより向上する。また、バッテリ収容部の形状が単純な四角形状となり、構造が簡単でバッテリケースとともにバッテリを出し入れする際の作業も簡単になる。」(訂正明細書段落【0064】参照)という格別の効果を奏するものである。 したがって、訂正発明1は、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (訂正発明2〜4) また、訂正発明2〜4は、訂正発明1の構成を全て発明特定事項とし、さらに新たな発明特定事項を付加するものであるから、各刊行物記載の発明は、訂正発明2〜4の発明特定事項である上記「構成A」を備えていないことは明らかである。 したがって、訂正発明2〜4は、訂正発明1と同様に、刊行物1〜3記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。。 【7】むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立人の主張する理由及び証拠方法によって、訂正発明1〜4の特許を取り消すことはできない。 また、他に訂正発明1〜4の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 バッテリフォークリフト (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成され、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されているバッテリフォークリフト。 【請求項2】 バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設け、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成され、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設され、前記ステップの下方には油圧装置の作動油タンクが配設されているバッテリフォークリフト。 【請求項3】 前記バッテリ収容部は車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されている請求項1又は請求項2に記載のバッテリフォークリフト。 【請求項4】 前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のバッテリフォークリフト。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、バッテリフォークリフトに係り、詳しくはバッテリ収容部の配置に特徴を有するバッテリフォークリフトに関するものである。 【0002】 【従来の技術】 バッテリフォークリフトはバッテリ収容部の位置によって二つのタイプに大別できる。第1のタイプのフォークリフト60は主に日本で使用されているもので、図7及び図8に示すように、バッテリ収容部(図示せず)はバッテリ61の一部が後輪62の上方に位置するように形成されている。そして、バッテリ収容部の下方は図示しない操舵関係の部品等の配設スペースとなっている。バッテリ収容部の上方にはバッテリフード63が開閉可能に設けられ、このバッテリフード63の上部にシート(座席)64が設けられている。 【0003】 第2のタイプのフォークリフト60は主にヨーロッパで使用されているもので、図9及び図10に示すように、バッテリ収容部(図示せず)はバッテリ61が前輪65と後輪62との間に位置し、かつその下部が車体66のフレームの下端近傍に位置するように形成されている。従って、第2のタイプのフォークリフト60は、第1のタイプのフォークリフト60よりバッテリ61の容量が大きく、また、バッテリ61を搭載した状態でのフォークリフト全体の重心が低くなり、第1のタイプのフォークリフト60より安定性は良い。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 バッテリフォークリフトはエンジンフォークリフトに比較して、バッテリ収容部を確保するために運転室の空間、特に運転者がシート64に腰掛けた場合に足を置くスペース(レッグスペース)が狭くなる。また、バッテリ収容部は車体66の幅とほぼ同じ幅に形成され、バッテリ収容部に収容されたバッテリケース(図示せず)の上部がシート64の配設位置の近くに達している。そして、前記スペースを広くするため、バッテリフード63はその外形がバッテリケースの上部の形状に対応して四角形状となっている。その結果、運転者の乗降時にバッテリケースの上部及びバッテリフード63の角部が邪魔になり、エンジンフォークリフトに比較して乗降の便が悪い。 【0005】 そして、第1のタイプのフォークリフト60はバッテリ収容部の一部を後輪62の上方に配置することにより、運転室67を可能な限り広く確保しているが、第2のタイプのフォークリフト60に比較して、重心が高く安定性は低い。一方、第2のタイプのフォークリフト60は安定性は高いが、バッテリ収容部が前側へせり出しているため、運転室67の空間が狭く、ステップ68を広くとれない。フォークリフトによる荷役作業としてトラックに対する作業を行う場合は、運転者はフォークリフトに対する乗り降りの頻度が高く、運転室67及びステップ68が狭いと、作業性が悪くなるという問題がある。 【0006】 本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は車両の安定性と運転室への乗降性を両立させることができるバッテリフォークリフトを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】 前記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設けた。 【0008】 また、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されている。さらに、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設されている。 【0009】 請求項2に記載の発明では、バッテリを収容するバッテリ収容部を、その一部が座席に着座した運転者の足を支承する床面より下方まで拡がり、かつ該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が前記床面より低い位置となるよう設けた。 【0010】 また、前記バッテリ収容部は少なくともその一部の幅が車体の幅より狭く形成され、その幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されている。さらに、前記バッテリ収容部は全体が車体の幅より狭い同一幅に形成されると共にその平面形状が四角形状に形成され、該バッテリ収容部はその片側に前記ステップが形成されるように車体の片側に偏倚した状態に配設され、前記ステップの下方には油圧装置の作動油タンクが配設されている。 【0011】 請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記バッテリ収容部は車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されている。 【0012】 請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記バッテリ収容部はその上端が前記床面の近傍より若干低い高さに形成され、該バッテリ収容部の上部開口は、開閉可能なバッテリフードによってその後部側が覆われ、前部側は前記床面により覆われている。 【0013】削除 【0014】 従って、各請求項に記載の発明では、バッテリ収容部の一部が後輪の上方まで拡がるように形成されたタイプのフォークリフトと同じ容積のバッテリ収容部が、該バッテリ収容部に収容されたバッテリの上端が座席に着座した運転者の足を支承する床面より低い位置となるように配設される。そして、バッテリが収容された状態において、車両全体の重心が低くなり安定性が向上する。また、バッテリ収容部の上方に、座席に着座した運転者の足を支承する床面が設けられるため、運転室の座席の前側が広くなり、運転室への乗降性も向上する。 【0015】 請求項1及び請求項2に記載の発明では、バッテリ収容部の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているため、ステップを広く形成でき、運転室への乗降性がより向上する。また、バッテリ収容部の形状が単純な四角形状となり、構造が簡単でバッテリケースとともにバッテリを出し入れする際の作業も簡単になる。 【0016】削除 【0017】削除 【0018】 請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、バッテリ収容部が車体の前後方向において前輪と後輪の間に配設されるため、バッテリ収容部の位置を低くするのが容易となる。 【0019】 請求項4に記載の発明では、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の発明において、バッテリフードはバッテリ収容部の上部開口の一部を覆う状態で設けられる。従って、バッテリフードの形状をバッテリ収容部の上部開口の形状をほとんど考慮せずに設計でき、バッテリフードのデザインの自由度が高くなる。 【0020】削除 【0021】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を具体化した一実施の形態を図1〜図4に従って説明する。図1及び図3に示すように、バッテリフォークリフト(以下単にフォークリフトという)1の車体を構成する機台フレーム1aの前側にはマスト2が装備されている。図3に示すように、マスト2にはフォーク3がリフトブラケット3aとともに昇降可能に装備され、リフトシリンダ4の伸縮作動によりフォーク3がリフトブラケット3aとともに昇降される。機台フレーム1aには4本の支柱5が立設され、これらの支柱5及びヘッドガード5aにより囲まれた空間によって運転室6が構成されている。 【0022】 運転室6の下方にはバッテリ収容部7が設けられている。バッテリ収容部7は車体の前後方向において前輪8と後輪9の間に配設され、機台フレーム1aによって形成されている。バッテリ収容部7はその一部が座席(シート)10に着座した運転者の足を支承する床面としてのトーボード11より下方まで拡がり、かつバッテリ収容部7に収容されたバッテリの上端がトーボード11より低い位置となるように設けられている。バッテリ収容部7の容積は、一部が後輪の上方まで拡がるように形成された従来のタイプのフォークリフトのバッテリ収容部に収容されるバッテリと同じ容積のバッテリを収容可能に形成されている。 【0023】 バッテリ収容部7はその後側が車体の幅とほぼ同じに形成され、前側はその左右両側にステップ12を形成するスペースを確保可能な形状に形成されている。図1及び図2に示すように、バッテリ収容部7は左右対称な形状で、その幅方向の中央が車体の幅方向の中央と一致するように形成されている。この実施の形態ではバッテリ収容部7は平面形状がほぼT字状に形成されている。ステップ12はバッテリ収容部7の左右両側の幅狭部分と対応する箇所に形成され、図3に示すように、トーボード11より一段低い位置に配置されている。 【0024】 バッテリ収容部7内には、バッテリケース13に多数のバッテリセル14が収容されたバッテリ15が収容されるようになっている。バッテリ15には鉛蓄電池が使用されている。バッテリケース13は外形がバッテリ収容部7と同じ形状に形成されている。バッテリセル14の数はフォークリフト1で使用される電圧及び電力によって異なり、所定の電圧及び電力を供給可能な数だけバッテリケース13に収容されている。この実施の形態では起電力が2Vのバッテリセル14が24個収容され、各バッテリセル14を直列に接続して48Vの電圧を得るようになっている。そして、図2に示すように、バッテリケース13はバッテリセル14を20個収容可能な箱13aの両側に、バッテリセル14を2個収容可能な箱13bがそれぞれ溶接で接続されてほぼT字状に形成されている。なお、バッテリケース13には、バッテリケース13を吊り上げるためのワイヤ(図示せず)が掛止される掛止孔(図示せず)が形成されている。そして、バッテリケース13はその上端が僅かにバッテリ収容部7の上端より突出して、前記掛止孔がバッテリ収容部7の上端より上に位置するように収容されている。 【0025】 バッテリ収容部7の上部開口7aは、その後部側がバッテリフード16によって覆われ、前部側はトーボード11によって覆われている。トーボード11は上部開口7aと対応する部分が取り外し可能に形成され、常には図示しないボルト又はネジにより機台フレーム1aに固定され、バッテリ15の交換時には取り外されて上部開口7aが開放されるようになっている。トーボード11は図4に鎖線で示すように、左右両側が折り曲げられている。 【0026】 バッテリフード16は、その後部において機台フレーム1a側に回動中心が設けられた一対のヒンジ17(図4にのみ図示)を介して機台フレーム1aに対して回動可能に支持されている。バッテリフード16は閉鎖状態においてほぼ水平に配置される上壁16aと、上壁16aの周縁に連続する前壁16b及び側壁16cとから構成され、上壁16a上に座席10が固定されている。 【0027】 バッテリフード16はバッテリ収容部7の幅広部全体と幅狭部の後側の一部を覆うように形成され、閉鎖状態において前壁16bの下端がトーボード11の上面に当接する。また、バッテリフード16の前側両隅部は曲率半径の大きな曲面に形成され、ステップ12の後端と対応する部分が曲率半径の大きな曲面で構成されている。トーボード11より低い位置に配置されたバッテリ収容部7を覆い、かつ座席10を従来装置とほぼ同じ高さとなるように支持するため、バッテリフード16の側壁16cは従来のバッテリフードより高く形成されている。 【0028】 バッテリフード16の側壁16cの片側には係止部(図示せず)が設けられ、トーボード11には係止部と係止可能なキャッチ(図示せず)が設けられている。バッテリフード16は閉位置に配置された状態(閉鎖状態)で、係止部がキャッチに係止されることにより閉鎖状態に保持される。また、バッテリフード16の裏面側と機台フレーム1aとの間にダンパー(図示せず)が配設され、バッテリフード16の開閉が比較的軽い力で行えるようになっている。 【0029】 図2に示すように、駆動輪としての前輪8を駆動する走行用モータ18は、バッテリ収容部7の前方に配設されている。前輪8は車軸19に装備された差動装置19a及び図示しないギヤを介して走行用モータ18により駆動される。操舵輪としての後輪9は、バッテリ収容部7の後方に配設された全油圧式のパワーステアリング装置(図示せず)により、ハンドル20の操作量に応じて操舵される。両ステップ12の下方の空間には、フォークリフト1の荷役作業に使用する油圧装置(図示せず)及び前記パワーステアリング装置の作動油タンク21がそれぞれ配設されている。また、ティルトシリンダ22に作用する力を機台フレーム1aと共同して担う強化用の部材23が、作動油タンク21を囲むように配設されている。 【0030】 次に、前記のように構成されたフォークリフト1の作用を説明する。バッテリ15の収容位置が、バッテリ収容部の一部が後輪の上方まで拡がるように形成された従来の第1のタイプのフォークリフトに比較して低くなるため、車両全体の重心が低くなる。バッテリ15の収容位置は第1のタイプに比較して前側となるため、重心の高さが同じであれば車両の安定性は低くなる。しかし、バッテリの重心が前側に移動した影響より、重心が低くなったことの影響の方が大きく、車両の安定性が向上する。 【0031】 バッテリフード16はバッテリ交換時あるいは点検時以外は、図3に示すように閉鎖状態に保持される。バッテリ交換のためバッテリ収容部7からバッテリ15を取り出すときには、まず、キャッチと係止部との係止状態を解除し、バッテリフード16を一杯に開放する。バッテリフード16はダンパーの作用により開放位置に保持される。なお、開放状態においてはダンパーの作用によりバッテリフード16は開放側に付勢されるとともに、支柱5のクッションラバーに当接して開放位置に保持されるが、万一の外圧に対して不意に閉じることのないように、図示しない公知のロック機構により開放状態に保持される。ロック機構はバッテリフード16の全開と同時にロック状態となり、バッテリフード16を閉じるときは作業者がロック機構の解除操作を行う。 【0032】 次に上部開口7aを覆っている部分のトーボード11を取り外して、上部開口7aを完全に開放する。この状態で従来と同様に、バッテリケース13の掛止孔にワイヤのフックを掛止して、クレーンによりワイヤを介してバッテリケース13をバッテリ収容部7内から吊り上げる。そして、バッテリケース13の下端がバッテリ収容部7の上端より高くなるまで上昇させた後、車両の幅方向に移動させて図示しないバッテリ運搬車上に載せる。 【0033】 次に既に充電されているバッテリセル14が収容されたバッテリケース13を、バッテリ15の取り出し作業と逆の順序でバッテリ収容部7に収容する。そして、トーボード11を所定位置に固定した後、バッテリフード16を閉鎖位置まで回動させる。最後にキャッチを係止部に係止させると、バッテリ交換作業が終了する。 【0034】 この実施の形態では以下の効果を有する。 (1) バッテリ収容部7全体がトーボード11より低い位置に配設されるため、バッテリ収容部7が後輪より上方に配設されたフォークリフトに比較して、バッテリ15が収容された状態での車両全体の重心が低くなって車両の安定性が向上する。 【0035】 (2) バッテリ収容部7の上方の一部がトーボード11で覆われるため、運転室6の座席10の前側が広くなり、運転室6への乗降性も向上する。 (3) バッテリ収容部7が車体の前後方向において前輪8と後輪9の間に配設されるため、バッテリ収容部7の位置を低くするのが容易となる。 【0036】 (4) バッテリ収容部7の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップ12が形成されているため、ステップ12を広く形成でき、運転室6への乗降性がより向上する。 【0037】 (5) 通常、運転室6への乗降は左側を主とするが、ステップ12が車体の左右両側に形成されているため、運転室6への乗降が車体の右側からでも可能になる。 【0038】 (6) バッテリ収容部7が左右対称な形状で、その幅方向の中央が車体の幅方向の中央と一致するように形成されているため、バッテリ15の重心が車体の幅方向の中央に位置し、バッテリが車体の幅方向の一方の側に偏倚して配置された場合に比較して車両の安定性が高くなる。 【0039】 (7) バッテリ収容部7が左右対称な形状で、その前側が幅が狭く、後側の幅が広く形成されている。従って、同じ容積で全体の幅を狭くした場合に比較してバッテリ15の重心が後方に位置し、車体の安定性に有利となる。 【0040】 (8) ステップ12の下方を油圧装置の作動油タンク21の配設スペースとして利用できる。また、ステップ12が左右両側に配設されているため、ティルトシリンダ22に作用する力を機台フレーム1aと共同して担う強化用の部材23を前記配設スペースに設けることができる。従って、強化用の部材23を設けることができない場合に比較して、必要な強度を有する機台フレーム1aを構成する部材の厚さを薄くでき、コスト低減に寄与する。 【0041】 (9) バッテリフード16はバッテリ収容部7の上部開口7aの一部を覆う状態で設けられるため、バッテリフード16の形状を上部開口7aの形状をほとんど考慮せずに設計できる。従って、バッテリ収容部7が角張った箱型であっても、バッテリフード16の形状を角張った形状にする必然性はなくなり、デザインの自由度が高くなって、意匠的に優れたバッテリフード16の設計が容易になる。また、荷揚げ能力の異なる機種(例えば1〜3トン)のバッテリフードやエンジンフォークリフトのエンジンフードとの間でフードの共通化を図ることができるとともに小型化ができ、製造コストを低減できる。 【0042】 (10) バッテリフード16の前側両隅部が曲率半径の大きな曲面に形成され、ステップ12の後端と対応する部分が曲率半径の大きな曲面で構成されている。従って、運転室6への乗降時に、運転者は四角形状に形成された従来のバッテリフードと異なり、バッテリフード16の角部が気にならず、多少斜め方向にも乗り降りでき、乗降性がより向上する。 【0043】 (11) 従来のバッテリフードと異なり、バッテリフード16の側壁16cの高さが高くなるため、バッテリフード16の内容積が大きくなる。従って、バッテリフード16の内側に電装部品や補機を配設することも可能になる。 【0044】 (12) バッテリ収容部7の後端と後部支柱5との距離が、バッテリ収容部の一部が後輪9の上方に位置する従来のタイプに比較して大きくなる。従って、側壁16cの高さが高くなっても、バッテリフード16を支柱5と干渉せずに大きく開けるための回動中心の位置の自由度が大きくなり、回動機構を取り付け易い位置に配設できる。 【0045】 (13) バッテリの種類によって同じ容量でも高さが低いバッテリの場合は、トーボード11の高さを低くすることにより、同じバッテリフード16を使用して対処できる。また、容量の大きなバッテリを使用する機種の場合は、トーボード11の高さを高くすることにより、レイアウトの大幅な変更をしなくても対処できる。 【0046】 なお、実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば、次のように具体化してもよい。 ○ 図5に示すように、バッテリ収容部7を全体が車体の幅より狭い同一幅に形成し、その片側(図5では左側)にステップ12が形成されるように車体の片側(図5では右側)に偏倚した状態に配設する。バッテリケース13はバッテリセル14が車体の前後方向及び幅方向にそれぞれ5個ずつ合計25個収容可能な箱状に形成され、隅にバッテリセル14の1個分のスペースを設けた状態で24個のバッテリセル14が収容されている。ステップ12の形状及び位置は前記実施の形態と同じで、バッテリフード16の構成も同じである。作動油タンク(図示せず)はステップ12の下方及びバッテリ収容部7の左側方に配設される。 【0047】 この実施の形態では前記実施の形態の(1)〜(4)及び(9)〜(13)の効果を有する。また、この実施の形態では、バッテリ収容部7の形状が単純な四角形状となり、バッテリケース13を1個の四角形状の箱で形成でき、バッテリケース13の製造が簡単になる。また、バッテリ15を吊り下げる際に重量バランスをとるのが前記実施の形態に比較して容易となる。また、バッテリ収容部7のステップ12側の側方のスペース及びバッテリケース13内のバッテリセル1個分のスペースが利用可能になる。 【0048】 ○ 図6に示すように、バッテリ収容部7として後側の幅を車体の幅とほぼ同じに形成し、前側はその片側(例えば左側)にステップを形成するスペースを確保可能な幅としてもよい。この場合は、ステップ12の奥行き(車体の幅方向の長さ)を長くできる。 【0049】 ○ バッテリ収容部7の上端をステップ12の高さとほぼ同じに形成し、バッテリケース13の高さをバッテリ収容部7に収容された状態において、その上端がバッテリ収容部7の上端から突出してトーボード11の下面より若干低い位置に達する高さに形成する。この構成ではバッテリケース13の上部開口はトーボード11及びバッテリフード16により覆われるが、フォークリフト1の両側にバッテリケース13の側面の一部が露出する状態となる。しかし、この場合は、バッテリ収容部7からバッテリ15を取り出すときに、バッテリケース13を吊り上げる高さがステップ12の上面より若干高い位置まででよくなる。従って、バッテリケース13を吊り上げる作業のときに、バッテリケース13がステアリングコラムやインストルメントパネル等の運転室6内の装備品と干渉し難くなり、作業時の精神的な疲労が軽減される。 【0050】 ○ 図5及び図6に示すように、ステップ12がバッテリ収容部7の片側にのみ設けられた構成の場合は、バッテリ収容部7の上端の高さをステップ12より低く形成してもよい。この場合、バッテリケース13を取り出す場合、バッテリケース13を吊り上げた状態での車体の幅方向への移動を、ステップ12が設けられていない側へ行うことにより、バッテリケース13が運転室6内の装備品とより干渉し難くなる。 【0051】 ○ バッテリケース13の露出による見栄えの悪さを解消するため、フォークリフト1の側部にバッテリケース13の側面を覆うサイドフードを取り外し可能に設けてもよい。この場合、バッテリの交換作業時には、サイドフードを取り外した状態で行う。また、サイドフードを側方へ開閉可能に設け、サイドフードを開放した状態でバッテリの交換作業を行う構成としてもよい。 【0052】 ○ バッテリ収容部7の上部開口7aを覆うトーボード11をヒンジを介して開閉可能に設けてもよい。ヒンジは機台フレーム1a側に設けても、バッテリフード16に設けてもよい。この場合、バッテリ交換時にトーボード11を固定するためのボルト又はネジの取り外しや締め付けの手間がなくなるとともに、ボルト又はネジを紛失することがなくなる。 【0053】 ○ バッテリケース13を前後方向において複数個、好ましくは2個に分割可能に構成する。例えば、図2及び図6に示すバッテリ収容部7に収容されるバッテリ15の場合は、バッテリケース13としてバッテリセル14の収容個数が2×6のものと、3×4のものの2種を使用する。また、図5に示すバッテリ収容部7に収容されるバッテリ15の場合は、バッテリケース13としてバッテリセル14の収容可能な個数が3×5のものと、2×5のものの2種を使用する。そして、バッテリ15の交換時には、先ず後側に収容されたバッテリケース13を取り出し、次に前側のバッテリケース13を取り出す。前側のバッテリケース13を取り出す場合は、バッテリケース13を少し吊り上げた状態で後側に移動させた後、バッテリケース13の下端がバッテリ収容部7の上端より高くなる位置まで上昇させ、その状態から幅方向に移動させる。バッテリ15の収容作業は取り出し時と逆の手順で行う。この場合、各バッテリケース13の取り出しあるいは収容作業時に、バッテリケース13が運転室内の装備品とより干渉し難くなる。また、バッテリ交換作業時の精神的な疲労が軽減される。 【0054】 ○ ステップ12を左右両側に設け、作動油タンク21を各ステップ12の下方に配設する構成において、作動油タンク21を機台フレーム1a及び強化用の部材23で形成してもよい。この場合、作動油タンク21を機台フレーム1aと部材23との間に取り付ける手間が不要になる。 【0055】 ○ 強化用の部材23を設けずに、ティルトシリンダ22から作用する力を担う機台フレーム1a全体を強度の大きな部材で構成してもよい。 ○ バッテリフード16を閉鎖位置に保持する保持手段としての係止部及びキャッチの配設位置を変更する。例えば、係止部をバッテリフード16の前壁16bに設け、係止部と対応する位置にキャッチを配設してもよい。また、バッテリフード16を閉鎖位置に保持する保持手段として、前記係止部及びキャッチの組み合わせ以外のものを使用してもよい。また、保持手段を複数箇所に設けてもよい。 【0056】 ○ バッテリフード16を閉鎖位置に保持する保持手段を特別に設けず、バッテリフード16の自重で閉鎖位置に保持される構成としてもよい。 ○ バッテリフード16の開閉操作時に操作者が必要とする力を軽減するとともに開放位置に保持する作用をなすダンパーを省略し、開放位置に保持する保持機構のみを設けてもよい。 【0057】 ○ バッテリセル14の個数が少なくてよい場合、例えばバッテリ15の供給電圧が低い場合は、バッテリ収容部7の幅を全長にわたってその両側にステップ12を形成可能な幅に形成してもよい。この場合も、車体の安定性と乗降性とを両立できる。 【0058】 ○ バッテリフード16の開閉方向を前後方向ではなく左右方向としてもよい。 ○ バッテリ15は鉛蓄電池に限らず他の種類の蓄電池、例えばナトリウム-硫黄電池、亜鉛-臭素電池等を使用してもよい。 【0059】 前記各実施の形態から把握できる請求項記載以外の技術的思想(発明)について、以下にその効果とともに記載する。 【0060】削除 【0061】 (1)請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記バッテリ収容部に収容されるバッテリケースは前後方向において複数個に分割されている。この場合、各バッテリケースの取り出し作業時に、後側のバッテリケースを取り出した後、前側のバッテリケースをバッテリ収容部内で後側に移動させてから取り出すことにより、バッテリケースが運転室内の装備品とより干渉し難くなる。また、バッテリ交換作業時の精神的な疲労が軽減される。 【0062】 (2)(1)に記載の発明において、前記バッテリケースは2個に分割されている。この場合、バッテリケースが3個以上に分割されている場合に比較して、バッテリの交換作業の時間を短縮できる。 【0063】 【発明の効果】 以上詳述したように請求項1〜請求項4に記載の発明によれば、車両の安定性と運転室への乗降性を両立させることができる。 【0064】 請求項1及び請求項2に記載の発明によれば、バッテリ収容部の幅が狭く形成された部分と対応する箇所にステップが形成されているため、ステップを広く形成でき、運転室への乗降性がより向上する。また、バッテリ収容部の形状が単純な四角形状となり、構造が簡単でバッテリケースとともにバッテリを出し入れする際の作業も簡単になる。 【0065】削除 【0066】 請求項3に記載の発明によれば、バッテリ収容部の位置を低くするのが容易となる。 請求項4に記載の発明によれば、バッテリフードの形状をバッテリ収容部の上部開口の形状をほとんど考慮せずに設計でき、バッテリフードのデザインの自由度が高くなる。 【0067】削除 【図面の簡単な説明】 【図1】 一実施の形態のフォークリフトの一部省略概略平面図。 【図2】 バッテリ収容部の配置と車輪の関係を示す模式平面図。 【図3】 フォークリフトの概略側面図。 【図4】 フードの開放状態を示す概略斜視図。 【図5】 別の実施の形態のフォークリフトの一部省略概略平面図。 【図6】 別の実施の形態のフォークリフトの一部省略概略平面図。 【図7】 従来のフォークリフトの一部省略概略平面図。 【図8】 同じく一部省略概略側面図。 【図9】 別の従来のフォークリフトの一部省略概略平面図。 【図10】 同じく一部省略概略側面図。 【符号の説明】 1…(バッテリ)フォークリフト、1a…車体を構成する機台フレーム、7…バッテリ収容部、7a…上部開口、8…前輪、9…後輪、10…座席、11…床面としてのトーボード、12…ステップ、13…バッテリケース、15…バッテリ、16…バッテリフード。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-01-28 |
出願番号 | 特願平10-26059 |
審決分類 |
P
1
651・
832-
YA
(B66F)
P 1 651・ 121- YA (B66F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鳥居 稔 |
特許庁審判長 |
西野 健二 |
特許庁審判官 |
清田 栄章 亀井 孝志 |
登録日 | 2001-11-16 |
登録番号 | 特許第3250510号(P3250510) |
権利者 | 株式会社豊田自動織機 |
発明の名称 | バッテリフォークリフト |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 博宣 |