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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G01F
管理番号 1096961
審判番号 訂正2004-39017  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-01-29 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-01-23 
確定日 2004-04-09 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3432799号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3432799号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。 
理由 1.請求の要旨
本件審判請求の要旨は、特許第3432799号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正するものであって、その訂正の内容は、特許請求の範囲の請求項4、7ないし14、18、20、21及び23を削除するとともに、削除された請求項の項番号を順次繰り上げて、請求項5、6、15ないし17、19及び22の項番号をそれぞれ4ないし10とし、かつ、引用する請求項の項番号を該当する訂正後の項番号に訂正するものである。

2.当審の判断
上記訂正は、特許請求の範囲に記載された請求項1ないし23のうち、請求項4、7ないし14、18、20、21及び23の、計13項を削除するとともに、請求項の項番号及び引用する請求項の項番号を整理するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。
また、本件の特許第3432799号に係る特許に対し、特許異議の申立てがなされた、又は特許無効審判が請求されたという経緯はなく、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるとすべき理由を発見しない。

3.むすび
以上のとおりであるから、本件審判請求は、特許法第126条第1項ただし書、第3項、第4項及び第5項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
直感型コリオリ流量計とその流管及びバランスバーの弾性率のバランスをとる方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に実質的に平行に向いたばね作用と質量作用とを有する流管(104)及びばね作用と質量作用とを有するバランスバー(1101)と、
該バランスバーの端部を該流管に連結する受けバー手段(1001)と、
ケース(1401)と、
該ケースを上記受けバー手段に連結するためのケース連結リンク手段(1701)と、
上記受けバー手段(1001)、バランスバー(1101)あるいは流管(104)の1つに振動の節点を形成するように作用し、該振動の節点が上記流管のばね作用と上記バランスバーのばね作用とを分離するように作用するようにした、上記バランスバー及び上記流管を横方向に相互に位相を外して振動させるための駆動手段(D)と、
からなり、
上記バランスバーの縦方向の可撓性中間部分(1002)が、上記バランスバーのばね作用を上記振動の節点の近くに集中させるように上記バランスバーの他の部分に比較して可撓性が増大しており、
上記バランスバーのばね作用が上記振動の節点の近くに集中することにより異なる時間に上記流管に異なる密度の流体があることに応じて上記バランスバーのばね作用が変化し、
異なる時間に異なる密度の物質が上記流管を通る時に上記バランスバーのばね作用の変化がコリオリ流量計の改善された動的バランスを維持する
ようにしたことを特徴とするコリオリ流量計。
【請求項2】
上記バランスバーの可撓性の中間部分が上記バランスバーの切り取られた部分(2402)を有することを特徴とする請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項3】
上記流管の縦方向の可撓性の中間部分(1003)が上記流管の他の部分に比較して可撓性が増大しており、
上記流管の可撓性の中間部分が上記流管のばね作用を上記振動の節点の近くに集中させ、
上記流管のばね作用の集中により異なる時間に上記流管に異なる密度の物質が存在することに応じて上記流管のばね作用が変化し、
上記流管のばね作用の変化がさらに異なる時間に異なる密度の物質が上記流管を通る時にコリオリ流量計の改善された動的バランスを維持する
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項4】
上記ケース(1401)が上記バランスバー(1101)、流管(104)及び受けバー手段(100)を取り囲み、
上記ケースが上記バランスバー及び流管に実質的に平行な縦方向の軸を有し、
上記ケース連結リンク手段が上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するため上記受けバー手段を上記ケースに連結する
ようにしたことを特徴とする請求項1に記載のコリオリ流量計。
【請求項5】
上記ケース連結リンク手段(1701)が各々上記バランスバーの縦方向の軸に実質的に垂直に向いていて上記ケースに対する上記受けバー手段の回転を可能にするが上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止する形状になっている実質的に平坦な面を有する第1及び第2のケース連結リンクからなり、
上記受けバー手段の回転が上記バランスバー及び流管の縦方向の軸に垂直で上記受けバー手段から上記ケースまで延びる軸を中心としたものである
ようにしたことを特徴とする請求項4に記載のコリオリ流量計。
【請求項6】
相互に実質的に平行に向いたバランスバー(1101)及び流管(104)と、流量計のケース(1401)、上記バランスバーの端部及び上記流管に連結された受けバー手段(1001)とからなるコリオリ流量計に対し、上記バランスバー、受けバー、流管のいずれか1つに上記流管のばね作用と上記バランスバーのばね作用とを分離するように作用する振動の節点を形成するように上記バランスバー及び上記流管を相互に位相を外して横方向に振動させるステップを有するコリオリ流量計の動的バランスをとる方法において、
上記バランスバーの他の部分より大きい可撓性を有する上記バランスバーの中間部分(2402)を形成すること、これにより上記受けバーのばね作用を上記節点の近くに集中させるステップをさらに有し、
上記ばね作用を集中させるステップが異なる時間に異なる密度の物質が上記流管にあることに応じて上記バランスバーのばね作用を変化させ、
上記ばね作用を変化させるステップが異なる時間に異なる密度の物質が上記流管にあることに応じてコリオリ流量計の改善された動的バランスを与える
ようにしたことを特徴とするコリオリ流量計の動的バランスをとる方法。
【請求項7】
上記バランスバーの中間部分における切り取り作用(2402)を有するステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記流管の他の部分より大きい可撓性を有する上記流管の縦方向の中間部分を与えることと、
上記流管のばね作用を上記振動の節点の近くに集中させることと、
の各ステップをさらに含み、
上記流管のばね作用を集中させるステップが異なる時間に上記流管に異なる密度の物質があることに応じて上記流管のばね作用を変化させ、
上記流管のばね作用を変化させるステップがさらに異なる時間に上記流管に異なる密度の物質があることに応じてコリオリ流量計の改善された動的バランスを与える
ようにしたことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
上記ケースの縦方向の軸が上記バランスバー及び流管に実質的に平行になるようにして上記バランスバー、流管及び受けバーを上記ケースで取り囲むことと、
上記バランスバー及び流管の相互に対する位相を外した振動に応じて上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するように上記受けバー手段を上記ケースの内側壁部に連結することと、
の各ステップをさらに含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
上記受けバーの近くの上記流管の端部を流管のスタブを介して上記ケースの端部(1405)に連結するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコリオリ流量計に関し、特に流れる物質の密度の変化に応じて流管とバランスバーとの間の動的バランスを維持する単管型コリオリ流量計に関する。
【技術的課題】
物質が流れる振動する流管とこれに取り付けられたバランスバーとの間の動的バランスを維持することが単管型コリオリ流量計における1つの問題である。変動する動作条件の下で流量計の動的バランスを維持するために単管型コリオリ流量計にはバランスバーが設けられている。バランスバーは流量計の流管に連結され、バランスバーと振動する流管との組合せが動的バランスのとれた構造をなすように流管との位相が外れて振動する。
【0002】
単管型コリオリ流量計は工場で較正され、既知の比重を有する物質、あるいは0.8〜1.0、1.0〜1.2のような既知の狭い範囲の比重を有する物質に対して動的にバランスがとられている。これは米国特許第5398554号、欧州特許公開第759542号に開示されている。これらの流量計はそれが較正された物質に近い比重を有する物質に使用を限定すれば、良好に動作し、動的バランスを維持する。しかしながらコリオリ流量計がその較正された比重を有する物質に使用を限定することは必ずしも可能ではない。他の密度の物質で流量計を用いると流量計のバランスがくずれ、振動を生じその結果精度が低下する。
【0003】
単管型コリオリ流量計は典型的には1本の流管と、流管に振動するように連結されたバランスバーあるいはバランス管(以下バランスバーという)と、流管及びバランスバーを取り囲む収容ケースとからなる。流量計構造体が物質の流れが測定される対応する配管系に連結されるようにして延長スタブが流管からケース端部を通り抜けることが多い。流量計の動的バランスが得られた時に、端側の動きのない節点位置は典型的には流管とケース端部との交差位置となる。流管の比較的短い部分が各々のケース端部から、流管の縦方向の軸に垂直で流管をバランスバーの端部に連結する受けバーまで内方に延びているる。物質で満たされた流管及びバランスバーは、流管とバランスバーとの対が動的にバランスのとれた構造をなして節点が流管とケース端部との交差部になるように相互に位相が外れて振動する。この動的バランスが得られた時に、ケースは振動しない。
【0004】
流量計が較正されバランスがとれているのとは異なる比重を有する物質で流量計が動作すると動的なアンバランスによるケースの振動が生ずる。この条件の下で節点の位置がもはやケース端点にはないように変位する。新たな物質の比重に応じて、振動の節点はケース端部から離れて流量計の中心に向かう方向に内方に変位するか(より重い物質の場合)、あるいはケースの外側で配管系内に外方に変位する(より軽い物質の場合)。この条件の下でケースは運動量保存の法則を満たすように振動し、流量計の精度が低下する。
【0005】
流量計の形態は流管の端側節点に対して流管の有利な位置に速度センサーを配置することを含む。端側節点の比較的近くにセンサーを設置すると流量計の感度が高まり、センサーを端側節点からさらに離して設置すると流量計の感度が低下することが知られている。流量計は一定した知られている感度を有するのが望ましい。流量計が異なる密度物質で動作する際の端側節点の動きによりセンサーと節点との間の距離が変化する。これにより流量計の感度が変化し、出力情報の精度が低下する。感度の変化は比較的小さいけれども、臨界的な用途においては低下した出力情報が使用者に問題を生ぜしめるのに十分な大きさである。
【0006】
要するにコリオリ流量計の流れの感度は流管の有効長さの端部を規定する節点と速度センサーとの間隔の関数である。単管型流量計において、物質の流れの比重の変化により流管の端側節点位置が変化し、これはまた流量計の感度を変化させることになる。
【0007】
単管型コリオリ流量計におけるバランスの問題を解決する従来の方法は振動の振幅を最小にしそれによって節点の位置の変化を最小にするためにケースの質量をできるだけ大きくすることである。さらにアンバランス(流量計の振動を生ぜしめる)は物質の密度の関数であり、物質の密度は流管の振動数から決定されるので、流管の振動数によって流量計の流れの較正因子を変更するために流量計の電子回路におけるソフトウェアのアルゴリズムが用いられる。これは欧州特許公開第831306号に開示されている。このアプローチに関する主たる問題は流量計の装着部の固さが流量計の振動の振幅に及ぼす作用を考慮していないことである。流量計の柔軟な装着部は固い装着部よりも流量計の振幅がより大きく(また節点の位置の変位がより大きく)なる。出力装置に用いられる修正アルゴリズムは「適度な固さ」を有する装着部であると仮定しているので、柔軟な装着部では補償が過小になり、固い装着部では補償が補償が過大になる。これはコリオリ流量計及び関連装置の出力情報の精度の低下となる。欧州特許公開第759542号及び米国特許第5398554号はある範囲の流体の密度にわたって流量計のバランスを維持する問題を解決しようとする従来の技術を示している。それらは手動的に調整可能な釣り合わせ重量によってこれを行っている。この方法は連続的に変化する密度を有する流体を正確に測定ことができないという問題を有している。
【課題を解決する手段】
【0008】
本発明は前述の問題点を解決し、1本の流管と、バランスバーと、物質の密度の広い範囲にわたって流量計の動的バランスを維持する組込まれた相互連結構造とを有する流量計を与えることにより技術的な進歩を達成する。バランスバーと、流管と、以下に受けバーと称する連結構造とのばね構造の特性を制御することによって流管とバランスバーとの間の動的バランスが維持される。受けバーはバランスバーの端部と流管とを相互に連結し、異なる密度の物質で満たされた時に流管の共鳴振動数に合うように流管バランスバーの共鳴振動数を動的に変化させることによってこのバランスを維持する。この作用を行う際にバランスバーは動的バランサーのように振舞い、流管とその中の物質との振動の振幅を釣り合わせるのに必要な振動の振幅を自動的に維持する。
【0009】
本発明には振動系の基本的法則が適用される。第1には(外力がない時に)運動量が保存されなければならないことである。これは質量とある方向の速度との積が質量と反対方向の速度との積に等しいことを意味する。バランスのとれた流量計において、流管及びその中に入っている物質の質量とある方向の速度との積がバランスバーと反対方向の速度との積に等しい。(正弦状の運動において速度は振動の振幅に比例する。流管及びバランスバーに沿った異なる箇所は異なる振幅であるので、これは計算の問題になる。)バランスのとれていない流量計においてもこの法則が維持されるが、流量計のケース及び連結された配管系が流管、バランスバーのいずれかとともに振動するのでそれらの質量も加わる。流量計によって外界のものの多くが振動するとしても、振動する物質は流管とももに振動するものと、バランスバーとともに振動するものとの2つのグループに分けられる。運動量の保存はこれらの2つのグループの運動量が等しく、反対方向であることを要する。
【0010】
本発明に関する第2の法則は2体振動系の2つの部分が同じ共鳴振動数を有していなければならないことである。同じ共鳴振動数を有していないとすれば、それらは別個の振動モードをなし、同じモードの2つの部分とはならないであろう。共鳴振動数は硬さ/質量の平方根に等しい。それゆえ同じ共鳴振動数を有する2つの質量グループは質量に対する固さの比が同じでなければならない。
【0011】
コリオリ流量計において流量計全体にわたって硬さ及び質量が空間的に分布している。このような複雑な構造において、ある領域が主として質量として作用し、また他の領域が主としてばねとして作用する。この考え方を示すために第1の曲げモードで振動する単純なカンチレバー状ビームが用いられる。これは長さ方向に一様な質量分布及び一様な固さを有している。ビームの振動する端部の近くの質量は固定された端部の近くの質量より共鳴振動数に大きく影響する。かくして振動の局所的質量と局所的振幅との積である質量の作用は振動する端部の近くに集中している。同様に振動する端部の固さは共鳴振動数にほとんど影響しないが、固定された端部の固さは大きく影響する。かくして局所的ばね率kと局所的曲げモーメントとの積であるばる作用は固定された端部の近くに集中している。
【0012】
従来技術のコリオリ流量計(欧州特許公開第0759542号のような)において、流管及びバランスバーは両端が固定されていて、最大の振幅が中心にある。かくして中心における質量が最も駆動振動数に影響する。しかしながら曲げモーメントは3つの最大点を有する。流管及びバランスバーの中心及び両端で最大となる。かくして各々の振動する部材の3つの領域がばね作用にあずかる。
【0013】
バランスのとれた流量計において、物質が満たされている流管とバランスバーとは同じ共鳴振動数を有するので、同じ質量に対する固さの比を有する。従来の単管型流量計が異なる密度の物質によってバランスがとれていない時に、流管の構造をバランスバーの構造から分離する節点が流管、バランスバー、ケースからなる結合した構造の運動量保存に適合するように移動する。より密度の高い物質では節点が流管上で内方に移動して流管及びケースの質量の一部がバランスバーとともに振動する。質量の変位の結果は流管が一部の質量をバランスバーに分与するので流管の自然振動数の低下は増大した物質の密度が示すよりは少ない。またバランスバーの自然振動数が流管及びケースの一部をなす付加質量のために低下して2つの構造の共鳴振動数及び質量/固さの比が等しいままになっている。低密度の物質では、節点が反対方向に移動し、バランスバーが流管に質量を分与して共鳴振動数を等しく保つ。
【0014】
従来技術の解決策では、節点の位置の変位は主として一方の部材及びケースから他方の部材に質量を移す。問題はケースの質量が関わることと、その振動の振幅が知られていない装着部の硬さの関数となることである。ケースの振動の振幅が知られていないので、流量計の感度の変化も知られていない。不釣り合いによる節点の変位はまた一方の「ばね」をより長く、他方の「ばね」をより短くすることによって2つの部材のばね率を変化させる。しかし各々の部材の「ばね作用」は構造全体に広がっているので、節点の変位の距離は「ばね」の長さに比較して非常に小さく、ばね率の変化は非常に小さい。
【0015】
本発明において、各々の部材の最大の曲げモーメントは構造全体に分布するのでなく端側の節点の近くに集中している。この集中は共鳴振動数を決定する際に局所的な硬さを非常に重要なものにする。かくして節点の位置の変位は有効ばね長さを、その一方をより短く、従ってより硬く、また他方をより長くかつより柔らかくする(ばねの硬さはばねの長さに反比例する)ことによって大きく変化させる。本発明において物質の密度による節点の変位は流管及びバランスバーの共鳴振動数を等しく保持するようにばね率を変化させる。共鳴振動数が等しいので、流管及びバランスバーの振動の振幅は運動量を保存するように自動的に調整がなされる。この手段によってそれほど大きな質量を移したり流量計のケースに関わることなく流量計のバランスが維持される。
【0016】
本発明によれば、ばね作用が受けバーに集中していて、流管及びバランスバーから実質的に除去されている。構造のばねとしての重要性はそれが屈撓した状態で蓄積するばねエネルギーの量によって決定される。ある領域がごくわずかのばねエネルギーを蓄積するにすぎないとすれば、系の振動数にはごくわずかの作用を与えるだけである。ばねエネルギーの式
【0017】
【数1】
E = 1/2kx2
はばねエネルギーが硬さkを非常に小さくすることによって小さくすることができることを示す。これがなされれば、構造は非常に柔らかいばねヒンジないしギャップがあるように振る舞う。ある領域でばねの撓みxを非常に小さくすることによってばねのエネルギーはまた非常に小さくできる。これは荷重を局所的に減少させるか、あるいはばねの硬さkを荷重が部材を屈撓させない程度に大きくすることによってなされる。これがなされると、構造は固さの大きい位置で剛性のリンクになっているように振る舞う。これらの両方の手法が流管及びバランスバーから流量計のばね作用を取り除くために用いられる。バランスバー及び流管は系の動作には依然として重要であるが、ただ質量要素としてだけである。
【0018】
本発明の1つの好ましい実質例によれば、流管の中間部分を取り除き可撓性のベローズで置き換えることによって流管はばね作用が除去される。ベローズは非常に小さいばね率なので屈撓が大きいにもかかわらずごくわずかのエネルギーを蓄積するにすぎない。流管はこの柔らかい中間部分のために端側がベローズで緩く連結された2本の剛性のカンチレバービームのように屈撓できる。流管の動的部分の曲げ動作がベローズによって効果的に除去されて、ベローズの各側の流管部分がごくわずかの変形を受けるにすぎない(比較的直線状のままである)。かくしてばねの変形及びばねのエネルギー蓄積の大部分が流管の動的部分から除去される。流管は連続的でなければならず、受けバーの位置で途切れることはできないので、流管の剛性のカンチレバービーム部分が屈撓する際に流管の端部(受けバーの外側でケース端部の内側)が屈曲する。これらの流管部分(以下管スタブという)は屈曲する際にばねエネルギーを蓄積する。本発明の最適な実施例おいて、ばねエネルギーの実質的に全てが受けバーに包含されている。それによって中心の流管のベローズと同じようにしてばねエネルギーを消去するベローズを管スタブに用いることによって管スタブからばねエネルギーが除去される。本発明の流管のばね作用全体は3つのペローズによって受けバーに存在することになる。
【0019】
本発明のバランスバーはまた中心で非常に可撓性が大きくなっているのでばね作用が除去される。流管と同様にバランスバーの他の部分は固くなっている。バランスバーはその端側の受けバーを超えて延びることはなく、それゆえ端側のペローズは必要でない。中心の柔らかい部分と他の硬い部分との組合せによりバランスバーは流量計のばね作用が効果的に除去される。流管及びバランスバーが流量計のばね作用を除去される結果はばね作用がほとんど受けバーだけに集中することとなる。
【0020】
流量計のばね作用が受けバーに集中することは受けバーが比較的短い長さになり効果的に短いばねを形成するので有利である。本発明の流量計はバランスがとれていて流管のばねとバランスバーのばねとを動的に分離する端側の節点が受けバーにあることになる。かくして各々の端側の節点は流管に作用する有効ばねの短い部分とバランスバーに作用する有効ばねの短い部分とを分離する。物質の密度の変化により節点の位置にわずかな変位が生ずるが、これにより(ばねが非常に短いので)一方のばねがさらにかなり短く、固くなり、他方のばねがさらにより長く、柔らかくなる。運動量保存則は節点の位置が質量の増大する部材に向かって移動する。より密度の大きい物質の場合節点は流管に向かって移動し、より密度の小さい物質の場合バランスバーに向かって移動する。その結果はより密度の大きい物質の場合流管のばね(受けバーの位置にある)がより固くなり、バランスバーのばね(やはり受けバーの位置にある)より柔らかくなる。この変化は2つの部材を等しい共鳴振動数に維持するように作用する。逆により密度の小さい物質の場合、節点がバランスバーに向かって移動し、流管のばねがより柔らかく受けバーのばねがより固くなり、等しい共鳴振動数が維持される。
【0021】
流管とバランスバーとが等しい共鳴振動数を有する時に、それらは相互に対して同調した動的バランス体であるように作用する。このためそれらはケースあるいは配管系の大きな振動を生ぜしめることなく運動量が保存されるように相対的な振動の振幅を調整する。振動する部材の質量でなくばね率を変化させることによりバランスが維持される。これはケース及び配管系の振動の減小によって装着部の固くとともに流量計の感度が変化するのを減少させるという点において従来技術に対して大きな利点を有する。
【0022】
以前は従来技術の流量計において物質の密度に応じた節点の変位は質量の分布の大きな変化とともにばね率のわずかな(考慮を要しない程度の)変化を生ぜしめると言われていた。その理由は、従来技術の流量計のバランスバーはピックオフ及び駆動マグネットが突抜ける孔を有していないか(米国特許第5365794号)、あるいは非常に小さい孔を有している(欧州特許公開第1306号)流管であることである。バランスバーの形状はその全長にわたってほぼ一定の曲げ固さを有している。さらに駆動モードにおける曲げモーメントは各端部に1つずつと中心に1つの3つの最大点を有している。一様な固さとバランスバーの中心における曲げモーメントの最大点とはバランスバーのばねエネルギーの大部分がこの領域に蓄積されていることを意味する。バランスバーの中心の位置は端側節点から十分に離れているので、流体の密度の変化による節点の移動はバランスバーの中心におけるばね作用に影響を与えない。節点の移動は受けバーの近くでのばね作用に実際に影響を与え、一方の部材をわずかにより柔らかく、他方の部材をわずかにより固くするが、その変化はバランスバーのばね率に大きな作用を与えるのに十分ではない。大きなばね率の変化がないので、従来技術の流量計は節点が受けバーを離れてバランスバーにまで(密度の低い流体の場合)、あるいは流管にまで(密度の高い流体の場合)移動する。いずれにしてもケースが運動量の保存のために流管またはバランスバーと位相を合わせて振動する。
【0023】
逆に本発明はばね率の大きな変動とともに質量分布のわずかな変動を生ぜしめる。流量計の質量が関わるのを最少にしておくために2つの設計上の特徴が必要である。1つは流量計のばねが端側の節点の近くに集中することである。もう1つは流管/バランスバーの動的系のケース(ケースが用いられない場合外界)との連結部が振動の振幅のない箇所になければならないことである。動的系において振動の振幅がない唯一の領域はもちろん端側節部である。端側節部は受けバー内にあり、物質の密度ともに位置を変位させる。それゆえ動的系をケースに連結する構造(以下ケース連結リンクという)の設計がケースの振動の振幅を0近くに維持するのに重要になる。
【0024】
本発明のケース連結リンクの特定の設計はバランスバーの設計に応じたものである。バランスバーの1つの好ましい実施例は流管がバランスバーの中空の中心部を通って延びるように流管と同心状のバランスバーを有するものである。そのとき受けバーは流管の外径からバランスバーの内系まで延びる円形リングの形となる。受けバー(リング)は流量計の動的構造に所望の共鳴振動数を与えるのに適切な固さを有するように限定された軸方向の長さになっている。受けバーはバランスバーの端部の位置にある。
【0025】
この最適の形状が与えられて、各々の受けバーの変形の特性が決定される。流量計はその各端部における節点の位置が受けバー内にあるようにバランスがとられる。受けバー(リング)の内面は流管とともに移動し、外面はバランスバーとともに移動する。それゆえ各々の節点は受けバーの外面と内面との間の円筒面からなる。節点の面の外側で受けバーの材料はバランスバーと位相を合わせて振動し、節点の面からの距離とともに振動の振幅を増大させる。節点の面の内側で受けバーの材料は流管と位相を合わせて振動し、やはり節点の面からの距離とともに増大する振幅を有する。かくして受けバーの材料はあたかも捩ればねのように剪断撓みが見られる。節面はバランスバーの有効ばねと流管の有効ばねとを分離する。物質の密度の変化のために流管とバランスバーとの間の振幅の比が変化すると、円筒形の節面が内方または外方に移動して直径を変化させる。これにより「ばね」の相対的長さが変化し、流管の質量の変化にかかわらず2つの動作部材の自然振動数の均等性が維持される。節点の変位とともに生ずる流管とバランスバーとの間の質量転移はそれほど大きくなく、ケースの質量を考える必要はない。
【0026】
ケース連結リンクはケースの振動を生ぜしめることなくケース内で流量計の動的構造を支持しなければならない。バランスバー及び流管の端部は受けバーに生ずる大部分の屈撓に対して剛性に振る舞う。それらは共通の回動軸を中心として各々の端部において回動する。回動軸においてバランスバーの並進移動はないが、回転振動がある。好ましい実施例において、ケース連結リンクは回動軸においてバランスバーの端部の外側に取り付けられている。それらを振動方向の並進移動に対して硬くなるようにすることにより、ケースに振動を与えずに動的構造を支持できる。ケース連結リンクを捩れに柔らかくすることにより、受けバーの外側のばねエネルギーが避けられる。好ましい実質例において、ケース連結リンクはバランスバーの外側とケースの内側との間で回動軸に沿って延びる平坦な蝶形の構造である。各々のバランスバーの端部の各側に1つずつ、4つある。リンクの平坦な面は流管の軸に垂直に向いている。この形状は動的構造とケースとの間の連結部を流管/バランスバーの振動の方向に剛性であるようにする。バランスバーとケースとの間のほぼ中間に生ずる蝶形形状の「くびれ部」はバランスバーとケースとの間の連結部を捩れに柔らかくなるようにし、リンク部における捩ればねエネルギーを減少させる。
【0027】
欧州特許公開第759542号は
相互に実質的に平行に向いたばね作用と質量作用とを有する流管(104)及びばね作用と質量作用とを有するバランスバー(1101)と、
該バランスバーの端部を該流管に連結する受けバー手段(1001)と、
基準質量(1401)と、
該基準質量を上記受けバー手段に連結するための手段(1701)と、
上記受けバー手段(1001)、バランスバー(1101)あるいは流管(104)の1つに振動の節点を形成するように作用し、該振動の節点が上記流管のばね作用と上記バランスバーのばね作用とを分離するように作用するようにした、上記バランスバー及び上記流管を横方向に相互に位相を外して振動させるための駆動手段(D)と、
からなるコリオリ流量計を開示している。
【0028】
要するに本発明は質量分布でなく相対的ばね率を変えることによって物質の密度の変化にかかわらず動的バランスを維持する。本発明は端側の節点の近くにばね構造を集中することによってこれを行っている。動的構造は流管/バランスバーの回動軸に沿ってリンクによりケースに支持されている。これらのリンクは振動方向の並進移動には剛性であるが、捩れには柔らかい。
【0029】
本発明の1つの特徴は改善された動的バランスを有するコリオリ流量計であって、
相互に実質的に平行に向いたばね作用と質量作用とを有する流管(104)及びばね作用と質量作用とを有するバランスバー(1101)と、
該バランスバーの端部を該流管に連結する受けバー手段(1001)と、
ケース(1401)と、
該ケースを上記受けバー手段に連結するためのケース連結リンク手段(1701)と、
上記受けバー手段(1001)、バランスバー(1101)あるいは流管(104)の1つに振動の節点を形成するように作用し、該振動の節点が上記流管のばね作用と上記バランスバーのばね作用とを分離するように作用するようにした、上記バランスバー及び上記流管を横方向に相互に位相を外して振動させるための駆動手段(D)と、
からなり、
上記バランスバーの縦方向の可撓性中間部分(1002)が上記バランスバーの他の部分に比較して可撓性が増大しており、
上記バランスバーの可撓性の中間部分が上記バランスバーのばね作用を上記振動の節点の近くに集中させ、
上記バランスバーのばね作用が上記振動の節点の近くに集中することにより異なる時間に上記流管に異なる密度の流体があることに応じて上記バランスバーのばね作用が変化し、
異なる時間に異なる密度の物質が上記流管を通る時に上記バランスバーのばね作用の変化がコリオリ流量計の改善された動的バランスを維持する
ようにしたことを特徴とするコリオリ流量計を含む。
【0030】
他の特徴は、上記バランスバーの可撓性の中間部分が上記バランスバーの切り取られた部分(2402)を有するものである。
【0031】
さらに他の特徴は、上記コリオリ流量計が
上記流管の縦方向の可撓性の中間部分(1003)が上記流管の他の部分に比較して可撓性が増大しており、
上記流管の可撓性の中間部分が上記流管のばね作用を上記振動の節点の近くに集中させ、
上記流管のばね作用の集中により異なる時間に上記流管に異なる密度の物質が存在することに応じて上記流管のばね作用が変化し、
上記流管のばね作用の変化がさらに異なる時間に異なる密度の物質が上記流管を通る時にコリオリ流量計の改善された動的バランスを維持する
ようにしたものである。
【0032】
さらに他の特徴は、上記流管の可撓性の中間部分がベローズ(1003)を含むようにしたものである。
【0033】
さらに他の特徴は、上記ケース(1401)が上記バランスバー(1101)、流管(104)及び受けバー手段(100)を取り囲み、
上記ケースが上記バランスバー及び流管に実質的に平行な縦方向の軸を有し、
上記ケース連結リンク手段が上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するため上記受けバー手段を上記ケースに連結する
ようにしたものである。
【0034】
さらに他の特徴は、上記ケース連結リンク手段(1701)が各々上記バランスバーの縦方向の軸に実質的に垂直に向いていて上記ケースに対する上記受けバー手段の回転を可能にするが上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止する形状になっている実質的に平坦な面を有する第1及び第2のケース連結リンクからなり、
上記受けバー手段の回転が上記バランスバー及び流管の縦方向の軸に垂直で上記受けバー手段から上記ケースまで延びる軸を中心としたものである
ようにしたものである。
【0035】
さらに他の特徴は、各々の上記第1及び第2のケース連結リンクの上記実質的に平坦な面が第1の端部(1704)、幅の狭い中間部分(1702)及び第2の端部(1703)をなすように実質的に砂時計の形状になっているものである。
【0036】
さらに他の特徴は、各々の上記第1及び第2のケース連結リンクの第1の端部(1704)が上記受けバー手段に連結され、上記第2の端部が上記ケースの内側壁部に連結され、
各々のケース連結リンクの上記中間部分が上記ケースに対し上記受けバー手段が回転できるように低い捩ればね率を有し、
上記中間部分が上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するのに十分な強度である
ようにしたものである。
【0037】
さらに他の特徴は、各々の上記第1及び第2のケース連結リンクが上記バランスバーと上記ケース連結リンクとの間に連結された平坦な面をなすガセット部材(2901)をさらに含み、
上記ガセット部材が上記バランスバーの縦方向の軸に実質的に平行に配置されるようにして上記バランスバーの外面に取り付けられた第1の側を有し、
上記ガセット部材が上記第1の側に実質的に垂直であって各々の上記ケース連結リンクの実質的に平坦な面に取り付けられた第2の側を有し、
上記ガセット部材が上記バランスバーの横方向の振動数を上昇させるように作用し上記横方向の振動数に垂直な方向に上記バランスバーに与えられた駆動振動数が実質的に影響を受けないようにする
ようにしたものである。
【0038】
さらに他の特徴は、上記コリオリ流量計が上記受けバー手段の近くの上記流管の端部を上記ケースの端部に連結するための流管のスタブ(1404)をさらに含むようにしたものである。
【0039】
さらに他の特徴は、上記流管のスタブが上記受けバーの近くのベローズ(2201)を含み、
該ベローズが上記受けバー手段を上記ケース端部から動的に分離するように上記流管のばね作用を低下させるように作用する
ようにしたものである。
【0040】
さらに他の特徴は、上記コリオリ流量計が上記流管が上記駆動手段によって振動する際に上記流管を通る物質の流れによって生ずる上記流管のコリオリ摂動を検出するように上記流管の近くに配置されたセンサー手段(SR、SL)をさらに含み、
該センサー手段が上記流れる物質の少なくとも1つの特性を表す出力信号を生ぜしめるように上記検出に応じて作用する
ようにしたものである。
【0041】
さらに他の特徴は、上記ケースが上記バランスバー、流管及び受けバー手段を取り囲み、
上記ケースが上記バランスバー及び流管に実施的に平行に平行な縦方向の軸を有し、
上記ケース連結リンク手段(1701)が上記バランスバー及び流管の相互に対する位相を外した振動の際に上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するように上記受けバー手段を上記ケースの内壁部分に連結し、
上記ケース連結手段が上記ケースに対して上記受けバー手段が回転できるようにするが上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止する砂時計の形状になっており、
上記受けバー手段の回転が上記バランスバー及び流管の縦方向の軸に垂直な軸を中心としたものであり、
上記バランスバーの可撓性の中間部分が上記バランスバーのばね作用を上記振動の節点の近くに集中させるための切り取られた部分(2402)を含み、
上記流管の可撓性の中間部分が上記流管のばね作用を上記振動の節点の近くに集中させるためのベローズ(1003)を含み、
上記ばね作用の集中により異なる時間に異なる密度の物質が上記流管にあることに応じて上記バランスバー及び流管のばね率が変化し、
流管のスタブ(1404)が上記受けバー手段の近くの上記流管の端部を上記ケースに連結させ、
上記流管のスタブが上記受けバーを上記ケースの端部から動的に分離するため上記流管のスタブのばね率を減少させるように上記受けバー手段の近くのベローズを含み、
上記受けバー手段が上記流管に異なる密度の物質がある際に上記受けバー手段の部分のばね率を変えることによって上記コリオリ流量計の動的バランスを維持するようにコリオリ流量計の実質的に全体のばね作用を包含し、
上記流管が上記駆動手段によって振動する際に上記流管を通る物質の流れによって生ずる上記流管のコリオリ振動を検出するため上記流管の近くにセンサー手段(SR、SL)が配置され、
該センサー手段が上記流れる物質の少なくとも1つの特性を表す出力信号を生ぜしめるため上記検出に応ずるように作用する
ようにしたものである。
【0042】
さらに他の特徴は、上記連結リンク手段が上記バランスバーの縦方向の軸に実質的に垂直に向いていて上記受けバー手段が上記ケースに対して回転できるが上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するような形状である実質的に平坦な面を有し、
上記受けバー手段の回転が上記流管の縦方向の軸に垂直で上記受けバー手段から上記ケースまで延びる軸を中心としたものであり、
上記ケース連結リンク手段の第1の端部が上記受けバー手段に連結され、上記第2の端部が上記ケースの内側壁部に連結されており、
上記ケース連結手段の中間部分が上記ケースに対して上記受けバー手段が回転できるように低い捩ればね率を有し、
該中間部分が上記ケースに対する上記受けバー手段の並進移動を防止するのに十分な強度であり、
上記ケース連結リンクが上記バランスバー手段と上記ケース連結リンク手段との間に連結された平坦な面をなすガセット部材(2901)をさらに含み、
上記ガセット部材が上記バランスバーの縦方向の軸に実質的に平行に配置されるようにして上記バランスバーの外側の面に取り付けられた第1の側を有し、
上記ガセット部材が上記第1の側に実質的に垂直で上記ケース連結リンク手段の上記実質的に平坦な面に取り付けられた第2の側を有し、
上記ガセット部材が上記バランスバーの横方向の振動数を上昇させるように作用し該横方向の振動数に垂直な方向に上記バランスバーに与えられた駆動振動数が実質的に影響を受けないようになっている
ようにしたものである。
【0043】
さらに他の特徴は、相互に実質的に平行に向いたバランスバー(1101)及び流管(104)と、流量計のケース(1401)、上記バランスバーの端部及び上記流管に連結された受けバー手段(1001)とからなるコリオリ流量計に対し、上記バランスバー、受けバー、流管のいずれか1つに上記流管のばね作用と上記バランスバーのばね作用とを分離するように作用する振動の節点を形成するように上記バランスバー及び上記流管を相互に位相を外して横方向に振動させるステップを有するコリオリ流量計の動的バランスをとる方法において、
上記バランスバーの他の部分より大きい可撓性を有する上記バランスバーの中間部分(2402)を形成することと、
上記受けバーのばね作用を上記節点の近くに集中させることとの各ステップをさらに有し、
上記ばね作用を集中させるステップが異なる時間に異なる密度の物質が上記流管にあることに応じて上記バランスバーのばね作用を変化させ、
上記ばね作用を変化させるステップが異なる時間に異なる密度の物質が上記流管にあることに応じてコリオリ流量計の改善された動的バランスを与える
ようにしたことを特徴とするコリオリ流量計の動的バランスをとる方法を含む。オリ流量計の動的バランスをとる方法を含む。
【実施例の説明】本発明は添付の図面を参照して以下の詳細な説明からよりよく理解される。
【0044】
図1は流管104の中心に配置され流れのない状況で節点箇所102及び103を生ぜしめるように動作する駆動装置Dによって振動するコリオリ流管104を示している。流管104には左側センサーSL及び右側センサーSRが取り付けられている。点線106は流管104の変位0の軸である。点線107は流管104の反対側の屈撓限界である。図2はある流れの状況の下で動作する同じ流量計を示している。
【0045】
振動流管によるコリオリ流量計において、流れる物質のコリオリ力が振動流管104の形状を変形させる。図2において要素108として大きく誇張されているこの変形は流管104に沿った異なる位置をわずかに異なる位相で振動させる。振動する流管に沿った各点は正弦波状の運動を行うが、物質が流れる間それらの点は同時に最大の変位、あるいは変位0になることはない。振動する流管の中心は流れとともに位相変化を受けることはないが、入口側端部近く位置は位相遅れの大きさが増大し、流管の出口側端部近くの位置は位相の進みの大きさが増大する。かくして最大の位相の遅れ、進みとなる点は流管の振動部分の入口側端部及び出口側端部である。これらの端部は節点、すなわち振幅0の位置によって規定される。
【0046】
端側の節点102は流管104の入口にあり、節点103は流管104の出口にある。中心101の左方の流管の部分流管104のこの部分の各点が、流管104の右側の対応する点が変位0の軸106を通過した後に変位0の軸106を通過するということで位相の遅れを有する。
【0047】
流管104の2つの位置の間の位相差が流量を決定する手段になる。流管104に沿った2つの位置に速度(あるいは変位、あるいは加速度)のセンサーSL及びSRが配置される。センサーの出力正弦波の間の時間遅れ(位相差を流管の振動数で除したもの)は流管104を通る質流流量に正比例する。センサーの出力信号の間の位相差及び時間遅れは端側節点102及び103において最も大きくなるであろう。速度センサーSL及びSRを節点102及び103の近くに配置することにより理論的には最も感度が高い流量計が形成されるであろう。しかしながら節点102及び103は振動しないのでここでは振幅が検出されない。かくして妥当な感度(位相差)とするのに十分なだけ節点102及び103から離れていて容易に検出される正弦波を生ぜしめるのに十分な振幅を有する速度センサーSL及びSRの中間的な位置が選択される。この中間的な位置は通常節点102及び103と中心に位置する駆動装置Dとのほぼ中間にある。
【0048】
固定された速度センサーSL及びSRの位置に対する端側節点102及び103の位置の変化により流れに対する流量計の感度が変化する。節点が速度センサーに向かって内方に、あるいは速度センサーから離れるように外方に移動すると、位相が遅れ、かくして流量計の感度が変化する。流管の端側節点102及び103の位置は流量計の構造形態によって決定されるが、節点の位置は流量計の不釣り合いによって変化させられる。
【0049】
図3は端側プレート301によって周囲のケース304に連結された流管104を示している。流管104は振動しており、ある振幅を有している。ケース304が静止していれば、節点は所望の節点位置102及び103にある。この時構造は動的にバランスがとれているという。しかしながら図3において、ケース304も同じ振動数で、流管104に対して180°だけ位相が外れて振動している(バランスのとれていない流管に一般的な状況)。点線106A及び304Aは屈撓していない流管及びケースの位置を示している。しかしながらプレート301における所望の節点の位置102及び103はケース振動のために実際の節点ではない。実際の節点は流管104の位置302及び304にあるが、ここではケース304に対する流管104の振動の振幅が等しく、ケースの振動の振幅と反対になっている。かくして節点302及び303における全振動振幅は0になる。図3における節点の位置302及び303は流管104と位相を外して振動するケースのため流管104においてプレート301から内方に移動していることがわかる。固定された位置のセンサーSL及びSRに対する節点の位置の変位は流れに対する流量計の感度を変化させるもので、望ましくない。
【0050】
節点102及び103を端側プレート301内の設定された点に保持するために、ケース304Aの振動を保持することが必要である。これは一種類だけの(流れる)物質の密度に関して、流管104のばね質量系を同じ共鳴振動数の他のばね質量系で釣り合わせることによって容易になされる。
【0051】
図4の単純化されたばね質量系は釣り合わせがどのように作用するかを示している。2つの質量の塊m1及びm2がばね率kを有する理想的な質量のないばねによって連結されている。質量m1及びm2が引き離されて放されると、それらは同じ共鳴振動数で相互に180°位相を外して振動する。
【0052】
運動量保存則はある方向における質量と速度の積が逆の方向における質量と速度の積に等しい、すなわちm1V1=m2V2である。振動の速度は振動振幅に比例するのでm1A1=m2A2であり、ここでA1及びA2は振動の振幅である。簡単に言えば、大きい質量m2はm1に比較して小さい振動の振幅を有していなければならない。またばねには運動が0になる節点があることになる。Nにおける節点の位置は、l1/l2=A1/A2となるようにばねを2つの長さに分ける。節点Nの位置は固定されているので、各々のばね部分は他のばね部分でなく壁に取り付けられているように振る舞う。
【0053】
ばねの節点Nのいずれかの側の)二体の振動系の2つの半片は同じ共鳴振動数を有していなければならない。共鳴振動数は(固さ/質量)の平方根に比例する。すなわち
【0054】
(式1)
【数2】

である。
【0055】
(式2)
【数3】

であるので、図4の系の2つの半片は同じ質量に対する硬さの比を有していなければならない。質量に対する硬さの比はばねの硬さ、長さ及び振動の振幅の間の関係に基づいて一定でなければならない。図4のばねは節点Nによって2つのばねk1及びk2に分けられる。ばねの固さは長さに反比例し、k1/k2=l1/l2である。l1/l1=A1/A2、m1A1=m2A2であるので、代入することにより、k1/m1=k2/m2となる。
【0056】
図4のばね質量系は従来のバランスのとれた単管型コリオリ流量系を表していれば、m1は流管104の質量を、m2はバランスバーの質量を表す。図5に示されるように、ケース304は節点Nでそれらに連結されている。節点Nは動きがないのでケース304は振動しない。図6において、流管m1におけるより大きい密度の物質を表すためにm1に付加的な質量Δmが加えられている。運動量保存則が適用されなければならないので、節点Nの位置はm1に向かって、新たな節点となる位置Ndに移動する。これはN(もはや節点ではない)において連結されたケースを、新たな節点Ndの各々の側での運動量の和が0となるような振幅でm2とともに振動させることになる。ケースは一般的にm1あるいはm2のいずれよりもずっと質量が大きいので、ケース304を運動量が保存されるのに十分な振幅で振動させるのに図6において節点がNからNdまでそれほど移動する必要はない。質量がm1に付加されるのでなく除去されるならば、節点はNから右方に移動しケース304はm2でなくm1とともに振動するであろう。
【0057】
要するに、従来技術の単管型流量計において流管104の質量(m1)の変化によりケースの質量を運動量の保存に十分な振幅でm1、m2のいずれかと位相を合わせて振動させるのに十分な節点位置の変化が生ずる。ケースの質量は大きいので、節点位置の変化は小さく、ケースの振動の振幅は小さく、物質の密度のによる流量計の感度の変化も小さい。しかしながら物質の密度による感度の変化はある用途でコリオリ流量計に必要とされる精度を低下させるのに十分なほどに大きい。ケースはバランスバー、流管及び受けバーに連結された基準質量と考えられよう。
【0058】
本発明はケースの質量をバランスをとるのに組み込むのでなく、固さk1及びk2を変えることにより従来の流管のバランスをとる方法を大いに改善する。従来の手法では、流量計の構造の有効ばねが流管、バランスバー、受けバー301のような連結構造にわたって分布する。流管104における物質の密度の変化による端側の節点102及び103の移動は有効「ばね」長さに比較して非常に小さい。かくして節点の移動は有効ばね率k1、k2の変化にはほとんど作用せず、ケースの質量を組み込まずに構造の動的バランスを得ることができない。
【0059】
(式3)
【数4】
k∩/m∩ = k1/m1
であることを想起しよう。
【0060】
従来技術において、運動量を保存する主たる手段は軽い部材とともに移動するようにケース304の質量を変位させることである。かくして
【0061】
(式4)
【数5】

である時に均等になる。
【0062】
図7に示されるように、本発明は動的にバランスがとれていないことにより節点の位置がどのように移動しても個々のぱね率k1及びk2の比較的大きい変化が生ずる。ばね率を変えることにより動的バランスが維持され、必要な質量の変位及び節点の位置の変位の長さが減少する。これによりケースの振動と物質の密度による流量計の感度の変化とが減少する。
【0063】
図8は図7のばね領域の拡大図である。これは質量Δmがm1に加えられた後に節点がどのように位置801から位置802まで短い距離だけ変位して動的バランスを回復するかを示している。これはまたこの短い距離が短いばねの長さに比較していかに重要であるかを示している。ばねk1が短く固くされてばねk2が長く柔らかくされて、従来技術のように構造全体にわたってばねが延びる場合よりも節点の変位及びケースの振動がずっと少ない状態での流量計のバランスを可能にする。従来のバランスをとる手法と本発明の手法との差は質量の1つが変化しても流量計の要素の間の共鳴振動数の均等性が維持される状況によって示される。
【0064】
式2から
【0065】
【数6】

となることを想起しよう。
【0066】
物質の密度の変化等により流量計の質量m1に質量Δmが加えられた時に、従来の方法はバランスバーの質量にケースの質量を加えることによって均等性を維持する。ケースはこの条件で振動する。
【0067】
(式5)
【数7】

この式はケースの質量がバランスをとるのに直接関係することを必要とする。
【0068】
本発明は加えられた質量Δmに応じて流量計構造のばね率k1及びk2を変えることによって質量に対する硬さの比の均等性を維持し、
【0069】
(式6)
【数8】

となる。
【0070】
この式はケースの質量を含まず、その代わりにバランスをとるためにk1及びk2の固さを変える。このケースは動的バランスを得るのに関わらないので、大きく振動することはない。
【0071】
図9は典型的な従来の流量計の流管及びバランスバーを変形した状態で示している。従来技術おいて流管104及びバランスバー901はその長さ方向に実質的に一様な硬さであり、その全長にわたって変形する。構造全体に系のばねが広がっている。この意味での「ばね」という語は加えられた力に応じて弾性的に変形するある体積の金属を表している。これは変形するとエネルギーを蓄積し、緩和すると系にエネルギーを戻す。かくして図9の全構造は大きいばねとして作用する。節点の変位は大きいばねの長さに比較して非常に小さいので、流管、バランスバーのいずれかの有効長、また有効ばね固さを変化させることはほとんどない。
【0072】
流量計の質量のバランスをとるのではなくばね率のバランスをとることを可能にする本発明の形態の詳細の1つに流管の端側節点の近くにばねを局所化することがある。図10は本発明の構造の概念的に具体化したものを示す。この構造は非常に曲がり易い流管104及びバランスバー1004の両方の中心部分1002及び1003を形成することにより流管104及びバランスバー1004の節点102及び103の近くに図10に示される流量計のばね作用を局所化する。
【0073】
これは流管104及びバランスバー1004の中心にゴムのようなより固さの小さい材料、あるいはより硬さの小さい形状を用いることによってなされる。この中心部分は流管104におけるベローズ1003とバランスバー1004におけるくびれた領域1002とからなる。これらの「柔らかい」中心領域は要素104及び1004の曲げをこの中心領域に集中させる。これらの中心領域でばね率が非常に小さいので、ばねのエネルギーは流管104がバランスバー1004に連結される領域に集中する。この領域は図10における受けバー1001である。流管104及びバランスバー1004の直線状部分は硬く自由に移動できるが、その柔らかい中心部分がこれらの固い要素から曲げモーメントを除去するので有効ばねを形成しない。バランスバー及び流管の中心領域1002及び1003が十分な可撓性であれば、硬さが小さくてばね質量系の動的関係には重要にならない。この時全体のばねkは集中していて、受けバー1001のばねと等しくなる。
【0074】
図11は流管104及びバランスバー1101(1004に対応する)を有する流量計の一方の端部における受けバー1001の断面図を示している。図12は流管104及びバランスバー1101がほぼ等しい振動の振幅を有する時に生ずる受けバーの変形を(過度に誇張して)示している。この場合節点(運動のない領域)は流管104の壁部とバランスバー1101の壁部とのほぼ中間の円筒面1104(点線)である。図13はバランスバー1101が流管104よりずっと大きい振動の振幅を有する時に生ずる変形を示している。密度の大きい物質は流管104の振動数及び振幅を低下させる傾向にある(運動量保存則を想起すること)。節点の円筒面1104は流管の減小した振幅のために流管104に非常に接近してくることがわかる。これは流管の有効ばねを短く硬くさせ、流管の共鳴振動数の低下を減少させる。同時にバランスバーの有効ばねは長くなり柔らかくなっている。これはバランスバーの共鳴振動数をまた低下させることになる。適切に設計すれば受けバー1001内のばね率の変化Δkは流管における密度の大きい物質の余分の質量のバランスをとるのに丁度十分なものになる。その時共鳴振動数は等しい分だけ低下しケースの質量にかかわらず等しいままである。これは全てケースの振動の振幅が流量計の感度を変化させるので望ましい。
【0075】
これまでバランスバー1101の振動の振幅に対する流管104の相対的な振動の振幅は密度の大きい物質では減小し、軽い物質では増大するものと仮定してきた。ばね率の変化により等しい共鳴振動数を有するバランスバー及び流管ではこの仮定は正しい。バランスバーが所望の端側の節点において流管に取り付けられた動的バランス体と見られれば、受けバー1001内の所望の節点の位置でのいかなる運動もバランスバー1101によって形成される動的バランス体にエネルギーを注入し、動的バランサーからの反力が節点の運動を抑えるようになるまで振幅を増大させることはすぐにわかる。流管104に質量が加われば、動的バランサー(バランスバー)が共鳴振動数を低下させて振動数の均等性を維持し、節点の円筒面1104の位置が停止するまで振幅を上昇させる。流管104から質量が除去されれば、動的バランサー(バランスバー)が共鳴振動数を上昇させ、振幅を正規の大きさに低下させる。
【0076】
本発明は振動する流管、バランスバー及びケース部材の間で質量を転移するのでなく相対的ばねの固さを変えることによって動的バランスを維持する。受けバー1001の固定された節点領域1104の回りに局所的にばね作用を集中させることによってこれを行うことができる。図11、12及び13は流量計が影響を受けないようにこれがどのように行われるかを示している。しかしながらこれらの図では簡単にするために図14及び15に示される複雑な要素を除外している。図14及び15はバランスバー1101、流管104及び受けバー1001を収容するケース1401の端部1405を有する流量計ケース1401を示している。流量計104及びバランスバー1101は受けバー1001によってバランスバー1101の端部において相互に連結されている。図14において、流管104の振動の振幅はバランスバー1101の振幅よりずっと大きい。図15において、バランスバー1101の振幅は流管104の振幅よりずっと大きい。これらの状況はそれぞれ軽い物質を有する流量計(図14)、密度の大きい物質(図15)を有する流量計のバランスをとることになるであろう。
【0077】
図14及び15は流管104が受けバー1001の領域においてこれに加わるトルクに応じて受けバー1001とケース端部1405との間の流管の部分1404において曲がるという点で図11、12及び13とは異なっている。このトルクは流管104及びバランスバー1101の相対的振幅の結果である。流量計は与えられた物質の密度でバランスバー1101によって受けバーに与えられるトルクが流管104によって与えられるトルクと同じ大きさで逆の向きとなるように設定できる(図16)。しかしながら物質の密度が変わると、流管104とバランスバー1101との間の振幅の比が変化し、トルクがバランスのとれていないものになる。このトルクはケース連結リンク1701(図17)と、流管の部分1404が突き抜けるケース端部1405との抵抗を受け、等しい大きさで逆向きの力F1及びF2となる。ここでケース連結リンク1701が振動の方向の転移の際に剛性でなければならない理由がわかる。ケース連結リンク1701は所望の節点の位置がF1だけ転移するように強制されることがないように力F1に抗しなければならず、全構造がバランスのとれていないものになる。ケース端部1405及びケース連結リンク1701は極端に剛性が大きいケース1401に力を転移し、ここで力が相互に打ち消し合ってケースに振動の力が生じない。ケース1401の両端を考慮すると(図19)ケース1401に加わるモーメントも打ち消し合う。
【0078】
ケース連結リンク1701は特殊な設計の基準が課せられている。これは受けバー1001の節点領域とケース1401との間の大きな相対的運動を防止するように十分剛性が大きくなければならない。同時にバランスバー1101の端部が連結リンク1701に大きなばねエネルギーを蓄積することなく自由に回転するように十分な可撓性がなければならない。ばねエネルギーがケース連結リンク1701に蓄積されるとすれば、これは節点領域の外側にあって流量計の自己バランス化能力を低下させるであろう。連結リンクの1つの好ましい形態は図17及び20に示されるように蝶形あるいは砂時計形である。幅の狭い中心部1702は捩れには可撓性があるが並進移動には可撓性がない。幅の広い端部1703及び1704は並進方向の力に抗するのに十分な硬さを与える。中心部分1702はリンクにかかる並進方向の力に伴う曲げモーメントが図21の曲げモーメンドのダイアグラムに示されるようにリンクの中心部で0になるので並進方向の力に抗するだけの幅の広さは必要でない。
【0079】
ケース連結リンク1701はまた他の設計的問題を解決するためにも用いられる。流管104及びバランスバー1101は1つの共鳴振動数で相互に反対方向に駆動される。それらは流管の軸とともに駆動平面と呼ばれる平面をなす方向に振動するように駆動される。流管及びバランスバーはまたそれらが駆動平面に垂直な方向に振動する振動モードを有する。流管、受けバー及びバランスバーの軸対称性により垂直方向の振動モードは駆動振動数に非常に近くなり易い。この狭い振動数の間隔のために測定上の問題が生じ得るが、これは避けるべきである。駆動モードと垂直モードとの振動数の間隔を増大させる1つの方法は図29及び30に示されるようにケース連結リンクとバランスバーとの間に薄い金属製のガセットを入れることである。ガセット2901はケース連結リンク1701及びバランスバー1101に取り付けられている。この方向は垂直モードに必要とされるように曲げ屈撓に対しケース連結リンクを固くする。それによりバランスバー装着部を硬くして垂直モードでの振動数を高める。ガセットは薄いのでケース連結リンクの捩れ剛性を大きく増大させたり駆動モードの振動数を上昇させたりはしない。さらに駆動方向においてケース連結リンクの並進方向での固さに作用を与えることもない。
【0080】
力F1及びF2によって流管のスタブ1404に加わるトルクはこのトルクに応じて各々の流管のスタブが曲がるというもう1つの問題を与える。受けバー1103の外側の流管のスタブ1404のこの屈撓は節点の領域から離れた流管のばね作用の重要な延長になっている。すでに論じたように、流量計のばね作用を節点の近くに集中させるのが望ましい。ばね構造のこの延長は流量計のばねのバランスを低下させる。
【0081】
流管のスタブ1404に蓄積されたばねエネルギーは図22におけるベローズ2201のようにより柔らかい材料あるいは柔らかい形状を備えることにより流管のスタブ1404のばね率を減少させることによって減少する。ベローズ2201は流管1404におけるばねのエネルギーを受けバー1001の領域にさらに集中させるように減少させる。ベローズ2201はまた流管のスタブ1404によってケース1401に加わるトルクを大幅に減少させる。ベローズ1404は受けバーの領域1001が自由に回転できるようにすることによってトルクを減少させる。自己バランスの面からは図22の形態と、ケースを除去した図23とは本発明の好ましい実質例である。
【0082】
図23は図22と同様であるがケース1401が示されていない流量計を示している。特に図23に示される流量計の構造は中心部におけるベローズ1003と流管のスタブ1404の部分におけるベローズ2201を有する流管104からなる。流管104はバランスバー1101の左右の部分相互に連結する減少した部分1002によって形成される可撓性の中心の切り取られた部分2402を有するバランスバー1101によって囲まれている。図23の構造はさらにケース連結リンク1701を含む。かくして図23の構造は動的バランスが第一の基準となる用途には好ましい。図23の構造は流管104、バランスバー1101、受けバー1001のばね構造を端側の節点に集中させるので図23の構造によって動的バランスが得られる。
【0083】
ある用途ではベローズは単管型流量計を望ましくするいくつかの特徴を無効にするであろう。ベローズは内側を清掃するのが困難である。これにより例えば流管の内面全体が清掃可能で検査を受けられるようにする必要がある食品の用途でベローズが許容されなくなる。
【0084】
連続的で一様な直径及び材料の流管104を有するのが望ましい場合、流管104の中心領域及び流管のスタブ1404の領域は曲げに柔らかくされない。バランスバー1101の中心領域1002を曲げに柔らかくし受けバー1001におけるケース連結リンク1701を用いるのがさらに有利である。図24は流管104が図23のベローズ2201及び1003がないことを除いては図23と同様である。図24の実施例は流管104の内側が滑らかで連続的でなければならない用途で最も好ましい。かくして図24の流管104は図23のペローズ2201及び1003の与える可撓性を有していない。
【0085】
図24の流量計はバランスがとれていて節点が依然として受けバー1001の領域にある。さらにバランスバー1101のばねは図23に示されるように受けバー1001において節点の近くに集中している。節点の流管104の側で流管のばねの受けバー104の部分はここでは比較的柔らかく分布したばね(屈曲する流管)と連続している。流管に付加的な質量が加わると、節点の位置は流管に向かって移動し、図13に関して前述したようにバランスバー1101のばねを柔らかくする。
【0086】
しかしながら正味の流管のばねは柔らかい流管のばねと固い受けバー1001のばねの一部が直列条になっているものである。直列状のばねは並列状の抵抗のようにばね率を付加し、柔らかいばね(あるいは小さい抵抗)が主になる。
【0087】
【数9】
k<⊃Θ=k∩k1/(k∩+k1)
かくして1780g/cm(10ポンド/インチ)のばねと直列になった17800g/cm(100ポンド/インチ)のばねは正味1640g/cm(9.1ポンド/インチ)のばね率となる。節点の移動で生ずるようにより硬いばねが 23400g/cm(130ポンド/インチ)に変化したとすると、正味の直列で1670g/cm(9.3ポンド/インチ)のばね率となるであろう。かくして固いばねの固さの30%の変化で結合したばねの固さのわずか2%の変化が生ずると考えられる。かくして正味の流管104のばね率は柔らかい流管のばねに支配され、受けバー1001のばねにおける節点の位置の変化は正味の流管104のばね率にほとんど作用しない。
【0088】
図24の流管104のばね作用が図25及び26に概念的に示されている。図25において流管104の質量はm1で表される。正味の流管のばねは柔らかい分布した流管104のばねと節点Nの左方の受けバー1001の固い部分を直列状に加えたk1によって表される。より大きいバランスバー1101の質量はm2で表され、そのばねk2は受けバー1001に集中している。バランスのとれた状態でこの構造の節点は位置2501における節点Nによって表される。図26において、重い物質が流管に導入された時等に質量Δmが流管104に加わり、節点Nを位置2601に左方に変位させることになる。この節点の変位はバランスバー1101のばねの長さ及びばね率k2に大きな変化を生ぜしめる。しかしながら流管104のばねは流管の新たな節点の位置の側における受けバーの短く固いばねと直列状に長さを変化させない流管における柔らかく分布したばねからなる。受けバー1001の要素は節点の移動によってかなり短くなるけれども、分布した流管のばねがばね率を支配し、節点の変位は流管104の全体的なばねの固さにほとんど差異を与えない。かくして図24のこの形状は物質の密度の変化とのバランスを維持することに関する妥協的なもである。バランスバー1101はそのばね率を変化させ得るが、流管104はケース1401を移動させることによって質量を変化させなければならない。その結果ケースが振動することになる。しかしながらバランスバー1101における固さの変化により必要な質量の転移が減少するのでケースの移動は従来技術の流量計よりずっと少ない。このケースの振動の減少は従来技術に比較して流量計における節点位置の変化がより少なくなり精度の改善がなされる。
【0089】
共鳴振動数の式は本発明のこの実施例(流管にベローズがない)が従来技術の流量計に比較していかにケースの振動が少なくなるかを示している。
【0090】
【数10】

この式はΔkの項において従来の手法(式4)とは異なっている。この項があることはこの式と流量計のバランスをとるためにケースの質量(振動の振幅)の関わる必要がより少なくなることを意味する。
【0091】
図27及び28は本発明の実施例であるコリオリ流量計全体の構造を示している。図27は流管104がベローズを含まない実施例からなる。図28の実施例は流管104の中心部分及び流管のスタブ1404の領域がベローズ2201及び1003ことを除いて図27と同様である。両方の実施例はケースの端部1405が要素2702によってフランジ2701に連結されているのを示し、このフランジ2701によって図27及び28の流量計が入口側端部の配管や出口側端部の物質の受け入れ部のような物質源に連結されよう。
【0092】
図27及び28の両方の実施例は流量計を通る物質の流れを示すことになる流管/バランスバーの構造のコリオリ振動を表す運動を検出するための流管の中間部分における駆動装置Dと左側のセンサーSL及びSRを含む。
【0093】
本発明は好ましい実施例に限られるものではなく、発明の思想、範囲内での変形変更に及ぶものであることがわかるであろう。かくしてここで用いられる「物質」という語はスラリー、液体、気体、それらの組合せを含む、いかなる流動性のものにも適用される。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】 コリオリ流量計の従来の直線状流管の振動特性を示す図である。
【図2】 コリオリ流量計の従来の直線状流管の振動特性を示す図である。
【図3】 コリオリ流量計の従来の直線状流管の振動特性を示す図である。
【図4】 一体化したばね/質量構造の振動特性を示す図である。
【図5】 一体化したばね/質量構造の振動特性を示す図である。
【図6】 一体化したばね/質量構造の振動特性を示す図である。
【図7】 一体化したばね/質量構造の振動特性を示す図である。
【図8】 一体化したばね/質量構造の振動特性を示す図である。
【図9】 従来技術のコリオリ流量計を示す図である。
【図10】 本発明のバランスバー及び流管のばね構造を示す図である。
【図11】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図12】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図13】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図14】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図15】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図16】 本発明の受けバー、バランスバー及び流管の構造をさらに詳細に示
す図である。
【図17】 本発明の受けバー連結リンクをさらに詳細に示す図である。
【図18】 本発明の受けバー連結リンクをさらに詳細に示す図である。
【図19】 本発明の受けバー連結リンクをさらに詳細に示す図である。
【図20】 本発明の受けバー連結リンクをさらに詳細に示す図である。
【図21】 本発明の受けバー連結リンクをさらに詳細に示す図である。
【図22】 本発明の流管延長スタブを示す図である。
【図23】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図24】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図25】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図26】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図27】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図28】 本発明の第1及び第2の可能な実施例を示す図である。
【図29】 図18-21の受けバー連結リンクの他の例を示す図である。
【図30】 図18-21の受けバー連結リンクの他の例を示す図である。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審決日 2004-03-30 
出願番号 特願2000-530762(P2000-530762)
審決分類 P 1 41・ 851- Y (G01F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 榮永 雅夫  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 瀧 廣往
西川 一
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3432799号(P3432799)
発明の名称 直管型コリオリ流量計とその流管及びバランスバーの弾性率のバランスをとる方法  
代理人 千葉 昭男  
代理人 社本 一夫  
代理人 増井 忠弐  
代理人 社本 一夫  
代理人 千葉 昭男  
代理人 増井 忠弐  

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