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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1097076
審判番号 不服2003-3428  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-12-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-03-03 
確定日 2004-05-10 
事件の表示 平成 5年特許願第127377号「情報販売システム、販売情報書込み装置およびそれらの方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年12月 6日出願公開、特開平 6-337886〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は平成5年5月28日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成15年4月2日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された
「情報販売端末装置に記憶媒体を装着し、販売契約の成立後に与えられる演算パスワードを前記情報販売端末装置に入力したときにのみ前記記憶媒体から有料情報の読出しが可能となる情報販売システムにおいて、
前記記憶媒体には複数種の暗号キーワードの中のいずれか1つを用いて暗号化した有料情報と、該暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報とを予め記憶しておき、
また、ユーザに割当てられるユーザIDおよび前記キーワード識別情報の組合せと、前記演算パスワードと、暗号解読用キーワードとの間との対応関係を予め定めておき、
前記情報販売端末装置は、
前記ユーザIDおよび前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を指示する指示手段と、
当該指示されたユーザIDおよびキーワード識別情報と入力された前記演算パスワードとから、前記対応関係に基づき暗号解読用キーワードを発生するキーワード発生手段と、
当該発生された暗号解読用キーワードを用いて前記記憶媒体の有料情報を解読する暗号解読手段と
を具え、
前記暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報は暗号化方法の種類を示し、前記暗号解読手段は前記暗号化方法の種類に対応した解読方法で前記有料情報を解読することを特徴とする情報販売システム。」
にあると認める。

2.引用例に記載の発明
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特開昭61-145642号公報(昭和61年7月3日出願公開、以下「引用例」という。)には図面と共に次の事項が記載されている。(なお、第3図の「ディスケット連続番号」は「コンピュータ番号」の誤記である。)

(1)「本発明はソフトウェアプログラムの複製および共有化を防止するソフトウェア機密保護システムに関する。」(第1ページ右欄第18行目乃至第20行目)

(2)「品質の良いソフトウェアプログラムを開発する際の時間および資本の投資は相当なものであり、著作者、著作権者または版元は、この投資を回収するには、プログラムの販売により生ずるローヤルティをあてにしなければならない。・・・これが悪用されて、認可されないコピーが不当に作成されることもある。・・・これはソフトウェアの著作者および版元にとっては収益低下の原因となる。」(第2ページ左上欄第6行目乃至同右上欄第15行目)

(3)「実施例によれば、ソフトウェアの販売業者によって販売される各々のプログラムは一意的なファイルキーで暗号化され1つのプログラムファイルとしてディスケットに書き込まれる。暗号化されたプログラムの入っているディスケットを購入するユーザはまずそのソフトウェア販売業者から秘密のパスワードを取得しなければならない。このパスワードにより、たとえばROMに記憶できるような適切に具備され初期設定された暗号機能を有する予め規定された指定のコンピュータにおいて、上記暗号化されたプログラムを復元することができる。」(第3ページ右上欄第6行目乃至第17行目)

(4)「他の実施例によれば、ユーザは予め規定された指定のコンピュータだけでなく、スマートカードにより他の異なるコンピュータでそのプログラムを使用することができる。」(第3ページ左下欄第10行目乃至第13行目)

(5)「第1の実施例に従うシステムは暗号機構101を含むパーソナルコンピュータ10を有する。ソフトウェア販売業者によって販売された各々のプログラム12は一意的なファイルキーKFで暗号化されて1つのプログラムファイルとしてディスケット上に書き込まれている。ディスケットの一般的な形式を下記の第1表に示す。」(第4ページ左下欄第17行目乃至同右下欄第2行目)

(6)「バックアップコンピュータを除いて、一般的には、暗号化されたプログラムを別のコンピュータで復元できるような付加的なパスワードの各々に対してユーザは余分な料金を支払うことになる。」(第5ページ右上欄第19行目乃至同左下欄第2行目)

(7)「各ディスケットにはユーザの見えるようにその包み等に一意的な連続番号が記入されている。第1表に示すように、この連続番号はそのディスケットのヘッダレコードにも記録される。ディスケットのヘッダレコードにはそのプログラムの番号も記録されている。この例でいうと、プログラム番号は”12”であり、連続番号すなわちディスケット連続番号は”3456”である。」(第5ページ左下欄第3行目乃至第10行目)

(8)「ユーザはディスケットを購入した後、指定された番号(たとえば800番)を使ってそのソフトウェア販売業者に電話をかける。・・・ユーザはプログラム番号、認可番号のnビット部分、ディスケット連続番号、およびコンピュータ番号をソフトウェア販売業者に供給する。」(第5ページ右下欄第21行目ないし第6ページ左上欄第8行目)

(9)「ソフトウェア販売業者は、プログラム番号、ディスケット連続番号、およびコンピュータ番号を通してキー配送センタ14に電子的なメッセージを送る。キー配送センタ14は暗号化手段26においてキーKTを使ってコンピュータ番号を暗号化して、その特定のコンピュータに一意的な暗号キーKTTRを生成する。または、記憶されたキー表からキーKTTRを取得するようにしてもよい。レジスタ28のプログラム番号およびディスケット連続番号は暗号化手段30においてキーKTTRで暗号化されてそのプログラムおよびそのコンピュータに一意的な暗号キーが生成される。第3図の例でいうと、この暗号キーはKTPG123456である。キー配送センタ14は次にその暗号キーをソフトウェア販売業者に送る。」(第6ページ左下欄第13行目乃至同右下欄第8行目)

(10)「ソフトウェア販売業者は自身のデータベースからファイルキーKFを取得する。ファイルキーKFはテーブル32に示すように起呼者の提供したプログラム番号に対応して選択される。ファイルキーKFは、暗号化手段34により、キー配送センタ14から送られてきた暗号キーKTPG123456で暗号化され、要求されたパスワードeKTPG123456(KF)が生成される。生成されたパスワードは起呼者に与えられる。パスワードの長さはたとえば、64ビットでもよいから、パスワードは起呼者にとって利用可能な他の情報から導出することはできない。パスワードはソフトウェア販売業者から取得するしかない。」(第6ページ右下欄第12行目乃至第7ページ左上欄第5行目。なお、「ソフトウェア販売業」は「ソフトウェア販売業者」の誤記である。)

(11)「初期設定プロセスの一部として、プログラムはコンピュータ10にロードされたとき、ユーザにそのパスワードを入力するよう要求する。パスワードは第1表に示すようにプログラムによってそのプログラムファイルのヘッダレコードに書き込まれる。」(第7ページ左上欄第11行目乃至第16行目)

(12) 「ソフトウェア販売業者からパスワードを取得するプロセスも、パーソナルコンピュータ10の初期設定プログラムと、ソフトウェア販売業者のコンピュータシステムに所在するパスワード配送プログラムとの間で通信セッションを開始することにより自動化することができる。この場合、ユーザは800番を呼び出してこのセッションを開始する。プログラム番号およびディスケット連続番号は、ソフトウェア販売業者によって書き込まれたディスケットのヘッダレコードのところから読み取ることができる。コンピュータ番号はシステム内に記憶することができるのでこれは自動的に供給される。・・・取得したパスワードはプログラムファイルのヘッダレコードのところへ自動的に書き込まれる。」(第7ページ左下欄第6行目乃至右下欄第2行目)

(13)「ディスケットが正当なコンピュータ10にロードされると、暗号化されたプログラムまたはその一部が解読されて、暗号機構101の中にある記憶保護されたメモリに書き込まれる。」(第7ページ右下欄第16行目乃至第19行目)

(14)「第4図では、コンピュータ10の暗号機構101はプログラムファイルのヘッダレコードから、パスワード、プログラム番号およびディスケット連続番号を読み取る。暗号化手段103において、プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したものをその特定のコンピュータ用の暗号キーKTTR5678で暗号化して、解読手段105で使用される解読キーKTPG123456を生成する。この解読キーでパスワードeKTPG123456(KF)を解読して秘密のファイルキーKFを生成する。ファイルキーKFは、そのプログラムまたはその一部を解読する際に使用する。使用されるアルゴリズムはDES(Data Encryption Standard)である。」(第8ページ左上欄第2行目乃至第16行目)

(15)「秘密のパスワードを取得するため、この場合は、ユーザはコンピュータ番号ではなくスマートカードの番号を供給する。」(第8ページ右上欄第20行目乃至同左下欄第2行目)

上記記載(1)、記載(10)、記載(11)及び記載(13)からみて、引用例には、購入したディスケットが正当なコンピュータにロードされ、ソフトウェア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)を前記正当なコンピュータに入力して前記ディスケットに記憶すると、前記ディスケットの暗号化されたプログラムが解読されてメモリに書き込まれるソフトウェア機密保護システムについて記載されている。

上記記載(5)からみて、引用例のディスケットは、プログラム番号(12)に対応して選択されたファイルキーKFで暗号化されたプログラムファイルを記憶しており、また、上記記載(10)のテーブル32と第3図からみて、ファイルキーはプログラム番号1・・・mに対応してKF1・・・KFmが用意されているのだから、ファイルキーKFは、複数のファイルキーのうちプログラム番号に対応したファイルキーを用いているといえる。記載(7)からみて、ディスケットには前記プログラム番号(12)及びディスケット連続番号(3456)が記録されている。したがって上記記載から、引用例には、ディスケットには、複数のファイルキーのうちプログラム番号(12)に対応して選択されたファイルキーKFで暗号化されたプログラムファイルと、前記プログラム番号(12)及びディスケット連続番号(3456)が記録されていることが記載されているといえる。

上記記載(9)からみて、キー配送センタ14は、コンピュータ番号を受け取り、当該コンピュータ番号と対応する暗号キーKTTRを取得し、該暗号キーKTTRでプログラム番号およびディスケット連続番号を暗号化して、プログラムおよびコンピュータに一意的な暗号キーKTPG123456を生成している。そして上記記載(9)及び上記記載(14)からコンピュータの識別子と、プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したもの(123456)と、パスワードeKTPG123456(KF)と、ファイルキーKFとの関係は以下のとおりである。
「プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したものを、コンピュータの識別子に対応したコンピュータ用の暗号キーKTTR5678で暗号化して解読キーKTPG123456を生成し、この解読キーでパスワードeKTPG123456(KF)を解読するとファイルキーKFが生成される。」

上記記載(8)からみて、ユーザはソフトウェア販売業者に電話をかけ、プログラム番号、ディスケット連続番号、コンピュータ番号を供給している。また、上記記載(8)に替えて、上記記載(12)のように、コンピュータが、ディスケットのヘッダレコードから読み取ったプログラム番号およびディスケット連続番号と、コンピュータ内に記憶したコンピュータの識別子をソフトウェア販売業者に供給することも可能である。したがって、引用例には、ディスケットから読み取ったプログラム番号およびディスケット連続番号とコンピュータの識別子をソフトウェア販売業者に供給することが記載されており、これに対応する供給手段があることも明らかである。

上記記載(14)から、暗号機構は、コンピュータの識別子に関連したコンピュータ用の暗号キーKTTR5678と、プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したもの(123456)と、パスワードeKTPG123456(KF)とから、前記関係に基づきファイルキーKFを生成し、当該生成されたファイルキーKFを使用して前記ディスケットのプログラムを解読している。なお、ファイルキーKFを生成し、プログラムを解読するには、生成、解読の各々に対応する手段を有することは明らかである。

以上から引用例には、
「購入したディスケットが正当なコンピュータにロードされ、ソフトウェア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)を前記正当なコンピュータに入力して前記ディスケットに記憶すると、前記ディスケットの暗号化されたプログラムが解読されてメモリに書き込まれるソフトウェア機密保護システムにおいて、
前記ディスケットには、複数のファイルキーのうちプログラム番号(12)に対応して選択されたファイルキーKFで暗号化されたプログラムファイルと、前記プログラム番号(12)及びディスケット連続番号(3456)が記録されており、
また、コンピュータの識別子と、プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したもの(123456)と、パスワードeKTPG123456(KF)と、ファイルキーKFとは、
プログラム番号及びディスケット連続番号を連結したものを、コンピュータの識別子に対応したコンピュータ用の暗号キーKTTR5678で暗号化して解読キーKTPG123456を生成し、この解読キーでパスワードeKTPG123456(KF)を解読するとファイルキーKFが生成される関係にあり、
前記コンピュータは、
前記コンピュータの識別子および前記ディスケットから読み取ったプログラム番号およびディスケット連続番号をソフトウェア販売業者に供給する供給手段と、
当該供給されたコンピュータの識別子と、プログラム番号およびディスケット連続番号を連結したものと、パスワードeKTPG123456(KF)とから、前記関係に基づきファイルキーKFを生成するファイルキー生成手段と、
当該生成されたファイルキーKFを使用して前記ディスケットのプログラムを解読する暗号解読手段とを具え、
前記プログラム番号(12)は、前記ファイルキーKFに対応しており、前記暗号解読手段は、前記プログラムを解読する際に前記ファイルキーKFを使用して前記プログラムを解読することを特徴とするソフトウェア機密保護システム。」(以下、「引用例に記載された発明」という。)が記載されている。

3.対比
本願発明と引用例に記載された発明を対比する。
引用例に記載された発明の「ディスケット」は、本願発明の「記憶媒体」に包摂され、引用例に記載された発明の「ロード」は、本願発明の「装着」に相当し、引用例に記載された発明の「パスワードeKTPG123456(KF)」は、コンピュータに入力すると暗号化されたプログラムが解読されるという機能からして、本願発明の「演算パスワード」に相当し、「ソフトウエア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)」と本願発明の「販売契約の成立後に与えられる演算パスワード」とは、どちらも販売のためのものであるから「販売のための演算パスワード」である点で一致し、引用例に記載された発明の「暗号化されたプログラム」は、ユーザがディスケットを購入しており、また、上記記載(6)のとおり付加的なパスワードに対しては料金を支払うのだから、本願発明の「有料情報」に相当し、引用例に記載された発明の「前記ディスケットの暗号化されたプログラムが解読されてメモリに書き込まれる」ことは、メモリに書込むには当然読出しをするから、本願発明の「前記記憶媒体から有料情報の読出しが可能となる」ことに相当する。
また、引用例に記載された発明の「ソフトウェア機密保護システム」は、上記記載(2)から明らかなように、プログラムの販売を前提に機密保護をしているのであるから、本願発明の「情報販売システム」に相当し、引用例に記載された発明の「コンピュータ」は、その機能面からみて、本願発明の「情報販売端末装置」に相当する。
したがって、引用例に記載された発明のソフトウェア機密保護システムと本願発明の情報販売システムとは、「情報販売端末に記憶媒体を装着し、販売のための演算パスワードを前記情報販売端末に入力したときに前記記憶媒体から有料情報の読出しが可能となる情報販売システム」である点で一致している。

引用例に記載された発明の「ファイルキー」は、ファイルキーKFでプログラムファイルを暗号化しているのであるから、本願発明の「暗号キーワード」に相当し、引用例に記載された発明において、「複数のファイルキー」があるということは、ファイルキーが複数種であることことと同意であり、ファイルキーを「プログラム番号(12)に対応して選択」するということはファイルキーの何れか一つを選択するという意味であるから、引用例に記載された発明の「複数のファイルキーのうちプログラム番号(12)に対応して選択されたファイルキーKFで暗号化されたプログラムファイル」は、本願発明の「複数種の暗号キーワードの中のいずれか1つを用いて暗号化した有料情報」に相当する。なお、上記のように「複数のファイルキー」を「複数種のファイルキー」と解することは、本願明細書第74段落の「10種のキーワードが“1”〜“10”の値を採るものとすると、」という記載とも整合する。また、引用例に記載された発明の「プログラム番号(12)」は、ファイルキーと対応しており、ファイルキーの種類を示しているといえるから、本願発明の「キーワード識別情報」に相当する。
したがって、引用例に記載された発明の「前記ディスケットには、複数のファイルキーのうちプログラム番号(12)に対応して選択されたファイルキーKFで暗号化されたプログラムファイルと、前記プログラム番号(12)及びディスケット連続番号(3456)が記録されて」いることは、本願発明の「前記記憶媒体には複数種の暗号キーワードの中のいずれか1つを用いて暗号化した有料情報と、該暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報とを予め記憶して」おくことに相当する。

引用例に記載された発明の「コンピュータの識別子」と本願発明の「ユーザに割り当てられるユーザID」とは、「ユーザまたはコンピュータに割当てられるID」である点で一致する。
また、引用例に記載された発明の「ファイルキーKF」は、これを使用してプログラムを解読するのであるから、本願発明の「暗号キーワード」に相当するだけではなく、「暗号解読用キーワード」にも相当する。
したがって、引用例に記載された発明と本願発明は、「ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、キーワード識別情報と、販売のための演算パスワードと、暗号解読用キーワードとの間の対応関係を予め定めて」おく点で一致する。

引用例に記載された発明の「供給手段」と、本願発明の「指示手段」は、「ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を指示または供給する手段」である点で一致する。

引用例に記載された発明の「生成」は本願発明の「発生」に相当し、引用例に記載された発明の「パスワードeKTPG123456(KF)」はディスケットに記憶されるが、入力されたものであることには相違ないので、引用例に記載された発明の「前記暗号キーKTTR5678と、当該読み取られたプログラム番号およびディスケット連続番号を連結したものと、パスワードeKTPG123456(KF)とから、前記関係に基づきファイルキーKFを生成するファイルキー生成手段」は、本願発明の「当該指示されたユーザIDおよびキーワード識別情報と入力された前記演算パスワードとから、前記対応関係に基づき暗号解読用キーワードを発生するキーワード発生手段」と、「ユーザまたはコンピュータに割当てられるID及びキーワード識別情報と入力された前記販売のための演算パスワードとから、前記対応関係に基づき暗号解読用キーワードを発生するキーワード発生手段」である点で一致する。

引用例に記載された発明の「当該生成されたファイルキーKFを使用して前記ディスケットのプログラムを解読する暗号解読手段」は、本願発明の「当該発生された暗号解読用キーワードを用いて前記記憶媒体の有料情報を解読する暗号解読手段」に相当する。

引用例に記載された発明の「前記プログラム番号(12)は、前記ファイルキーKFに対応して」いるということは、プログラム番号が、ファイルキーの種類を示すことと同意であることは前述と同様である。さらに、「あるファイルキーKFで暗号化する」という暗号化方法の観点から上記記載をみた場合、「あるファイルキーKF1で暗号化する」、・・・、「あるファイルキーKFmで暗号化する」という暗号化方法は各々異なる暗号化方法とみることもでき、この場合、ファイルキーKF、ひいてはプログラム番号(12)が暗号化方法の種類を示していると解される。
なお、このように、ファイルーKFが異なる場合をも暗号化方法が異なると解することは、本願明細書第74段落の「本実施例では、1種類の有料情報に対してたとえば10種の暗号用キーワードを用いて10種の暗号化した有料情報を作成する。この10種の中の1つの有料情報は配布のCD-ROM205にキーワード識別情報と共に格納されている。10種のキーワードが“1”〜“10”の値を採るものとすると、キーワード識別情報は“11”〜“20”のようにキーワードと対応付けられる。ここで2桁目の数字は有料情報の種類を示す識別番号である。1桁目の数字が暗号方法の種類を示すことになる。」という記載とも整合する。
したがって、引用例に記載された発明の「前記プログラム番号(12)は、前記ファイルキーKFに対応しており、前記暗号解読手段は、前記プログラムを解読する際に前記ファイルキーKFを使用して前記プログラムを解読する」は、本願発明の「前記暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報は暗号化方法の種類を示し、前記暗号解読手段は前記暗号化方法の種類に対応した解読方法で前記有料情報を解読する」に相当する。

したがって、本願発明と引用例に記載された発明は、
「情報販売端末に記憶媒体を装着し、販売のための演算パスワードを前記情報販売端末に入力したときに前記記憶媒体から有料情報の読出しが可能となる情報販売システムにおいて、
前記記憶媒体には複数種の暗号キーワードの中のいずれか1つを用いて暗号化した有料情報と、該暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報とを予め記憶しておき、
ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、キーワード識別情報と、販売のための演算パスワードと、暗号解読用キーワードとの間の対応関係を予め定めておき、
前記情報販売端末は、
ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を指示または供給する手段と、
当該指示または供給された、ユーザまたはコンピュータに割当てられるID及びキーワード識別情報と入力された前記演算パスワードとから、前記対応関係に基づき暗号解読用キーワードを発生するキーワード発生手段と、
当該発生された暗号解読用キーワードを用いて前記記憶媒体の有料情報を解読する暗号解読手段と
を具え、
前記暗号キーワードの種類を示すキーワード識別情報は暗号化方法の種類を示し、前記暗号解読手段は前記暗号化方法の種類に対応した解読方法で前記有料情報を解読することを特徴とする情報販売システム。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
「販売のための演算パスワード」が、本願発明では「販売契約の成立後に与えられる」のに対して、引用例に記載された発明では「ソフトウェア販売業者から与えられ」るが、どの時点で与えられるかが明らかでない点。

(相違点2)
本願発明は、販売契約の成立後に与えられる演算パスワードを「前記情報販売端末装置に入力したときにのみ」前記記憶媒体から有料情報の読出しが可能となるのに対して、引用例に記載された発明は、ソフトウェア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)を「前記正当なコンピュータに入力」すると有料情報が読み出される点。

(相違点3)
「ユーザまたはコンピュータに割当てられるID」が、本願発明は「ユーザID」であるのに対して、引用例に記載された発明は「コンピュータの識別子」である点。

(相違点4)
「ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、キーワード識別情報と、販売のための演算パスワードと、暗号解読用キーワードとの間の対応関係」が、本願発明においては、少なくとも「ユーザIDおよびキーワード識別情報の組合せ」を要件としているのに対し、引用例に記載された発明においては、当該組合せが明示されていない点。

(相違点5)
「ユーザまたはコンピュータに割当てられるIDと、前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を指示または供給する手段」が、本願発明は、「前記ユーザIDおよび前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を指示する指示手段」であるのに対し、引用例に記載された発明は、「前記コンピュータの識別子」と前記記憶媒体に記憶されたキーワード識別情報を「供給する供給手段」である点。

4.当審の判断
上記相違点について検討する。
(相違点1について)
引用例1では、上記記載(3)のように、「暗号化されたプログラムの入っているディスケットを購入するユーザは先ずそのソフトウェア販売業者から秘密のパスワードを取得」しており、また、上記記載(6)のように「暗号化されたプログラムを別のコンピュータで復元できるような付加的なパスワードの各々に対してユーザは余分な料金を支払う」ことになるが、どの時点で販売契約が成立しているのかは明らかではない。しかしながら、販売契約の成立前にパスワードを与えると、販売契約の成立していないプログラムが使用されてしまうことになり、販売業者にとって不都合であることは明らかであるから、販売契約が成立した後にパスワードを与えるのはむしろ通常と考えられる。したがって、相違点1は格別のものではない。
なお、ユーザがディスケットを購入した時点で販売契約が成立していると考えたならば、パスワードを与えるのは当然販売契約の成立後となる。

(相違点2について)
本願発明の「演算パスワードを前記情報販売端末装置に入力したときにのみ・・・読出しが可能となる」という記載は、販売契約の成立後に与えられる演算パスワード(本願明細書第70段落の正しい暗号キーワード)を入力した場合には有料情報の読出しが可能となり、それ以外のもの(本願明細書第71段落の正規なものではない演算パスワード)を入力した場合には読み出せないことを意味していると解される。
これに対し、引用例に記載された発明では、ソフトウェア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)を前記正当なコンピュータに入力した場合、暗号化されたプログラムが解読されるが、でたらめな値を入力してもプログラムは解読されないことは明らかである。
したがって引用例に記載された発明においても、上記の意味で、パスワードeKTPG123456(KF)を前記正当なコンピュータに入力した場合のみ読出しが可能となるものと解されるから、相違点2は実質的な相違ではない。
なお、引用例に記載された発明では、ソフトウェア販売業者から与えられたパスワードeKTPG123456(KF)を前記正当なコンピュータに入力して前記ディスケットに記憶すると、暗号化されたプログラムが解読される。即ち、パスワードを入力した時点でプログラムが解読されるばかりでなく、その後はパスワードがディスケットに記憶されプログラムが解読可能となる。
上記引用例に記載された発明の技術内容に即して解釈すると、本願発明の「演算パスワードを前記情報販売端末装置に入力したときにのみ・・・読出しが可能となる」という記載を、演算パスワードを入力した時点では読出しが可能であるが、演算パスワードは情報販売端末装置に記憶(保存)されることはないので、それ以外では読出しが不可能であるという意味にも解し得るが、本願明細書の記載のみからそのように解することは不自然であるし、仮に、そのように解したとしても、引用例に記載された発明においてパスワードを解読の度に入力するように変更することは格別のものではないから、相違点2が格別のものではないという判断に変わりはない。

(相違点3について)
引用例に記載された発明では、コンピュータの識別子、即ちコンピュータに割り当てられるIDを用いている。また、引用例においては、上記記載(4)および上記記載(15)のように、コンピュータ識別子に替えて、スマートカードの番号を用いることも可能である。
上記コンピュータの識別子、スマートカードの番号に替えて、購入者を特定できるという類似の性質を持つ、ユーザに割当てられるユーザIDを用いることは当業者が適宜なし得たことである。
また、本願発明のユーザIDは、実質的には、引用例のコンピュータの識別子、スマートカードの番号までも包含するものとも解される。即ち、本願発明のユーザIDは、例えば製品のシリアルナンバなどをユーザIDとして利用することまでも包含する概念である。そして、このように解することは技術常識とかけ離れたものではないし、本願明細書段落番号63の「この購入に必要なユーザ関連情報としてはCD-ROMシステムに対して予め割当てられている、シリアルナンバ(ユーザIDナンバ),代金支払に必要なクレジットナンバ,購入の意志を示す識別番号,購入したいプログラムまたはデータの識別番号およびキーワード識別情報が用意されている。」という記載とも整合する。なお、例えば一人のユーザが二台の情報販売端末を所有する場合、一人のユーザに二つのユーザIDが割当てられることとなるが、このこともまた、本願発明と矛盾するものではない。
してみると、本願発明のユーザIDは実質的には、引用例のコンピュータの識別子、スマートカードの番号までも包含するものであって、この観点からも相違点3は格別のものではない。

(相違点4について)
引用例に記載された発明では、プログラム番号(本願発明のキーワード識別情報に相当)及びディスケット連続番号を連結したものを、コンピュータの識別子(本願発明のユーザIDに対応)に対応したコンピュータ用の暗号キーKTTR5678で暗号化して解読キーKTPG123456を生成している。即ち、引用例に記載された発明では、プログラム番号およびディスケット連続番号を連結したものと、コンピュータ識別子の「組合せ」に対して、上記の暗号化をおこなっているのであるから、「組合せ」については実質的には本願発明と同様と解される。
また、コンピュータの識別子をユーザIDとすることについては、「(相違点3について)」で検討したとおり格別のものではない。
したがって、相違点4は格別のものではない。

(相違点5について)
「コンピュータの識別子」を「ユーザID」とすることは、「(相違点3について)」で述べたとおり格別のものではない。
また、引用例に記載された発明において、種々のデータを「供給」するに際して、供給すべきデータを「指示」ように構成することは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって相違点5は格別のものではない。

5.むすび
以上のとおりであるので、本願発明は、引用例に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-03-09 
結審通知日 2004-03-09 
審決日 2004-03-30 
出願番号 特願平5-127377
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 宮司 卓佳  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 村上 友幸
平井 誠
発明の名称 情報販売システム、販売情報書込み装置およびそれらの方法  
代理人 阿部 和夫  
代理人 谷 義一  
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