• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04F
管理番号 1097085
審判番号 不服2003-13524  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-08-06 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-07-16 
確定日 2004-05-06 
事件の表示 平成7年特許願第12182号「金属サイディング用役物」拒絶査定不服審判事件〔平成8年8月6日出願公開、特開平8-199785〕について次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年1月30日に出願されたものであって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成15年2月7日付け手続補正書により補正された明細書、及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】 建築物の下地材上に外壁材として施工される金属サイデイングにおける目地部、出隅部又は入り隅部等に取付けられる役物であって、前記目地部、出隅部又は入り隅部等に対応した所定形状の合成樹脂からなる基材表面に化粧板が被着一体化され、前記化粧板が、金属サイデイングの表面材に使用された金属板と同一の金属板からなり、基材の表面から側端面にかけて被着一体化されていることを特徴とする金属サイデイング用役物。」

2.引用文献
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内に頒布された実願平4-35397号(実開平5-94449号)のCD-ROM(以下、「引用文献」という。)には、次の記載がある。
「【0002】
【従来の技術】
従来から、図6に示す如く、合成樹脂でなるカバー材本体(イ)の表面に金属箔(ロ)を貼着してなる建築縁カバー材は知られている。該建築縁カバー材は、両側の壁表面材(ハ)を接続するジョイナーである。この場合、壁下地(ニ)に固定釘(ホ)によって受け部材(へ)が取り付けられ、該受け部材(へ)の表面中程に形成される係止凹溝部(ト)に、カバー材本体(イ)の裏面中程に突設される係止凸片部(チ)が挿入係止されることによって、該カバー材本体(イ)が受け部材(へ)に結合固定され、同カバー材本体(イ)の両側において、受け部材(へ)との間に両壁表面材(ハ)の側端部分が各々挟持されるものである。又、カバー材本体(イ)が合成樹脂でなっていても、その表面に金属箔(ロ)が貼着されているため、同表面に金属調の様相が現出されると共に、防火性能も向上されるものである。」
「【0007】
【実施例】
図1、図2に示す建築縁カバー材は、本考案の一実施例で、合成樹脂でなるカバー材本体1の表面に金属箔2を貼着し、該金属箔2の端縁部3をカバー材本体1の裏側へ折り返して該端縁部3を、同カバー材本体1の裏面に付設される軟質パッキン材4内に埋設固定してなるものである。
【0008】
カバー材本体1は、硬質塩化ビニル樹脂にて押出成形されたもので、その裏面の片側端付近に係止凸片部5が一体に突設されている。又、同カバー材本体1の他方の側端付近には凸段部6が一体に形成されており、該凸段部6には蟻溝7が形成されていて、該蟻溝7内に軟質パッキン材4がその基部が埋設された状態に固定されている。この場合、同蟻溝7に軟質パッキン材4が嵌合されて固定されても良いが、その際、接着剤が使用されても良く、又、該軟質パッキン材4が軟質塩化ビニル樹脂にて形成されて、硬質塩化ビニル樹脂でなるカバー材本体1と同時に一体に押出成形されても良いものである。
【0009】
金属箔2はステンレス箔であり、カバー材本体1の表面に接着剤を介して貼着固定されている。該金属箔2の片方の端縁部3は、上記軟質パッキン材4内に埋設固定されている。その際、軟質パッキン材4が嵌合固定される場合には、該軟質パッキン材4とカバー材本体1との間に同端縁部3が挟持されるものであり、又、軟質パッキン材4がカバー材本体1と一体に押出成形される場合には、該軟質パッキン材4とカバー材本体1との間にインサート成形されるものである。又、同金属箔2の他方の端縁折曲部8は、カバー材本体1の反対側の端面部分に接着剤を介して貼着固定されている。」
「【0013】
又、本考案の建築縁カバー材においては、図4に示す実施例の如きであっても良いものである。すなわち、該実施例の建築縁カバー材は、壁表面材9相互間の内隅部分に施工される壁入隅ジョイナーであり、両壁表面材9の端縁部分を覆い隠すものである。この場合、カバー材本体1が内曲がり状の断面略く字型に形成され、一方の壁下地15に固定釘12によって受け部材13が取り付けられ、該受け部材13に形成される係止凹溝部14に、カバー材本体1の裏面中程に突設される係止凸片部5が挿入係止されることによって、該カバー材本体1が受け部材13に結合固定され、同カバー材本体1の両方の裏側に、両壁表面材9の端縁部分が挟持されている。又、カバー材本体1の裏面両側に軟質パッキン材4が付設されており、金属箔2の両方の端縁部3が、両軟質パッキン材4内に各々埋設固定されている。
【0014】
又、本考案の建築縁カバー材においては、図5に示す実施例の如きであっても良いものである。すなわち、該実施例の建築縁カバー材は、壁表面材9相互間の外角部分に施工される壁出隅ジョイナーであり、両壁表面材9の端縁部分を覆い隠すものである。この場合、カバー材本体1が外曲がり状の断面略く字型に形成され、両方の壁下地15に固定釘12によって断面略く字型の取着部材16が取り付けられ、該取着部材16の中程外側に突設される係止凹溝部14に、カバー材本体1の裏面中程に突設される係止凸片部5が挿入係止されることによって、該カバー材本体1が取着部材16に結合固定され、同カバー材本体1の両方の裏側に、両壁表面材9の端縁部分が挟持されている。
【0015】
【考案の効果】
上述の如く、本考案の建築縁カバー材においては、合成樹脂でなるカバー材本体の表面に金属箔が貼着されているため、表面に金属調の様相が現出されると共に防火性能も向上されており、しかも、同金属箔の端縁部がカバー材本体の裏側へ折り返されて該端縁部が、同カバー材本体の裏面に付設される軟質パッキン材内に埋設固定されているため、該金属箔はその端縁部が強固に固定されて剥がれ難く、又、同軟質パッキン材にて防水性が確保されるものである。」
そして、図6によれば、建築縁カバー材は、建築物の壁下地ニ上の両側の壁表面材ハにおける目地部に取付けられ、金属箔ロが、カバー材本体イの表面から側端面にかけて被着一体化されていることが、当業者に明らかな事項である。
したがって、引用文献には、次の発明が記載されていると認められる。
「建築物の壁下地ニ,15上に壁表面材ハ,9における目地部、外角部分又は内隅部分等に取付けられる建築縁カバー材であって、前記目地部、外角部分又は内隅部分等に対応した所定形状の合成樹脂からなるカバー材本体イ,1表面に金属箔ロ,2が被着一体化され、前記金属箔ロ,2は、カバー材本体イ,1の表面から側端面にかけて被着一体化されている建築縁カバー材。」

3.対比・判断
本願発明1と引用文献記載の発明とを対比すると、引用文献記載の発明の「壁下地ニ,15」、「壁表面材ハ,9」、「外角部分」、「内隅部分」、「建築縁カバー材」、及び「カバー材本体イ,1」は、本願発明1の「下地材」、「外壁材」、「出隅部」、「入り隅部」、「役物」、及び「基材」に相当するから、両者は、
「建築物の下地材上に施工される外壁材における目地部、出隅部又は入り隅部等に取付けられる役物であって、前記目地部、出隅部又は入り隅部等に対応した所定形状の合成樹脂からなる基材表面に化粧材が被着一体化され、前記化粧材が、基材の表面から側端面にかけて被着一体化されている役物。」である点で一致し、次の点で相違している。
相違点:本願発明1は、外壁材が金属サイデイングであり、化粧材が金属サイデイングの表面材に使用された金属板と同一の金属板からなる化粧板であるのに対して、引用文献記載の発明は、外壁材が何であるか不明であり、化粧材が金属箔である点

上記相違点について検討する。
本願出願前、外壁材として金属サイデイングを選択し、役物として金属サイデイングの表面材に使用された金属板と同一の金属板を使用することは、本願出願人も従来技術であると自認している(段落【0003】)ように、周知慣用の技術(特開平4-1355号公報、特開平4-371631号公報等。)にすぎず、役物と外壁材との表面の色や材質を一致させて外観に違和感のないようにすることは、当業者であれば必要に応じ適宜実施できることであるから、引用文献記載の発明においても、役物を、該役物の基材表面に被着一体した金属箔と同色、同質の金属板を表面材とした金属サイデイングのジョイント部に使用することは、当業者であれば容易に想到できることにすぎず、また、本願発明1が奏する作用効果も格別のものとはいえない。

4.むすび
したがって、本願請求項1に係る発明は、上記引用文献記載の発明及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-26 
結審通知日 2004-03-02 
審決日 2004-03-15 
出願番号 特願平7-12182
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 七字 ひろみ  
特許庁審判長 山 田 忠 夫
特許庁審判官 長 島 和 子
新 井 夕起子
発明の名称 金属サイディング用役物  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ