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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63B |
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管理番号 | 1097412 |
審判番号 | 不服2001-17202 |
総通号数 | 55 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-06-23 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-09-27 |
確定日 | 2004-05-26 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第342470号「ゴルフクラブ」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 6月23日出願公開、特開平10-165547〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成8年12月5日の出願であって、その請求項1乃至請求項4に係る発明は、平成13年10月17日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項1に係る発明は次のとおりのものと認める。 「【請求項1】段付部6をもって区画されたホーゼル基部4とシャフト挿入用先端軸部5とから成るホーゼル2を、ヘッド本体1のヒール側上方に一体に突出形成したオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブに於て、上記先端軸部5の先端5aから基端5bにわたってしだいに外径が増加するテーパ状として、上記先端軸部5の段付部6側の基端外径D0を、先端外径D1よりも大に設定し、かつ、上記テーパ状の上記先端軸部5が挿入される長さ範囲にわたってシャフト3の外径を同一のストレート状に形成したことを特徴とするゴルフクラブ。」(以下、「本願発明」という。) 2.引用例等 これに対して、原審の拒絶の理由に引用した実願平2-70630号(実開平4-30560号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の事項が記載されている。 (引用例) a.「シャフトの一端にヘッドを固着して一体としたゴルフクラブにおいて、ヘッドのシャフト取付位置に当る外面には外方に向って次第に小径となる相当長さの円錐状突起がヘッドと一体に付成され、またシャフトはその一端が次第に径を増大するラッパ状開口部に形成されており、これらヘッドとシャフトは、予め前記円錐状突起をラッパ状開口部に嵌挿固定して相互に接続されていることを特徴とするゴルフクラブ。」(実用新案登録請求の範囲)。 b.「第1図に示すように、ヘッド1には・・・外方に向って次第に小径となる相当長さの円錐状突起2がヘッドと一体に付成されている。またシャフト3は、前記円錐状突起2の形状に対応する形状の部材を用いて、その一端を先端に向って次第に径が増大するラッパ状開口部4に形成され、且つ最も細い部分から他端に向けて均一に径が拡大するように形成され、このラッパ状開口部4に上記ヘッド1の円錐状突起2を嵌挿して両者は相互に接続一体化されている。なお、同図において、符号5はヘッド1の円錐状突起2基部に予め周設した切込段部、符号6は固定用ビスである。」(第3頁16行〜第4頁8行)。 3.対比・判断 上記記載a〜bからみて、引用例に記載されたゴルフクラブが、オーバーホーゼルタイプのゴルフクラブであり、ゴルフクラブヘッド本体とそのヒール側上方に一体に突出形成されたホーゼルとを備えることは自明である。 してみると、上記記載a〜bを含む明細書及び図面によると、引用例には、つぎの発明が記載されている。 「切込段部5を周設した円錐状突起2を、ヘッド1のヒール側上方に一体に突出形成したオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブにおいて、上記円錐状突起2は外方に向って次第に小径となる相当長さの円錐状突起であって、かつ、シャフト3は、その一端が先端に向って次第に径が増大するラッパ状開口部4に形成され、上記円錐状突起2が嵌挿されることを特徴とするゴルフクラブ。」(以下、「引用例発明」という。) そこで、本願発明と引用例発明を対比する。 引用例発明の「切込段部5」は、ゴルフクラブのホーゼルを、ヘッド1のヒール側のホーゼル基部とシャフト3挿入用の円錐状突起2とを区画するものであることは明らかである。 引用例発明の「円錐状突起2」は、その先端から基端にわたってしだいに外径が増加するテーパ状であり、上記円錐状突起2の切込段部5側の基端外径が、先端外径よりも大に設定されていることは明らかである。 従って、引用例発明の「切込段部5」、「円錐状突起2」は、それぞれ本願発明の「段付部6」、「先端軸部5」に相当する。 してみると、本願発明と引用例発明とは、 「段付部をもって区画されたホーゼル基部とシャフト挿入用先端軸部とから成るホーゼルを、ヘッド本体のヒール側上方に一体に突出形成したオーバーホーゼルタイプのゴルフクラブに於て、上記先端軸部の先端から基端にわたってしだいに外径が増加するテーパ状として、上記先端軸部の段付部側の基端外径D0を、先端外径D1よりも大に設定したことを特徴とするゴルフクラブ。」である点で一致し、次の点で相違する。 相違点:シャフトと先端軸部(円錐状突起)との関係について、本願発明では、テーパ状の先端軸部5が挿入される長さ範囲にわたってシャフト3の外径を同一のストレート状に形成したものであるとしているのに対して、引用例発明では、シャフト3は、その一端が先端に向って次第に径が増大するラッパ状開口部4に形成され、上記円錐状突起2が嵌挿されるものである点。 上記相違点について検討する。 本願発明では、シャフトの外径についてのみ規定し、先端軸部5が挿入される長さ範囲にわたってシャフト3の外径を同一のストレート状に形成したとしている。 そして、本願発明は、「オーバーホーゼルタイプの利点を維持しつつ、ホーゼルの強度の向上を図って耐久性に優れたゴルフクラブの提供を目的とする。」(段落【0010】参照)ものである。 しかしながら、オーバーホーゼルタイプのゴルフクラブに於て、シャフトとホーゼル部との接続部の強度向上に配慮しつつ、シャフトとホーゼル部との接続部におけるシャフトの外径を同一のストレート状に形成することは、周知(例えば、実願平3-107764号(実開平5-53672号)のCD-ROM、登録実用新案第3014593号公報等参照)である。 してみると、引用例発明において、シャフトの先端が円錐状突起に対応すべくラッパ状開口部を備えるようにする際に、シャフトの外径を同一のストレート状に保ったままとし、相違点に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到し得るものである。 (むすび) 以上のとおり、本願発明は、引用例に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-03-16 |
結審通知日 | 2004-03-23 |
審決日 | 2004-04-06 |
出願番号 | 特願平8-342470 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(A63B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 神 悦彦、小林 英司 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
清水 康司 藤井 靖子 |
発明の名称 | ゴルフクラブ |
代理人 | 中谷 武嗣 |