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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1097841
審判番号 不服2001-15102  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-10-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-08-27 
確定日 2004-06-10 
事件の表示 平成 5年特許願第 68286号「データ演算処理検索方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年10月 7日出願公開、特開平 6-282663〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明
本願は、平成5年3月26日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年7月6日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。

「データ演算処理装置を用いてデータを順次記録媒体の指定領域に記録する際、このデータの少なくとも一部を抽出して演算処理を施し、抽出したデータから特徴的内容を有する新なデータを作成して記録媒体の別領域に記録し、
その後、この特徴的内容を有する新なデータを読出して、目的のデータを検索することを特徴とするデータ演算処理検索方法。」

2.引用例に記載されている発明
これに対し、原査定の拒絶の理由に引用した、特開昭62-254278号公報(以下、「引用例」という。)には、デジタル・データ・サンプリング装置に関して、図面とともに次ぎの事項が記載されている。
(イ)本発明の一実施例によれば、手動的な介入なしに、自動的にサンプリングしたデータを抽出し、かつ圧縮する方法が得られる。生データは複数のインターバルでディジタル的にサンプリングされ、サンプリングされたこれらのデータが固定されたある期間だけ記憶される。この期間に、標本値を処理し、最大値、最小値、平均値等のような一定の特性を抽出し、抽出したこれらの抽出表示を記憶し、更新もする。次いで、いくらか長い期間、抽出表示を他のデータ・ブロックに記憶し、かつこのデータ・ブロックの抽出表示も連続的に監視して最大値、最小値等を選択し、更に高度に抽出した標本値の記録を生成する。(2頁左上欄15行〜右上欄7行)
(ロ)第1図を参照すると、この発明の一実施例としてデイジタル・データ・サンプリング装置があり、この装置はシステム・バス11を介してプログラム及びデータを記憶するメモリ12と、1台以上のデータ検出装置13とに接続された中央処理装置(CPU)10を備えている。(2頁右上欄18行〜左下欄3行)
(ハ)従って、説明するシステムは、1以上のデータ検出装置13からのデイジタル・データを周期的にサンプリングし、その標本値をメモリ12に記憶する機能を有する。メモリ12はRAMから構成されていてもよく、又はディスク・メモリを含めてもよく、必要ならばプログラム記憶用にROMを含めてもよい。(2頁左下欄末行〜右下欄6行)
(ニ)通常は、新しいデータによりメモリが満杯になると、一番古いデータが消去される。しかし、エンジンの保守の場合のように、古いデータが有用となる多くの場合がある。即ち、エンジンがオーバーヒートしているときは(a)エンジンは何時スタートしたのか、(b)何時もオーバーヒートするのか、(c)温度は除々に高くなったのか、又は急に低下したのか、(d)他の要因と相関する周期的なピークがあったか等を知ることが非常に有用である。(2頁右下欄17行〜3頁左上欄6行)
(ホ)第2図を参照すると、この発明によるデータ検出装置13のうちの一つのサンプリング・データを含むメモリ12の部分的なメモリ・マップが示されている。第1のブロック14はバルクのメモリ位置15における最新の「リアル・タイム」データを含む。中央処理装置10は、生データの標本値がデータ検出装置13から来るに従い、これらの生データの標本値を一回に一つのメモリ位置15に記憶させており、このメモリ12はプッシュ・ダウン・スタックとして機能するか、又はメモリ位置を逐次アドレス指定することによって機能している。(3頁左上欄8行〜19行)
(ヘ)サンプリング間の時間で、中央処理装置10はブロック14にこれまでに収集したデータをアクセスし、データの最大値、最小値、平均値及び標準的な偏差値について選択し、メモリ位置16に複写する。(3頁左上欄19行〜右上欄3行)
(ト)メモリ位置15が満杯になると、メモリ位置16の現在時の抽出データが第2のブロック17の第1組の位置に複写される。この動作は継続されて、ブロック14を満杯にするのに要する各期間毎に1組の抽出情報をブロック17の領域18に複写する。ブロック17から抽出データを抽出する同様の処理が中央処理装置10により実行される。即ち、メモリ位置18のデータからそれぞれ時刻印を有する最大値、最小値、平均値等が連続的に選択され、ブロック17の一定のメモリ位置19に記憶される。次いで、ブロック17の領域18が満杯になったときは、メモリ位置19の現在値がブロック20に複写される。(3頁右上欄6行〜18行)

上記摘記事項(ヘ)における「データの最大値、最小値、平均値及び標準的な偏差値について選択し」は、上記摘記事項(イ)の「標本値を処理し、最大値、最小値、平均値等のような一定の特性を抽出し」を意味し、同じく「複写」は「記憶」を意味すると認められ、上記摘記事項(ハ)の記載によれば、メモリ12はデイスク・メモリとすることができると認められるから、引用例には、
「中央処理装置10は、生データの標本値を一回に一つのデイスク・メモリのメモリ位置15に記憶し、サンプリング間の時間で、中央処理装置10はデイスク・メモリのブロック14にこれまで収集したデータをアクセスし、標本値を処理し、データの最大値、最小値、平均値等のような一定の特性を抽出し、デイスク・メモリのメモリ位置16に記憶し、前記メモリ位置15が満杯になると、前記メモリ位置16の現在時の抽出データをデイスク・メモリの第2のブロック17の第1組の位置に記憶し、この動作を継続して、前記ブロック14を満杯にするのに要する各期間毎に1組の抽出情報を前記ブロック17の領域18に記憶するデータ記憶方法。」(以下、「引用例記載発明」という。)が記載されている。

3.本願発明と引用例記載発明との対比
本願発明と引用例記載発明とを対比すると、引用例記載発明の「中央処理装置」、「記憶」及び「デイスク・メモリ」は、本願発明の「データ演算処理装置」、「記録」及び「記録媒体」にそれぞれ相当する。
また、引用例記載発明の「データの最大値、最小値、平均値等のような一定の特性」は、もとのデータの特徴的な内容を有していることは明らかであるので、本願発明の「特徴的内容を有する新たなデータ」に相当する。
さらに、引用例記載発明の「中央処理装置10は、生データの標本値を一回に一つのデイスク・メモリのメモリ位置15に記憶し、サンプリング間の時間で、・・・し、」は、本願発明の「データ演算処理装置を用いてデータを順次記録媒体の指定領域に記録する際、・・・し、」に相当し、引用例記載発明の「メモリ位置16」及び「ブロック17の領域18」は、本願発明の「記録媒体の別領域」に相当するから、本願発明の「データ演算処理装置を用いてデータを順次記録媒体の指定領域に記録する際、このデータの少なくとも一部を抽出して演算処理を施し、抽出したデータから特徴的内容を有する新なデータを作成して記録媒体の別領域に記録し、」は、引用例記載発明の「中央処理装置10は、生データの標本値を一回に一つのデイスク・メモリのメモリ位置15に記憶し、サンプリング間の時間で、中央処理装置10はデイスク・メモリのブロック14にこれまで収集したデータをアクセスし、標本値を処理し、データの最大値、最小値、平均値等のような一定の特性を抽出し、デイスク・メモリのメモリ位置16に記憶し、前記メモリ位置15が満杯になると、前記メモリ位置16の現在時の抽出データをデイスク・メモリの第2のブロック17の第1組の位置に記憶し、この動作を継続して、前記ブロック14を満杯にするのに要する各期間毎に1組の抽出情報を前記ブロック17の領域18に記憶する」を包摂する。
そして、本願発明の、「データ演算処理装置を用いてデータを順次記録媒体の指定領域に記録する際、このデータの少なくとも一部を抽出して演算処理を施し、抽出したデータから特徴的内容を有する新なデータを作成して記録媒体の別領域に記録し、」の部分は、データの記録方法であるから、両者は、
「データ演算処理装置を用いてデータを順次記録媒体の指定領域に記録する際、このデータの少なくとも一部を抽出して演算処理を施し、抽出したデータから特徴的内容を有する新なデータを作成して記録媒体の別領域に記録する記録方法。」である点で一致し、以下の点で相違する。
[相違点]
本願発明は、「新たなデータ記録」した後、「新たなデータを読み出して、目的のデータを検索する」データ演算検索方法であるのに対して、引用例記載発明では、データの記憶方法である点。

4.相違点についての当審の判断
上記相違点について検討すると、上記摘記事項(ニ)の「しかし、エンジンの保守の場合のように、古いデータが有用となる多くの場合がある。」という記載からも明らかなように、引用例記載発明において、特徴的なデータを記憶して残しておくのは、データを記憶した後で、この特徴的なデータを読み出して、目的とするデータを検索するためと認められるから、引用例記載発明において、記憶した後、目的のデータを検索し、結局、データ演算処理検索方法とすることは当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-13 
結審通知日 2004-04-16 
審決日 2004-04-27 
出願番号 特願平5-68286
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 和田 財太  
特許庁審判長 徳永 民雄
特許庁審判官 須原 宏光
久保田 健
発明の名称 データ演算処理検索方法  
代理人 佐藤 一雄  
代理人 佐藤 政光  
代理人 黒瀬 雅志  

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