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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G09G
管理番号 1097934
異議申立番号 異議2002-71920  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-11-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-08-02 
確定日 2004-03-15 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3256023号「情報処理装置」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3256023号の請求項1及び2に係る特許を維持する。 
理由 第1.手続の経緯
特許第3256023号の請求項1及び2に係る発明についての出願は、平成5年5月14日に特許出願され、平成13年11月30日に特許権の設定登録がなされ、その後、平成14年8月2日付で特許異議申立人藤田洋子より、特許異議の申立がなされ、平成15年12月4日付で取消理由通知がなされ(同月16日発送)、その指定期間内である平成16年2月6日付で、訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否について
平成16年2月6日付訂正請求において、特許権者が求めている訂正の内容は以下のとおりである。

1.訂正の要旨
a.特許請求の範囲の請求項1における5〜6行目の記載の「複数のウィンドウを含む絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」を、「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」と訂正する。
b.明細書の段落【0012】の記載(特許第3256023号公報の第2頁の第4欄第27行〜第28行)について「複数のウィンドウを含む絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」を、「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」と訂正する。
c.明細書の段落【0071】の記載(特許第3256023号公報の第7頁の第14欄第5行〜第7行)について「複数のウィンドウを含む絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」を、「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、」と訂正する。
d.明細書の段落【0016】の記載(特許第3256023号公報の第3頁の第5欄第4〜6行)について「操作者の用途に応じて背景パターンを選択することにより、必要な情報を得ることができる。」を、「操作者の用途に応じて背景パターンを選択することにより、必要な情報を得ることができる。さらに、ウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できる。」と訂正する。
e.明細書の段落【0072】の記載(特許第3256023号公報の第7頁の第14欄第17行〜第19行)について「操作者の用途に応じて背景パターンを選択し、必要な情報を得ることが可能になるので、」を、「操作者の用途に応じて背景パターンを選択し、必要な情報を得ることが可能になる。また、ウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できる。これにより、」と訂正する。

2.検討
そこで、訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について検討すると、以下のとおりである。
(1)訂正事項a.
訂正は、「絵柄」を「ウィンドウの絵柄」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。また、この点については、願書に添付された明細書の段落【0051】に記載されており、新規事項の追加に該当しない。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項b.及び訂正事項c.
訂正は、上記訂正事項a.との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、また、新規事項の追加に該当しない。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項d.及び訂正事項e.
訂正は、特許請求の範囲を訂正したことに伴い、訂正後の発明が奏する効果と整合するように【作用】【発明の効果】の欄を訂正したものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。また、この点については、願書に添付された明細書の段落【0051】に記載されており、新規事項の追加に該当しない。また、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

3.むすび
以上の通りであるから、上記訂正は特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126号第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議の申立についての判断
1.申立の理由の概要
特許異議申立人藤田洋子は、以下(1)、(2)の理由により、特許を取り消すべきと主張している。
(1)請求項1に係る発明は、甲第1号証(特開平3-12732号公報)、甲第2号証(特開平4-287094号公報)に記載された発明であって特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものである。
若しくは、請求項1に係る発明は、これら甲号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであって同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(2)請求項2に係る発明は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明することができたものであって同法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

2.本件発明
前述の2.で示したように本件明細書の訂正は認められるので、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、訂正後の明細書及び図面の記載からみて、訂正明細書の特許請求の範囲の欄に記載された下記のものである(以下「本件発明1」及び「本件発明2」という。)。



【請求項1】
複数のウィンドウを同時に表示可能な表示手段と、
上記複数のウィンドウ内に表示すべきデータを記憶するデータ記憶手段と、
複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、
複数の背景パターンの中から表示手段に表示する背景パターンを指示するパターン指示手段と、
上記パターン指示手段により指示された背景パターンを上記パターン記憶手段から読み出し、該背景パターンに含まれるウィンドウに対応するデータを前記データ記憶手段から読み出して表示手段に表示させる制御手段とを備えていることを特徴とする情報処理装置。

【請求項2】
上記パターン記憶手段に記憶された複数の背景パターンのうち、電源投入時の初期画面としての背景パターンを記憶する初期画面記憶手段を備え、
上記制御手段は、電源投入時に上記初期画面記憶手段に記憶された背景パターンにしたがって、複数のウィンドウを同時表示するように表示手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。

3.各刊行物に記載された事項
3-1.甲第1号証
特許異議申立人が証拠として提示した甲第1号証(特開平3-12732号公報、以下「刊行物1」という。)には、第1ないし4図と共に、以下の事項が記載されている。
(1)「上記の目的を達成するための本発明のマルチウインドー表示方式の構成は、
ディスプレイ装置の表示画面上に複数のウインドーを活性化して表示するマルチウインドー表示方式において、
ディスプレイ装置の表示画面上での配置を自由に設定できる1つあるいは複数の活性化されたウインドーからなるページを複数個定義し、
上記ページのうち1つを選択して当該ページを構成するウインドーを上記設定した配置のまま上記ディスプレイ装置の表示画面上に活性化して表示することを特徴とする。」(第2頁右上欄第16行ないし左下欄第7行)
(2)「本発明は、1つあるいは複数個の活性化されかつ重なりなく配置したウィンドーにより構成されるページを複数個定義し、所望のウインドーの表示を行うときには、そのウインドーが存在するページを選択することによって画面表示を行う。」(第2頁左下欄第9ないし13行)
(3)「1は図示しない他の制御ブロック等からウインドーの表示指令を受け所望の表示ウインドーを活性化するとともにその表示を制御するウインドー制御部、2はウインドー制御部1からの指示に基づいて1つあるいは複数の活性化されたウインドーからなるページを複数個定義するページ定義部、3はその定義されたページを記憶するページメモリ、4はウインドー制御部1の指令に基づき所望のウインドーが存在するページをページメモリ3より選択するページ選択部、5はページ選択部4によって選択されたページの内容をCRT等のディスプレイ6の画面に表示する画面表示部である。」(第2頁右下欄第3ないし15行)
(4)「本実施例では、ウインドーW11、W12、W13、W14を活性化し、ディスプレイ装置の表示画面上での配置を設定することによりページ1を定義し、同様にウインドーW21、W22、W23、W24を活性化し、ディスプレイ装置の表示画面上での配置を設定することによりページ2を定義する。第3図(a)は、本実施例において、ページ1を選択することによって表示画面Dに表示されるウインドー群を示している。同様に、第3図(b)は、ページ2を選択することによって表示画面Dに表示されるウインドー群を示している。」(第3頁左上欄第20行ないし右上欄第11行)
(5)「以上の説明で明らかなように、本発明のマルチウインドー表示方式によれば、ディスプレイ装置の表示画面上での配置を自由に設定できる活性化されたウインドーにより構成されるページを複数個定義し、当該ページのうちの1つを選択することによって、当該ページを構成しているウインドーを設定された配置を保持したまま、表示画面に表示することができる。」(第3頁右下欄第11ないし18行)
(6)「なお、上記実施例は、ディスプレイ装置に適用した例を示したが、CPU(電子計算機または中央処理装置)等表示機能を有する装置に適用できることは当然である。」(第3頁右下欄第2ないし5行)
(7)第3図(a)(b)には、利用者が表示画面全体を眺めたときに複数の矩形ウィンドウが上下左右にグラフィカルに配置されて表示されている様子が、2種類の構図にて示されている。

3-2.甲第2号証
特許異議申立人が証拠として提示した甲第2号証(特開平4-287094号公報、以下「刊行物2」という。)には、図1ないし図6と共に、以下の事項が記載されている。
(1)「マルチウィンドウシステムは、ディスプレイ上にウィンドウと呼ばれる矩形領域を複数個表示するものである。各ウィンドウは、それぞれ情報を表示したり、入力を受け付けることができる。」(第1欄第23ないし26行)
(2)「レイアウトを保存し、必要に応じてそのレイアウトを再現するという方式が提案されている。」(第1欄第40ないし42行)
(3)「端末11は、マルチウィンドウ表示能力を有するディスプレイと入力装置であるマウス、キーボードを有し、管理部12は、端末11へのウィンドウ表示の指示、端末11からの入力の受取、保存処理部13と再表示処理部16への情報の通知を行う。保存処理部13は、管理部12からレイアウト保存の指示を受けると、レイアウトをレイアウトテーブル14に格納し、キーボード上のファンクションキーに割当て、割当ての情報をファンクションキーテーブル15に登録する。再表示処理部16は、管理部12からファンクションキーの押下の通知を受けると、それに対応するレイアウトの再現の指示を管理部12へ出す。」(第1欄第50行ないし第2欄第11行)
(4)「既に設定したウィンドウのレイアウトを容易に再現できるマルチウィンドウシステムの表示方法を提供することを目的とする。」(第2欄第33ないし35行)
(5)「1は端末でマルチウィンドウ表示機能を有するディスプレイとマウス、キーボードを有する入力装置からなる。2は管理部で、端末1へのウィンドウ表示の指示、端末1からの入力を受取り後続機器への情報の通知を行う。3は保存処理部で管理部2からレイアウトの設定(既存のレイアウトの変更も含む)の通知を受けてから一定時間以内にそのレイアウトの変更の通知を受けない場合、その時点で端末1のディスプレイ上に表示されているウィンドウのレイアウトのデータを後述する内部記憶部4へ格納する。4は内部記憶部で保存処理部3より送られてきたレイアウトのデータを格納する。5は再表示処理部で、管理部2からの指示により、内部記憶部4から指示されたレイアウトデータを読み出し、管理部2に送りディスプレイ上に表示する。」(第3欄第21ないし34行)
(6)「図2は内部記憶部4に格納するデータの一例を示す。同図(a)はレイアウトID=1とID=2の2つのレイアウトの格納状態を示す。レイアウトID=1には3個のウィンドウがあり、これらを表わすプロセス、左上の位置と幅、高さのデータおよび各ウィンドウの状態が示されている。状態openはウィンドウの内容が表示されている(前のウィンドウに隠れている場合も含む)状態を表し、closeはウィンドウがアイコンの状態であることを表す。図(b)はレイアウトID=2のレイアウトを表示したものである。この場合ウィンドウID=1はcloseとなっており、アイコンが左上に示されている。」(第3欄第35ないし46行)
(7)「本発明はウィンドウのレイアウトの履歴を残すことにより以前のレイアウトをすばやく再現することができ、」(第4欄第34ないし36行)

4.対比、判断
本件発明1と刊行物1及び2に記載された発明とを対比すると、両刊行物に記載の発明は、本件発明1を特定する事項である「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段」を備えていない。
すなわち、刊行物1に記載された発明において、本件発明1の「パターン記憶手段」に対応する構成は「ページメモリ3」であるが、摘記事項(1)(4)の記載から明らかなとおり、「ページメモリ3」はディスプレイ装置の表示画面上での「ウインドーの配置」を記憶するものではあっても、「ウィンドウの絵柄」までをも記憶するものではない。
したがって、刊行物1には「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段」の構成は記載されておらず、また、他にこの構成を示唆する記載も認められない。
同様に、刊行物2に記載された発明において、本件発明1の「パターン記憶手段」に対応する構成は「内部記憶部4」であるが、図2及び摘記事項(6)の記載から明らかなとおり、「内部記憶部4」はウィンドウの左上の位置や幅、高さ等を記憶するに留まるものである。
したがって、刊行物2には「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段」の構成は記載されておらず、また、他にこの構成を示唆する記載も認められない。
そして、「複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段」により、本件発明1は、「背景パターンは、複数記憶されているので、操作者の用途に応じて背景パターンを選択することにより、必要な情報を得ることができる。」、および、「ウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できるようになっている。」、という、明細書に記載の効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1、刊行物2記載の発明と同一でなく、また、刊行物1、刊行物2に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。
また、本件発明2は、請求項1を引用して記載された発明であるから、本件発明2については、審究するまでもなく、刊行物1または刊行物2に記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第4.むすび
以上の通りであるから、特許異議申立の理由および証拠によっては、本件請求項1、請求項2に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1、請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
情報処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のウィンドウを同時に表示可能な表示手段と、
上記複数のウィンドウ内に表示すべきデータを記憶するデータ記憶手段と、
複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、
複数の背景パターンの中から表示手段に表示する背景パターンを指示するパターン指示手段と、
上記パターン指示手段により指示された背景パターンを上記パターン記憶手段から読み出し、該背景パターンに含まれるウィンドウに対応するデータを前記データ記憶手段から読み出して表示手段に表示させる制御手段とを備えていることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
上記パターン記憶手段に記憶された複数の背景パターンのうち、電源投入時の初期画面としての背景パターンを記憶する初期画面記憶手段を備え、
上記制御手段は、電源投入時に上記初期画面記憶手段に記憶された背景パターンにしたがって、複数のウィンドウを同時表示するように表示手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、複数のウィンドウを同時に表示できる表示手段を備えた情報処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワードプロセッサ等の情報処理装置には、文書作成機能だけでなく、統合ソフトとして例えば手書きメモ機能、スケジュール管理機能、住所録管理機能、カルク機能等を備えたものがある。これらの統合ソフトの中で、どれを実行させるかは、電源投入時等に表示される通常初期選択画面で選択できるようになっている。また、選択された機能の実行中においても、他の機能への画面の切替は行うことができるようになっている。
【0003】
また、情報処理装置には、それぞれ異なる情報を有する複数のデータウィンドウを同時表示する機能を備えたものもあり、例えば特開平3-179492号公報に開示されている表示装置では、複数のウィンドウが互いに重ね合わされて表示されているオーバーラップ状態と、表示された全てのウィンドウが一覧できるように表示された非オーバーラップ状態との間で表示状態の切替を行えるようになっている。
【0004】
また、特開平3-212721号公報に開示されているように、表示部に入力部を重ねたディスプレイを表示装置として用いたものもあり、この場合には、入力ペンを上記ディスプレイにおける所定の位置に接触させることにより、文字入力ウィンドウ、あるいは図形入力ウィンドウがそれぞれオープンされ、ディスプレイ上に表示されるようになっている。この装置では、上記文字入力ウィンドウおよび図形入力ウィンドウを、上記ディスプレイに重ね合わせて表示することも可能であり、入力ペンを各ウィンドウに接触させることにより、文字、あるいは図形の入力が行われると共に、ディスプレイ上におけるウィンドウの移動等が行われるようになっている。
【0005】
また、上記の入力ペンおよびディスプレイを用いた操作により、必要に応じてディスプレイ上に電卓ウィンドウを表示させることも可能である(特開平3-280119号公報)。
【0006】
さらに、特開平3-291695号公報には、表示装置に複数のウィンドウが重ねて表示された状態で、動作を行う該当ウィンドウを選択する場合に、表示されているウィンドウの全件リストを表示させ、このリストから動作対象となる該当ウィンドウを抽出するというシステムが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の情報処理装置では、複数のデータウィンドウを表示させて、必要な情報を得る場合、以下に示すような面倒な操作が必要であるという問題が生じている。
【0008】
すなわち、複数のデータウィンドウを同時に表示する画面において、表示されるウィンドウの種類が固定されていると、操作者が必要に応じた情報を必ずしも得ることができないので、必要な情報を有するウィンドウをその都度選択するように構成した場合には、操作者が必要とするウィンドウ1つ1つについて、各々オープンさせる操作が必要となる。特に、表示していたウィンドウを画面から消去した後、消去したウィンドウを再度表示させたい場合には、もう一度個々のウィンドウに対してオープンにするための操作が必要である。
【0009】
また、電源投入時に表示される画面は、常に、機能選択画面、あるいは情報処理装置内に文書が存在すれば文書画面に設定されているため、複数のデータウィンドウを同時に表示する画面を表示させるためには、上記機能選択画面において、複数のデータウィンドウを同時表示させる機能を選択するという操作が必要である。
【0010】
また、複数のウィンドウが同時に表示された状態で、表示された複数のウィンドウの中で特定のウィンドウに対して、例えば画面繰り等の操作を行う際、他のウィンドウが動作可能ウィンドウとなっている場合には、動作可能ウィンドウを切替えるための操作が必要である。さらに、個々のウィンドウに相当する機能を起動するには、それぞれ別個の操作を行う必要があり、操作者がそれらの操作を記憶する必要があった。
【0011】
また、画面上に電卓ウィンドウ等を他のウィンドウに重ねて表示している場合、電卓ウィンドウ以外のウィンドウに対して処理を行う場合には、一旦電卓ウィンドウをクローズする操作が必要である。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係る情報処理装置は、上記の課題を解決するために、複数のウィンドウを同時に表示可能な表示手段と、上記複数のウィンドウ内に表示すべきデータを記憶するデータ記憶手段と、複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複数記憶するパターン記憶手段と、複数の背景パターンの中から表示手段に表示する背景パターンを指示するパターン指示手段と、上記パターン指示手段により指示された背景パターンを上記パターン記憶手段から読み出し、該背景パターンに含まれるウィンドウに対応するデータを前記データ記憶手段から読み出して表示手段に表示させる制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
また、請求項2の発明に係る情報処理装置は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の情報処理装置において、上記パターン記憶手段に記憶された複数の背景パターンのうち、電源投入時の初期画面としての背景パターンを記憶する初期画面記憶手段を備え、上記制御手段は、電源投入時に上記初期画面記憶手段に記憶された背景パターンにしたがって、複数のウィンドウを同時表示するように表示手段を制御することを特徴としている。
【0014】
【0015】
【0016】
【作用】
請求項1の構成によれば、パターン指示手段により指示された背景パターンで、表示手段は複数のウィンドウを表示するように、制御手段により制御されるようになっているので、複数のウィンドウを同時に表示させる場合に、個々のウィンドウに対して表示させるための操作を行う必要がない。また、背景パターンは、複数記憶されているので、操作者の用途に応じて背景パターンを選択することにより、必要な情報を得ることができる。さらに、ウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できる。これにより、操作者の必要な画面を容易に表示することができるので、操作性の向上を図ることが可能になる。
【0017】
また、請求項2の構成によれば、初期画面記憶手段が電源投入時の初期画面としての背景パターンを記憶しているので、電源を投入すると、この初期画面記憶手段に記憶された背景パターンが表示されることとなる。したがって、例えば複数のウィンドウを同時に表示させた状態での使用頻度が高い操作者にとって、操作性を向上できる。
【0018】
【0019】
【0020】
【実施例】
本発明の一実施例について図1ないし図21に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】
本実施例に係る情報処理装置は、図2に示すように、プログラムの実行を行う制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)1と、各種データを格納する記憶手段としてのRAM(Random Access Memory)2と、制御プログラム及び固定データを格納する記憶手段としてのROM(Read Only Memory)3と、プリンタコントローラ4と、プリンタ5と、IC(Integrated Circuit)カード6と、ICカードインタフェース7と、FD(Floppy Disk)8と、FDコントローラ9と、キーボード10と、キーインタフェース11と、入力ペン12と、ペンインタフェース13と、表示装置(表示手段)14と、表示コントローラ15とを備えている。
【0022】
CPU1は、メインバスを介して上記の各部と接続されており、本情報処理装置の動作を制御する中央制御部である。表示装置14は、表示画面に入力手段としてのタブレットを重ねた構成になっており、このタブレットは、入力ペン12のペン先が接触すると、ペン先の接触位置に応じた電位の変化等を軌跡座標として発生させる構造になっている。ペンインタフェース13は、入力ペン12のペン先が接触することにより表示装置14におけるタブレット上で発生した軌跡座標を判別し、判別した軌跡座標をXY座標に変換して、対応するキーコード等を発生し、CPU1に出力するようになっている。
【0023】
キーインタフェース11は、キーボード10で押されたキーを判別し、それに対応するキーコードを発生してCPU1に出力するようになっている。CPU1は、キーボード10および入力ペン12による入力操作に基づいて、表示装置14に表示されるカーソルの移動、文字入力、編集等を実行するようになっている。
【0024】
ICカードインタフェース7は、ICカード用スロットを備えており、ICカード6内のCPUやメモリと上記CPU1との交信を中継すると共に、ICカード6におけるデータのロード/セーブを制御するようになっている。FDコントローラ9は、上記CPU1との交信によってFD8におけるデータのロード/セーブを制御するようになっている。
【0025】
ROM3は、本情報処理装置に備えられている統合ソフトの各機能を実行するためのプログラム及びデータ等や、複数のデータウィンドウを同時に表示する画面(以下、これをバーチャルデスク画面と称する)を表示する際に背景(背景パターン)となる複数の表示用ビットマップデータが格納されている。
【0026】
この表示用ビットマップデータとしては、ビジネスモード用として図3に示すような背景1および図4に示すような背景2と、ホームモード用として図5に示すような背景3および図6に示すような背景4との4種類がROM3に記憶されている。
【0027】
RAM2は、キーボード10および入力ペン12からの入力データや、CPU1の演算結果等を一時的に格納する機能を備えた随時書き込み/読み出し可能な不揮発性のメモリを使用しており、データ記憶手段を構成すると共に、また、ビジネス/ホームモードフラグ、背景種フラグ、初期画面表示フラグ、及びアクティブウィンドウ管理NO.等が配置されている。
【0028】
RAM2に配置されたビジネス/ホームモードフラグは、値が『00』であればビジネスモード、『01』であればホームモードであることを示している。また、背景種フラグは、ビジネスモードの場合には、値が『00』であれば背景1、『01』であれば背景2であることを示し、ホームモードの場合には、値が『00』であれば背景3、『01』であれば背景4であることを示している。つまり、背景1〜4のうち、どの背景を選択するかは、RAM2に配置されている上記ビジネス/ホームモードフラグおよび背景種フラグにより決定されるので、このRAM2によりパターン記憶手段が構成されると共に、パターン指示手段には、このRAM2や、フラグの変更指示を入力するためのキーボード10および入力ペン12等が含まれる。
【0029】
また、初期画面表示フラグは、値が『00』であれば通常初期選択画面表示、あるいは文書が存在すれば文書画面表示、『FFh』であればバーチャルデスク画面であることを示している。つまり、電源投入時に表示される初期画面は、上記初期画面表示フラグにより決定されるので、初期画面記憶手段は、この初期画面表示フラグが配置されているRAM2が含まれる。
【0030】
バーチャルデスク画面における動作可能なアクティブウィンドウを決定するアクティブウィンドウ管理NO.は、値が『01』であればアクションリストウィンドウ、『02』であればスケジュールウィンドウ、『03』であればカレンダーウィンドウ、『04』であれば電話帳ウィンドウ、『05』であれば手書きメモウィンドウ、『06』であれば電卓ウィンドウであることを示している。
【0031】
プリンタコントローラ4は、上記CPU1の指令に基づいてプリンタ5の印字動作を制御するようになっている。表示コントローラ15は、CPU1の指令により表示装置14の表示動作を制御するようになっている。
【0032】
上記の構成において、本情報処理装置では、電源が投入されると、まず、初期画面の選択を行う。この初期画面の選択について、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0033】
まず、RAM2に配置されている初期画面表示フラグを調べ、値が『00』か否かを判断する(S1)。初期画面表示フラグが『00』があれば、続いてRAM2内に文書メモリが存在するか否かを判断し(S2)、文書データが存在すれば、その文書データを図8に示すような文書画面として表示する(S3)。一方、S2において文書データがないと判断すると、図9に示すような通常初期選択画面を表示する(S4)。
【0034】
尚、この通常初期選択画面においては、キーボード10により所望の機能を示すアイコンにカーソルを移動させて実行キーを押すか、そのアイコンの表示位置に入力ペン12をペンダウンすることにより、各機能の選択が行われ、所望の機能の各初期画面が表示されるようになっている。
【0035】
また、S1において、初期画面表示フラグの値が『00』でないと判断すれば、すなわち、初期画面表示フラグの値が『FFh』であれば、後述するバーチャルデスク画面を表示する(S5)。
【0036】
尚、上記した電源投入時における表示状態を決定する初期画面表示フラグは、予め初期表示設定画面において操作者の必要に応じて設定されたものであり、この初期表示設定画面において、通常初期選択画面またはバーチャルデスク画面を用途に応じて設定することにより、初期画面表示フラグを変更できる。このように、初期表示をバーチャルデスク画面に設定することが可能になれば、通常初期選択画面での選択操作が不要となり、バーチャルデスク画面の使用頻度の高い操作者にとっては、操作性の向上を図ることが可能になる。
【0037】
また、図10に示すように、「手書きメモ」、「スケジュール管理」、「住所録管理」、「カード型メモ管理」、「カルク」、及び「アクションリスト」機能等の統合ソフトへの画面表示の切替は、上記通常初期選択画面からだけではなく、新規文書作成および文書呼び出しによる入力画面においても行うことができるようになっている。さらに、上記通常初期選択画面および入力画面である文書画面から、ビジネスモードおよびホームモードを備えるバーチャルデスク画面への表示の切替、また反対にバーチャルデスク画面から文書画面への表示の切替も、それぞれ行うことができると共に、バーチャルデスク画面から上記統合ソフトの各機能への表示の切替も行えるようになっている。
【0038】
次に、情報処理装置の電源投入時に初期画面表示フラグを調べることにより、バーチャルデスク画面の表示が選択された場合の表示処理について、図1のフローチャートを参照して説明する。
【0039】
まず、ビジネス/ホームモードフラグを調べ、ビジネスモードか否かを判断する(S11)。すなわち、ビジネス/ホームモードフラグの値が『00』であればビジネスモードであると判断する。ビジネスモードであれば、背景1または背景2が用いられるので、続いて背景種フラグを調べ、背景1か否かを判断する(S12)。
【0040】
ここで、背景種フラグの値が『00』であれば背景1と判断して、図3に示すような表示内容で背景1を表示する(S14)。一方、背景種フラグの値が『01』であれば、背景2と判断して、図4に示すような表示内容で背景2を表示する(S15)。これにより、背景1および背景2のいずれの場合においても、画面右上にアクションリスト、右下に手書きメモ、左上にカレンダー、左下にスケジュールにそれぞれ相当する情報を表示するためのウィンドウが配置された背景が表示される。また、アクションリストウィンドウおよび手書きメモウィンドウの右方には、バーチャルデスク画面から他の統合ソフトの画面表示に切替を行う場合や、バーチャルデスク画面上にさらにウィンドウを重ねて表示する場合等に使用される複数のアイコンが表示される。
【0041】
次いで、アクションリストウィンドウ、スケジュールウィンドウ、カレンダーウィンドウ、および手書きメモウィンドウ内に、それぞれ該当する情報を順に表示していく(S18・S19・S22・S23)ことにより、背景1を用いた場合には、図11に示すような画面が、背景2を用いた場合には、図12に示すような画面が各々表示される。
【0042】
一方、ビジネス/ホームモードフラグの値が『01』であれば、ホームモードなので、S11において、ビジネスモードではないと判断する。ホームモードであれば、背景3または背景4が用いられるので、続いて背景種フラグを調べ、背景3か否かを判断する(S13)。
【0043】
ここで、背景種フラグの値が『00』であれば、背景3と判断して図5に示すような表示内容で背景3を表示する(S16)一方、背景種フラグの値が『01』であれば、背景4と判断して、図6に示すような表示内容で背景4を表示する(S17)。これにより、背景3および背景4のいずれの場合においても、画面右上にカード型メモ、右下に手書きメモ、左上にカレンダー、左下に電話帳にそれぞれ相当する情報を表示するためのウィンドウを配置した背景が表示される。
【0044】
次いで、カード型メモウィンドウ、電話帳ウィンドウ、カレンダーウィンドウ、及び手書きメモウィンドウ内に、それぞれ該当する情報を順に表示していく(S20〜S23)ことにより、背景3を用いた場合には、図13に示すような画面が、背景4を用いた場合には、図14に示すような画面が各々表示される。
【0045】
上記のように、背景1・2は、表示する情報としては同一となるが、各情報を表示するウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できるようになっている。また、背景3・4についても、同様に、表示する情報が同一で、ウィンドウの絵柄が異なっている。
【0046】
次に、上記バーチャルデスク画面におけるモード/背景切替処理について、図15のフローチャートを参照して説明する。
【0047】
まず、ビジネス/ホームモードフラグを調べ、表示されているバーチャルデスク画面がビジネスモードか否かを判断する(S31)。ビジネス/ホームモードフラグの値が『00』であれば、ビジネスモードと判断して、図11および図12に示すように、ファンクション20の右端部に〔ホーム〕を表示する(S32)。一方、ビジネス/ホームモードフラグの値が『01』であれば、ホームモードと判断して、図13および図14に示すように、ファンクション20の右端部に〔ビジネス〕を表示する(S33)。また、ファンクション20における上記〔ホーム〕あるいは〔ビジネス〕の表示に隣接する部分には、〔背景〕を表示する。
【0048】
ファンクション20に上記の表示がそれぞれ行われると、入力ペン12により、上記ファンクション20の表示位置にペンダウンが行われるか、これらのファンクション20に対応するキーが押されるまで、キー待ちの状態となる(S34)。そして、S35において〔ホーム〕または〔ビジネス〕キーに対して入力操作が行われたことを判断すると、ビジネス/ホームモードフラグを調べ、その値が『00』か否か判断する(S36)。
【0049】
ここで、ビジネス/ホームモードフラグの値が『00』であれば、『01』に変更し(S37)、バーチャルデスク画面の表示をビジネスモードからホームモードに切替える(S39)。すなわち、背景1を用いて図11に示すような画面を表示していた場合には、背景3を用いた図13に示すような画面に、また、背景2を用いて図12に示すような画面を表示していた場合には、背景4を用いた図14に示すような画面にそれぞれ表示を切替える。
【0050】
この場合には、カレンダーウィンドウおよび手書きメモウィンドウに表示されている情報は変化しないが、スケジュールウィンドウが電話帳ウィンドウに、アクションリストウィンドウがカード型メモウィンドウにそれぞれ表示が切替わる。
【0051】
一方、ビジネス/ホームモードフラグが『01』であれば、『00』に変更し(S38)、バーチャルデスク画面の表示をホームモードからビジネスモードに切替える(S39)。すなわち、背景3を用いて図13に示すような画面を表示していた場合には、背景1を用いた図11に示すような画面に、また、背景4を用いて図14に示すような画面を表示していた場合には、背景2を用いた図12に示すような画面にそれぞれ表示を切替える。この場合には、ビジネスモードからホームモードに変更した場合とは逆の表示切替が行われる。
【0052】
また、ファンクション20に表示された〔ホーム〕または〔ビジネス〕キーではなく、〔背景〕キーに対し入力操作が行われたと判断した場合には(S35・S40)、続いて、背景種フラグを調べ、その値が『00』か否かを判断する(S41)。ここで、背景種フラグの値が『00』であれば、『01』に変更し(S42)、バーチャルデスク画面の表示を、ビジネスモードの場合には背景1(図11参照)から背景2(図12参照)に切替え、ホームモードの場合には背景3(図13参照)から背景4(図14参照)に切替える(S39)。また、背景種フラグの値が『01』であれば、『00』に変更し(S43)、バーチャルデスク画面の表示を、ビジネスモードの場合には、背景2から背景1に切替え、ホームモードの場合には、背景4から背景3に切替える(S39)。
【0053】
尚、バーチャルデスク画面における表示処理は、ビジネス/ホームモードフラグおよび背景種フラグに依存するので、最後に切替えた内容で、次回の使用時の画面表示が行われる。このように、本情報処理装置では、ビジネスモードあるいはホームモードを必要に応じて選択することによって、必要な情報を簡単な操作で表示することが可能になる。また、一旦バーチャルデスク画面を消去し、他機能の画面を表示した後で、もう一度バーチャルデスク画面を表示させる場合等においては、消去前のモードおよび背景でバーチャルデスク画面が表示されるようになっているので、操作性が向上できる。
【0054】
次に、上記のバーチャルデスク画面が表示された状態で、入力ペン12を用いて、個々のウィンドウに対してダイレクトに操作を行う場合について、図16のフローチャートを参照して説明する。
【0055】
バーチャルデスク画面が表示されると、まず、上記入力ペン12が画面に接触するペンダウン待ちの状態となる(S51)。ペンダウンが行われると、その位置がアクティブウィンドウ管理NO.で設定されているアクティブウィンドウ内か否かを判断し(S52)、アクティブウィンドウ内であれば、さらに、ペンダウンの位置がペンボタン22(図11参照)内か否かを判断する(S55)。このペンボタン22は、各ウィンドウにおいて各種動作を実行させるために表示されるものである。
【0056】
尚、アクティブウィンドウとして設定されているウィンドウでは、ウィンドウのタイトル文字を反転表示することで、アクティブウィンドウであることが識別できるようになっている。すなわち、例えば図11に示す場合には、手書きメモウィンドウ内に表示された『手書きメモ』のタイトルが反転表示され、手書きメモウィンドウがアクティブウィンドウであることを示している。
【0057】
一方、S52においてペンダウンの位置がアクティブウィンドウ内でないと判断した場合には、続いて、ペンダウンの位置がアクティブウィンドウ以外の他のウィンドウ内か否かを判断する(S53)。上記ペンダウンの位置がアクティブウィンドウ以外の他のウィンドウ内であれば、その位置に応じて、アクティブウィンドウ管理NO.を変更し(S54)、ペンダウンが行われたウィンドウをアクティブウィンドウとする。すなわち、上記のように、手書きメモウィンドウがアクティブウィンドウであれば、アクティブウィンドウ管理NO.は『05』となっているので、例えばペンダウンの位置がカレンダーウィンドウ内であれば、上記アクティブウィンドウ管理NO.を『03』に変更し、カレンダーウィンドウのタイトル文字を反転表示する。
【0058】
そして、設定されていたアクティブウィンドウ内にペンダウンされた場合と同様に、ペンダウンの位置がペンボタン22内か否かを判断する(S55)。S55において、ペンダウンの位置がペンボタン22内であると判断した場合には、ペンアップ待ちの状態となり(S56)、ペンアップされると、その位置がペンダウンの位置と同一ペンボタン22内か否かを判断する(S57)。
【0059】
ペンアップおよびペンダウンの位置が同一ペンボタン22内であった場合には、そのペンボタン22に応じたキーコードを発生し(S58)、アクティブウィンドウに対し発生したキーコードに応じて処理を行う(S59)。また、ペンアップの位置がペンダウンの位置と異なっていた場合には、キーコードは発生せずキャンセル(S60)となる。
【0060】
一方、S55においてペンダウンの位置がペンボタン22内でないと判断した場合には、ペンダウンの位置が手書きメモ描画位置か否かを判断する(S61)。ここで、ペンダウンの位置が手書きメモ描画位置、すなわち手書きメモウィンドウ内の領域であれば、S63においてペンアップが判断されるまで、描画処理(S62)を行い、入力ペン12を画面に接触させた状態で移動させたときの軌跡を表示する。
【0061】
また、S61においてペンダウンの位置が手書きメモ描画位置でないと判断した場合には、ペンダウンの位置がカーソル移動可能位置か否かを判断する(S64)。ここで、ペンダウンの位置がカーソル移動可能位置、例えばカレンダーウィンドウにおいては日付が表示されている位置、スケジュールウィンドウにおいては、スケジュールを示す情報が表示されている行等であれば、アクティブウィンドウ内でカーソル移動処理を行い(S65)、ペンアップ待ちの状態に移行する(S66)。
【0062】
また、ペンダウンの位置がカーソル移動可能位置でなければ、そのままペンアップ待ちの状態に移行する(S66)。ペンアップが行われると、次に、入力ペン12をペンダウンした状態で移動させる(ドラッグ)ことにより得られた軌跡が、画面繰り処理命令に対応する画面繰りジェスチャーに相当するものか否かを判断し(S67)、画面繰りジェスチャーと判断した場合には、アクティブウィンドウに対して画面繰り処理を実施する(S68)。例えば、図17に示すように、カレンダーウィンドウ内に、上から下に向かう線が入力ペン12のドラッグによる軌跡としてして描かれた場合には、これを画面繰りジェスチャーと判断して、カレンダーウィンドウ内の表示を前の月のカレンダーに切替える。また、反対に、下から上に向かう線がドラッグによる軌跡として描かれた場合には、カレンダー表示を次の月のカレンダーに切替える。
【0063】
また、S67において、ドラッグによる軌跡が画面繰りジャスチャーでないと判断した場合には、続いてこの軌跡が起動命令に対応する表示切替ジェスチャーか否かを判断する(S69)。上記軌跡を表示切替ジェスチャーと判断した場合には、表示切替ジェスチャーが描かれたウィンドウに対応する機能が選択されたものとして、アクティブ機能起動処理を行い(S70)、バーチャルデスク画面を消去して、起動した機能の画面表示を行う。例えば図18に示すような軌跡が入力ペン12のドラッグ操作により、アクションリストウィンドウ内に描かれると、この軌跡を表示切替ジェスチャーと判断して、アクションリスト機能を起動し、アクションリストウィンドウ内に表示されているリストを画面全体に表示する。これにより、アクションリストに表示するデータの登録等を行うことが可能になる。
【0064】
このように、入力ペン12を用いて、描いた軌跡に対応する動作命令を入力するだけで、アクティブウィンドウの切替操作を行うことなく、上記アクティブウィンドウ管理NO.が自動的に変更され、かつ入力された動作命令に応じた処理が実行される。また、個々のウィンドウ毎に、別個の操作を操作者が記憶する必要がないので、操作性の向上を図ることが可能になる。
【0065】
また、図11に示すビジネスモードのバーチャルデスク画面において、電話帳のアイコン23にペンダウンが行われると、図19に示すように、電話帳ウィンドウがバーチャルデスク画面上に重ねて表示される。この操作により、アクティブウィンドウ管理NO.が『04』に変更され、電話帳ウィンドウがアクティブウィンドウとなる。そして、電話帳ウィンドウ内のペンボタンで五十音行を選択することにより、リストの表示の切替が可能となる。
【0066】
また、同様にして、図11に示すバーチャルデスク画面において、電卓のアイコン24にペンダウンが行われると、図20に示すように、電卓ウィンドウがバーチャルデスク画面上に重ねて表示される。この操作により、アクティブウィンドウ管理NO.が『06』に変更され、電卓ウィンドウがアクティブウィンドウとなる。この状態では、電卓ウィンドウ内に表示されているテンキーや、四則演算用の記号等を用いて所望の計算を行うことができる。また、ファンクション20に表示されている四則演算用の記号を用いて計算を行うことも可能である。
【0067】
このように、バーチャルデスク画面上に、電話帳ウィンドウまたは電卓ウィンドウ等の別ウィンドウが重ねて表示されている場合には、アクティブウィンドウとなっている別ウィンドウ以外のバーチャルデスク側のウィンドウにペンダウンが行われたときのダイレクト処理について、図21に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0068】
まず、上記バーチャルデスク画面上に別ウィンドウが重ねて表示された状態では、ペンダウン待ちの状態である(S81)。ペンダウンが行われると、その位置が上記別ウィンドウ内か否かを判断し(S82)、別ウィンドウ内であれば、入力されたペンボタンに応じたキーコードを基に別ウィンドウに対して所定の処理を実施する。一方、ペンダウンの位置が別ウィンドウ内でなければ、続いてその位置がバーチャルデスク側のウィンドウか否かを判断する(S83)。そして、ペンダウンの位置がバーチャルデスク側のウィンドウであれば、表示されていた別ウィンドウの表示をクローズした(S84)後、図16に示すフローチャートのS54に移行する。
【0069】
すなわち、電話帳ウィンドウまたは電卓ウィンドウ等の別ウィンドウをバーチャルデスク画面に重ねて表示した状態で、別ウィンドウ以外のバーチャルデスク側のウィンドウ内にペンダウンを行うと、別ウィンドウがクローズして画面から消去されると共に、アクティブウィンドウ管理NO.が変更され、アクティブウィンドウがペンダウンを行ったウィンドウにダイレクトに切替わり、処理が実行される。
【0070】
このように、本情報処理装置では、ペンダウンにより動作命令を入力するだけで、アクティブウィンドウが切替わり、バーチャルデスク画面上に表示されていた別ウィンドウもクローズするようになっているので、別ウィンドウをクローズするための操作が不要であり、操作性の向上を図ることができる。
【0071】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る情報処理装置は、以上のように、複数のウィンドウを同時に表示可能な表示手段と、上記複数のウィンドウ内に表示すべきデータを記憶するデータ記憶手段と、複数のウィンドウを含み、かつ、ウィンドウの絵柄からなる背景パターンを複
数記憶するパターン記憶手段と、複数の背景パターンの中から表示手段に表示する背景パターンを指示するパターン指示手段と、上記パターン指示手段により指示された背景パターンを上記パターン記憶手段から読み出し、該背景パターンに含まれるウィンドウに対応するデータを前記データ記憶手段から読み出して表示手段に表示させる制御手段とを備えている構成である。
【0072】
それゆえ、複数のウィンドウを同時に表示させる場合に、個々のウィンドウに対して表示するための操作を行う必要がなく、また、ウィンドウの背景パターンは、複数記憶されているので、操作者の用途に応じて背景パターンを選択し、必要な情報を得ることが可能になる。また、ウィンドウの絵柄が異なっており、操作者の好みに応じて選択できる。これにより、操作者の必要な画面を容易に表示することができ、操作性の向上を図ることが可能になるという効果を奏する。
【0073】
また、請求項2の発明に係る情報処理装置は、以上のように、請求項1に記載の情報処理装置において、上記パターン記憶手段に記憶された複数の背景パターンのうち、電源投入時の初期画面としての背景パターンを記憶する初期画面記憶手段を備え、上記制御手段は、電源投入時に上記初期画面記憶手段に記憶された背景パターンにしたがって、複数のウィンドウを同時表示するように表示手段を制御する構成である。
【0074】
それゆえ、電源を投入すると、この初期画面記憶手段に記憶された背景パターンが表示されるので、例えば複数のウィンドウを同時に表示させた状態での使用頻度が高い操作者にとって、操作性が向上できるという効果を奏する。
【0075】
【0076】
【0077】
【0078】
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施例における情報処理装置において、バーチャルデスク画面を表示する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】
上記情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図3】
上記情報処理装置に記憶されているバーチャルデスク画面の背景の一例を示す模式図である。
【図4】
上記情報処理装置に記憶されているバーチャルデスク画面の背景の一例を示す模式図である。
【図5】
上記情報処理装置に記憶されているバーチャルデスク画面の背景の一例を示す模式図である。
【図6】
上記情報処理装置に記憶されているバーチャルデスク画面の背景の一例を示す模式図である。
【図7】
上記情報処理装置において、電源投入時における初期画面を選択する際の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】
上記情報処理装置の表示装置に文書画面が表示された状態を示す模式図である。
【図9】
上記表示装置に通常初期選択画面が表示された状態を示す模式図である。
【図10】
上記表示装置に表示されるバーチャルデスク画面、文書画面、及び各統合ソフトの画面の相関関係を示すブロック図である。
【図11】
図3に示す背景を用いてビジネスモードでバーチャルデスク画面を表示した状態を示す模式図である。
【図12】
図4に示す背景を用いてビジネスモードでバーチャルデスク画面を表示した状態を示す模式図である。
【図13】
図5に示す背景を用いてホームモードでバーチャルデスク画面を表示した状態を示す模式図である。
【図14】
図6に示す背景を用いてホームモードでバーチャルデスク画面を表示した状態を示す模式図である。
【図15】
上記バーチャルデスク画面を表示した状態で、モードおよび背景を切替える際の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】
上記バーチャルデスク画面内のウィンドウに対して入力ペンによりダイレクトに操作を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】
上記バーチャルデスク画面に対して入力ペンにより画面繰りジェスチャーを行っている状態を示す模式図である。
【図18】
上記バーチャルデスク画面に対して入力ペンにより表示切替ジェスチャーを行っている状態を示す模式図である。
【図19】
上記バーチャルデスク画面上に電話帳ウィンドウが重ねて表示された状態を示す模式図である。
【図20】
上記バーチャルデスク画面上に電卓ウィンドウが重ねて表示された状態を示す模式図である。
【図21】
上記バーチャルデスク画面上に別ウィンドウが重ねて表示された状態で、バーチャルデスク側のウィンドウに対して入力ペンを用いてダイレクトに操作を行う際の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 CPU(制御手段)
2 RAM(記憶手段、パターン指示手段、パターン記憶手段、初期画面記憶手段、データ記憶手段)
3 ROM(記憶手段)
10 キーボード(パターン指示手段)
12 入力ペン(パターン指示手段)
14 表示装置(表示手段)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-02-23 
出願番号 特願平5-113045
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G09G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 本田 博幸鈴野 幹夫月野 洋一郎  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 樋口 信宏
中塚 直樹
登録日 2001-11-30 
登録番号 特許第3256023号(P3256023)
権利者 シャープ株式会社
発明の名称 情報処理装置  
代理人 原 謙三  
代理人 原 謙三  

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