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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 B62D |
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管理番号 | 1098059 |
異議申立番号 | 異議2002-72758 |
総通号数 | 55 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-06-04 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2002-11-19 |
確定日 | 2004-03-26 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3283149号「ゴムクロ-ラ用芯金」の請求項1、2に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3283149号の請求項1、2に係る特許を取り消す。 |
理由 |
第1.手続の経緯 本件特許第3283149号(平成14年3月1日設定登録、請求項の数2,特許公報発行日平成14年5月20日、以下「本件特許」という)は、平成6年11月24日に出願された特願平6-314006号に係り、本件特許について、表記特許異議申立人より平成14年11月19日に、全請求項に関して特許異議の申立てがあったので、当審より平成15年5月26日付で第1回目の取消理由を通知したところ、その指定期間内である平成15年8月5日に特許異議意見書の提出とともに訂正請求がされ、これに対して更に、当審より平成15年10月3日付で、再度取消の理由を通知し、その指定期間内である平成15年12月16日に特許異議意見書が提出されたものである。 第2.平成15年8月5日付訂正請求の適否 1.訂正の内容(訂正事項A〜D) <訂正事項A> 特許請求の範囲の請求項1において、「この翼部から突出する突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対する縁部に至ることのない谷部を形成し」という記載を、「この翼部から突出するゴムクローラの内周面より突出する一対の突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることなく、左右の縁部に至る直線状の傾斜谷部を形成し」と訂正する。 <訂正事項B> 特許請求の範囲の請求項2において、「前記突起頂面にゴムクローラの長手方向に対して傾斜谷部を形成し」という記載を、「前記一対の突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、±の傾斜角(θ)を持つ谷部を形成し」と訂正する。 <訂正事項C> 図面に関して、図1〜図5に説明符号を付加する訂正をし、また、図6、図7を削除すると共に、図8、図9を順次繰り上げる図番の訂正をする。 <訂正事項D> 発明の詳細な説明(【0002】、【0004】、【0006】〜【0008】、【0011】、【0013】〜【0016】)及び、図面の簡単な説明に関して、上記訂正事項A〜Cの趣旨と合致するように訂正する。 2.訂正の目的の適否、新規事項追加の有無、拡張又は変更の存否 (1)訂正事項A、Bの訂正は、特許請求の範囲の減縮に該当するものと認められる。また、訂正事項C、Dは、いずれも、上記訂正事項A、Bを受けて、図面、明細書の「発明の詳細な説明」、同じく「図面の簡単な説明」の記載を、訂正後の特許請求の範囲に整合させようとするものであって、明りょうでない記載の釈明に該当するものと認められる。 (2)上記A〜Dの訂正事項は、いずれも願書に添付された図面に記載されている事項の範囲内でするものと認められるし、その訂正の趣旨からみて特許請求の範囲を実質的に拡張または変更するものでもない。 3 訂正請求の認容 以上のとおり、上記A〜Dの訂正事項は、平成15年改正前特許法第120条の4第2項第1、3号に掲げる事項を目的とするものであり、同じく改正前の同条第3項で準用される、平成6年改正前の特許法第126条第1項ただし書および第2項の規定に適合するので、当該訂正の請求を認める。 第3.特許異議申立てについて 1.特許異議申立てに係る本件発明の認定 上記第2.に示したように、上記訂正請求は認容されるから、当該訂正請求に係る訂正明細書を本件特許明細書とし、本件特許異議申立てに係る発明は、当該特許明細書における特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項によって特定される、次のとおりのものと認める。 【請求項1】 左右両翼部と、これを一体とする連結部と、この翼部から突出するゴムクローラの内周面より突出する一対の突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることなく、左右の縁部に至る直線状の傾斜谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面が連続していることを特徴とするゴムクローラ用芯金。 【請求項2】 前記一対の突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、±の傾斜角(θ)を持つ谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面に実質的に谷部の存在がない請求項第1項記載のゴムクローラ用芯金。 (上記のうち、請求項1に係る発明を、以下、「本件発明」という) 2.引用例とその記載事項の概要 これに対し、当審からの平成15年10月3日付取消理由通知において、本件特許に係る出願前に頒布された刊行物であるとして引用したものは、次のとおりである。 第1引用例:特開平5-32183公報 第2引用例:特開昭53-71404号公報 第3引用例:特開平3-129002号公報 (1)上記第1引用例には、次のイ〜ハの事項が記載されている。 イ 「クローラ本体3に埋設される芯金1は、左右突起部5、6が前後1組のガイド突起F、Rを有し、そのガイド突起F、R間はガイド突起間谷間7となっているため、ガイド突起間谷間7に相当する分だけ重量が軽減されている。左右一方のガイド突起間谷間7は、他方の突起部の前後ガイド突起F、Rの一方と側面視において略全幅がオーバラップしていて、左右突起部5、6は互いに補いあって長い車輪通過面4を形成する。」(【0010】) ロ 「図1〜8に示す第1実施例において、2は鉄製クローラと履き換え可能な弾性クローラで、スプロケット製の駆動輪、從動輪及び複数個の転動輪等の車輪15に巻き掛けられている。この弾性クローラ2は、ゴム、合成樹脂などの弾性材料で形成されたクローラ本体3に、クローラ周方向A等間隔に金属又は合成樹脂などで形成された芯金1を埋設すると共に、芯金1より接地面側にスチールなどで形成された左右一対の周方向抗張体16を埋設しており、クローラ本体2には幅方向中央で且つ芯金1間に駆動輪が係合する係合孔8が形成され、接地面に周方向等間隔にラグ9が一体成形されている。」(【0013】) ハ 「前記各芯金1には左右1組の突起部5、6が一体成形され、クローラ内周側に突出形成されており、この突起部5、6の頂面が転動輪等の車輪15が転動する平坦な車輪通過面4となっている。各芯金1は左右翼部17が周方向A同一位置にあり、これに対して、左右突起部5、6が周方向Aに互いに逆方向にずれている。」(【0014】) (2)第2引用例及び第3引用例には、レールの端部を「適宜角度を付けて斜めに切断」するか、「ジグソー形状」とすることにより、列車等がレール継ぎ目部を通過する際の衝撃や騒音を防止する旨の記載がある。 3.発明の対比 本件発明(請求項1の発明)の構成事項と第1引用例の上記記載事項とを対比すると、上記イ〜ハの記載からみて、第1引用例にも<左右両翼部と、これを一体とする連結部と、この翼部から突出する一対の突起とからなるゴムクローラ用芯金>に相当するものが記載されていることは明らかである。 そして、第1引用例記載の「左右1組の突起部5、6」(ハ)は、本件発明でいう「一対の突起」に相当するが、当該「突起部5、6」は、「クローラ内周側に突出形成されており、この突起部5、6の頂面が転動輪等の車輪15が転動する平坦な車輪通過面4となっている」ところから、「ゴムクローラの内周面より突出する一対の突起」といえる。また、第1引用例(イ)でいう「ガイド突起間谷間7」は、<突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることなく、左右の縁部に至る>ように形成された、「谷部」とみることができる。 したがって、本件発明と第1引用例記載の発明の一致点と相違点は次のとおりである。 [一致点] 「左右両翼部と、これを一体とする連結部と、この翼部から突出するゴムクローラの内周面より突出する一対の突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることなく、左右の縁部に至る谷部を形成した、ゴムクローラ用芯金」の発明といえる点。 [相違点] 突起頂面に形成する「谷部」の形状に関して、本件発明では、ゴムクローラ長手方向に対する「直線状の傾斜」とし、「芯金の側面投影における突起頂面が連続」するのに対し、第1引用例記載の「ガイド突起間谷間7」(谷部)は幅(ゴムクローラ長手方向の距離)が広く、「直線状」とはいえず、また、ゴムクローラの長手方向と直交している(傾斜していない)ために、芯金の側面投影における突起頂面は不連続となる点。 4.相違点の検討 第1引用例記載の「ガイド突起間谷間7」(谷部)は、当該谷間7に相当する分だけ芯金の「重量が軽減」されるというもので(上記イ参照)、上記相違点で指摘したように、当該谷間の幅(ゴムクローラ長手方向の距離)を広くとっているが、芯金重量の軽減分にこだわらなくてよいのであれば、上記谷間の幅を小さくするほうが、車輪の落ち込み等による衝撃を緩和できるために好ましいことは明らかである。 そして、上記第2及び第3引用例の記載事項は、直接的には、列車等の車輪がレール端部の継ぎ目部を通過する際の衝撃や騒音の防止に関するものであるが、車輪通過面に形成される線状の谷部(不連続部)を、長手方向に対して傾斜する配置とすることによって、車輪通過面の連続性を向上させる手段を示唆したものとも解しうるから、第1引用例記載の芯金において、車輪通過面となる突起部表面に形成される谷間を、ゴムクローラの長手方向に対する直線状の傾斜として、芯金の側面投影における突起頂面が連続する、つまり、本願発明と同様のものとすることは、前記の示唆に基づいて当業者が容易に想到しうる程度の設計事項といえる。 5.請求項2の発明について 請求項2で規定されている、「ゴムクローラの長手方向に対し、±の傾斜角(θ)を持つ谷部を形成」することも、上記第2及び第3引用例の記載事項によって示唆される域を出るものとはいえず、請求項2の発明は、本願発明と同様に、上記第1〜第3引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 6.特許権者の主張(平成15年12月16日付の特許異議意見書)について (1)特許権者は、第2及び第3引用例における「列車等のレール」はその端部を連結するのに対し、「ゴムクローラの芯金の突起」は構造上連結できるはずがないものであり、従って、「列車等のレール」と、「ゴムクローラの芯金の突起」とは何の関係もない(技術分野が相違する)から、本件特許発明は各引用例に記載された発明より当業者が容易に発明できたものではない旨主張する。 (2)本件発明に係る技術課題は、芯金の突起の頂面に形成した「谷部」に、車輪状のトラックローラーが「落ち込むこと」によって発生する騒音や振動の防止であるが(【0004】参照)、上記の「谷部」に相当する、第1引用例記載の「ガイド突起間谷間」は、特許権者がいうように、ゴムクローラにおいて、互いに隣接する芯金突起間に形成される「連結」部でないことは明らかである。 しかし、上記「ガイド突起間谷間」(谷部)も、第2及び第3引用例でいうレール端部の「継目」と同様に、車輪等が走行する走行面における<不連続部>とみることができるのであって、第2引用例あるいは第3引用例に開示されている、当該<不連続部>で発生する衝撃や騒音の防止のための構成を、同じく<不連続部>とみることができる第1引用例記載の「ガイド突起間谷間」に採用することは、たとえ技術分野に相違があるとしても、当業者であれば容易に類推できる程度のことというべきである。したがって、特許権者の上記主張は採用できない。 第4.むすび 以上のとおりであるから、本件発明及び本件請求項2の発明は、いずれも特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであって、本件特許は拒絶査定をするべき出願に対してされたことになるから、平成15年特許法改正後においてもなお有効な、平成6年法律第116号附則第14条の規定に基づき適用される、平成7年政令205号第4条第2項の規定によって取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ゴムクローラ用芯金 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 左右両翼部と、これを一体とする連結部と、この翼部から突出するゴムクローラの内周面より突出する一対の突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることなく、左右の縁部に至る直線状の傾斜谷部を形成し、かつ、芯金の側面投影における突起頂面が連続していることを特徴とするゴムクローラ用芯金。 【請求項2】 前記一対の突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、±の傾斜角(θ)を持つ谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面に実質的に谷部の存在がない請求項1記載のゴムクローラ用芯金。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、農業用のみならず建設及び土木作業用の走行部に用いられるゴムクローラ用芯金に係るものである。 【0002】 【従来の技術】 一般に用いられているゴムクローラの芯金は、図6に示すようにゴム弾性体中に埋設される左右の翼部111、112と、連結部12と、更にこの連結部12をはさんでゴムクローラの内周面より突出する一対の突起131、132とからなっている。そして、この一対の突起131、132は、アイドラー、スプロケット、更にはトラックローラーとの間で外れ防止機能を有すると共に、特に鉄製クローラとの交換使用に供される場合には、突起131、132の頂面がこれらの通過面となるケースがほとんどである。 【0003】 このため、芯金の突起131、132はできるだけ丈夫にかつ頂面を長くすることが好ましいが、芯金自体の重量の増加はさけられず、この芯金を多数用いるゴムクローラにあっては極めて重量の大きいものとなっている。従って、軽量化の対策として、突起131、132に対応して突起131、132の反対側に凹み141、142を形成し、このことによって垂量の増加を少しでも低減することが試みられているが、これにも限度があることは言うまでもない。 【0004】 この点を改良するものとして特開平5-32183号公開によって新たな提案がなされている。この提案は図7にて示すように、芯金の突起131、132に対して、その頂面にゴムクローラの長手方向(Y)に直角に谷部151、152を形成して芯金の軽量化を図ったものである。しかるに、この提案による芯金を用いたゴムクローラにあっては、例えばトラックローラー20が突起131、132上を転動するに際してはトラックローラー20が必ず谷部151、152に落ち込むこととなり、騒音の発生と共にオペレーターに対して振動の発生を伴なうこととなってしまい、その改良は充分ではない。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は以上のようなゴムクローラの欠点を改良しようとするものであり、芯金をできるだけ軽量化すると共に騒音や振動を発生しないゴムクローラ用芯金を提供することを目的とするものである。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明は以上の目的を達成するためになされたものであって、その発明の要旨は、左右両翼部と、これを一体とする連結部と、この翼部から突出する、通常は前記連結部をはさみ翼部に対して直角に延びるゴムクローラの内周面より突出する一対の突起とからなる芯金であって、突起頂面にゴムクローラの長手方向に対し、前後の縁部に至ることのない、そして左右の縁部に至る直線状の谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面が連続していることを特徴とするゴムクローラ用芯金であって、更に具体的には、前記一対の突起頂面にゴムクローラの長手方向に対して±の傾斜角(θ)を持つ傾斜谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面に実質的に谷部の存在がない芯金である。 【0007】 【作用】 本発明は、上記したように芯金の突起頂面にゴムクローラの長手方向に対する前後の縁部に至ることのない、そして左右の縁部に至る直線状の谷部を形成し、かつ芯金の側面投影における突起頂面が連続していることを特徴とするゴムクローラ用心金であって、特に突起を側面から見た場合、谷部の存在が実質的に見られないものである。従って、例えばトラックローラーが突起の頂面を転動する際、常にその両者が同一平面にて接触することとなるため、谷部の形成による騒音や振動の発生がほとんど生じないこととなる。 【0008】 この場合、谷部は突起頂面にゴムクローラの長手方向に対する縁部に至ることのない谷部とし、更には左右の縁部に至る直線状の傾斜谷部とするものであって、場合によっては、従来から行われているような凹みを形成することも併用できることは勿論であり、この傾斜谷部は突起の一方のみに設けることもできる。又、突起の両方に傾斜谷部を形成するに際しては、谷部を傾斜させることによって、突起の強度が保たれることともなり、この谷部を形成したことによって突起が弱くなることもほとんどない。この谷部の傾斜方向を左右の突起で異ならせてもよい。尚、谷部の底の位置は任意であり、場合によっては突起の中間の部位でも翼部と同一平面にまで達してもよい。 【0009】 【実施例】 以下図面をもって本発明を更に詳細に説明する。 図1は本発明のゴムクローラ用芯金の第1実施例Aを示す平面図であり、図2はその側面図、図3は図1のA-A線での断面図である。 【0010】 図にあって、芯金Aにおける11、12はゴム弾性体中に埋設される左右の翼部であって、2はこれを連結する連結部、そして更にこの連結部2をはさんでゴムクローラの内周面より突出する一対の突起31、32とからなっている。そして、この一対の突起31、32は、アイドラー、スプロケット、更にはトラックローラーとの間で外れ防止機能を有すると共に、特に鉄製クローラとの交換使用に供される場合には、突起31、32の頂面がこれらの通過面となるケースがほとんどである。そして、連結部2はスプロケットとの係合部となる。 【0011】 本発明のゴムクローラ用芯金にあって、突起31、32の頂面にはゴムクローラの長手方向(Y)に対して傾斜(θ)する谷部51、52を形成したものである。そして、この例では谷部51、52の底53、54の位置は翼部11、12の表面に達しない中間の位置にある。図例で分かるように、芯金の側面投影において、即ち前記突起31、32の頂面の側面投影において、実質的に谷部51、52の存在がない芯金である。尚、この例では突起31、32に対応して翼部11、12の反対側に凹み41、42を形成し、芯金の重量を低減する処置が取られている。尚、谷部51、52は突起31、32のゴムクローラの長手方向(Y)に対する前後の縁部310、320に至ることのない谷部とするもので、以下に示す例も全てこの前後の縁部に至らない谷部とするものであり、又、左右縁部311、312、321、322に谷部51、52が至っているものである。 【0012】 図2にあって、符号20はトラックローラーであり、矢印Z方向に突起31、32の頂面上をトラックローラー20が転動するが、前記突起31、32の頂面の側面投影において、実質的に谷部51、52の存在がないために、トラックローラー20の上下動がなく、しかも芯金の軽量化が図られたのであり、かつ、トラックローラー20がその突起の頂面上を転動した際にもその強度が大きく低下することがなくなったものである。 【0013】 図4は本発明のゴムクローラ用芯金の第2実施例Bを示す平面図である。この例にあっては、ゴムクローラの内周面より突出する突起31、32の頂面にはゴムクローラの長手方向(Y)に対して夫々傾斜(±θ)する谷部51、52を形成したものである。勿論、第1実施例共々突起31、32の頂面には谷部を複数形成してもよい。この例にあっても、谷部51、52は突起31、32のゴムクローラの長手方向(Y)に対する前後縁部310、320に至ることのない谷部とし、左右の縁部311、312、321、322には至っているものであり、かつ突起31、32の頂面の側面投影において、実質的に谷部51、52の存在がない芯金が得られたものである。 【0014】 図5は本発明のゴムクローラ用芯金の第3実施例Cを示す平面図である。この例にあっては、ゴムクローラの内周面より突出する突起31、32の頂面にはゴムクローラの長手方向(Y)に対して傾斜(±θ)する谷部511、512、521、522をもって内向きにV字状に形成したものである。尚、谷部511、512、521、522をもって突起31、32の頂面に外向きにV字状に形成したものであってもよく、更には、両方とも同一方向に向けたV字状であってもよいことは勿論である。この例にあっても、谷部511、512、521、522は突起31、32のゴムクローラの長手方向(Y)に対する前後縁部に至ることのない谷部とし、一方、左右縁部311、312、321、322に対しては前例と同様の関係を持つ傾斜谷部とするものである。かつ突起31、32の頂面の側面投影において、実質的に谷部511、512、521、522の存在がない芯金が得られたものである。 【0015】 【0016】 【0017】 【発明の効果】 本発明は以上のような芯金であり、芯金の軽量化が図れると共に、突起の強度も大きく低下することがなく、極めて実用性の高い芯金となったものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は本発明のゴムクローラ用芯金の第1実施例Aを示す平面図である。 【図2】 図2は図1の芯金の側面図である。 【図3】 図3は図1のA-A線での断面図である。 【図4】 図4は本発明のゴムクローラ用芯金の第2実施例Bを示す平面図である。 【図5】 図5は本発明のゴムクローラ用芯金の第3実施例Cを示す平面図である。 【図6】 図6は従来のゴムクローラの芯金の平面図である。 【図7】 図7は特開平5-32183号公開によって提案されたゴムクローラの芯金の斜視図である。 【符号の説明】 11、12‥‥芯金の翼部、 2‥‥芯金の連結部、 31、32‥‥突起、 310、320‥‥突起の前後縁部、 311、312、321、322‥‥突起の左右縁部、 41、42‥‥突起の反対側の凹み、 51、52、511、512、521、522‥‥谷部、 53、54・‥・谷部の底、 20・‥・トラックローラー。 【図面】 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-02-05 |
出願番号 | 特願平6-314006 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZA
(B62D)
|
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 島田 信一 |
特許庁審判長 |
神崎 潔 |
特許庁審判官 |
ぬで島 慎二 鈴木 法明 |
登録日 | 2002-03-01 |
登録番号 | 特許第3283149号(P3283149) |
権利者 | 株式会社ブリヂストン |
発明の名称 | ゴムクロ-ラ用芯金 |
代理人 | 鈴木 悦郎 |
代理人 | 鈴木 悦郎 |
代理人 | 中野 収二 |