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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C08F
管理番号 1098085
異議申立番号 異議2003-72494  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-01-13 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-10-07 
確定日 2004-06-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第3396255号「3次元重合体微粒子、その製造法、低収縮剤及び不飽和ポリエステル樹脂組成物」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3396255号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。 
理由 1.本件発明
特許第3396255号(平成5年6月25日出願、平成15年2月7 日設定登録)の請求項1〜5に係る発明(以下、「本件発明1〜5」とい う)は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された構成を 有するものである。
2.特許異議申立の理由の概要
(1)請求項1について
特許異議申立人積水化成品工業株式会社(以下、「申立人」という )は、本件発明1は、甲第1号証(特開昭62-148558号公報 )に記載の3次元重合体微粒子の製造方法において、甲第2号証(特 開平2-245769号公報)及び甲第3号証(超微粒子ポリマーの 最先端技術(17〜26頁)、株式会社 シーエムシー1991年4 月26日発行)に記載の攪拌条件及び混合液の円筒状容器内への供給 条件を適用することにより、当業者であれば容易に想到し得る発明で あるから、本件発明1についての特許は、特許法第29条第2項の規 定に違反してなされたものであり、その特許を取り消すべきと主張し ている。
(2)請求項2〜5について
申立人は、請求項2で付加された構成要件は甲第3号証で採用され ているものであり、請求項3で付加された構成要件は甲第1号証に記 載されており、請求項4で付加された構成要件は甲第3号証に実質的 に記載されており、請求項5で付加された構成要件は甲第1号証に記 載されているから、請求項2〜5に係る発明は、いずれも甲第1〜3 号証に記載の発明に基づき、当業者であれば容易に想到し得る発明で あり、本件発明2〜5についての特許は、特許法第29条第2項の規 定に違反してなされたもので、その特許を取り消すべきと主張してい る。
3.甲各号証記載の発明
(1)甲第1号証には以下の記載がある。
「1.不飽和ポリエステルと重合性単量体とからなる硬化性組成物 であって、該重合性単量体に対して易溶性でない物質を表面に 有する低収縮剤を含有することを特徴とする不飽和ポリエステ ル樹脂組成物。
2.低収縮剤が、重合性単量体によって膨潤する樹脂粉末である、 特許請求の範囲第1項記載の組成物。
3.低収縮剤が、膨潤度2〜40の樹脂粉末である、特許請求の範 囲第2項記載の組成物(特許請求の範囲の1〜3)」
上記低収縮剤に使用できる重合体として、「低収縮剤には、従来か ら低収縮剤として使用されていた有機高分子重合体を用いることがで き、例えば、…架橋されたアクリル系樹脂粉末、架橋されたスチレン 系樹脂粉末…好ましい低収縮剤としては、重合性単量体によって膨潤 する樹脂粉末、好ましくは膨潤度2〜40、好ましくは5〜20の樹 脂粉末、例えば、アクリル系、スチレン系…これらの共重合体系など の樹脂粉末、これらを0.01〜30%、好ましくは0.01〜5% の架橋密度で三次元化した樹脂粉末、その具体例として、例えば、メ チルメタクリレート-ジビニルベンゼン共重合樹脂粉末、スチレン- ジビニルベンゼン共重合樹脂粉末…などがある。(3頁右上欄下から 1行〜左下欄下から1行)」と記載され、上記「重合性単量体に対し て易溶性でない物質」としては、「この発明において重合性単量体に 対して易溶性でない物質は、低収縮剤の表面に付着又は被着して、重 合性単量体からの悪影響を抑制または防止する働きを果す。…具体例 として、例えば、リン酸三カルシウム、酸化チタン、炭酸カルシウム 、水酸化カルシウム…などがある。(3頁右下欄1〜14行)」と記 載されている。
また、「低収縮剤樹脂粉末の表面に、上記の物質と付着または被覆 させる方法として、例えば、…重合に際して乳化液または懸濁液に添 加し、乾燥させて樹脂表面に付着または被覆させる方法…などがある 。(3頁右下欄15行〜4頁左上欄4行)」ことも記載されている。
そして、具体的な製造例として、「攪拌機、温度計、窒素導入管、 還流冷却器を装着した1lの四つ口フラスコにスチレン100部、ジ ビニルベンゼン0.1部、ベンゾイルパーオキサイド0.3部、及び 工業用水130部、リン酸三カルシウム粉15部…を入れ、常法に従 い窒素気流中で6時間懸濁重合を行なった。重合終了後、反応液を濾 過、乾燥、ふるい分けし、粒子表面にリン酸三カルシウムが均一に付 着した平均粒径20μの架橋密度約0.1%の三次元化ポリスチレン を97部得た(4頁左下欄下から7行〜右下欄3行)」と「〔実施例 〕例1:低収縮剤Aの調製」に記載されている。
(2)甲第2号証には以下の記載がある。
「少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する単量体組成物を懸 濁重合して重合トナーを製造するに際し、懸濁重合反応容器の攪拌翼 の径rを反応容器の内径Rの0.1〜0.8倍とし、攪拌翼の先端の 線速を5m/sec以上とした条件で攪拌しながら重合反応を行なう ことを特徴とする重合トナーの製造方法(特許請求の範囲)」
「反応容器の攪拌翼の径をr、反応容器の内径をRとするときにr =0.1〜0.8R好ましくは0.5〜0.8Rとし、攪拌翼の先端 の線速を5m/sec以上好ましくは7〜20m/secとした条件 で重合反応することにより、トナーの粒子サイズを10μm以下でし かも微粉を含まない均質のものが得られることを見出した。(2頁右 上欄下から2行〜左下欄6行)」
「本発明の実施態様の一例を図を参照しつつ説明すれば、反応容器 1、蓋2…蓋2を貫通して軸受4により回動自在とされている攪拌機 軸5、これに付された攪拌翼6とからなる装置を用い、重合性単量体 、着色剤、懸濁安定剤、水、その他の配合剤を入れて攪拌し懸濁重合 させる。この際、攪拌翼径r1,r2、反応容器の内径Rとするとき に、r1,r2=0.1〜0.8R、r1,r2の先端の線速5m/ sec以上で攪拌されることにより満足すべき成果が得られる。(2 頁左下欄下から7行〜右下欄4行)」
また、重合性単量体、重合開始剤の具体例も記載されている(2頁 右下欄下から8行〜3頁右上欄13行、4頁左上欄3〜13行)。
(3)甲第3号証には以下の記載がある。
「表1.2.2に懸濁重合の配合例を、図1.2.1に製造工程を 示した。モノマー滴の微粒子化は、ホモミキサーなどの回転翼(ター ビン)と固定翼(ステーター)で構成される装置を高速で回転させ、 モノマー、水、懸濁剤、懸濁助剤、重合開始剤からなる重合液を一定 時間循環させることにより行う。モノマー滴の大きさは、ホモミキサ ーの回転数を高くするほど、小さくなる。図1.2.2は特殊機化工 業(株)製T.K.ホモミキサーで重合系を一定時間懸濁後、通常の 攪拌状態にてモノマー滴の合一による液滴の粒径変化を調べたもので ある。懸濁液中のモノマー滴は、経時的に徐々に成長するが、約1時 間後に一定の液滴となる。…難溶性リン酸塩微粒子はポリマー微粒子 表面に強固に付着して、ポリマー微粒子同士の合一や融着を防ぐ。難 溶性リン酸塩微粒子はポリマー微粒子表面を完全に被覆し、重合終了 後懸濁液中にフリーの難溶性リン酸塩微粒子はほとんど存在しない。 (19頁下から2行〜20頁下から2行)」
また、具体的な配合例として、スチレン100重量部、ジビニルベ ンゼン(55%品)10重量部、ベンゾイルパーオキシド0.5重量 部、イオン交換水150重量部、難溶性リン酸三カルシウム(リン酸 塩)21重量部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.00 5重量部(19頁表1.2.2)からなる配合例が記載されている。
そして、架橋ポリスチレン微粉体製品の平均粒子径が20〜25μ mである(21頁の表1.2.3)ことが記載されている。
4.対比・判断
本件発明1と甲第1号証に記載された発明とを比較する。
甲第1号証の前記記載から、甲第1号証には、「スチレン等の単量体、 ジビニルベンゼン等の架橋剤、ベンゾイルパーオキシド等の重合開始剤、 水性媒体、リン酸三カルシウム等の無機化合物(単量体100重量部に対 して15重量部)を含む混合液を懸濁重合し、平均粒子径が20μmであ り、膨潤度が2〜40である重合体粒子とする3次元重合体微粒子の製造 法」の発明が記載されているものと認められ、その3次元重合体微粒子は 不飽和ポリエステル樹脂の低収縮剤として用いられるものである。
そうすると、両者は、いずれも不飽和ポリエステル樹脂の低収縮剤とし て有用な3次元重合体微粒子の製造方法であり、使用する単量体、架橋剤 、重合開始剤、水性媒体、無機化合物及びその配合量、得られる重合体粒 子の膨潤度及び平均粒子径に差がなく、上記配合成分の混合液を懸濁重合 させる製造方法である点でも一致している。
しかし、甲第1号証に記載された発明では、懸濁重合前に混合液の分散 乳化液を製造するに際し、少なくとも以下の、
(ア) 固定翼外径と容器の内径との比が特定範囲にあるホモジナイザー を備えた円筒状容器を使用する点、
(イ) 液面高さと固定翼外径との比が特定範囲となるように混合液を円 筒状容器に供給する点、
(ウ) 混合液の乳化に際し、ホモジナイザーの回転翼の周速で規定され た特定の攪拌時の剪断力を採用する点について、いずれも明示され ていない点で、本件発明1と相違する。
この点につき、申立人は、甲第2号証の「重合トナーの製造方法」にお ける、懸濁重合反応容器の攪拌翼の径と反応容器の内径との比、上記攪拌 翼の先端の線速の規定及び該規定による粒子サイズ面での効果に関する記 載と併せて、甲第3号証の「無機粒子を用いる懸濁重合」における、モノ マー滴の微粒子化にホモジナイザーを備えた乳化機を用いる旨の記載、モ ノマー液滴の粒径分布がシャープである旨の記載、懸濁重合で得られた架 橋ポリスチレン微粉体の平均粒子径の記載に基づき、上記相違点(ア)、 (ウ)は当業者にとって容易に想到し得るものであり、相違点(イ)は甲 第3号証の重合方法及び生成重合体微粒子の性状から判断して、同号証で も同様の条件が採用されている旨主張する。
しかしながら、甲第2号証で規定されている攪拌条件は、懸濁重合反応 容器での条件であり、本件発明1のようなホモジナイザーを備えた円筒状 容器における攪拌条件ではない。
したがって、固定翼を備えていない重合反応容器で採用されている回転 翼の周速が、固定翼を有するホモジナイザー回転翼の周速に当然適用でき るものではないし、攪拌の対象とする懸濁液も甲第2号証では重合反応が 進行している懸濁液であり、その点でも本件発明1とは相違している。
よって、相違点(ウ)は、当業者にとって容易に想到し得るものではな い。
さらに、上記のとおり、甲第2号証の反応容器は、固定翼を備えておら ず、当然のことながら固定翼外径と容器の内径との比も示されていないし 、攪拌翼(回転翼)外径と容器の内径との比が本件発明1の前記比を示唆 するものともいえない。これらの相違点は、甲第3号証にも記載されてい ない。
よって、相違点(ア)は、当業者にとって容易に想到し得るものではな い。
また、本件発明1の実施例1では8,000rpm(周速18m/se c)で10分間混合液を分散乳化した油滴粒子の平均粒子径は25μmで 、この値は甲第3号証の図1.2.2で示されているホモジナイザー回転 数10,000rpmで処理時間10分のモノマー滴の1時間経過後の平 均粒径とほぼ同一であるが、生成した重合体微粒子の粒径は本件発明での 微粒子の粒径が45μmであるのに対し、甲第3号証の表1.2.3では 20〜25μmであることが示されている。
したがって、本件特許発明1の製造方法と甲第3号証に記載された発明 の製造方法とは、混合液の攪拌条件、円筒状容器内への供給条件又は重合 条件に相違があることが推測でき、申立人主張のように、相違点(イ)が 甲第3号証で採用されている条件と同一であることが明らかであるとはい えない。
そして、本件発明1は、本件明細書の比較例2、比較例4、比較例5と 実施例との比較から、それぞれ、上記相違点(ウ)、(ア)、(イ)によ り、シャープ化度、低収縮性、着色、光沢むら等において明細書記載の効 果を奏することが明らかである。
したがって、本件発明1は甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて 、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
また、本件発明2〜5は、本件発明1にさらに構成要件を付加する発明 なので、同様の理由で、甲第1〜3号証に記載された発明に基づいて当業 者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
5.結び
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本 件発明1〜5についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜5についての特許を取り消すべき理由を発見し ない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-05-20 
出願番号 特願平5-155059
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 松井 佳章
特許庁審判官 船岡 嘉彦
平塚 政宏
登録日 2003-02-07 
登録番号 特許第3396255号(P3396255)
権利者 綜研化学株式会社 日立化成工業株式会社
発明の名称 3次元重合体微粒子、その製造法、低収縮剤及び不飽和ポリエステル樹脂組成物  
代理人 穂高 哲夫  
代理人 山本 拓也  
代理人 穂高 哲夫  
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