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審決分類 |
審判 一部無効 2項進歩性 訂正を認める。無効としない B65D |
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管理番号 | 1098787 |
審判番号 | 無効2003-35402 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2001-05-08 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-09-26 |
確定日 | 2004-04-14 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3238920号発明「盗難防止用ケース」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 訂正を認める。 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 本件特許第3238920号の請求項1、3、4、5、6及び7に係る発明(以下、それぞれ、「本件訂正前の特許発明1」、「本件訂正前の特許発明3」、「本件訂正前の特許発明4」、「本件訂正前の特許発明5」、「本件訂正前の特許発明6」及び「本件訂正前の特許発明7」という。)についての出願は、平成11年10月22日に特許出願され、平成13年10月5日に特許の設定登録がなされ、その後、請求人より、平成15年9月26日に本件特許無効審判の請求がなされ、被請求人より、平成15年12月16日に答弁書の提出とともに訂正請求がなされ、該答弁書及び訂正請求書が請求人に送付された後、平成16年1月26日に弁駁書が提出された。 2.請求人の主張 請求人は、本件訂正前の特許発明1、本件訂正前の特許発明3、本件訂正前の特許発明4、本件訂正前の特許発明5、本件訂正前の特許発明6及び本件訂正前の特許発明7は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件訂正前の特許発明1、本件訂正前の特許発明3、本件訂正前の特許発明4、本件訂正前の特許発明5、本件訂正前の特許発明6及び本件訂正前の特許発明7についての特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定により無効とすべきであると主張し、証拠方法として甲第1号証を提出している。 甲第1号証:登録実用新案第3052834号公報 3.被請求人の主張 被請求人は、訂正後の本件特許の請求項1、3、4、5、6及び7に係る発明は、当業者が甲第1号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができないものであるから、本件特許を無効とすることはできないと主張している。 4.訂正請求について (1)訂正請求の内容 当該訂正の内容は、本件特許の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正しようとするものであり、その内容は次のとおりである。 (訂正事項a) 特許請求の範囲の請求項1、3、5、6及び7の「ガイド手段を設け」を、「ガイド手段をケース内に設け」と訂正する。 (訂正事項b) 明細書の段落0012〜0016の「ガイド手段を設け」を、「ガイド手段をケース内に設け」と訂正する。 (2)訂正の可否に対する判断 (2-1)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否について 訂正事項aは、ガイド手段を設ける位置に関して、「ガイド手段をケース内に設け」と特定するものであるから、訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項aは、明細書の「上記のガイド手段2は、図1から図4に示すように、開口1からケースAに収納した商品aの上面とケースAの頂壁3の下面との間隙を利用する場合・・・・図7及び図8に示すように頂壁3の下面に接着剤や熱融(溶)着などの固着手段を介し固着した取付壁5の下面両側縁部(スライダBの抜き差し方向に沿う縁部)とスライダBの両側縁一方の突条6と他方の溝条7とを嵌合させてガイドする場合や、・・・・」(第0021段落)との記載、図1〜4、図7、図8、図11、図12、図16〜20、図22、図23に基づくものであるから、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも実質的上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 訂正事項bは、特許請求の範囲の訂正に伴い、明細書の詳細な説明の記載を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。また、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、しかも実質的上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。 (2-2)独立特許要件について a.特許無効の審判の請求がなされていない請求項2は、訂正された請求項1を引用し、特許無効の審判の請求がなされていない請求項9は、訂正された請求項1、5、7を引用しているので、請求項2及び請求項9は、特許法第123条第1項の審判の請求がなされていない請求項についての訂正であって、特許法第134条第2項ただし書第1号の場合に該当する訂正がなされたものである。 したがって、以下、訂正後の請求項2及び9に係る発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるのか否かについて検討する。 b.訂正後の請求項2及び9に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項2及び9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに抜き差し自在に差し込むスライダのガイド手段をケース内に設け、このガイド手段にスライダを差し込み、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項2】 前記のガイド手段が、別部品により形成され、かつケースに適宜の取付け手段を介し取付けたことを特徴とする請求項1に記載の盗難防止用ケース。 【請求項9】前記スライダにスライダ成形の際固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止タグを埋め込んだことを特徴とする請求項1,4,5,7及び8に記載の盗難防止ケース及び装置。」 c.引用例 請求人の提出した甲第1号証には、図面とともに次の事項が記載されている。 記載ア.「【請求項1】上部を開口した陳列用ケースに入れてその上端部を開口から突出した状態で棚に配列する貸出ケースにおいて、該貸出ケースはビデオテープが入る箱形本体と蓋からなり、本体下面にはロックを設けると共に蓋の下面にはスリット溝を形成し、蓋を閉じた状態で防犯タグシールを貼着したロックプレートをスリット溝に嵌めて上記本体のロックと係合して固定することで、蓋が開かないようにロックすることを特徴とするビデオテープ等のロック付き貸出ケース。」(実用新案登録請求の範囲請求項1) 記載イ.「【考案の属する技術分野】 本考案はレンタルショップで使用する貸出ケースに関するものである。ここで貸出ケースとはビデオテープ、CD、DVD、ゲームソフト等を収容して陳列用ケースに入れる為のケースである。」(第0001段落) 記載ウ.「・・・蓋をしたところでロックプレート4を蓋の下端に形成しているスリット溝5に挿入してロックすることが出来る。ロックされた蓋2はロックプレート4を取り外さなければ開くことが出来ない。」(第0011段落) 記載エ.「そしてこのロックプレートには防犯タグシールが貼着されている為に、ロックプレートを嵌めた状態で防犯装置を通過するならば、センサーが感知して警報音等を発する。このロックプレート4を取り外すには所定のカギを必要とし、顧客が勝手に取り外してビデオテープを持ち出すことが出来ない構造と成っている。」(第0012段落) 記載オ.「・・・プレート部11は蓋のスリット溝5に挿入する大きさ及び厚さとなっており、ロック部12には複数本のツメ13、13…を有している。・・・」(第0014段落) 記載カ.「図4はロック9にツメ13、13…が係合した場合を示しているが、一旦係合したツメ13、13…はロック9から外れることはなく、カギを挿入してツメ13、13…を開かなくてはならない。図5はこのカギを表している具体例であるが、該カギは持手部14と挿入部15から構成し、挿入部14には十字片16を有し、この十字片16が各ツメ13、13…の間に嵌るように挿入するならば、ツメ13、13…は開いて先端はロック9から外れ、この状態でロックプレート4をスリット溝5から抜き取ることが出来る。」(第0015段落) 以上の記載によれば、甲第1号証には、「貸出ケースにおいて、該貸出ケースはビデオテープが入る箱形本体と蓋からなり、本体下面にはロックを設けると共に蓋の下面にはスリット溝を形成し、蓋を閉じた状態で防犯タグシールを貼着したロックプレートをスリット溝に嵌めて上記本体のロックと係合して固定することで、蓋が開かないようにロックすることを特徴とするビデオテープ等のロック付き貸出ケース。」の発明(以下、「甲第1号証記載の発明」という。)が記載されていると認められる。 d.訂正後の請求項2に係る発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断 甲第1号証記載の発明における「スリット溝」は、ロックプレートが嵌め込まれるものであり、ロックプレートが嵌め込む際には、当然案内の役目をしているものと認められるので、訂正後の請求項2に係る発明の「ガイド手段」に相当する。 甲第1号証記載の発明における「ロックプレート」は、ロックプレートには防犯タグシールが貼着され、ロックプレートを嵌めた状態で防犯装置を通過するならば、センサーが感知して警報音等を発するものであり(上記記載エ参照)、貸出ケースに抜き差し自在に差し込まれるものであり、訂正後の請求項2に係る発明の「スライダ」に相当する。 さらに、甲第1号証記載の発明における「貸出ケース」、「防犯タグシール」は、それぞれ、訂正後の請求項2に係る発明の「盗難防止用ケース」、「盗難防止用タグ」に相当する。 そうすると、両発明は、「スライダと、盗難防止用ケースに設けてスライダを差し込むガイド手段と、スライダに設けた盗難防止用のタグとからなる盗難防止用ケース。」である点で一致するものの、少なくとも、訂正後の請求項2に係る発明は、スライダのガイド手段を盗難防止用ケース内に設けているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド手段(スリット溝)を、盗難防止用ケースを構成する蓋の下面(図1、図4によると、蓋の側壁の上部。)に設けており、ガイド手段(スリット溝)を盗難防止用ケース内に設けることについて言及するものでも、また示唆するものでもない点で相違する。 そして、訂正後の請求項2に係る発明は、上記相違点に係る事項を採用することによって、スライダを抜き差しする際に、ケース内のガイド手段によって、スライダがケース内でふらつくことなくガイドされ、ケース内に収容された未包装の商品の損傷を防止できるという格別な効果を有するものであり(平成15年12月16日付け審判事件答弁書第7頁第17〜20行)、訂正後の請求項2に係る発明は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、他に訂正後の請求項2に係る発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正後の請求項2に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 e.訂正後の請求項9に係る発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断 訂正後の請求項9に係る発明と甲第1号証記載の発明とを対比するに、両発明は、「4.(2)(2-2)d.訂正後の請求項2に係る発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断」で一致するとした点で一致し、少なくとも相違するとした点で相違する。 したがって、「4.(2)(2-2)d.訂正後の請求項2に係る発明と甲第1号証記載の発明との対比・判断」で述べたと同様な理由によって、訂正後の請求項9に係る発明は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、他に訂正後の請求項9に係る発明が特許を受けることができないとする理由を発見しない。 したがって、訂正後の請求項9に係る発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。 (2-3)まとめ したがって、平成15年12月16日付けの訂正請求書による訂正は、特許法第134条第2項ただし書に掲げる事項を目的とし、同条第5項の規定によって準用する特許法第126条第2、3、4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 5.無効理由の検討 (1)本件特許の請求項1、3、4、5、6及び7に係る発明 本件特許の請求項1、3、4、5、6及び7に係る発明は、平成15年12月16日付けの訂正請求書に添付された訂正明細書の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1、3、4、5、6及び7に記載された次のとおりのものと認める(以下、それぞれ、「本件訂正後の特許発明1」、「本件訂正後の特許発明3」、「本件訂正後の特許発明4」、「本件訂正後の特許発明5」、「本件訂正後の特許発明6」及び「本件訂正後の特許発明7」という。)。 「【請求項1】未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに抜き差し自在に差し込むスライダのガイド手段をケース内に設け、このガイド手段にスライダを差し込み、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項3】未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項4】前記のスライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする請求項3に記載の盗難防止用ケース。 【請求項5】未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項6】一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項7】一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに前記スライダの差し込み終了時に上記ケース内の収納商品の抜き取り防止用のストッパを設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。」 (2)引用例 請求人の提出した甲第1号証の記載事項は、前記「4.(2)(2-2)c.」に記載したとおりである。 (3)対比・判断 a.本件訂正後の特許発明1と甲第1号証記載の発明との対比・判断 「4.(2)(2-2)d.」で示した理由により、両発明は、「スライダと、盗難防止用ケースに設けてスライダを差し込むガイド手段と、スライダに設けた盗難防止用のタグとからなる盗難防止用ケース。」である点で一致するものの、少なくとも、本件訂正後の特許発明1は、スライダのガイド手段を盗難防止用ケース内に設けているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド手段(スリット溝)を、盗難防止用ケースを構成する蓋の下面(図1、図4によると、蓋の側壁の上部。)に設けており、ガイド手段(スリット溝)を盗難防止用ケース内に設けることについて言及するものでも、また示唆するものでもない点で相違する。 そして、「4.(2)(2-2)d.」で示したのと同様な理由により、本件訂正後の特許発明1は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 b.本件訂正後の特許発明3と甲第1号証記載の発明との対比・判断 甲第1号証記載の発明における「スリット溝」は、ロックプレートが嵌め込まれるものであり、ロックプレートが嵌め込む際には、当然案内の役目をしているものと認められるので、本件訂正後の特許発明3の「ガイド手段」に相当する。 甲第1号証記載の発明における「ロックプレート」は、貸出ケースに抜き差し自在に差し込まれるものであり、本件訂正後の特許発明3の「スライダ」に相当する。 さらに、甲第1号証記載の発明における「貸出ケース」は、本件訂正後の特許発明3の「盗難防止用ケース」に相当する。 そうすると、両発明は、「スライダと、盗難防止用ケースに設けてスライダを差し込むガイド手段と、からなる盗難防止用ケース。」である点で一致するものの、少なくとも、本件訂正後の特許発明3は、スライダのガイド手段を盗難防止用ケース内に設けているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド手段(スリット溝)を、盗難防止用ケースを構成する蓋の下面(図1、図4によると、蓋の側壁の上部。)に設けており、ガイド手段(スリット溝)を盗難防止用ケース内に設けることについて言及するものでも、また示唆するものでもない点で相違する。 そして、「4.(2)(2-2)d.」で示したのと同様な理由により、本件訂正後の特許発明3は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 c.本件訂正後の特許発明4と甲第1号証記載の発明との対比・判断 本件訂正後の特許発明4は、本件訂正後の特許発明3の構成をすべて含むものであり、当該本件訂正後の特許発明3が上記「5.(3)b.本件訂正後の特許発明3と甲第1号証記載の発明との対比・判断」で示したとおり、甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本件訂正後の特許発明4も、甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 d.本件訂正後の特許発明5と甲第1号証記載の発明との対比・判断 本件訂正後の特許発明5は、本件訂正後の特許発明1の構成をすべて含むものであり、当該本件訂正後の特許発明1が上記「5.(3)a.本件訂正後の特許発明1と甲第1号証記載の発明との対比・判断」で示したとおり、甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできないから、本件訂正後の特許発明5も、甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 e.本件訂正後の特許発明6と甲第1号証記載の発明との対比・判断 甲第1号証記載の発明における「スリット溝」は、ロックプレートが嵌め込まれるものであり、ロックプレートが嵌め込む際には、当然案内の役目をしているものと認められるので、本件訂正後の特許発明6の「ガイド手段」に相当する。 甲第1号証記載の発明における「ロックプレート」は、貸出ケースに抜き差し自在に差し込まれるものであり、本件訂正後の特許発明6に係る発明の「スライダ」に相当する。 そうすると、両発明は、「スライダと、盗難防止用ケースに設けてスライダを差し込むガイド手段と、からなる盗難防止用ケース。」である点で一致するものの、少なくとも、本件訂正後の特許発明6は、スライダのガイド手段を盗難防止用ケース内に設けているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド手段(スリット溝)を、盗難防止用ケースを構成する蓋の下面(図1、図4によると、蓋の側壁の上部。)に設けており、ガイド手段(スリット溝)を盗難防止用ケース内に設けることについて言及するものでも、また示唆するものでもない点で相違する。 そして、「4.(2)(2-2)d.」で示したのと同様な理由により、本件訂正後の特許発明6は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 f.本件訂正後の特許発明7と甲第1号証記載の発明との対比・判断 「4.(2)(2-2)d.」で示した理由により、両発明は、「スライダと、盗難防止用ケースに設けてスライダを差し込むガイド手段と、スライダに設けた盗難防止用のタグとからなる盗難防止用ケース。」である点で一致するものの、少なくとも、本件訂正後の特許発明7は、スライダのガイド手段を盗難防止用ケース内に設けているのに対して、甲第1号証記載の発明は、ガイド手段(スリット溝)を、盗難防止用ケースを構成する蓋の下面(図1、図4によると、蓋の側壁の上部。)に設けており、ガイド手段(スリット溝)を盗難防止用ケース内に設けることについて言及するものでも、また示唆するものでもない点で相違する。 そして、「4.(2)(2-2)d.」で示したのと同様な理由により、本件訂正後の特許発明7は甲第1号証記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 6.むすび 以上のとおりであるから、請求人の主張する無効理由及び提出した証拠方法によっては、本件訂正後の特許発明1、3、4、5、6及び7についての特許を無効とすることはできない。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 盗難防止用ケース (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに抜き差し自在に差し込むスライダのガイド手段をケース内に設け、このガイド手段にスライダを差し込み、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項2】 前記のガイド手段が、別部品により形成され、かつケースに適宜の取付け手段を介し取付けたことを特徴とする請求項1に記載の盗難防止用ケース。 【請求項3】 未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項4】 前記のスライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする請求項3に記載の盗難防止用ケース。 【請求項5】 未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項6】 一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項7】 一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに前記スライダの差し込み終了時に上記ケース内の収納商品の抜き取り防止用のストッパを設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケース。 【請求項8】 商品に適宜の取付け手段を介し取付ける取付け部材と、この取付け部材に設けた適宜のガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記取付け部材或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止タグを設けたことを特徴とする商品の盗難防止装置。 【請求項9】 前記スライダにスライダ成形の際固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止タグを埋め込んだことを特徴とする請求項1,4,5,7及び8に記載の盗難防止ケース及び装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、CDカセットの音楽や映像を記録してあるディスクやビデオテープ、ゲームソフトなどの商品やその他の未包装の商品で、貸出し或いは販売の専用ケースと共に盗難を防止する盗難防止ケースや、またその他の各種陳列商品の盗難を防止する装置に関する。 【0002】 【従来の技術及びその課題】 従来のレンタルシステムは、既知のようにレンタルショップの棚に空のケースを並べて陳列しておき、顧客が陳列してある所望のレンタル商品名の空のケースを取り出してカウンタに持参すると、カウンタ内の店員によって空のケースの表示レンタル商品を保管場所から取り出し、かつ所定の手続きをして貸し出す。 【0003】 このようなレンタル方式を採用すると、顧客が直接レンタル商品に手をふれることがないので、レンタル商品の盗難をなくすることができる。 【0004】 しかしながら、店員による保管場所からのレンタル商品の選出や整然とした保管などにより著しく手数がかかってスムーズな貸し出しが困難になると共に、広い保管場所を必要とするなどの問題があった。 【0005】 一方、ショップの棚にレンタル商品の収納ケースを陳列しておき、顧客が陳列してある所望のレンタル商品を収納してあるケースを棚から取り出してカウンタに持参し、レンタル手続きをすることにより前述のような問題を解決することができる。 【0006】 しかしながら、顧客が直接レンタル商品を手にすることが出来ることから無断で持ち出すことができるので、盗難が起生する。 【0007】 そこで、盗難を防止するために、レンタル商品或いはレンタル商品の収納ケースの任意の位置に固有のIDコード(電源のない)をもつ盗難防止タグを取り付けられ、ショップの出入口には、所定の高周波電磁界を発生させておき、レンタル商品が出入口を通過する際に前記IDコードの共振回路が共振して固有のIDコードを発信し、高周波電磁界が変調することによりそれを検出して商品の通過を検出し、それが貸し出されたものであるか、又は無断で持ち出されたものであるかを店員が監視するようにしている。 【0008】 しかしながら、カウンタでのレンタル手続きの際に上記のIDコード(タグ)を何らかの方法でシールドしなければ、所定の手続きをして貸し出されたレンタル商品であっても無断で持ち出されたものと同様に検出される不都合がある。 【0009】 このため、シールドの手続きにわずらわしい作業が必要になると共に、シールド用の備品によりコストが大幅にアップする問題があった。 【0010】 また、レンタルショップ以外のショップでの陳列各種商品の盗難を防ぐてだてもない。 【0011】 そこで、この発明の課題は、確実に商品の盗難を防止すると共に、貸し出しや販売に際しショップ側にタグ(IDコード)を残してわずらわしいシールドの手続きが不要になり、かつタグの回収したケースは、販売や貸し出しにもなるようにしたものである。 【0012】 【課題を解決するための手段】 上記の課題を解決するために、この発明は、未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに抜き差し自在に差し込むスライダのガイド手段をケース内に設け、このガイド手段にスライダを差し込み、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケースを採用し、前記のガイド手段が、別部品により形成され、かつケースに適宜の取付け手段を介し取付けることもある。 【0013】 また、未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケースを採用し、前記のスライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設ける。 【0014】 さらに、未包装の商品を収納する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケースを採用する。 【0015】 また、一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設けたことを特徴とする盗難防止用ケースを採用する。 【0016】 さらに、一面に未包装の商品の出し入れ用の開口を有する貸出し或いは販売用の専用ケースにおいて、このケースに適宜のガイド手段をケース内に設けて、このガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記ケース或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに前記スライダの差し込み終了時に上記ケース内の収納商品の抜き取り防止用のストッパを設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止用のタグを設けたことを特徴とする盗難防止用ケースを採用する。 【0017】 また、商品に適宜の取付け手段を介し取付ける取付け部材と、この取付け部材に設けた適宜のガイド手段に抜き差し自在にスライダを差し込むと共に、上記取付け部材或いはガイド手段と上記スライダとの対向面に前記スライダの差し込みにともない押し戻され、かつ差し込み終了にともない係合関係になるような係止手段を設け、この係止手段の係合関係を解除する係合解除具の差し込み通路を設け、上記スライダに固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止タグを設けたことを特徴とする商品の盗難防止装置を採用することもある。 【0018】 【発明の実施の形態】 この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 【0019】 この発明の第1の実施形態では、図1から図14に示すように、Aは未包装の商品aの収納ケースである。上記のケースAは、図示の場合後面の開口1から商品aのビデオテープを収納してレンタルショップの棚に並べて陳列するようにしたが、収納する商品に応じたケース、例えば、ビデオテープ、CDなどの専用ケースは、周知の箱体と、この箱体の開口を開閉するように箱体にヒンジを介し蓋体を設けた形式や図15に示すように上面が開放する形式などであってもよい。 【0020】 また、このケースAには、スライダBを抜き差し自在に差し込むガイド手段2が設けてある。 【0021】 上記のガイド手段2は、図1から図4に示すように、開口1からケースAに収納した商品aの上面とケースAの頂壁3の下面との間隙を利用する場合と、図5及び図6に示すようにケースAの頂壁3上面に扁平な角筒4を重ねて、重なり面を接着剤や熱融(溶)着などの固着手段を介し固着する以外にケースAと一体的に角筒4を成形(図示省略)して、角筒4内をガイド手段2とする以外に図7及び図8に示すように頂壁3の下面に接着剤や熱融(溶)着などの固着手段を介し固着した取付壁5の下面両側縁部(スライダBの抜き差し方向に沿う縁部)とスライダBの両側縁一方の突条6と他方の溝条7とを嵌合させてガイドする場合や、図9及び図10に示すように、ケースAの頂壁3上面に前述と同様の固着手段を介し固着した取付壁5の上面両側との設けた一方の突条6を他方の溝条7とを嵌合させてガイドする場合や、その他に頂壁3にL、7字状などの並列溝形材或いはH形のガイド材(図示省略)などを設けてガイドする場合や、その他に頂壁3にL,7字状などの溝形並列材或いはH形のガイドとなるものを設ける場合などがある。 【0022】 要するに、スライダBが抜き差し自在にガイドされるガイド手段2を設ければよい。 【0023】 さらに、スライダBには、固有のIDコードをもち、ショップの出入口を通過の際前記出入口に設置の高周波電磁界の発生により共振回路が共振して固有のIDコードの発信にともない前記高周波電磁界を変調させるような盗難防止タグEが設けてある。 【0024】 すると、ケースAに未包装の商品aを収納し、かつケースAにスライダBを挿入しておくと、このタグEによってスライダBの挿入ずみ商品aの収納ケースAがショップの出入口を通過する際に前記IDコードの共振回路が共振して固有のIDコードを発信し、高周波電磁界が変調することによりそれを検出して商品aの収納ケースAの通過を検出する。 【0025】 それが無断で持ち出されたものであるかを店員が監視するようにしている。 【0026】 すなわち、盗難を防止する。 【0027】 また、ケースA或いはガイド手段2とスライダBとの対向面には、スライダBの差し込みにともない押し戻され、スライダBに差し込み終了時に係合関係になってスライダBの抜き差しを阻止する係止手段Cが設けてある。 【0028】 上記の係止手段C、図1から図4に示すようにケースAの頂壁3側に下面が開放する凹入状の係止部11と、スライダBに自由端がスライダBの差し込み方向の反対側に向く係止片12とで構成されている。 【0029】 なお、係止部11は、凹入部以外に図16に示す貫孔や、図17に示す突起などがあり、係止片12は、スライダBにコ字状のスリット13を入れて、このスリット13の内側を押し出して設けたが、別に形成された係止片12の端末をスライダBに接着、融(溶)着、鉄などの固着手段を介し固着すればよい。 【0030】 勿論、図示の場合図1から図8に示すようにガイド手段2側に係止部11を、スライダB側に係止片12を設けたが、逆にすることも(図9及び図10に示すようにガイド手段2側に係止片12を、スライダB側に係止部11を)可能である。 【0031】 なお、ケースAの頂壁3の肉厚が薄い場合、或いは加工性の問題(既知のケース使用などにともなう)がある場合、頂壁3の片面に係止手段Cの加工板14を適宜の固着手段を介し貼り付けたり、図5及び図6に示すように角筒4の壁に、図8に示すように取付板5に設ける以外に図11に示すようにケースAの頂壁3の肉厚を他の壁の肉厚よりも厚くするか、図12に示すようにケースAの頂壁3を二重壁にして、内側の頂壁に貫孔の係止部11を設けることもある。 【0032】 上記スライダBの差し込み停止位置決めは、適宜のストッパ15により行なう。 【0033】 上記のストッパ15は、例えば図3に示すようにケースAの前壁にスライダBの差し込み先行端を衝突させて行なう以外に、角筒4の端面閉鎖壁を利用するか、図9及び図10に示すように取付壁5の端縁起立片を利用すればよい。 【0034】 また、係止手段Cを挟んで対向する面間には、係止手段Cの係合解除具Dの差し込み通路16が設けてある。 【0035】 上記の係合解除具Dは、図13及び図14に示すように差し込み通路16に障害部17を設けてある関係上、障害部17に板状の係合解除具Dが衝突しないように二叉状の長尺片19と短尺片20を設けて、長尺片19が前後二個所の奥側係止手段Cを短尺片20が入口側の係止手段Cを係合解除する。 【0036】 上記の係合解除具Dは、図示の場合それぞれの係止片12の自由端側を二叉状にして、二叉状間に係止部11の反対方向に突出するガイド片21を設け、このガイド片21に長尺片19、短尺片20の先端尖部22が乗り上げると、突出力に抗して係止片12を押し逃がして、係止部11から係止片12の先端(自由端)を脱出させて、係合関係を解除するようになっている。 【0037】 上記のような構成すると、ケースAに商品aを収納すると共に、ガイド手段2にスライダBを差し込む。 【0038】 その際、スライダBの差し込みにともないガイド手段2によって係止手段Cの係止片12が押し戻され、スライダBの差し込み終了(ストッパ15による)時に係止片12と係止部11とが合致するので、押し戻された係止片12が係止部11に嵌入すると共に、嵌入によって係止部11と係止片12とが図3、図10に示すように自動的に係合関係になってガイド手段2に対するスライダBの引き抜きが阻止される。 【0039】 すると、商品aの収納ケースAを店外に持ち出そうとしても、スライダBのタグEによって盗難が検出される。 【0040】 商品aの販売に際しては、店員によって差し込み通路16に係合解除具Dを差し込む。 【0041】 係合解除具Dの差し込みにともない長尺片19及び短尺片20の尖部22がガイド片21の上に乗り上げると共に、係合解除具Dの差し込み続行によって係止片12を押し逃がすので、図4に示すように係止部11から係止片12を脱出させて係合関係が解除される。 【0042】 このため、係合解除具Dを引き抜くと、共にスライダBも引き抜かれ、引き抜かれたスライダBを店側に残す。 【0043】 すると、レンタルショップにあっては、ケースAと共に商品aの貸し出しが、販売店にあっては、ケースAと共に商品aの販売ができる。 【0044】 すると、従来のようにケースや商品にタグを設けたために発生したシールド備品が不要になる。すなわち、タグE付のスライダBを店側に残すためにわずらわしいシールドの作業が不要になる。 【0045】 なお、係合解除具DとスライダBとの重なり面の接触圧を利用(係止片12の押し逃がしによる)して共に引き抜くようにしたが、係合解除具Dの差し込み終了時に適宜の手段によって重なり、或いは対向面に引っかかりを設けることもある。 【0046】 なお、係合解除具Dの形状は、図示の場合係止手段Cの配置や数によって二叉状にしたが、二叉状に限定されない。すなわち係止手段Cの数や配置は自由であり、係合解除具Dの差し込みによって係止片12が押し戻されて、係止片12と係止部11との係合関係が解除されるものであればよい。 【0047】 この発明の第2の実施形態では、図18から図23に示すように、第1の実施形態のスライダBには、差し込み端の反対側端より突出してケースAの開口1から商品aの抜き取り(取り出し)を阻止するストッパFが設けてある。 【0048】 上記のストッパFは、図示の場合スライダBと一体に設けたが、別部品のストッパをスライダBに固定して設けることもある。 【0049】 上記第2実施形態のケースAに設けた開口1、ガイド手段2、スライダB及びケースAとスライダBに設けた係止手段C、タグEなどは、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。 【0050】 なお、タグEは、スライダBに限定されず、ストッパFの裏面などに設けることもある。 【0051】 また、ストッパFを設けたために係合解除具Dの差し込みができない場合、ストッパFに係合解除具Dの差し込み貫通窓31(図21に示すように)を設けておくとよい。 【0052】 上記のように構成すると、ケースAに商品aを収納したのち、ガイド手段2により案内されるスライダBを差し込むと共に、係止手段Cの係合関係によりケースAからスライダBを抜けないようにしておくと、図19、図20、図24に示すように商品aにストッパFが対向して、ケースAから商品aの抜き取りを阻止して、商品aの盗難をなくすることができる。 【0053】 店外にケースAと共に商品aを持ち出そうとしても、タグEによって検出される。 【0054】 タグE付スライダBの抜き取りは、図23に示すように係合解除具Dを用いる。 【0055】 上記係合解除具Dの操作及びその作用は、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。 【0056】 この発明の第3の実施形態では、図25から図26に示すように商品a′に適宜の手段を介し取付ける取付け部材41には、ガイド手段2が設けてあり、このガイド手段2によってスライダBを抜き差し自在に差し込むと共に、差し込んだスライダBは、係止手段Cによって引き抜きが阻止され、店側による係止手段Cの係合関係の解除は、係合解除具Dを用いる。 【0057】 上記のガイド手段2、スライダB、係止手段C、係合解除具Dは、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。 【0058】 勿論スライダBには、盗難を防止するタグEが設けてある。 【0059】 上記商品a′に対する取付け部材41の取付けは、図示の場合衣類のため取付け部材41に設けてある透孔42と衣類とに軟質合成樹脂製の止め杆43を突き刺して(既知につき構造を省略)取付けるようにしたが、商品a′によってはガイド手段2付の取付け部材41が邪魔になったり(さしつかえがないと)しない場合その他の手段で固定することもある。 【0060】 すると、タグE付スライダBの差し込みによって商品a′の盗難を検出する。 【0061】 商品a′の販売に際しては、係合解除具Dを用いて引き抜いたスライダBは、店側に回収され、再使用する。 【0062】 上記の操作は、第1の実施形態と同様につき説明を省略する。 【0063】 この発明の第4の実施形態では、図28及び図29に示すように、スライダBに設けたタグEが、スライダBに埋め込んである。 【0064】 上記の埋め込みは、合成樹脂によりスライダBを成形する際、埋め込み成形するもので、タグEの導体(箔や線材など)の全部を埋め込むか、或いは図示のように一部表面を露出させる。 【0065】 すると、スライダBに対する接着剤を用いたタグの取付け作業が不要になる。 【0066】 【発明の効果】 以上のように、この発明の盗難防止用のケースによれば、ケースに盗難防止用のタグ付のスライダを挿入することにより、商品と共にケースを店外に持ち出そうとしてもタグによって盗難を防止し、タグ付のスライダを抜き取って店側に残す(回収する)ことで、タグ付スライダの再使用が可能になると共に、スライダの抜き取ったケースは、貸出しや販売ケースになり、かつ貸出しや販売に際しケースを一々シールドする必要もない。 【0067】 また、係止手段によって店員以外による(係止手段による係合関係の解除を、店側の解除具により行なう)スライダの抜き取りを防止することもできる。 【0068】 さらに、商品に取付ける盗難防止装置によって商品の盗難を防止する。 【0069】 また、スライダに成形の際タグを埋め込んであるので、タグの取付け作業が不要になる。 【図面の簡単な説明】 【図1】この発明の第1の実施形態のケースを示す斜視図 【図2】ケースとスライダの分解斜視図 【図3】ケースにスライダを差し込んだ縦断側面図 【図4】係合解除具を差し込んだ縦断側面図 【図5】ガイド手段の他の例を示す斜視図 【図6】同上の縦断正面図 【図7】ガイド手段の他の例を示す斜視図 【図8】同上の縦断正面図 【図9】ガイド手段の他の例を示す斜視図 【図10】同上のスライダの係合関係を示す縦断側面図 【図11】係止部を示す縦断正面図 【図12】他の係止部を示す縦断正面図 【図13】係合解除具の斜視図 【図14】係合解除を示す横断平面図 【図15】他のケースを示す平面図 【図16】他の係止部を示す縦断側面図 【図17】他の係止部を示す縦断側面図 【図18】第2の実施形態を示す分解斜視図 【図19】ケースにスライダを差し込んだ縦断側面図 【図20】同要部を示す縦断拡大側面図 【図21】ガイド手段とスライダとの他の例を示す斜視図 【図22】同他の例の斜視図 【図23】係合解除具を差し込んだ縦断側面図 【図24】他のケースの例を示す横断平面図 【図25】第3の実施形態を示す斜視図 【図26】スライダを差し込んだ縦断側面図 【図27】同上に係合解除具を差し込んだ縦断側面図 【図28】第4の実施形態の平面図 【図29】同上の縦断側面図 【符号の説明】 A ケース B スライダ C 係止手段 D 係合解除具 E タグ F ストッパ 1 開口 2 ガイド手段 3 頂壁 4 角筒 5 取付壁 6 突条 7 溝条 11 係止部 12 係止片 13 スリット 14 加工板 15 ストッパ 16 差し込み通路 17 障害部 19 長尺片 20 短尺片 21 ガイド片 22 尖部 31 貫通窓 41 取付け部材 42 透孔 43 止め杆 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審理終結日 | 2004-02-17 |
結審通知日 | 2004-02-20 |
審決日 | 2004-03-03 |
出願番号 | 特願平11-338353 |
審決分類 |
P
1
122・
121-
YA
(B65D)
|
最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
鈴木 公子 |
特許庁審判官 |
溝渕 良一 山崎 勝司 |
登録日 | 2001-10-05 |
登録番号 | 特許第3238920号(P3238920) |
発明の名称 | 盗難防止用ケース |
代理人 | 東尾 正博 |
代理人 | 和田 昭 |
代理人 | 鳥居 和久 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 東尾 正博 |
代理人 | 鎌田 文二 |
代理人 | 鳥居 和久 |