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審決分類 |
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 取り消して特許、登録 A61K |
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管理番号 | 1098906 |
審判番号 | 不服2002-6308 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-01-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-04-11 |
確定日 | 2004-07-06 |
事件の表示 | 平成 8年特許願第176446号「スルホコハク酸系界面活性剤含有口腔用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成10年 1月20日出願公開、特開平10- 17443、請求項の数(5)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1.本願発明 本願は、平成8年7月5日の出願であって、その請求項1〜5に係る発明(以下、「本願発明1」等という)は、平成16年4月28日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1〜5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認められるところ、請求項1,5の記載は次の通りである。 【請求項1】 一般式(1):(式は省略)一般式(2):(式は省略)一般式(3):(式は省略)および一般式(4):(式は省略) [一般式1ないし一般式4中、R1は炭素数8〜22のアルキル基またはアルケニル基、AOは炭素数2〜3のオキシアルキレン基、平均付加モル数nは0〜20、Bは-NH-または炭素数2〜3のモノアルカノールアミン残基、M1およびM2は、それぞれ同一または異なり、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたはアルカノールアミンを表す] で示されるスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上からなる口腔用組成物用ステイン形成阻害剤。 (「本願発明1」) 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載のステイン形成阻害剤を配合してなる口腔用組成物。(但し、(i)リゾチームまたはその塩を組成物全量に対して0.05〜5重量%含有し、かつスルホコハク酸ポリオキシエチレンアシルエタノールアミドエステル塩、スルホコハク酸ラウリルナトリウム、およびスルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルナトリウムのスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を含有する口腔用組成物、(ii)タンパク質脂肪酸縮合体類および動物タンパク質の酸加水分解物から選択されるタンパク質誘導体を含有し、かつ一般式(1)ないし一般式(4)で示されるスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を含有する口腔用組成物、または(iii)トリクロサンを組成物全量に対し0.01〜0.5重量%含有し、かつ一般式(1)ないし(4)で示されるスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を組成物全量に対し0.01〜5重量%含有する口腔用組成物を除く。)(「本願発明5」) 2.引用文献 原審における拒絶理由に引用された刊行物には、以下の事項が記載されている。 (1)特開平3-157322号公報(引用文献1) リゾチームまたはその塩0.05〜5重量%とスルホコハク酸ポリオキシエチレンアシルエタノールアミドエステル塩を配合した口腔用組成物(特許請求の範囲)が記載され、第1表には、種々のスルホコハク酸ポリオキシエチレンアシルエタノールアミドエステル塩を配合した実施例、また、比較例として、スルホコハク酸ラウリルナトリウム、およびスルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルナトリウムのスルホコハク酸系界面活性剤を含有する口腔用組成物が記載されている。 (2)特開平5-170632号公報(引用文献2) ラウリル硫酸ナトリウムを含有せず、タンパク質脂肪酸縮合体類および動物タンパク質の酸加水分解物からなる群から選択されるタンパク質誘導体を、(a)フレーバーオイルおよび高起泡性スルホスクシネートの群および(b)天然の乳化剤の群の少なくともひとつの成分と共に含有する口腔衛生組成物(請求項1)が記載されており、高起泡性スルホスクシネートとして、種々の化合物が例示されている(15〜17段落及び表1〜3,5)。 (3)特開平4-139119号公報(引用文献3) トリクロサンとモノアルキルスルホコハク酸を含有する口腔用組成物が記載されている。(特許請求の範囲) 3.当審における対比・判断 1)本願発明1について 上記引用文献1〜3には、それぞれ、口腔用組成物に配合される成分として、本願発明1のスルホコハク酸系界面活性剤に相当するものが記載されている。 しかしながら、引用文献1〜3において、スルホコハク酸系化合物は、リゾチーム、タンパク質脂肪酸縮合体類或いは動物タンパク質の酸加水分解物からなる群から選択されるタンパク質誘導体、またはトリクロサンを必須成分とする口腔用組成物において、当該必須成分を配合した組成物に生じる問題点を解決するために配合されるものであって、本願発明1のようにスルホコハク酸系化合物単独で、「ステイン形成阻害剤」として配合されるものではない。そして、上記スルホコハク酸系化合物は、口腔用組成物中の成分として一般的なものであるとはいえないから、スルホコハク酸系(界面活性剤)化合物がステイン形成阻害作用を有し、ステイン形成阻害剤として有用であることを見いだした本願発明1は、前述の公知のスルホコハク酸系(界面活性剤)化合物の用途の適用範囲を拡大したものということができる。 したがって、本願発明1のスルホコハク酸系界面活性剤からなるステイン形成阻害剤に係る用途発明が、引用文献1〜3に記載の口腔用スルホコハク酸系(界面活性剤)化合物についての開示によって、引用文献1〜3に記載された発明となっているということはできない。 2)本願発明2〜4について 本願発明2〜4は、本願発明1の口腔用組成物用ステイン形成阻害剤に使用されるスルホコハク酸系界面活性剤を限定したものであるから、上記1)で述べたと同様の理由により、引用文献1〜3に記載された発明であるとはいえない。 3)本願発明5について、 原査定の理由は、本願発明の口腔用組成物は引用文献1〜3の組成物と区別できないので、特許法第29条第1項第3号に該当するというものであるが、上記手続補正書により、本願発明5の口腔用組成物については、「(但し、(i)リゾチームまたはその塩を組成物全量に対して0.05〜5重量%含有し、かつスルホコハク酸ポリオキシエチレンアシルエタノールアミドエステル塩、スルホコハク酸ラウリルナトリウム、およびスルホコハク酸ポリオキシエチレン(5)ラウリルエーテルナトリウムのスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を含有する口腔用組成物、(ii)タンパク質脂肪酸縮合体類および動物タンパク質の酸加水分解物から選択されるタンパク質誘導体を含有し、かつ一般式(1)ないし一般式(4)で示されるスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を含有する口腔用組成物、または(iii)トリクロサンを組成物全量に対し0.01〜0.5重量%含有し、かつ一般式(1)ないし(4)で示されるスルホコハク酸系界面活性剤の1種または2種以上を組成物全量に対し0.01〜5重量%含有する口腔用組成物を除く。)」と規定され、引用文献1〜3において、本願発明の口腔用組成物と重複していた組成物は除かれている。 したがって、本願発明5が引用文献1〜3に記載されている発明であるとすることはできない。 4.むすび 以上の通りであるから、原査定の理由で本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論の通り審決する。 |
審決日 | 2004-06-23 |
出願番号 | 特願平8-176446 |
審決分類 |
P
1
8・
113-
WY
(A61K)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小堀 麻子、田村 聖子、中木 亜希、森井 隆信 |
特許庁審判長 |
竹林 則幸 |
特許庁審判官 |
渕野 留香 横尾 俊一 |
発明の名称 | スルホコハク酸系界面活性剤含有口腔用組成物 |
代理人 | 矢野 正樹 |
代理人 | 田中 光雄 |
代理人 | 青山 葆 |