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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200335136 審決 特許
無効2010800100 審決 特許
無効200335239 審決 特許
無効200480218 審決 特許
無効200580005 審決 特許

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審決分類 審判 全部無効 特36 条4項詳細な説明の記載不備 無効としない A61K
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効としない A61K
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない A61K
審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 無効としない A61K
管理番号 1098998
審判番号 無効2001-35008  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1988-04-19 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-01-11 
確定日 2004-06-21 
事件の表示 上記当事者間の特許第1543282号発明「インドメタシン配合のパツプ剤」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第1543282号は、特願昭53-134483号(出願日昭和53年11月2日、以下、「原特許出願」という。)の分割出願(特願昭62-214182号)であって、平成1年5月10日に出願公告された後、平成2年2月15日に特許権の設定の登録がされたものであり、平成13年1月11日に、本件無効審判が請求された。

2.本件特許発明
本件特許発明は、特許明細書の特許請求の範囲の第1項に記載された以下のとおりのものである。

「1 ポリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基材と、グリセリンからなる湿潤剤と、アルミニウム塩及び水とを配合したものからなり、インドメタシンが0.1〜1.5重量%配合され、更にメントールが添加されていることを特徴とするインドメタシン配合のパップ剤。」

3.請求人の主張
請求人は、本件特許は、以下に示す無効理由1〜3により無効とされるべきである旨を主張し、証拠方法として下記の甲第1〜16号証を提出している。

甲第1号証 :特開昭55-62013号公報
甲第2号証 :特公昭61-58445号公報
甲第3号証 :特公昭61-58445号の訂正公告公報
(昭和64年2月27日)
甲第4号証 :特開昭63一88125号公報
甲第5号証 :特開昭55-62014号公報
甲第6号証 :平成7年審判第13937号における平成9年2月18日実 施の証拠調の証拠調調書11〜27頁
甲第7号証 :特開昭51-91318号公報
甲第8号証 :特開昭53-81616号公報
甲第9号証 :特開昭53-15413号公報
甲第10号証:特開昭51-112511号公報
甲第11号証:特開昭52-38016号公報
甲第12号証:特開昭51一26217号公報
甲第13号証:特開昭50-18618号公報
甲第14号証:「薬理と治療」Vol.6、No.10、115〜129頁(1978)
甲第15号証: 日本薬理学雑誌、第74巻、第2号、18頁(1978)
甲第16号証:「薬局」Vol.28、No.9、63、67〜68頁(1978)

無効理由1:本件特許は、分割前の原出願に包含された二以上の発明のうちの一つではなく、また、分割出願に係る発明と分割後の原出願に係る発明とが同一であるので、適法な分割出願と認められない。
その結果、本件特許の出願日は、現実に特許庁に提出された昭和62年8月29日であるから、本件特許に係る発明は原出願の出願公開公報である甲第1号証、原出願の出願公告公報である甲第2号証の特許請求の範囲及び実施例に記載された発明と同一であり、新規性(特許法第29条第1項第3号)又は進歩性(特許法第29条第2項)がない。

無効理由2:仮に、分割要件を満たしているとしても、本件特許の明細書は記載要件(特許法第36条第4項及び第5項)を満たしていない。

無効理由3:また、本件特許の請求項1及び2に係る発明は、甲第7号証〜甲第16号証に基づいて当業者が容易に発明することができたものである。

4.当審の判断

無効理由1について
(1)本件特許発明が、原出願当初明細書に記載された発明であるか否かについて検討する。

ア.インドメタシンの配合量について
請求人は、本件発明でインドメタシンの含有量を「0.1〜1.5重量パーセント」としている点について、原出願の願書に最初に添付した明細書(以下、「原出願当初明細書」という。)には、インドメタシンの含有量についての説明はされていないから、本件特許発明は原出願に包含されていない旨を主張する。(審判請求書5頁19行〜6頁5行)
そこで、この点について検討すると、原出願当初明細書には、インドメタシンの含有量についての総括的な記載はないものの、本件特許発明の実施例である実施例3を含む実施例1〜3にはインドメタシンを含有するパップ剤が記載されており、各実施例のパップ剤中のインドメタシンが、0.125重量%、0.25重量%及び0.5重量%である例が開示されている。
原出願当初明細書に記載された発明は、パップ剤にインドメタシンを配合した点では初めてのものであるが、インドメタシンが抗炎症作用を示すこと自体は本出願前から知られていたのであるから、インドメタシンをパップ剤に配合し得ることが一旦明らかになりさえすれば、パップ剤に配合するインドメタシンの量の下限は、その薬効を奏し得る範囲で最少量を規定すればよく、一方、上限については、インドメタシンは難溶性薬物であるから配合できる量は自ずと定まり、その範囲で任意に設定できるものである。
そうすると、本件特許発明におけるインドメタシンの配合量は、出願当初明細書の実施例の記載及び当業者の一般的な知見に基づいて0.1〜1.5重量%と設定したものであって、原出願の当初明細書に記載された発明の範囲内のものと認められる。

イ.「アルミニウム塩」について
請求人は、原出願当初明細書には実施例3に硫酸アルミニウムの使用が記載されているにすぎず、水酸化アルミニウムを含めた「アルミニウム塩」なる上位概念は、原出願当初明細書から記載も示唆もされないので、本件特許発明は原出願に包含されていない旨を主張する。(審判請求書6頁6行〜6頁18行)
しかしながら、本件特許発明と同様にパップ剤に関する発明が開示された甲第9号証において、「ポリアクリル酸アルカリ金属塩は・・・、多価金属によりポリアクリル酸が架橋されると保型性が向上せしめられる。この発明のパップ剤においてはポリアクリル酸ナトリウムに対して・・・アルカリ土類金属、アルミニウム、鉄、亜鉛の塩を使用することにより優れた保水性、保型性を得ることができる。」(第2頁右下欄7行〜第3頁左上欄2行)と記載されているように、パップ剤に配合されるポリアクリル酸ナトリウムを架橋して保水性・保型性を改善するために「アルミニウム塩」を使用することは本件出願時に知られており、原出願当初明細書の実施例3における硫酸アルミニウムが同様な目的で、アルミニウム塩の1種として使用されていることは当業者に明らかである。そして、原出願当初明細書では、実施例1において保水剤ポリマーと配合するものとして水酸化アルミニウムが酢酸アルミニウムと共に使用されていることからみて、原出願当初明細書の記載からは水酸化アルミニウムを含め「アルミニウム塩」として把握できるものであって、本件特許発明にアルミニウム塩を配合することは、原出願当初明細書に記載された発明の範囲内のものと認められる。

ウ.その他の追加事項について
請求人は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明、図面の簡単な説明及び図面において、原出願当初明細書に記載されていない事項を追加することにより、本件特許発明が原出願当初明細書に記載された発明から実質的に変更され、原出願当初明細書に包含されないものとなっている旨を主張する(審判請求書6頁19行〜9頁2行)ので、以下に検討する。

(ウ-1)実施例に記載された水性パップ剤の構成成分及び製造方法について
請求人は、原出願当初明細書の実施例3の製造工程においてジフェンヒドラミンに言及していないことを根拠に、原出願当初明細書の実施例3の水性パップ剤と本件特許の明細書の実施例の水性パップ剤は、構成成分が異なると主張する。
しかし、請求人自身認識しているとおり、原出願の実施例3には、「ジフェンヒドラミン 0.1g」と記載されており、原出願実施例3には本件実施例と同様にジフェンヒドラミンが配合されていることは明らかであるから、両者の構成成分が異なるとはいえない。
また、請求人は、原出願当初明細書の実施例3と本件特許の実施例は製造方法が異なると主張するが、請求人が特に相違点として指摘する点、即ち後者においてインドメタシンをメントール等に溶かしてポリアクリル酸ナトリウム、酸化亜鉛、ゼラチンの混合物に添加している点は、当業者が当然行う工程をより詳細に記載した程度のことであり、これにより両者の製造方法が異なるものであるとはいえない。

(ウ-2)効果の記載について
請求人は、実施例の水性パップ剤がラットマスタード足蹠浮腫法及びラットカラゲニン浮腫抑制作用において優れていること並びに効果の持続性に優れていることについては、原出願当初明細書に記載されていない旨を主張する。
しかし、原出願当初明細書には、「そこで本発明者は鋭意研究を続けた結果、様々な水性パップ剤に粘膜及び皮膚を経て吸収される抗炎症剤を配合し、ラット足蹠浮腫抑制実験でその有効性を、ヒト貼用試験でその安全性を検討したところ優れた抗炎症作用と“カブレ”発症を想定させうる皮膚発赤作用が少ないことを認め本発明を完成した。」(公報第1頁右下欄11〜17行)と記載され、しかも、その効果を具体的に確認できるラットマスタード足蹠浮腫法による実験結果(第1表)が開示されている。これらの記載からインドメタシン含有パップ剤の効果が確認できるのであるから、実施例そのものの効果についての記載がなく、実験結果の追加があったとしても、原出願当初明細書に本件特許発明の効果が記載されていたことは明らかである。
また、請求人は、本件特許発明で使用されるメントール及びグリセリンの目的及び効果については、原出願当初明細書に記載がなく、当業者の技術常識でもなかった旨を主張するが、当初明細書のインドメタシン含有パップ剤の例である実施例1〜3では、すべてメントール及びグリセリンを使用しており、本件特許発明の具体的構成が開示されているのであるから、その個々の成分であるメントール及びグリセリンについて配合目的や効果の記載がなかったことを以て、本件特許発明が原出願当初明細書に記載されていないということはできない。

エ.甲第5号証との対比に基づく主張
請求人は、原出願当初明細書と甲第5号証の実施例及び表を比較し、両者の実施例1〜4のパップ剤は、インドメタシンその他の成分、含有量及び製造方法において全く同一であること、原出願当初明細書と甲第5号証でラット卵白足跡浮腫法に用いた計12種の抗炎症剤は、ラットマスタード足蹠浮腫法及びラツトカラゲニン足蹴浮腫法にそれぞれ用いられた12種と完全に一致し、ラット卵白足蹄浮腫法の対照無貼用群の膨張率(%)も一致すること、更には甲第6号証[別件の無効審判(平成7年審判第13937号)における本件発明者の証言調書]を挙げて、原出願当初明細書の第1表及び第2表は、いずれも甲第5号証の 実験結果を流用したものであって、実験に基づかない根拠のないものであると主張する。(同請求書第9頁5行〜第11頁4行)
しかしながら、請求人も認めるとおり、原出願当初明細書の実施例1〜3のパップ剤は、メントールを含有する点で甲第5号証のものとは相違し、メントールの配合工程を含む点で製造方法も異なっている。そして、請求人の上記主張に反し、原出願当初明細書の第1表に記載の結果と甲第5号証の第1表の結果は明らかに異なっており、全般的に前者の数値が大きくより効果が高いことを示している。そうすると、両者が共にメントールを配合していない同一の実験結果を示したものということはできない。甲第6号証によれば本件発明者である岩城利一郎が「パップ剤の効果についての実験はメントール等を含有しない系についてのみ行われていた」旨を証言しているが、一般に、発明者がすべての薬理試験を自ら行うというものではなく、確認試験を別人が行うこともあることを考慮すれば、前者のより大きな数値は、原出願当初明細書の実施例に記載されているようなメントール配合製剤についての試験結果であって、抗炎症剤単独である後者に比べて優れた効果を有することを示していると考えるのが自然である。

以上のとおり、上記ア〜エの点について検討しても、本件特許発明は原出願当初明細書に記載された発明であるということができる。なお、本件特許発明が、本件分割出願時の原出願に添付された明細書(公告時の明細書)に記載された発明であることは明らかである。

(2)次に、本件特許発明と原出願に係る特許発明が同一の発明であるかどうかについて検討する。
請求人は、本件特許発明と原出願の特許発明を対比すると、後者の「カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/またはポリアクリル酸ナトリウムからなる保水牲基剤」の択一的構成要件のうち「ポリアクリル酸ナトリウム」が選択される場合において、前者の構成要件の「ポリアクリル酸ナトリウム」は同一であり、他の構成要件は全く同一であるから、両者は同一の発明であると主張する。
原出願に係る特許発明(特許第1469541号)については、当該特許に対する無効審判事件(無効2001-35007号)において、平成13年4月27日付けで訂正請求がされ、平成16年2月4日付け(平成16年2月6日送達)で「訂正を認める」旨の審決がされ、該審決は確定している。
したがって、原出願の特許発明は、その訂正明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。

「(1)カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基剤、又はカルボキシメチルセルロースナトリウムからなる保水性基剤と、グリセリンからなる湿潤剤と、アルミニウム塩と、水とを配合したものからなり、インドメタシンが保水性基剤に対して全体重量の0.1〜1.5重量%配合され、更にメントールが添加されていることを特徴とする経皮吸収性抗炎症剤配合のパップ剤。」

請求人は、本件特許発明と原出願に係る特許発明が同一であるとする根拠として、後者において保水性基材として「ポリアクリル酸ナトリウム」を選択する場合において、両者の保水性基材に係る構成要件が同一である旨を指摘するが、後者の保水性基材は「カルボキシメチルセルロースナトリウム及びポリアクリル酸ナトリウム、又はカルボキシメチルセルロースナトリウム」であり、ポリアクリル酸ナトリウム単独からなる保水性基材は選択肢に含まれないこととなったから、この点において本件特許発明と異なることは明らかである。
そうすると、本件特許発明がその原出願に係る特許発明と同一の発明であるということはできず、本件特許に係る出願は特許法第44条の規定による適法な分割出願であると認められるので、本件特許に係る出願日は原出願の出願日である昭和53年11月2日である。
そして、甲第1号証(原特許出願の公開公報)及び甲第2号証(原特許出願の公告公報)は、本件特許の出願日後に頒布されたことが明らかであるから、本件特許発明は、特許法第29条第1項第3号の規定に該当しないし、特許法第29条第2項にも違反しない。

無効理由2について
請求人は、本件特許の明細書は、明細書の記載要件(特許法第36条第4項及び第5項)に違反しているから、特許法第123条第1項第4号の規定に該当し無効とされるべきである旨を主張するので、以下に検討する。

ア.水の配合量について
請求人は、本件特許発明の“水を配合する”構成要件に関し、明細書によればパップ剤基剤中に多量の水(全体重量の40〜80%)を含有させることによって初めてインドメタシンの経皮吸収作用と湿布効果を相加させる目的が達せられるものと理解できるところ、水の配合量には自ずと制約があるので、その上限・下限の開示が不可欠であるにもかかわらず、特許請求の範囲にそれらの数値的限定が示されていないので、特許法第36条第4項の条件を充たしていないと主張する。(同請求書第29頁11〜20行)
この点について検討すると、本件明細書には「水を、40〜80重量%含有するように配合するのが好ましい。」(本件公告公報2頁右欄39〜40行)と記載され、下限値及び上限値の意義も記載されている(同3頁左欄3〜7行)うえ、請求人が提示した甲第14号証にも「外用剤経皮吸収に水分が強く関与するという報告もあり、高含水量のパップ剤が多数市販されるようになった。」(第127頁左欄下から3行〜右欄1行)と記載されているとおり、通常、相当量の水がパップ剤に含有されることは当業者にとって常識ともいえる事項であり、本件公報3頁左欄3〜7行に記載されたような観点から当業者が適宜に設定できるものであるから、特許請求の範囲に数値限定がないことをもって、本件明細書の記載に不備があるとはいえない。

イ.他の配合成分の割合について
請求人は、本件発明のように配合成分が公知の原料によって構成される場合には、有効成分のアルミニウム塩、メントール、グリセリン等について、その配合量を特許請求の範囲に明記すべきであると主張する。(請求書13頁下から5行〜14頁5行)
しかしながら、本件特許発明はパップ剤にインドメタシンを配合し、さらにメントールを添加した点において公知技術にない優れた技術的特徴を有するものであるから、特許請求の範囲において有効成分の配合量までを特定する必要性は認められない。

ウ.記載内容の不一致について
また、請求人は、特許請求の範囲には「インドメタシンが0.1〜1.5重量%配合され、更にメントールが添加されている」とあるが、発明の詳細な説明には 「水にほとんど溶解しないインドメタシンをメントール、グリセリンに溶解させ、ポリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基材に分散させ」とあり、記載内容が一致していないと主張する(請求書14頁6〜11行)が、特許請求の範囲の「更にメントールが添加されている」との記載は、各成分の配合順序について規定する経時的な意味を持つものではなく、単に配合成分を並列的に記載したものと考えられるから、請求人が主張するような記載内容の不一致があるとはいえない。

無効理由3
請求人は、本件特許発明は甲第7号証〜甲第16号証に基づき当業者が容易に発明することができるものであるから、特許法第123条第1項第2号の規定に該当し無効とされるべきである旨を主張する。(請求書14頁15行〜20頁9行)
より具体的には、請求人は、本件特許発明を
「 (1)ボリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基剤と、
(2)グリセリンからなる湿潤剤と、
(3)アルミニウム塩及び水とを配合したものからなり、
(4)インドメタシンが0.1〜1.5重量%配合され、
(5)更にメントールが添加されていることを特徴とする
(6)インドメタシン配合のパップ剤 」
と分説した上で、「本件特許発明の上記構成要件(1)〜(6)において、いわゆる保水性基剤や湿潤剤等の混合基剤(構成要件(1)及び(2))に薬効成分を加えた(構成要件(4))パップ剤に関しては、甲第8号証を除く甲第7号証〜甲第13号証に記載されており、内服によるインドメタシンの副作用を回避して経皮吸収の外用剤に適用することは甲第8号証に明確に開示されている。また、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリアクリル酸ナトリウムからなる保水性基剤(構成要件1)と、グリセリンからなる湿潤剤(構成要件(2))と、メントール(構成要件(5))の使用と、その量的範囲については通常のパップ剤基剤の配合成分として慣用されていたものであり、構成要件(3)のアルミニウム塩の使用及びその作用効果については甲第9号証に記載されて公知のものであった。そして、インドメタシン含有量0.1〜1.5重量%(構成要件(5))は通常のパップ剤における薬効成分の使用量の範囲に入る程度のもの(必要ならば、甲第8号証を参照)といえるから、これら甲第7号証〜甲第13号証の組み合わせによって、当業者であれば本件発明を即座に実現できたものといわざるをえない。しかも、その効果についても、インドメタシンの経皮吸収性と水性パップ剤の湿布効果との相加作用が期待できることは余すことなく開示されているのである。」(請求書第19頁14行〜20頁1行)と主張している。
そこで、上記請求人の主張について検討すると、甲第7号証、甲第9〜13号証には各種パップ剤が記載されているが、有効成分としてインドメタシンが配合されたものはなく、これらのパップ剤に記載された有効成分化合物がインドメタシンと同等の成分として容易に置き換えできるものともいえない。また、甲第8号証には、インドメタシンを配合した軟膏剤が記載されているが、パップ剤についての記載はなく、この軟膏剤をパップ剤に転用することを示唆する記載はない。そうすると、上記各甲号証に記載の技術を組み合わせようとする動機があったとはいえず、しかも、本件特許発明のパップ剤は、インドメタシンを配合した上で、更にメントールが添加されているものであるから、当業者が上記各甲号証から容易に想到し得るものとはいえない。
そして、本件発明のインドメタシン配合パップ剤は、サリチル酸系薬剤を配合したものに比較して、優れた効果を示し持続性も高いものであり(本件特許公告公報3頁左欄36〜42行)、また、甲第8号証に記載された軟膏剤と比較して、より優れた持続効果を示すものである(同公報3頁左欄43行〜4頁右欄末行及び図参照)。更に、インドメタシンをパップ剤にしたことにより、消炎、鎮痛の緩解において有益な湿布効果が得られ、メントールとグリセリンを併用して皮膚への刺激を減少させ、インドメタシンの皮膚への吸収を改善するという優れた効果を奏するものである(同公報4頁左欄1行〜4行)。
したがって、本件特許発明は、甲第7号証〜甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明にさらにジフェンヒドラミンが添加されているものであるから、上記と同様の理由により、甲第7号証ないし甲第16号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

なお、被請求人は、答弁書において請求人の当事者適格を争っているが、請求人株式会社昭栄は、本件特許発明の属する技術分野において活動を行っている法人であって、本件審判被請求について利害関係は認められるので、被請求人の主張は採用できない。

6.むすび
以上のとおりであるので、審判請求人が主張する無効理由及び証拠方法によっては、本件特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-20 
結審通知日 2004-04-22 
審決日 2004-05-10 
出願番号 特願昭62-214182
審決分類 P 1 112・ 121- Y (A61K)
P 1 112・ 532- Y (A61K)
P 1 112・ 113- Y (A61K)
P 1 112・ 531- Y (A61K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 角 昭久眞壽田 順啓  
特許庁審判長 竹林 則幸
特許庁審判官 森田 ひとみ
深津 弘
松浦 新司
横尾 俊一
登録日 1990-02-15 
登録番号 特許第1543282号(P1543282)
発明の名称 インドメタシン配合のパツプ剤  
代理人 押本 泰彦  
代理人 押本 泰彦  
代理人 吉川 正伸  
代理人 稲木 次之  
代理人 友松 英爾  
代理人 吉川 正伸  
代理人 稲木 次之  
代理人 吉川 正伸  
代理人 吉川 正伸  
代理人 岡本 利郎  
代理人 友松 英爾  
代理人 稲木 次之  
代理人 岡本 利郎  
代理人 友松 英爾  
代理人 三和 晴子  
代理人 押本 泰彦  
代理人 吉川 正伸  
代理人 稲木 次之  
代理人 岡本 利郎  
代理人 押本 泰彦  
代理人 友松 英爾  
代理人 稲木 次之  
代理人 岡本 利郎  
代理人 稲木 次之  
代理人 友松 英爾  
代理人 高見 憲  
代理人 押本 泰彦  
代理人 渡辺 望稔  
代理人 友松 英爾  
代理人 岡本 利郎  
代理人 吉川 正伸  
代理人 押本 泰彦  
代理人 岡本 利郎  

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