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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01M
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01M
管理番号 1099258
審判番号 不服2001-15643  
総通号数 56 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-08-05 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-09-04 
確定日 2004-06-28 
事件の表示 平成 8年特許願第 11370号「液晶表示装置の検査装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 8月 5日出願公開、特開平 9-203687〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成8年1月26日の出願であって、平成13年7月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年9月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年10月2日付で手続補正がなされたものである。

2.平成13年10月2日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成13年10月2日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「常温下だけでなく、高温下などの所望の温度下での液晶表示装置の表示検査が可能な液晶表示装置の検査装置において、液晶表示装置に赤外線を照射する手段を有し、70℃〜90℃の温度下で表示検査を行うことを特徴とする液晶表示装置の検査装置。」
と補正された。

上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である表示検査を行う温度範囲を、「50℃〜90℃」から「70℃〜90℃」に減縮したものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成15年改正前の特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平06-102193号公報(以下、引用例1という。)には、

a.「【0011】引き続き図1を参照して本発明にかかる液晶パネルの検査方法を詳細に説明する。先ず、支持台12の上に液晶パネル11を載置し、ピンプローブ15を当接してテスト用の画像表示を行なわせる。同時に、ヒータ22を通電し液晶パネル11の補助加熱を行なう。さらに、バックライト13を点灯し液晶パネル11を背面から照明し画像観察を可能にする。次に、バルブ3を開きポンプ4からエアを供給する。同時に、エアヒータ7の通電を開始し供給されたエアを加熱する。加熱されたエアはノズル5を介して液晶パネル11の近傍に供給され直接加熱を行なう。この際、温風加熱された液晶パネル11は速やかに設定温度にまで達する。この状態でビデオカメラ18を操作しパーソナルコンピュータ19で画素欠陥解析を行なう。」

b.「【0021】図9は、温風加熱方式を採用した場合における、測定ステージ上での液晶パネル温度と加熱時間との関係を示す実測データである。画像特性検査においては、液晶パネルの測定温度規格は、例えば60±5℃に設定されている。例えば、ノズルから供給される温風の設定温度を70℃にした場合、液晶パネルの表面温度は、加熱開始後50秒程度で速やかに飽和温度に達する。グラフから明らかな様に、この飽和温度は目標温度規格60±5℃の範囲に十分入る。但し、液晶パネルを常温から目標温度に上昇させる場合50秒程度かかり、一層のタクト時間短縮が必要な場合には若干の遅延が生じる。」

との記載が認められ、これらの記載によれば、引用例1には、

「常温下だけでなく、高温下などの所望の温度下での液晶表示装置の表示検査が可能な液晶表示装置の検査装置において、液晶表示装置に、加熱されたエアをノズルを介して供給し直接加熱する手段を有し、60±5℃の温度下で表示検査を行うことを特徴とする液晶表示装置の検査装置。」

との発明(以下「引用例1発明」という。)が開示されていると認めることができる。

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例1発明とを比較すると、両者は、

「常温下だけでなく、高温下などの所望の温度下での液晶表示装置の表示検査が可能な液晶表示装置の検査装置において、液晶表示装置を加熱する手段を有し、所望の温度下で表示検査を行うことを特徴とする液晶表示装置の検査装置。」

の点で一致し、以下の点で相違している。

[相違点1]
液晶表示装置を加熱する手段が、本願補正発明は、赤外線を照射する手段であるのに対し、引用例1発明は、加熱されたエアをノズルを介して供給し直接加熱する手段である点。

[相違点2]
表示検査を行う温度が、本願補正発明は、70℃〜90℃であるのに対し、引用例1発明は、60±5℃である点。

(4)判断
[相違点1]について
加熱する手段として赤外線照射は周知であって(例えば、原査定の拒絶の理由に引用された特開平1-96926号公報参照)、液晶表示装置の検査装置に適用することは、当業者であれば容易になし得ることができる。

[相違点2]について
本願補正発明も、引用例1発明も、共に高温下で表示検査を行うものであり、その際の高温の温度範囲をどの程度とするかは、当業者が必要に応じて適宜なしうる設計的事項にすぎない。

そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1及び周知技術から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、平成15年改正前の特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、特許法第159条第1項で準用する特許法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
平成13年10月2日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、同項記載の発明を「本願発明」という。)は、平成13年4月18日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。

「常温下だけでなく、高温下などの所望の温度下での液晶表示装置の表示検査が可能な液晶表示装置の検査装置において、液晶表示装置に赤外線を照射する手段を有し、50℃〜90℃の温度下で表示検査を行うことを特徴とする液晶表示装置の検査装置。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例、および、その記載事項は、前記「2.(2)」に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、表示検査を行う温度範囲が、「50℃〜90℃」になっているにすぎず、本願補正発明の温度範囲(70℃〜90℃)が含まれているものである。
本願補正発明が、前記「2.(4)」に記載したとおり、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その温度範囲を含む本願発明も、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明、及び、周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-15 
結審通知日 2004-04-20 
審決日 2004-05-06 
出願番号 特願平8-11370
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01M)
P 1 8・ 121- Z (G01M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 居島 一仁居島 一仁  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 水垣 親房
福島 浩司
発明の名称 液晶表示装置の検査装置  
代理人 佐野 静夫  

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