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審決分類 |
審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 B41N |
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管理番号 | 1099308 |
審判番号 | 不服2002-3735 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1992-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-03-04 |
確定日 | 2004-07-12 |
事件の表示 | 平成 3年特許願第 6509号「孔版原紙の製版方法」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 8月27日出願公開、特開平 4-239693]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成3年1月23日の出願であって、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という)は、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。 「熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせた感熱孔版原紙をサーマルヘッドによって感熱製版する孔版原紙の製版方法において、前記感熱孔版原紙として、前記サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積と同じか、またはこれよりも小さい繊維間空隙面積の総和が、全繊維間空隙面積の総和の80%以上を占める薄葉紙を多孔性支持体とし、前記熱可塑性樹脂フィルムの厚さが10μm以下である感熱孔版原紙を用いることを特徴とする孔版原紙の製版方法。」 2.引用例 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された特願平2-405760号(平成2年12月25日出願、平成4年8月12日出願公開、特開平4-221698号、以下、「先願」という)の願書に最初に添付した明細書(以下、「先願明細書」という)には、次の事項が記載されている(記載中の「・・・」は中略を示し、記載箇所は公開公報の対応箇所で示す)。 a.「本発明は、感熱孔版原紙用薄葉紙に関するものである。・・・サーマルヘッド・・・によって熱を受けることにより穿孔製版される感熱孔版印刷用原紙の多孔性支持体として用いる薄葉紙に関するものである。」(2頁1欄7〜11行) b.「感熱孔版原紙に用いられている多孔性薄葉紙としては、(1)こうぞ、みつまた、マニラ麻などの天然繊維を抄造した謂ゆる和紙・・・(2)レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ナイロンなどの再生繊維や合成繊維を紙状に抄造したもの、(3)前記(1)の天然繊維と(2)の再生繊維や合成繊維とを混合して抄造した混抄紙・・・などが一般に知られている。」(2頁1欄13〜24行) c.「従来技術による薄葉紙には次のような欠点があった。即ち、開孔面積が大きくかつそのばらつきが大きいため、インキの通過性が不均一であり、インキが出過ぎた箇所は裏移り・・・となり、インキが出ない箇所は白ぬけ又はぼそつきとなって鮮明な画像が得られない。」(2頁1欄50行〜2欄6行) d.「本発明者は・・・平均径の小さな繊維を使用することによって開孔面積を小さくしかもばらつきを少なくすることにより、良質の画像性が得られることを見い出した。」(2頁2欄12〜16行) e.「本発明では抄造した薄葉紙の坪量は5〜15g/m2、厚さは10〜50μで・・・更に好ましくは、坪量8〜13g/m2、厚さ25〜40μ・・・である。」(2頁2欄21〜25行) f.「インキをフィルムの孔から均一に押し出すためには好ましい長さ(好適には2〜5mm)の細い繊維を使用して繊維本数を増やし、その繊維を均一に分散させることにより薄葉紙の空隙を適度に細分化し、しかも極力均一にする必要がある。」(2頁2欄26〜30行) g.「具体的には平均開孔面積が600〜1,400μ2で開孔面積の標準偏差が1,800μ2以下、開孔率が15〜40%であり、・・・平均開孔面積が1,400μ2よりも大きいとインキの出方が不均一となり、・・・600μ2より小さいと、繊維の分散不良が発生し・・・開孔率が40%を越えるとインキが局部的に出過ぎ・・・15%より低くなるとインキの通過性が悪く」(2頁2欄30〜45行) h.「本発明における多孔性薄葉紙の開孔とは、光が透過し孔を形成しているように見える部分であり、インキが通過する孔を平面的に解析した物である。」(2頁2欄46〜49行) i.「本発明の薄葉紙を構成する繊維としては、天然繊維、再生繊維、合成繊維のいずれでも良い・・・これらの繊維は単独で抄造しても良いし、混抄しても良いが、少なくとも1種類はファインである必要がある。・・・抄造は、通常実施されている方法で行なわれる。」(2頁2欄50行〜3頁3欄9行) j.「開孔解析(平均開孔面積、開孔面積の標準偏差、開孔率)・・・37倍の拡大コピーを作成し、8cm×8cmの範囲について・・・解析した。」(3頁3欄29〜33行) k.「感熱フィルム(延伸された熱可塑性合成樹脂フィルム)と・・・本発明の多孔性支持体としての薄葉紙を・・・貼り合わせ感熱孔版原紙(以下マスターと呼ぶ)とした。」(3頁3欄35〜43行) l.「このマスターを用い、サーマルヘッド試験用印字装置・・・に発熱素子密度400ドット/インチのサーマルヘッド・・・を搭載し、2mm四方の細かい文字と1ドットおよび2ドットで形成される細線と50mm四方の黒ベタ部が印刷できるパターンを最適製版感度にて製版し、全自動ディジタル孔版印刷機・・・にて印刷した。印刷物を目視判定にて評価を行った。」(3頁3欄43行〜4欄2行) m.「マニラ麻(原麻)をアルカリ蒸解し、洗滌後水で・・・希釈し、ビーターで濾水度18°SR・・・に叩解して得たマニラ麻を表1に示す合成繊維・・・と表2で示した組成で均一に混合し、これにエポキシ化ポリアミド樹脂を繊維に対して2%となるように水溶液にして添加し均一に混合した。これを紙料として・・・薄葉紙を抄造した。」(3頁4欄21〜28行) n.PET(A)〜PET(D)やビニロン(A)のデニールが0.1〜2.0であること(4頁表1) o.実施例1〜4及び比較例1〜3における、平均開孔面積(μ2)と開孔面積の標準偏差(μ2)と開孔率(%)が、それぞれ、実施例1が1,046と1,129と21、実施例2が1,217と1,290と34、実施例3が1,263と1,692と33、実施例4が710と820と18、及び比較例1が1,767と2,307と26、比較例2が1,833と3,899と53、比較例3が580と650と13であること(4頁表3) p.実施例1〜4の各評価が○で、比較例1〜3の各評価が×又は△であること(5頁7欄表4) これらの記載を含む明細書の記載からみて、先願明細書には、「熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせた感熱孔版原紙をサーマルヘッドによって感熱製版する孔版原紙の製版方法において、前記感熱孔版原紙として、平均開孔面積が600〜1,400μ2で開孔面積の標準偏差が1,800μ2以下且つ開孔率が15〜40%の薄葉紙を多孔性支持体とした感熱孔版原紙を用いることを特徴とする孔版原紙の製版方法」に係る発明(以下、「先願発明」という)が記載されていると認められる。 3.対比 本願発明(前者)と先願発明(後者)とを対比すると、両者は、「熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせた感熱孔版原紙をサーマルヘッドによって感熱製版する孔版原紙の製版方法において、前記感熱孔版原紙として、薄葉紙を多孔性支持体とした感熱孔版原紙を用いることを特徴とする孔版原紙の製版方法」において一致し、次の点で一応相違する。 <相違点1>薄葉紙について、前者が、サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積と同じか、またはこれよりも小さい繊維間空隙面積の総和が、全繊維間空隙面積の総和の80%以上を占めるのに対し、後者はこれらのことが定かでない点。 <相違点2>熱可塑性樹脂フィルムの厚さについて、前者が10μm以下であるのに対し、後者は定かでない点。 4.当審の判断 相違点1について検討するに、先願発明における平均開孔面積と開孔面積の標準偏差の望ましい範囲は、発熱素子密度400ドット/インチのサーマルヘッドを用いた製版に基づく評価により得られたものであるから(記載事項l参照)、少なくとも、該サーマルヘッドのドットに係る仕様は実際の製版時においても採用され得るものであり、先願明細書で単に「発熱素子密度400ドット/インチのサーマルヘッド・・・を搭載し、・・・製版し」(記載事項l参照)と記載していることは、少なくとも、一般的な縦横同ピッチの場合を含むことが意図されていると認められ、そのときのピッチは1インチ/400ドット=63.5μmであるから、主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積は約4032μm2である。 同じく、本願発明の実施例においても、サーマルヘッドのピッチに関しては400dpiのみが示されていることから(本願明細書段落0004,0022参照)、本願発明の「サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積」の具体的な値としては約4032μm2のみが示されているものである。 そこで、以下においては、便宜上、「サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積」の具体的な値として「4032μm2」を用いると共に、本願発明における「サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積」を「走査ピッチ面積」と、「サーマルヘッドの主走査ピッチと副走査ピッチの積で求められる面積と同じか、またはこれよりも小さい繊維間空隙面積の総和」を「走査ピッチ面積以下のものの総和面積」と、「全繊維間空隙面積の総和」を「全総和面積」とそれぞれ言い換えて検討を進める。 さて、本願発明と先願発明の課題や目的・作用効果からみた薄葉紙の空隙あるいは開孔の大きさにおける意義は、本願発明においては、走査ピッチ面積内に薄葉紙の支持体繊維を存在せしめてフィルムとサーマルヘッドの密着性を良くすると共に、熱溶融による穿孔ドットの広がりを支持体繊維により抑制することにあり、そのために、薄葉紙における走査ピッチ面積以下の空隙をより多くするものである。 他方、先願発明においては、薄葉紙の開孔面積のばらつきを極力少なくしてインキを均一に通過させると共に、開孔面積を適度に小さくしてインキが出過ぎない(局部的にも)ようにすることにあり、そのために、例えば長さ2〜5mmの細い繊維を使用して繊維本数を増やすと共に均一に分散させて薄葉紙の空隙を適度に細分化するものである(記載事項c〜g参照)。 このような先願発明の薄葉紙の開孔(以下においては「空隙」ともいう)に係る意義に最も適う開孔は、当然に適度な小ささの開孔面積付近のものが大多数を占め、この範囲からのばらつきは極力抑えられているものであるから、その平均開孔面積は該適度な小ささの開孔面積付近の範囲にあると考えられ、換言すれば、大多数を占める該適度な小ささの開孔面積は先願発明における平均開孔面積600〜1,400μ2(以下、先願明細書中の「μ2」は「μm2」と記す)付近にあるということができ、この600〜1,400μm2付近の値に対して、上記4032μm2は相当に乖離しており、上記意義に照らせば4032μm2より大きいものが望ましくないことは明らかであり、この点では本願発明と同様といえる。 ところで、本願発明の薄葉紙の実際の製造に関しては、本願明細書段落0012に、ポリエステル、ビニロン、ナイロン等の合成繊維やマニラ麻、コウゾ、ミツマタ、パルプ等の天然繊維を単独又は2種以上併用して用いること、これらの繊度は3デニール以下が好ましく、その坪量は6〜14g/m2で、より好ましくは8〜13g/m2であり、その厚さは10〜60μmで、より好ましくは15〜55μmであることが記載され、同段落0015,0016に湿式抄紙法によることが記載されているが、これらの記載から把握できる薄葉紙の製造条件は、先願明細書の記載(記載事項b,e,i,m,n等参照)から把握できる薄葉紙の製造条件と特には差異が認められないものである。 そうすると、仮に、本願発明の薄葉紙の実際の製造において、上記製造条件により現実に4032μm2より大きい空隙が1つも生じないように制御できるとか、あるいは、現実には4032μm2より大きい空隙が生じてしまうとしても、4032μm2以下の空隙の総和面積の全総和面積に占める割合を上記「80%以上」に確実に制御できるとした場合には、先願発明の薄葉紙の実際の製造においても、同様の制御ができないという理由はなく、しかも、上述したように、4032μm2より大きいものは望ましくないのであるから、本願発明に係る上記のような制御を満たす制御は当然になされ得ることといえる。 また仮に、本願発明の薄葉紙の実際の製造において、現実には4032μm2以下の空隙の総和面積の全総和面積に占める割合を上記「80%以上」に確実には制御できないとした場合には、製造された薄葉紙には該「80%以上」を満たすものと満たしていないものとが含まれ、その中から該満たしているものを選択することになるのであるが、先願発明の薄葉紙の実際の製造においても、同様に該「80%以上」を満たすものと満たしていないものとが製造され得ると考えられ、その場合には、上述したように、4032μm2より大きいものは望ましくないのであるから、当然に該満たすものの中から上記意義により適うものが選択されることになるものである。 これらのことから、先願発明における薄葉紙には、走査ピッチ面積以下のものの総和面積が全総和面積の80%以上を占めるものが含まれるといえる。 先願発明における薄葉紙に走査ピッチ面積以下のものの総和面積が全総和面積の80%以上を占めるものが実質的に含まれているであろうことは、先願明細書に記載された薄葉紙に係るデータからも伺える。 例えば、先願発明に係る実施例4(平均開孔面積710μm2、開孔面積の標準偏差820μm2)を例にとるならば、空隙分布が正規分布になり且つ開孔が100μm2毎に生じているとして各開孔面積までの総和が全開孔面積の総和に占める割合を計算すると、100μm2〜1900μm2で既に約81%を占め、100μm2〜4000μm2では約99.988%を占めることとなって、上記4032μm2より大きい開孔面積の総和が占める割合は0.012%にも満たないものである。 これに対し、請求人は、審判請求書において、先願発明における開孔面積の標準偏差の値は薄葉紙の空隙分布が正規分布をとり得ないことを証明する以外に全く意味のないものであるから、先願発明の薄葉紙に4032μm2以上の開孔面積のものが存在する確率をきわめて小さいとすることはできないとしている。 一般論として同じ平均値と標準偏差であっても実際の分布は種々あり得るのであるが、先願発明の薄葉紙の空隙分布が必ず正規分布以外の分布になるという理由はなく、仮に正規分布をとらないようなものが製造されることがあったとしても、上述したように、先願発明の薄葉紙は空隙が平均開孔面積付近に集中するように製造されるべきものであることや、上述したように、正規分布をとるとした場合には4032μm2より大きい開孔面積の総和の全総和面積に占める割合が0.012%にも満たないことや、4032μm2が平均値710μm2から標準偏差820μm2の4倍以上も離れていることを勘案すると、製造された全てにおいて、4032μm2より大きいものの総和面積の全総和面積に占める割合が必ず20%以上になるとは到底言い難く、むしろ、該20%以上になるものはきわめて少数であると考えられる。 別の見方として、上記実施例4について、空隙が特定の面積Xと4032μm2のみに集中して分布し、平均開孔面積が710μm2であり、4032μm2のものの総和面積が全総和面積の丁度20%になっているモデル(単に数学的なものであって現実にはあり得ないモデル)を想定して標準偏差の面から検討してみるに、該モデルではX=589μm2、Xの個数割合96.5%、4032μm2の個数割合3.5%となり、標準偏差は633μm2となる。 この標準偏差633μm2は実施例4の標準偏差820μm2よりは小さいが相当程度近い値であり、該モデルが現実にはあり得ないものであって、実際には589〜4032μm2にも、さらには4032μm2以上にもばらついて空隙が存在していると考えられ、そのようなものにおいて4032μm2より大きいものの総和面積の全総和面積に占める割合が20%以上である場合には、その標準偏差は820μm2に収まらない、換言すれば、実施例4において標準偏差が820μm2であることは、4032μm2より大きいものの総和面積の全総和面積に占める割合が20%以上である可能性がきわめて小さいことを示しているといえる。 これらのことから、先願明細書に記載された薄葉紙に係るデータからみて、先願発明における薄葉紙に走査ピッチ面積以下のものの総和面積が全総和面積の80%以上を占めるものが実質的に含まれるであろうことの蓋然性はきわめて高いということができる。 なお、請求人は、同書において、所有する薄葉紙A及びBを一般的なものであるとして提示し、これらに基づいて、薄葉紙の空隙分布は、500μm2毎の面積占有率が4000μm2まで次第に低下し、これを越えた途端に再び大きくなるようなものになる旨主張しているが、上記薄葉紙A及びBが空隙の大きさに関してどのようなねらいで製造されたものか不明であり、これをもって先願発明における薄葉紙の空隙分布も必ず同様になるとはいえず、また、一般的な薄葉紙において偶々4032μm2より大きい空隙が多数生じ、その総和面積が20%以上の面積占有率となって、かつ、先願発明が規定する条件を満たすことになっている薄葉紙があったとしても、それをもって先願発明における薄葉紙の空隙分布が必ずそのようになるといえるものではないから、この主張は採用することができない。 また、請求人は、同書において、先願明細書記載の表3及び表4をみると、比較例3(平均開孔面積580μm2)よりも大きな開孔面積(平均開孔面積710〜1,263μm2)を有する実施例1〜4の方が画像性はよく、原審が指摘するように、薄葉紙の平均開孔面積が小さいほどサーマルヘッドの走査ピッチ面積を越える開孔の存在確率は小さくなるとすれば、実施例1〜4のように平均開孔面積が大きな薄葉紙ほど走査ピッチ面積を越える開孔の存在確率は増大することになるから、先願発明では、「走査ピッチ面積を越える(400dpiでは4,032μm2を越える)開孔が存在する確率が高い薄葉紙を用いる方が、画像性が改善されるということになります。」と主張しているが、比較例3の開孔率は13%であって、先願発明が規定する開孔率15〜40%を満たしておらず、開孔率を無視して画像性の良し悪しを論ずることはできないから、平均開孔面積のみに基づくこの主張は採用できない。 以上のことから、相違点1は実質的な相違点とはいえない。 相違点2について検討するに、感熱孔版原紙に用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚さとして10μm以下は周知であって(例えば、特開平2-307789号公報、同2-307790号公報等参照)、先願発明に用いられる熱可塑性樹脂フィルムの厚さを10μm以下にしてはならないとする理由は何もないから、相違点2は、先願発明でも採用され得る厚さを単に規定しただけであって、実質的な相違点とはいえない。 5.むすび したがって、本願発明は、先願発明と同一であり、しかも、先願発明をした者が本願発明の発明者と同一の者でなく、かつ、本願出願の時にその出願人と先願の出願人とが同一の者でないから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-05-02 |
結審通知日 | 2003-05-06 |
審決日 | 2003-05-19 |
出願番号 | 特願平3-6509 |
審決分類 |
P
1
8・
161-
Z
(B41N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中澤 俊彦 |
特許庁審判長 |
小沢 和英 |
特許庁審判官 |
番場 得造 津田 俊明 |
発明の名称 | 孔版原紙の製版方法 |
代理人 | 川北 武長 |