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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1100334 |
審判番号 | 不服2002-6568 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-11-13 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-04-17 |
確定日 | 2004-07-14 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第104997号「遠隔操作方法、ネットワークを介して端末から遠隔操作されるサーバ及びHTMLファイルを格納する記憶媒体」拒絶査定不服審判事件〔平成10年11月13日出願公開、特開平10-301874〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯 本願は、平成9年4月22日に特許出願され、拒絶理由通知がなされ、平成13年7月19日付けで意見書が提出されると共に明細書について手続補正がなされ、再度拒絶理由通知がなされ、拒絶査定がなされ、査定不服の審判請求がなされ、平成14年4月17日付けで明細書について手続補正がなされたものである。 2.本願発明は平成14年4月17日付けで手続補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜9に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に記載された発明(以下、本願発明1という。)は次のとおりである。 「ネットワーク上に存在し、被遠隔操作用のソフトウエアと遠隔操作用のソフトウエアを有するサーバが保有する前記サーバのGUI(Graphical User Interface)資源を、入力装置を有する端末から遠隔操作する方法であって、 (a)前記端末において特定されたサーバアクセス情報に基づいて、前記ネットワークを介して前記サーバにアクセスする段階と、 (b)前記サーバから前記遠隔操作用のソフトウエアを前記端末にダウンロードする段階と、 (c)前記ダウンロードした遠隔操作用のソフトウエアを起動し、前記被遠隔操作用のソフトウエアと前記遠隔操作用のソフトウエアとの通信接続を確立する段階と、 (d)前記ダウンロードした遠隔操作用のソフトウエアに基づいて、前記端末側から前記サーバ側へ前記端末の入力装置から発生する入力情報を送信する段階と、 (e)前記被遠隔操作用のソフトウエアが、前記端末側から送信された入力情報を受領し、その入力情報に基づいて、前記GUI資源に描画命令を生成することを命令する段階と、 (f)前記GUI資源が前記サーバのGUI画面を書替える段階と、 (g)前記描画命令を前記サーバ側から前記端末側へ送信する段階と、 (h)前記端末側で、前記描画命令を受領する段階と、 (I)前記端末側で、前記サーバの書替えられたGUI画面と同じイメージを表示する段階と、 を含む遠隔操作方法。」 3.引用文献に記載の事項 原審の拒絶の査定の理由に引用された引用文献1(真島馨,”複数のマシンを遠隔操作できる32ビット版がぞくぞく登場”,日経バイト,日経BP社,平成8年11月22日,第159号,p.336-341)には、リモートコントロールソフトウエアにおいて、ホスト・コンピュータとゲスト・コンピュータの双方でコントロールプログラムを動かし、ホスト・コンピュータのウインドウをゲスト・コンピュータに表示し、ゲスト・コンピュータのキー操作によってホスト・コンピュータをリモートコントロールすることが記載されている。。 原審の拒絶の査定の理由に引用された引用文献2(後藤新,”モバイルコンピューティングを加速させるリモートアクセス製品”,LAN TIMES,ソフトバンク株式会社,平成8年9月1日,第6巻,第9号,p.154?160)には、リモートコントロールのソフトウェアアプリケーションは電話回線やISDN、LANなどで接続されたパソコンのホスト側アプリケーションとリモートコントロール用ビューワとで構成され、ホストPCの画面をリモートPCの画面の中に表示させてリモートPCによってホストPCをリモートコントロールすることが記載されている。 原審の拒絶の査定の理由に引用された引用文献3(高橋三雄,”ユーザサポートのための通信ソフト”,bit,共立出版株式会社,平成3年6月1日,第23巻,第7号,p.85?87)には、通信回線で接続された2台のコンピュータにそれぞれCarbonCopyというソフトウエアを導入し、被制御コンピュータでは、”Be a Host”のソフトウエアを作動させ、制御を行うコンピュータでは、”Visit”のソフトウエアを動作させ、被制御コンピュータの画面を制御を行うコンピュータの画面に表示させ、制御を行うコンピュータによって被制御コンピュータをリモートコントロールすることが記載されている。 原審の拒絶の査定の理由に引用された引用文献4(森永輔,”WWWソフトをビジュアルに開発”,日経コンピュータ,日経BP社,平成9年1月20日,第409号,p.226?240)には次の事項が記載されている。 「一つ目のクライアント配布型は、LANで接続したクライアント・パソコン上のブラウザにWWWサーバーからアプリケーションをダウンロードし、それをクライアント上で実行する形態だ。」(228頁右欄「保守が容易なクライアント配布型」1行目〜6行目及び230頁図3) 「従来のC/Sシステムは、LANで接続したクライアント機とサーバー機の双方にアプリケーションをあらかじめインストールしておく必要があった。これに対し、クライアント配布型では、WWW技術を使うことでクライアント・アプリケーションへのこうしたインストール作業をなくせる。 クライアント上では、プラグ・イン形式で提供される実行エンジンやJava仮想マシンを使ってアプリケーションを実行する。いったん配布された後は、通常のC/Sシステムと同様に、クライアント・アプリケーションがサーバー・アプリケーションと連携して処理を進める。 クライアント配布型を利用するメリットは、「クライアント・アプリケーションのメンテナンスにかかる作業負荷を大幅に軽減できる」」(229頁左欄5行目〜中欄3行目) 原審の拒絶の査定の理由に引用された引用文献5(森側真一,”97年イントラネット最前線”,日経オープンシステム増刊,日経BP社,平成9年2月10日,p96-101)には次の事項が記載されている。 「Plug-inは、WWWブラウザ上で別プログラムを動作させるための技術。各開発ツール用の実行モジュールをPlug-inとして組み込み、送信してきたアプリケーションをWWWブラウザ上で動作させる。この場合、一度アプリケーションをダウンロードしてしまえば、その後の実行形態はこれまでのC/Sシステムとまったく同じだ。アプリケーションは基本的にクライアント側で動作する。」(99頁左欄下から2行目〜中欄9行目) 「VisualInterDevなど新たなイントラネット用開発ツールは現状のアーキテクチャだと、パフォーマンスと操作性にやや問題を残す。これを解決するために分散オブジェクト環境を用いる動きがある。 問題点は、DBから新たなデータを取り出すたびに、HTMLを再表示すること。実際に使ってみた感じとしては、時間的には一瞬だが、やや気になる。これを解決するには、クライアントのコンポーネントとサーバーのコンポーネントが直接連携する仕組みが必要になる。そこで分散オブジェクト環境の出番となる。 ActiveX環境では、コンポーネント間の連携インタフェースCOM(ComponentObjectModel)をリモート間までに拡張するDCOM(DistributedCOM)が、WindowsNT4.0で登場した。VisualInterDevなどのツールもこれに追随することは想像に難くない。DCOMを利用すれば、クライアント・アプリケーションを一度ダウンロードした後はコンポーネント間で必要なデータだけをやり取りでき、HTMLを再表示するようなオーバーヘッドもない。」(101頁左欄「分散オブジェクト環境で問題解決」の1行目〜中欄4行目) 4.対比・判断 引用文献1〜3には「ネットワーク上に存在して被遠隔操作用のソフトウエアを有するホスト(本願発明1のサーバに相当する。)を入力装置を有するゲスト(本願発明1の端末に相当する。)から遠隔操作する方法において、ゲスト側で遠隔操作用のソフトウエアを起動し、被遠隔操作用のソフトウエアと遠隔操作用のソフトウエアとの通信接続を確立し、ゲスト側でホストの画面と同じイメージを表示して、ゲスト側からホストを遠隔操作する」ことが記載され、当業者に周知の発明(以下、周知発明という。)である。 そして、上記周知発明は、「端末側でサーバの画面と同じイメージを表示して、端末側からサーバを遠隔操作する」のであるから、「端末側からサーバ側へ端末の入力装置から発生する入力情報を送信する段階と、被遠隔操作用のソフトウエアが、端末側から送信された入力情報を受領し、その入力情報に基づいて、GUI資源に描画命令を生成することを命令する段階と、GUI資源がサーバのGUI画面を書替える段階と、描画命令をサーバ側から端末側へ送信する段階と、端末側で、描画命令を受領する段階と」を含むことは、引用文献1〜3に明示して記載されていないが、明らかである。 そこで、本願発明1と周知発明とを対比すると、両者は「ネットワーク上に存在して被遠隔操作用のソフトウエアを有するサーバを入力装置を有する端末から遠隔操作する方法において、遠隔操作用のソフトウエアを起動し、被遠隔操作用のソフトウエアと遠隔操作用のソフトウエアとの通信接続を確立する段階と、遠隔操作用のソフトウエアに基づいて、端末側からサーバ側へ端末の入力装置から発生する入力情報を送信する段階と、被遠隔操作用のソフトウエアが、端末側から送信された入力情報を受領し、その入力情報に基づいて、GUI資源に描画命令を生成することを命令する段階と、GUI資源がサーバのGUI画面を書替える段階と、描画命令をサーバ側から端末側へ送信する段階と、端末側で、描画命令を受領する段階と、端末側で、前記サーバの書替えられたGUI画面と同じイメージを表示する段階と、を含む遠隔操作方法」であるという点で一致し、次の点(以下、相違点という。)で相違している。 相違点について 本願発明1は「サーバが被遠隔操作用のソフトウエアと遠隔操作用のソフトウエアを保有し、端末において特定されたサーバアクセス情報に基づいて、ネットワークを介してサーバにアクセスし、サーバから遠隔操作用のソフトウエアを端末にダウンロードする」のに対して、周知発明は「端末が遠隔操作用のソフトウエアを保有する」点。 そこで、上記相違点について以下に検討する。 「サーバがサーバ用のソフトウェアと端末用のソフトウェアとを保有し、端末においてネットワークを介してサーバにアクセスし、サーバから端末用のソフトウエアを端末にダウンロードし、端末上で実行し、サーバ用のソフトウェアと連携して処理する」ことは引用文献4及び5に記載されているように当業者に周知の慣用技術である。 そして、上記周知の慣用技術と上記周知発明とはネットワーク上のC/S(クライアント/サーバ)システムという技術分野を共通にするものである。 してみると、上記周知発明に上記周知の慣用技術を適用して本願発明1の如く構成することは当業者であれば適宜になし得ることである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明1は、引用文献1〜5に記載の発明及び周知の慣用技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-02-10 |
結審通知日 | 2004-02-17 |
審決日 | 2004-03-01 |
出願番号 | 特願平9-104997 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 須藤 竜也、竹井 文雄、後藤 和茂、小林 義晴 |
特許庁審判長 |
下野 和行 |
特許庁審判官 |
東森 秀朋 内田 正和 |
発明の名称 | 遠隔操作方法、ネットワークを介して端末から遠隔操作されるサーバ及びHTMLファイルを格納する記憶媒体 |
代理人 | 渡部 弘道 |
代理人 | 坂口 博 |
代理人 | 市位 嘉宏 |