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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1100438
審判番号 不服2003-16704  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-05-20 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-08-28 
確定日 2004-07-15 
事件の表示 平成 7年特許願第289991号「情報記録再生装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 5月20日出願公開、特開平 9-134526〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯、本願発明

本願は、平成7年11月8日の特許出願であって、その請求項1に係る発明は、平成15年7月7日付けの手続補正書で補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された、次のとおりのものであると認める(以下、「本願発明」という)。

「【請求項1】
同心円状またはスパラル状に設けられた記録トラックを有する記録媒体を回転させる回転手段と、
前記記録トラックに対して記録パワー及び再生パワーのレーザ光を照射し、情報の記録及び再生を行なう記録再生手段と、
前記記録再生手段により検出される前記記録トラックに記録された前記記録情報のうちの識別情報に基づき、前記記録情報の記録方式がピットポジション記録方式かマークエッジ記録方式かの判別を行ない、判別結果により前記記録方式が前記ピットポジション記録方式であれば試し書きをせず予め設定された記録パワーのレーザ光により記録を行うよう制御すると共に、判別結果により前記記録方式が前記マークエッジ記録方式であれば前記記録媒体に試し書きを行うことにより適正な記録パワーのレーザ光により記録を行うよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする情報記録再生装置。」

2.引用例
1)第1引用例
これに対し、原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平6-168453号公報(以下、「第1引用例」という)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(a)
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気ディスク等の可換性を有する光ディスクに情報を記録したり、あるいは光ディスクに記録された情報を再生する光ディスク装置に関する。
【0002】
【従来の技術】光ディスクに対する情報の記録方式としては、ピットのセンタ位置に意味を持たせるピットポジション記録(マーク間記録)方式と、ピットのエッジに意味を持たせるピットエッジ記録(マーク長記録)方式に大別される。」
(b)
「【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の光ディスク装置は、記録領域が複数のブロックに分割され、且つ各ブロックにアドレス情報が付記されたヘッダー部が設けられた光ディスクを情報記録媒体として用いる光ディスク装置において、該光ディスクに対して複数のフォーマットで情報の記録及び/又は再生を行う記録・再生手段と、該ヘッダー部のアドレス情報を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段の読み取り結果により該光ディスクのフォーマットを判定する判定手段と、該判定手段により判定されたフォーマットに対応したフォーマットで該光ディスクに対する情報の記録及び/又は再生を行うべく該記録・再生手段を制御する制御手段とを備えており、そのことにより上記目的が達成される。」
(c)
「【0016】図1は本発明光ディスク装置のシステム構成の概略を示す。以下にその構成を情報の記録・再生動作と共に説明する。光磁気ディスク1には、後述の図3に示すプリフォーマット情報が付加されている。このプリフォーマット情報は光磁気ディスク1の製造時に付加される。このシステムには、ピットポジション記録・再生回路2およびピットエッジ記録・再生回路3が設けられており、それぞれの方式に適合した記録・再生方式で光磁気ディスク1に対する情報の記録・再生が行われる。」
(d)
「【0022】上記構成に加えて、このシステムには制御回路4およびヘッダー復調器6が設けられている。制御回路4はピットポジション記録・再生回路2およびピットエッジ記録・再生回路3を駆動制御し、両方式による記録・再生を制御する。制御回路4はこの制御をヘッダー復調器6から与えられる判定結果に従って行う。すなわち、ヘッダー復調器6はいずれの方式で記録・再生を行うのかを判定する。この判定動作は、光磁気ディスク1に設けられたヘッダーに記録された信号に基づいて行われる。このため、ヘッダー復調器6には光ヘッド8によって検出されたヘッダー情報(電気信号)がピットポジション記録・再生回路2又はピットエッジ記録・再生回路3を介して与えられる。また、ヘッダー復調器6はアドレス情報を出力する。」
(e)
「【0033】以上の説明では光磁気ディスク1上の記録方式の判定動作について述べたが、この判定結果を利用して光磁気ディスク1にピットポジション方式又はピットエッジ方式の記録を選択的に行うことが可能である。すなわち、記録データを判定された記録方式に適合した変調データに変調し、かつ変調方式に対応した記録・再生回路を選択することにより可能になる。」

上記記載事項及び図面の記載を総合勘案すると、第1引用例には、結局、次の発明が記載されている。
「記録領域が複数のブロックに分割され、且つ各ブロックにアドレス情報が付記されたヘッダー部が設けられた光ディスクを情報記録媒体として用いる光ディスク装置において、
該光ディスクに対してピットポジション方式又はピットエッジ方式の記録・再生方式で情報の記録及び/又は再生を行う記録・再生手段と、
該ヘッダー部のアドレス情報を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段の読み取り結果により該光ディスクの記録・再生方式を判定する判定手段と、該判定手段により判定された記録・再生方式に対応した記録・再生方式で該光ディスクに対する情報の記録及び/又は再生を行うべく該記録・再生手段を制御する制御手段と、
を備えた光ディスク装置。」

2)第2引用例
同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平5-242480号公報(以下、「第2引用例」という)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(f)
「【0007】ところで、上述した追記形(Write Once)や書換え可能形における熱によってピットを形成する記録方式では、図1(a),(b)に示すように、ピットポジション記録方式とピットエッジ記録方式とが考えられている。
【0008】両者を比較した場合の大きな違いは、同図(a)に示すピットボジション記録方式の場合、1つのピットに1つの情報を持たせているのに対し、同図(b)に示すピットエッジ記録方式には、1つのピットのエッジに情報を持たせていることから、ピットボジション記録方式に比べてピットエッジ記録方式はビット密度を2倍にすることができるという利点がある。
【0009】ところが、このようなピットエッジ記録方式では、たとえば図2(a)に示すようなデータに基づいて光ディスクの記録面に信号を記録しようとした場合、たとえば同図(b)に示すように、涙型のピットが形成されてしまう。これは、レーザビームによる熱が光ディスクの記録面に蓄積されることから生じるものである。また、同図(c)に示すように、ピットp1 の後にピットp2 が形成される際、記録すべきピットの領域が点線部分から実線部分に広がってしまう。これは、熱干渉によるものであり、ピットp1 とピットp2 との間隔が短い場合に生じ易い。
【0010】このように、適切な形状のピットが形成されない場合、再生時において、再生RF信号にジッタを生じてしまい、再生音が不適切なものとなったり、再生音にノイズ等が発生してりする原因となる。」
(g)
「【0014】本発明は、このような事情に対処してなされたもので、光ディスクの記録パワー測定領域にテスト信号を記録し、これを再生し最適条件を得ることによって、各種の光ディスクに対する情報記録を適切に行うことができる光ディスクプレーヤを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達成するために、光ピックアップからの変調されたレーザビームによって光ディスクの記録面への情報の記録が可能な光ディスクプレーヤにおいて、前記光ディスクの種別毎にそれぞれの記録面におけるピット形状が最適となる各種条件が記憶されている記憶手段と、この記憶手段に記憶されている各種条件に基づいて前記光ディスクの最中心側に設けられた記録パワー測定領域に対して試し記録を行うとともに、この試し記録された信号の再生情報から記録時における変動分を補正して前記記憶手段に記憶されている各種条件を更新する条件設定手段とを具備することを特徴とする。」
(h)
「【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例の詳細を図面に基づいて説明する。図4は、本発明の光ディスクプレーヤの一実施例を示すものであり、光変調方式によって情報の記録が可能な光ディスク1はスピンドルモータ2によって回転されるようになっている。ピックアップ3はサボーメカ4によって光ディスク1の記録面に対するトラッキング及びフォーカスがとられるようになっている。ピックアップ3によって読取られた再生RF信号はRFアンプ5によって増幅されるようになっている。」
(i)
「【0024】このような構成の光ディスクプレーヤの動作を、図6を用いて説明する。まず、周囲温度検出部17からの記録時の周囲温度情報をメモリ19に記憶させる(ステップ601)。次いで、ピックアップ3を光ディスク1の最内周側の記録パワー測定領域(PCA)に移動させ、その領域に所定量のテスト信号を記録した後、記録パワー検出部16からの記録パワー情報をメモリ19に記憶させる(ステップ602)。
【0025】ここで、ディスク再生位置にセットされたディスクがCAVディスクの場合には、線速度と記録パワーとの比をメモリ19に記憶させ(ステップ603)、更にDCアンプ13からの光ディスク1の反射率情報をメモリ19に記憶させる(ステップ604)。
【0026】エッジ検出部15からの記録ピット長情報をメモリ19に記憶させる(ステップ605)。この状態から、図3における記録波形のディレイ部分を除々に大きくして再度記録パワー測定領域(PCA)に対するテスト記録及び再生を試み、ジッタ検出部7によって検出されるジッタの少ない状態に記録波形のディレイ部分を固定し、この固定した値をメモリ19に記憶させる(ステップ606〜609)。
【0027】次いで、図3における記録波形の保温領域を除々に大きくして再度記録パワー測定領域(PCA)に対するテスト記録及び再生を試み、ジッタ検出部7によって検出されるジッタの少ない状態に記録波形の保温領域を固定し、この固定した値をメモリ19に記憶させる(ステップ610〜613)。
【0028】更に、上記の保温領域における分割パルスの量を除々に増加させて再度記録パワー測定領域(PCA)に対するテスト記録及び再生を試み、ジッタ検出部7によって検出されるジッタの少ない状態に分割パルスの量を固定し、この固定した値をメモリ19に記憶させる(ステップ614〜617)。
【0029】この状態を記録すべき光ディスク1の最適条件とし、この条件に基づいて光ディスク1へのプログラムエリアへの情報の記録を開始する。」

3)第3引用例
同じく、原査定の拒絶の理由で引用された、本願出願前に頒布された刊行物である、特開平3-35426号公報(以下、「第3引用例」という)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(j)
「〔従来技術〕
光記録媒体(光ディスク)における信号記録手段としては、レーザー光のような光ビームを照射し加熱することにより、その部分を溶融変形し或いは相変化させる等の光学的変化を生ぜしめ、これを記録ピット(相変化の場合は記録マーク)の情報信号として記録する方法が採用されている。
この信号記録方式には、大別して、ピット間変調方式とピット長変調方式とが知られている。これら信号記録方式にはともに長所・短所をもち併せているが、前者の方式は、後者の方式(ピット長変調方式)に比べて、記録パルス光出力の変動に対して安定な信号記録が可能であるとされている。そして、このピット間変調方式による記録は通常ピット中心間で行なわれる。」(第1頁左下欄第17行〜同頁右下欄第11行)

4)周知例
他に、周知例として以下の文献を記載の摘記事項とともに提示する。
周知例:特開平6-52547号公報
「【0003】ここに、光ディスクの記録方法の一つとして、記録マークの前エッジと後エッジとに各々符号語ビットを対応させ、記録マークの長さが情報を担うようにした「マークエッジ記録方法」がある。この記録方法は高密度記録化に適している反面、エッジ位置に正確さが要求される。
【0004】即ち、マークエッジ記録方法により記録する際、直前に書込んだ記録マークの余熱の影響により、実際の記録マーク長が印加した記録パルスより長くなったり、前エッジ近傍ではレーザ光による熱の蓄積が不十分なため、図17に示すように、マーク形状の不整が生じ得る。このため、エッジ位置が理想の位置からずれ、ジッターが増大し、最悪の場合には、元のデータ通りに再生できなくなってしまう。よって、マークエッジ記録方法においては、正確なエッジ位置制御が必要となる。」
「【0058】また、本発明の第六の実施例を図11により説明する。本実施例は、前述したような記録パルスの補正値の初期値を予め光ディスク3の指定領域に記憶させておき、この指定領域から読込んだ補正値データの初期値をRAM2に書込むことで、前述したような学習動作を行わせるようにしたものである。光ディスク3の指定領域としては、例えば、SFP(Standard Formated Part) 等が用いられる。
【0059】本実施例によれば、個々の光ディスク3に適した補正値を初期値として保有しているので、その光ディスク3に対する学習動作の時間を短縮し得るものとなる。」

3.対 比
本願発明と第1引用例に記載された発明とを対比する。
第1引用例に記載された発明における「記録領域」 及び「光ディスク」は、それぞれ本願発明における「記録トラック」及び「記録媒体」に相当する。
第1引用例に記載された発明における「記録・再生手段」は、情報の記録及び再生を行うものである点に限り本願発明における「記録再生手段」に相当する。
第1引用例に記載された発明において、「判定手段」は「記録領域が複数のブロックに分割され、且つ各ブロックにアドレス情報が付記されたヘッダー部」の「アドレス情報を読み取る読み取り手段」の「読み取り結果により」、「ピットポジション方式又はピットエッジ方式」の「光ディスクの記録再生方式を判定する」ものであり、ここで「ピットエッジ」とは「マークエッジ」と単に呼称が異なるだけであるから、結局、第1引用例に記載された発明の「該ヘッダー部のアドレス情報を読み取る読み取り手段と、該読み取り手段の読み取り結果により該光ディスクの記録再生方式を判定する判定手段と、該判定手段により判定された記録再生方式に対応した記録再生方式で該光ディスクに対する情報の記録及び/又は再生を行うべく該記録・再生手段を制御する制御手段」は、「前記記録再生手段により検出される前記記録トラックに記録された前記記録情報のうちの識別情報に基づき、前記記録情報の記録方式がピットポジション記録方式かマークエッジ記録方式かの判別を行ない、判別結果により記録を行うよう制御する」ものである限りにおいて本願発明の「制御手段」に相当する。
第1引用例に記載された発明における「光ディスク装置」は、本願発明における「情報記録再生装置」に相当する。

そうすると、本願発明と第1引用例に記載された発明とは次の点で一致する。
<一致点>
「記録トラックを有する記録媒体と、
前記記録トラックに対して情報の記録及び再生を行なう記録再生手段と、
前記記録再生手段により検出される前記記録トラックに記録された前記記録情報のうちの識別情報に基づき、前記記録情報の記録方式がピットポジション記録方式かマークエッジ記録方式かの判別を行ない、判別結果により記録を行うよう制御する制御手段とを備えた情報記録再生装置。」

一方、次の点で相違する。
<相違点>
(相違点1)
本願発明においては、記録トラックが「同心円状またはスパラル状に設けられた」としているのに対し、第1引用例に記載された発明においては、特にそのようには記載されていない点。
(相違点2)
本願発明の情報記録再生装置においては「記録媒体を回転させる回転手段」を備えるのに対し、第1引用例に記載された発明においては、そのような手段について特に言及がない点。
(相違点3)
本願発明においては、情報の記録及び再生を「記録パワー及び再生パワーのレーザ光を照射し」て行うとしているのに対し、第1引用例に記載された発明には特にパワーについて言及がない点。
(相違点4)
本願発明において「制御手段」は、「判別結果により前記記録方式が前記ピットポジション記録方式であれば試し書きをせず予め設定された記録パワーのレーザ光により記録を行うよう制御すると共に、判別結果により前記記録方式が前記マークエッジ記録方式であれば前記記録媒体に試し書きを行うことにより適正な記録パワーのレーザ光により記録を行うよう制御する」ものであるのに対し、第1引用例に記載された発明には、特にそのような制御に言及がない点。

4.判 断
そこで、上記相違点について検討する。
(相違点1及び2について)
記録媒体の一つである光ディスクにおいては、記録領域が同心円状又はスパイラル状のトラックとして形成されることはこの分野の常識であり、敢えて文献等を示すまでもない周知事項である。また、記録領域が同心円状又はスパイラル状であるが故にディスクが回転されることにより記録再生手段であるヘッドがトラック上を相対的に走査することで情報の記録再生が行われることも普通に行われることにすぎないが、一例として、第2引用例の、上記(h)に摘記した第17段落及び図4を参照すると、明らかに回転手段であるスピンドルモータを備えた光ディスクプレーヤが記載されている。したがって、第1引用例に記載された発明が記録媒体として光ディスクを採用することから、相違点1及び2について本願発明のようにすることは当業者にとって当然のことにすぎない。
(相違点3について)
光ディスクにおいて記録及び再生時にそれぞれのためのパワーのレーザ光を照射することは当然のことにすぎないから、相違点3について本願発明のようにすることは当業者にとって当然のことにすぎない。
(相違点4について)
第2引用例には、上記(f)に摘記した第7〜第10段落に記載されているように、ピットポジション方式とピットエッジ方式を比較し、その上で、上記(i)に摘記したように、ピットエッジ方式を用いる場合について記録時における各種条件を記憶することが記載されており、特に第24段落〜第28段落に記載されたステップ602〜617からすると、記録パワー測定領域(PCA)に所定量のテスト信号を記録した後、記録パワー検出部16からの記録パワー情報をメモリ19に記憶させ、この条件に基づいてプログラムエリアへの情報の記録を開始するのであるから、この点は、本願発明において、記録方式がマークエッジ記録方式の場合に「前記記録媒体に試し書きを行うことにより適正な記録パワーのレーザ光により記録を行う」ことに相当する事項が記載されているものである。
光ディスクにおいては、ディスク自体に記録条件が記録されていること、及び当該記録条件を用いて記録動作を行うことが前提技術となっていることは周知であり、そのような既記録の記録条件では不充分な場合への対応として、マークエッジ方式の記録を採用する場合に試し書きを行うことが考え出されてきたのであるから(必要なら前掲の周知例を参照)、第1引用例に記載された発明においても、第2引用例に記載された発明を適用してマークエッジ方式の媒体に対してキャリブレーションを行うようにすることは当業者が容易に想到しうることである。
他方、第3引用例の摘記部分(j)には、ピット間変調方式(ピットポジション方式に同じ、必要ならば、(財)光産業技術振興協会監修、「光ディスク技術ハンドブック」昭和62年9月10日 日経マグロウヒル社、p118参照)とピット長変調方式(ピットエッジ方式に同じ)とを比較して、「後者の方式(ピット長変調方式)に比べて、記録パルス光出力の変動に対して安定な信号記録が可能であるとされている」との認識も示されており、当該認識は本願明細書に記載された「試し書きを行う方法は・・・ピットポジション記録方式に対してはほとんど効果がない」との認識とも共通するものである。
すると、このような認識を踏まえると、第1引用例に記載された発明に第2引用例に記載された発明を適用して、記録方式がマークエッジ記録方式の場合に前記記録媒体に試し書きを行うことにより適正な記録パワーのレーザ光により記録を行うようにするするとともに、ピットポジション方式の媒体に対しては試し書きを省略するようにする程度のことは当業者が容易に想到しうるものである。

以上の検討を総合すると、結局、本願発明は上記各引用例に記載された発明及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-05 
結審通知日 2004-04-06 
審決日 2004-05-31 
出願番号 特願平7-289991
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齊藤 健一  
特許庁審判長 山田 洋一
特許庁審判官 田中 純一
片岡 栄一
発明の名称 情報記録再生装置  
代理人 伊藤 進  

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