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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F28F
管理番号 1100612
審判番号 不服2002-18701  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-03-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-26 
確定日 2004-07-22 
事件の表示 平成 4年特許願第214164号「熱電併給システムの制御方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 6年 3月 4日出願公開、特開平 6- 58692〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明

本願は、平成4年8月11日の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成14年10月24日付けの手続補正によって補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認められる(以下、「本願発明」という。)。

「電気と温熱を発生するコジェネレーションシステム及び前記コジェネレーションシステムに並列記置される補助加熱装置からなる熱源機群と熱負荷とを蓄熱槽を介して分離して構成されるとともに、前記蓄熱槽の熱を外部へ放熱する放熱手段を備えた熱電併給システムにおいて、横軸を熱発生量、縦軸を電力発生量とした熱電発生図における熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が小さいとき、前記コジェネレーションシステムは電力需要追従運転を行って、余剰熱を前記蓄熱槽に蓄え、前記熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が大きいとき、前記コジェネレーションシステムは電力需要追従運転を行って、不足熱需要を前記蓄熱槽から賄い、前記コジェネレーションシステムの運転にかかわらず、前記蓄熱槽の蓄熱量のみを監視して、前記蓄熱槽の蓄熱量が不足した時は前記補助加熱装置を運転して賄い、前記蓄熱槽の蓄熱量が余る時は前記放熱手段で放熱することを特徴とする熱電併給システムの制御方法。」

2.引用例

原査定の拒絶の理由に引用した実願昭56-47907号(実開昭57-160948号)のマイクロフィルム(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、次の記載がある。

・「エンジン(1)を冷却した送出管(2)中の10〜80℃の冷却水はエンジンの排気管(22)からの廃熱を熱交換器即ち廃熱吸収器(3)によって回収し、80〜90℃の高温水となって温水タンク(11)内の高温水タンク(7)に貯蔵される。この高温水は吸収式冷凍機などの負荷装置(4)に管(12)により供給され、その保有熱量が使用されたのちは約70℃の低温水となつて管(13)を通って低温水タンク(7)に貯蔵される。この低温水は再びエンジンの冷却水として使用され管(5)及び水ポンプ(14)によって送水され潤滑油クーラー(15)及び管(30)を経てエンジン(1)を冷却し送出管(2)を出て再び同じサイクルをくり返すこととなる.」(第5頁第3-15行)

・「本例では水温が上昇したときはクーリングタワー(23)にポンプ(24)及び管(25)で送水冷却され約70℃に保持されている。負荷が必要とする高温水の水温と水量を確保するために本例では発電機負荷の少ないなどで高温水温が低いときは水温リレー(図示せず)によって加熱用ヒーター(26)を作動させ所要水温まで昇温する。」(第6頁第20行-第7頁第7行)

したがって、引用例には、次の発明が記載されているものと認められる(以下、「引用例発明」という。)。

「発電機27、エンジン1及び排熱吸収器3等、並びに前記発電機27等に並列記置される加熱用ヒータ26からなる熱源機群と吸収式冷凍機4とを温水タンク11を介して分離して構成されるとともに、前記温水タンク11の熱を外部へ放熱するクーリングタワー23を備えた熱電併給システムにおいて、前記発電機27等は電力需要追従運転を行って、エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が小さいとき、余剰熱を前記温水タンク11に蓄え、エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が大きいとき、不足熱需要を前記温水タンク11から賄い、前記発電機27等の運転にかかわらず、前記温水タンク11の水温のみを監視して、前記温水タンク11の水温が低い時は前記加熱用ヒータ26を運転して賄い、前記温水タンク11の水温が高い時は前記クーリングタワー23で放熱する熱電併給システムの制御方法。」

3.対比

本願発明と引用例発明とを比較する。

引用例発明の「発電機27、エンジン1及び排熱吸収器3等」は本願発明の「電気と温熱を発生するコジェネレーションシステム」に相当し、以下同様に、「加熱用ヒータ26」は「補助加熱装置」に、「吸収式冷凍機4」は「熱負荷」に、「温水タンク11」は「蓄熱槽」に、「クーリングタワー23」は「放熱手段」に、「温水タンク11の水温」は「蓄熱槽の蓄熱量」に、それぞれ相当する。

したがつて、両者は、

「電気と温熱を発生するコジェネレーションシステム及び前記コジェネレーションシステムに並列記置される補助加熱装置からなる熱源機群と熱負荷とを蓄熱槽を介して分離して構成されるとともに、前記蓄熱槽の熱を外部へ放熱する放熱手段を備えた熱電併給システムにおいて、前記コジェネレーションシステムは電力需要追従運転を行い、前記コジェネレーションシステムの運転にかかわらず、前記蓄熱槽の蓄熱量のみを監視して、前記蓄熱槽の蓄熱量が不足した時は前記補助加熱装置を運転して賄い、前記蓄熱槽の蓄熱量が余る時は前記放熱手段で放熱する熱電併給システムの制御方法。」

の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点]
本願発明では、「横軸を熱発生量、縦軸を電力発生量とした熱電発生図における熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が小さいとき、余剰熱を前記蓄熱槽に蓄え、前記熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が大きいとき、不足熱需要を前記蓄熱槽から賄」うのに対して、引用例発明では、「エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が小さいとき、余剰熱を前記蓄熱槽に蓄え、エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が大きいとき、不足熱需要を前記蓄熱槽から賄」う点。

4.判断

上記相違点について検討する。

本願発明の「横軸を熱発生量、縦軸を電力発生量とした熱電発生図における熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が小さいとき」とは、「発電に伴う熱発生量に対して熱負荷の熱消費量が小さいとき」を意味し、この点において、引用例発明の「エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が小さいとき」と差異はない。

同様に、「前記熱電発生直線が示す比率に対して熱電負荷比率が大きいとき」とは、「発電に伴う熱発生量に対して熱負荷の熱消費量が大きいとき」を意味し、この点において、引用例発明の「エンジン1の発電に伴う熱発生量に対して吸収式冷凍機4の熱消費量が大きいとき」と差異はない。

そして、熱電併給システムの制御において、「横軸を熱発生量、縦軸を電力発生量とした熱電発生図」を用いることは、当業者が容易に想到し得たものである。

更に、本願発明の作用効果も、引用例の記載から当業者が予測できた範囲内のものである。

5.むすび

本願発明は、引用例に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-05-19 
結審通知日 2004-05-25 
審決日 2004-06-08 
出願番号 特願平4-214164
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F28F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 柳田 利夫山本 信平  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 会田 博行
井上 哲男
発明の名称 熱電併給システムの制御方法  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 宮田 金雄  
代理人 宮田 金雄  
代理人 高瀬 彌平  

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