• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て 発明同一  G09B
審判 一部申し立て 2項進歩性  G09B
管理番号 1101143
異議申立番号 異議2003-71929  
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-04-16 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-07-28 
確定日 2004-05-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3371433号「移動体用ナビゲーション装置」の請求項1、2、4、6に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3371433号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3371433号の出願は、平成3年10月1日に出願され、平成14年11月22日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、谷津二郎より特許異議の申立てがなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成16年4月1日に訂正請求がなされたものである。
2.訂正の適否
(1)訂正の内容
a. 特許請求の範囲を次のとおり訂正する。
a-1.特許請求の範囲の請求項1を削除する。
a-2.特許請求の範囲の請求項2を請求項1とし、その記載を次のとおりとする。
「【請求項1】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示するとともに 、移動体の進行方向を検出する方位検出手段を備え、表示手段は、前記方位検出手段により検出された前記移動体の進行方向によりベース画面の現在位置から前記移動体の進行方向の逆側にウインド画面の表示位置が変化するように表示することを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。」

a-3.特許請求の範囲の請求項3を請求項2として繰上げる。(記載省略)
a-4.特許請求の範囲の請求項4を削除する。
a-5.特許請求の範囲の請求項5を、請求項3とし、その記載を次のとおりとする。
「 【請求項3】
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示すること、及び前記表示手段はウインド画面に表示する地図が移動体の出発地と目的地が表示される縮尺であり、かつこのウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示するとともに、前記表示手段は出発地と目的地の位置関係に応じて、ウインド画面の形状が設定されることを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。」
a-6.特許請求の範囲の請求項6を削除する。
a-7.特許請求の範囲の請求項7を、請求項4とし、その記載を次のとおりとする。
「 【請求項4】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示すること、及び前記表示手段はウインド画面に表示する地図が移動体の現在位置と目的地が表示される縮尺であり、このウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示するとともに、前記表示手段は現在位置と目的地の位置関係より、ウインド画面の形状が変化することを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。」

b.発明の詳細な説明の欄の段落0009から0014(発明の目的に関する記載、記載省略)
c.発明の詳細な説明の欄の段落0015から0021(課題を解決するための手段、記載省略)
d.発明の詳細な説明の欄の段落0022から0028(発明の作用、記載省略)
e.発明の詳細な説明の欄の段落0091から0098(発明の効果、記載省略)

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア.訂正事項a.について
上記訂正事項a-1、a-4、a-6によって、請求項1,4,6の記載を削除し、その削除に伴って、他の請求項の内容を実質的に変えることなく、上記訂正事項a-2,a-3,a-5,a-7のように態様を変えたものであるから、これらの訂正は特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、上記訂正後の請求項2ないし4は、異議の申し立てられていない請求項であるが.訂正によっても実質的に内容が変更されていない(減縮されていない)ので、独立特許要件の検討を行わない。

イ.訂正事項b.ないしe.について
これらの訂正事項は、特許請求の範囲の訂正に対応させて、発明の詳細な説明の欄を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
ウ. むすび
よって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第2,3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立の概要
(1) 特許異議申立人は、請求項1、2、4、6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2に規定する発明に該当し、又、甲第2ないし4号証に記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、同法第29条第2項の規定に該当し、その特許を取り消すべきと主張している。

(2) 証拠に記載の発明
(2-1)甲第1号証:特願平3-106004号(特開平4-335390号)の願書に最初に添付した明細書及び図面
甲第1号証には、特に以下の記載が認められる。
A.「【0013】
【作用】請求項1の発明によれば、一方の分割画面に目的地の位置と自車位置とを表示した広域地図が映し出され、他方の分割画面に自車位置を表示した詳細地図が映し出される。」
B.「 【0021】
目的地の位置の設定及び自車位置の設定は、入力スイッチ32を構成するタッチスイッチを用いて従来と同様に行なう。さらにタッチスイッチのうちの表示スイッチを操作したうえで表示モード切り替えスイッチの操作によって画面分割モードを選択すると、図2に示すように表示装置31の画面は、その左半部を占める広域地図画面11と右半部を占める詳細地図画面12とに2分割され、各々の画面11,12に縮尺を表すスケール13,14がそれぞれ表示される。
【0022】
このような分割表示のために、まず広域地図画面11については、目的地と自車位置との双方が入る縮尺が表示用制御装置47によって自動的に決定され、決定された縮尺が表示地図スケールメモリ48に書き込まれる。そして、デジタル地図10中の該縮尺の地図の画像データのうち目的地と自車位置との双方が入る部分が地図読み取り制御装置41によって読み出され、読み出された画像データが広域地図メモリ42に一時記憶される。広域地図メモリ42に一時記憶された画像データは、表示用制御装置47によって表示装置31の画像メモリのうち画面の左半部に対応するアドレスに書き込まれる。表示用制御装置47は、前記のスケール13に加えて、自車の現在位置とその向きとを示す矢印形の現在地マーク15と、目的地の位置を示す目的地マーク16とを広域地図にオーバーラップ表示させる。」
C.「【0023】一方、詳細地図画面12については、まず、当該地域の最も詳細な地図の縮尺が表示用制御装置47によって自動的に決定され・・・」
D.「 【0026】
なお、各分割画面11,12上の地図の縮尺は、各分割画面上の不図示のタッチスイッチのうち広域スイッチ(広域地図側への変更の場合)又は詳細スイッチ(詳細地図側への変更の場合)を操作することによって各々個別に変更することができる。」

E.「【0028】
図3は、表示装置31における画面分割の変形例を示す平面図である。・・・(中略)・・また、同図(c)に示すように、広域地図画面11を背景とする画面の一隅に詳細地図画面12のウィンドウを設けてもよい。」

(2-2) 甲第2号証:特表昭61-502989号公報
甲第2号証には、特に、以下の記載がある。
A.「第3図は、道程区間ディスプレイの第2実施態様を示す。
装置の中央部には、可視(または非可視)線(34)で隔てられている2つの部分から成っているスクリーン(29)がある。
このスクリーンの左部分に、自動車が現在走っている区間(30)と、区間(30)に対して角度を成している、これから辿るべき区間(31)がディスプレイされる。」(6頁左上欄15行〜20行)
B.「スクリーン(29)の右部分には、出発点(36)から到着点(37)までの全体のルート(35)がディスプレイされる。このルート(35)上において、スクリーンの左部分にディスプレイされているルート部分が強調される。」(6頁右上欄4行〜7行)

(2-3) 甲第3号証:特開平2-67915号公報
甲第3号証には、特に以下の記載がある。
A.「第1図は実施例である自動車用の車載経路案内装置の全体構成図である。・・・なお、自車の初期位置は、外部記憶装置13から地図情報を読み出し、画像表示装置16上に表示し、画面上の所望の位置を位置設定装置15により指定することにより上記位置が初期位置としてコンピュータに取り込まれる。」(5頁右上欄15行〜左下欄10行)
B.「コンピュータ14は、センサ11,12の計測信号に基づいて算出した自車の走行軌跡のパターンと外部記憶装置13から読み出した地図情報中の道路パターンとのマッチングを行ない、自車の現在位置を表示するように補正する。補正された自車位置は画像表示装置16により地図とともに表示される。」(5頁左下欄13行〜19行)
C.「第5図は、画像表示装置16上に表示した異なる倍率の2つ地図の表示の例である。コンピュータ14は表示すべき複数の倍率を保持し、外部記憶装置13から読み出した地図情報を上記倍率を用いて画像表示装置上に表示する。また、倍率と同じく表示する情報の詳しさのレベルもコンピュータ14は保持し、このレベルに基づき、地図情報の中で所定のレベルに該当する情報のみを選択して画像表示装置16に表示する。」(6頁左下欄20行〜右上欄8行)

(2-4) 甲第4号証:特開平1-152310号公報
甲第4号証には、特に以下の記載がある。
A.「第3図(B)は、移動体の現在位置を含む表示地図と目的地を含む表示地図とが別異のものであり、表示部の表示画面上の適所にウインドウを設けて、ここに前記目的地を含む地図を表示させるようにした場合の例示図である。なお、この第3図において、(A)は移動体の現在位置(自車位置)、(B)は目的地、(R1)〜(Rn)は移動体の移動経路、(91)は、表示部における表示画面、(92)は表示画面(91)上に設けられたウインドウである。」 (3頁左下欄8行〜16行)
B.「なお、この発明の実施例においては、前記ウインドウは、表示画面上での前記移動体の移動方向に沿った部分に設定することが好適である。」(4頁右上欄6行〜8行)

4.本件発明
上記訂正が認められたので、異議申立に係る本件特許第3371433号の発明は、その訂正明細書の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものである(以下「本件発明」という。上記2.(1)a-2参照)。
5.取消理由通知で通知した引用例
当審で通知した取消理由に引用した刊行物は、引用例1(上記甲第2号証)、引用例2(上記甲第3号証)の他に以下のとおりのものである。
(1)引用例3:特開昭62-51000号公報(特に第25,27,36,37図に関する記載参照)
上記指摘部分には、車両用経路誘導装置の地図画面上において、車両の進行方向の反対側に窓を設け、その窓部の中に車両の進行方向の案内表示を行うことが記載されている。
(2)引用例4:「埼玉県万能地図」、埼玉新聞社、1985年3月20日発行、2〜61頁までの何れかの地図参照
引用例4には、欄外に記載された市町村名についての詳細な地図が表示され、該市町村の地図の一角を小さく仕切り、該仕切りの中に前記詳細な地図よりも縮尺を小さくして埼玉県全体図を表示し、かつ該全体図の中で前記詳細表示された市町村のみを色分けして表示することが記載されている。
上記記載事項によれば、引用例4には「詳細な地図の一角を仕切り、該仕切り中に該詳細な地図を包含する縮尺の小さな地図を表示し、該縮尺の小さな地図中に前記詳細な地図の場所を表示する」点が記載されているものと認められる。

6.対比・判断
(1)特許法第29条の2の規定について
本件発明と甲第1号証に記載の発明とを対比すると、
後者は、本件発明を特定する構成である「ベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること」(以下「構成a」という。)、及び「表示手段は、前記方位検出手段により検出された前記移動体の進行方向によりベース画面の現在位置から前記移動体の進行方向の逆側にウインド画面の表示位置が変化するように表示すること」(以下「構成b」という。)を備えていない点で相違する。
上記相違点について検討する。
[構成a]について
後者は「詳細地図画面12のウインドウを設け」(上記(2-1)E.参照)との構成を備えているために、背景の広域地図画面(本件発明1の「ベース画面」に相当する)の縮尺に対してウインドウ画面内の地図の縮尺が本件発明1とは逆に「大きく」設定されている。
この縮尺の関係について、上記(2-1)D.の記載によれば、各画面の縮尺を各々個別に変更することによって、広域地図画面とウインド画面の縮尺が逆転し、本件発明1のウインド画面と同じ構成になる可能性ある。
しかしながら、上記後者の構成は、背景の広域地図画面の縮尺に対して、ウインドウ画面内の地図の縮尺を大きくしているのであるから、その縮尺の関係を反対にすると、ウインドウ画面内の地図が広域地図画面よりも粗く(詳細地図でない状態)なり、上記(2-1)E.の構成と矛盾する。そのため、後者は、上記縮尺が逆転する構成を意図していないものと認められるから、後者にはそのような構成は存在していないものと言える。
[構成b]について
構成bの様にウインドウの表示位置を移動体の進行方向に応じて変化させる点は、甲第1号証の記載から見て、自明のこととは認められない。
したがって、本件発明は、甲第1号証に記載の発明と同一であるとは認められない。

(2)特許法第29条第2項の規定について
本件発明と甲第2ないし4号証及び引用例3、4に記載の各発明を対比すると、
後者の各発明は、本件発明を特定する構成である上記[構成b]を備えていない点で相違する。
しかも、上記[構成b]は、後者の各発明から見て、容易になし得るとも認められない。
そして、本件発明は、上記[構成b]を備えることにより、甲第2号証ないし4号証及び引用例3、4に記載の発明によっては得られない、特許明細書に記載のとおりの効果が得られるものと認められる。

7. むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては本件の請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。また、他に本件発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
別掲

 
発明の名称 (54)【発明の名称】
移動体用ナビゲーション装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示するとともに、移動体の進行方向を検出する方位検出手段を備え、表示手段は、前記方位検出手段により検出された前記移動体の進行方向によりベース画面の現在位置から前記移動体の進行方向の逆側にウインド画面の表示位置が変化するように表示することを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。
【請求項2】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記移動体の進行方向を検出する方位検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面とウインド画面に地図を表示し、かつ前記方位検出手段により検出された前記移動体の進行方向により前記ウインド画面の形状が変化するように表示する表示手段とを備えた移動体用ナビゲーション装置。
【請求項3】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示すること、及び前記表示手段はウインド画面に表示する地図が移動体の出発地と目的地が表示される縮尺であり、かつこのウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示するとともに、前記表示手段は出発地と目的地の位置関係に応じて、ウインド画面の形状が設定されることを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。
【請求項4】 地図データを記憶する地図データ記憶手段と、移動体の現在位置を検出する移動体位置検出手段と、前記地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともにベース画面に地図を表示し、かつこのベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段とを備え、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であること、及び上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示すること、及び前記表示手段はウインド画面に表示する地図が移動体の現在位置と目的地が表示される縮尺であり、このウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示するとともに、前記表示手段は現在位置と目的地の位置関係より、ウインド画面の形状が変化することを特徴とする移動体用ナビゲーション装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、表示手段に、ベース画面と、このベース画面より小さいウインド画面を設け、ベース画面に詳細を表示し、ウインド画面に広域地図を表示した移動体用ナビゲーション装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図31はたとえば特公平2-46086号公報に示された従来の移動体用ナビゲーション装置を示すブロック構成例である。また、図32は図31の移動体用ナビゲーション装置における地図を表示するCRTディスプレイの表示画面である。
【0003】
まず、図31において、1は表示手段としてのCRTディスプレイ、2は地図データ記憶手段としてのROMパッケージ、3は操作手段としてのマニュアル操作部、4は地図の表示制御等を行なう電子制御装置であり、MPU5,ROM6,RAM7,I/O 8等からなるマイクロコンピュータと、表示コントローラ9とを備えている。10は方位センサであり、移動体の進行方向を検出するものであり、11は距離センサであり、移動体の走行距離を検出するものである。
【0004】
次に、図32により、CRTディスプレイ1の表示画面について説明する。この図32において、1aはメイン表示エリアであり、移動体の現在位置を中心に地図と移動体の現在位置マークを表示するようにしている。1bはサブ表示エリアであり、現在位置の拡大図を表示するようにしている。
【0005】
次に動作について説明する。図33は電源投入後のフローチャートを示したものである。図33のステップS401において、図32の表示画面のメイン表示エリア1aに、移動体の現在位置を中心に地図と移動体の現在位置マークを表示し、図33のステップS402において図32のサブ表示エリア1bにメイン表示エリア1aよりも大きい縮尺で移動体の現在位置を含んだ現在位置付近の詳細図(拡大図)を表示する。
【0006】
この従来例では、表示される地図は画面に対して固定であり、移動体の現在位置マークのみ移動するものである。サブ表示エリア1bの表示領域から移動体の現在位置が外れると、サブ表示エリア1bに移動体の現在位置を中心に、再度地図表示の更新を行なっていくものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の移動体用ナビゲーション装置は以上のように構成されており、表示手段1の表示サイズが限られているため、詳細図を表示するサブ表示エリア1bの画面サイズも限られてしまい、移動体の現在位置マークをサブ表示エリア1bで表示しても、移動体の現在位置を認識できないという課題があった。
【0008】
請求項1の発明は上記のような課題を解消するためになされたもので、広域地図における移動体の現在位置と、詳細地図における移動体の現在位置を容易に認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0009】
請求項1の発明は、ベース内画面内で移動体の進行方向を妨げない位置にウインド画面を表示できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0010】
請求項2の発明は、移動体の走行方向に沿った地図情報が認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0011】
請求項3の発明は、目的地付近の地図情報や現在位置に対する目的地の方向が容易に認識できるとともに出発地に対してどの程度目的地に近付いたかを容易に認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0012】
請求項3の発明は、より狭い面積のウインド画面で出発地に対して、どの程度目的地に近付いたかを容易に認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0013】
請求項4の発明は、目的地付近の地図情報や現在位置に対する目的地の方向が容易に認識できるとともに、現在位置が目的地に近付くにしたがって、ウインド画面の地図が拡大されるので、目的地までの走行経路を容易に認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0014】
請求項4の発明は、より狭い面積のウインド画面で、目的地付近の地図情報や、現在位置に対する目的地の方向が容易に認識できるとともに、目的地までの走行経路を容易に認識できる移動体用ナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明に係る移動体用ナビゲーション装置は、ベース画面に地図を表示し、かつベース画面より小さい縮尺の地図をウインド画面として表示する表示手段を設け、上記ベース画面の地図はウインド画面の地図より詳細な地図であり、上記ベース画面とウインド画面との両者に移動体の現在位置を表示するとともに、移動体の進行方向により前記ベース画面の現在位置から前記移動体の進行方向の逆側にウインド画面の表示位置が変化する表示手段を設けたものである。
【0016】
請求項2の発明に係る移動体用ナビゲーション装置は、地図データおよび移動体の現在位置を表示するとともに、移動体の進行方向によりウインド画面の形状が変化する表示手段を設けたものである。
【0017】
請求項3の発明に係る移動体用ナビゲーション装置は、ウインド画面に表示する地図が移動体の出発地と目的地が表示される縮尺であり、かつこのウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示し、出発地と目的地の位置関係に応じてウインド画面の形状が設定される表示手段を設けたものである。
【0018】
請求項4の発明に係る移動体用ナビゲーション装置は、ウインド画面に表示する地図が移動体の現在位置と目的地が表示される縮尺であり、かつこのウインド画面に移動体の現在位置と目的地を表示し、現在位置と目的地の位置関係よりウインド画面の形状が変化する表示手段を設けたものである。
【0019】
【作用】
請求項1の発明においては、表示手段のウインド画面に、ベース画面よりも縮小した地図を表示し、広域地図における移動体の現在位置と、詳細地図における移動体の現在位置を容易に同時に認識し、表示手段はウインド画面の表示位置が移動体の進行方向により変化するので、移動体の進行方向を妨げない位置に、ウインド画面を表示する。
【0020】
請求項2の発明における表示手段はウインド画面の形状が移動体の進行方向により変化するので、限られた面積のウインド画面で移動体の進行方向に沿った地図情報を認識する。
【0021】
請求項3の発明における表示手段は移動体の出発地と目的地がウインド画面で縮尺で表示され、しかも移動体の現在位置と目的地が表示されるので、目的地付近の地図情報、現在地に対する目的地の方向、出発地に対してどの程度走行したかを認識し、出発地と目的地の位置関係に応じてウインド画面の形状を設定し、より狭い面積のウインド画面で目的地付近の地図情報、現在地に対する目的地の方向、出発地に対してどの程度走行したかを認識可能とする。
【0022】
請求項4の発明における表示手段は、ウインド画面で移動体の現在位置と目的位置を縮尺で表示して現在地が目的地に近付くにしたがって、ウインド画面の地図が拡大され、目的地までの走行経路を容易に認識し、現在位置と目的地の位置関係よりウインド画面の形状を変化することにより、より狭い面積のウインド画面で現在地が目的地付近に近付くにしたがって、ウインド画面の地図が拡大され、目的地までの走行経路を認識する。
【0023】
【実施例】
以下、この発明の移動体用ナビゲーション装置の実施例について図面に基づき説明する。図1はその第1の実施例の構成を示すブロック図であり、請求項1記載の発明に対応するもので、図2は乗員により操作される図1におけるマニュアル操作部の模式図である。
【0024】
まず、図1において、図31と同一または相当部分に同一符号を付して述べる。図1における1はベース画面に地図を表示し、ベース画面の一部にウインドを設け、ウインド画面にベース画面より縮小した地図を表示し、ベース画面,ウインド画面の両方に移動体の現在位置マークを表示する表示手段としてのCRTディスプレイ、2Aは全国地図データを記憶した記憶手段としてのROMパッケージ、3Aは乗員により操作される操作手段としてのマニュアル操作部、4Aは移動体の現在位置検出、および地図の表示制御等を行なう制御手段としての電子制御装置、10は方位センサであり、移動体の進行方向を、また、11は距離センサであり、移動体の走行距離を検出するものである。この両者により、移動体位置検出手段を構成している。
【0025】
また、図2において、21は地図スイッチ、22はオートスイッチ、23は拡大スイッチ、24は縮小スイッチ、25A,25B,25C,25Dはスクロールスイッチである。
【0026】
次に、動作について説明する。電子制御装置4Aは、方位センサ10と距離センサ11の信号より、現在位置と、車の進行方向を演算している。図2に示す地図スイッチ21を操作すると、電子制御装置4AはROMパッケージ2Aより、現在位置周辺の地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに、図3に示すように、地図と、現在位置マーク1eを表示する。地図は1/80万地図、CRTディスプレイ1のベース画面1cには、80km四方の地図が表示される。以下、これをレベル1の地図と呼ぶ。現在位置が移動すると、それに伴い、現在位置マーク1eが中心になるように地図がスクロールするオートモードとなっている。
【0027】
次に、拡大スイッチ23を操作すると、電子制御装置4Aは、ROMパッケージ2Aより詳細な地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに、拡大した地図と現在位置マーク1eを表示する。地図は1/20万地図、CRTディスプレイ1のベース画面1cには、20km四方の地図が表示される。以下、これをレベル2の地図と呼ぶ。
【0028】
この時同時に、電子制御装置4Aは、図4に示すように、CRTディスプレイ1のベース画面1cの一部にウインド画面1dを開き、ウインド画面1dにレベル1の地図と、現在位置マーク1fを表示する。
【0029】
続いて、拡大スイッチ23を操作すると、電子制御装置4AはROMパッケージ2Aより詳細な地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに、拡大した地図と、現在位置マーク1eを表示する。地図は1/5万地図、CRTディスプレイ1のベース画面1cには、5km四方の地図が表示される。以下、これをレベル3の地図と呼ぶ。この時同時に、電子制御装置4Aは、CRTディスプレイ1のウインド画面1dに、図5に示すように、レベル2の地図と現在位置マーク1fを表示する。
【0030】
最後に、拡大スイッチ23を操作すると、電子制御装置4AはROMパッケージ2Aより詳細な地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに拡大した地図と現在位置マーク1eを表示する。地図は1/1.25万地図、CRTディスプレイ1のベース画面1cには、1.25km四方の地図が表示される。以下、これをレベル4の地図と呼ぶ。この時同時に、電子制御装置4AはCRTディスプレイ1のウインド画面1dに、図6に示すように、レベル3の地図と現在位置マーク1fを表示する。これ以後は、拡大スイッチ23を操作しても無効となる。
【0031】
オートモード時に、スクロールスイッチ25A,25B,25C,25Dを操作すると、電子制御装置4Aは、CRTディスプレイ1のウインド画面1dの表示を消去し、ベース画面1cとする。地図表示は固定となり、地図上を現在位置マーク1eが移動するマニュアルモードとなる。
【0032】
また、マニュアルモード時に、オートスイッチ22を操作すると、電子制御装置4Aはマニュアルモードをオートモードに戻し、CRTディスプレイ1に再びウインド画面1dを表示する。
【0033】
以上が第1の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本的動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Aの地図表示に関する動作について説明する。図7,図8はこの第1の実施例の電子制御装置4Aの動作を示すフローチャートである。
【0034】
図7は前段の処理手順を示し、図8は後段の処理手順を示す。まず、図7において、まずステップS101で、地図スイッチ21の操作信号を判断し、受信すると、次にステップS102で、現在位置座標周辺のレベル1の地図データをROMパッケージ2Aより読み出し、現在位置の座標をベース画面1cの中心として地図を表示する。次にステップS103で、ベース画面1cに表示した地図の中心に現在位置マーク1eを表示する。
【0035】
次に、ステップS111で、拡大スイッチ23操作信号を受信すると、ステップS112で、ベース画面1c,ウインド画面1d内の地図描画等、拡大スイッチ23操作時の処理を行ない、図8のフローチャートのステップS151へ進む。
【0036】
また、図7のフローチャートにおいて、ステップS111で拡大スイッチ操作信号を受信しないときは、ステップS111のNO側からステップS121に進む。このステップS121で、縮小スイッチ24の操作信号を受信すると、ステップS122で、ベース画面1c,ウインド画面1d内の地図描画等、縮小スイッチ24の操作時の処理を行ない、再び図8のフローチャートに示すステップS151へ進む。
【0037】
また、ステップS121で縮小スイッチ24の操作信号を受信しなければ、ステップS121のNO側からステップS131に進み、このステップS131で、オートスイッチ22操作信号を受信すると、ステップS132で、マニュアルモード時には、オートモードにするなど、オートスイッチ22の操作時の処理を行ない、ステップS151へ進む。
【0038】
ステップS131でオートスイッチ操作信号を受信しなければ、ステップS131のNO側からステップS141に進み、このステップS141で、スクロールスイッチ25A,25B,25C,25D操作信号を受信すると、ステップS142で、地図のスクロール等スクロールスイッチ25A,25B,25C,25D操作時の処理を行ない、ステップS151へ進む。
【0039】
ステップS151で、オートモードであると判断した場合、ステップS152へ進む。ステップS152で、ROMパッケージ2Aより移動体の進行方向の地図を読み出し、現在位置の座標を中心として、CRTディスプレイ1のベース画面1aに地図を表示する。
【0040】
次に、ステップS153で、ベース画面1cに表示した地図の中心に現在位置マーク1eを表示する。次にステップS154で、ベース画面1cの地図がレベル1以外の場合、ステップS155で、ウインド画面1dの現在位置座標に現在位置マーク1fを表示し、図7のフローチャートのステップS111へ戻る。
【0041】
また、ステップS151で、マニュアルモードであると判断した場合、ステップS161へ進む。ステップS161で、ベース画面1cの現在位置座標に現在位置マーク1eを表示し、ステップS111へ戻る。
【0042】
なお、上記第1の実施例では、ベース画面に地図を表示すると、ウインド画面1cの地図の縮尺も同時に決まってしまうが、ウインド画面の地図の縮尺をマニュアル操作により設定可能としてもよい。
【0043】
また、上記第1の実施例では、ウインド画面1cの形状は四角形だが、ウインド画面1cの形状を円形、菱形、その他の異なる形状で表示してもよい。
【0044】
上記第1の実施例では、ウインド画面1cの表示位置も大きさも固定だが、マニュアル操作により設定可能としてもよい。
【0045】
次に、この発明の第5の実施例として、請求項2および請求項3の発明に対応する実施例を説明する。この実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図は図1と同じであり、マニュアル操作部の模式図も図2と同じものとする。
【0046】
次に、動作について説明する。CRTディスプレイ1のベース画面1cの横幅をM、縦幅をRとおき、図9において、0.8M×0.8Rの四角形の四つの頂点P1,P2,P3,P4を求め、これを図10に示すように、ウインド画面1dの表示基準点とする。
【0047】
電子制御装置4Aは方位センサ10からの信号より、移動体の進行方向を演算し、演算された進行方向をラジアンにおきかえる。進行方向の角度をθとすると、東はθ=0、北はθ=π/2、西はθ=π、南はθ=3π/2となる。
【0048】
電子制御装置4AはM/2|sinθ|をウインド画面1dの縦幅、R/2|cosθ|をウインド画面1dの横幅とし、
0≦θ<π/2
の時はウインド画面1dの左下頂点を基準に、ベース画面1cの基準点P1に表示し、
π/2≦θ<π
の時はウインド画面1dの右下頂点を基準に、ベース画面1cの基準点P2に表示し、
π≦θ<3π/2
の時はウインド画面1dの右上頂点を基準に、ベース画面1cの基準点P3に表示し、
3π/2≦θ<2π
の時はウインド画面1dの左上頂点を基準に、ベース画面1cの基準点P4に表示する。
【0049】
今、ベース画面1cはレベル2の地図を表示し、移動体はθ=π/6の方向を向いて走行している。この時のウインド画面1dの縦幅は、
(M/2)|sin(π/6)|=M/4
横幅は、
(R/2)|cos(π/6)|=(3の正の平方根)・R/4
ウインド画面1dの表示位置は、
0≦π/6<π/2
より、基準点P1となり、図10に示すように、ベース画面1c上の基準点P1にウインド画面1dを表示し、ウインド画面1dに現在位置座標を中心としたレベル1の地図を表示し、ウインド画面1dの中央に現在位置マーク1fを表示する。
【0050】
移動体が移動し、走行方向がθ=3π/4に変化すると、ウインド画面1dの縦幅は、
(M/2)|sin(3π/4)|=M/2・(2の正の平方根)
横幅は、
(R/2)|cos(3π/4)|=R/2・(2の正の平方根)
となり、ウインド画面の表示位置は、
π/2≦3π/4<π
より、基準点P2となり、図11に示すように、ウインド画面1dを表示し、ウインド画面1dの中央に現在位置マーク1fを表示する。
【0051】
なお、
0≦θ<π/18の時は、θ=π/18、
4π/9≦θ<π/2の時は、θ=4π/9、
π/2≦θ<5π/9の時は、θ=5π/9、
17π/18≦θ<πの時は、θ=17π/18、
π≦θ<19π/18の時は、θ=19π/18、
13π/9≦θ<3π/2の時は、θ=13π/9、
3π/2≦θ<14π/9の時は、θ=14π/9、
35π/18≦θ<2πの時は、θ=35π/18、
として、ウインド画面の縦幅と横幅を求める。
【0052】
以上が第5の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Aのウインド画面1dの表示に関する動作について説明する。
【0053】
図12はこの第5の実施例の電子制御装置4Aの動作を示すフローチャートである。図12において、まずステップS201で、進行方向に変化があると、ステップS202で基準点PNを求め、ステップS203でウインド画面1dの縦幅と横幅を求める。
【0054】
次に、ステップS204でベース画面上のPNをウインド画面1dの表示基準点とし、ウインド画面1dに地図を表示する。最後にステップS205でウインド画面1dの中央に現在位置マーク1fを表示し、ステップS201へ戻る。
【0055】
次に、この発明の第6の実施例について説明する。この第6の実施例は請求項4の発明に対応するものである。図13は移動体用ナビゲーション装置の第6の実施例を示すブロック図である。図14は乗員により操作されるマニュアル操作部の模式図である。
【0056】
図13において、3Bは乗員により操作されるマニュアル操作部、4Bは地図の表示制御等を行なう電子制御装置、他の部分は図1と同様もしくは相当する部分である。
【0057】
また、図14において、26は目的地の設定を行なう目的地設定スイッチ、他の部分は図2と同様もしくは相当する部分である。
【0058】
次に、動作について説明する。目的地設定スイッチ26を操作すると、電子制御装置4Bは、ROMパッケージ2Aより地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに、図15に示すように、地図を表示し、地図の中心にカーソルを表示する。スクロールスイッチ25A,25B,25C,25Dを操作し、カーソルを目的地を設定したい位置へ移動し、拡大スイッチ23を操作すると、電子制御装置4BはROMパッケージ2Aよりカーソルの位置を中心としたレベル1の地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cに、図16に示すように、地図とカーソルを表示する。
【0059】
次に、スクロールスイッチ25A,25B,25C,25Dを操作し、カーソルを目的地を設定したい位置へ移動し、目的地設定スイッチ26を操作すると、電子制御装置4Bはカーソルの位置座標を目的地として認識し、CRTディスプレイ1のベース画面1cの地図上に、図17に示すように、目的地マーク1gを表示する。
【0060】
電子制御装置4Bは方位センサ10と距離センサ11の信号より、移動体の現在位置と進行方向を演算している。地図スイッチ21を操作すると、電子制御装置4BはROMパッケージ2Aより現在位置座標周辺の地図データを読み出し、CRTディスプレイ1のベース画面1cにレベル1の地図と現在位置マーク1eを表示する。続いて電子制御装置4Bは現在位置座標と目的地座標との位置関係を調べる。
【0061】
図18に示すように、現在位置座標を(X1,Y1)、目的地座標を(X2,Y2)とおき、
X=|X2-X1|
Y=|Y2-Y1|
とする。
X<Y
とすると、
W=1.2×Y
を求め、Wがウインド画面1dの一辺の長さとなるようにウインド画面1dの地図の縮尺を求める。(Yに1.2をかけるのは、ウインド画面1d内において現在位置マーク1fと目的地マーク1h周辺部の地図情報をある程度表示するためである。X>Yの時は、W=1.2×XとしてWを求める。)続いて、
X3=(X1+X2)/2
Y3=(Y1+Y2)/2
として、X3,Y3を求め、(X3,Y3)の座標をウインド画面1dの地図の中心として、地図と、現在位置マーク1fと、目的地マーク1hと、出発地マーク1iを図19に示すようにウインド画面1dに表示する。
【0062】
この時、ベース画面1cはオートモードとなっている。ウインド画面1dは現在位置が移動しても、図20に示すように、現在位置マーク1fが移動するだけで、地図はスクロールしない。
【0063】
以上が第6の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Bの地図表示に関する動作について説明する。
【0064】
図21はこの第6の実施例の電子制御装置4Bの動作を示すフローチャートである。この図21において、まずステップS301で、地図スイッチ21操作信号を判断し、受信すると、次にステップS302で、現在位置座標周辺のレベル1の地図データをROMパッケージ2Aより読み出し、現在位置の座標を中心としてCRTディスプレイ1のベース画面1cに表示する。次にステップS303で、ベース画面1cに表示した地図の中心に現在位置マーク1eを表示する。
【0065】
ステップS311で、目的地設定済みと判断した場合、ステップS312に進み、目的地と現在位置の位置座標よりウインド画面1dの縮尺と中心を求める。最後にステップS313でウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hと出発地マーク1iを表示する。
【0066】
次に、この発明の第7の実施例について説明する。この第7の実施例は請求項5の発明に対応するものであり、この第7の実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図およびマニュアル操作部の模式図は、第6の実施例と同じものとする。
【0067】
次に、第7の実施例の動作について説明する。この第7の実施例において、第6の実施例と同じ操作で目的地を設定し、図14に示す地図スイッチ21を操作すると、電子制御装置4Bは第6の実施例と同じ方法で、現在位置と目的地の位置座標よりXとYを求める。ウインド画面1dの最大縦幅をF、最大横幅をGとおく。
X<Y
とすると、
W=1.2×Y
を求め、WがFの長さとなるようにウインド画面1dの地図の縮尺を求める。続いて、
V=1.2×X
を求め、Vをウインド画面1dの横の長さとする(X>Yの時はV=1.2×Xを求め、VがGの長さとなるようにウインド画面1dの地図の縮尺を求め、W=1.2×Yを求め、Wをウインド画面1dの縦の長さとする。)。続いて、
X3=(X1+X2)/2
Y3=(Y1+Y2)/2
として、X3,Y3を求め、(X3,Y3)の座標をウインド画面1dの地図の中心として、地図と、現在位置マーク1fと、目的地マーク1hと、出発地マーク1iを図22に示すようにウインド画面1dに表示する。
【0068】
この時、ベース画面1cはオートモードとなっている。ウインド画面1dは現在位置が移動しても、図23に示すように、現在位置マーク1fが移動するだけで、地図はスクロールしない。
【0069】
以上が第7の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Bのウインド画面1d表示に関する動作について説明する。
【0070】
図24は本実施例の電子制御装置4Bの動作を示すフローチャートである。図24において、ステップS301からステップS303までは第6の実施例と同じである。
【0071】
ステップS321で目的地設定済と判断した場合、ステップS322に進み、目的地と現在位置の座標より、ウインド画面1dの縦幅と横幅と縮尺と中心を求める。最後に、ステップS323でウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hと出発地マーク1iを表示する。
【0072】
次に、この発明の第8の実施例について説明する。この第8の実施例は請求項6の発明に対応するものである。この第8の実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図およびマニュアル操作部の模式図は、第6の実施例と同じものとする。
【0073】
次に、動作について説明する。第6の実施例と同じ操作で目的地を設定し、地図スイッチ21を操作すると、電子制御装置4Bは第6の実施例と同じ方法で、現在位置と目的地の位置座標よりウインド画面1dの縮尺と中心を求める。続いて、ウインド画面1dに、図25に示すように、地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hを表示する。
【0074】
現在位置が移動すると、電子制御装置4Bは現在位置座標を(X1,Y1)、目的地座標を(X2,Y2)として、ウインド画面1dの地図の縮尺と中心を再度求め、図26に示すように、ウインド画面1dに地図と、現在位置マーク1fと、目的地マーク1hを表示する。
【0075】
以上が第8の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Bのウインド画面1d表示に関する動作について説明する。
【0076】
図27はこの第8の実施例の電子制御装置4Bの動作を示すフローチャートである。図27において、ステップS301からステップS303までは第6の実施例と同じである。
【0077】
ステップS331で目的地設定済と判断した場合、ステップS332に進み、目的地と現在位置の座標よりウインド画面1dの縮尺と中心を求める。次に、ステップS333でウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hを表示する。
【0078】
ステップS334で現在位置が移動した場合、ステップS332に戻り、再度ウインド画面1dの縮尺と中心を求め、ステップS333でウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hを表示する。
【0079】
次に、この発明の第9の実施例について説明する。この第9の実施例は請求項7の発明に対応するものであり、この第9の実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図およびマニュアル操作部の模式図は、第6の実施例と同じものとする。
【0080】
次に、動作について説明する。第6の実施例と同じ操作で目的地を設定し、地図スイッチ21を操作すると、電子制御装置4Bは第7の実施例と同じ方法で、現在位置と目的地の位置座標よりウインド画面1dの縦幅と横幅と縮尺と中心を求め、図28に示すように、ウインド画面1dに、地図と、現在位置マーク1fと、目的地マーク1hを表示する。
【0081】
現在位置が移動すると、電子制御装置4Bはウインド画面1dの縦幅と横幅と縮尺と中心を再度求め、図29に示すように、ウインド画面1dに地図と、現在位置マーク1fと、目的地マーク1hを表示する。
【0082】
以上が第9の実施例の移動体用ナビゲーション装置の基本的動作であるが、続いてフローチャートにより、電子制御装置4Bのウインド画面1d表示に関する動作について説明する。
【0083】
図30はこの第9の実施例の電子制御装置4Bの動作を示すフローチャートである。図30において、ステップS301からステップS303までは第6の実施例と同じである。ステップS341で目的地設定済と判断した場合、ステップS342に進み、目的地と現在位置の座標よりウインド画面1dの縦幅と横幅と縮尺と中心を求める。次にステップS343で、ウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hを表示する。
【0084】
ステップS344で現在位置が移動した場合、ステップS342に戻り、再度ウインド画面1dの縦幅と横幅と縮尺と中心を求め、ステップS343でウインド画面1dに地図と現在位置マーク1fと目的地マーク1hを表示する。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明によれば、表示装置のベース画面に地図を表示し、ウインド画面にベース画面よりも縮小した地図を表示し、ベース画面とウインド画面に、現在位置マークを表示するように構成したので、広域地図における現在位置と詳細地図における現在位置を同時に認識でき、移動体の進行方向によりウインド画面の表示位置が変化するように構成したので、移動体の進行方向を妨げない位置にウインド画面を表示できるという効果がある。
【0086】
請求項2の発明によれば、移動体の進行方向によりウインド画面の形状が変化するように構成したので、ウインド画面で移動体の走行方向に沿った地図情報が認識できるという効果がある。
【0087】
請求項3の発明によれば、移動体の出発地と目的地が同時に表示され得る縮尺でウインド画面に地図を表示し、その地図上に現在位置と目的地を表示するように構成したので、目的地付近の地図情報や現在位置に対する目的地の方向が容易に認識でき、また、出発地に対して、どの程度目的地に近付いたかが容易に認識でき、移動体の出発地と目的地の位置関係によりウインド画面の形状が変化するように構成したので、より狭い面積のウインド画面で、目的地付近の地図情報、現在地に対する目的地の方向、出発地に対して、どの程度走行したかを確認できる効果が得られる。
【0088】
請求項4の発明によれば、移動体の現在位置と目的地が同時に表示されうる縮尺でウインド画面に地図を表示し、その地図上に現在位置と目的地を表示するように構成したので、目的地付近の地図情報や現在位置に対する目的地の方向が容易に認識でき、また、現在位置が目的地に近付くに従ってウインド画面の地図が拡大されるので、目的地までの走行経路を容易に認識でき、移動体の現在位置と目的地の位置関係によりウインド画面の形状が変化するように構成したので、より狭い面積のウインド画面で、目的地付近の地図情報、現在位置に対する目的地の方向が容易に認識できる。また、現在位置が目的地に近付くに従ってウインド画面の地図が拡大されるので、目的地までの走行経路を容易に認識できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
この発明の第1の実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図である。
【図2】
同上第1の実施例の移動体用ナビゲーション装置のマニュアル操作部の模式図である。
【図3】
同上第1の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面を示す説明図である。
【図4】
同上第1の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面を示す説明図である。
【図5】
同上第1の実施例のCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図6】
同上第1の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図7】
同上第1の実施例における電子制御装置の前段の動作の流れを示すフローチャートである。
【図8】
同上第1の実施例における電子制御装置の後段の動作の流れを示すフローチャートである。
【図9】
この発明の第5の実施例におけるCRTディスプレイのベース画面である。
【図10】
同上第5の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図11】
同上第5の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図12】
同上第5の実施例における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図13】
この発明の第6の実施例の移動体用ナビゲーション装置のシステムブロック図である。
【図14】
この発明の第6の実施例の移動体用ナビゲーション装置におけるマニュアル操作部の模式図である。
【図15】
同上第6の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図16】
同上第6の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図17】
同上第6の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図18】
同上第6の実施例の現在位置と目的地の位置関係を示す説明図である。
【図19】
同上第6の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図20】
同上第6の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図21】
同上第6の実施例における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図22】
この発明の第7の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図23】
同上第7の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図24】
同上第7の実施例における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図25】
この発明の第8の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面である。
【図26】
同上第8の実施例におけるCRTディスプレイに表示される画面の説明図である。
【図27】
同上第8の実施例における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図28】
この発明の第9の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図29】
同上第9の実施例におけるCRTディスプレイに表示する画面の説明図である。
【図30】
同上第9の実施例における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【図31】
従来の移動体用ナビゲーション装置のブロック構成図である。
【図32】
同上従来の移動体用ナビゲーション装置における表示手段に表示する画面の説明図である。
【図33】
同上従来の移動体用ナビゲーション装置における電子制御装置の動作の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 CRTディスプレイ
1c ベース画面
1d ウインド画面
1e 現在位置マーク
1f 現在位置マーク
1g 目的地マーク
1h 目的地マーク
1i 出発地マーク
2A ROMパッケージ
3A マニュアル操作部
3B マニュアル操作部
4A 電子制御装置
4B 電子制御装置
10 方位センサ
11 距離センサ
21 地図スイッチ
22 オートスイッチ
23 拡大スイッチ
24 縮小スイッチ
26 目的地設定スイッチ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-05-10 
出願番号 特願平3-253498
審決分類 P 1 652・ 161- YA (G09B)
P 1 652・ 121- YA (G09B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 高橋 学  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 村上 哲
安池 一貴
登録日 2002-11-22 
登録番号 特許第3371433号(P3371433)
権利者 三菱電機株式会社
発明の名称 移動体用ナビゲーション装置  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 家入 健  
代理人 宮田 金雄  
代理人 宮田 金雄  
代理人 田澤 博昭  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 家入 健  
代理人 田澤 博昭  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ