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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 F25B |
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管理番号 | 1101165 |
異議申立番号 | 異議2003-71700 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2000-01-14 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-07-07 |
確定日 | 2004-05-12 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3361765号「冷凍サイクル装置及びその形成方法並びに冷凍サイクル装置の室外機」の請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3361765号の請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3361765号の請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に係る発明の出願は、平成11年2月15日(優先権主張平成10年4月24日)に特許出願され、平成14年10月18日にその特許権の設定登録がなされ、その後、越智俊博より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月26日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 訂正事項a-1:特許請求の範囲の請求項1における「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項a-2:特許請求の範囲の請求項1における「上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を、「上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」と訂正する。 訂正事項b-1:特許請求の範囲の請求項2における「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項b-2:特許請求の範囲の請求項2における「上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を、「上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」と訂正する。 訂正事項c-1:特許請求の範囲の請求項9における「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項c-2:特許請求の範囲の請求項9における「上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を、「上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」と訂正する。 訂正事項d:特許請求の範囲の請求項29における「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項e:特許請求の範囲の請求項30における「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項f:特許請求の範囲の請求項31における「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し」と訂正する。 訂正事項g:特許請求の範囲の請求項33における「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において」と訂正する。 訂正事項h-1:特許請求の範囲の請求項34における「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において」を、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において」と訂正する。 訂正事項h-2:特許請求の範囲の請求項34における「上記第1の配管および第2の配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を、「上記第1の配管および第2の配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」と訂正する。 訂正事項i:明細書中、段落【0018】の「本願の請求項1の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器を順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「本願の請求項1の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器を順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項j:明細書中、段落【0018】の「本願の請求項2の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「本願の請求項2の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項k:明細書中、段落【0027】の「請求項9の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「請求項9の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項l:明細書中、段落【0048】の「請求項29の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「請求項29の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項m:明細書中、段落【0048】の「請求項30の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷嫌やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「請求項30の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項n:明細書中、段落【0048】の「請求項31の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷嫌やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「請求項31の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項o:明細書中、段落【0051】の「また、請求項34の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、該室外機に内蔵された冷媒酌管に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記CFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」を、「また、請求項33の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、該室外機に内蔵された冷媒配管に、上記建物に埋設されている第1の配管と第2の配管に残留していた残留異物を流入してきた上記CFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 訂正事項p:明細書中、段落【0052】の「また、請求項35の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と四方弁と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、上記四万弁と上記圧縮機との間の上記冷媒配管に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記CFC冷媒中から捕捉するを捕獲する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするとするものである。」を、「また、請求項34の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と四方弁と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、上記四方弁と上記圧縮機との間の上記冷媒配管に、上記建物に埋設されている第1の配管と第2の配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 上記訂正事項a-1、b-1、c-1、d、e、f、g、h-1は、特許明細書中の「一方、熱源機Aと室内機Bを接続する第1の接続配管Cと第2の接続配管Dは配管長が長い場合や、パイプシャフトや天井裏など建物に埋設されている場合には、新規配管に交換することは困難で、しかも老朽化もしないため、CFCやHCFCを用いた冷凍サイクル装置で使用していた第1の接続配管Cと第2の接続配管Dをそのまま使用できれば、配管工事が簡略化できる。」(段落【0008】)、「この発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたもので、環境保護上問題のあるとされる冷媒を用いた既設の冷凍サイクル装置を、環境保護上問題のないとされる冷媒に置換する冷凍サイクル装置の構成方法と冷媒の置換方法とを示し、さらにその冷凍サイクル装置の洗浄のための運転方法を提供しようとするものである。」(段落【0017】)、「また、従来の洗浄方法2と違って、洗浄運転を3回繰り返してHFC冷媒やHFC冷凍機油を3回入れ替える必要がないため、必要なHFCや冷凍機油は1台分で済むためコスト・環境上有利である。また、交換用冷凍機油の管理も不要で、かつ冷凍機油過不足の危険性も全く発生しない。また、HFC用冷凍機油の非相溶化や冷凍機油の劣化の恐れも無い。この実施の形態では、室内機Bが1台接続された例について説明したが、室内機Bが並列または直列に複数台接続された空気調和装置でも同様の効果を奏することは言うまでもない。また、熱源機側熱交換器3と直列または並列に氷蓄熱槽や水蓄熱槽(湯を含む)が設置されていても同様の効果を奏することは明らかである。」(段落【0087】、【0088】)との記載に基づいて、接続配管の配置構成を特定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項a-2、b-2、c-2、h-2は、特許明細書中の「しかし、CFCやHCFCを用いた空気調和装置で使用していた第1の接続配管Cと第2の接続配管Dには、CFCやHCFCを用いた空気調和装置の冷凍機油である鉱油やCFC・HCFCや冷凍機油の劣化物がスラッジとなったものが残留している。」(段落【0009】)及び「HFCの液冷媒が第1の接続配管Cを流れるときに、第1の接続配管Cに残留しているCFC・HCFC・鉱油・鉱油劣化物(以下残留異物と称する)を少しずつ洗浄してHFCの液冷媒と共に流れ、」(段落【0064】)との記載に基づいて、残留異物の内容構成を特定するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正事項i〜pは、特許請求の範囲の訂正に係る訂正事項a-1〜h-2の訂正に伴い、発明の詳細な説明と特許請求の範囲との整合を図るものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。 そして、訂正事項a-1〜pは、いずれも新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)むすび 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議申立に対する判断 (1)申立理由の概要 異議申立人越智俊博は、以下の甲第1号証〜甲第5号証を提出し、本件請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に係る発明は、甲第1号証〜甲第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであると主張している。 甲第1号証:特開平9-236363号公報 甲第2号証:特開平7-83545号公報 甲第3号証:再公表96/12921号公報 甲第4号証:特開平8-200894号公報 甲第5号証:特開平7-190518号公報 (2)判断 ア.本件発明 上記のとおり、特許権者の請求は認められたので、本件請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に係る発明は、訂正された特許請求の範囲の請求項1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34に記載された次の事項により特定されるものである(以下、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明9」、「本件発明14」、「本件発明23」、「本件発明26」、「本件発明29」、「本件発明30」、「本件発明31」、「本件発明33」、「本件発明34」という。)。 「【請求項1】CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器を順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項2】CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項9】CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項14】上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項23】上記異物捕捉手段は、上記冷媒回路の一部で冷媒の流速を低下させて冷媒中の異物を分離するようにしたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項26】上記異物捕捉手段は、冷媒をフィルタに通すことにより冷媒中の異物を捕捉するようにしたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項29】圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項30】圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項31】圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項33】圧縮機と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、該室外機に内蔵された冷媒配管に、上記第1の配管および第2の配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置の室外機。 【請求項34】圧縮機と四方弁と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、上記四方弁と上記圧縮機との間の冷媒配管に、上記第1の配管および第2の配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置の室外機。」 [本件発明1について] 本件発明1と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明1が、「利用側熱交換器と圧縮機との間に、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成A」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、利用側熱交換器(「室内熱交換器12」として記載されている。)と圧縮機との間に、接続配管(「冷媒配管13」)のHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、利用側熱交換器(「室内熱交換器18」)と圧縮機との間に、油を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。 しかし、この部材は、冷凍機油以外の冷媒系内に入っている残留異物を対象とするものであって、再利用する接続配管に残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとの記載はないし、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Aについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明1は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明1は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明2について] 本件発明2と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明2が、「利用側熱交換器とアキュムレータとの間に、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成B」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、利用側熱交換器(「室内熱交換器12」として記載されている。)とアキュムレータとの間に、接続配管(「冷媒配管13」)のHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ59」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、利用側熱交換器(「室内熱交換器18」)と圧縮機との間に、油を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。 しかし、この部材は、冷凍機油以外の冷媒系内に入っている残留異物を対象とするものであって、再利用する接続配管に残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとの記載はないし、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Bについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明2は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明2は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明9について] 本件発明9と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明9が、「第1の冷媒回路の利用側熱交換器と圧縮機との間で、かつ、第2の冷媒回路の熱源機側熱交換器と圧縮機との間に、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成C」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、第1の冷媒回路の利用側熱交換器(「室内熱交換器12」として記載されている。)と圧縮機との間で、かつ、第2の冷媒回路の熱源機側熱交換器(「室外熱交換器4」)と圧縮機との間に、接続配管(「冷媒配管13」)のHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、利用側熱交換器(「室内熱交換器18」)と圧縮機との間に、油を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。 しかし、この部材は、冷凍機油以外の冷媒系内に入っている残留異物を対象とするものであって、再利用する接続配管に残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとの記載はないし、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Cについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明9は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明9は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明14について] 本件発明14は、本件発明9の発明特定事項を引用するものであり、上記相違点の構成Cを発明の構成の一部とするものである。 したがって、本件発明14は、[本件発明9について]で示したのと同様、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明23について] 本件発明23は、本件発明1、本件発明2、本件発明9、本件発明14の発明特定事項を引用するものであるので、それぞれ、相違点の構成A、相違点の構成B、相違点の構成Cを具備しないものである。 したがって、本件発明23は、[本件発明1について]、[本件発明2について]、[本件発明9について]、[本件発明14について]で示したのと同様、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明26について] 本件発明26は、本件発明1、本件発明2、本件発明9、本件発明14の発明特定事項を引用するものであるので、それぞれ、相違点の構成A、相違点の構成B、相違点の構成Cを具備しないものである。 したがって、本件発明26は、[本件発明1について]、[本件発明2について]、[本件発明9について]、[本件発明14について]で示したのと同様、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明29について] 本件発明29と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明29が、「建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を具備している(以下、「相違点の構成D」という。)のに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、第1及び第2の接続配管(「冷媒配管13」)に流入してきたHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留する鉱油を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、油を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。しかし、この部材は、冷凍機油以外の冷媒系内に入っている残留異物を対象とするものであって、再利用する接続配管に残留する鉱油を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとの記載はないし、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Dについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明29は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明29は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明30について] 本件発明30と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明30が、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成E」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、第1及び第2の接続配管(「冷媒配管13」)に流入してきたHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている接続配管に残留する固形異物及び液体異物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、コンタミ物質を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。しかし、この部材は、HCFC系冷媒用の冷凍機油を使用している間に生じた残留不純物を対象とするものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた接続配管に残留する固形異物及び液体異物を捕捉するものとの記載はなく、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた異物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Eについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明30は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明30は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明31について] 本件発明31と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明31が、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成F」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、第1及び第2の接続配管(「冷媒配管13」)に流入してきたHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている接続配管に残留する残留異物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、コンタミ物質を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。しかし、この部材は、HCFC系冷媒用の冷凍機油を使用している間に生じた残留不純物を対象とするものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた接続配管に残留する残留異物を捕捉するものとの記載はなく、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた異物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Fについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明31は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明31は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明33について] 本件発明33と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明33が、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」を具備している(以下、「相違点の構成F」という。)のに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 上記相違点の構成Fは、[本件発明31について]で検討した構成と同一である。 したがって、本件発明33は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [本件発明34について] 本件発明34と甲第2号証に記載された発明とを対比すると、本件発明34が、「CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段」(以下、「相違点の構成G」という。)を具備しているのに対し、甲第2号証に記載された発明が、該構成を具備していない点で、両発明は、少なくとも相違している。 そこで、この点について提出された他の刊行物に記載された発明を検討する。 甲第1号証には、第1及び第2の接続配管(「冷媒配管13」)に流入してきたHFC冷媒(「HFC系冷媒」)中の異物(「水分」)を捕捉する異物捕捉手段(「ドライヤ57」)が記載されている。 しかし、該異物捕捉手段は、接続配管中に浸入した水分を除去するものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている接続配管に残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとは、技術的に異なるものである。 甲第3号証には、コンタミ物質を抽出するための部材(「ポート23」)を設けたものが記載されている。しかし、この部材は、HCFC系冷媒用の冷凍機油を使用している間に生じた残留不純物を対象とするものであって、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとはいえない。 甲第4号証記載のものは、潤滑油を回収するものではあるが、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた接続配管に残留する鉱油、鉱油劣化物を捕捉するものとの記載はなく、技術分野も車両用空調装置に属するものであって、建物に埋設されている接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物の捕捉を示唆するものでもない。 甲第5号証には、油分離器を具備した冷凍サイクルが示されているが、上記相違点の構成Gについては、開示も示唆もない。 そして、本件発明34は、同構成を具備することにより、明細書記載の効果を奏するものである。 したがって、本件発明34は、異議申立人の提出した甲第1号証〜第5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 [取消理由に引用した刊行物について] 当審において通知した取消理由に引用した刊行物の中、刊行物1、刊行物2及び刊行物5は、それぞれ上記甲第2号証、甲第1号証及び甲第3号証に対応している。 したがって、ここでは、これ以外の刊行物について検討する。 刊行物3として引用した特開平7-110179号公報には、冷媒の流速を低下させて冷媒中の異物を分離する技術が記載されているが、上記相違点の構成A〜Gについての記載も示唆もない。 刊行物4として引用した特開平8-159618号公報には、システム内の各所に分布している残留鉱油を貯留する冷凍装置用レシーバが記載されている。 しかし、その配置位置についての記載がないことに加えて、当該レシーバは、カーエアコン、バスエアコン等に用いられるものであることから、相違点の構成A〜Gを、刊行物4に記載された技術から、当業者が容易に想到しえたものであるともいえない。 したがって、本件発明1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34は、上記刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (3)むすび 上述のとおり、異議申立人の提出した証拠によっては、本件発明1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34の特許を取り消すことができない。 また、他に 本件発明1、2、9、14、23、26、29ないし31、33、34の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 冷凍サイクル装置及びその形成方法並びに冷凍サイクル装置の室外機 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器を順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項2】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、 上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項3】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、 上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間の冷媒回路をバイパスするとともに、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を有する第1バイパス路を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項4】 上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の冷却手段を有する第2バイパス路を備え、 さらに、上記第1バイパス路の上記異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えたことを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項5】 上記第1バイパス路の上記加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、上記第2バイパス路の上記冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項6】 上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項7】 上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の油成分を分離する油分離手段を有する第3バイパス路を備えたことを特徴とする請求項3に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項8】 上記第2バイパス路の上記冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項9】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、 上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項10】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、 上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項11】 CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、 上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を有する第1バイパス路を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項12】 上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の冷却手段を有する第2バイパス路を備え、 さらに、上記第1バイパス路の上記異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えたことを特徴とする請求項11に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項13】 上記第1バイパス路の上記加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、上記第2バイパス路の上記冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項14】 上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項9〜13のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項15】 上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記冷却手段との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項16】 上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の油成分を分離する油分離手段を有する第3バイパス路を備えたことを特徴とする請求項11に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項17】 上記第2バイパス路の上記冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とする請求項12に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項18】 上記流量調整器と上記利用側熱交換器とをバイパス制御できる室内機バイパス路を備えたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項19】 上記油分離手段により分離された油成分を上記異物捕捉手段より下流側で上記アキュムレータに戻す還流路を備えたことを特徴とする請求項7〜8、14〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項20】 上記第2バイパス路の上記油分離手段の下流側に冷媒に鉱油を注入する鉱油注入手段を備えたことを特徴とする請求項5または12に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項21】 上記第2バイパス路の上記油分離手段の下流側に冷媒に水を注入する水注入手段を備えたことを特徴とする請求項5または12に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項22】 上記冷媒回路に冷媒中の水分を吸着する水分吸着手段を備えたことを特徴とする請求項21に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項23】 上記異物捕捉手段は、上記冷媒回路の一部で冷媒の流速を低下させて冷媒中の異物を分離するようにしたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項24】 上記異物捕捉手段は、冷媒を鉱油中に通すことにより冷媒中の異物を捕捉するようにしたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項25】 上記異物捕捉手段は、冷媒を鉱油中に通すことにより冷媒中のCFC及びHCFCを溶解するようにしたことを特徴とする請求項1〜17に記載の冷凍サイクル装置。 【請求項26】 上記異物捕捉手段は、冷媒をフィルタに通すことにより冷媒中の異物を捕捉するようにしたことを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項27】 上記異物捕捉手段は、冷媒をイオン交換樹脂に通すことにより冷媒中の塩素イオンを捕捉するようにしたことを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項28】 上記第1バイパス路、第2バイパス路、又は第3バイパス路を上記冷媒回路から切り離し自在に設けたことを特徴とする請求項3,4,7,11,12,16のいずれかに記載の冷凍サイクル装置。 【請求項29】 圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項30】 圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項31】 圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置。 【請求項32】 圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機に冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機に冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備え、<第1の冷媒>CFC冷媒またはHCFC冷媒を用いる既存の冷凍サイクル装置において、 上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器と上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとを<第2の冷媒>HFC冷媒を用いるものに置換するとともに、上記流量調整器及び上記利用側熱交換器に接続された既存の冷媒配管を用いて請求項1〜31のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を形成することを特徴とする冷凍サイクル装置の形成方法。 【請求項33】 圧縮機と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、該室外機に内蔵された冷媒配管に、上記第1の配管および第2の配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置の室外機。 【請求項34】 圧縮機と四方弁と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の配管と第2の配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、上記四方弁と上記圧縮機との間の冷媒配管に、上記第1の配管および第2の配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とする冷凍サイクル装置の室外機。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、冷凍サイクル装置の冷媒の交換に関するものである。さらに詳しくは、熱源機と室内機のみを新規に交換し、熱源機と室内機とを接続する接続配管を交換しないで、冷媒を新規に交換する冷凍サイクル装置とその交換方法及び運転方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来から一般に用いられているセパレ-ト形の空気調和装置を図11に示す。図11において、Aは熱源機であり、圧縮機1、四方弁2、熱源機側熱交換器3、第1の操作弁4、第2の操作弁7、アキュムレ-タ8を内蔵している。Bは室内機であり、流量調整器5(あるいは流量制御弁5)、及び利用側熱交換器6を備えている。熱源機Aと室内機Bは離れた場所に設置され、第1の接続配管C、第2の接続配管Dにより接続されて、冷凍サイクルを形成する。 【0003】 第1の接続配管Cの一端は熱源機側熱交換器3と第1の操作弁4を介して接続され、第1の接続配管Cの他の一端は流量調整器5と接続されている。第2の接続配管Dの一端は四方弁2と第2の操作弁7を介して接続され、第2の接続配管Dの他の一端は利用側熱交換器6と接続されている。また、アキュムレ-タ8のU字管状の流出配管の下部には返油穴8aが設けられている。 【0004】 この空気調和装置の冷媒の流れを図11に添って説明する。図中、実線矢印が冷房運転の流れを、破線矢印が暖房運転の流れを示す。 まず、冷房運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は第1の操作弁4、第1の接続配管Cを経て流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、利用側熱交換器6で空気などの利用側媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は第2の接続配管D、第2の操作弁7、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0005】 次に、暖房運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は四方弁2、第2の操作弁7、第2の接続配管Dを経て、利用側側熱交換器6へと流入し、ここで空気など利用側媒体と熱交換器して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、第1の接続配管C、第1の操作弁4を経て、熱源機側熱交換器3で空気・水などの熱源媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0006】 従来、このような空気調和装置の冷媒として、CFC(クロロフルオロカ-ボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカ-ボン)が用いられてきたが、これらの分子に含まれる塩素が成層圏でオゾン層を破壊するため、CFCは既に全廃され、HCFCも生産規制が開始されている。 【0007】 これらに替わって、分子に塩素を含まないHFC(ハイドロフルオロカ-ボン)を使用する空気調和装置が実用化されている。CFCやHCFCを用いた空気調和装置が老朽化した場合、これらの冷媒は全廃・生産規制されているため、HFCを用いた空気調和装置に入れ替える必要がある。 熱源機Aと室内機Bは、HFCで使用する冷凍機油・有機材料・熱交換器がHCFCとは異なるため、HFC専用のものと交換する必要があり、かつ元々CFC・HCFC用の熱源機Aと室内機Bは老朽化しているため交換する必要があるものであり、交換も比較的容易である。 【0008】 一方、熱源機Aと室内機Bを接続する第1の接続配管Cと第2の接続配管Dは配管長が長い場合や、パイプシャフトや天井裏など建物に埋設されている場合には、新規配管に交換することは困難で、しかも老朽化もしないため、CFCやHCFCを用いた空気調和装置で使用していた第1の接続配管Cと第2の接続配管Dをそのまま使用できれば、配管工事が簡略化できる。 【0009】 しかし、CFCやHCFCを用いた空気調和装置で使用していた第1の接続配管Cと第2の接続配管Dには、CFCやHCFCを用いた空気調和装置の冷凍機油である鉱油やCFC・HCFCや冷凍機油の劣化物がスラッジとなったものが残留している。 【0010】 図12は、鉱油混入時のHFC用冷凍機油とHFC冷媒(R407C)との溶解性を示す臨界溶解度曲線を示す図で、横軸は油量(wt%)、縦軸は温度(℃)を示す。 HFCを用いた空気調和装置の冷凍機油(エステル油やエ-テル油などの合成油)に鉱油が一定量以上混入すると図12に示すように、HFC冷媒との相溶性が失われ、アキュムレ-タ8に液冷媒が溜まっている場合にHFC用冷凍機油が液冷媒の上に分離・浮遊するため、アキュムレ-タ8の下部にある返油穴8aから圧縮機へ冷凍機油が戻らず圧縮機の摺動部が焼き付く。 また、鉱油が混入するとHFC用冷凍機油が劣化する。また、CFC・HCFCが混入するとこれらに含まれる塩素成分によりHFC用冷凍機油が劣化する。また、CFC・HCFC用冷凍機油の劣化物がスラップとなったものに含まれる塩素成分によりHFC用冷凍機油が劣化する。 【0011】 このため、従来はCFCやHCFCを用いた空気調和装置で使用していた第1の接続配管Cと第2の接続配管Dを、洗浄装置を用いて専用の洗浄液(HCFC141bやHCFC225)で洗浄することが行われている(以下、これを洗浄方法1と称する)。 また、特開平7-83545号公報に開示された方法がある。これは、図13に示すように、洗浄装置を用いずに、HFC用熱源機A、HFC用室内機B、第1の接続配管C、第2の接続配管Dを接続し(ステップ100)、HFC、HFC用冷凍機油を充填した後に(ステップ101)運転することで洗浄し(ステップ102)、その後で空気調和装置内の冷媒と冷凍機油を回収し新しい冷媒と冷凍機油を充填してから(ステップ103)、再度運転による洗浄を実施する、ということを所定回数繰り返す(ステップ104、105)ことが、提案されている(以下、これを洗浄方法2と称する)。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】 上記した従来の洗浄方法1では以下に示すような問題があった。 第1に、使用する洗浄液がHCFCであり、オゾン層破壊係数がゼロでないため、空気調和装置の冷媒をHCFCからHFCへと代替することと矛盾する。特に、HCFC141bはオゾン破壊係数が0.11と大きく問題である。 【0013】 第2に、使用する洗浄液は可燃性・毒性が完全に安全なものではないことがあげられる。HCFC141bは可燃性で、低毒性である。HCFC225は不燃だが、低毒性である。 第3に、沸点が高く(HCFC141bは32℃、HCFC225は51.1〜56.1℃)、外気温度がこの沸点より低い場合、特に冬期には、洗浄後に洗浄液が液状態で、第1の接続配管Cと第2の接続配管Dに残留する。これら洗浄液はHCFCであることから、塩素成分を含んでおり、HFC用冷凍機油が劣化する。 【0014】 第4に、洗浄液は環境上全量回収する必要があり、かつ上記第3の問題点が発生しないように高温の窒素ガスなどで再洗浄するなど、洗浄工事の手間がかかる。 【0015】 また、上記の従来の洗浄方法2では、以下に示すような問題があった。 第1に、HFC冷媒による洗浄が、特開平7-83545号公報の実施例では3回必要であり、また各洗浄運転で使用したHFC冷媒は不純物を含むため、回収後その場での再利用は不可能である。つまり、通常の充填冷媒量の3倍の冷媒が必要であり、コスト・環境上問題である。 【0016】 第2に、冷凍機油も各洗浄運転後に入れ替えるため、通常の充填冷凍機油量の3倍の冷凍機油が必要であり、コスト・環境上問題である。また、HFC用冷凍機油はエステル油またはエーテル油であり、吸湿性が高いため、交換用冷凍機油の水分管理も必要となる。また、冷凍機油を、洗浄する人間が封入するため、過不足が生じる危険性もあり、その後の運転において支障を来す可能性がある(過充填時は油圧縮による圧縮部破壊、モータ過熱をきたし、不足充填時は潤滑不良をきたす)。 【0017】 この発明は、上述のような従来の課題を解決するためになされたもので、環境保護上問題のあるとされる冷媒を用いた既設の冷凍サイクル装置を、環境保護上問題のないとされる冷媒に置換する冷凍サイクル装置と、その置換方法ならびに運転方法を提供しようとするものである。 【0018】 【課題を解決するための手段】 本願の請求項1の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器を順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 本願の請求項2の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 【0019】 請求項3の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路を備えた冷凍サイクル装置であって、上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間の冷媒回路をバイパスするとともに、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を有する第1バイパス路を備えたことを特徴とするものである。 【0020】 請求項4の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の冷却手段を有する第2バイパス路を備え、 さらに、上記第1バイパス路の上記異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えたことを特徴とするものである。 【0021】 請求項5の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1バイパス路の上記加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、上記第2バイパス路の上記冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えたことを特徴とするものである。 【0022】 【0023】 【0024】 請求項6の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とするものである。 【0025】 請求項7の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の油成分を分離する油分離手段を有する第3バイパス路を備えたことを特徴とするものである。 【0026】 請求項8の発明による冷凍サイクル装置は、上記第2バイパス路の上記冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とするものである。 【0027】 請求項9の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した建物に埋設されている接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器とを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記圧縮機との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記圧縮機との間に、上記接続配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 請求項10の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとの間に、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 【0028】 請求項11の発明による冷凍サイクル装置は、CFC冷媒やHCFC冷媒の冷凍サイクル装置で使用した接続配管を再利用し、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機にHFC冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備えた冷凍サイクル装置であって、上記第1の冷媒回路の上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとの間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、上記接続配管に残留していた残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を有する第1バイパス路を備えたことを特徴とするものである。 【0029】 請求項12の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の冷却手段を有する第2バイパス路を備え、 さらに、上記第1バイパス路の上記異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えたことを特徴とするものである。 【0030】 請求項13の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1バイパス路の上記加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、上記第2バイパス路の上記冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えたことを特徴とするものである。 【0031】 【0032】 【0033】 請求項14の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とするものである。 【0034】 請求項15の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器との間で、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記冷却手段との間に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とするものである。 【0035】 請求項16の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1の冷媒回路の上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器との間の冷媒回路をバイパスし、かつ、上記第2の冷媒回路の上記圧縮機と上記利用側熱交換器との間の冷媒回路をバイパスするとともに、冷媒の油成分を分離する油分離手段を有する第3バイパス路を備えたことを特徴とするものである。 【0036】 請求項17の発明による冷凍サイクル装置は、上記第2バイパス路の上記冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えたことを特徴とするものである。 【0037】 請求項18の発明による冷凍サイクル装置は、上記流量調整器と上記利用側熱交換器とをバイパス制御できる室内機バイパス路を備えたことを特徴とするものである。 【0038】 請求項19の発明による冷凍サイクル装置は、上記油分離手段により分離された油成分を上記異物捕捉手段より下流側で上記アキュムレータに戻す還流路を備えたことを特徴とするものである。 【0039】 請求項20の発明による冷凍サイクル装置は、上記第2バイパス路の上記油分離手段の下流側に冷媒に鉱油を注入する鉱油注入手段を備えたことを特徴とするものである。 【0040】 請求項21の発明による冷凍サイクル装置は、上記第2バイパス路の上記油分離手段の下流側に冷媒に水を注入する水注入手段を備えたことを特徴とするものである。 【0041】 請求項22の発明による冷凍サイクル装置は、上記冷媒回路に冷媒中の水分を吸着する水分吸着手段を備えたことを特徴とするものである。 【0042】 請求項23の発明による冷凍サイクル装置は、上記異物捕捉手段は、上記冷媒回路の一部で冷媒の流速を低下させて冷媒中の異物を分離するようにしたことを特徴とするものである。 【0043】 請求項24の発明による冷凍サイクル装置は、上記異物捕捉手段は、冷媒を鉱油中に通すことにより冷媒中の異物を捕捉するようにしたことを特徴とするものである。 【0044】 請求項25の発明による冷凍サイクル装置は、上記異物捕捉手段は、冷媒を鉱油中に通すことにより冷媒中のCFC及びHCFCを溶解するようにしたことを特徴とするものである。 【0045】 請求項26の発明による冷凍サイクル装置は、上記異物捕捉手段は、冷媒をフィルタに通すことにより冷媒中の異物を捕捉するようにしたことを特徴とするものである。 【0046】 請求項27の発明による冷凍サイクル装置は、上記異物捕捉手段は、冷媒をイオン交換樹脂に通すことにより冷媒中の塩素イオンを捕捉するようにしたことを特徴とするものである。 【0047】 請求項28の発明による冷凍サイクル装置は、上記第1バイパス路、第2バイパス路、及び第3バイパス路を上記冷媒回路から切り離し自在に設けたことを特徴とするものである。 【0048】 請求項29の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 請求項30の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する固形異物及び液体異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 請求項31の発明による冷凍サイクル装置は、圧縮機、熱源機側熱交換器、アキュムレータを有する熱源機と、流量調整器、利用側熱交換器を有する室内機とを備え、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた建物に埋設されている第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、上記第1の接続配管と第2の接続配管で熱源機と室内機とを接続したHFC冷媒を使用する冷凍サイクル装置であって、上記第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する残留異物を流入してきた上記HFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 【0049】 また、請求項32の発明による冷凍サイクル装置の形成方法は、圧縮機から熱源機側熱交換器と流量調整器と利用側熱交換器とアキュムレータとを順次に経て上記圧縮機に冷媒を循環させる第1の冷媒回路と、上記圧縮機から上記利用側熱交換器と上記流量調整器と上記熱源機側熱交換器と上記アキュムレータとを順次に経て上記圧縮機に冷媒を循環させる第2の冷媒回路とを備え、CFC冷媒またはHCFC冷媒を用いる既存の冷凍サイクル装置において、 上記圧縮機と上記熱源機側熱交換器と上記流量調整器と上記利用側熱交換器と上記アキュムレータとをHFC冷媒を用いるものに置換するとともに、上記流量調整器及び上記利用側熱交換器に接続された既存の冷媒配管を用いて請求項1〜31のいずれかに記載の冷凍サイクル装置を形成することを特徴とするものである。 【0050】 【0051】 また、請求項33の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、該室外機に内蔵された冷媒配管に、上記建物に埋設されている第1の配管と第2の配管に残留していた残留異物を流入してきた上記CFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするものである。 【0052】 また、請求項34の発明による冷凍サイクル装置の室外機は、圧縮機と四方弁と熱源側熱交換器を含む室外機と、流量調整器と利用側熱交換器を含む室内機とを、冷媒配管で接続して構成する冷凍サイクル装置の室外機において、上記四方弁と上記圧縮機との間の上記冷媒配管に、上記建物に埋設されている第1の配管と第2の配管に残留していた鉱油、鉱油劣化物を流入してきた上記CFC冷媒中から捕捉するを捕獲する異物捕捉手段を備えたことを特徴とするとするものである。 【0053】 【0054】 【0055】 【0056】 【0057】 【0058】 【0059】 【発明の実施の形態】 以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して説明を省略または簡略化する。 実施の形態1. 図1は、この発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図である。 図1において、Aは熱源機であり、圧縮機1、四方弁2、熱源機側熱交換器3、第1の操作弁4、第2の操作弁7、アキュムレ-タ8、油分離器9(油分離手段)、及び異物捕捉手段13を内蔵している。 【0060】 油分離器9は、圧縮機1の吐出配管に設けられ、圧縮機1から冷媒とともに吐出される冷凍機油を分離する。異物捕捉手段13は、四方弁2とアキュムレ-タ8の間に設けられている。9aは油分離器9の底部より端を発し、異物捕捉手段13の出口より下流側に至るバイパス路である。また、アキュムレ-タ8のU字管状の流出配管の下部には返油穴8aが設けられている。 Bは室内機であり、流量調整器5(あるいは流量調整弁5)、及び利用側熱交換器6を備えている。 【0061】 Cは、第1の接続配管であり、その一端は熱源機側熱交換器3と第1の操作弁4を介して接続され、他の一端は流量調整器5と接続されている。 Dは、第2の接続配管であり、その一端は四方弁2と第2の操作弁7を介して接続され、他の一端は利用側熱交換器6と接続されている。 熱源機Aと室内機Bは離れた場所に設置され、第1の接続配管C、第2の接続配管Dにより接続されて、冷凍サイクルを形成する。 なお、この空気調和装置は冷媒としてHFCを使うものである。 【0062】 次に、CFCやHCFCを使った空気調和装置が老朽化した場合の、空気調和装置交換の手順を示す。CFCまたはHCFCを回収し、熱源機Aと室内機Bを図1に示すものと交換する。第1の接続配管Cと第2の接続配管DはHCFCを使った空気調和装置のものを再利用する。熱源機Aには予めHFCが充填されているので、第1の操作弁4と第2の操作弁7は閉じたまま、室内機B、第1の接続配管C、第2の接続配管Dを接続状態で真空引きをし、その後第1の操作弁4と第2の操作弁7の開弁とHFCの追加充填を実施する。その後、通常の空調運転兼洗浄運転を実施する。 【0063】 次に、通常の空調運転兼洗浄運転の内容を図1に添って説明する。図中実線矢印が冷房運転の流れを、破線矢印が暖房運転の流れを示す。 まず冷房運転について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒はHFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。 【0064】 ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換器して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は第1の操作弁4を経て第1の接続配管Cに流入する。 HFCの液冷媒が第1の接続配管Cを流れるときに、第1の接続配管Cに残留しているCFC・HCFC・鉱油・鉱油劣化物(以下残留異物と称する)を少しずつ洗浄してHFCの液冷媒と共に流れ、流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、利用側熱交換器6で空気などの利用側媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。 【0065】 蒸発・ガス化した冷媒は、第1の接続配管Cの残留異物と共に第2の接続配管Dに流入する。第2の接続配管に残留している残留異物は、ここを流れる冷媒がガス状のため、配管内面に付着した残留異物の一部はガス冷媒中にミスト状になって流れるが、大半の液状の残留異物はガス冷媒の流速より遅い流速で、ガス・液境界面に発生するせん断力によりガス冷媒に引きずられる形で、配管内面を環状に流れるため、洗浄時間は第1の接続配管Cよりは遅いが、確実に洗浄される。 【0066】 その後、ガス冷媒は、第1の接続配管Cの残留異物と第2の接続配管Dの残留異物と共に、第2の操作弁7、四方弁2を経て異物捕捉手段13へ流入する。残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。 異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。その後ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共にアキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 なお、冷房運転時の冷媒回路、すなわち、圧縮機1から熱源機側熱交換器3と流量調整器5と利用側熱交換器6とアキュムレータ8とを順次に経て再び圧縮機1に戻る冷媒回路を、本明細書では、第1の冷媒回路とする。 【0067】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油は、バイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留していた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0068】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。また、気体異物はHFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。 その一例を図2に示す。図2は、HFC用冷凍機油に塩素が混入している場合(175℃)の劣化の時間変化を示す図で、横軸は時間(hr)、縦軸は全酸価(mgKOH/g)を示す。 異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった気体異物は、HFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 【0069】 次に暖房運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒はHFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが四方弁2、第2の操作弁7を経て第2の接続配管Dへ流入する。 【0070】 第2の接続配管に残留している残留異物は、ここを流れる冷媒がガス状のため、配管内面に付着した残留異物の一部はガス冷媒中にミスト状になって流れるが、大半の液状の残留異物はガス冷媒の流速より遅い流速で、ガス・液境界面に発生するせん断力によりガス冷媒に引きずられる形で、配管内面を環状に流れるため、洗浄時間は冷房運転時における第1の接続配管Cよりは遅いが、確実に洗浄される。 【0071】 その後、ガス冷媒は、第2の接続配管Dの残留異物と共に、利用側側熱交換器6へと流入し、ここで空気など利用側媒体と熱交換して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、第1の接続配管Cに流入する。気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、冷房運転時の第1の接続配管より速い速度で洗浄される。 【0072】 第2の接続配管Dと第1の接続配管Cから洗浄された残留異物と共に、気液二相状態の冷媒は、第1の操作弁4を経て、熱源機側熱交換器3で空気・水などの熱源媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は四方弁2を経て異物捕捉手段13に流入する。 【0073】 残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。 その後、ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共にアキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 なお、暖房運転時の冷媒回路、すなわち、圧縮機1から利用側熱交換器6と流量調整器5と熱源機側熱交換器3とアキュムレータ8とを順次に経て再び圧縮機1に戻る冷媒回路を、本明細書では、第2の冷媒回路とする。 【0074】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油はバイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留していた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0075】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。 また、気体異物は、HFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。その一例を図2に示す。異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった、気体異物はHFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 【0076】 次に、異物捕捉手段13の一例について説明する。図3は異物捕捉手段13の一例を図示したものである。51は円筒状の容器、52は容器51の上部に設けられた流出配管、53は容器51の上部内面に、円錐の扇状の側面形状に形成・設置されたフィルタ、54は容器51に予め充填されている鉱油、55は容器51の下部側面に設けられた流入配管、55aは流入配管55の容器51の内部にある部分の配管側面に多数設けられた流出穴である。 【0077】 フィルタ53は、例えば細線を編みこんだメッシュ状のもであったり、焼結金属で形成され、各隙間は数ミクロンから数十ミクロンで、これ以上の固体異物が通過することはできない。また、容器51の上部空間に微量存在する可能性のあるミスト状の液体異物も、フィルタ53を通過しようとすると、ここで捕捉され重力により容器側面方向に流れて容器51の下部に落下する。56は塩素イオンを捕捉するイオン交換樹脂である。 図1においては、流出配管52はイオン交換樹脂56を経てアキュムレ-タ8に、流入配管55は四方弁2に接続されている。 【0078】 流入配管55より流入したガス冷媒は、流出穴55aを経て、鉱油54の中を泡状になって通過し、フィルタ53、イオン交換樹脂56を経て、流出配管52より流出する。 流入配管55よりガス冷媒と共に流入した固体異物は、流出穴55aより鉱油54の中へ流出後に、鉱油54が抵抗になって速度が低下し、重力により、容器51の底部に沈殿する。 また、鉱油54がなくても、容器51の断面積は流入配管55の断面積よりも大きく、容器51の内部に入ると、冷媒(気体)の流速は低下するので、個体異物は重力の作用により冷媒(気体)と分離され、容器51の下部に沈殿する。 また、鉱油54の中でのガス流速が大きく、鉱油54の上部まで、固体異物が万一吹き上げられても、フィルタ53により捕捉される。 【0079】 流入配管55よりガス冷媒と共に流入した液体異物は、流出穴55aより鉱油54の中へ流出後に、鉱油54が抵抗になって速度が低下し、気液分離されて、鉱油54と共に滞留する。 また、鉱油54がなくても、容器51の断面積は流入配管55の断面積よりも大きく、容器51の内部に入ると、冷媒(気体)の流速は低下するので、液体異物は重力の作用により冷媒(気体)と分離され、容器51の下部に滞留する。 鉱油54の中でのガス流速が大きく、鉱油54の液面が乱れて、鉱油がミスト状になり、ガス冷媒の流れにのったとしても、フィルタ53により捕捉され、前述のようにここで捕捉され重力により容器51の側面方向に流れて容器51の下部に落下する。 【0080】 流入配管55よりガス冷媒と共に流入した気体異物は、流出穴55aを経て、鉱油54の中を泡状になって通過し、フィルタ53、イオン交換樹脂56を経て、流出配管52より流出する。気体異物中の主成分はCFCまたはHCFCだが、これらは鉱油54に溶解する。 一例を図4に示す。図4(a)は鉱油とCFCとの溶解度曲線、図4(b)は鉱油とHCFCとの溶解度曲線を示す図である。図において、横軸は温度(℃)、縦軸はCFC又はHCFCの圧力(kg/cm2)であり、CFC又はHCFCの濃度(wt%)をパラメータとして溶解度曲線を示している。 【0081】 流入配管55よりガス冷媒と共に流入した気体異物は、流出穴55aを経て、鉱油54の中を泡状になることで、鉱油54との接触が増え、CFCやHCFCはより確実に鉱油54に溶解する。しかし、HFCは鉱油には溶解しないので、全てが流出配管52から流出される。このようにして、容器51の内部で固体異物と液体異物は完全に分離・捕捉される。また、気体異物の主成分であるCFCやHCFCも何回か、この部分を通過する間に、大部分が溶解・捕捉される。 【0082】 また、残留異物中のCFCやHCFC以外の塩素成分は、冷媒回路中では微量の存在する水に溶けて塩素イオンとして存在するので、何回かイオン交換樹脂56を通過することにより捕捉される。 【0083】 次に、油分離器9について説明する。高性能油分離器の例としては、実公平5-19721号公報に示されたものがある。図5にその内部構造図を示す。71は上シェルフ1a及び下シェルフ1bにより構成される円形胴体部を有する密閉容器、72は先端に網状体73を有する入口管であり、入口管72は上シェル71aの略中央部を貫通して容器71に突出して取り付けられている。78は網状体73の上部に設けられた、多数の小孔を有するパンチングメタルなどにより構成される円形の均速板、79は均速板78の上部に形成される上部空間であり、冷媒流出空間となるものである。74は冷媒流出空間79に端部を持つ出口管、77は排油管である。 【0084】 このような、高性能油分離器を直列に複数個接続することで、分離効率100%の油分離器を得ることができる。 図6に、図5の構造の油分離器におけるガス冷媒の流速と分離効率の実験結果を示す。図において、横軸は容器内平均流速(m/s)、縦軸は分離効率(%)を示す。 直列油分離器の最初の油分離器の内径を最大の流速が0.13m/s以下となるようにすることで、一般に圧縮機1から吐出される冷凍機油は冷媒流量比で1.5wt%以下のため、最初の油分離器の2次側では、冷凍機油は冷媒流量比で0.05wt%以下になっている。 【0085】 この比率では、ガス冷媒と冷凍機油の気液二相流の流動様式は噴霧流となっているので、2番目の油分離器も同径以上とし、かつ流入配管のメッシュを焼結金属など目を非常に細かくすることで、完全に冷凍機油を分離することができる。このように、既存の油分離器の寸法や複数組み合せることで、分離効率100%の油分離器を実現することは可能であり、図1に示す油分離器9はこのようなものである。 【0086】 以上のように、油分離器9と異物捕捉手段13を熱源機Aに内蔵することで、熱源機Aと室内機Bのみを新規に交換し、第1の接続配管Cと第2の接続配管Dを交換しないで、老朽化したCFCまたはHCFCを用いた空気調和装置を新しいHFCを用いた空気調和装置に入れ替えることができる。このような方法によれば、既設配管再利用方法として、従来の洗浄方法1とは違って、洗浄装置を用いて専用の洗浄液(HCFC141bやHCFC225)で洗浄するということをしないので、オゾン層破壊の可能性は全く無く、また可燃性・毒性も皆無で、洗浄液残留の懸念も無く、洗浄液を回収する必要も無い。 【0087】 また、従来の洗浄方法2と違って、洗浄運転を3回繰り返してHFC冷媒やHFC冷凍機油を3回入れ替える必要がないため、必要なHFCや冷凍機油は1台分で済むためコスト・環境上有利である。また、交換用冷凍機油の管理も不要で、かつ冷凍機油過不足の危険性も全く発生しない。また、HFC用冷凍機油の非相溶化や冷凍機油の劣化の恐れも無い。 【0088】 この実施の形態では、室内機Bが1台接続された例について説明したが、室内機Bが並列または直列に複数台接続された空気調和装置でも同様の効果を奏することは言うまでもない。 また、熱源機側熱交換器3と直列または並列に氷蓄熱槽や水蓄熱槽(湯を含む)が設置されていても同様の効果を奏することは明らかである。また、熱源機Aが複数台並列に接続された空気調和装置においても同様の効果を奏することは明らかである。 また、空気調和装置に限らず、蒸気圧縮式の冷凍サイクル応用品で、熱源機側熱交換器が内蔵されたユニットと利用側熱交換器が内蔵されたユニットが離れて設置されるものであれば、同様の効果を奏することは明らかである。 【0089】 実施の形態2. 図7は、この発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図である。図7において、符号B〜D、1〜9及び8a、9aは、実施の形態1と同様のものであるから、詳細な説明を省略する。 【0090】 次に、12aは高温高圧のガス冷媒を冷却・液化する冷却手段(冷却装置)、12bは低圧二相冷媒をガス化する加熱手段(加熱装置)、13は上記加熱手段12bの出口部に直列に設けられた異物捕捉手段(異物捕捉装置)である。14aは上記異物捕捉手段13の出口部に設けられた第1の電磁弁、14bは上記加熱手段12bの入口部に設けられた第2の電磁弁である。 【0091】 10は第1の切換弁であり、熱源機側熱交換器3の冷房運転時の出口端、四方弁2の暖房運転時の出口端、上記冷却手段12aの入口端、上記電磁弁14aの出口端の4箇所のうち、運転モ-ドに応じて、以下のような接続切換を行うものである。すなわち、冷房洗浄運転時には熱源機側熱交換器3の冷房運転時の出口端と冷却手段12aの入口端とを接続し、かつ電磁弁14aの出口端と四方弁2の冷房運転時の入口端(暖房運転時の出口端)を接続する。 また、暖房洗浄運転時には、四方弁2の暖房運転時の出口端と冷却手段12aの入口端とを接続し、かつ電磁弁14aの出口端と熱源機側熱交換器3の暖房運転時の入口端(冷房運転時の出口端)とを接続する。 【0092】 11は第2の切換弁であり、冷房洗浄運転時及び冷房通常運転時には、冷却手段12aの出口端を第1の操作弁4に接続し、暖房洗浄運転時及び暖房通常運転時には、冷却手段12aの出口端を第2の操作弁7に接続し、かつ、冷房洗浄運転時には電磁弁12bの入口端を第2の操作弁7に接続し、暖房洗浄運転時には電磁弁12bの入口端を第1の操作弁4に接続するものである。 14cは第3の電磁弁であり、第1の切換弁10の熱源機側熱交換器3への接続端と、第2の切換弁11の第1の操作弁4への接続端との間を接続する配管途中に設けられた電磁弁である。14dは第4の電磁弁であり、第1の切換弁10の四方弁2への接続端と、第2の切換弁11の第2の操作弁7への接続端との間を接続する配管途中に設けられた電磁弁である。 【0093】 上記第1の切換弁10は、熱源機側熱交換器3の冷房運転時の出口端から冷却手段12aの入口端への冷媒の流通は許容するがその逆は許容しないように設けられた逆止弁10a、四方弁2の暖房運転時の出口端から冷却手段12aの入口端への冷媒の流通は許容するがその逆は許容しないように設けられた逆止弁10b、第1の電磁弁14aの出口端から熱源機側熱交換器3の冷房運転時の出口端への冷媒の流通は許容するがその逆は許容しないように設けられた逆止弁10c、第1の電磁弁14aの出口端から四方弁2の暖房運転時の出口端への冷媒の流通は許容するがその逆は許容しないように設けられた逆止弁10dより構成されているため、電気信号によらず各接続端の圧力により自己切換可能な切換弁である。 【0094】 上記冷却手段12aの冷却源は、空気・水のいずれでもよく、上記加熱手段12bの加熱源も空気・水のいずれでも、あるいはヒ-タ-でもよい。また、冷却手段12aと加熱手段12bは、第1の切換弁10と第2の切換弁11に挟まれた、高温高圧側の配管と低温低圧側の配管を熱的に接触させて、たとえば、二重管の外側配管として高温高圧側の配管、内側配管として低温低圧側の配管で構成することでもよい。すなわち、加熱手段12bと冷却手段12aとの間で熱移動させてもよい。 【0095】 以上のような構成により、熱源機Aは、油分離器9、分離油のバイパス路9a、冷却手段12a、加熱手段12b、異物捕捉手段13、第1の切換弁10、第2の切換弁11、第1の電磁弁14a、第2の電磁弁14b、第3の電磁弁14c、第4の電磁弁14dを内蔵している。 なお、加熱手段12bおよび異物捕捉手段13を含む冷媒回路部分を、本明細書では、第1のバイパス路とする。また、冷却手段12aを含む冷媒回路部分を、本明細書では、第2のバイパス路とする。 なおまた、この空気調和装置は冷媒としてHFCを使うものである。 【0096】 次に、CFCやHCFCを使った空気調和装置が老朽化した場合の、空気調和装置交換の手順を示す。CFCまたはHCFCを回収し、熱源機Aと室内機Bを図7に示すものと交換する。第1の接続配管Cと第2の接続配管Dは、HCFCを使った空気調和装置のものを再利用する。 熱源機Aには予めHFCが充填されているので、第1の操作弁4と第2の操作弁7は閉じたまま、室内機B、第1の接続配管C、第2の接続配管Dを接続状態で真空引きをし、その後第1の操作弁4と第2の操作弁7の開弁とHFCの追加充填を実施する。その後、まず洗浄運転を実施し、その後通常の空調運転を実施する。 【0097】 次に、洗浄運転の内容を図7に添って説明する。図中、実線矢印が冷房洗浄運転の流れを、破線矢印が暖房洗浄運転の流れを示す。 まず冷房洗浄運転について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、HFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換器してある程度凝縮液化する。 【0098】 ある程度凝縮液化した冷媒は第1の切換弁10を経て冷却手段12aに流入し、ここで完全に凝縮液化して、第2の切換弁11、第1の操作弁4を経て第1の接続配管Cに流入する。 HFCの液冷媒が第1の接続配管Cを流れるときに、第1の接続配管Cに残留しているCFC・HCFC・鉱油・鉱油劣化物(以下残留異物と称する)を少しずつ洗浄してHFCの液冷媒と共に流れ、流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、利用側熱交換器6で空気などの利用側媒体と熱交換してある程度蒸発・ガス化する。 【0099】 ある程度蒸発・ガス化した気液二相状態の冷媒は第1の接続配管Cの残留異物と共に第2の接続配管Dに流入する。第2の接続配管Dに残留している残留異物は、ここを流れる冷媒が気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、第1の接続配管Cより速い速度で洗浄される。 【0100】 その後、ある程度蒸発・ガス化した気液二相状態の冷媒は、第1の接続配管Cの残留異物と第2の接続配管Dの残留異物と共に、第2の操作弁7、第2の切換弁11、第2の電磁弁14bを経て、加熱手段12bへ流入し、ここで完全に蒸発・ガス化され、異物捕捉手段13へ流入する。残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。 【0101】 気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。その後ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共に第1の電磁弁14a、第1の切換弁10、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油はバイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留していた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0102】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。また、気体異物はHFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。その一例を図2に示す。異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった、気体異物はHFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 【0103】 次に暖房洗浄運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒はHFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが四方弁2、第1の切換弁10を経て冷却手段12aへ流入する。 【0104】 ここで、ガス冷媒は冷却され、ある程度凝縮・液化する。ある程度凝縮・液化された気液二相状態の冷媒は第2の切換弁11、第2の操作弁7を経て第2の接続配管Dへ流入する。第2の接続配管に残留している残留異物は、ここを流れる冷媒が気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、冷房洗浄運転時の第1の接続配管Cより速い速度で洗浄される。 【0105】 その後、ある程度凝縮・液化した冷媒は、第2の接続配管Dの残留異物と共に、利用側側熱交換器6へと流入し、ここで空気など利用側媒体と熱交換器して完全に凝縮液化する。 凝縮液化した冷媒は流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、第1の接続配管Cに流入する。気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、冷房洗浄運転時の第1の接続配管Cより速い速度で洗浄される。第2の接続配管Dと第1の接続配管Cから洗浄された残留異物と共に、気液二相状態の冷媒は、第1の操作弁4、第2の切換弁11、第2の電磁弁14bを経て、加熱手段12bで加熱され、蒸発・ガス化され、異物捕捉手段13へ流入する。 【0106】 残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。その後ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共に、第1の切換弁10、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へ流入し、ここでは送風機などを停止して熱交換させずに通過させ、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0107】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油はバイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留したいた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0108】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。 また、気体異物はHFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。その一例を図2に示す。 異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった気体異物は、HFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 異物捕捉手段13、油分離器9は、実施の形態1に示すものと全く同一のため、ここでは説明を省略する。 【0109】 次に、通常空調運転について、図8に添って説明する。図中、実線矢印が冷房通常運転の流れを、破線矢印が暖房通常運転の流れを示す。 まず冷房通常運転について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、HFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換して凝縮液化する。 【0110】 凝縮液化した冷媒は、その大部分が第3の電磁弁14cを経由し、一方、一部が第1の切換弁10、冷却手段12a、第2の切換弁11を経由して、これらが合流後、第1の操作弁4に流入し、第1の接続配管Cを経て、流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、利用側熱交換器6で空気などの利用側媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は第2の接続配管D、第2の操作弁7、第4の電磁弁14d、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0111】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油は、バイパス路9aを経て、四方弁2の下流で本流と合流して、圧縮機1へ戻る。 第1の電磁弁14a、第2の電磁弁14bは閉じられているので、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されており、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 【0112】 次に暖房通常運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、HFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが四方弁2を経て、大部分が第4の電磁弁14dを経由して、一方、一部が第1の切換弁10、冷却手段12a、第2の切換弁11を経由して、これらが合流後、第2の操作弁7に流入し、第2の接続配管Dを経て、利用側側熱交換器6へと流入し、ここで空気など利用側媒体と熱交換器して完全に凝縮液化する。 【0113】 凝縮液化した冷媒は流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、第1の接続配管C、第1の操作弁4、第3の電磁弁14cを経て、熱源機側熱交換器3へ流入し、ここで空気・水などの熱源媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0114】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油は、バイパス路9aを経て、圧縮機1へ戻る。 第1の電磁弁14a、第2の電磁弁14bは閉じられているので、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されているので、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 【0115】 以上のように、油分離器9と異物捕捉手段13を熱源機Aに内蔵することで、熱源機Aと室内機Bのみを新規に交換し、第1の接続配管Cと第2の接続配管Dを交換しないで、老朽化したCFCまたはHCFCを用いた空気調和装置を新しいHFCを用いた空気調和装置に入れ替えることができる。このような方法によれば、既設配管再利用方法として、従来の洗浄方法1とは違って、洗浄装置を用いて専用の洗浄液(HCFC141bやHCFC225)で洗浄するということをしないので、オゾン層破壊の可能性は全く無く、また可燃性・毒性も皆無で、洗浄液残留の懸念も無く、洗浄液を回収する必要も無い。 【0116】 また、従来の洗浄方法2と違って、洗浄運転を3回繰り返してHFC冷媒やHFC冷凍機油を3回入れ替える必要がないため、必要なHFCや冷凍機油は1台分で済むためコスト・環境上有利である。また、交換用冷凍機油の管理も不要で、かつ冷凍機油過不足の危険性も全く発生しない。また、HFC用冷凍機油の非相溶化や冷凍機油の劣化の恐れも無い。 【0117】 第1の電磁弁14a、第2の電磁弁14b、第3の電磁弁14c、第4の電磁弁14dを設けたことで、洗浄運転時には異物捕捉手段13を通過して上記に示す洗浄効果を得つつ、洗浄運転後の通常運転時には、第1の電磁弁14a、第2の電磁弁14bは閉じて、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されているので、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 【0118】 また、冷却手段12a、加熱手段12b、第1の切換弁10、第2の切換弁11を設けたので、冷房・暖房に関わらず、洗浄運転時に第1の接続配管C、第2の接続配管Dに液冷媒または気液二相冷媒が流れるので、残留異物を洗浄するのに、洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、冷却手段12a、加熱手段12bにより熱交換量を制御できるので、外気温度や室内の負荷に関係なく、任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0119】 この実施の形態では、室内機Bが1台接続された例について説明したが、室内機Bが並列または直列に複数台接続された空気調和装置でも同様の効果を奏することは言うまでもない。 また、熱源機側熱交換器3と直列または並列に氷蓄熱槽や水蓄熱槽(お湯を含む)が設置されていても同様の効果を奏することは明らかである。 また、熱源機Aが複数台並列に接続された空気調和装置においても同様の効果を奏することは明らかである。 また、空気調和装置に限らず、蒸気圧縮式の冷凍サイクル応用品で、熱源機側熱交換器が内蔵されたユニットと利用側熱交換器が内蔵されたユニットが離れて設置されるものであれば、同様の効果を奏することは明らかである。 【0120】 実施の形態3. 図9は、この発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図である。図9において、符号B〜D、1〜8及び8aは、実施の形態1及び2で説明したものと同様のものであるから、詳細な説明を省略する。また、符号10、11、12a、12b、13は、実施の形態2で説明したものと同様のものであるから、詳細な説明を省略する。 【0121】 次に、図9において、9は油分離器で、実施の形態1、2と同様のものであるが、第1の切換弁10と冷却手段12aの間に設けられている点が異なる。 また、9aは油分離器9の底部に端を発して異物捕捉手段13の下流側に戻るバイパス路で、実施の形態1、2と同様のものだが、戻し位置が異物捕捉手段13と第1の切換弁10との間である点が異なる。 また、15は第2の切換弁11と加熱手段12bとの間に設けられた第1流量制御手段、16は冷却手段12aと第2の切換弁11との間に設けられた第2の流量制御手段である。 【0122】 CCは第1の接続配管Cと第1の操作弁4の間に設けられた第3の接続配管、DDは第2の接続配管Dと第2の操作弁7の間に設けられた第4の接続配管である。 17aは第3の接続配管CCに設けられた第3の操作弁、17bは第4の接続配管DDに設けられた第4の操作弁、17cは第3の接続配管CCの第1の操作弁4と第3の操作弁17aとの間の配管と第1の切換弁10との間に設けられた第5の操作弁、17dは第3の接続配管CCの第3の操作弁17aより第1の接続配管C側の部分と第2の切換弁11との間に設けられた第6の操作弁、17eは第4の接続配管DDの第2の操作弁7と第4の操作弁17bとの間の配管とと第1の切換弁10との間に設けられた第7の操作弁、17fは第4の接続配管DDの第4の操作弁17bより第2の接続配管D側の部分と第2の切換弁11との間に設けられた第8の操作弁である。 【0123】 Eは以上のように構成された洗浄機であり、油分離器9、バイパス路9a、冷却手段12a、加熱手段12b、異物捕捉手段13、第1の切換弁10、第2の切換弁11、第1の流量制御手段15、第2の流量制御手段16を内蔵したものである。この洗浄機Eは、第5〜第8の操作弁17c〜17fの部分から、全体の空気調和装置から脱着可能に接続されている。 なお、本明細書では、加熱手段12bおよび異物捕捉手段13を含む冷媒回路部分を、実施の形態2で記載したように、第1のバイパス路とする。また、油分離器9の有無に係わらず、冷却手段12aを含む冷媒回路部分を、第2のバイパス路とする。さらに、冷却手段12aを含まず、油分離器9だけが存在する場合を想定して、これを第3のバイパス路とする。 【0124】 また、18aは第1の接続配管Cと流量調整器5との間に設けられた第5の電磁弁、18bは第2の接続配管Dと利用側熱交換器6との間に設けられた第6の電磁弁、18cは第5の電磁弁18aの第1の接続配管C側接続端と第6の電磁弁18bの第2の接続配管D側接続端とを接続するバイパス路18dの配管途中に設けられた第7の電磁弁である。Fは、第5〜7の電磁弁18a〜18cを内蔵した室内バイパス機である。 なお、この空気調和装置は冷媒としてHFCを使うものである。 【0125】 次に、CFCやHCFCを使った空気調和装置が老朽化した場合の、空気調和装置交換の手順を示す。CFCまたはHCFCを回収し、熱源機Aと室内機Bを図9に示すものと交換する。第1の接続配管Cと第2の接続配管DはHCFCを使った空気調和装置のものを再利用する。第3の接続配管CCと第4の接続配管DDは新規に敷設する。洗浄機Eを、第5、第6の操作弁17c、17dを介して第3の接続配管CCに、かつ、第7、第8の操作弁17e、17fを介して第4の接続配管DDに接続する。第1の接続配管C、第2の接続配管Dを室内バイパス機Fを介して室内機Bに接続する。 【0126】 熱源機Aには予めHFCが充填されているので、第1の操作弁4と第2の操作弁7は閉じたまま、室内機B、第1の接続配管C、第2の接続配管D、第3の接続配管CC、第4の接続配管DD、洗浄機E、室内バイパス機Fを接続状態で真空引きをし、その後第1の操作弁4と第2の操作弁7の開弁とHFCの追加充填を実施する。 【0127】 その後、まず、第3,第4の操作弁17a,17bを閉弁し、第4〜第8の操作弁17c〜17fを開弁し、第5,6の電磁弁18a,18bを閉弁し、第7の電磁弁18cを開弁することで洗浄運転を実施する。その後、第3,第4の操作弁17a,17bを開弁し、第4〜第8の操作弁17c〜17fを閉弁し、第5,6の電磁弁18a,18bを開弁し、第7の電磁弁18cを閉弁することで通常の空調運転を実施する。 【0128】 次に、洗浄運転の内容を図9に添って説明する。図中、実線矢印が冷房洗浄運転の流れを、破線矢印が暖房洗浄運転の流れを示す。 まず冷房洗浄運転について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒はHFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換せずに通過し、第1の操作弁4、第5の操作弁17c、第1の切換弁10を経て油分離器9へ流入する。 【0129】 ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが、冷却手段12aに流入し、ここで凝縮液化して、第2の流量制御手段16で少し減圧されて気液二相状態となる。この気液二相状態の冷媒は第2の切換弁11、第6の操作弁17dを経て第1の接続配管Cに流入する。 【0130】 HFCの気液二相冷媒が第1の接続配管Cを流れるときに、第1の接続配管Cに残留しているCFC・HCFC・鉱油・鉱油劣化物(以下残留異物と称する)を気液二相状態のため比較的速く洗浄してHFCの気液二相冷媒と共に流れ、第7の電磁弁18cを経て、接続配管Cの残留異物と共に第2の接続配管Dに流入する。 【0131】 第2の接続配管Dに残留している残留異物は、ここを流れる冷媒が気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、比較的速い速度で洗浄される。その後、気液二相状態の冷媒は、第1の接続配管Cの残留異物と第2の接続配管Dの残留異物と共に、第8の操作弁17f、第2の切換弁11を経て、第1の流量制御手段15で低圧まで減圧されて、加熱手段12bへ流入し、ここで蒸発・ガス化され、異物捕捉手段13へ流入する。 【0132】 残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。 【0133】 その後ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共に第1の切換弁10、第7の操作弁17e、第2の操作弁7、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油は、バイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流側で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留したいた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0134】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。 また、気体異物はHFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。その一例を図2に示す。異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった、気体異物はHFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 【0135】 次に暖房洗浄運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒はHFC用冷凍機油と共に圧縮機1を吐出され、四方弁2、第2の操作弁7、第7の操作弁17e、第1の切換弁10を経て油分離器9へ流入する。ここで、HFC用の冷凍機油は完全に分離され、ガス冷媒のみが冷却手段12aへ流入する。ここで、ガス冷媒は冷却され、凝縮・液化する。 【0136】 凝縮・液化された液冷媒は、第2の流量制御手段16で少し減圧され、気液二相状態となり、第2の切換弁11、第8の操作弁17fを経て第2の接続配管Dへ流入する。第2の接続配管に残留している残留異物は、ここを流れる冷媒が気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、比較的速い速度で洗浄される。 【0137】 その後、その気液二相冷媒は、第2の接続配管Dの残留異物と共に、第7の電磁弁18cを経て、第1の接続配管Cに流入する。ここでは、気液二相状態のため、流速も速く、かつ液冷媒と共に、残留異物は洗浄され、比較的速い速度で洗浄される。 【0138】 第2の接続配管Dと第1の接続配管Cから洗浄された残留異物と共に、気液二相状態の冷媒は、第6の操作弁17d、第2の切換弁11を経て、第1の流量制御手段15で低圧まで減圧されて、加熱手段12bへ流入し、ここで蒸発・ガス化され、異物捕捉手段13へ流入する。残留異物は、沸点の違いにより相が異なり、固体異物・液体異物・気体異物の3種類に分類される。 【0139】 異物捕捉手段13では、固体異物と液体異物は完全にガス冷媒と分離・捕捉される。気体異物はその一部が捕捉され、一部は捕捉されない。その後ガス冷媒は、異物捕捉手段13で捕捉されなかった気体異物と共に、第1の切換弁10、第5の操作弁17cを経て、熱源機側熱交換器3へ流入し、ここでは送風機などを停止して熱交換させずに通過させ、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0140】 油分離器9で、ガス冷媒と完全に分離されたHFC用冷凍機油は、バイパス路9aを経て、異物捕捉手段13の下流側で本流と合流して、圧縮機1へ戻るので、第1の接続配管Cや第2の接続配管Dに残留していた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはなく、またHFC用冷凍機油は鉱油により劣化することはない。 【0141】 また、固形異物もHFC用冷凍機油と混合することはなく、HFC用冷凍機油は劣化しない。 また、気体異物はHFC冷媒が冷媒回路を1サイクル循環して、異物捕捉手段13を1回通る間には一部が捕捉されるだけで、HFC用冷凍機油と気体異物は混合されるが、HFC用冷凍機油の劣化は化学反応で、急激には進まない。その一例を図2に示す。異物捕捉手段13を1回通る間に捕捉されなかった気体異物は、HFC冷媒の循環と共に何回も異物捕捉手段13を通るので、HFC用冷凍機油の劣化するよりも速く、異物捕捉手段13で捕捉すればよい。 異物捕捉手段13、油分離器9は、実施の形態1に示すものと全く同一のため、ここでは説明を省略する。 【0142】 次に、通常空調運転について、図10に添って説明する。図中、実線矢印が冷房通常運転の流れを、破線矢印が暖房通常運転の流れを示す。 まず冷房通常運転について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は圧縮機1を吐出され、四方弁2を経て、熱源機側熱交換器3へと流入し、ここで空気・水など熱源媒体と熱交換器して凝縮液化する。凝縮液化した冷媒は、第1の操作弁4、第3の操作弁17a、第1の接続配管C、第5の電磁弁18aを経て、流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、利用側熱交換器6で空気などの利用側媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。 【0143】 蒸発・ガス化した冷媒は、第6の電磁弁18b、第2の接続配管D、第4の操作弁17b、第2の操作弁7、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 第5〜8の操作弁17c〜17fは閉じられているので、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されているので、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 【0144】 次に暖房通常運転の流れを説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧のガス冷媒は、圧縮機1を吐出され、四方弁2を経て、第2の操作弁7に流入し、第4の操作弁17b、第2の接続配管D、第6の電磁弁18bを経て、利用側側熱交換器6へと流入し、ここで空気など利用側媒体と熱交換器して凝縮液化する。 【0145】 凝縮液化した冷媒は、流量調整器5へ流入し、ここで低圧まで減圧されて低圧二相状態となり、第5の電磁弁18a、第1の接続配管C、第3の操作弁17a、第1の操作弁4、熱源機側熱交換器3へ流入し、ここで空気・水などの熱源媒体と熱交換して蒸発・ガス化する。蒸発・ガス化した冷媒は、四方弁2、アキュムレ-タ8を経て圧縮機1へ戻る。 【0146】 第5〜8の操作弁17c〜17fは閉じられているので、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されているので、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。また、実施の形態2と違って、冷却手段12aへは冷媒が流れないので、暖房能力のロスもない。 【0147】 以上のように、油分離器9と異物捕捉手段13を洗浄機Eに内蔵することで、熱源機Aと室内機Bのみを新規に交換し、第1の接続配管Cと第2の接続配管Dを交換しないで、老朽化したCFCまたはHCFCを用いた空気調和装置を新しいHFCを用いた空気調和装置に入れ替えることができる。このような方法により、既設配管再利用方法として、従来の洗浄方法1とは違って、洗浄装置を用いて専用の洗浄液(HCFC141bやHCFC225)で洗浄するということをしないので、オゾン層破壊の可能性は全く無く、また可燃性・毒性も皆無で、洗浄液残留の懸念も無く、洗浄液を回収する必要も無い。 【0148】 また、従来の洗浄方法2と違って、洗浄運転を3回繰り返してHFC冷媒やHFC冷凍機油を3回入れ替える必要がないため、必要なHFCや冷凍機油は1台分で済むためコスト・環境上有利である。また、交換用冷凍機油の管理も不要で、かつ冷凍機油過不足の危険性も全く発生しない。また、HFC用冷凍機油の非相溶化や冷凍機油の劣化の恐れも無い。 【0149】 また、第5〜8の操作弁17c〜17fを設けたことで、洗浄運転時には異物捕捉手段13を通過して上記に示す洗浄効果を得つつ、洗浄運転後の通常運転時には、第5〜8の操作弁17c〜17fは閉じて、異物捕捉手段13は閉鎖空間として隔離されているので、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、実施の形態1と比べると、異物捕捉手段13を経由しないため、圧縮機1の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 【0150】 また、冷却却手段12a、加熱手段12b、第1の切換弁10、第2の切換弁11を設けたので、冷房・暖房に関わらず、洗浄運転時に第1の接続配管C、第2の接続配管Dに液冷媒または気液二相冷媒が流れるので、残留異物を洗浄するのに、洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、冷却手段12a、加熱手段12bにより熱交換量を制御できるので、外気温度や室内の負荷に関係なく、任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0151】 また、第1の流量制御手段15と第2の流量制御手段16を設けたので、第1、第2の接続配管C,Dを流れる冷媒を必ず気液二相状態とすることができるので、さらに残留異物を洗浄するのに、洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。また、第1、第2の接続配管C,Dを流れる気液二相冷媒の圧力と乾き度も制御できるので、さらに任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0152】 また、室内バイパス機Fを設けたので、第1、第2の接続配管C,Dを流れる冷媒の状態をほぼ同じにできるので、均一な洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。また、残留異物が新しい室内機Bに流入することがないので、室内機Bの汚染を防ぐことができる。 【0153】 また、油分離器9、バイパス路9a、冷却手段12a、加熱手段12b、異物捕捉手段13、第1の切換弁10、上記第2の切換弁11、第1の流量制御手段15、第2の流量制御手段16を洗浄機Eに内蔵したので、熱源機Aを小型化・低コスト化できる。また、熱源機Aは、第1,第2の接続配管C,Dを新規に敷設する場合にも共通の熱源機とすることができる。 【0154】 また、洗浄機Eが第5〜第8の操作弁17c〜17fの部分で全体の空気調和装置から脱着可能に接続されているので、洗浄運転後にこれら操作弁を閉じてから洗浄機Eの内部の冷媒を回収し、空気調和装置から取り外し、別の同様の空気調和装置に取り付けて、洗浄運転を実施することができる。 【0155】 この実施の形態では、室内機Bが1台接続された例について説明したが、室内機Bが並列または直列に複数台接続された空気調和装置でも同様の効果を奏することは言うまでもない。また、熱源機側熱交換器3と直列または並列に氷蓄熱槽や水蓄熱槽(湯を含む)が設置されていても同様の効果を奏することは明らかである。 【0156】 また、熱源機Aが複数台並列に接続された空気調和装置においても同様の効果を奏することは明らかである。また、空気調和装置に限らず、蒸気圧縮式の冷凍サイクル応用品で、熱源機側熱交換器が内蔵されたユニットと利用側熱交換器が内蔵されたユニットが離れて設置されるものであれば、同様の効果を奏することは明らかである。 また、この実施の形態では、洗浄機Eはひとつの空気調和装置に1個だけ設置されているが、複数個設置されても同様の効果を呈することは明白である。 【0157】 実施の形態4. この発明の実施の形態4においては、実施の形態3の図9において、洗浄機Eの油分離器9と第2の切換弁11の間に、鉱油を注入する注入口を設けるか、鉱油のタンクを設ける。洗浄運転時に、この鉱油を第1、第2の接続配管C,Dに供給し、冷凍機油がスラッジ化した残留異物をこの鉱油に溶解させることで、洗浄し、異物捕捉手段13で、実施の形態3と同様に捕捉させる。 【0158】 実施の形態5. この発明の実施の形態5においては、実施の形態3の図9において、洗浄機Eの油分離器9と第2の切換弁11の間に、水を注入する注入口を設けるか、水のタンクを設ける。洗浄運転時に、この水を第1、第2の接続配管C,Dに供給し、塩化鉄をイオン化させることで、洗浄し、異物捕捉手段13で、実施の形態3と同様に捕捉させる。 このときの水分のうち、低圧冷媒に過飽和分は液体水分となるが、この水分は鉱油より密度が大きいので、異物捕捉手段13の底部に滞留する。 低圧冷媒に飽和した水分は、熱源機Aまたは第1、第2、第3、第4の接続配管C,D,CC,DDのいずれかにドライヤ(水分吸着手段)を設けることで、ドライヤに吸着させ、冷媒回路内の水分を低減させることができる。 【0159】 なお、実施の形態2においても、実施の形態3で説明したように、室内バイパス機Fを装着することができる。 また、実施の形態5においても、実施の形態3に類似して、加熱手段12bおよび異物捕捉手段13を含む冷媒回路部分(第1のバイパス路)と、冷却手段12aを含む冷媒回路部分(第2のバイパス路)とを、冷媒回路本管から閉鎖あるいは分離することができる。 その他、逐一に例示しないが、この発明は、そのような組み合わせあるいは変形をも含むものである。 【0160】 【発明の効果】 この発明は以上のように構成されているので、以下のような効果を奏する。 請求項1に記載の発明によれば、冷房回路において、利用側熱交換器から圧縮機への冷媒回路に、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えたので、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 請求項2に記載の発明によれば、冷房回路において、利用側熱交換器からアキュムレータへの冷媒回路に、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えたので、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0161】 また、請求項3に記載の発明によれば、冷房回路において、利用側熱交換器からアキュムレータへの冷媒回路をバイパスする第1バイパス路を設け、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えたので、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0162】 また、請求項4に記載の発明によれば、請求項2に記載の発明において、熱源機側熱交換器から流量調整器への冷媒回路をバイパスする第2バイパス路を設けて冷媒の冷却手段を備え、さらに、第1バイパス路の異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えた。 これにより、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の異物を十分に分離して捕捉することができるうえに、さらに冷媒の加熱手段と冷却手段とを設けたので、洗浄運転時に室内機への接続配管に液冷媒または気液二相冷媒が流れるので、残留異物を洗浄するのに、洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、加熱手段及び冷却手段により熱交換量を制御できるので、外気温度や室内の負荷に関係なく、任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0163】 また、請求項5に記載の発明によれば、請求項3に記載の発明において、第1バイパス路の加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、第2バイパス路の冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えた。すなわち、熱源機から室内機への接続配管に流入し、もしくは、室内機への接続配管から流出する冷媒の流量を制御する流量制御手段を設けた。 これにより、室内機への接続配管を流れる冷媒を必ず気液二相状態とすることができるので、さらに残留異物を洗浄するのに洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、接続配管を流れる気液二相冷媒の圧力と乾き度も制御できるので、さらに任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0164】 【0165】 【0166】 また、請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5に記載の発明において、圧縮機から熱源機側熱交換器への冷媒回路に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、冷媒回路に異物捕捉手段を設け、冷媒から異物を十分に分離して捕捉するとともに、油分離器を設けて、新規冷媒用の冷凍機油を冷媒から十分に分離し、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止することができる。したがって、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0167】 また、請求項7に記載の発明によれば、請求項2の発明において、熱源機側熱交換器から流量調整器への冷媒回路をバイパスする第3バイパス路を設け、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、洗浄機の冷媒回路に異物捕捉手段を設け、冷媒から異物を十分に分離して捕捉するとともに、油分離器を設けて、新規冷媒用の冷凍機油を冷媒から十分に分離し、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止できるすることができる。したがって、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0168】 また、請求項8に記載の発明によれば、請求項3の発明において、第2バイパス路の冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、冷媒の加熱手段と冷却手段とにより、接続配管中の異物の洗浄効果をさらにあげるとともに異物の捕捉効果を上げ、かつ、油分離器により、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止できる。また、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0169】 請求項9に記載の発明によれば、冷房回路における利用側熱交換器から圧縮機への冷媒回路で、かつ、暖房回路における熱源機側熱交換器から圧縮機への冷媒回路に、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えた。 これにより、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 請求項10に記載の発明によれば、冷房回路における利用側熱交換器からアキュムレータへの冷媒回路で、かつ、暖房回路における熱源機側熱交換器からアキュムレータへの冷媒回路に、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えた。 これにより、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0170】 請求項11に記載の発明によれば、冷房回路における利用側熱交換器からアキュムレータへの冷媒回路をバイパスし、かつ、暖房回路における流量制御器から熱源機側熱交換器への冷媒回路をバイパスする第1バイパス路を設け、冷媒中の異物を捕捉する異物捕捉手段を備えた。 これにより、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0171】 請求項12に記載の発明によれば、請求項11に記載の発明において、冷房回路で熱源機側熱交換器から流量制御器への冷媒回路をバイパスし、かつ、暖房回路で圧縮機から利用側熱交換器への冷媒回路をバイパスする第2バイパス路を設けて冷媒の冷却手段を備え、さらに、第1バイパス路の異物捕捉手段の上流側に冷媒の加熱手段を備えた。 これにより、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の異物を十分に分離して捕捉することができるうえに、さらに冷媒の加熱手段と冷却手段とを設けたので、冷房・暖房に関わらず、洗浄運転時に室内機への接続配管に液冷媒または気液二相冷媒が流れるので、残留異物を洗浄するのに、洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、加熱手段及び冷却手段により熱交換量を制御できるので、外気温度や室内の負荷に関係なく、任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0172】 請求項13に記載の発明によれば、請求項12の発明において、第1バイパス路の加熱手段の上流側に第1流量制御手段を備え、さらに、第2バイパス路の冷却手段の下流側に第2流量制御手段を備えた。すなわち、熱源機から室内機への接続配管に流入し、もしくは、室内機への接続配管から流出する冷媒の流量を制御する流量制御手段を設けた。 これにより、室内機への接続配管を流れる冷媒を必ず気液二相状態とすることができるので、さらに残留異物を洗浄するのに洗浄効果が高く、洗浄時間を短くすることができる。 また、接続配管を流れる気液二相冷媒の圧力と乾き度も制御できるので、さらに任意の条件時にほぼ同一の洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 【0173】 【0174】 【0175】 請求項14に記載の発明によれば、請求項9〜13の発明において、冷房回路における圧縮機から熱源機側熱交換器への冷媒回路で、かつ、暖房回路における圧縮機から利用側熱交換器への冷媒回路に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、冷媒回路に異物捕捉手段を設け、冷媒から異物を十分に分離して捕捉するとともに、油分離器を設けて、新規冷媒用の冷凍機油を冷媒から十分に分離し、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止することができる。したがって、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0176】 請求項15に記載の発明によれば、請求項12の発明において、冷房回路における圧縮機から熱源機側熱交換器への冷媒回路で、かつ、暖房回路における圧縮機から冷却手段への冷媒回路に、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、冷媒の加熱手段と冷却手段とにより、接続配管中の異物の洗浄効果をさらにあげるとともに異物の捕捉効果を上げ、かつ、油分離器により、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止できる。また、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0177】 請求項16に記載の発明によれば、請求項11の発明において、冷房回路で熱源機側熱交換器から流量制御器への冷媒回路をバイパスし、かつ、暖房回路で圧縮機から利用側熱交換器への冷媒回路をバイパスする第3バイパス路を設け、冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、洗浄機の冷媒回路に異物捕捉手段を設け、冷媒から異物を十分に分離して捕捉するとともに、油分離器を設けて、新規冷媒用の冷凍機油を冷媒から十分に分離し、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止できるすることができる。したがって、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0178】 請求項17に記載の発明によれば、請求項12の発明において、第2バイパス路の冷却手段の上流側に冷媒の油成分を分離する油分離手段を備えた。 これにより、冷媒の加熱手段と冷却手段とにより、接続配管中の異物の洗浄効果をさらにあげるとともに異物の捕捉効果を上げ、かつ、油分離器により、新規の冷凍機油が室内機側に流入するのを防止できる。また、洗浄した冷媒中の異物と新規の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)とが、混合することはなく、新規の冷凍機油が劣化しない。 【0179】 請求項18に記載の発明によれば、冷媒が室内機をバイパスする室内バイパス機を設けたので、室内機の両側に接続される接続配管を流れる冷媒の状態をほぼ同じにできるので、均一な洗浄運転が可能で、効果・手間が一定化する。 また、残留異物が置換された新しい室内機に流入することがないので、新しい室内機の汚染を防ぐことができる。 【0180】 請求項19に記載の発明によれば、油分離手段により分離された油成分を異物捕捉手段より下流側でアキュムレータに戻す還流路を備えた。 これにより、圧縮機から吐出された冷媒中の冷凍機油(例えば、HFC用冷凍機油)を、冷媒から分離して、異物を捕捉された後の冷媒ともに圧縮機へ戻すので、冷凍機油が接続配管に残留していた鉱油と混ざることはなく、HFC用冷凍機油はHFCに対して非相溶化することはない。また、HFC用冷凍機油が鉱油により劣化することはない。 【0181】 請求項20に記載の発明によれば、第2バイパス路の油分離手段の下流側に冷媒に鉱油を注入する鉱油注入手段を備えた。 これにより、室内機に接続された接続配管に流入する冷媒に鉱油を注入することができるので、冷凍機油がスラッジ化した接続配管中の残留異物を、この鉱油に溶解させることで、洗浄し、異物捕捉手段で、捕捉することができる。 【0182】 請求項21に記載の発明によれば、第2バイパス路の油分離手段の下流側に冷媒に水を注入する水注入手段を備えた。 これにより、室内機に接続された接続配管に流入する冷媒に水を注入することができるので、接続配管中の塩化鉄をイオン化させることで、洗浄し、異物捕捉手段で捕捉することができる。 【0183】 請求項22に記載の発明によれば、冷媒回路に冷媒中の水分を吸着する水分吸着手段を備えた。 これにより、塩化鉄の洗浄のために注入して過飽和になった水分を吸着し低減させることができる。 【0184】 請求項23に記載の発明によれば、異物捕捉手段により、冷媒の流速を低下させて冷媒中の異物を分離するようにしたので、冷媒中の異物を分離することができる。 【0185】 請求項24に記載の発明によれば、異物捕捉手段において、冷媒を鉱油中に通すことにより、冷媒中の異物を捕捉することができる。 【0186】 請求項25に記載の発明によれば、異物捕捉手段において、冷媒を鉱油中に通すことにより、冷媒中のCFC及びHCFCを溶解し捕捉するすることができる。 【0187】 請求項26に記載の発明によれば、異物捕捉手段において、冷媒をフィルタに通すことにより、冷媒中の異物を捕捉することができる。 【0188】 請求項27に記載の発明によれば、異物捕捉手段において、冷媒をイオン交換樹脂に通すことにより、冷媒中の塩素イオンを捕捉することができる。 【0189】 請求項28に記載の発明によれば、第1バイパス路、第2バイパス路、及び第3バイパス路を冷媒回路から切り離し自在に設けた。 これにより、異物捕捉手段を含むバイパス路の部分を冷媒配管の本管と分離することができ、洗浄運転後はバイパス路を閉じて、通常運転をすることができる。したがって、洗浄運転中に捕捉した異物が、再び運転回路中に戻ることがない。また、異物捕捉手段を経由しないため、圧縮機の吸入圧力損失が小さく、能力の低下が小さい。 また、バイパス路に油分離器と異物捕捉手段とを含んで洗浄機を構成した場合には、洗浄機の部分を、冷媒配管の本管と分離することができ、洗浄運転後は洗浄機を閉じて、通常運転をすることができる。さらに、洗浄機を冷凍サイクル装置の全体から切り離し、脱着可能に接続できるので、洗浄運転後に洗浄機取り外すことができる。 【0190】 請求項29〜31の発明によれば、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた第1の接続配管と第2の接続配管を再利用し、第1の接続配管と第2の接続配管とに残留する鉱油、固形異物及び液体異物、残留異物等を、流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたので、既設の接続配管から洗浄した冷媒中の鉱油、或いは固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。気体異物は、冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0191】 請求項32に記載の発明によれば、第1の冷媒を用いる既存の冷凍サイクル装置において、機器を第2の冷媒を用いるものに置換し、既存の冷媒配管を用いて、上記の各発明の冷凍サイクル装置を形成することができる。 これにより、既設の冷媒配管中の異物を捕捉し、新規の冷凍機油が既設の接続配管に流入しないようにして、熱源機と室内機のみを新規に交換し、熱源機と室内機とを接続する接続配管を交換しないで、老朽化した旧冷媒(例えば、CFCまたはHCFC)を用いた冷凍サイクル装置を新しい冷媒(例えば、HFC)を用いた冷凍サイクル装置に入れ替えることができる。 また、接続配管を、専用の洗浄液で洗浄するということをしないので、オゾン層破壊の可能性は全く無く、また可燃性・毒性も皆無で、洗浄液残留の懸念も無く、洗浄液を回収する必要も無い。 また、必要なHFCや冷凍機油は必要最小限ですむのでコスト・環境上有利である。また、交換用冷凍機油の管理も不要で、かつ冷凍機油過不足の危険性も全く発生しない。また、HFC用冷凍機油の非相溶化や冷凍機油の劣化の恐れも無い。 【0192】 また、請求項33または34に記載の発明によれば、室外機に内蔵された冷媒配管に、CFC冷媒やHCFC冷媒で使用していた既設の接続配管に残留していた残留異物を、流入してきたHFC冷媒中から捕捉する異物捕捉手段を備えたので、既設の接続配管から洗浄したHFC冷媒中の固体異物と液体異物を十分に分離して捕捉することができる。また、気体異物は、HFC冷媒が異物捕捉手段を何回か通るうちに捕捉することができる。 【0193】 【図面の簡単な説明】 【図1】 この発明の実施の形態1による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図。 【図2】 HFC用冷凍機油に塩素が混入している場合(175℃)の劣化の時間変化を示す図で。 【図3】 図3は異物捕捉手段13の一例を図示したものである。 【図4】 鉱油とCFCとの溶解度曲線、及び鉱油とHCFCとの溶解度曲線を示す図。 【図5】 油分離器の構造を示す図。 【図6】 油分離器におけるガス冷媒の流速と分離効率の関係を示す図。 【図7】 この発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図。 【図8】 この発明の実施の形態2による冷凍サイクル装置の通常空調運転の状態を示す図。 【図9】 この発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置の一例として、空気調和装置の冷媒回路を示す図。 【図10】 この発明の実施の形態3による冷凍サイクル装置の通常空調運転の状態を示す図。 【図11】 従来のセパレ-ト形の空気調和装置の冷媒回路を示す図。 【図12】 鉱油混入時のHFC用冷凍機油とHFC冷媒との溶解性を示す臨界溶解度曲線を示す図。 【図13】 従来の空気調和装置の洗浄方法を説明する図。 【符号の説明】 A 熱源機、 B 室内機、 C 第1の接続配管、 D 第2の接続配管、 E 洗浄機、 CC 第3の接続配管、 DD 第4の接続配管、 1 圧縮機1、 2 四方弁2、 3 熱源機側熱交換器、 4 第1の操作弁、 5 流量調整器、 6 利用側熱交換器、 7 第2の操作弁、 8 アキュムレ-タ、 9 油分離器、 10 第1の切換弁、 11 第2の切換弁、 12a 冷却手段、 12b 加熱手段、 13 異物捕捉手段、 14a〜14d 第1〜第4の電磁弁、 15 第1の流量制御手段、 16 第2の流量制御手段、 17a〜17f 第3〜第8の操作弁、 18a〜18c 第5〜第7の電磁弁、 51 容器、 52 流出配管、 53 フィルタ、 54 鉱油、 55 流入配管、 56 イオン交換樹脂。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-04-14 |
出願番号 | 特願平11-36135 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(F25B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 小野 孝朗 |
特許庁審判長 |
橋本 康重 |
特許庁審判官 |
原 慧 岡本 昌直 |
登録日 | 2002-10-18 |
登録番号 | 特許第3361765号(P3361765) |
権利者 | 三菱電機株式会社 |
発明の名称 | 冷凍サイクル装置及びその形成方法並びに冷凍サイクル装置の室外機 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 宮田 金雄 |