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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C22C
管理番号 1102098
審判番号 不服2002-5747  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-04-04 
確定日 2004-08-19 
事件の表示 平成 6年特許願第 20481号「オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系鋼との溶接継手の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月29日出願公開、特開平 7-228942〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成6年2月17日の出願であって、平成14年2月25日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成14年4月4日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1及び請求項2に係る発明は、平成11年9月8日付け手続補正書で補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び請求項2に記載されたとおりのものであるところ、本願の請求項1に係る発明は、次のとおりのものである(以下、「本願発明1」という)。
「【請求項1】オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト鋼との溶接継手を製造する方法において、重量%で、C=0.03〜0.12、Si≦0.70、Mn=0.10〜1.50、P≦0.030、S≦0.015、Cr=1.50〜3.50、Mo≦0.40、W=1.00〜3.00、V=0.10〜0.35、Nb=0.01〜0.10、Sol.Al≦0.030、B≦0.020、及び、N≦0.030からなるフェライン鋼(註:「フェライト鋼」の誤記と認める)を、オーステナイト系ステンレス鋼と接合溶接することを特徴とする溶接継手の製造方法。」

3.引用例
原査定の拒絶理由において引用された引用例4(特開昭55-100891号公報)及び引用例1(特開昭63-18038号公報)には、それぞれ次の事項が記載されている。
(1)引用例4:特開昭55-100891号公報
(1a)「従来、フェライト系鋼とオーステナイト系鋼は、第1図に示すような態様で溶接されていた。第1図中、1はフェライト系鋼(例えば、21/4Cr-1Mo鋼等)、2はオーステナイト系鋼(例えば、SUS304,SUS316,SUS321等のオーステナイト系ステンレス鋼)、3は該フェライト系鋼1とオーステナイト系鋼2とを接合する溶接金属でオーステナイト系ステンレス溶接材料(例えば、D309等)が用いられている。」(第1頁左欄下から2行〜右欄7行)
(2)引用例1:特開昭63-18038号公報
(2a)「2.C:0.05〜0.20wt%,
Si:0.50wt%以下、
Mn:1.5wt%以下、
Cr:2.0〜8.0wt%,
Mo:0.1〜1.6wt%,
W:0.1〜2.5wt%,
V:0.05〜0.50wt%,
Al:0.06wt%以下、
N:0.0050wt%以下、
P:0.010wt%以下および
S:0.004wt%以下を含み、
さらにNi:0.05〜1.0wt%,Ti:0.005〜0.08wt%,Nb:0.005〜0.10wt%,B:0.0003〜0.006wt%,Cu:0.05〜1.0wt%およびZr:0.005〜0.06wt%の1種又は2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなるクリープ特性および耐水素侵食特性の優れた低合金鋼。」(特許請求の範囲)
(2b)「(産業上の利用分野)
石油精製工業、石油化学工業および一般化学工業における各種圧力容器や管類など、高温、高圧水素下で長期間使用されるプラントの各部位材料に有利に適合するクリープ特性および耐水素侵食特性の優れた低合金鋼に関する。」(第2頁右上欄13〜18行)
(2c)「(問題点を解決するための手段)
発明者らはCr含有低合金鋼のクリープ強さおよび水素侵食特性に及ぼす添加成分の影響を巾広く検討した結果、Cr鋼をベースとした鋼にV,Wを複合添加するとともに低N、低Sにした場合、クリープ強さおよび耐水素侵食特性ともに優れた材料が得られる・・・」(第2頁右下欄下から6行〜第3頁左上欄1行)
(2d)「(作用)
次に各成分の限定理由を述べる。
C:0.05〜0.20%
Cは強度の確保及び脱酸のために0.05%以上の含有が必要であるが0.20%をこえると溶接性が劣化するため、0.05〜0.20%の範囲とする。
(中略)
V:0.05〜0.50%
VはWと組合せて0.05%以上を含有させることによりクリープ強さ、耐水素侵食特性、および高温強度の向上をはかることができる。しかし0.50%をこえる含有は溶接性および溶接後の応力除去焼なまし時の割れに対する特性(耐SR割れ性)を劣化するので、0.05〜0.50%の範囲とした。」(第3頁右上欄9行〜右下欄11行)

4.当審の判断
引用例4の上記(1a)には、「従来、フェライト系鋼とオーステナイト系鋼は、第1図に示すような態様で溶接されていた。第1図中、1はフェライト系鋼(例えば、21/4Cr-1Mo鋼等)、2はオーステナイト系鋼(例えば、SUS304,SUS316,SUS321等のオーステナイト系ステンレス鋼)、3は該フェライト系鋼1とオーステナイト系鋼2とを接合する溶接金属でオーステナイト系ステンレス溶接材料(例えば、D309等)が用いられている。」と記載されているから、引用例4には、「オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト鋼との溶接継手を製造する方法において、21/4Cr-1Mo鋼からなるフェライト鋼をオーステナイト系ステンレス鋼と接合する溶接継手の製造方法」という発明(以下、「引例発明4」という)が記載されていると云える。
そこで、本願発明1と引例発明4とを対比すると、引例発明4の「21/4Cr-Mo鋼も「フェライト鋼」であるから、両者は、「フェライト鋼とオーステナイト系ステンレス鋼との溶接継手を製造する方法において、フェライト鋼をオーステナイト系ステンレス鋼と接合溶接することを特徴とする溶接継手の製造方法」という点で一致し、次の点で相違していると云える。
相違点:本願発明1では、「フェライト鋼」が「重量%で、C=0.03〜0.12、Si≦0.70、Mn=0.10〜1.50、P≦0.030、S≦0.015、Cr=1.50〜3.50、Mo≦0.40、W=1.00〜3.00、V=0.10〜0.35、Nb=0.01〜0.10、Sol.Al≦0.030、B≦0.020、及び、N≦0.030」という成分組成のフェライト鋼であるのに対し、引例発明4では、「21/4Cr-Mo鋼」である点。
次に、本願発明1の上記相違点について検討するに、本願発明1の上記フェライト鋼は、本願明細書の段落【0008】の「そこで、本発明では、従来のCrMo系低合金フェライト鋼、例えば2(1/4)CrMo鋼と、ほぼ同等のCr量を含有しながら、約2倍のクリープ強度を有するフェライト鋼を用いることにより、オーステナイト系ステンレス鋼との接合溶接による熱応力が作用する領域のクリープ抵抗を上昇させて損傷の発生を抑制し、長寿命化を可能にする。」という記載によれば、従来の21/4CrMo鋼とほぼ同等のCr量を含有しながら、約2倍のクリープ強度を有するフェライト鋼であると認められるが、このような従来の21/4CrMo鋼よりクリープ強度の優れたフェライト系Cr-Mo鋼は、上記引用例1によって既に公知である。
すなわち、上記引用例1には、「クリープ特性および耐水素侵食特性の優れたCr-Mo鋼を提供することが、この発明の目的である。」(第2頁右下欄第12行乃至第14行)と記載され、その上記(2a)には、「C:0.05〜0.20wt%,Si:0.50wt%以下、Mn:1.5wt%以下、Cr:2.0〜8.0wt%,Mo:0.1〜1.6wt%,W:0.1〜2.5wt%,V:0.05〜0.50wt%,Al:0.06wt%以下、N:0.0050wt%以下、P:0.010wt%以下およびS:0.004wt%以下を含み、さらにNi:0.05〜1.0wt%,Ti:0.005〜0.08wt%,Nb:0.005〜0.10wt%,B:0.0003〜0.006wt%,Cu:0.05〜1.0wt%およびZr:0.005〜0.06wt%の1種又は2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純物よりなるクリープ特性および耐水素侵食特性の優れた低合金鋼」と記載されているから、この選択成分の中からNbとBとを選択した場合には、本願発明1の「フェライト鋼」とその成分組成が重複するフェライト系のCr-Mo鋼が記載されていると云える。そして、この「フェライト系Cr-Mo鋼」は、引用例1の上記(2b)の「各種圧力容器や管類など、高温、高圧水素下で長期間使用されるプラントの各部位材料」という記載からも明らかなように、本願発明1と同様「高温耐圧部」の材料として使用されるものであり、しかも、従来の「Cr-Mo鋼」の改良であるから、フェライト鋼の各成分の添加理由からも明らかなように、被溶接材としての「溶接性」についても配慮されているものである。
そうであるならば、「Cr-Mo鋼」は、そもそも、オーステナイト系ステンレス鋼との異材継手の材料として多く用いられる鋼種であることは、上記引用例4や例えば「溶接・接合便覧」丸善(株)発行、平成2年、第964頁及び第965頁にも記載されているように周知の事項であるから、従来のCr-Mo鋼の特にそのクリープ特性を改良した上記引用例1に記載の「フェライト系Cr-Mo鋼」を引例発明4の「21/4Cr-Mo鋼」に替えて使用することは当業者が容易に想到し得たことと云うべきである。
してみると、本願発明1は、引用例4に記載された発明と引用例1に記載された「フェライト系Cr-Mo鋼」に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとするのが相当であると云える。

5.むすび
したがって、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-22 
結審通知日 2004-06-22 
審決日 2004-07-05 
出願番号 特願平6-20481
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C22C)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥井 正樹  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 平塚 義三
綿谷 晶廣
発明の名称 オーステナイト系ステンレス鋼とフェライト系鋼との溶接継手の製造方法  
代理人 萩原 亮一  
代理人 加藤 公清  
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