• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1102125
審判番号 不服2001-12913  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-08-04 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-18 
確定日 2004-08-18 
事件の表示 平成 5年特許願第355185号「3×3隣接文字表示キーボード」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 8月 4日出願公開、特開平 7-200120〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成5年12月28日の出願であって、その発明は、平成16年1月23日付手続補正書により補正された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、「本願発明」という)と認める。

「2タッチで文字を入力する方法でキートップ上を3×3の9つのエリアに分け2タッチ目を上下左右斜めの隣接キーに配置し、配置したキーを9つのエリアに相対的位置で表示し、日本語などの文字を連続的に見易く表示し、キー入力をより容易にしたキーボード」


2.引用例
これに対して、当審における、平成15年11月17日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願の出願の日前の昭和58年4月7日に頒布された「特開昭58-58634号公報」(以下,「引用例1」という。)には、次の事項が記載されている。
(1)「そして本発明は、カナ・英字・記号等の文字をテンキーから入力するため、テンキーのそれぞれのキーをさらに3×3のマトリックスで表現し、2タッチで1文字を入力することを特徴とする。」(第1頁右下欄下から第1行〜第2頁左上欄第3行)
(2)「第1図は本発明の1実施例の説明図で、広く種種の機器に使用されているテンキー入力装置のそれぞれのキーを3×3のマトリックスにしてカナ・英字・記号等の文字を表現するものとして、第1図(a)において、テンキー0〜9をそれぞれ同図(b)のように区分し、そして、9ではア・イ・ウ・カ・キ・ク・サ・シ・スを、8ではタ・チ・ツ・ナ・ニ・ヌ・ハ・ヒ・フを、以下7〜0でも図のようにそれぞれの文字を割当てた内容を示している。そこで、文字を入力する手順を次に説明する。文字の入力は、第1図(a)の割当てにしたがって、まず第1回目は入力する文字のあるブロックの番号に相当するテンキーをタッチする。すなわち、「カ」を入力するときは、ア・イ・ウ・カ・キ・ク・サ・シ・スの割当てられている9のキーをタッチし、「ニ」を入力するときは、タ・チ・ツ・ナ・ニ・ヌ・ハ・ヒ・フの割当てられている8のキーをタッチする。そして第2回目は、入力する文字のあるブロック内において、第1図(b)に示す区分で見た場合のその入力する文字の位置の番号に相当するテンキーをタッチする。すなわち、「カ」を入力するときの2回目は、第1図(a)の9ブロックの中で同図(b)の8の位置にカがあるので8のキーをタッチし、「ニ」を入力するときの2回目は、同図(a)の8ブロックの中で同図(b)の5の位置にニがあるので5のキーをタッチする。」(第2頁左上欄第5行〜右上欄第10行)
(3)「以上の説明から明らかなように、本発明によれば、文字入力装置が小型化でき、文字の配列も視覚的に理解できる素人にも入力しやすく、僅かな数のキーによる2タッチ方式であるので熟練すればするほど入力速度も上がり、片手によるめくら打ちができる程度のものになる、等種々の効果が期待できる。」(第2頁右下欄第13〜19行)そして、第1図(a)には、キートップに日本語及び英字の文字を連続的に表示することが示されている。

また、原査定の拒絶の理由に引用され、当審における平成15年11月17日付けで通知した拒絶の理由に引用した、本願の出願の日前の昭和60年11月16日に頒布された「特開昭60-231253号公報」(以下,「引用例2」という。)には、次の事項が記載されている。
(4)「この発明は、キーどうしを組み合わせて2回のキー操作で1つの符号を得る方式のキーボードに関する。」(第2頁左上欄第3〜5行)
(5)「第1図は、この発明の第1実施態様を16キーのキーボードに適用した場合を示す平面図である。
この実施例では、第2回目のキーの選択の範囲を第1回目のキー操作によって得られたキー自身とそのキーに隣接する上下左右の5箇所のキーとする。したがって、この実施例では、第2回目のキーの選択の仕方によって5種類の符号の選択ができることになる。」(第2頁右上欄第7〜14行)
(6)「第5図および第6図は、この発明の第3実施態様および第4実施態様を16キーのキーボードに適用した場合の実施例を示す平面図である。第1実施態様および第2実施態様と比較すると、第2回目のキー操作で選択すべきキーを矢印の向きによって示している点が異なっている。」(第3頁右上欄第16行〜左下欄第1行)
(7)「この発明は、比較的少数のキーにより、非常に多数の符号を得ることができる上、キートップに直接符号が表示されているので、オペレータは、選択すべきキーを容易に認識できるし、また操作するキーも同一のキーか、隣接するキーに限定されているのでキー操作に当って注意力が散漫になることもない。また、本発明の説明では、実施例として16キーのキーボードを使用したが、キーの数や符号の種類とその配置順序を変えてもこの発明の原理には、何ら変化のないことは、以上の説明から明らかである。」(第3頁左下欄第3〜13行)


3.対比
(対比)
本願発明と引用例1記載の発明を対比すると、引用例1の「キー入力装置」は本願の「キーボード」に相当し、引用例1に記載されたものは、テンキーの中央である数字5に対して自身を含めた上下左右斜めの9つの隣接キーを2タッチ目として、このキー配置をキートップ上に表示しているものであるから、両者は、以下のとおりの一致点及び相違点を有するものと認められる。

(一致点)
「2タッチで文字を入力する方法でキートップ上を3×3の9つのエリアに分け2タッチ目を複数のキーに配置し、配置したキーを9つのエリアに位置で表示し、日本語などの文字を連続的に見易く表示し、キー入力をより容易にしたキーボード」

(相違点)
本願発明においては、2タッチ目を上下左右斜めの隣接キーに配置し、配置したキーをキートップ上で相対的位置で表示するのに対して、引用例1に記載されたものにおいては、2タッチ目をテンキーの3×3のキーに配置し、配置したキーをキートップ上で絶対的位置で表示する点。


4.当審の判断
上記相違点について検討すると、この相違点は、2タッチ目のキーについて、本願発明は1タッチ目のキーの近隣キーで定義しているのに対して、引用例1に記載されたものは、1タッチ目のキーにかかわらず、テンキーの数字5の近隣キーで定義していることに起因している。しかし、2タッチで文字を入力する方法で、2タッチ目を上下左右の隣接キーに配置し、配置したキーをキートップ上の相対的位置に表示することは引用例2に記載されているようにすでに知られた技術であり、また引用例2に関する上記2-(6)の記載及び引用例2の第6図の記載から上下左右の他、斜めの隣接キーを2タッチ目に含めることもすでに知られた技術である。
したがって、引用例1に記載されたものにおいて、2タッチ目を上下左右斜めの隣接キーとすることは、当業者が容易に想到し得る程度のものと認められる。
また、これにより奏する作用効果も、当業者が予測し得る程度のものであって格別のものとは認められない。

なお、出願人は平成16年1月23日付の意見書において「運用上は3×4のキーボードはキートップを3×4に分割する必要があり、4×5のキーボードではキートップを4×5に分割する必要がある。」と主張しているが、テンキーは数字を入力するのに特化したキーであるから1〜9の9つのキーは特別なキーであり、中央のキー(一般には数字の5)は突起などでブラインドタッチで入力可能となっていること、引用例1の第1図(a)は9つのキーの他に0のキーがあり10個のキーであるにもかかわらず、キートップ上では9つのエリアで表示されていることから、3×4もしくは4×5のキー構成になってもキートップを3×3に分割する構成のままにすることは、格別なことではないから、上記出願人の主張は採用することができない。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用刊行物1及び2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-08 
結審通知日 2004-06-15 
審決日 2004-06-28 
出願番号 特願平5-355185
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 友章  
特許庁審判長 吉村 宅衛
特許庁審判官 治田 義孝
内田 正和
発明の名称 3×3隣接文字表示キーボード  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ