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審決分類 審判 全部無効 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 無効としない A23L
審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 無効としない A23L
管理番号 1102715
審判番号 無効2003-35197  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1989-07-19 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-05-14 
確定日 2004-09-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第2138015号発明「冷凍麺類の解凍・加熱処理方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
本件特許2138015号発明は、昭和63年1月14日に特願昭63-6281号として出願され、平成10年8月28日に設定の登録がなされたところ、これに対して、直本工業株式会社より平成15年5月14日に本件無効審判の請求がなされた。

II.当事者の主張
1.請求人の主張
請求人は、「第2138015号の請求項1に係る発明についての登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として下記の甲第1号証乃至甲第3号証を提出し、その理由として、本件請求項1に係る発明に対する特許は、請求項1の記載が特許法36条に規定する要件を満たしておらず、また、発明の詳細な説明には、当業者が発明を容易に実施できる程度に記載されていないので、特許法36条に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである旨主張している。

甲第1号証:「蒸気表」社団法人日本機械学会発行(昭和55年5月12日)12頁
甲第2号証:「食品工業のスチーム・システム」平山一政著、株式会社光琳発行(昭和59年8月)36頁
甲第3号証:「蒸気・高温水システム」千葉孝男著、財団法人省エネルギーセンター発行(平成13年2月20日)14頁

2.被請求人の主張
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めている。

III.甲各号証の記載内容
甲第1号証には、水蒸気の圧力と温度の関係が
甲第2号証には、「大気圧下の開放装置内に蒸気を噴射した場合、100℃以上の温度にならない」(36頁右欄1〜2行)ことが、
甲第3号証には、「150℃を越す超高温の水蒸気でも大気中に噴出時には、直ちに100℃以下となっている」(14頁図1.7)こと
が、それぞれ記載されている。

IV.当審の判断
請求人の特許法36条第3項及び第4項第1号又は第2号に規定する要件を満たしていないという主張は次のとおりである。
すなわち、本件請求項1の「冷凍麺類に温度101〜125℃の水蒸気を噴射接触せしめる」という記載は、前記温度範囲が、水蒸気の噴射前の温度か、冷凍麺類への水蒸気の接触温度か、水蒸気の噴射直後の温度か不明である。発明の詳細な説明を参酌すれば「冷凍麺類表面での接触温度が101〜125℃」を必須構成要件とすべきであるが、そうすると甲第2乃至3号証によれば、大気圧下の開放装置内に蒸気を噴射した場合、100℃以上の温度にならないのであるにもかかわらず、発明の詳細な説明には、水蒸気の接触温度を101〜125℃にするための手段が記載されていない。
したがって、本件請求項1の「冷凍麺類に温度101〜125℃の水蒸気を噴射接触せしめる」という記載は、不明瞭であり、かつ、発明の詳細な説明に記載されたものではなく、また、発明の詳細な説明には、請求項1に記載された発明を当業者が容易に実施できる程度にその目的、構成及び効果が記載されていない。
よって審究するに、本件明細書の特許請求の範囲の請求項1には、「【請求項1】冷凍麺類に温度101〜125℃の水蒸気を噴射接触せしめることを特徴とする冷凍麺類の解凍・加熱処理方法」と記載されており、これが文言上「温度101〜125℃の水蒸気を噴射させ、その噴射している水蒸気を冷凍麺類に接触させること」を意味することは、明確である。
このことは、発明の詳細な説明の「本発明に用いられる水蒸気は、温度101〜125℃、好ましくは103〜118℃のものである。」(特許公報2頁3欄10〜11行)、「本発明でいう温度101〜125℃の水蒸気は絶対圧力が1.1〜2.0kg/cm2程度のものである。」」(特許公報2頁3欄19〜20行)、「その具体的操作としては、温度101℃、絶対圧力1.2kg/cm2の水蒸気を発生させて、」(特許公報2頁4欄13〜14行)という記載によっても、明確に支持されている。
なお、 請求人は「冷凍麺類に温度101〜125℃の水蒸気を噴射接触せしめる」という記載は「冷凍麺類表面での接触温度が101〜125℃」を意味しているものとして議論しているが、請求人がそのような解釈をする具体的根拠を示していない。
また、請求人が指摘するように、甲第2乃至3号証によれば、大気圧下の開放装置内に蒸気を噴射した場合、100℃以上の温度にならないのであるのが技術常識であるというのであれば、「冷凍麺類に温度101〜125℃の水蒸気を噴射接触せしめる」という記載は「冷凍麺類表面での接触温度が101〜125℃」という意味でないことは明らかである。
したがって、請求人の上記主張は採用しない。
V.まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件請求項1についての特許を無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-09-01 
結審通知日 2003-09-04 
審決日 2003-09-22 
出願番号 特願昭63-6281
審決分類 P 1 112・ 534- Y (A23L)
P 1 112・ 532- Y (A23L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田中 倫子鈴木 恵理子  
特許庁審判長 河野 直樹
特許庁審判官 柿沢 恵子
鵜飼 健
登録日 1998-08-28 
登録番号 特許第2138015号(P2138015)
発明の名称 冷凍麺類の解凍・加熱処理方法  
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所  
代理人 中谷 武嗣  

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