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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 G09B |
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管理番号 | 1102822 |
異議申立番号 | 異議2003-73200 |
総通号数 | 58 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1996-06-21 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-22 |
確定日 | 2004-07-07 |
異議申立件数 | 2 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3428752号「道路地図表示制御方法および道路地図表示制御装置」の請求項1ないし8に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3428752号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1.手続の経緯 特許第3428752号の請求項1ないし8に係る発明についての出願は、平成 6年12月12日に特許出願され、平成15年 5月16日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人西郷純一及び亀山照代より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年 6月15日に訂正請求がなされたものである。 第2.訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 上記平成16年 6月15日付訂正請求書に添付された全文訂正明細書の記載によれば、特許権者が求めている訂正の内容は、以下の訂正を行うものと認められる。 (1)訂正事項(a) 【請求項1】について、「表示制御手段により、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、」とある記載を「表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、」と訂正する。 (2)訂正事項(b) 【請求項2】について、「表示制御手段により、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、」とある記載を「表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、」と訂正する。 (3)訂正事項(c) 【請求項5】を削除する。 (4)訂正事項(d) 【請求項6】について、請求項の番号を【請求項5】に繰り上げるとともに、「請求項1ないし5のいずれかに記載」とある記載を「請求項1ないし4のいずれかに記載」と訂正する。 (5)訂正事項(e) 【請求項7】について、請求項の番号を【請求項6】に繰り上げるとともに、「請求項6に記載」とある記載を「請求項5に記載」と訂正する。 (6)訂正事項(f) 【請求項8】について、請求項の番号を【請求項7】に繰り上げるとともに、「前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、」とある記載を「複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、」と訂正する。 (7)訂正事項(g) 【請求項9】について、請求項の番号を【請求項8】に繰り上げるとともに、「前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、」とある記載を「複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、」と訂正する。 (8)訂正事項(h) 明細書の段落【0006】において、請求項1及び請求項2について、上記と同様趣旨の訂正をするとともに、新たな請求項5及び請求項6について、上記と同様趣旨の訂正をする。 (9)訂正事項(i) 明細書の段落【0007】において、新たな請求項7及び請求項8について、上記と同様趣旨の訂正をする。 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否 (1)訂正事項(a) 訂正事項(a)は、発明を特定する事項である「表示制御手段により、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方をともに・・・表示画面に表示させる」という構成を、これに含まれる事項である「表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる」という構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (2)訂正事項(b) 訂正事項(b)は、発明を特定する事項である「表示制御手段により、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方をともに・・・表示画面に表示させる」という構成を、これに含まれる事項である「表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる」という構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (3)訂正事項(c) 訂正事項(c)は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (4)訂正事項(d) 訂正事項(d)は、請求項の番号を【請求項5】に繰り上げるとともに、「請求項1ないし5のいずれかに記載」とある記載を「請求項1ないし4のいずれかに記載」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (5)訂正事項(e) 訂正事項(e)は、請求項の番号を【請求項6】に繰り上げるとともに、「請求項6に記載」とある記載を「請求項5に記載」と訂正するものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (6)訂正事項(f) 訂正事項(f)は、請求項の番号を【請求項7】に繰り上げるとともに、発明を特定する事項である「・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させる」という構成を、これに含まれる事項である「複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる」という構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (7)訂正事項(g) 訂正事項(g)は、請求項の番号を【請求項8】に繰り上げるとともに、発明を特定する事項である「・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させる」という構成を、これに含まれる事項である「複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる」という構成に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 (8)訂正事項(h)及び(i) 訂正事項(h)及び(i)は、上記訂正事項(a)ないし(g)と整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。 3.むすび したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する平成6年法改正前の第126条第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 第3.特許異議の申立てについての判断 1.申立ての理由の概要 (1)異議申立人西郷純一は、請求項1ないし8に係る発明は、甲第1号証(特開平1-263688号公報)、甲第2号証(特開平3-26917号公報)、甲第3号証(特開平3-225391号公報)、参考文献1(特開平2-244188号公報)、参考文献2(特開平4-319985号公報)、参考文献3(特開平5-158407号公報)、参考文献4(特開平2-6713号公報)、参考文献5(特開平5-46084号公報)、参考文献6(特開平5-118864号公報)、参考文献7(特開平6-258093号公報)、参考文献8(特開平3-137680号公報)に記載された各発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。 (2)異議申立人亀山照代は、請求項1ないし2及び4ないし8に係る発明は、甲第1号証(特開昭61-95386号公報)、甲第2号証(特開平2-244188号公報)、甲第3号証(特開平3-225391号公報)、甲第4号証(特開平3-26917号公報)、甲第5証(特開平5-203457号公報)、甲第6号証(特開平5-118864号公報)、甲第7号証(特開平6-236146号公報)、甲第8号証(特開平5-307357号公報)、甲第号9証(特開平5-18767号公報)、甲第10号証(特開平5-94131号公報)、甲第11号証(特開昭61-65368号公報)、甲第12号証(特開平5-134600号公報)、甲第13号証(特開平6-83937号公報)、甲第14号証(特開昭62-79312号公報)、甲第15証(特開昭62-212776号公報)、甲第16号証(特開平6-331372号公報)、甲第17号証(特開平5-158407号公報)、甲第18号証(特開平5-94130号公報)、甲第号19証(特開平6-174484号公報)、甲第20号証(特開平3-10279号公報)に記載された各発明に基づいて容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。 2.本件発明 上記第2.訂正の適否についての判断で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし8に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法であって、 車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、 道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、 鳥瞰図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、 平面地図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、 表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、 表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御することを特徴とする車両用道路地図表示制御方法。 【請求項2】地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法であって、 車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、 道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、 鳥瞰図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、 平面地図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、 表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、 表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させ、 判定手段により、車両が所定距離以上走行したか否かを判定し、 前記判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、前記表示制御手段により、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新することを特徴とする車両用道路地図表示制御方法。 【請求項3】前記判定手段が車両が所定距離以上走行していないと判断したとき、前記表示制御手段により、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新せず、前記平面地図及び前記鳥瞰図の双方の前記車両の現在地を示す表示を移動することを特徴とする請求項2記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項4】前記平面地図と前記鳥瞰図において、地図縮尺、表示色および表示方向のうち少なくともいずれか1つを設定し、 前記設定に応じて、前記平面地図と前記鳥瞰図を表示させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項5】前記平面地図と前記鳥瞰図のうち少なくともいずれか一方をスクロールできることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項6】前記スクロールは、スイッチが操作されることにより行うことを特徴とする請求項5に記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項7】地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置であって、 車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、 道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、 複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする車両用道路地図表示制御装置。 【請求項8】地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置であって、 車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、 道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、 複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させる表示制御手段と、 車両が所定距離以上走行したか否かを判定する判定手段とを備え、 前記判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、前記表示制御手段は、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新することを特徴とする車両用道路地図表示制御装置。」 2.刊行物等 特許異議申立人西郷純一が証拠として提出した刊行物、及び特許異議申立人亀山照代が証拠として提出した刊行物には、それぞれ、以下のような発明が記載されている。(この項では、特許異議申立人西郷純一による特許異議申立を「異議01」と、特許異議申立人亀山照代による特許異議申立を「異議02」と略記する。) (1)刊行物1:異議01の甲第1号証(特開平1-263688号公報)には、「隣接地域のみならず遠方地域ないし指標物(例えば駅、公園、幹線路など)との関係が同時に表示しうるナビゲーション地図表示装置」(公報第2頁右上欄5〜8行)が記載されている。 (2)刊行物2:異議01の甲第2号証・異議02の甲第4号証(特開平3-26917号公報)には、「利用者において、画面に写し出された道路地図上における現在位置と実際の道路上における現在地との対応をとり易くした移動体の現在位置表示装置」(公報第2頁右上欄10〜13行)が記載されている。 (3)刊行物3:異議01の甲第3号証・異議02の甲第3号証(特開平3-225391号公報)には、「実際に見た風景に近い感じで地図を描画することができる地図描画方法」(公報第2頁左上欄19行〜右上欄1行)が記載されている。 (4)刊行物4:異議01の参考文献1・異議02の甲第2号証(特開平2-244188号公報)には、「ユーザがその上又は上方を移動している地形についての情報をユーザが現在位置において自分自身の視点から得られる情報よりもっと多くの情報をユーザに与えることができ・・・る地図の一部分を透視表示する方法」(公報第3頁左上欄8〜13行)が記載されている。 (5)刊行物5:異議01の参考文献2(特開平4-319985号公報)には、「各種データ処理部に、条件ごと(現在位置表示、目的地表示、自車位置に相対した経路案内に関する情報等の提供)の処理部を設け、各種ウインドウ処理のための表示メモリと表示エリアを設けたことと、表示コントロール部を備えたことで、多様なウインドウ処理が行なえ、条件毎に独立して処理できるため、一画面に表示できる情報量が増し、車両の運転者に対して充実した情報の提供が行なえることで、移動体ナビゲーションにおける機能の拡大化と処理速度の向上を計る・・・移動体用ナビゲーション装置」(段落【0017】)が記載されている。 (6)刊行物6:異議01の参考文献3(特開平5-158407号公報)には、「北を表示画面の略上方向とする地図を表示するベース画面によって現在位置認識を容易とし、かつ移動体の進行方向を表示画面の略上方向とする地図を表示するウィンドー画面により進行すべき右左折路方向の判断を容易とする移動体用ナビゲーション装置及びその表示方法」(段落【0007】)が記載されている。 (7)刊行物7:異議01の参考文献4(特開平2-6713号公報)には、「分岐点における最適誘導経路を確実に視認させることを可能にする車両案内表示方式」(公報第2頁左下欄8〜9行)が記載されている。 (8)刊行物8:異議01の参考文献5(特開平5-46084号公報)には、「走行方向を変更すべき交差点が車両よりどの程度先にあるか直観的に把握することができる車載ナビゲータの走行案内画像表示方法」(段落【0009】)が記載されている。 (9)刊行物9:異議01の参考文献6・異議02の甲第6号証(特開平5-118864号公報)には、「案内対象交差点で進路変更を正しく行えたか否かを迅速、容易に確認できる車載ナビゲータの走行案内画像表示方法」(段落【0009】)が記載されている。 (10)刊行物10:異議01の参考文献7(特開平6-258093号公報)には、「車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、道路地図を表示させるための地図データを記憶した地図記憶手段と、表示手段と、前記地図記憶手段からの地図データに基づき道路地図を前記表示手段に表示させるとともに、前記現在位置検出手段にて検出した現在位置を前記道路地図上に付加表示させる表示制御手段とを備え、車両のキースイッチを介した車載バッテリからの電源供給を受けて上記各手段による作動を行うようにした車両用ナビゲーション装置」(段落【0005】)が記載されている。 (11)刊行物11:異議01の参考文献8(特開平3-137680号公報)には、「ブラウン菅等の表示器に地図および自動車の現在位置、走行軌跡等を表示して、運転者に走行情報を提供する移動体用ナビゲーション装置」(公報第1頁右下欄10〜14行)が記載されている。 (12)刊行物12:異議02の甲第1号証(特開昭61-95386号公報)には、「運転者が所要の道路を誤ることなく選択でき、安全、且つ確実に走行することが可能なように案内し得る車載用ナビゲータ装置」(公報第2頁左上欄3〜6行)が記載されている。 (13)刊行物13:異議02の甲第5号証(特開平5-203457号公報)には、「GPS受信器、ロラン受信器、デッカ受信器等の測位装置で得られた位置データを、地図上に現在位置として表示する経路誘導装置」(段落【0001】)が記載されている。 (14)刊行物14:異議02の甲第7号証(特開平6-236146号公報)には、「表示装置に表示された道路や道路種別の識別性を低下させることなく、車両走行中の周囲の明るさ変化に応じて表示画面を変更可能な車両用地図表示装置」(段落【0007】)が記載されている。 (15)刊行物15:異議02の甲第8号証(特開平5-307357号公報)には、「記録媒体から読み出したディジタルデータを表示する際にユーザの指定に応じた色指定に設定を変更し、他のソフトウェア間の色指定の互換性を保ち上記設定した色調のイメージのまま表示することのできる地図データ表示装置」(段落【0010】)が記載されている。 (16)刊行物16:異議02の甲第9号証(特開平5-18767号公報)には、「GPSデータを有効に利用して、格別な付加装置を設ける必要もなく、ディスプレイ画面の明るさを自動的に調整することができるナビゲーションシステム」(段落【0005】)が記載されている。 (17)刊行物17:異議02の甲第10号証(特開平5-94131号公報)には、「地図上に移動体の現在地を表示する移動体用ナビゲーション装置」(段落【0001】)が記載されている。 (18)刊行物18:異議02の甲第11号証(特開昭61-65368号公報)には、「3次元画像情報を介して計算機支援設計手法(・・・)に係り、特に、3次元の対象物の透視図を画面に表示する方法」(公報第1頁左下欄16〜19行)が記載されている。 (19)刊行物19:異議02の甲第12号証(特開平5-134600号公報)には、「平面的な地図データと立体的な景観データを用いて、通常時は観光案内,道案内を行い、災害時には避難誘導を行うシステムに関し、特にユーザによるシステムの操作性を向上させる方法」(段落【0001】)が記載されている。 (20)刊行物20:異議02の甲第13号証(特開平6-83937号公報)には、「実際に存在する道路に沿ったリアルな動画像を発生させることのできる道路の動画像作成方法」(段落【0004】)が記載されている。 (21)刊行物21:異議02の甲第14号証(特開昭62-79312号公報)には、「自分の位置を把握するため、地図または海図とともに自分の位置を表示するとともに、その位置から周囲を見渡した実景を表示するようにした航法装置」(公報第2頁左上欄2〜5行)が記載されている。 (22)刊行物22:異議02の甲第15号証(特開昭62-212776号公報)には、「関連した複数の画像情報を同時に表示して、これらの内容比較を容易にする情報(マーク)を付加する映像表示装置」(公報第2頁左上欄11〜13行)が記載されている。 (23)刊行物23:異議02の甲第16号証(特開平6-331372号公報)には、「現在位置から目的地までの最適経路を計算する経路計算機能を有するナビゲーション装置」(段落【0001】)が記載されている。 (24)刊行物24:異議02の甲第17号証(特開平5-158407号公報)には、「ディスプレイにベース画面とウィンドー画面を設け、ベース画面とウィンドー画面に移動体の現在位置を表示する移動体用ナビゲーション装置およびその表示方法」(段落【0001】)が記載されている。 (25)刊行物25:異議02の甲第18号証(特開平5-94130号公報)には、「表示手段に、ベース画面と、このベース画面より小さいウインド画面を設け、ベース画面に詳細を表示し、ウインド画面に広域地図を表示した移動体用ナビゲーション装置」(段落【0001】)が記載されている。 (26)刊行物26:異議02の甲第19号証(特開平6-174484号公報)には、「車載ナビゲータの地図描画方法に係り、特に地図上に現在地表示するロケーションモード時と、ユーザが所望地図エリアや所望地を見る地図検索モード時とで、地図描画方法を切り換えるようにした車載ナビゲータの地図描画方法」(段落【0001】)が記載されている。 (27)刊行物27:異議02の甲第20号証(特開平3-10279号公報)には、「三角関数演算を1回行うだけで経緯度地図データを実距離表示可能な平面地図データに変換できる自動車ナビゲーションの地図描画方法」(公報第3頁左上欄1〜4行)が記載されている。 3.対比・判断 (1)本件発明1と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、前記各刊行物に記載された発明は、本件発明1を特定する事項である、「平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定」する構成を備えておらず、当該事項により本件請求項1に係る発明は、「道路地図の距離感が掴みやすくなる。」という効果を奏するものであり、本件発明1が上記刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (2)本件発明2と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、前記各刊行物に記載された発明は、本件発明2を特定する事項である、「平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定」する構成を備えておらず、当該事項により本件請求項2に係る発明は、「道路地図の距離感が掴みやすくなる。」という効果を奏するものであり、本件発明2が上記刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (3)本件発明3と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、請求項3が請求項2を引用するものであるから、本願発明3も、上記本願発明2の構成の一部と共通の構成を備えているものとなる。 したがって、上記(2)と同じ理由により、本願発明3は、刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (4)本件発明4と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、請求項4が請求項1ないし3を引用するものであるから、本願発明4も、上記本願発明1ないし3の構成の一部と共通の構成を備えているものとなる。 したがって、上記(1)または(2)と同じ理由により、本願発明4は、刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (5)本件発明5と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、請求項5が請求項1ないし4を引用するものであるから、本願発明5も、上記本願発明1ないし4の構成の一部と共通の構成を備えているものとなる。 したがって、上記(1)または(2)と同じ理由により、本願発明5は、刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (6)本件発明6と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、請求項6が請求項5を引用するものであるから、本願発明6も、上記本願発明1ないし4の構成の一部と共通の構成を備えているものとなる。 したがって、上記(1)または(2)と同じ理由により、本願発明6は、刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 (7)本件発明7と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、前記各刊行物に記載された発明は、本件発明7を特定する事項である、「・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段」を備えておらず、当該事項により本件請求項7に係る発明は、「道路地図の距離感が掴みやすくなる。」という効果を奏するものであり、本件発明7が上記刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 (8)本件発明8と上記刊行物1ないし27に記載された各発明とを対比すると、前記各刊行物に記載された発明は、本件発明8を特定する事項である、「・・・平面地図と・・・鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段」を備えておらず、当該事項により本件請求項8に係る発明は、「道路地図の距離感が掴みやすくなる。」という効果を奏するものであり、本件発明8が上記刊行物1ないし27に記載された各発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。 4.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
異議2003-73200訂正要旨 (1)訂正事項(a) 【請求項1】について、 「・・・表示制御手段により、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 とある記載を 「・・・表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 と訂正する。 (2)訂正事項(b) 【請求項2】について、 「・・・表示制御手段により、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 とある記載を 「・・・表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 と訂正する。 (3)訂正事項(c) 【請求項5】を削除する。 (4)訂正事項(d) 【請求項6】について、請求項の番号を【請求項5】に繰り上げるとともに、 「請求項1ないし5のいずれかに記載」 とある記載を 「請求項1ないし4のいずれかに記載」 と訂正する。 (5)訂正事項(e) 【請求項7】について、請求項の番号を【請求項6】に繰り上げるとともに、 「請求項6に記載」 とある記載を 「請求項5に記載」 と訂正する。 (6)訂正事項(f) 【請求項8】について、請求項の番号を【請求項7】に繰り上げるとともに、 「・・・前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 とある記載を 「・・・複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 と訂正する。 (7)訂正事項(g) 【請求項9】について、請求項の番号を【請求項8】に繰り上げるとともに、 「・・・前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方をともに前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 とある記載を 「・・・複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、・・・」 と訂正する。 (8)訂正事項(h) 明細書の段落【0006】において、請求項1及び請求項2について、上記と同様趣旨の訂正をするとともに、新たな請求項5及び請求項6について、上記と同様趣旨の訂正をする。 (9)訂正事項(i) 明細書の段落【0007】において、新たな請求項7及び請求項8について、上記と同様趣旨の訂正をする。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 道路地図表示制御方法および道路地図表示制御装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法であって、 車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、 道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、 鳥瞰図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、 平面地図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、 表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、 表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御することを特徴とする車両用道路地図表示制御方法。 【請求項2】 地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法であって、 車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、 道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、 鳥瞰図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、 平面地図生成手段により、前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、 表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定し、 表示制御手段により、前記設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させ、 判定手段により、車両が所定距離以上走行したか否かを判定し、 前記判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、前記表示制御手段により、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新することを特徴とする車両用道路地図表示制御方法。 【請求項3】 前記判定手段が車両が所定距離以上走行していないと判断したとき、前記表示制御手段により、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新せず、前記平面地図及び前記鳥瞰図の双方の前記車両の現在地を示す表示を移動することを特徴とする請求項2記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項4】 前記平面地図と前記鳥瞰図において、地図縮尺、表示色および表示方向のうち少なくともいずれか1つを設定し、 前記設定に応じて、前記平面地図と前記鳥瞰図を表示させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項5】 前記平面地図と前記鳥瞰図のうち少なくともいずれか一方をスクロールできることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項6】 前記スクロールは、スイッチが操作されることにより行うことを特徴とする請求項5に記載の車両用道路地図表示制御方法。 【請求項7】 地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置であって、 車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、 道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、 複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、 前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御する表示制御手段とを備えることを特徴とする車両用道路地図表示制御装置。 【請求項8】 地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置であって、 車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、 道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が変化して遠方より前記車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、 前記道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、前記表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、 複数の表示モードの中から、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、 前記表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、前記生成した平面地図と前記生成した鳥瞰図の双方を常時前記表示画面に表示させるとともに、前記平面地図と前記鳥瞰図の双方に前記検出した車両の現在地を示すマークを表示させる表示制御手段と、 車両が所定距離以上走行したか否かを判定する判定手段とを備え、 前記判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、前記表示制御手段は、前記平面地図と前記鳥瞰図とを更新することを特徴とする車両用道路地図表示制御装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、設定された現在地から目的地までの範囲内の道路地図を表示装置に表示することができる地図表示方法および地図表示装置に関する。 【0002】 【従来の技術】 道路地図を表示装置に表示する際、車両の現在地周辺の道路地図を遠方よりも拡大して表示する、いわゆる鳥瞰図表示形式によって道路地図を表示するようにした車両用地図表示装置が知られている(例えば、特開平2-244188号公報参照)。上記公報に開示された装置は、車両の現在地の後方に視点を置き、この視点から車両の進行方向を見下ろした様子を表示装置の画面上に表示する。このような鳥瞰図表示を行うと、現在地周辺の地図情報を拡大して表示できるとともに、現在地から遠方までの広範囲を表示できるため、道路地図の接続状況を視覚的に捉えやすくなる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 ところが、道路地図を鳥瞰図表示すると、平面地図を表示する場合に比べて距離感を把握しにくくなるという問題があり、表示装置に表示される道路地図範囲の広さがわかりにくくなる。このため、不案内な地域を走行する場合のように、運転者が車両の現在位置を正確に認識していない場合等は、鳥瞰図を表示するよりも平面地図を表示する方が望ましい。 【0004】 そこで、本出願人は、先に出願した特願平6-278910号において、平面地図と鳥瞰図とを切り換えて表示する装置を提案した。ところが、平面地図と鳥瞰図とでは画面内に表示される道路地図範囲が一致しないため、表示を切り換えた場合に、道路地図上の位置関係がわかりにくくなるという問題がある。この種の問題は、道路地図の詳細図と広域図とを同時に表示装置に表示する場合にも起こりうる。 【0005】 本発明の目的は、距離感を掴みやすくした地図表示制御方法および地図表示制御装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】 請求項1の発明は、地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法に適用され、車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、鳥瞰図生成手段により、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が変化して遠方より車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、平面地図生成手段により、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、設定された表示モードにおいて、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させるとともに、平面地図と鳥瞰図の双方に検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御することを特徴とするものである。 請求項2の発明は、地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御方法に適用され、車両位置検出手段により、車両の現在地を検出し、道路地図データ取得手段により、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得し、鳥瞰図生成手段により、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が変化して遠方より車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成し、平面地図生成手段により、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成し、表示モード設定手段により、複数の表示モードの中から、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定し、表示制御手段により、設定された表示モードにおいて、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させるとともに、平面地図と鳥瞰図の双方に検出した車両の現在地を示すマークを表示させ、判定手段により、車両が所定距離以上走行したか否かを判定し、判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、表示制御手段により、平面地図と鳥瞰図とを更新することを特徴とするものである。 請求項3の発明は、請求項2記載の車両用道路地図表示制御方法において、判定手段が車両が所定距離以上走行していないと判断したとき、表示制御手段により、平面地図と鳥瞰図とを更新せず、平面地図及び鳥瞰図の双方の車両の現在地を示す表示を移動することを特徴とするものである。 請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法において、平面地図と鳥瞰図において、地図縮尺、表示色および表示方向のうち少なくともいずれか1つを設定し、設定に応じて、平面地図と鳥瞰図を表示させることを特徴とするものである。 請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の車両用道路地図表示制御方法において、平面地図と鳥瞰図のうち少なくともいずれか一方をスクロールできることを特徴とするものである。 請求項6の発明は、請求項5に記載の車両用道路地図表示制御方法において、スクロールは、スイッチが操作されることにより行うことを特徴とするものである。 【0007】 請求項7の発明は、地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置に適用され、車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が変化して遠方より車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、複数の表示モードの中から、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させるとともに、平面地図と鳥瞰図の双方に検出した車両の現在地を示すマークを表示させるよう制御する表示制御手段とを備えるものである。 請求項8の発明は、地図を表示装置の表示画面に表示させるよう制御する車両用道路地図表示制御装置に適用され、車両の現在地を検出する車両位置検出手段と、道路地図記憶手段に格納された道路地図データを取得する道路地図データ取得手段と、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が変化して遠方より車両の現在地周辺を拡大して表示する上方から斜めに見下ろした鳥瞰図を生成する鳥瞰図生成手段と、道路地図データ取得手段によって取得した道路地図データに基づき、表示画面内で縮尺が一定の平面地図を生成する平面地図生成手段と、複数の表示モードの中から、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させる表示モードを設定する表示モード設定手段と、表示モード設定手段により設定された表示モードにおいて、生成した平面地図と生成した鳥瞰図の双方を常時表示画面に表示させるとともに、平面地図と鳥瞰図の双方に検出した車両の現在地を示すマークを表示させる表示制御手段と、車両が所定距離以上走行したか否かを判定する判定手段とを備え、判定手段が車両が所定距離以上走行したと判定したとき、表示制御手段は、平面地図と鳥瞰図とを更新することを特徴とするものである。 【0008】 なお、上記の通り本発明の構成を説明したが、本発明は実施例に限定されるものではない。 【0009】 【実施例】 図1は本発明による車両用地図表示装置の一実施例のブロック図である。図1において、1は車両の現在地を検出する現在地検出装置であり、例えば車両の進行方位を検出する方位センサや車速を検出する車速センサやGPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ等から成る。2は道路地図データを格納する地図記憶メモリであり、例えばCD-ROMおよびその読み出し装置から成る。地図記憶メモリ2に格納される道路地図データは、主に道路データ、名称データおよび背景データ等から成る。また、地図記憶メモリ2には、複数の地図縮尺の道路地図データが格納されている。 【0010】 3は装置全体を制御する制御回路であり、マイクロプロセッサおよびその周辺回路から成る。4は車両の目的地等を入力する入力装置、5は道路地図を真上から見た平面地図を表示装置に表示する際に用いる道路地図データを格納する平面地図データ用メモリ、6は道路地図の鳥瞰図を表示する際に用いる道路地図データを格納する鳥瞰図データ用メモリである。 【0011】 7は表示装置8に表示するための画像データを格納する画像メモリであり、画像メモリ7に格納された画像データは適宜読み出されて表示装置8に表示される。9は不図示のビーコン受信機等から送信される交通情報を受信するアンテナである。 【0012】 図2は制御回路3のメイン処理を示すフローチャートであり、以下このフローチャートに基づいて本実施例の動作を説明する。なお、制御回路3は、キーがイグニッションオン位置に操作されたときに図2の処理を開始する。 図2のステップS1では、推奨経路および目的地を設定する。目的地は入力装置4を介して操作者によって設定され、推奨経路は例えば周知のダイクストラ法等を用いた演算によって自動的に設定される。あるいは、ROM等に推奨経路の候補を予め記憶しておき、その中からいずれかを推奨経路として選択してもよい。 【0013】 ステップS2では、表示画面モードを設定する。ここで設定される表示画面モードには例えば以下の▲1▼〜▲8▼に示す8つのモードがある。これらモードの選択は、操作者が入力装置を介して行う。 ▲1▼ウインドウ画面を常時表示するモード ▲2▼ウインドウ画面を常時表示しないモード ▲3▼推奨経路上の所定の誘導ポイントに近づくと自動的にウインドウ画面を表示するモード ▲4▼交通・案内情報を受信すると自動的にウインドウ画面を表示するモード ▲5▼ベース画面を鳥瞰図とし、ウインドウ画面を平面地図とするモード ▲6▼ベース画面を鳥瞰図とし、ウインドウ画面を鳥瞰図とするモード ▲7▼ベース画面を平面地図とし、ウインドウ画面を鳥瞰図とするモード ▲8▼ベース画面を平面地図とし、ウインドウ画面を平面地図とするモード なお、ベース画面とは表示装置8の表示画面全体を指し、ウインドウ画面とはベース画面の一部にウインドウ表示される画面をいう。 【0014】 ステップS3では、表示環境を設定する。ここで設定される表示環境には例えば以下の5つがある。これら表示環境の選択は、操作者が入力装置4を介して行う。 ▲1▼ウインドウ画面の大きさの設定 ▲2▼ベース画面およびウインドウ画面内の地図縮尺の設定 ▲3▼ウインドウ画面の表示位置の設定 ▲4▼ベース画面およびウインドウ画面の表示色の設定 ▲5▼ベース画面およびウインドウ画面の表示方向の設定 【0015】 ステップS4では、車両の現在地を検出する。ステップS5では、図3〜5に詳細を示す地図表示処理を行う。この処理を行うことにより、例えば図6のような道路地図が表示される。図6は、ベース画面に鳥瞰図を表示し、ウインドウ画面に平面地図を表示する例を示す。 【0016】 ステップS6では、ステップS4と同様に車両の現在地を検出する。ステップS7では、画面上の道路地図を更新するか否か、すなわち道路地図の書き換えを行うか否かを判定する。ここでは、例えば車両が所定距離以上走行した場合や操作者が入力装置4を介してスクロールを指示した場合等に、道路地図の更新を行うものと判定する。 【0017】 ステップS7の判定が肯定されるとステップS5に戻り、判定が否定されるとステップS8に進む。ステップS8では、図2のメイン処理を継続するか否かを判定する。例えば、不図示の電源スイッチがオフされた場合や、処理の中止を指示するスイッチが操作された場合等には、ステップS8の判定が否定されて図2のメイン処理を終了する。 【0018】 ステップS8の判定が肯定されるとステップS9に進み、付属情報の表示の更新を行った後、ステップS6に戻る。ここで、付属情報とは、例えば車両の現在地に表示される車両位置マークを示す。上記ステップS9では、車両の走行距離に応じて車両位置マーク等の付属情報の表示位置を変更する。なお、ベース画面とウインドウ画面の双方に車両位置マークを表示する場合には、双方の車両位置マークとも表示位置を変更する。 【0019】 ステップS10では、表示画面内にウインドウ画面が表示されているか否かを判定する。判定が否定されるとステップS6に戻り、判定が肯定されるとステップS11に進む。ステップS11では、表示エリア枠の更新を行う。ここで、表示エリア枠とは、ベース画面に表示される道路地図範囲を示す枠であり、図6に示すように、ウインドウ画面内に太線の実線で表示される。 【0020】 図7は、表示エリア枠の表示方法の詳細を説明する図である。図7に示すように、表示エリア枠の内部には三角形状の車両位置マークが表示される。図7(a)では、車両位置マークの座標をM(X,Y)とし、表示エリア枠を示す台形領域ABCDの各頂点の座標をそれぞれ、A(X-10,Y-20)、B(X+10,Y-20)、C(X+40,Y+60)、D(X-40,Y+60)としている。 【0021】 図7(b)は、車両が図7(a)の位置から(ΔX,ΔY)だけ移動した例を示す。図示のように、表示エリア枠内部の車両位置マークの相対的な位置が変化しないように、表示エリア枠は座標ABCDからA’B’C’D’に移動する。 図8は、ウインドウ画面内の表示エリア枠のスクロールを説明する図である。図8(a)は車両の移動前に北方向を上にして表示した図、図8(b)は車両の移動後に進行方向を上にして表示した図、図8(c)は車両の移動後に北方向を上にして表示した図をそれぞれ示す。また、図8(b),(c)の白三角マークは移動前の車両位置、黒三角マークは移動後の車両位置を示す。 【0022】 図8(b),(c)に示すように、車両がどの方向に移動しても、またウインドウ画面内における表示方向を切り換えても、車両位置マークは表示エリア枠内部の決まった位置に表示される。 【0023】 図3〜5は図2のステップS5の地図表示処理の詳細を示すフローチャートである。図3のステップS101では、ベース画面に表示される道路地図が鳥瞰図か否かを判定する。ここでは、図2のステップS2で設定された表示画面モードに基づいて判定する。ステップS101の判定が肯定されるとステップS102に進み、図4に詳細を示す鳥瞰図表示処理を行い、画面上のベース画面表示領域に鳥瞰図を表示する。 【0024】 一方、ステップS101の判定が否定されるとステップS103に進み、図5に詳細を示す平面地図表示処理を行い、画面上のベース画面表示領域に鳥瞰図を表示する。 ステップS102またはS103の処理が終了するとステップS104に進み、ウインドウ画面を表示するか否かを判定する。ここでは、図2のステップS2で設定された表示画面モードに基づいて判定する。 【0025】 ステップS104の判定が肯定されるとステップS105に進み、ウインドウ画面に表示される道路地図が鳥瞰図か否かを判定する。この判定も、図2のステップS2で設定された表示画面モードに基づいて判断する。ステップS105の判定が肯定されるとステップS106に進み、図4に詳細を示す鳥瞰図表示処理を行ってウインドウ画面内に鳥瞰図を表示する。一方、ステップS105の判定が否定されるとステップS107に進み、図5に詳細を示す平面地図表示処理を行ってウインドウ画面内に平面地図を表示する。 【0026】 ステップS106またはS107の処理が終了するとステップS108に進み、図6に示すように、ベース画面に表示される道路地図範囲を示す表示エリア枠をウインドウ画面内に表示する。 ステップS104の判定が否定された場合、またはステップS108の処理が終了した場合にはともにステップS109に進み、車両位置マーク等の付属情報をベース画面およびウインドウ画面の双方に表示してリターンする。 【0027】 図9,10は図3の地図表示処理を行った結果の画面表示例を示し、図9はベース画面を平面地図にしてウインドウ画面を鳥瞰図にする例を示し、図10は図6とは異なる表示位置にウインドウ画面を表示させる例を示す。なお、ウインドウ画面の表示位置の変更は前述した図2のステップS3の処理によって行う。 図4は、図3のステップS102の鳥瞰図表示処理の詳細を示すフローチャートである。図4のステップS201では、鳥瞰図表示をする際の表示方向角度を演算する。 【0028】 図11は表示方向角度αの演算方法を説明する図である。図示のXY軸は道路地図平面を示し、原点Oは車両の出発地を、座標G(X0,Y0)は車両の現在地を、座標P1(X1,Y1)は目的地をそれぞれ示す。 図示のように、表示方向角度αは現在地Gおよび目的地P1を結ぶ線分(図示の点線)と、X軸との間の角度であり、(1)式で示される。 【数1】 tanα={(Y1-Y0)/(X1-X0)} …(1) 上述のステップS201では、(1)式に基づいて表示方向角度αを求める。 【0029】 ステップS202では、図2のステップS4で検出した現在地およびステップS201で演算した表示方向角度αに基づいて、現在地周辺の道路地図データを地図記憶メモリ2から読み込む。例えば、現在地を含む数10km四方の道路地図データを読み込む。 【0030】 ステップS203では、ステップS202で読み込んだ道路地図データの中から、鳥瞰図を表示する際に用いるデータを選択し、選択したデータを鳥瞰図データ用メモリ6に格納する。ここでは、表示装置8に表示する道路地図情報のデータ量を削減するために、データ種別が所定の条件を満たすデータのみを抽出して鳥瞰図データ用メモリ6に格納する。ステップS204では、ステップS203で選択した道路地図データを鳥瞰図データに変換する。 【0031】 図12は鳥瞰図データへの変換を説明する図であり、道路地図をXY平面とし、XY平面に直交するZ軸上に視点Mを置き、視点Mからの見下ろし角度をφとした例を示す。図示の長方形abcdは図13に拡大表示するように表示装置6の表示範囲を示し、図12の台形ABCDは表示装置6に表示される道路地図範囲を示す。 【0032】 道路地図データを鳥瞰図データに変換するためには、まず図示の台形領域ABCD内の道路地図データのすべてを表示装置6に表示できるように、視点Mの高さZ、視点Mからの見下ろし角度φおよび視点からの見開き角度θを定めた後、これらパラメータを用いて図12の長方形領域abcdに投影される鳥瞰図データを作成する。その際、見下ろし角度φは、表示装置6の表示画面の上辺および下辺の各中点を結ぶ中心線付近が目的地方向となるように設定する。 【0033】 図4に戻って、ステップS205では、ステップS204で変換した鳥瞰図データを、表示装置6に表示するための最終的な地図画像データに変換してリターンする。 【0034】 図5は図3のステップS103の平面地図表示処理を示すフローチャートである。図5のステップS301では、車両の現在地周辺の道路地図を地図記憶メモリ2から読み込む。ステップS302では、ステップS301で読み込んだ道路地図データの中から、平面地図を表示するのに用いるデータを選択し、その選択したデータを平面地図データとして平面地図データ用メモリ5に格納する。ここでは、図4のステップS203と同様に、優先順位の高いデータ等の選択を行う。ステップS303では、平面地図データ用メモリ5に格納されている平面地図データを地図画像データに変換して画像メモリ7に格納してリターンする。 【0035】 以上に説明した図2〜5の処理をまとめると、制御回路3は車両の目的地および推奨経路を設定した後、画面表示モードおよび表示環境の設定を行う。次にベース画面内に所定範囲の道路地図を表示する。ウインドウ画面を表示するモードが選択されている場合は、表示環境の設定に基づいてウインドウ画面を表示する。その際、ベース画面内に表示される道路地図範囲を示す表示枠をウインドウ画面内に表示する。車両が所定距離以上走行すると、ベース画面およびウインドウ画面の書き換えを行い、所定距離未満しか走行していない場合は、ベース画面内の車両位置マークとウインドウ画面内の車両位置マークおよび表示エリア枠だけを移動させる。 【0036】 このように、本実施例では、ベース画面内に表示される道路地図範囲を示す表示エリア枠をウインドウ画面内に表示するようにしたため、ベース画面に表示される道路地図範囲を一目で把握することができる。したがって、不案内な地域を走行する場合でも、現在地と目的地との位置関係がわかりやすくなり、道に迷うおそれが少なくなる。また、ベース画面に鳥瞰図を表示する場合でも、ウインドウ画面に平面地図を表示すれば、鳥瞰図表示形式の欠点である距離感を把握しにくいという欠点を解消できる。 【0037】 図6,9,10では、ベース画面内に表示される道路地図範囲のすべてがウインドウ画面内に表示される例を示したが、操作者による地図縮尺の選択によっては、ベース画面内に表示される道路地図範囲をすべてウインドウ画面に表示できないおそれもある。このような場合は、その旨を警告表示したり、あるいは一部の表示枠だけを表示してもよい。あるいは、ベース画面内に表示される道路地図範囲がすべて表示されるように、ウインドウ画面内の地図縮尺を自動的に設定してもよい。 【0038】 上記実施例では、操作者の指示に応じてウインドウ画面の表示位置を変更する例を説明したが、車両位置マークおよび推奨経路と重ならない位置に自動的にウインドウ画面を表示するようにしてもよい。すなわち、ウインドウ画面の表示位置や表示面積等を自動的に設定してもよい。 上記実施例において、ベース画面およびウインドウ画面を別々にスクロールさせるためのスイッチを設けてもよい。例えば、ウインドウ画面をスクロールさせるためのスイッチが操作された場合には、その操作に応じて道路地図をスクロールさせるとともに、表示エリア枠および車両位置マークを移動させればよい。 上記実施例では、図2に示す制御回路3によるメイン処理の中で表示画面モードと表示環境の設定を行っているが、表示画面モードと表示環境の設定を割り込み処理で行ってもよい。すなわち、操作者が入力装置4を介して表示画面モードまたは表示環境の変更を指示すると、制御回路3の処理に割り込みをかけて表示画面モード等の設定を変更するようにしてもよい。これにより、モードの変更等を迅速に行える。 【0039】 このように構成した実施例にあっては、地図記憶メモリ2が道路地図記憶手段に、制御回路が表示制御手段に、現在地検出装置1が車両位置検出手段に、図4の鳥瞰図表示処理が鳥瞰図データ変換手段に、図5の平面地図データ作成手段が平面地図データ作成手段に、図2のステップS7が判定手段に、それぞれ対応する。 【0040】 【発明の効果】 以上詳細に説明したように、本発明によれば、道路地図の距離感が掴みやすくなる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明による車両用地図表示装置の一実施例のブロック図。 【図2】 制御回路のメイン処理を示すフローチャート。 【図3】 制御回路の地図表示処理を示すフローチャート。 【図4】 制御回路の鳥瞰図表示処理を示すフローチャート。 【図5】 制御回路の平面地図表示処理を示すフローチャート。 【図6】 ベース画面に鳥瞰図を、ウインドウ画面に平面地図を表示する例を示す図。 【図7】 表示エリア枠の表示方法の詳細を説明する図。 【図8】 ウインドウ画面内の表示エリア枠のスクロールを説明する図。 【図9】 ベース画面に平面地図を、ウインドウ画面に鳥瞰図を表示する例を示す図。 【図10】 ベース画面に鳥瞰図を、ウインドウ画面に平面地図を表示する例を示す図。 【図11】 表示方向角度αの演算方法を説明する図。 【図12】 鳥瞰図データへの変換を説明する図。 【図13】 図12に示す長方形領域abcdを拡大表示した図。 【符号の説明】 1 現在地検出装置 2 地図記憶メモリ 3 制御回路 4 入力装置 5 平面地図データ用メモリ 6 鳥瞰図データ用メモリ 7 画像メモリ 8 表示装置 9 アンテナ |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-06-21 |
出願番号 | 特願平6-307595 |
審決分類 |
P
1
651・
121-
YA
(G09B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松川 直樹、榎本 吉孝 |
特許庁審判長 |
大野 覚美 |
特許庁審判官 |
三友 英二 城戸 博兒 |
登録日 | 2003-05-16 |
登録番号 | 特許第3428752号(P3428752) |
権利者 | 株式会社ザナヴィ・インフォマティクス |
発明の名称 | 道路地図表示制御方法および道路地図表示制御装置 |
代理人 | 永井 冬紀 |
代理人 | 永井 冬紀 |