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審決分類 |
審判 訂正 ただし書き2号誤記又は誤訳の訂正 訂正する B24B 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する B24B 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する B24B 審判 訂正 2項進歩性 訂正する B24B |
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管理番号 | 1103514 |
審判番号 | 訂正2004-39117 |
総通号数 | 59 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-11-02 |
種別 | 訂正の審決 |
審判請求日 | 2004-05-31 |
確定日 | 2004-07-27 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3295888号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3295888号に係る明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3295888号の請求項1乃至5に係る発明についての出願は、平成10年4月22日に特許出願され、平成14年4月12日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人旭ダイヤモンド工業株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの決定がなされ、その後、平成16年3月19日に特許取消決定に対する訴えの提起がなされ、法定期間内である平成16年5月31日に訂正審判の請求がなされたものである。 2.訂正の内容 本件訂正審判の請求の趣旨は、設定登録時の願書に添付した明細書を本件訂正審判請求書に添付された訂正明細書(以下、「本件訂正明細書」という。)のとおりに訂正することを求めるものであり、訂正事項は次のとおりのものである。なお、下線は訂正個所を明確化するために、当審で付したものである。 (1)訂正事項a 願書に添付した明細書の特許請求の範囲の請求項1を、「平坦で回転可能な研磨盤の盤面に化学研磨剤を供給して該研磨盤上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨盤を研磨するものであって、平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面に研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成したことを特徴とするケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ。」から、「平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨するものであって、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにしたことを特徴とするケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ。」に訂正するとともに、請求項2乃至5を削除する。 (2)訂正事項b 願書に添付した明細書の段落【0001】における「平坦で回転可能な研磨盤の盤面に化学研磨剤を供給して該研磨盤上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨盤を研磨する研磨ドレッサに関し、特に、上記研磨盤との接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨盤の研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ」を「平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨する研磨ドレッサに関し、特に、上記研磨盤の研磨パッドとの接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨パッドの研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ」と訂正する。 (3)訂正事項c 願書に添付した明細書の段落【0009】における「研磨盤との接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨盤の研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ」を「研磨盤の研磨パッドとの接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨パッドの研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ」と訂正する。 (4)訂正事項d 願書に添付した明細書の段落【0010】における「平坦で回転可能な研磨盤の盤面に化学研磨剤を供給して該研磨盤上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨盤を研磨するものであって、平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面に研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成したもの」を「平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨するものであって、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにしたもの」と訂正する。 (5)訂正事項e 願書に添付した明細書の段落【0011】-【0013】の記載を削除するとともに、段落【0014】以降の段落番号を順次繰り上げる。 (6)訂正事項f 願書に添付した明細書の段落【0014】における「平坦で回転可能な研磨盤の盤面に化学研磨剤を供給して該研磨盤上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャ(以下「CMP」と略称する)において上記研磨盤を研磨するもの」を「平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャ(以下「CMP」と略称する)において上記研磨パッドを研磨するもの」と訂正する。 (7)訂正事項g 願書に添付した明細書の段落【0021】における「盛上げ部30の表面にダイヤモンドグリッド等の研磨グリッドを略均一に分布させて固着し」を「盛上げ部30の表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し」と訂正する。 (8)訂正事項h 願書に添付した明細書の段落【0024】における「盛上げ部30の表面への研磨グリッドの固着は、ニッケル等の金属を用いた金属電着によりダイヤモンドグリッド等を略均一に分布させて固着し、・・・盛上げ部30の表面へダイヤモンドグリッド等を略均一に分布させて接着してもよい。」を「盛上げ部30の表面への研磨グリッドの固着は、ニッケル等の金属を用いた金属電着によりダイヤモンドグリッドを略均一に分布させて固着し、・・・盛上げ部30の表面へダイヤモンドグリッドを略均一に分布させて接着してもよい。」と訂正する。 (9)訂正事項i 願書に添付した明細書の段落【0025】における「研磨グリッドをダイヤモンドグリッドとしたものにおいては、・・・」を「研磨グリッドをダイヤモンドグリッドとしたので、・・・」と訂正する。 (10)訂正事項j 願書に添付した明細書の段落【0026】における「円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状が上記ベース部材29の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成されている。・・・この凸形の円弧状曲面の盛上げ部30の表面に、上記の金属電着により又は化学研磨剤に対する耐性を有する接着剤で研磨グリッド34が固着されて研磨面31が形成されている。これにより、この研磨面31の断面形状も凸形の円弧状曲面に仕上げられることとなる。」を「円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状が上記ベース部材29の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成されている。・・・この凸形の円弧状曲面の盛上げ部30の表面に、上記の金属電着により又は化学研磨剤に対する耐性を有する接着剤でダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッド34が固着されて研磨面31が形成されている。これにより、この研磨面31の断面形状も所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に仕上げられることとなる。」と訂正する。 (11)訂正事項k 願書に添付した明細書の段落【0028】における「円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状がベース部材29の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成されている」を「円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状がベース部材29の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成されている」と訂正する。 (12)訂正事項l 願書に添付した明細書の段落【0031】における「平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面に研磨グリッドを略均一に分布させて固着した研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成したことにより、上記円周方向に盛り上げられた研磨面が所定の押圧力でCMPの研磨盤の表面に押し付けられた状態ではその円弧状曲面の頂部を中心とした或る広がりのある幅で接触して、CMPの研磨盤との接触部において結果的に円周方向に延びる面接触となるようにすることができる。・・・一つの研磨ドレッサで多くの枚数の研磨盤を研磨して研磨盤の研磨効率を向上することができる。また、上記研磨盤との面接触により該研磨盤の研磨が良く行えるので、研磨盤自体の平坦度の向上及び目づまりを防止して、その研磨盤の寿命を延長することができる。」を「円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着した研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成したことにより、該研磨面をCMPの研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨することができる。・・・一つの研磨ドレッサで多くの枚数の研磨盤の研磨パッドを研磨して研磨パッドの研磨効率を向上することができる。また、上記研磨パッドとの面接触により該研磨パッドの研磨が良く行えるので、研磨パッド自体の平坦度の向上及び目づまりを防止して、その研磨パッドの寿命を延長することができる。」と訂正する。 (13)訂正事項m 願書に添付した明細書の段落【0032】-【0034】の記載を削除する。 (14)訂正事項n 願書に添付した明細書の図面の簡単な説明の【符号の説明】における「12…保持具」と「15…研磨ドレッサ」の間に「13…ウェハ」を、「29…ベース部材」と「33…凹溝」の間に「30…盛上げ部」及び「31…研磨面」を挿入する。 3.訂正の適否についての判断 イ)目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否について (1)訂正事項aについて 訂正事項aは、請求項1に記載される研磨盤について、その表面に「弾性変形可能な研磨パッド」が張り付けられたものに限定するものであり、研磨ドレッサの平盤状のベース部材について、「円形」のものに限定するものであり、研磨グリッドについて、「ダイヤモンドグリッド」からなるものに限定するものであり、凸形の円弧状曲面に形成された研磨面の断面形状について、「所定の半径を有する」ものに限定するものであり、さらに、研磨ドレッサにより研磨パッドを研磨する際における研磨ドレッサと研磨パッドとの接触状態に関する記載を追加して限定するとともに、請求項2乃至5を削除ものであるから、特許請求の範囲の減縮、若しくは明りょうでない記載の釈明に該当するものである。 また、願書に添付した明細書の段落【0016】における「図8に示すように、平坦で回転可能な研磨盤4が設けられており、その表面には平坦な研磨パッド6が張り付けられている。」の記載、段落【0028】における「研磨ドレッサ15の研磨面31を研磨盤4の研磨パッド6に上方から押し付けると、該研磨面31の押圧力で上記研磨パッド6はその弾性により少し沈んだ状態で変形する。」の記載から、研磨盤の表面に弾性変形可能な研磨パッドが張り付けられていることは、願書に添付した明細書に記載されていた事項であると認められ、同段落【0021】における「この研磨ドレッサ15の全体構成は、図2に示すように例えば円形の平盤状のベース部材29の外周部を図1に示すように所定幅で円周方向に盛り上げ、その盛上げ部30の表面にダイヤモンドグリッド等の研磨グリッドを略均一に分布させて固着し、研磨面31を形成して成る。」の記載から、研磨ドレッサの平盤状のベース部材が円形であること、研磨グリッドがダイヤモンドグリッドであることは、願書に添付した明細書に記載されていた事項であると認められ、同段落【0026】における「本発明においては、図3に示すように、上記円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状が上記ベース部材29の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成されている。即ち、図3において、上記盛上げ部30の断面形状が所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成され、・・・研磨面31が形成されている。」の記載から、研磨面の断面形状が所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成されていることは、願書に添付した明細書に記載されていた事項であると認められ、さらに、同段落【0028】における「保持具12の中心部に矢印Pのように加工圧力をかけて上記研磨ドレッサ15の研磨面31を研磨盤4の研磨パッド6に上方から押し付けると、該研磨面31の押圧力で上記研磨パッド6はその弾性により少し沈んだ状態で変形する。本発明においては、上記円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状がベース部材29の中央横断面で凸形の円弧状曲面に形成されているので、図4に示すように、まずその円弧状曲面の頂部だけで研磨パッド6の表面に接触し、さらに押圧力が大きくなるに従って研磨パッド6が変形して研磨面31と研磨パッド6との接触が深まると共に、接触部分が上記円弧状曲面の頂部の両側方に広がって行く。」の記載、段落【0029】における「上記円周方向に盛り上げられた研磨面31が所定の押圧力で研磨パッド6の表面に押し付けられた状態では、該研磨パッド6の表面は研磨面31の凸形の円弧状曲面に倣った形で変形し、該円弧状曲面の頂部を中心とした或る広がりのある幅で接触して、結果的に研磨面31と研磨パッド6との接触において円周方向に延びる面接触の状態が得られる。」の記載から、訂正事項aにおいて追加されることとなった、研磨ドレッサにより研磨パッドを研磨する際における研磨ドレッサと研磨パッドとの接触状態に関する記載についても、願書に添付した明細書に記載されていた事項であると認められるので、訂正事項aは願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものである。 そして、訂正事項aの訂正によって発明の目的が変更されるものではないので、訂正事項aは、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 (2)訂正事項b-nについて 訂正事項b-nは、いずれも訂正事項aで訂正された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明若しくは図面の簡単な説明との整合をとるためのものであるので、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 ロ)独立特許要件について 上記のとおり、本件の訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるので、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により特定される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものか否かについて、以下検討する。 (1)本件訂正発明 訂正後における特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下、「本件訂正発明」という。)は、次のとおりのものである。 「平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨するものであって、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、 上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにしたことを特徴とするケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ。」 (2)引用例記載の発明(事項) 決定の取消しの理由に引用された本願の出願前に日本国内で頒布された刊行物である特開平9-323255号公報(以下、「引用例1」という。)及び実願昭61-177240号(実開昭63-83269号)のマイクロフィルム(以下、「引用例2」という。)には、以下の発明(事項)が記載されていると認められる。 (2-1)引用例1 「平坦で回転可能な、表面に研磨パッドが張り付けられたプライマリプラテン16の盤面に化学研磨剤を供給して該プライマリプラテン16上でウェーハ13の表面を研磨するCMP装置の上記プライマリプラテン16を研磨するものであって、平坦な円盤状の基台2の表面にダイヤモンドグリット3を均一に分布させて化学研磨剤に対する耐性に優れているボンド4で接着し研磨面を形成して成るグリッド盤1において、上記平坦な円盤状の基台2をジュラコン樹脂で形成したCMP装置のプライマリプラテン16用グリッド盤1」 (第3欄第43行-第4欄第6行、第4欄第11行-17行、第4欄第35行-36行、第4欄第39-42行、第5欄第12-18行、第1図、第2図、第4図の各記載参照) (2-2)引用例2 「研削デイスク(4)の1実施例を図面に基き説明すると、たとえば金属板のプレス加工等により、ポータブルグラインダーへの取付孔(1)をもつ平板部(2)の外周に拡開部(10)が連接し、さらにこれになだらかに連接する最外周を曲面リング部(11)につくりだして円形の基板(2)を形成した。基板(12)の曲面リング部(11)には、該部表面より窪んだ底面とした区分帯(14)を設けた。区分帯(14)の向きは、第3図(A)に示すような基板(12)の半径方向に沿う放射状方向・・・となし得る。そして、曲面リング部(11)に限って、各区分帯(14)の間に、それぞれ立方晶窒化ホウ素又は工業用ダイヤの微粒を電着し、硬質研削材固着面(13)とした。」(明細書第4頁第6行-第5頁第4行) 「硬質研削剤固着面(13)の断面形状は横断面で上方に凸形の曲面であること。」(第2図を参照) (3)対比・判断 本件訂正発明と引用例1及び2記載の発明(事項)とを対比すると、本件訂正発明は、「上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにした」点をその発明特定事項とするものであるが、該事項は引用例1及び2のいずれにも記載されておらず、示唆する記載もない。 そして、本件訂正発明は、上記発明特定事項により、明細書に記載の「研磨ドレッサの使用時に研磨面の一部分のみが早く摩耗してしまうことを防止することができ、研磨ドレッサの長寿命化を図ることができる。このことから、研磨ドレッサの交換間隔を延長することができ、一つの研磨ドレッサで多くの枚数の研磨盤の研磨パッドを研磨して研磨パッドの研磨効率を向上することができる。また、上記研磨パッドとの面接触により該研磨パッドの研磨が良く行えるので、研磨パッド自体の平坦度の向上及び目づまりを防止して、その研磨パッドの寿命を延長することができる。」という顕著な効果を奏するものである。 したがって、本件訂正発明は、引用例1及び2記載の発明(事項)に基づいて、当業者が容易に発明することができたものとすることはできない。 また、本件訂正発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるとするその他の理由も発見しない。 4.むすび したがって、本件審判の請求は、特許法第126条第1項第1号ないし第3号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第2項ないし第4項の規定に適合する。 よって、結論のとおり審決する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 ケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨するものであって、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、 上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにしたことを特徴とするケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨する研磨ドレッサに関し、特に、上記研磨盤の研磨パッドとの接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨パッドの研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、集積回路等の半導体製品の製造において、集積回路の容量の増大化の要求に応じて回路の集積度が高まりつつあるが、それに伴って回路の層間の絶縁膜も薄くなりつつある。このような要求に応じて、図7に示すように、シリコン基板1上に配線パターンに従って配線溝2を形成し、この状態でシリコン基板1の全表面にアルミニウム等の金属層3を形成し、この金属層3を研磨して上記配線溝2内にのみ金属層3を残して平坦な配線パターンを形成し、これを多層に積層することにより集積回路を製造する技術が採用されつつある。 【0003】 図8は、上記集積回路の製造においてシリコン基板1の全表面に形成された配線用の金属層3を研磨する際に用いられるケミカルマシンポリッシャ(以下「CMP」と略称する)の研磨盤4を示す断面図である。図8に示すように、この研磨盤4は、平盤状の基台5上に平坦な研磨パッド6を張り付けて構成されている。そして、例えば酸等の化学研磨剤に微細な研磨材を混ぜ、これを上記研磨盤4の研磨パッド6の表面に供給し、該研磨盤4を回転させて保持具7に保持されたシリコン基板1の金属層3を上記研磨パッド6の表面に接触させることにより、上記金属層3を化学研磨剤及び研磨材で研磨する。 【0004】 一方、上記研磨盤4の研磨パッド6も上記金属層3の研磨時に摩耗し、研磨パッド6の平坦度を維持できなくなるため、上記CMPには、該研磨パッド6を研磨する研磨装置が備えられている。そして、この研磨装置に備えられた研磨ドレッサで上記研磨パッド6を研磨するようになっている。 【0005】 図9は従来の研磨ドレッサ8を示す中央横断面図である。この研磨ドレッサ8は、例えば円形の平盤状のベース部材9の外周部を所定幅で盛り上げ、その盛上げ部10の表面にダイヤモンドグリッド等の研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面11を形成して成っていた。 【0006】 そして、図10に示すように、上記研磨ドレッサ8を保持具12で保持し、上記研磨盤4を回転させて該保持具12に保持された研磨ドレッサ8の研磨面11を研磨パッド6の表面に上方から接触させることにより、上記研磨盤4の研磨パッド6の表面を研磨していた。このとき、保持具12の中心部に矢印Pのように加工圧力をかけて上記研磨ドレッサ8の研磨面11を研磨盤4の研磨パッド6に上方から押し付けると、該研磨面11の押圧力で上記研磨パッド6はその弾性により少し沈んだ状態で変形する。そして、この研磨パッド6の研磨により、該研磨パッド6の表面の平坦度を維持するとともに、パッド表面のクリーニングも行っていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、このような従来の研磨ドレッサ8においては、図9に示すように上記研磨面11の断面形状は平坦面に形成されていたので、図10に示すように研磨ドレッサ8の研磨面11を研磨盤4の研磨パッド6に上方から押し付けたときは、外周部において所定幅でドーナツ形状に形成された研磨面11の全面で研磨パッド6を押圧することとなるが、この押圧による研磨パッド6の沈み込み変形は上記研磨面11の最外周部において最も大きくなるものであった。したがって、研磨面11の研磨パッド6に対する接触圧力は最外周部において最も大きくなり、結果的に上記最外周部の輪郭線である円により線接触の状態となってしまうものであった。 【0008】 このことから、上記研磨面11の最外周部に分布固着された研磨グリッドのみが研磨パッド6に強く接触して研磨することとなり、最外周部に固着された研磨グリッドのみが早く摩耗してしまう。しかるに、上記研磨面11の内周部に分布固着された研磨グリッドは、研磨パッド6に対して十分な接触圧力とならず、該研磨パッド6の研磨にはあまり寄与できないものであった。したがって、研磨面11の最外周部に固着された研磨グリッドが摩耗した研磨ドレッサ8は、研磨パッド6の研磨の役には立たず、新しい研磨ドレッサ8に交換しなければならなかった。即ち、研磨ドレッサ8の寿命が短いものであった。また、一つの研磨ドレッサ8で多くの枚数の研磨盤4の研磨パッド6を研磨することができず、研磨盤4の研磨効率が低下するものであった。 【0009】 そこで、本発明は、このような問題点に対処し、研磨盤の研磨パッドとの接触部において面接触となるようにして使用時の摩耗を軽減し長寿命化を図ると共に、該研磨パッドの研磨効率を向上することができるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサを提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、本発明によるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサは、平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上で被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャの上記研磨パッドを研磨するものであって、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し研磨面を形成して成る研磨ドレッサにおいて、上記円周方向に盛り上げられた研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成して成り、該研磨面を上記研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨するようにしたものである。 【0011】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。 図1は本発明によるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサを示す中央横断面図であり、図2のA-A線断面図である。また、図2は上記研磨ドレッサを示す平面図である。この研磨ドレッサ15は、平坦で回転可能な研磨盤の表面に張り付けられ弾性変形可能な研磨パッドに化学研磨剤を供給して該研磨パッド上でウェハ等の被研磨物の表面を研磨するケミカルマシンポリッシャ(以下「CMP」と略称する)において上記研磨パッドを研磨するものである。 【0012】 まず、上記CMP16の概要について図5及び図6を参照して説明する。図5において、ロードステーション17は、ウェハカセット(図示せず)を載置するために設けられた場所である。このウェハカセットには、図7に示すようなシリコン基板1上に金属層3が形成された処理前のウェハ13が収納されている。クリーンステーション18は、搬送アーム19に上記ウェハ13を渡すために設けられた場所である。上記搬送アーム19は、クリーンステーション18でウェハ13を吸着等して支持し、図中、矢印方向に回転して後述の各位置に搬送する。 【0013】 プライマリプラテン20は、上記ウェハ13の金属層3を実際に研磨する場所であり、図8に示すように、平坦で回転可能な研磨盤4が設けられており、その表面には平坦な研磨パッド6が張り付けられている。また、温度上昇を抑えるための冷却装置等(図示せず)が配設されている。 【0014】 パッドコンディショナ21は、上記プライマリプラテン20の研磨パッド6の表面を研磨するものであり、ドレッサアーム22の先端には、図6に示すように位置調節具23を介して本発明の研磨ドレッサ15が回転自在に取り付けられている。そして、上記パッドコンディショナ21は、ドレッサアーム22の基端部を支点として矢印B-B’方向に回動するようになっている。尚、パッドコンディショナ21は、上記のように矢印B-B’方向に回動するのではなく、ドレッサアーム22を横方向に平行移動させるような構成であってもよい。 【0015】 スラリー供給ノズル24は、PHの高い硝酸等の酸の化学研磨剤に研磨材を混合させたスラリーをプライマリプラテン20上の研磨パッド6に供給するノズルである。 【0016】 ファイナルプラテン25は、回転可能な平坦な定盤であり、上記プライマリプラテン20上での研磨により処理対象のウェハ13の表面に付着した研磨剤等を洗い落とすために設けられたものである。そして、純水供給ノズル26は、このファイナルプラテン25の表面に純水を供給するノズルである。 【0017】 エンドステーション27は、上記ファイナルプラテン25で洗滌後のウェハ13を搬送アーム19から受け取って一旦置くための場所である。アンロードステーション28は、以上の処理済みのウェハ13を収納するウェハカセットを載置するために設けられた場所である。なお、上記クリーンステーション18とエンドステーション27は、ロードステーション17からアンロードステーション28に向かうウェハ13の搬送経路の途中に設けられている。 【0018】 次に、上記のような構成のCMP16において、プライマリプラテン20に設けられた研磨盤4の研磨パッド6(図8参照)を研磨する研磨ドレッサ15について、図1〜図3を参照して説明する。この研磨ドレッサ15の全体構成は、図2に示すように例えば円形の平盤状のベース部材29の外周部を図1に示すように所定幅で円周方向に盛り上げ、その盛上げ部30の表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着し、研磨面31を形成して成る。 【0019】 上記ベース部材29は、研磨グリッドを金属電着により固着することができる金属材料で形成され、又はシリコンで形成され、或いは化学研磨剤に対する耐性に優れたベークライト等のジュラコン樹脂で形成されている。また、このベース部材29の中心部には、所定の内径の孔32が明けられている。この孔32は、上記ベース部材29の全体が変形して歪んだりしないようにするためのものである。 【0020】 また、上記盛上げ部30の研磨面31の円周方向には、図2に示すように、ベース部材29の中心側から放射状に走る凹溝33,33,…が所定間隔で形成されている。この凹溝33,33,…は、前記プライマリプラテン20に設けられた研磨盤4の研磨パッド6を研磨ドレッサ15で研磨する際に、図5に示すスラリー供給ノズル24で酸の化学研磨剤に研磨材を混合させたスラリーを上記研磨パッド6上に供給したとき、盛上げ部30の円周外側から中心側にもスラリーが自然に入り込むようにして、上記研磨ドレッサ15による研磨がスムーズに行えるようにするものである。 【0021】 さらに、上記盛上げ部30の表面への研磨グリッドの固着は、ニッケル等の金属を用いた金属電着によりダイヤモンドグリッドを略均一に分布させて固着し、研磨面31を形成している。或いは、ガラスボンド又はレジンボンド等の化学研磨剤に対する耐性を有する接着剤を用いて、上記盛上げ部30の表面へダイヤモンドグリッドを略均一に分布させて接着してもよい。これらにより、盛上げ部30の表面に研磨面31が形成される。 【0022】 なお、上記研磨面31への研磨グリッドの固着を、金属電着により固着させたものにおいては、該研磨グリッドの固着を容易且つ強固にすることができる。また、上記研磨面31への研磨グリッドの固着を、化学研磨剤に対する耐性を有する接着剤で接着したものにおいては、化学研磨剤による研磨グリッドの剥がれ落ちを防止することができる。さらに、上記研磨グリッドをダイヤモンドグリッドとしたので、ダイヤモンドグリッドは材質が硬いと共に化学研磨剤にも強いので、前記研磨盤4の研磨パッド6を研磨するのに最も適している。 【0023】 そして、本発明においては、図3に示すように、上記円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状が上記ベース部材29の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成されている。即ち、図3において、上記盛上げ部30の断面形状が所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成され、この凸形の円弧状曲面の盛上げ部30の表面に、上記の金属電着により又は化学研磨剤に対する耐性を有する接着剤でダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッド34が固着されて研磨面31が形成されている。これにより、この研磨面31の断面形状も所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に仕上げられることとなる。 【0024】 このように構成された研磨ドレッサ15を用いて図5及び図6に示すプライマリプラテン20に設けられた研磨盤4の研磨パッド6を研磨するには、図4に示すように、上記研磨ドレッサ15を図6に示すドレッサアーム22の先端に設けられた位置調節具23の保持具12で保持し、上記研磨盤4を回転させて該保持具12に保持された研磨ドレッサ15の研磨面31を研磨パッド6の表面に上方から接触させることにより、該研磨パッド6の表面を研磨する。 【0025】 このとき、保持具12の中心部に矢印Pのように加工圧力をかけて上記研磨ドレッサ15の研磨面31を研磨盤4の研磨パッド6に上方から押し付けると、該研磨面31の押圧力で上記研磨パッド6はその弾性により少し沈んだ状態で変形する。本発明においては、上記円周方向に盛り上げられた研磨面31の断面形状がベース部材29の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲直に形成されているので、図4に示すように、まずその円弧状曲面の頂部だけで研磨パッド6の表面に接触し、さらに押圧力が大きくなるに従って研磨パッド6が変形して研磨面31と研磨パッド6との接触が深まると共に、接触部分が上記円弧状曲面の頂部の両側方に広がって行く。 【0026】 そして、上記円周方向に盛り上げられた研磨面31が所定の押圧力で研磨パッド6の表面に押し付けられた状態では、該研磨パッド6の表面は研磨面31の凸形の円弧状曲面に倣った形で変形し、該円弧状曲面の頂部を中心とした或る広がりのある幅で接触して、結果的に研磨面31と研磨パッド6との接触において円周方向に延びる面接触の状態が得られる。 【0027】 このことから、上記研磨面31に分布固着された研磨グリッド34は或る広がりのある幅で分布固着されたものが研磨パッド6に面として接触して研磨することとなり、一部分のみが早く摩耗してしまうことを防止することができ、研磨ドレッサ15の寿命を長くすることができる。このことから、該研磨ドレッサ15の交換間隔を延長することができ、一つの研磨ドレッサ15で多くの枚数の研磨盤4の研磨パッド6を研磨して、研磨盤4の研磨効率を向上することができる。 【0028】 【発明の効果】 本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る発明によれば、円形の平盤状のベース部材の外周部を所定幅で円周方向に盛り上げその表面にダイヤモンドグリッドからなる研磨グリッドを略均一に分布させて固着した研磨面の断面形状を上記ベース部材の中央横断面で所定の半径を有する凸形の円弧状曲面に形成したことにより、該研磨面をCMPの研磨盤の研磨パッドの表面に上方から所定の押圧力で押し付けて該研磨パッドを上記研磨面の凸形の円弧状曲面に倣った形で弾性変形させ、上記研磨面と研磨パッドとの接触において円周方向に延びる面接触の状態として研磨することができる。したがって、研磨ドレッサの使用時に研磨面の一部分のみが早く摩耗してしまうことを防止することができ、研磨ドレッサの長寿命化を図ることができる。このことから、研磨ドレッサの交換間隔を延長することができ、一つの研磨ドレッサで多くの枚数の研磨盤の研磨パッドを研磨して研磨パッドの研磨効率を向上することができる。また、上記研磨パッドとの面接触により該研磨パッドの研磨が良く行えるので、研磨パッド自体の平坦度の向上及び目づまりを防止して、その研磨パッドの寿命を延長することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明によるケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサを示す中央横断面図であり、図2のA-A線断面図である。 【図2】 上記研磨ドレッサを示す平面図である。 【図3】 上記研磨ドレッサの盛上げ部及び研磨面を示す拡大断面図である。 【図4】 上記研磨ドレッサの使用状態を示す断面説明図である。 【図5】 上記研磨ドレッサを備えたCMPを示す平面図である。 【図6】 上記CMPの要部を示す斜視図である。 【図7】 CMPによって研磨されるシリコン基板を示す断面図である。 【図8】 CMPによってシリコン基板を研磨する状態を示す断面説明図である。 【図9】 従来の研磨ドレッサを示す中央横断面図である。 【図10】 従来の研磨ドレッサの使用状態を示す断面説明図である。 【符号の説明】 4…研磨盤 5…基台 6…研磨パッド 12…保持具 13…ウェハ 15…研磨ドレッサ 16…CMP 20…プライマリプラテン 21…パッドコンディショナ 22…ドレッサアーム 29…ベース部材 30…盛上げ部 31…研磨面 33…凹溝 34…研磨グリッド |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
審決日 | 2004-07-15 |
出願番号 | 特願平10-112127 |
審決分類 |
P
1
41・
852-
Y
(B24B)
P 1 41・ 856- Y (B24B) P 1 41・ 853- Y (B24B) P 1 41・ 121- Y (B24B) |
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
西川 恵雄 |
特許庁審判官 |
豊原 邦雄 岡野 卓也 |
登録日 | 2002-04-12 |
登録番号 | 特許第3295888号(P3295888) |
発明の名称 | ケミカルマシンポリッシャの研磨盤用研磨ドレッサ |
代理人 | 笹島 富二雄 |
代理人 | 笹島 富二雄 |
代理人 | 西山 春之 |
代理人 | 西山 春之 |