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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01K
管理番号 1103623
審判番号 不服2001-9192  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-08-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-06-04 
確定日 2004-09-16 
事件の表示 平成7年特許願第27938号「低温発電装置」拒絶査定不服審判事件〔平成8年8月27日出願公開、特開平8-218816〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
1.特許出願:平成7年2月16日
2.拒絶理由の通知:平成12年10月11日(発送日:平成12年10月 17日)
3.意見書:平成12年11月29日
4.拒絶理由の通知:平成13年1月29日(発送日:平成13年2月6日)
5.意見書:平成13年3月13日
6.拒絶査定:平成13年4月27日(発送日:平成13年5月8日)
7.審判請求:平成13年6月4日(補正:平成13年7月10日)

第2 拒絶査定の概要
原査定の概要は、上記第1、4の拒絶理由通知書及び同6の拒絶査定書からみて、次のとおりである。
「この出願の請求項1に係る発明は、この出願前に頒布された刊行物である特開昭56-143371号公報に記載された発明及び同特開平6-50334号公報、特開昭63-277443号公報、特開昭49-6335号公報に記載されるような周知技術に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。」

第3 当審の判断
1.本願発明
本願発明は、出願当初の明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものであると認められる。
「真空気密性を有するケーシング内にタービンと発電機を同一の回転軸に配設し、同回転軸を制御型磁気軸受で支持し、同タービンで同発電機を駆動する発電装置本体と、低沸点流体の熱媒を加熱し、同熱媒の蒸気を発生させて前記発電装置本体のタービンに供給するための蒸気発生器と、前記タービンを駆動した後の前記熱媒の蒸気を冷却し、液化させる凝縮器と、同凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する熱媒ポンプとを具え、これらの機器を真空気密性配管で接続した密閉ループとしたことを特徴とする低温発電装置。」

2.引用刊行物に記載された発明
(1)引用文献1
特開昭56-143371号公報(以下、「引用文献1」という。)には、次のような記載がなされている。
(a)「第1図を参照すると、・・・・・タービン16は海面下150フイートの深さにおいて海中12に浸漬され、任意の従来形の手段例えばボルト(図示せず)により壁体10に締付けられる。タービン16は、好適には、壁体10に垂直な軸を有する入口スクロール18を備えた半径方向のノズル形式である。・・・・・タービン翼体24の円周方向の配列を有するタービンホイール22は、シヤフト26の1方の端部において装着され、シヤフト26は、壁体10を通して船体の内部へ延びている。ホイール22に隣接してシヤフトは半径方向のベアリング28内に支持され、半径方向のベアリング28は、ベアリング支持体30に密閉され保持され、ベアリング支持体30は、空所14内部の周辺フランジ32を有し、そして、好適にはホイール22を貫通させるに充分な大きさの壁体10における開口34の周縁部分に密閉されかつ押付けられている。・・・・・ タービン用の作動流体は、好適にはハロカーボン冷却材例えばR-22(クロロジフロロメタン)であり、ボイラ38から管路40により入口スクロール18に供給される。ボイラ38は、熱交換器形式であり、望ましくは、前述した米国特許第3312054号に開示されるように、タービン16の下方の海中12に配置され、パイプ42を介してボイラの内および外へ循環する温かな表面海水により加熱される。タービン排出蒸気は、拡散装置36から管路44を介して凝縮装置46に導入され、凝縮装置46は、望ましくは、タービン16の上方の海中12に配置され、凝縮装置46においては、前記の米国特許第3312054号にまた開示されているように、蒸気は、パイプ48を介して凝縮装置の内および外へと循環される海中深くからの冷水により冷却された液体に凝縮される。凝縮装置46からの液体作動流体は、重力により管路50を介してボイラ38に返還供給される。このようなボイラ38への重力による供給は、ポンプによる供給よりもはるかに効率的であり、従つて、プラントの循環効率を向上させる。」(第3頁右下欄欄7行〜第4頁左下欄1行)
(b)「シヤフト26上に取付けられる回転部分およびベアリング支持体30を包含する気密性ハウジング54の内側に固定される固定子部分を有する、誘導形または同期形の発電機52が大気圧の空所14内に配置される。シヤフト26のタービンホイール22と反対側の端部は、ハウジング54の対応する端壁に支持される半径方向のベアリング56内に取付けられ、かつ、半径方向のベアリング56の外側においては、シヤフトは、非貫通形端部キヤツプ62内に密閉されるスラストベアリング60とはめ合せ可能なスラストカラ58を備えている。
唯2つの半径方向のベアリング28および56を備えた共通シヤフト26を有するタービン16および発電機52の配置は、タービン駆動形発電装置の製造費用を減少させるだけでなく、シヤフトの対応する端部が全体的に密閉され大気圧の空所14に突出していないためベアリング56の気密の必要がない配置を提供する。」(第4頁右下欄14行〜第5頁左上欄12行)

以上の記載及び図面を総合すると、タービン16のタービンホイール22は、タービンハウジング内に配設されており、また、タービン16及び発電機52を発電機本体ということができるから、引用文献1には、次のような発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「タービンハウジング内及び気密性ハウジング(54)内にタービンホイール(22)及び発電機(52)の回転部分を同一のシャフト(26)にそれぞれ配設し、同シャフト(26)をタービンハウジングと気密性ハウジング(54)とを分離するベアリング支持体(30)により支持されたベアリング(28)及び気密性ハウジング(54)の端壁に設けられたベアリング(56、60)で支持し、同タービンホイール(22)で同発電機(52)を駆動するタービン発電機本体と、ハロカーボン等の作動流体を加熱し、同作動流体の蒸気を発生させ、前記タービン発電機本体のタービンホイール(22)に供給するためのボイラー(38)と、前記タービンホイール(22)を駆動した後の前記作動流体の蒸気を冷却し、凝縮する凝縮装置(46)と、同凝縮装置(46)で凝縮されて液化した作動流体を重力により返還供給する管路(50)を備え、前記ボイラー(38)、タービン(16)、凝縮装置(46)を管路(40、44、50)で接続したタービン発電装置。」

(2)引用文献2
第1、4の拒絶理由通知書において、周知技術を例示するために引用された刊行物である特開昭63-277443号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次のような記載がなされている。
(a)「図において、タービンケーシング1は、流入管2を介して上流配管3に連通結合され、その内部にタービンロータ4を内蔵している。発電機は固定子5と回転子6とで構成され、タービンの低圧側に設置される。すなわちタービンロータ4と発電機の回転子6とは一体の回転軸7にて直結されている。外側配管8は固定子5を内蔵する固定子枠9の外径側に間隔を保って配置されており、一方端はタービンケーシング1に連通結合され、他方端は流出管10を介して下流配管11に連通接続されている。」(第1頁右下欄5〜15行)
(b)「磁気軸受14は鉄心の継鉄14bに複数対の励磁巻線を巻回し、継鉄14bより突出する複数対の磁極14cの先端で回転軸7の外周を囲むようにして取り付けられる。この励磁巻線14aに電流を通ずることにより前記鉄心は励磁され、磁性体である回転軸7との間に磁力を発生し、回転軸7は吸引され、それに伴って回転体は空中に浮上し、磁気軸受14は非接触で回転軸を支える。回転軸7の位置はセンサー16で検出され、図示しない制御装置によって空隙が一定になるように励磁巻線14aに流れる電流を制御している。」(第2頁右上欄末行〜同左下欄10行)

そして、タービンケーシング1と外側配管8とで形成される空間は、作動流体である蒸気又はガスが流入し流出するのであるから、通常の技術常識に従えば、気密性を有する空間であるといえる。
したがって、上記の記載及び図面を総合すると、引用文献2には、次のような発明(以下、「周知発明」という。)が記載されているものと認められる。
「タービンケーシング(1)とこれに連通結合された外側配管(8)とで形成された気密性を有する空間内に、タービンロータ(4)と発電機の回転子(6)を一体の回転軸(7)に配設し、同回転軸(7)を制御型の磁気軸受(14)で支持するタービン発電装置。」

3.本願発明と引用発明との対比
本願発明と引用発明とを対比すると、それらの形状、構造及び機能からみて、後者における「タービンホイール(16)」、「シャフト(26)」は、前者における「タービン」、「回転軸」のそれぞれに相当する。
同様に、後者における「ハロカーボン等の作動流体」、「ボイラー(38)」、「凝縮装置(46)」は、後者における「低沸点流体の熱媒」、「蒸気発生器」、「凝縮器」のそれぞれに相当し、後者における「タービン発電装置」も、「低温発電装置」ということができる。
そして、後者において、タービンホイール16内に供給された作動流体が漏洩しないよう、タービンハウジングも気密性が保持されているのは明らかであるから、ベアリング支持体(30)で分離されてはいるものの、タービンハウジングと気密性ハウジングとで形成された気密性を有する空間内にタービンホイール(22)と発電機(54)を同一のシャフト(26)に配設し、このシャフト(26)を軸受で支持しているものといえる。
してみると、後者における「タービンハウジング内及び気密性ハウジング(54)内にタービンホイール(22)及び発電機(52)の回転部分を同一のシャフト(26)にそれぞれ配設し、同シャフト(26)をタービンハウジングと気密性ハウジング(54)とを分離するベアリング支持体(30)により支持されたベアリング(28)及び気密性ハウジング(54)の端壁に設けられたベアリング(56、60)で支持」する点は、「気密性を有する空間内にタービンと発電機を同一の回転軸に配設し、同回転軸を軸受で支持する」限りにおいて、前者の「真空気密性を有するケーシング内にタービンと発電機を同一の回転軸に配設し、同回転軸を制御型磁気軸受で支持」する点と一致する。
次に、後者においては、「凝縮装置(46)で凝縮されて液化した作動流体を重力により返還供給する管路(50)」を備えているから、「凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する手段を備えている」限りにおいて、前者の「同凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する熱媒ポンプ」を備えている点と一致する。
さらに、後者においては、「ボイラー(38)、タービン(16)、凝縮装置(46)を管路(40、44、50)で接続」しており、ハロカーボン等の作動流体がボイラー(38)、タービン(16)、凝縮装置(46)を循環するのであるから、管路(40、44、50)は気密性配管であって、これらの機器を密閉ループとしているものといえる。
してみると、両者の一致点、相違点は次のとおりである。
〈一致点〉
「気密性を有する空間内にタービンと発電機を同一の回転軸に配設し、同回転軸を軸受で支持し、同タービンで同発電機を駆動する発電装置本体と、低沸点流体の熱媒を加熱し、同熱媒の蒸気を発生させて前記発電装置本体のタービンに供給するための蒸気発生器と、前記タービンを駆動した後の前記熱媒の蒸気を冷却し、液化させる凝縮器と、同凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する手段とを具え、これらの機器を気密性配管で接続した密閉ループとした低温発電装置。」

〈相違点1〉
気密性を有する空間内にタービン及び発電機を同一の回転軸に配設する態様に関して、本願発明では、「真空気密性を有するケーシング内にタービンと発電機を同一の回転軸に配設し、同回転軸を制御型磁気軸受で支持」しているのに対して、引用発明では、「タービンハウジング内及び気密性ハウジング(54)内にタービンホイール(22)及び発電機(52)の回転部分を同一のシャフト(26)にそれぞれ配設し、同シャフト(26)をタービンハウジングと気密性ハウジング(54)とを分離するベアリング支持体(30)により支持されたベアリング(28)及び気密性ハウジング(54)の端壁に設けられたベアリング(56、60)で支持」している点。
〈相違点2〉
凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する手段に関して、本願発明においては、「凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を送給する熱媒ポンプ」であるのに対して、引用発明においては、「凝縮装置(46)で凝縮されて液化した作動流体を重力により返還供給する管路(50)」である点。
〈相違点3〉
本願発明においては、「これらの機器を真空気密性配管で接続した密閉ループ」としているのに対して、引用発明においては、「ボイラー(38)、タービン(16)、凝縮装置(46)を管路(40、44、50)で接続した密閉ループ」としている点。

4.相違点についての検討及び判断
(1)相違点1について
相違点1について検討する。
前述のとおり、周知発明にみられるように、発電装置において、「タービンケーシング(1)内とこれに連通結合された外側配管(8)とで形成された密閉空間内に、タービンロータ(4)と発電機の回転子(6)を一体の回転軸(7)で直結して配設し、同回転軸(7)を制御型の磁気軸受(14)で支持する」ことは、本願出願前より周知の技術である。
そして、引用発明及び周知発明は、タービン発電機という同一の技術分野に属し、しかも気密性を有する空間内にタービンと発電機を同一のシャフトあるいは回転軸に配設する点で、共通の構成を有するものであるから、引用発明、周知発明に接した当業者にとって、引用発明における「気密性を有する空間内にタービン及び発電機を同一の回転軸に配設する」態様について、周知発明を適用し、本願発明の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し、かつなし得ることであり、その適用を妨げる特段の事情も見当たらない。
なお、適用にあたって、気密性を有する空間を、真空気密性を有するケーシングで形成することは、当業者が設計上適宜なし得る程度の事項にすぎないものである。

(2)相違点2について
凝縮器で凝縮されて液化した熱媒を熱媒ポンプにより送給することは、例えば、特開平3-253702号公報(「媒体ポンプ7」参照)にみられるように周知の技術であり、当業者が適宜採用し得る程度の設計的事項にすぎないものである。

(3)相違点3について
前述のとおり、引用発明における「管路(40、44、50)」は気密性配管ということができ、これを真空気密性配管とし、本願発明の相違点3に係る構成とすることは、当業者が容易になし得ることである。

(4)本願発明の効果について
本願発明をその全体構成でみても、その作用効果は、引用発明、周知発明から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明及び周知発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-07-16 
結審通知日 2004-07-20 
審決日 2004-08-03 
出願番号 特願平7-27938
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F01K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中野 宏和亀田 貴志  
特許庁審判長 石原 正博
特許庁審判官 長谷川 一郎
飯塚 直樹
発明の名称 低温発電装置  
代理人 石川 新  
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