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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 C02F
管理番号 1103639
審判番号 不服2000-20544  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-02-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-26 
確定日 2004-09-17 
事件の表示 平成 7年特許願第216557号「浴槽水循環システムの殺菌方法及び高温殺菌装置付浴槽水循環システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 2月18日出願公開、特開平 9- 47756〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年8月3日の出願であって、平成12年11月30日付で拒絶査定がなされ、これに対し、平成12年12月26日に拒絶査定に対する審判請求がなされたものである。

2.本願発明
本願の請求項1〜8に係る発明は、平成12年3月27日付け手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1〜8に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、以下のとおりである。
「【請求項1】浴槽内の水を循環浄化する浴槽水循環システムにおいてレジオネラ属菌を殺菌する方法であって;該浴槽水循環システムのろ過槽を63〜70℃に加熱することを特徴とする浴槽水循環システムの殺菌方法。」

3.引用例
原査定の拒絶理由に引用された引用例1、2とその記載事項は、以下のとおりである。
引用例1:特開平4-366351号公報
(1a)「【請求項2】循環ポンプと風呂熱交換器と濾過装置が組み込まれている泡風呂の風呂循環水通路の戻り側と往側をバイパス通路で連通させて循環ポンプと風呂熱交換器と濾過装置を含む循環閉通路を形成し、風呂熱交換器で殺菌温度に加熱した湯を循環ポンプを駆動して循環閉通路内を循環させて通路内の殺菌洗浄を行う風呂循環水通路の殺菌洗浄方法。」(特許請求の範囲)
(1b)「次に制御装置はステップ107で湯温検出器6により検出される循環水の温度と予め設定されている設定温度との比較を行う。この実施例では設定温度は雑菌の殺菌温度である例えば80℃の温度に設定されており、循環水温度が設定温度に至らない間は風呂熱交換器5で循環水の加熱を引き続き行い、循環水温度が設定温度になるのを待つ。循環水温度が設定温度になったときにステップ108で制御装置に内蔵されているタイマにタイマ動作を指令する。ステップ109ではタイマがタイマ動作を開始してから所定の時間、つまり、80℃の湯を循環させて循環閉通路26内の雑菌が死滅するのに十分な時間(例えば3分)が経過したか否かを判断し、タイムアップ信号が得られたときに循環閉通路26内の雑菌が完全に死滅するに至ったものと判断し、ガス電磁弁19を閉じて風呂バーナ17を消火し、追い焚き循環ポンプ3を停止する。」(段落【0018】)
引用例2:特開平5-99509号公報
(2a)「【課題を解決するための手段および作用】本発明は、加熱容器;前記加熱容器内の水を加熱するための電気加熱器;前記加熱容器に加圧冷水を供給する、加圧冷水供給入口;前記加熱容器の上端部近傍に形成された熱水出口;前記加熱容器の底部近傍に熱水を返却する、熱水返却入口;前記熱水出口と前記熱水返却入口とを連結し、熱水を熱水出口の蛇口へ供給し、前記熱水出口から前記熱水返却入口へと循環させる、熱水ループ;および、前記加熱容器内に配され、前記電気加熱器を制御して前記加熱容器内の水をあらかじめ定められた温度に保持し、低温殺菌温度に前記熱水ループを保持するための、サーモスタットからなる、少なくとも1つの熱水供給出口の蛇口を含有する、熱水供給装置を、提供する。前記熱水は、45℃から85℃の範囲の温度に加熱され、好ましくは、レジオネラバクテリア(legionella bacteria)の生殖可能な最高温度以上の温度にまで、加熱される。」(段落【0005】、【0006】)

4.対比・判断
引用例1の(1a)に記載の「風呂」及び「濾過装置」は、本願発明の「浴槽」及び「ろ過槽」に相当し、引用例1の(1a)に記載の「循環ポンプと風呂熱交換器と濾過装置が組み込まれている泡風呂の風呂循環水通路の戻り側と往側をバイパス通路で連通させて循環ポンプと風呂熱交換器と濾過装置を含む循環閉通路を形成」することは、本願発明の「浴槽水循環システム」ということができるから、引用例1には、「循環ポンプと浴槽熱交換器とろ過槽が組み込まれている泡風呂の浴槽循環水通路の戻り側と往側をバイパス通路で連通させて循環ポンプと浴槽熱交換器とろ過槽を含む循環閉通路を形成し、浴槽熱交換器で殺菌温度に加熱した湯を循環ポンプを駆動して循環閉通路内を循環させて通路内の殺菌洗浄を行う浴槽循環水通路の殺菌洗浄方法。」が記載されているものといえる。
そして、上記(1b)の記載によれば、上記方法において、その「殺菌温度」は、例えば、「80℃」であり、殺菌対象の「菌」は、「雑菌」であるから、上記引用例1には、次のとおりの発明が記載されているものといえる。
「循環ポンプと浴槽熱交換器とろ過槽が組み込まれている泡風呂の浴槽循環水通路の戻り側と往側をバイパス通路で連通させて循環ポンプと浴槽熱交換器とろ過槽を含む循環閉通路を形成し、浴槽熱交換器で80℃に加熱した湯を循環ポンプを駆動して循環閉通路内を循環させて通路内の雑菌を殺菌し、洗浄を行う浴槽循環水通路の雑菌を殺菌し、洗浄する方法。」(以下「引用発明」という。)
そこで、本願発明と引用発明とを対比すると、両者は、「浴槽内の水を循環浄化する浴槽水循環システムにおいて殺菌する方法であって、該浴槽水循環システムのろ過槽を加熱する浴槽水循環システムの殺菌方法」である点で、一致し、次の点で相違する。
(相違点)殺菌対象の菌及びろ過槽の加熱温度が、それぞれ、本願発明では、「レジオネラ属菌」及び「63〜70℃」であるのに対して、引用発明では、「雑菌」及び「80℃」である点
そこで、上記相違点について、以下検討する。
相違点について
一般に、浴槽水を含む温水循環システムにおいて、温水中で繁殖するために殺菌する必要がある菌として、「レジオネラ属菌」は、引用例2に記載されているように、本出願前当業者によく知られていることであるから、引用発明において取り扱われる温水中の「雑菌」にも、少なくとも「レジオネラ属菌」が含まれていることは、当業者に明らかである。
一方、この「レジオネラ属菌」を殺菌する温度として、引用例2の(2a)の「前記熱水は、45℃から85℃の範囲の温度に加熱され、好ましくは、レジオネラバクテリア(legionella bacteria)の生殖可能な最高温度以上の温度にまで、加熱される。」という記載によれば、「レジオネラ菌」が45℃から85℃の範囲の温度に加熱された熱水により、殺菌されることが記載されているといえるから、この「レジオネラ菌」の殺菌に好適な温度範囲を「63〜70℃」と定めることも、当業者が適宜なし得る程度のことにすぎない。
したがって、本願発明は、引用発明及び引用例2に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
5.むすび
以上のとおり、少なくとも本願発明は、特許を受けることができないものであるから、本願は、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-07-06 
結審通知日 2004-07-13 
審決日 2004-07-26 
出願番号 特願平7-216557
審決分類 P 1 8・ 121- Z (C02F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 奥井 正樹種村 慈樹杉江 渉  
特許庁審判長 沼沢 幸雄
特許庁審判官 野田 直人
平塚 義三
発明の名称 浴槽水循環システムの殺菌方法及び高温殺菌装置付浴槽水循環システム  
代理人 渡部 温  

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