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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1103867
審判番号 不服2001-2686  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-03-16 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-02-22 
確定日 2004-09-24 
事件の表示 平成10年特許願第194274号「パチンコ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 3月16日出願公開、特開平11- 70234〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年1月27日に出願した特願平4-35587号の一部を分割して平成10年7月9日に新たな特許出願とし、平成13年1月11日付で拒絶査定され、これに対して審判を請求するとともに平成13年3月26日に手続補正書が提出されたものであって、本願の特許請求の範囲に記載された請求項1に係る発明は、当該補正書の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下「本願発明」という)と認める。
本願発明
「可変表示される色々な図柄を視認できる表示部が遊技盤面に配置され、前記表示部において予め定められた複数個の当りラインのいずれかに、予め定められた同一デザインの当り図柄の組合せが表示結果として導出表示された場合に当り状態となるパチンコ遊技機であって、
前記当りラインは行方向当りラインと列方向当りラインとを含んでおり
主基板と、該主基板側に設けられた中央処理装置と、リーチ状態が成立した場合にリーチ状態となっている当りラインを教えるためのリーチ成立画像を前記表示部に表示するリーチ表示手段とを含み、
前記色々な図柄には、2以上のデザインの種類がある準当り図柄が含まれ、表示結果として導出表示された図柄がすべて前記準当り図柄である場合にも当り状態となることを特徴とする、パチンコ遊技機。」


第二.刊行物記載事項
これに対して原査定の拒絶の理由(容易性)に引用された刊行物(A)特開平3-251279号公報、(B)特開平3-247373号公報、及び周知技術を示す例としての刊行物(C)特開平1-209089号公報、(D)実願昭60-174893号(実開昭62-84484号)のマイクロフィルム、(E)特開昭59-55273号公報、(F)特開昭63-255082号公報、(G)実願昭62-57954号(実開昭63-163877公報)のマイクロフィルム,(H)特開昭55-96984号公報、(J)特開平2-277482号公報、(K)特開昭60-31780号公報.(L)実願昭58-181622号(実開昭60-188978号)のマイクロフィルム、(M)特開昭62-172980号公報、(N)実願昭60-118188号(実開昭62-27689号)のマイクロフィルム、(P)実願平2-13888号(実開平3-104385号)のマイクロフィルム,(Q)特開昭59-88182号公報には、各々以下の事項が記載されている。

[1].特開平3-251279号公報(以下「刊行物A」という)記載事項
(A-1).「〈産業上の利用分野〉 本発明は、変動表示が可能な複数の可変表示器や各種の発光源を有する可変表示装置を備え、各可変表示器や発光源による表示内容が特別態様を形成した際には変動入賞装置を変換させて、遊技者に有利な状態にするパチンコ機に関するものである。」(第1頁右欄第1〜7行)
(A-2).「そこで、作動した可変表示装置の表示内容が特別態様を形成する前に、特別態様の発生可能性を遊技者に知らせることで、遊技中における遊技者の負担を軽減すると共に、特別態様の発生に対する期待感を遊技に与え、パチンコ遊技の興趣を更に高めるパチンコ機が望まれている。」(第2頁左上欄第13〜18行)
(A-3).「可変表示器や発光源による変換表示が全て停止する前に、変換表示中の表示窓が所定の表示内容を表示して停止すれば特別態様が形成される準特別態様が形成された状態になったとき、該状態を視覚的・聴覚的手段(例えば、縁部発光体25、表示片28、スピーカ59等)によって遊技者に知らせるようにした。」(第2頁右上欄第13〜19行)
(A-4).「そして、第1〜第4可変表示窓29〜32の表示内容と移動点滅表示窓の点灯位置に基づいて電気的制御装置は特別態様か否かを判定する。すなわち、第7図(b)に示すように第1可変表示窓28aと第3可変表示窓28cの表示内容が共に“7”で、かつ第1,第3可変表示窓28a、28cの間に位置する第1移動点滅表示窓29が点灯したような場合を特別態様と判断するのである。
なお、特別態様を形成するための表示内容は“7”に限定されるものではなく、互いに隣接する可変表示窓の表示内容が一致し、かつ当該可変表示窓間に位置する移動点滅表示窓が点灯すればよいものとしてある。
また、第1〜第4可変表示器21〜24を停止表示させた際に、隣接する可変表示窓の表示内容が一致し、当該可変表示窓間に位置する移動点滅表示窓が点灯すれば特別態様が形成される準特別態様が形成された場合には、当該可変表示窓の外縁部に位置する縁部発光体25・・・を点灯もしくは点滅させて準特別態様の形成されたラインを視覚的に遊技者に知らせるようにしてある(第7図(b),(c))。 なお、第7図(d)に示すように、第1〜第4可変表示窓28a〜28dの表示内容が全て一致した場合には上下左右の各移動点滅表示窓29〜32の何れが点灯しても特別態様が形成されるので、四辺全てに準特別態様が形成されたことになり、全ての縁部発光体25・・・が点灯もしくは点滅する。」(第5頁左上欄第7行〜同頁右上欄第15行)
(A-5).「このように、第1,第4可変表示器21,24のみを予め停止させるように制御すると、第1可変表示器21及び第4可変表示器24と隣り合う第2可変表示器22,第3可変表示器23は未だ変換表示中であるために、準特別態様形式に対する遊技者の期待感を高めることができる。」(第7頁右下欄第12〜18行)
(A-6).「準特別態様が形成されたことを視覚的・聴覚的に知らせることで、可変表示装置7への注意を喚起し、特別態様の発生に対する遊技者の期待感を高めることができる。」(第8頁右上欄第3〜6行)
(A-7).「特別態様が形成されていなければ、準特別態様が形成されていた当該ラインで点滅状態にある縁部発光体25・・・を消灯すると共に、」(第8頁左下欄第8〜11行)
(A-8).「また、特別態様が形成されていれば、特別遊技開始音をスピーカ59から継続出力すると共に、特別遊技の更新継続回数を計数記憶する継続回数カウンタのカウント数をクリアし、1秒間のウエイトタイム経過の後に特別遊技を開始する。」(第8頁左下欄第15〜20行)
(A-9).「すなわち、様々な図柄や「リーチ」等の文字が表示された表示片65を表出させることによって、準特別態様が形成された状態にあることを遊技者に知らせることが可能になる。」(第11頁右上欄第11〜14行)

[2].特開平3-247373号公報(以下「刊行物B」という)記載事項。
(B-1).「可変表示器28は、逆T字形に並んだ合計5個のセグメント表示器からなる表示部により構成され、表示基盤31のほぼ中心線上に第1表示部32、第2表示部33、第3表示部34を上下に並設し、第3表示部34の左右にそれぞれ第4表示部35と第5表示部36を設けてある。」(第2頁左下欄第11〜16行)
(B-2).「大当りの賞態様は3態様ある。第1大当り賞態様は、第1表示部32と第2表示部33と第3表示部34の表示がすべて赤色の「0」から「9」までの同一の表示であり、かつ第4表示部35の表示が緑色の「3」、「5」、「7」のうちどれかであり、かつ第5表示部36の表示が緑色の「3」、「5」、「7」のうちどれかの場合、」(第5頁左上欄第13〜19行)
(B-3).「第2大当り賞態様は、第1表示部32と第2表示部33の表示がともに赤色の「0」から「9」までの同一の表示であり、かつ第3表示部34と第4表示部35と第5表示部36の表示がすべて緑色の「3」、「5」、「7」のうちどれかで同一の場合」(第5頁右上欄第3〜8行)
(B-4).「第3大当り賞態様は、すべての表示部の表示が「J」の場合である。」(第5頁右上欄第12〜14行)
(B-5).「中あたり賞態様は2態様ある。第1中当り賞態様は、第1表示部32と第2表示部33と第3表示部34の表示がすべて赤色の「0」から「9」までの同一の表示であり、かつ第4表示部35または第5表示36の表示が緑色の「J]の場合、」(第5頁右上欄第15〜19行)
(B-6).「すなわち、大当り賞態様になる可能性のある場合に、第2ソレノイド41を励磁して第2隠蔽部材41を回動し、第5表示部36の表示を遊技者にとって見易い状態とする。一方、第4表示部35の表示変換が停止して、上記した態様とならなかった場合、すなわち、大当り態様になる可能性のない場合には、第1ソレノイド42を消磁して第1隠蔽部材42を戻り回動し、第4表示部35の表示を遊技者にとって見難い状態とする。」(第6頁左上欄第9〜17行)

[3].特開平1-209089号公報(以下「刊行物C」という)記載事項
(C-1).「しかも、入賞ラインを従来にないパターンで設定することのできるスロットマシンのリール機構を提供することを目的としてなされたもので、」(第2頁左上欄第16〜19行)
(C-2).「各絵柄表示体の前面に、当該表示体の絵柄を見るための表示窓を形成した前面パネルを配設し、この前面パネルの表示窓の囲りに、各表示窓から見える絵柄につながる線を6ライン以上形成し入賞ラインにしたことを第二の特徴とするものである。」(第2頁右上欄第9〜14行)
(C-3).「しかし、本発明の上記リール機構では、従来の1リールに対応する3個のリールが夫々に個々のモータにより回転、停止させられるので、リール停止時に面する絵柄はバラエティに富んだものとなる。
尚、リール1a〜1iの数の設定は、上記例に限られず4段、4列以上であってもよいこと勿論である。」(第3頁左上欄第1〜8行)
(C-4).「即ち、図示した各入賞ライン51〜59は、隣り合う各表示窓4a〜4iに表われる絵柄を縦、横、斜目につないで形成したもので、各リール1a〜1iを停止したとき、各入賞ライン51〜59上において並んだ絵柄の組合せが、予め定められた入賞絵柄の組合せ列と一致すれば入賞となる。
6a〜6iは各リール1a〜1iのモータ2a〜2iに個別に停止指令を出すための個別停止ボタンである。
この実施例では、上記停止ボタン6a〜6iのほか、各モータ2a〜2iの所定のものを一括して、例えば、モータ2a-2d-2g、モータ2b-2e-2h、同じくモータ2c-2f-2iに同時に停止指令を出すための一括停止ボタン61〜63を並設している。尚、一括停止ボタン61〜63により一括停止させるモータの組合せは、上記例に限られず、横列や斜め列のモータとするなど、適宜設定可能である。」(第3頁右上欄第1〜18行)
(C-5).「上記における3個一組のモータの組合せは、モータ2a〜2iの列の中から任意に選択して設定できること勿論である。」(第3頁右下欄第14〜16行)

[4].実願昭60-174893号(実開昭62-84484号)のマイクロフィルム(以下、「刊行物D」という)記載事項。
(D-1).「複数のシンボル列ごとにシンボルを複数個ずつ表示窓に表示し、シンボル列ごとにその表示位置に応じて1つずつのシンボルを特定してシンボルの組み合わせを決定するための入賞ラインが複数本設けられたスロットマシンにおいて、
透明な棒状の支持部材に発光素子を長手方向に配列してなるライン表示部材をそれぞれの入賞ラインごとに前記表示窓と重ね合わせて配設し、所定の入賞ラインに対応して設けられたライン表示部材のみを点灯させることにより、前記表示窓内に前記所定の入賞ラインの表示が行われるようにしたことを特徴とするスロットマシンの入賞ライン表示装置。」(第1頁第5〜17行)
(D-2).「また、入賞ラインの表示としては、上述のように有効化された入賞ラインの表示を行う代わりに、入賞判定を行った結果、有効化された複数本の入賞ラインの内、入賞に該当した入賞ラインを表示するようにしてもよい。」(第5頁第12〜16行)
(D-3).「中ヒットを構成する異なったシンボルの組合せになるように、第1〜第3シンボル決定回路53の作動プログラムが決められている。また、乱数値ごとに予めシンボルの組み合わせを決めておくことも可能で、この場合には確率テーブル52のメモリ容量が大きくなるが、第1〜第3シンボル決定回路53〜55が省略できるようになる。」(第12頁第8〜15行)
(D-4).「第4図の実施例では、ライン表示部材17をマトリックス状に組んだもので、入賞を構成する各々のシンボルを囲むようにして表示できるようになるものである。」(第15頁第14〜17行)

[5].特開昭59-55273号公報(以下「刊行物E」という)記載事項
(E-1).「周知のように、パチンコ遊技機(以下パチンコ機)やコイン遊技機のような弾球遊技機においては、パチンコ玉(以下玉)を打球遊技するのみの従来のものに代えて、可変表示部材を設けたものがある。ここで、可変表示部材としては、回転ドラムを用いた機械的に可変表示するもの、およびセグメント表示器のような電気的な可変表示を行なうものがある。 このような可変表示部材の弾球遊技機としては、たとえば特開昭51-49844号公報や特開昭56-80281号公報に記載のものが知られている。」(第2頁左下欄第8〜18行)
(E-2).「これによって、外部から視認できる表示部が縦方向と横方向とにそれぞれ複数個(図示では3×3)形成されることになる。」(第4頁右上欄第8〜10行)
(E-3).「各回転ドラム31a〜31cの横方向1番目(中段)または2番目(上段)もしくは3番目(下段)の組合せ状態に基づく価値付与のための判断対象とされる方向を表示する。また、状態表示部26a,26bまたは27a,27bは、斜め方向1番目(右上がり方向)または斜め方向2番目(左上がり方向)の組合せ状態に基づく価値付与の判断対象となる方向を表示する。」(第4欄左下欄第1〜8行)
(E-4).第4図はこの実施例のパチンコ機を制御するための遊技制御回路の回路図である。この実施例の遊技制御回路40は、マイクロプロセッサ41、オアゲート42、状態表示制御回路43、機械的可変表示駆動回路44、電気的可変表示駆動回路45、表示状態検出回路46a〜46c、価値付与手段の一例の開閉駆動回路47を含む。」(第5頁左下欄末行〜同頁右下欄第6行)

[6].特開昭63-255082号公報(以下「刊行物F」という)記載事項
(F-1).「第1図は図柄表示部の正面を示す図である。図において、11は表装板であり、回転ドラムの図柄を視認し得るように縦長の形状の3つの窓12a、12b,12cが形成されており、各窓12には各回転ドラムについて3つの図柄が表示され、9つの図柄が3×3のマトリックス状に表示されるようにている。13a〜13jは上記窓12に表示される図柄の組合せのうち、当りに対応する図柄の組合せが表示された場合にその図柄の列を遊技者に表示するための発光ダイオード等からなる表示灯であり、図に破線で示したように3つの図柄が回転ドラムの回転軸方向に並ぶ3組の列と3つの図柄が斜めに並ぶ2組の列との5組の列について、それぞれの列の両端の表示灯が同時に点灯される。」(第2頁右上欄末行〜同頁左下欄第14行)
(F-2).「第7図は上記パルスモータの駆動制御と表示灯の点灯制御を行なう部分のブロック図である。遊技機の制御を行なう制御部20から回転ドラム始動指示がコントローラ30に出力されると、」(第3頁左下欄第4行〜7行)

[7].実願昭62-57954号(実開昭63-163877公報)のマイクロフィルム(以下「刊行物G」という)記載事項
(G-1).「実用新案登録請求の範囲 順次停止していく複数の独立した可変表示体を有し、この可変表示体に可変表示される図柄の組合わせにより入賞条件が設定されているパチンコ遊技機において、可変表示体に可変表示される図柄の組合わせが複数組み得られるよう可変表示体を配設すると共に、複数の組合せに最も多く共通する可変表示体を最後に停止するようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機」
(G-2).「(従来の技術) 従来、順次停止していく複数の独立した可変表示体を有し、この可変表示体に可変表示される図柄の組合わせにより入賞条件が設定されているパチンコ遊技機は広く知られている。例えば、第8図に示すようなものがあり、0〜9の数字が可変表示される3つの可変表示体(セグメント表示体)(60a)(60b)(60c)が横一列に配設されている。このパチンコ遊技機にあっては、遊技客から見て左側のセグメント表示体(60a)から停止していき、3つのセグメント表示体(60a)(60b)(60c)に同じ数字が可変表示された際に大当りとなり、遊技球の入賞が容易になるようになっている。」(第2頁第2〜14行)
(G-3).「したがって、左側のセグメント表示体(60a)に可変表示された数字と、中央のセグメント表示体(60b)に可変表示された数字とが異なる場合には、残った右側のセグメント表示体(60c)に数字が可変表示されるのを待つまでもなく、大当りの可能性は全くない。遊技客にしてみれば、左側のセグメント表示体(60a)及び中央のセグメント表示体(60b)に数字が可変表示された時点で大当りの可能性が無くなってしまう場合が多く、面白みに欠けるものであった。」(第3頁第2〜11行)
(G-4).「本実施例にあっては、セグメント表示体(10a)(10b)(10c)(10d)(10e)に数字が可変表示されるようになっているが、例えばディスプレイを用いてトランプの絵柄等が可変表示されるようにしてもよく、可変表示体に表示される図柄は、数字のみに限定されない。」(第6頁第14〜19行)
(G-5).「第5図〜第7図に示すように、9つの可変表示体を縦横3つずつ並ぶように配設したもの等でもよい。これらの場合も、中央に位置する可変表示体が、複数の組合せに最も多く共通する可変表示体であり、この中央に位置する可変表示体を最後に停止させる。」(第8頁第6〜11行)
(G-6).「本考案にあっては、可変表示体に可変表示される図柄の組合わせが複数組み得られれば、可変表示体の数及びその並べ方は、特に限定されない。また、複数設けられた可変表示体の停止順序は、複数の組合わせに最も多く共通する可変表示体を最後に停止させれば、他の可変表示体の停止順序は特に限定されない。」(第8頁第11〜19行)
(G-7).「(考案の効果) 以上のように本考案に係るパチンコ遊技機によれば、可変表示体に可変表示される図柄の組合わせが複数得られるように可変表示体を配設すると共に複数の組合わせに最も多く共通する可変表示体を最後に停止するようにしたことにより、最後の可変表示体に図柄が可変表示される以前に大当りの可能性が無くなってしまうことを減少させることができ、面白みに富んだ、遊技客に飽きられ難いパチンコ遊技機を提供することができる。」(第11頁第1〜10行)
(G-8).第3図、第4図には、大当りになる図柄の組合せ配置として、直線ライン上に配置されるものばかりでなく、かぎ型に曲がったライン上に配置されるものが示されている 。

[8].特開昭55-96984号公報(以下、「刊行物H」という)記載事項。
(H-1).「ところで、前述のような図形表示装置10は1個の液晶表示器だけで用いることもできるが、より好ましくは複数個の液晶表示器のそれぞれに図形パターンを表示させて、複数個の液晶表示器で表示される図形パターンの種類の組合せによって各種のゲームを行うものとして利用することができる。」(第3頁右下欄第13〜19行)
(H-2).「この各液晶表示器20a、20b、20cは、打球されたパチンコ球が対応する通過領域42a、42b、42cを通過する毎に表示している図形パターンの種類を順次可変表示(例えば月、星、太陽の順番で循環的に可変表示するものであるが、このような可変表示動作は後述の第7図で詳細に説明する。」(第4頁右上欄第4〜10行)

[9].特開平2-277482号公報(以下、「刊行物J」という)記載事項。
(J-1).「この発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、可変表示装置の表示状態が特定表示状態になる可能性があることを遊技者に積極的に報知することにより、遊技の興趣を盛り上げることができる弾球遊技機を提供することにある。」(第2頁右上欄第16行〜同頁左下欄第1行)
(J-2).「このカバー部材19は、識別情報表示部14a〜14cの表面に描かれた識別情報(図柄)が3つ分見えるような大きさに選ばれるとともに図柄がより大きく見えるような拡大レンズ部19a〜19cが形成されている。また、カバー部材19の左右には、当りラインを表示するライン表示器15a〜15fが配置されている。」(第4頁左上欄第8〜14行)
(J-3).「5つの当りラインのうち、どのラインに大当り(特定表示状態)が出現したか否かを遊技者に報知する必要があるため、ライン表示器15a〜15fが設けられている。また、このライン表示器15a〜15fは、大当りが成立したときだけでなく、大当りが出現する可能性があるときにも点滅してその旨を報知するようになっている。例えば、最後に停止する中央の識別情報表示部14bが可変表示中で左右の識別情報表示部14a、14cが停止しているときに、左右の識別情報表示部14a,14cの上記した5つのライン上のいずれかに大当りの識別情報が表示されているときには、当該ラインを表示するライン表示器が点滅して大当りの可能性があることを遊技者に報知する。」(第4頁左上欄第18行〜同頁右上欄第12行)
(J-4).「識別情報表示部が順次停止して可変表示を行っている識別情報表示部が少なくとも残り1つとなったときに、既に停止している識別情報表示部の表示状態が特定表示状態になり得る条件を満たしているか否かが予備表示状態判定手段によって判定され、条件を満たしていると判定された場合には、表示駆動停止遅延手段によって未だ可変表示を行っている残り1つの識別情報表示部の停止時期が、条件を満たしていないと判定された場合よりも遅らせて停止されるとともに、これと同時に報知手段から特定表示状態になり得る可能性がある旨を報知するように構成されるので、」(第14頁右上欄第3〜15行)

[10].特開昭60-31780号公報(以下「刊行物Kという)記載事項
(K-1).「以下本考案電動遊技盤を電動式のパチンコ台として説明するが、パチンコ台以外のスロットマシン、スマートボールその他の遊技盤に於ても応用できるものである。
最近のパチンコ台は玉を特定の穴に投入すると予めセットされた回路により文字、数字、色、模様等の合せ方、並び方によって遊技者が有利に遊技できる機構のもの所謂フィーバー台が設置されるようになった。」(第1頁右欄弟3〜11行))
(K-2).「図に於て1はフィーバー形のパチンコ台の本体、2は通常の穴で一玉が入ると予め定まった数例えば13の玉が出るようになっており、3はフィーバーが生じるための電気回路を操作する特定の穴で、該穴3に玉が入ると盤裏側に設けられた電気回路が作動し、予め定められた数字、文字、色、模様の1つ又は二以上の組み合わせが行われ、その並び方や合せ方によって入賞口4が予め定めた一定時間例えば30秒間開いた状態を保持するようになっている。文字はすべて電気的に行われる。この入賞口4が開いた状態をフィーバーという。」(第2頁右上欄第12行〜同頁左下欄第3行)

[11].実願昭58-181622号(実開昭60-188978号)のマイクロフィルム(以下「刊行物L」という)記載事項、
(L-1).「ところが、最近のパチンコ機は、玉をはじいて入賞口に入れる、いわゆる遊戯客の技術、技能(テクニック)に負う面が少なくなり、偶然に支配される割合が多くなってきている。その代表的な例がフィーバータイプのパチンコ機である。
フィーバータイプのパチンコ機とは、玉がフィーバースタートと称する一定の入賞口に入ると、3〜4ケタのいずれも0〜9の数からなるデジタル表示装置が作動を始め、一定時間の後に確率1/250〜1/500の偶然で、同一数字(例えば、777や7777)等が並ぶのを当てる(一度当たる、と大量のセーフ玉が出る)という形式のものである。」(第2頁第13行〜第3頁第5行)

[12].特開昭62-172980号公報(以下「刊行物M」という)記載事項、
(M-1).「I)入賞チャッカー4のいずれかにパチンコ球が入賞すると、LED5a〜5cが駆動する。 II)LED5a〜5cの数値が、同一数字となると、フィーバーとなり30秒間、ソレノイド22が駆動し、開閉翼片10,10は横臥成位置に維持される。」(第5頁左上欄第10〜15行)
(M-2).「前記可動入賞器3を開放させるLED5a〜5cの組合わせは、同一番号が並んだ場合のみではなく、例えば、「1」、「2」、「3」等のように連続数字の組合せ、二文字のみが同一の組合せ等種々考えられる。この場合に、その組合わせの態様により、LED5a〜5cの開放時間を変えてもよい。さらに同一番号でも「7」が揃ったときには、前記開放時間を30秒とし、他の数字が揃った場合には10秒とする等のように、その利益を異ならせてもよい。」(第5頁左下欄末行〜右下欄第9行)


[13].実願昭60-118188号(実開昭62-27689号)のマイクロフィルム(以下「刊行物N」という)記載事項
(N-1).「このような背景を考慮し、各入賞ラインを棒状の発光ダイオードを連結した線条発光部として構成することが提案されている 。そして、ゲームを行った結果、特定の入賞ラインについて入賞が得られている場合には、その入賞ラインを構成している線条発光部を点灯させるようにしている。」(第3頁第16行〜第4頁第2行)
(N-2).「上記の目的を達成する本考案は、シンボル列が停止して入賞の有無を判定した結果、いずれかの入賞ラインにおいて入賞が得られているときには、その入賞ライン上に位置しているシンボルを、他のシンボルとは異なった表示形態で表示するようにしたものである。リールタイプのスロットマシンで、シンボルを異なった表示形態で表示するためには、リールの周囲に併設されたランプ等の光源を、入賞判定部からの信号に応じて駆動制御し、入賞を構成するシンボルのそれぞれに連続的な照明や点滅する照明を与え、他のシンボルよりも明るくあるいは明滅させて表示すればよい。また、本考案はビデオタイプのスロットマシンにも利用することができ、この場合には、前述のように明るく表示したり、あるいは色調を変化させることも可能である。」(第4頁末行〜第5頁第15行)
(N-3).「カラーモジュレータ66は、CRTコントローラ58を介して、入賞を構成しているシンボルの表示色を、他のシンボルよりも明るくなるように表示させる。したがって、入賞が得られた入賞ラインに沿って、配列されているシンボルのそれぞれは、他のシンボルと異なった色調で表示されるようになり、入賞を構成しているシンボルとその並び方が一見して把握できるようになる。なお、入賞を構成しているシンボルを、他のシンボルと識別して表示するためには、シンボルの背景色を変えたり、あるいはシンボルの色調を通常の表示色に対して反転させたりしてもよい。」(第14頁第2〜14行)
(N-4).「本考案はリールやシンボル列の本数が4本以上であったり、1つのシンボル列について表示されるシンボルの個数が3個でなくても等しく適用可能であるとともに、入賞ラインの本数や形状にも左右されるものではない。」(第15頁第8〜12行)

[14].実願平2-13888号(実開平3-104385号)のマイクロフィルム(以下「刊行物P」という)記載事項
(P-1).「この表示体4は透明ガラスを基体とした蛍光表示管もしくは表示放電管等が使用され、通常はシースルーとなっているが、回転ドラム1・1・・・のパターン2a・2b・・・が一定の配列になって停止した時にスイッチがONされ(ターミナル接続)され通電されるようになっている。その通電によって当り方向を示す表示ライン4a・4b・・・のいずれかが輝度を増加して浮かび上がるか、あるいは点灯、点滅するようになっている。表示ライン4a・4b・・・は通例の当り配列と対応して横三本、斜め二本が用意されているが、新規な配列を組むことでそれに対応させることも勿論可能である。
また、第3図として示すのは別の実施例であり、この場合にはパターン2a・2b・・・自体に液晶、LED等の表示素子を組み付けたもので当り配列となった時にそのパターン自体2a・2b・・・自体を揃った方向において光らせる構成のものである。
また、この電界を印加した際に生じる発光現象を利用するものとして、前述の素子の他に、エレクトロルミネセンス(EL)を利用することも可能で、特に面発光を予定する際に適し、まぶしさの少ない点で好適ともいえる。」(第4頁第17行〜第5頁末行)

[15].特開昭59-88182号公報(以下「刊行物Q」という)記載事項
(Q-1).「そして、図示しない停止装置によってリールごとに独立に回転を停止させられる。ここで、リール3a,3b,3cは第2図に示すシンボルの配置で停止したものとし、シンボルの当り組合せは同一のシンボルが3個一列に並ぶときとし、ペイラインは第2図の実線10,20,30,40,50の5本であるとする。すると、この場合にはペイライン40において四角形シンボルが一列に並んでいるので、図示しないセンサーおよび当り判定装置によって当りであると判定され、コイン払い出し口7から所定の払い出し率に応じてコインが払い出される。
上記の如く従来のスロットマシンは、複数のシンボルからなるシンボル列を単一の中心軸において互いに並列に同一方向に移動させ、かつシンボル列ごとに停止させる構造であるため、シンボル列の移動方向(シンボルの配列方向)についてはゲーム対象となるペイラインを設けることができない。そのため、当り組合せのバラエティに乏しく、遊戯者の楽しみも限定されたものである。。
本発明は上述の従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、シンボルの移動方向すなわち回転体の中心軸と直角方向に対してもペイラインを設けることのできるスロットマシンを提供することを目的とする。」(第2頁左上欄第13行〜同頁右上欄第17行)


第三.本願発明の検討(特許法第29条第2項:容易性)
[1].本願発明における用語の定義
(1)「導出表示」について、
(i).分割元である特願平4-35587号の出願当初の明細書には「導出表示」との文言は記載されていないが、本願出願当初の明細書の段落【0005】【0008】【0038】には、可変表示部の「表示結果を導出表示させる」ことが記載され、同様の趣旨が段落【0039】、【0041】に記載されている。
(ii).してみると、「導出表示」とは、可変表示部に結果が表示されることと認められる。

(2).「表示部」について、
(i).分割元である特願平4-35587号の出願当初の明細書の段落【0003】、【0012】、及び【0016】に各々「しかして、従来、この種のパチンコ遊技機としては、パチンコ遊技機の本体に外周部に数字、図柄などの標識を有する回転リールを組み合わせた色々のタイプが提案されているが、パチンコ遊技機の本体に液晶表示器を設け、この液晶表示器に表示される表示部に複数の回転リールを表示し、かつ、遊技中に始動口に遊技玉が入賞した時「7」等の当り役を色々な態様で発生させ、かつ、入賞開閉受板を開閉させるタイプのものは存在しなかった。」、「3は遊技盤面2の中央部あるいは中央部よりの部位に配設されたカラーの液晶表示器で、この液晶表示器3は取付け枠部3aと、この取付け枠部3a内に固定的に設けられた表示部3bとから成る。」、及び「この画像表示回路11には液晶表示器3に格子状の窓枠部12を形成あるいは表示するための窓枠部表示手段13と、この窓枠部表示手段により形成された本実施例では9個の窓枠部12にそれぞれ数字、文字、記号、図柄等の標識14を有するリール15をそれぞれ形成あるいは表示するためのリール表示手段16とが接続している。」と記載され、図面の簡単な説明の欄に、図4は、「本発明の要部(窓枠部とリール)の概略説明図」と記載され、符号の説明の欄には、符号15は「リール」、符号18は「リール変動手段」と記載されている。
(ii).してみると「表示部」とは、図柄などが表示される箇所であると認められる

(3).「リーチ成立画像」について、
(i).分割元である特願平4-35587号の出願当初の明細書、及び本願出願当初の明細書には「リーチ成立画像」との文言は記載されていないが、本願明細書(平成13年3月26日付手続補正書)の段落「【0005】 【課題を解決するための手段】」、「【0008】 【作用】」「【0038】」、「【0041】 【発明の効果】」に「リーチ状態が成立した場合にリーチ状態となっている当りラインを教えるためのリーチ成立画像」と記載されている。
(ii).実施例では、リーチ状態において当りラインを教示する、当りライン教示手段に関しては、分割元である特願平4-35587号の出願当初の明細書の段落【0008】に、「各リールはリール停止手段により一定時間経過後に順次停止する。本実施例では、各リールの停止順序が決まっている。変動中の各窓枠部に複数個の当り役が先行した時、当りライン識別手段により、当該当りラインの窓枠部の内側にさらに別色の枠部が点燈表示する。各リールが停止した時、当りラインに所定の当り役ができると、当たり状態表示手段により、各リールに一本の線等が現れる。」と記載されており、当該記載から「リーチ成立画像」として、「当りラインの窓枠部の内側にさらに別色の枠部が点燈表示」する手段、及び、当り役ができると当りラインに一本の線が現れることが示されている。
(iii).一方、「画像」とは、「マル1 えすがた。絵像。 マル2 機械的な処理により、感光材料・紙・スクリーン・テレビ‐ブラウン管などの上にうつし出された像。「鮮明な―」」(広辞苑第5版)と一般的には定義されるものである。
(iv).してみると、画像は、点灯した「枠部」のみを表すということはできないから、当該「リーチ成立画像」とは、リーチ状態になった場合に、当りラインを教える当りライン教示手段であると認められ、実施例に即してみると、「図柄、あるいは標識」を表示する窓枠部の内側における窓枠部と別色の枠部である。

(4).「準当り図柄」について、
(i).分割元である特願平4-35587号の出願当初の明細書には、その段落【0021】に、「ところで、各リール15は数字の「7」、リンゴ、バナナ等の果物、星印、鐘など色々な図柄あるいは標識を有しているが、本実例では当り図柄をラッキーセブンの「7」の文字をデザインした図柄とし、またリンゴ、バナナ等一般に果物と認識される図柄を準当り図柄とし、その余の図柄をはずれの図柄と設定している。そして、当りラインL1〜L8のいずれかに「7」の図柄が出た場合はもちろんであるが、9個の窓枠部12に「オールセブン」または「オール果物」の図柄が出た時も当たりとみなしている。」と記載されている。
(ii).してみると、「準当り図柄」とは、「リンゴ」、「バナナ」等デザインが相違する図柄の組合せを当りとするために予め定められた複数の図柄の内の1の図柄であると認められる。

[2].周知のフィーバー型パチンコ機に関する発明(以下「引用発明」という)と本願発明との対比
(1).引用発明の認定
引用発明は、前記刊行物E,F、G、H、J、K、L、Mの記載事項からみて、以下に記載のものと認められる。
「複数の図柄が遊技者に視認できるようにした可変表示体を遊技盤に複数配設し、当該可変表示体が変動して停止したときに、停止した可変表示体により表示される図柄が、複数設定された所定ラインの1ライン上で予め定められた所定の組合せになると、当り状態となって当りラインが表示されるとともに、遊技状態が遊技者に有利な状態となるパチンコ機であって、可変表示体の変動動作制御、当り判定、遊技制御等の処理手段としてCPU等の処理装置及びそれらの基板を備え、その表示手段として、液晶表示器、LED等周知の表示手段が用いられていること。」



(2).引用発明と本願発明との一致点、相違点
(ア).一致点
両者は
「可変表示される色々な図柄を視認できる表示部が遊技盤面に配置され、前記表示部において、予め定められた複数個の当りラインのいずれかに、予め定められた同一デザインの当り図柄の組合せが表示結果として導出表示された場合に当り状態となるパチンコ遊技機であって、
主基板と、該主基板に設けられた中央処理装置と、を含む パチンコ遊技機。」において一致する。

(イ).相違点
(i).当りラインの設定に関して、本願発明は行方向当りラインと列方向当りラインを含んでいるのに対し、引用発明においては、行方向当りラインは含まれているものの、列方向当りラインを含むか否か明瞭ではない点。
(ii).リーチ状態が成立した場合の表示に関して、本願発明は、「リーチ状態となっている当りラインを教えるためのリーチ成立画像を前記表示部に表示する表示手段」を備えているのに対し、引用発明においては、リーチ状態成立時に当りラインを教える、リーチ時当りライン教示手段は、示されていない点
(iii).当り状態とする図柄の組合せに関して、本願発明においては、2以上のデザインの種類の図柄の組合せの場合も含まれているのに対し、引用発明では、2以上のデザインの種類の図柄の組合せを当り状態にすることは記載されていない点。

(ウ).相違点の検討
(a).相違点(i)について、
フィーバー型パチンコ機において、可変表示体における図柄組合せを判断する当りラインとして、行方向当りラインと列方向当りラインを含ませることは、以下の理由により当業者が適宜行なう設計的事項である。
すなわち、
可変表示体の変動停止による図柄の組合せゲームにおいては、行方向当りラインと列方向当りラインを包含させることが、拒絶理由に引用された刊行物A、さらには刊行物G、C、Qに示されていること。
また、前記(G-8)、(N-4)、(P-1)には、当りラインに関して各々かぎ型ライン、入賞ライン形状が任意、新規な配列を組むことが記載され、さらに、刊行物E、F、G、N、Pには当りラインとして斜めラインが示されているように、当りラインは適宜方向に設定可能であると認められること。
してみると、可変表示体の表示手段として、個々別々に変動表示可能な表示手段によるか、列方向に表示される図柄が相互に固定されるドラム型の表示手段によるか等の構造上の制約、当りラインをいくつに設定するか等を勘案して、当業者は適宜当りラインを設定し得るものと認められる。
したがって、当該相違点は格別のものではない。
(b).相違点(ii)について、
リーチ状態が成立した場合に、リーチ状態となっている当りラインを教える、リーチ時当りライン教示手段が拒絶の理由に引用された刊行物A、さらには刊行物Jにも示され、加えるに、表示部に当りラインを表示することが刊行物D、N、Pに示されるように周知の当りライン表示手法であることを考慮すると、引用発明において、刊行物Aに示されるようなリーチ状態成立時に当りラインを表示する、リーチ時当りライン教示手段を表示部に適用することは当業者が容易に為しえる程度のことである。
さらに実施例に即した場合においても、注目図柄等の教示手段として、刊行物Dに示されるように図柄等を枠等で囲む周知の教示手段を採用することは当業者が容易に為し得ることであり、当該採用に際して、窓枠と別色とすること、及び当該窓枠の内に配設すること等は、各図柄が枠などで分離されている場合には、同様の形状・構成の窓枠よりも表示を目立たせる観点から別色とすること、及び、教示手段の配設箇所は、窓枠内の図柄などの大きさ、隣接する窓枠間の距離、枠配設スペースの有無、表示手段として液晶等のディスプレイを用いるか否か等を各々勘案して当業者が適宜行なう設計的事項である。
そして、当該採用に基づく効果も予測の範囲内のことである。
(c).相違点(iii)について、
大当りとする図柄の組合せの仕方として、当り図柄の組合せに際して任意に組合せることができない図柄の組合せが存在するとは認められず、しかも、同じ図柄の組合せばかりではなく、相違する図柄の組合せをもって大当りとすることが、拒絶の理由に引用された刊行物B、さらには刊行物Mに記載されているから、当該組合せを採用することは当業者が容易に想到できることである。
したがって、当該相違点は格別のものではない。


第四.むすび
したがって、本願発明は、引用発明(周知のフィーバー型パチンコ機に関する発明)、刊行物A、及びBに記載された発明、及び周知事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-22 
結審通知日 2004-04-27 
審決日 2004-08-03 
出願番号 特願平10-194274
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 塩崎 進
白樫 泰子
発明の名称 パチンコ遊技機  
代理人 塚本 豊  
代理人 森田 俊雄  
代理人 深見 久郎  

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