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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) C11D
管理番号 1104007
審判番号 不服2001-19562  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-11-01 
確定日 2004-09-29 
事件の表示 平成7年特許願第88530号「洗浄液生成装置」拒絶査定不服審判事件〔平成8年10月29日出願公開、特開平8-283798〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成7年4月13日の出願であって、請求項1ないし3に係る発明は、平成13年7月16日付け、平成13年12月3日付け及び平成16年5月6日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「一対の電極間に通路を備え該通路を流れる原水を電気分解してアルカリイオン水と酸性水を生成する電解水生成手段と、上記電解水生成手段に原水を導入する原水導入手段と、上記電解水生成手段で生成されたアルカリイオン水を洗浄液として導出する洗浄液導出手段と、上記電解水生成手段に導入される原水にナトリウム化合物とアルカリ金属塩化物の少なくとも一方を含有する液体であるケン化作用促進剤を添加する液剤添加手段と、上記電解水生成手段から導出されるアルカリイオン水のpHを検出するpH検出手段と、上記pH検出値に応じた所定量のケン化作用促進剤が原水に添加されるように液剤添加手段による添加量を制御する添加制御手段と、上記pH検出値が設定pH値となるように上記電解水生成手段の電解能力を制御する電解制御手段とを具備した、ことを特徴とする洗浄液生成装置。」

2.引用例
これに対して、当審の拒絶の理由に引用された刊行物及びその記載事項は次のとおりである。
刊行物1:特開平6-312186号公報
刊行物2:特開平6-319673号公報
(1)刊行物1には次の事項が記載されている。
ア.「【請求項1】電解槽内を隔膜によって陰極室と陽極室とに分割し各々に電極を挿入して設け、前記電解槽に供給される原水を陰陽極電極間への通電により陰極室にアルカリ水、陽極室に酸性水を連続的に電解生成する装置において、前記電解槽に供給する原水供給路に食塩水溶液の添加装置と、塩化カリウム水溶液の添加装置とを設け、原水中に食塩を添加すると共に、塩化カリウムを添加するようにしたことを特徴とする電解水の生成装置。
【請求項2】前記陰極室に供給する原水供給路に食塩水溶液の添加装置と、前記陽極室に供給する原水供給路に塩化カリウム水溶液の添加装置とを設け、各供給原水中に食塩と塩化カリウムを添加することを特徴とする請求項1記載の電解水の生成装置。」(特許請求の範囲)
イ.「【産業上の利用分野】本発明は、電気分解によって洗浄水、殺菌水等として有用な酸性水及び飲料水となるアルカリ水を生成する装置に関する。」(段落【0001】)
ウ.「【課題を解決するための手段】本発明の電解水の生成装置は、電解槽内を隔膜によって陰極室と陽極室とに分割して各々に電極を挿入して設け、前記電解槽に供給される原水を陰陽極電極間への通電により陰極室にアルカリ水、陽極室に酸性水を連続的に電解生成する装置において、前記電解槽に供給する原水供給路に食塩(NaCl) 水溶液の添加装置と、塩化カリウム(KCl) 水溶液の添加装置とを設け、原水中にNaClを添加すると共に、KCl を添加するようにしたことを特徴とする。
【作 用】本発明は、電解槽内に水道水等の原水を供給し、陰陽極電極への通電によって電気分解し、電解槽内陰極室にアルカリ水、陽極室に酸性水を連続的に生成し吐水利用する。電解槽に供給する原水中にNaCl及びKCl 電解質を供給添加して原水の電気伝導度を高め、低電圧で大電流通電を可能とし、原水に対して強い電解作用を与える。前記電解質としてNaClに対して少なくとも10〜30%程度のKCl を添加することにより、イオン化の強いK+ はイオンを容易に多量に発生する。そしてこのK+ はイオン移動速度が極めて速く、これが素早く陰極電極の周りの境界層領域に集まり、この層を介してその上に移動速度が遅いCa+,Mg+ 等のアルカリ性物質が集まり、陰極電極へのカルシウム等の沈着が防止できる。」(段落【0005】〜【0006】)
エ.「原水の供給は水道の蛇口を開くことにより、或は給水ポンプの駆動により供給管5に供給され、図示しない減圧弁で所定の水圧にし、また流量制御バルブにより所定流量に制御された状態で供給される。この供給原水は分岐して供給口1aから電解槽1の陰極室31に、他は供給口1bから陽極室41に分流供給される。また供給管5を流れる途中にNaClの添加により電気伝導度の調整制御が行なわれる。
貯蔵タンク71に貯蔵されるNaCl水溶液は例えば10%水溶液を用い、これを制御バルブ81の制御によって添加装置61に定量供給する。通常NaClの添加量は50ppm 〜5000ppm 程度にし、原水電気伝導度ECを200〜3000マイクロシーメンス/cm程度に高めることができる。更に貯蔵タンク72に貯蔵されるKCl溶液の、例えば10%水溶液をバルブ82の制御によって定量供給する。KClの供給量はNaClに対して少なくとも10〜30%程度の量を添加する。KClの添加が少ないと効がなく10%程度以上は添加するようにする。KClの電離度は大きく少量でも電解反応を促進することができる。
このようにしてNaCl、KClの添加混合によって電気伝導度を高めた原水を電解槽の供給口1a、1bから各陰極室31、陽極室41に供給流通して電解を行なう。電極3、4間への通電は低電圧で大電流通電が行なわれ、電解反応を促進せしめ、陽極室41には高効率で酸性水の生成を行ない、陽極室31にはアルカリ水が生成される。陽極室41で生成した酸性水は吐水口1dから吐出し、配管10を通して洗浄水、殺菌水等として流出利用することができる。生成する酸性水のPH値制御は流量制御によって流量当りの大きい電気量の電解作用を受けることによって電気伝導度を高めPH値の低い酸性水を生成することができる。また陰極室31に生成するアルカリ水は吐水口1cから吐出し、飲料水等として利用するが、殺菌水として酸性水のみを利用する場合は吐水口1cから吐出する陰極水は排水として流出させる。」(段落【0010】〜【0011】、図1、図2参照)
オ.「NaCl、KCl等の添加制御、原水の流量制御等には、原水の供給側、電解槽1からの電解水の吐水側の管路に電気伝導度を測定するECセンサ、酸化還元電位を測定するORPセンサ、或いはPH計、イオン濃度計、ガス濃度計等を設け、これらの各センサの検出信号をCPU等によっていずれかの信号を選択し、或いは各信号を別々に演算処理して各部制御信号を出力するとか、各センサの信号の和、差、積等により演算処理して信号を出力し制御することができる。
電極3、4間に通電する電解電源は所定の設定電圧を印加するようにし、原水の流量制御によって電解電気量の制御をすることにより、電気量の増加によって強い電解作用を働かせれは、吐出口1dから吐出する酸性水の電気伝導度を高めPH値を低下させた強い殺菌効果水を得ることができる。また電源の設定電圧を高めることなく食塩水の添加により電気量を増加させることができ、電解電圧の上昇がないからガスの発生、放電の発生がなく、電極面を損傷劣化させることもなく安全な電解水生成をすることができる。」(段落【0015】〜【0016】、図1、図2参照)
(2)刊行物2には、次の事項が記載されている。
カ.「噴射ノズルにより洗浄水を噴出し食器を洗浄する食器洗浄器において、外部より供給された水を電気分解し酸性水とアルカリイオン水とを生成する電解槽を備えたことを特徴とする食器洗浄器。」(特許請求の範囲)
キ.「【発明の効果】以上説明したように、本発明の食器洗浄器によれば、電解槽によって生成された水を洗浄水として用いるため、食器の洗浄効果を向上させることができる。脂肪等の油汚れに対してはケン化作用を有するアルカリイオン水を洗浄水として用いれば、油汚れに対する洗浄効果を増進でき、洗剤の使用量を軽減することができる。」(段落【0020】)

3.対比
刊行物1には、原水にNaCl水溶液さらには、KCl水溶液をバルブの制御によって供給することが記載されているが(摘示エ.参照)、本願発明の「原水にナトリウム化合物とアルカリ金属塩化物の少なくとも一方を含有する液体であるケン化作用促進剤を添加する液剤添加手段」に相当する。
また、刊行物1には、電解水の吐水側の管路に、PH計を設置しているが(摘示オ.参照)、このPH計は、本願発明のpH検出手段に相当する。 それ故、刊行物1には、「一対の電極間に通路を備え該通路を流れる原水を電気分解してアルカリイオン水と酸性水を生成する電解水生成手段と、上記電解水生成手段に原水を導入する原水導入手段と、上記電解水生成手段で生成されたアルカリイオン水を洗浄液として導出する洗浄液導出手段と、上記電解水生成手段に導入される原水にナトリウム化合物とアルカリ金属塩化物の少なくとも一方を含有する液体であるケン化作用促進剤を添加する液剤添加手段と、上記電解水生成手段から導出されるアルカリイオン水のpHを検出するpH検出手段を具備した洗浄液生成装置」が記載されている点で、本願発明と一致するが、本願発明では、(1)pH検出値に応じた所定量のケン化作用促進剤が原水に添加されるように液剤添加手段による添加量を制御する添加制御手段と、(2)上記pH検出値が設定pH値となるように上記電解水生成手段の電解能力を制御する電解制御手段の2つの制御手段を具備するのに対して、刊行物1には、そこまで限定して記載されていない点で相違する。

4.判断
上記相違点(1)、(2)について検討する。
ア.相違点(1)について
刊行物1には、「NaCl、KCl等の添加制御、原水の流量制御等には、原水の供給側、電解槽1からの電解水の吐水側の管路に電気伝導度を測定するECセンサ、酸化還元電位を測定するORPセンサ、或いはPH計、イオン濃度計、ガス濃度計等を設け、これらの各センサの検出信号をCPU等によっていずれかの信号を選択し、或いは各信号を別々に演算処理して各部制御信号を出力するとか、各センサの信号の和、差、積等により演算処理して信号を出力し制御することができる。」(摘示オ.参照)とPH計の信号を選択してNaCl、KCl等の添加制御を行うことが示唆されているから、相違点(1)は格別な相違ではない。
イ.相違点(2)について
刊行物1には、「電極3、4間に通電する電解電源は所定の設定電圧を印加するようにし、原水の流量制御によって電解電気量の制御をすることにより、電気量の増加によって強い電解作用を働かせれは、吐出口1dから吐出する酸性水の電気伝導度を高めPH値を低下させた強い殺菌効果水を得ることができる。また電源の設定電圧を高めることなく食塩水の添加により電気量を増加させることができ、電解電圧の上昇がないからガスの発生、放電の発生がなく、電極面を損傷劣化させることもなく安全な電解水生成をすることができる。」(摘示オ.参照)と、電気量の制御、電気量の増加の場合についていえば、(i)原水の流量を抑制し、電解水のイオン濃度を上げる、(ii)原水の流量はそのままで、更に食塩水を添加し、電解水のイオン濃度を上げる2つの手段を提示している。
してみれば、上記(ii)のように更に食塩水を添加することは、電解能力を高めることにほかならないから、刊行物1には、pH検出値が設定pH値となるように、電解水生成手段の電解能力を制御することが実質的に記載されているといえる。
なお、本願発明のような、洗浄液生成装置を食器洗浄器に組み合わせて適用することは、刊行物2に記載されている(摘示カ.参照)ように公知であり、その際、洗剤の使用量を軽減することができるとの記載(摘示キ.参照)から、洗剤(エマルジョン効果促進剤に相当)を添加することは普通になし得る事項といえる。
そして、本願発明による効果として、「簡単な構成にて、洗浄液に適量のケン化作用促進剤、エマルジョン効果促進剤を自動的に添加してこれら液剤の浪費を防止することができる」(本願段落【0056】)ことを掲げているが、当業者が予期し得る程度のものが窺えるにすぎない。
したがって、本願発明は、刊行物1および2に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものである。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願の請求項2ないし3に係る発明については審理するまでもなく、本願は拒絶すべきものと認める。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-14 
結審通知日 2004-07-06 
審決日 2004-07-21 
出願番号 特願平7-88530
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (C11D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 近藤 政克  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 鈴木 紀子
佐藤 修
発明の名称 洗浄液生成装置  
代理人 吉田 精孝  
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