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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B66B
管理番号 1104108
審判番号 不服2002-17024  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1999-05-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-09-05 
確定日 2004-09-30 
事件の表示 平成 9年特許願第302667号「エレベーターの運転装置」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 5月25日出願公開、特開平11-139698〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成9年11月5日の出願であって、その請求項1〜4に係る発明は、平成12年11月28日付け、及び平成13年9月6日付けの手続補正書によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。
「所定の階域からなる共通階域と、この共通階域の所定のものに接続され所定の階域からなる専用階域とを有し、複数台のかごの内広域かごは上記共通階域及び専用階域に就役し、上記かごの内狭域かごは上記共通階域に就役し、上記共通階域の階床の内上記専用階域に接する階床が乗継ぎ階に設定され、登録された行先呼び及び割り当てられた乗場呼びに応じて上記各かごをそれぞれ上記各階域に運転する装置において、上記狭域かごが上記乗場呼びにより呼び寄せられこの乗場呼びの方向が上記乗継ぎ階の方向で、かつ上記狭域かご内で上記乗継ぎ階の行先呼びが登録されると動作する待機条件検出手段と、この待機条件検出手段が動作すると上記広域かごを上記乗継ぎ階に待機させる第1待機手段とを備えたことを特徴とするエレベーターの運転装置。」

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、特開平1-110486号公報(以下、「引用例」という。)には、「エレベータの呼び登録装置」に関して、図面とともに、次の事項が記載されている。
ア.「第1図は、この実施例の構成を示す全体構成図で、図中(21)は第1のかごのかご内に設けられた操作盤に配置された行先釦、(22)は同じく操作盤に配置された乗継釦、(23)は、第1のかごの上記行先釦(21)が操作されると対応する階床のかご呼びを登録し、上記乗継釦(22)が操作されると乗継階のかご呼びを登録する第1のかごのかご呼び登録手段、(24)は各階床の乗場に設けられた乗場釦、(25)は乗場釦(24)、又は乗継釦(22)の操作により対応する階の対応する方向の乗場呼び登録手段で、乗場呼びの登録状態を記憶する記憶手段(26)と、第2のかごに乗客が乗り込んだことを検出する乗込客検出手段(27)と、上記乗継釦(22)によって登録された乗場呼びに応答した第2のかごが乗継階に到着してから出発するまでの期間に乗込客を検出しなければ出発の直前に乗り継ぎのための乗場呼びの再登録を指令する再登録指令手段(28)とから構成されている。」(第3頁左上欄第15行〜同頁右上欄第11行)
イ.「第2図(a)及び第2図(b)は、かご操作盤の釦を配置を示した図で、(29)は第5図における1号機のかご操作盤、(30)は同じく3号機のかご操作盤である。(31)〜(39)は、1号機のかご操作盤(29)にそれぞれ配置された1階〜9階の行先釦、(40)は同じく下方乗継階での乗継ぎを指定する乗継釦、(41)〜(49)は3号機のかご操作盤(30)に配置されたB2階〜7階の行先釦、(50)は同じく上方乗継階での乗継ぎを指定する乗継釦である。」(第3頁右上欄第12〜20行)
ウ.「次にこの実施例の動作について説明する。
B2階へ行く乗客が5階の下り釦(7Bd)を操作したとき、5階の下り呼びに1号機が応答し、上記乗客が1号機に乗車したものとする。1号機はB2階をサービスしないので、上記乗客は乗継釦(40)を操作する。・・(略)・・。
このように、下方乗継釦(40)が操作されると、B2階をサービスできる3号機を呼び寄せるための1階下り呼びをかごの中から登録するとともに1階の行先釦(31)を操作しなくても、1階のかご呼びも同時に登録するようにしたので、乗継階に停止するための行先釦操作の手間を省くことができる。
1階のかご呼び(53a)が登録されると1号機はこれに応答するために1階へ向つて走行開始する。 ・・(略)・・。
次にB2階へ行く乗客が1階で1号機から降車したときには、すでに1階の下り呼び(76a)が登録されているので新ためて1階の下り釦(3Bd)を操作する必要はない。そして、早めに3号機を呼び寄せることができるので、乗継時間は短縮される。
もし、上記乗客が1階の3号機の乗場に到着する前に、乗継釦(40)によって登録した1階下り呼び(76a)に3号機が応答したとする。・・(略)・・。このように乗継釦(40)又は(60)で登録した乗場呼びに応答してかごが到着しても乗込客を検出しなければ戸閉完了直前(出発直前)に再び乗継のための乗場呼びを登録するようにしたので、乗継客が遅れて乗場に到着しても再登録のための操作は不要となる。」(第3頁右下欄第18行〜第4頁右下欄第16行)

3.当審の判断
所定の階域からなる共通階域と、この共通階域の所定のものに接続され所定の階域からなる専用階域とを有し、複数台のかごの内広域かごは上記共通階域及び専用階域に就役し、上記かごの内狭域かごは上記共通階域に就役し、上記共通階域の階床の内上記専用階域に接する階床が乗継ぎ階に設定され、登録された行先呼び及び割り当てられた乗場呼びに応じて上記各かごをそれぞれ上記各階域に運転するエレベーターの運転装置は、本願の明細書の段落【0002】【従来の技術】に示されるように、周知の技術[必要なら、特開昭58-157679号公報の第1図、特開昭62-96282号公報の第1図、特開平5-139638号公報の図2、特開平6-32544号公報の図1、参照。]である。
本願発明1は、上記周知の技術において、「上記狭域かごが上記乗場呼びにより呼び寄せられこの乗場呼びの方向が上記乗継ぎ階の方向で、かつ上記狭域かご内で上記乗継ぎ階の行先呼びが登録されると動作する待機条件検出手段と、この待機条件検出手段が動作すると上記広域かごを上記乗継ぎ階に待機させる第1待機手段とを備えた」点を特徴とするものである。

そこで、上記の点について検討する。
引用例には、上記記載事項ア〜ウによると、「第1のかごが乗場呼びにより呼び寄せられこの乗場呼びの方向が乗継階の方向である時に、上記第1のかご内で乗継釦が操作されると、上記乗継階の行先呼びが登録されると共に乗場呼びが登録され、この乗場呼びの登録によって第2のかごを上記乗継階に待機させる」技術が開示されている。
そして、上記周知の技術において、上記引用例記載の技術を適用し、「上記狭域かごが上記乗場呼びにより呼び寄せられこの乗場呼びの方向が上記乗継ぎ階の方向で、かつ上記狭域かご内で上記乗継ぎ階の行先呼びが登録されると動作する待機条件検出手段と、この待機条件検出手段が動作すると上記広域かごを上記乗継ぎ階に待機させる第1待機手段とを備える」ように構成することは、当業者が格別困難なく想到し得るものと認められる。
また、本願発明1の「待機条件検出手段」は、「上記狭域かご内で上記乗継ぎ階の行先呼びが登録されると動作する」の記載からみて、行先釦の操作によって、乗継ぎ階の行先呼びの登録と乗り場呼びの登録を行うものと解釈される。しかしながら、引用例記載の技術は、そもそも、乗継釦の操作によって、乗継ぎ階の行先呼びの登録と乗場呼びの登録とを行う思想を開示するのであるから、上記従来の技術において、行先呼びを登録するために当然のこととして操作される行先釦に、乗場呼びの登録をも行わせるように構成することは、上記引用例記載の技術を適用するに際し、当業者が適宜なし得る設計的事項と認められる。

なお、本願発明1の効果についてみても、周知の技術,及び引用例記載の技術から当業者が予測し得る程度のものである。

4.むすび
したがって、本願発明1は、周知の技術,及び引用例記載の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-07-30 
結審通知日 2004-08-03 
審決日 2004-08-19 
出願番号 特願平9-302667
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B66B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 志水 裕司  
特許庁審判長 西野 健二
特許庁審判官 亀井 孝志
清田 栄章
発明の名称 エレベーターの運転装置  
代理人 高田 守  

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