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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) H04N |
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管理番号 | 1104109 |
審判番号 | 不服2002-19872 |
総通号数 | 59 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-01-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-10-10 |
確定日 | 2004-09-30 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第161835号「複数原稿一括複写装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 1月24日出願公開、特開平 7- 23211〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年6月30日の出願であって、その請求項1、2に係る発明は、平成16年6月28日付けの手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明1」という。)は次のとおりである。 「【請求項1】 原稿を読み取る原稿読み取り手段と、 1枚の転写紙に一括して作像される原稿の所定の集約枚数を予め設定するための集約枚数設定手段と、 前記原稿読み取り手段により読み取られた複数枚の原稿の画像を記憶する画像メモリと、 前記画像メモリから読み出された複数枚の原稿の画像を1枚の転写紙に一括して作像する画像形成手段と、 原稿を1枚ごとに読み取らせるための読み込み開始キーと、 原稿の読み込みを終了後、作像を開始させるための原稿終了キーと、 前記読み込み開始キーが操作された場合に原稿を読み込み、前記原稿終了キーが操作された場合には、そのまま前記画像メモリから原稿を読み出し前記画像形成手段が作像するように制御する制御手段と、 を備えた複数原稿一括複写装置。」 2.引用例 (1)引用例1(特開平4-294679号公報) これに対して、当審における、平成16年4月22日付けで通知した拒絶の理由に引用した本願の出願日前の平成4年10月19日に頒布された特開平4-294679号公報(以下「引用例1」という。)には、次のことが記載されている。 (a)「【請求項2】原稿の両面の画像を読み取る画像読み取り手段と、前記原稿画像の数が用紙の記録枠の数より少ないときに作動する操作手段と、前記画像読み取り手段により読み取られた前記原稿の両面の各画像を編集する編集手段とを備えており、前記編集手段は、前記操作手段が作動したときに残りの記録枠を白画像として記録することを特徴とするデイジタル複写機。」(引用例1の2頁1欄10〜16行) (b)「【0027】上記画像読み取り部100 の読み取りポインタPにおいて、CCD等の画像読み取りセンサにより読み取られた原稿画像は、A/D変換部30によりアナログ信号からデイジタル信号に変換され、原稿面毎の画像又は用紙の記録枠数全ての画像が画像デ-タとしてメモリ31に格納される。 【0028】メモリ31に格納された画像デ-タは、名刺やはがきのように小さい複数の両面原稿を1枚の大きな用紙に配列したり、複数の通常の両面原稿を縮小して1枚の用紙に配列するために、変倍合成部32により変倍処理や合成処理が施され、メモリ33に格納された後、プリンタ部(図示省略)に出力される。 【0029】メモリ34には、図4に示すように6枚の原稿の表面の画像を用紙の左半分に記録するとともに裏面の画像を用紙の右半分に記録するための枠デ-タ35が予め操作部(図示省略)を介して、あるいはプログラムにより設定される。 【0030】CPU(中央処理装置)36は、変倍合成部32がこの枠デ-タ35により変倍処理や合成処理を施すように制御する。また、操作部には、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合に、不要な原稿面の画像や原稿の裏面の白紙画像を読み取らないためのスキツプキ-と複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合であつて、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、残りの記録エリアを白画像として記録するためのエンドキ-が設けられている。 【0031】CPU36は、このスキツプキ-やエンドキ-の操作に応じて上記の合成処理が施されるように変倍合成部32を制御する。」(引用例1の3頁4欄19〜47行) (c)「【0033】複数の両面原稿を1枚の用紙に記録する編集モ-ドが設定されると、図2及び図3に示すような画像読み取り部100 により各原稿の各面の画像が順次読み取られてメモリ31に格納される。 【0034】変倍合成部32は、CPU36の制御により原稿画像と用紙の大きさと、メモリ34の枠デ-タ35に応じて各面の画像が用紙の記録枠に納まるように変倍する。 【0035】また、変倍合成部32は、原稿の表面の画像が用紙の左半分の枠内に記録されると共に裏面の画像が用紙の右半分の枠内に記録されるように原稿の表面の画像をメモリ33に順次格納する。 【0036】ここで、スキツプキ-が押された後、読み取られた面の画像は、変倍合成部32がその面の画像が枠に納まるように変倍し、記録枠を1つ飛ばして配列されるようにメモリ33に格納する。CPU35は、読み取り原稿の数とスキツプキ-の操作回数の合計値をカウントし、メモリ34の枠デ-タ35の数に一致すると、メモリ33の画像デ-タを読み出してプリンタ部から出力する。 【0037】例えば、図5に示すように、3枚目の原稿の裏面(6)と5枚目の原稿の裏面(10)を白紙として記録する場合、3枚目、5枚目の原稿の表面の読み取りの後、スキツプキ-が操作されると、次に読み取られた4枚目、6枚目の原稿の表面の画像はそれぞれ、4段目、6段目の左側の記憶エリアに記憶されるので、プリンタ部を介して用紙に記録した場合に見栄えを向上することができ、また、処理時間を短縮することができる。 【0038】他方、エンドキ-が押された場合には、CPU35は、読み取り原稿の数とスキツプキ-の操作回数の合計値をカウントするが、メモリ34の枠デ-タの数に一致しなくても、メモリ33の画像デ-タを読み出してプリンタ部から出力させる。 【0039】即ち、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合にエンドキ-を操作することにより、操作者が原稿をセツトすることなく単にコピ-キ-を操作したり、白紙をセツトしてコピ-キ-を操作する必要がなくなるので、操作を簡略化して処理時間を短縮することができる。 【0040】スキツプキ-やエンドキ-は、複写機の操作パネルに設けてもよいし、図2に示すような手差し挿入部10の横の場所等に設けてもよい。」(引用例1の3頁4欄49行〜4頁6欄1行) (d)「【0041】 【発明の効果】第1の発明によるデイジル複写機では、原稿の両面の画像を読み取る画像読み取り手段と、必要な原稿面の画像を読み取るときに作動する操作手段と、画像読み取り手段により読み取られた原稿の両面の各画像を編集する編集手段とを備えており、編集手段は、操作手段が作動したときに画像読み取り手段により読み取られた面の画像を用紙の記録枠を所定の数だけ飛ばして配列するので、記録画像の見栄えを向上することができ、また、処理時間を短縮することができる。 【0042】第2の発明によるデイジル複写機では、原稿の両面の画像を読み取る画像読み取り手段と、原稿画像の数が用紙の記録枠の数より少ないときに作動する操作手段と、画像読み取り手段により読み取られた原稿の両面の各画像を編集する編集手段とを備えており、編集手段は、操作手段が作動したときに残りの記録枠を白画像として記録するので、原稿面の画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、操作を簡略化することができ、また、処理時間を短縮することができる。」(引用例1の4頁6欄2〜20行) これらの記載より、引用例1には次のことが記載されている。 引用例の請求項2には、操作手段としてエンドキーについての発明が記載されている。 「【請求項2】原稿の両面の画像を読み取る画像読み取り手段と、前記原稿画像の数が用紙の記録枠の数より少ないときに作動する操作手段と、前記画像読み取り手段により読み取られた前記原稿の両面の各画像を編集する編集手段とを備えており、前記編集手段は、前記操作手段が作動したときに残りの記録枠を白画像として記録することを特徴とするデイジタル複写機。」 また、実施例では次のような発明が記載されている。 「原稿画像をCCD等の画像読み取りセンサにより読み取る画像読み取り部100と、 読み取られた原稿画像をデイジタル信号に変換するA/D変換部30と、 アナログ信号からデイジタル信号に変換され、原稿面毎の画像又は用紙の記録枠数全ての画像を画像デ-タとして格納するメモリ31と、 メモリ31に格納された画像デ-タを、名刺やはがきのように小さい複数の両面原稿を1枚の大きな用紙に配列したり、複数の通常の両面原稿を縮小して1枚の用紙に配列するために、変倍処理や合成処理を施す変倍合成部32と、 変倍合成部部により変倍処理や合成処理が施され画像データを格納した後プリンタ部に出力するメモリ33と、 6枚の原稿の表面の画像を用紙の左半分に記録するとともに裏面の画像を用紙の右半分に記録するための枠デ-タ35が予め操作部を介して、あるいはプログラムにより設定されるメモリ34と、 変倍合成部32がこの枠デ-タ35により変倍処理や合成処理を施すように制御するCPU(中央処理装置)36と、 操作部には、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合に、不要な原稿面の画像や原稿の裏面の白紙画像を読み取らないためのスキツプキ-と、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合であつて、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、残りの記録エリアを白画像として記録するためのエンドキ-が設けられたディジタル複写機において、 CPU36は、このスキツプキ-やエンドキ-の操作に応じて上記の合成処理が施されるように変倍合成部32を制御し、 エンドキ-が押された場合には、CPU36は、読み取り原稿の数とスキツプキ-の操作回数の合計値をカウントするが、メモリ34の枠デ-タの数に一致しなくても、メモリ33の画像デ-タを読み出してプリンタ部から出力させ、 即ち、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合にエンドキ-を操作することにより、残りの記録枠を白画像として記録することにより、操作者が原稿をセツトすることなく単にコピ-キ-を操作したり、白紙をセツトしてコピ-キ-を操作する必要がなくなるので、操作を簡略化して処理時間を短縮することができることを特徴とするディジタル複写機。」 3.対比 本願発明1と引用例1の実施例に記載された発明とを対比すると、 引用例1の「画像読み取り部」は、本願発明1の「原稿画像読み取り手段」に、 引用例1のメモリ31、33は、本願発明1の「画像メモリ」に、 引用例1の「プリンタ部」は、本願発明1の「画像形成手段」に、 引用例1の「エンドキー」は、下記の相違点を除いて本願発明1の「原稿終了キー」に、 引用例1の「CPU」は、下記の相違点を除いて本願発明1の「制御手段に」に それぞれ相当するから、 両者は、 「原稿を読み取る原稿読み取り手段と、 前記原稿読み取り手段により読み取られた複数枚の原稿の画像を記憶する画像メモリと、 前記画像メモリから読み出された複数枚の原稿の画像を1枚の転写紙に一括して作像する画像形成手段と、 原稿終了キーと、 原稿を読み込み、前記原稿終了キーが操作された場合に前記画像メモリから原稿を読み出し前記画像形成手段が作像するように制御する制御手段と、 を備えた複数原稿一括複写装置。」 の点で一致し、次の点で相違する。 <相違点> (相違点1) 引用例1には、1枚の転写紙に一括して作像される原稿の所定の集約枚数を予め設定するための集約枚数設定手段が明記されていない点。 (相違点2) 本願発明1には、原稿を1枚ごとに読み取らせるための読み込み開始キーを備えているのに対して、引用例1には開始キーについては明記されていない点。 (相違点3) 原稿終了キーが、本願発明1では、原稿の読み込みを終了後、作像を開始させるための原稿終了キーであるのに対して、引用例1では、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、残りの記録エリアを白画像として記録するためのエンドキ-である点。 (相違点4) 制御手段が、本願発明1では、読み込み開始キーが操作された場合に原稿を読み込み、原稿終了キーが操作された場合には、そのまま前記画像メモリから原稿を読み出し前記画像形成手段が作像するように制御するのに対して、引用例1では、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合にエンドキ-を操作することにより、残りの記録枠を白画像として記録する点。 5.当審の判断 上記相違点について検討すると、 (相違点1)について 引用例1には集約枚数設定手段については明記されていないが、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録することが記載されており、メモリ34には図4に示すように6枚の原稿の表面の画像を用紙の左半分に記録すると共に裏面の画像を用紙の右半分に記録するための枠データ35が予め操作部を介して設定されることが記載されており、この枠データを設定することも一種の集約枚数を設定することであるから、本願発明1のように1枚の転写紙に一括して作像される原稿の所定の集約枚数を予め設定するための集約枚数設定手段を設けることは当業者が容易に考えられることである。 (相違点2)について 複写機において、読み込み開始キーを設けることは周知慣用のことであるから、引用例1のものも、原稿を1枚ごとに読み取らせるための読み込み開始キーを備えているものと考えられる。 (相違点3)について 引用例1のものも、エンドキーは、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合であつて、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、残りの記録エリアを白画像として記録するために設けられたものであるから、原稿の読み込みを終了後、作像を開始させるためキーであるとすることは、当業者が容易に考えられることである。 (相違点4)について 上記のように、引用例1のものも、エンドキーは、複数の両面原稿を1枚の用紙に配列して記録する場合であつて、原稿画像の数が用紙の記録エリアの数より少ない場合に、残りの記録エリアを白画像として記録するために設けられたものであるから、エンドキーが操作された場合には、残りのエリアには何も記録しないようにするのであるから、エンドキーが操作されたら直ちに画像メモリから原稿を読み出してプリントするようにすることは、それが必要ならばそのようにすることは当業者ならば容易に行えることであるものと認められる。したがって、引用例1のCPUが、本願発明1のように、読み込み開始キーが操作された場合に原稿を読み込み、原稿終了キーが操作された場合には、そのまま前記画像メモリから原稿を読み出し前記画像形成手段が作像するように制御することは当業者が容易に考えられることと認められる。 6.むすび したがって、本願発明1は、引用例1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-07-29 |
結審通知日 | 2004-08-03 |
審決日 | 2004-08-16 |
出願番号 | 特願平5-161835 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(H04N)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 前田 典之、白石 圭吾 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 深沢 正志 |
発明の名称 | 複数原稿一括複写装置 |
代理人 | 武 顕次郎 |