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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23F
管理番号 1104358
異議申立番号 異議2003-71635  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-23 
確定日 2004-07-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3362272号「生茶葉の管理方法並びにその装置」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3362272号の請求項1ないし7に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3362272号の請求項1ないし7に係る発明は、平成6年10月3日に特許出願され、平成14年10月25日にその特許権の設定登録がなされ、その後、株式会社寺田製作所より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年6月15日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載を、
「【請求項1】 摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるとともに、これに加え更に冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われることを特徴とする生茶葉の管理方法。」と訂正する。
イ.訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2において「再び前記貯留コンテナ内に再投入し、更に冷却を図るとともに、」とあるのを、
「再び前記貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、」と訂正する。
ウ.訂正事項c
特許請求の範囲の請求項4の記載を、
「【請求項4】 摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴とする生茶葉の管理装置。」と訂正する。
エ.訂正事項d
特許請求の範囲の請求項5において「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられている」とあるのを、「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられている」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書第3頁第26行〜第4頁第1行の「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、摘採された生茶葉を貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉の全部またはその一部は再び貯留コンテナ内に再投入されることによって循環されることを特徴として成るものである。」との記載を、
「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるとともに、これに加え更に冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われることを特徴として成るものである。」と訂正する。
カ.訂正事項f
明細書第5頁第13〜14行の「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉の全部またはその一部を循環させるという構成をとっている。」との記載を、
「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却を行うとともに、これに加え更に貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉の全部またはその一部を循環させることによる冷却を行うという構成をとっている。」と訂正し、同じく明細書第13頁第18〜20行の「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aの全部またはその一部を循環させるという構成をとっている。」との記載を、
「すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10の底面の搬送コンベヤ12に形成された多数の通気孔122から送風装置11による冷風を貯留コンテナ10内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉Aの冷却を行うとともに、これに加え更に貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aの全部またはその一部を循環させるという構成をとっている。」と訂正する。
キ.訂正事項g
明細書第4頁第5行の「再び前記貯留コンテナ内に再投入し、更に冷却を図るとともに、」との記載を、「再び前記貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、」と訂正する。
ク.訂正事項h
明細書第5頁第17〜20行の「また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉のうち、所定品温より高い生茶葉については、貯留コンテナ内に再投入し、所定品温以下の生茶葉についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。」との記載を、
「また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉のうち、所定品温より高い生茶葉については、貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、所定品温以下の生茶葉についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。」と訂正し、同じく明細書第13頁第23行〜26行の「また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aのうち、所定品温より高い生茶葉A0については、貯留コンテナ10内に再投入し、所定品温以下の生茶葉A1についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。」との記載を、
「また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aのうち、所定品温より高い生茶葉A0については、貯留コンテナ10内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、所定品温以下の生茶葉A1についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。」と訂正する。
ケ.訂正事項i
明細書第4頁第14〜21行の「更にまた請求項4記載の生茶葉の管理装置は、摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴として成るものである。」との記載を、
「更にまた請求項4記載の生茶葉の管理装置は、摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴として成るものである。」と訂正する。
コ.訂正事項j
明細書第5頁第28行〜第6頁第1行の「更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、当該装置に所定品温以下の生茶葉を次工程に供給する生茶葉供給経路と、所定品温より高い生茶葉を貯留コンテナ内に再投入する生茶葉循環経路とを接続するという構成をとる。」との記載を、
「更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、当該生茶葉の管理装置に所定品温以下の生茶葉を次工程に供給する生茶葉供給経路と、所定品温より高い生茶葉を貯留コンテナ内に再投入する生茶葉循環経路とを接続するという構成をとる。」と訂正し、同じく明細書第14頁第7〜10行の「更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、当該装置1に所定品温以下の生茶葉A1を次工程に供給する生茶葉供給経路3と、所定品温より高い生茶葉A0を貯留コンテナ10内に再投入する生茶葉循環経路4とを接続するという構成をとる。」との記載を、
「更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、搬送コンベヤ12には多数の通気孔122が形成されており、これら通気孔122から前記送風装置11からの冷風を貯留コンテナ10内に導くものであり、更に前記貯留コンテナ10の生茶葉Aの取り出し側には、生茶葉Aの品温を計測する温度センサTが設けられるとともに、当該生茶葉Aの管理装置1に所定品温以下の生茶葉A1を次工程に供給する生茶葉供給経路3と、所定品温より高い生茶葉A0を貯留コンテナ10内に再投入する生茶葉循環経路4とを接続するという構成をとる。」と訂正する。
サ.訂正事項k
明細書第4頁第25〜26行の「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられている」との記載を、
「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられている」と訂正する。
シ.訂正事項l
明細書第6頁第6〜8行の「更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路及び生茶葉循環経路と、前記生茶葉の管理装置との接続部位に切替機構を設けるという構成をとる。」との記載を、
「更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路及び生茶葉循環経路と、前記生茶葉の管理装置との接続部位には、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構を設けるという構成をとる。」と訂正し、同じく明細書14頁第14行〜16行の「更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4と、前記生茶葉の管理装置1との接続部位に切替機構6を設けるという構成をとる。」との記載を、
「更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4と、前記生茶葉の管理装置1との接続部位には、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aを、前記温度センサTによる計測値に基づき、生茶葉供給経路3と生茶葉循環経路4とに振り分ける切替機構6を設けるという構成をとる。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項aは、「貯留コンテナ」をより下位概念である「底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ」に限定し、更にこの貯留コンテナは、「底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われる」装置であることに限定し、更に「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉の全部またはその一部は再び貯留コンテナ内に再投入されることによって循環されること」をより下位概念である「冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われること」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項bは、「再び前記貯留コンテナ内に再投入し、更に冷却を図る」をより下位概念である「再び前記貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図る」ことに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項cは、「貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤ」をより下位概念である「搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くもの」に限定し、更に特に生茶葉の品温計測手段の種類や設置箇所については記載されていなかったものを、「貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられる」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
上記訂正事項dは、「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構」をより下位概念である「貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
また、上記訂正事項eないしlは、上記訂正事項aないしdと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正事項aないしlは、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1ないし7に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1及び4に係る発明は次のとおりのものである。
「【請求項1】 摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるとともに、これに加え更に冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われることを特徴とする生茶葉の管理方法。
【請求項4】 摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴とする生茶葉の管理装置。」

(2)申立ての理由の概要
異議申立人 寺田製作所は、下記の甲第1号証ないし甲第4号証を提出して、訂正前の本件請求項1ないし7に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである、と主張する。

甲第1号証:実願昭58-108132号(実開昭59ー47453号) のマイクロフィルム
甲第2号証:特開昭59-66813号公報
甲第3号証:実願平3- 3827号(実開平4-97988号)のマ
イクロフィルム
甲第4号証:特公昭63-16090号公報

(3)各甲号証記載の発明
甲第1号証には、「機枠2上に載設した貯槽1の下辺に沿って通気性の輸送帯3を機枠内で循環させ、該輸送帯の送出端6’下方には生茶葉を次工程へ移送するコンベヤを配置すると共に、輸送帯下方にはその長手方向において多数に区画分割された各風導21を配し、各風導にはそれぞれ専用の送風機17を連通させた、生茶葉の貯蔵および送出装置。」(実用新案登録請求の範囲)、及び「生葉が輸送帯3上に積層されれば、送風機17の圧風は積層された生葉間を通気してその呼吸熱を取り去り、生葉を新鮮な状態に保つ。」(6頁末行〜7頁2行)と記載されている。
甲第2号証には、生茶葉の保管装置に関し「(38)は機枠(1)の最下部に横設したベルトコンベヤーで通常に作動する場合にはこのベルトコンベヤーの一端に連設した蒸し機(39)への茶葉の供給ベルトコンベヤー(40)の方向に茶葉を搬送する。(41)は機枠(1)の側方に設置した縦型バケットコンベヤーでその下部に設けた茶葉の受入口(42)はベルトコンベヤー(38)の一端下方に開口させ上端に設けた茶葉の供給口(43)は上記ベルトコンベヤー(2)の一側端上部に臨ませてある。」(2頁右下欄5行〜14行)及び「・・・・・最上部のチェーンコンベヤー(2)から最下部のベルトコンベヤー(38)迄順次落下移動する際に放熱しながら重なった生茶葉の蒸れを解消できるものでありベルトコンベヤー(38)、複数段の葉打ち装置(23)(24)(25)(26)(27)及びチェーンコンベヤー(2)の全てに生茶葉が積載した場合には蒸機(39)の処理能力にも依るけれども一定時間置きに順次下方へと落下移動しながら蒸機(39)へと搬送されるから生茶葉の管理が容易に行えるものである。又、以上の様に通常は自動制御で生茶葉の保管が行えるが本装置は茶葉の種類別の保管を簡便に行うことも出来るものである。即ち例えばチェーンコンベヤー(2)の上下各段、複数段の葉打ち装置(23)(24)(25)(26)(27)及びベルトコンベヤー(38)上に一段置に別種の生茶葉を積載した場合に蒸機(39)には目的とする種類の生茶葉のみを手動操作にて供給し別種の生茶葉はベルトコンベヤー(38)上に落下移動させた後ベルトコンベヤー(38)を逆転させて生茶葉を縦型バケットコンベヤー(41)の受入口(42)に供給して再びチェーンコンベヤー(2)の一端上に戻すことにより同一種の生茶葉のみを蒸機(39)へと供給して製茶することができるものである。」(4頁左上欄8行〜同左下欄1行)と記載されている。
甲第3号証には、「本考案に係る茶生葉管理装置は、前記の目的を達成するために堆積した、茶生葉の内部へ冷風を透気させて、茶生葉を長期間保管する形式の茶生葉管理において、前記堆積せしめられた茶生葉の層表面より上方に設置された移動式の茶生葉投入コンベヤに前記の茶生葉の温度を検出する熱線センサを設置し、該熱線センサにより冷風透気用ファンの制御を行うことを特徴とするものである。」(4頁11行〜15行)、及び「前記した熱線センサ16、16’の感知温度を35℃程度に調節しておけば茶温が上昇し、“葉焼け”現象が始まる寸前において茶温を感知し、強制的に透気ファン3を運転させ、急速冷却させるとともに警報ブザー(図示しない)を鳴らし作業者に知らせ、対策をとらせることができるものである。」(5頁15〜18行)と記載されている。
甲第4号証には、生茶葉自動管理装置に関し「散布装置を所定の分画エリアに自動的に移動制御する」(1頁左下欄6〜7行)と記載さている。

(4)対比・判断
(請求項1に係る発明について)
本件請求項1に係る発明と甲第1及び3号証に記載の発明を対比すると、両者は、摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気口から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるようにした点で共通するところは認められる。
しかしながら、甲第1及び3号証には、本件請求項1に係る発明のもう一つの冷却手段である「生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却を行う」ことについては何も記載されていない。
この点について、異議申立人は、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環により生茶葉を冷却することは、甲第2号証に記載された技術内容に基づいて当業者が容易になし得ることである旨主張する。
上記主張について検討すると、甲第2号証には、最上部のチェーンコンベヤーから最下部のベルトコンベヤー迄の間に複数段の葉打ち装置を設け、生茶葉が下方の葉打ち装置へと順次落下移動する際に放熱しながら重なった生茶葉の蒸れを解消すると共に、最上部のチェーンコンベヤーの上下各段、複数段の葉打ち装置及び最下部のベルトコンベヤー上に一段置に異種の生茶葉を積載した場合には、製茶加工機へ送り出す生茶葉を同一種とするために、異種の茶葉を製茶加工機へ送り出さずに縦型バケットコンベヤーでもって循環し得るようにした生茶葉の保管装置が記載されているが、甲第2号証に記載のものは、本件請求項1に係る発明のように送風装置を用いて生茶葉を冷却するものではなく、かつ、生茶葉を循環させる目的が本件請求項1に係る発明とは全く異なることからすれば、上記「生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却を行う」という構成を採用することは、甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
また、甲第4号証には、生茶葉散布装置(生茶葉投入装置に相当する。)によって分画エリア(貯留コンテナに相当する。)内の所定の位置に生茶葉を投入することが記載されているのみであり、本件請求項1に係る発明のもう一つの冷却手段である上記構成を教示する記載は何もない。
そして、本件請求項1に係る発明は、貯留コンテナの下方から冷風を送風する冷却手段と、貯留コンテナから外部に取り出された後、再び貯留コンテナ内に再投入して循環することによる冷却手段を具備することにより、生茶葉の冷却効率の向上を図れる等特許明細書に記載されたとおりの効果を奏するものである。
したがって、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(請求項2ないし3に係る発明について)
本件請求項2ないし3に係る発明は、請求項1を引用する発明であるから、本件請求項1に係る発明における上記判断と同様の理由により、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(請求項4に係る発明について)
本件請求項4に係る発明と甲第1号証に記載の発明を対比すると、両者は、摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気口が形成されており、これら通気口から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くようにした生茶葉の管理装置の点で共通するところは認められる。
しかしながら、甲第1号証には、(a)「前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられる」こと、及び(b)「再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されている」ことについては何も記載されていない。
この点について、異議申立人は、上記(a)の構成は甲第3号証に基づいて当業者が容易になし得ることであり、上記(b)の構成は甲第2号証に基づいて当業者が容易になし得ることである旨主張する。
上記主張について検討するに、先に記載したとおり、甲第2号証には、生茶葉を製茶加工機へ送り出さずに縦型バケットコンベヤーでもって循環し得るようにした生茶葉の保管装置が記載されているが、甲第2号証に記載のものは、送風装置を用いて生茶葉を冷却するものではなく、かつ、生茶葉を循環させる目的が本件請求項1に係る発明とは全く異なることからすれば、上記(b)「再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されている」との構成を採用することは、甲第2号証の記載に基づいて当業者が容易に想到し得ることとはいえない。
また、甲第3及び4号証にも、上記(b)の構成を教示する記載は何もない。
してみると、上記(a)の構成が甲第3号証に基づいて当業者が容易になし得ることであるか否かについて検討するまでもなく、本件請求項4に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(請求項5ないし7に係る発明について)
本件請求項5ないし7に係る発明は、請求項4を引用する発明であるから、本件請求項4に係る発明における上記判断と同様の理由により、本件請求項5ないし7に係る発明は、甲第1号証ないし甲第4号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1ないし7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
生茶葉の管理方法並びにその装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるとともに、これに加え更に冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われることを特徴とする生茶葉の管理方法。
【請求項2】 前記貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉のうち、所定の品温外の品温の高い生茶葉については、再び前記貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、一方、所定の品温以下になった生茶葉については、そのまま次工程の製茶加工工程に向けて供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の生茶葉の管理方法。
【請求項3】 前記品温の高い生茶葉を貯留コンテナ内に再投入するにあたっては、一旦、生茶葉投入コンベヤ上に投入した後、この生茶葉投入コンベヤによって貯留コンテナ内の所定の位置に再投入するようにしたことを特徴とする請求項2記載の生茶葉の管理方法。
【請求項4】 摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴とする生茶葉の管理装置。
【請求項5】 前記生茶葉供給経路及び生茶葉循環経路と前記生茶葉の管理装置との接続部位には、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられていることを特徴とする請求項4記載の生茶葉の管理装置。
【請求項6】 前記切替機構は搬送方向を正・逆切替可能に設定し得る切替コンベヤにより構成され、この切替コンベヤの一端には、前記生茶葉供給経路が臨み、他端には前記生茶葉循環経路が臨むように配置されていることを特徴とする請求項5記載の生茶葉の管理装置。
【請求項7】 前記生茶葉循環経路は、前記切替コンベヤの一端と、前記貯留コンテナの始端側上方との間に横架されるリターンコンベヤによって構成されていることを特徴とする請求項6記載の生茶葉の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【産業上の利用分野】
本発明は摘採された生茶葉を冷却しながら貯留搬送することで、生茶葉の品質管理を行うようにした方法並びにその装置に関するものであって、生茶葉の搬送の効率化と、生茶葉の冷却効率の向上を図った新規な生茶葉の管理方法並びにその装置に係るものである。
【0002】
【発明の背景】
摘採された生茶葉が製茶工場に搬入されると、製茶加工に先立ってまず貯留コンテナ内に収容される。これは製茶加工装置に常に安定した量の生茶葉を供給できるように生茶葉の貯留スペースを確保するためと、製茶加工装置に品温の下がった良質の生茶葉が供給できるように生茶葉の冷却を図るためである。
【0003】
しかしこのような貯留コンテナに大量の生茶葉が投入されると、思ったような生茶葉の冷却効率は図れない(特に集積された生茶葉の内部において顕著に現れる)。そこで近時は貯留コンテナ底面に多数の通気孔を有する搬送コンベヤを設け、前記通気孔から貯留コンテナ内に冷風を送り込むことで冷却効率の向上を図るようにした移動式の生茶葉貯留コンテナ(本発明の名称でもある「生茶葉の管理装置」と同一の概念に属するものである)が登場し、多く使用されている。
【0004】
しかしながらこのような移動式の生茶葉貯留コンテナにも以下述べるような解決すべき課題が存在し、当該課題を解決することで更なる生茶葉の搬送の効率化と、生茶葉の冷却効率の向上とが期待されている。
すなわちまず第一に、このような移動式の生茶葉貯留コンテナにあっても大量の生茶葉が夜間等、長時間にわたり貯留されたままにされると、葉焼けが起こり、商品価値を失って多大の損害を被るという事態が生ずる。
【0005】
また第二に、このような移動式の生茶葉貯留コンテナ内に集積される生茶葉の品温は一様ではない(特に冷風に多く触れる下部と外気と接する上部で品温は低く、内部で高い)。従って次工程の製茶加工工程に供給できるまで品温の下がった生茶葉に合わせて当該品温にまで冷却し切れていない品温の高い生茶葉までもが次工程の製茶加工工程に供給された場合には製品の品質を低める結果となる。
【0006】
更に第三として、前記移動式の生茶葉貯留コンテナにあっては、ほとんど送風装置からの冷風のみにより生茶葉の冷却を図っており、生茶葉の冷却効率という面でも必ずしも満足のいくものではなかった。
【0007】
【開発を試みた技術的事項】
本発明はこのような背景を踏まえ、案出されたものであって、貯留コンテナから取り出された生茶葉の搬送経路の改良と、貯留コンテナの有効利用とを図ることで更なる生茶葉の搬送の効率化と、生茶葉の冷却効率の向上とを達成できるようにした新規な生茶葉の管理方法並びにその装置の開発を試みたものである。
【0008】
【発明の構成】
【目的達成の手段】
すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、摘採された生茶葉を底面に搬送コンベヤを有した貯留コンテナ内に収容し、これを冷却することで生茶葉の品質管理を図りながら貯留搬送する生茶葉の管理方法において、前記貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却が行われるとともに、これに加え更に冷却効率を上げるため、生茶葉の全部またはその一部について、前記貯留コンテナから外部に取り出した後、再び貯留コンテナ内に再投入する循環による冷却が行われることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、前記要件に加え、前記貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉のうち、所定の品温外の品温の高い生茶葉については、再び前記貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、一方、所定の品温以下になった生茶葉については、そのまま次工程の製茶加工工程に向けて供給するようにしたことを特徴として成るものである。
【0010】
更にまた請求項3記載の生茶葉の管理方法は、前記請求項2記載の要件に加え、前記品温の高い生茶葉を貯留コンテナ内に再投入するにあたっては、一旦、生茶葉投入コンベヤ上に投入した後、この生茶葉投入コンベヤによって貯留コンテナ内の所定の位置に再投入するようにしたことを特徴として成るものである。
【0011】
更にまた請求項4記載の生茶葉の管理装置は、摘採された生茶葉を収容する貯留コンテナと、この貯留コンテナに対し複数基設けられ、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を冷却し、その品質管理を図る送風装置と、貯留コンテナの底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ内に収容される生茶葉を貯留搬送する搬送コンベヤとを少なくとも具えて成る生茶葉の管理装置において、前記搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、前記生茶葉の管理装置には、次工程の製茶加工装置に所定品温以下となった生茶葉を供給する生茶葉供給経路と、再び貯留コンテナ内に所定品温より高い生茶葉を再投入する生茶葉循環経路とが接続されていることを特徴として成るものである。
【0012】
更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記請求項4記載の要件に加え、前記生茶葉供給経路及び生茶葉循環経路と前記生茶葉の管理装置との接続部位には、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構が設けられていることを特徴として成るものである。
【0013】
更にまた請求項6記載の生茶葉の管理装置は、前記請求項5記載の要件に加え、前記切替機構は搬送方向を正・逆切替可能に設定し得る切替コンベヤにより構成され、この切替コンベヤの一端には、前記生茶葉供給経路が臨み、他端には前記生茶葉循環経路が臨むように配置されていることを特徴として成るものである。
【0014】
更にまた請求項7記載の生茶葉の管理装置は、前記請求項6記載の要件に加え、前記生茶葉循環経路は、前記切替コンベヤの一端と、前記貯留コンテナの始端側上方との間に横架されるリターンコンベヤによって構成されていることを特徴として成るものである。
これら発明により前記目的を達成しようとするものである。
【0015】
【発明の作用】
すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナの底面の搬送コンベヤに形成された多数の通気孔から送風装置による冷風を貯留コンテナ内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉の冷却を行うとともに、これに加え更に貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉の全部またはその一部を循環させることによる冷却を行うという構成をとっている。これにより夜間等、長時間にわたり生茶葉が貯留される場合にも葉焼けは生じない。
【0016】
また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉のうち、所定品温より高い生茶葉については、貯留コンテナ内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、所定品温以下の生茶葉についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。これにより所定品温より高い生茶葉は所定品温以下になるまで冷却が繰り返され、所定品温より低い生茶葉は必要以上の冷却を行うことがなくなる。
【0017】
更にまた請求項3記載の生茶葉の管理方法は、前記所定品温より高い生茶葉を一旦、生茶葉投入コンベヤ上に投入した後、この生茶葉投入コンベヤによって貯留コンテナ内の所定の位置に再投入するという構成をとる。これにより貯留コンテナ内の生茶葉の収容位置及び収容量に応じた生茶葉の再投入が可能となる。
【0018】
更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、搬送コンベヤには多数の通気孔が形成されており、これら通気孔から前記送風装置からの冷風を貯留コンテナ内に導くものであり、更に前記貯留コンテナの生茶葉の取り出し側には、生茶葉の品温を計測する温度センサが設けられるとともに、当該生茶葉の管理装置に所定品温以下の生茶葉を次工程に供給する生茶葉供給経路と、所定品温より高い生茶葉を貯留コンテナ内に再投入する生茶葉循環経路とを接続するという構成をとる。これにより請求項1記載の構成によりもたらされる作用と同様、所定品温より高い生茶葉は所定品温以下になるまで冷却が繰り返され、所定品温より低い生茶葉は必要以上の冷却を行うことがなくなる。
【0019】
更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路及び生茶葉循環経路と、前記生茶葉の管理装置との接続部位には、貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉を、前記温度センサによる計測値に基づき、生茶葉供給経路と生茶葉循環経路とに振り分ける切替機構を設けるという構成をとる。これにより貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉は、その品温に応じて適宜搬送方向が選択され、生茶葉供給経路または生茶葉循環経路のいずれかに供給されるようになる。
【0020】
更にまた請求項6記載の生茶葉の管理装置は、前記切替機構を搬送方向を正・逆切替可能に設定し得る切替コンベヤにより構成し、この切替コンベヤの一端に生茶葉供給経路を臨ませ、他端に生茶葉循環経路を臨ませるという構成をとる。これにより貯留コンテナから外部に取り出された生茶葉は、その品温に応じて適宜切替コンベヤが搬送方向を切り替え、そのいずれかの端部から生茶葉供給経路または生茶葉循環経路に生茶葉を至らせる。
【0021】
更にまた請求項7記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉循環経路を前記切替コンベヤの一端と、貯留コンテナの始端側上方との間に横架するリターンコンベヤによって構成している。これにより極めて簡単な構造で貯留コンテナへの生茶葉の再投入が可能となり、また生茶葉はリターンコンベヤ上を移動する間中、外気に触れるため、これによる生茶葉の冷却もある程度期待できる。
【0022】
【実施例】
以下本発明の生茶葉の管理方法並びにその装置について図面に基づいて具体的に説明する。なお以下の説明にあたっては、まず本発明の生茶葉の管理装置についてその特徴的構成を中心に説明し、次いでこの生茶葉の管理装置の作動状態を説明する中で、併せてこの生茶葉の管理装置を使用しての本発明の生茶葉の管理方法について言及する。
【0023】
図中、符号1に示すものが本発明の生茶葉の管理装置であって、このものは製茶加工装置7の前段に設けられ、生茶葉投入装置2から投入される摘採された生茶葉Aを収容し、これを冷却することで生茶葉Aを所定品温以下となるように品質管理するとともに、製茶加工装置7に常に安定した量の生茶葉Aを供給できるようにするため必要量の生茶葉Aを収容し得る貯留プールとしての役割を担うものである。
【0024】
そしてこのような本発明の生茶葉の管理装置1は、摘採された生茶葉Aを収容する貯留コンテナ10と、この貯留コンテナ10に対し複数基設けられ、貯留コンテナ10内に収容される生茶葉Aを冷却し、その品質管理を図る送風装置11と、前記貯留コンテナ10の底面を閉塞するとともに、貯留コンテナ10内に収容される生茶葉Aを貯留搬送する搬送コンベヤ12とを少なくとも具えて成るものであって、本発明にあっては更に次工程の製茶加工装置7に所定品温以下となった生茶葉A(なお本明細書中、所定品温以下の生茶葉をA1とも称す)を供給する生茶葉供給経路3と、再び貯留コンテナ10内に所定品温より高い生茶葉A(なお本明細書中、所定品温より高い生茶葉をA0とも称す)を再投入する本発明の特徴的構成である生茶葉循環経路4とを接続することにより基本的に構成されている。
【0025】
このうち貯留コンテナ10は、搬送コンベヤ12の側端縁から立ち上がる左右一対の側板101と、搬送コンベヤ12の搬送方向先端(生茶葉Aの取出口となる端部)に設けられる掻き落とし装置102と、搬送コンベヤ12の始端側(前記掻き落とし装置102が設けられる側と反対側の端部)に設けられる前面板103とにより構成される上面と底面とを開放した長尺筒状の部材である。
なお図2に示す実施例にあっては、貯留コンテナ10の先端(生茶葉Aの取出側端部)を幾分上方に持ち上げた形態をとるが、これは搬送コンベヤ12の傾斜に伴うものである。従って搬送コンベヤ12の配設態様に応じ、全体が一様にフラットなもの、あるいは幾分下方や側方に屈曲したもの等、適宜の形態をとり得る。
【0026】
そしてこのような貯留コンテナ10の底面には、搬送コンベヤ12が設けられるものであって、このものが一例としてスラットコンベヤにより構成され、スラットコンベヤの構成要素である各スラット121には、多数の通気孔122が形成されている。なおこの通気孔122は後述の送風装置11からの冷風を貯留コンテナ10内に導く働きをするものである。従って同様の働きをするものであれば、スリット状の通気口を形成したり、あるいはスラット121自体を網状に構成する等、種々の改変を可能とするものである。
【0027】
またこのような搬送コンベヤ12は図3に示すようにムーブフロア13内に設けられるものであって、前記搬送コンベヤ12の搬送作用下方の前記ムーブフロア13のスペースを利用して送風胴14が設けられている。なお図2に示す実施例では送風胴14を複数区画に区切り、収容される生茶葉Aの収容位置や収容量に応じて適宜必要な区画のみに冷風を送ることのできる構成としている。もちろんこの区画は適宜必要に応じて増減することも可能であるし、あるいは必要に応じて各区画間に設けられる仕切りを取り外したり、開閉自在とすることで隣接する区画を連通させたり、一区画の送風胴14とするような用い方をすることも可能である。
【0028】
次にこのような送風胴14に冷風を送る送風装置11について説明する。送風装置11は図2、3に示すように貯留コンテナ10の左右いずれか一方の側板101の側傍に複数基設けられるものであって、送風機111と増湿装置112とを基本的に具えて成り、送風機111により送り込まれた外気は増湿装置112により蒸散される冷却水を伴って吹出ダクト113から上記送風胴14に冷風となって供給されるという構成となっている。
【0029】
そしてこのような諸部材によって冷却され、貯留搬送されて貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aは、温度センサTによってその品温が計測され、切替機構6によって生茶葉供給経路3または生茶葉循環経路4のいずれかに送られる。なお図1に示す実施例の場合には、貯留コンテナ10における生茶葉Aの取出口より生茶葉連絡経路5を設け、この生茶葉連絡経路5に対して前記生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4を接続するという構成をとっている。
【0030】
もちろんこのような生茶葉連絡経路5は、本発明の生茶葉の管理装置1に不可欠の構成ではなく、貯留コンテナ10に直接、生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4を接続するようにしても構わない(もっとも生茶葉連絡経路5が生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4の一部と解することも可能であり、このように解すれば上記生茶葉連絡経路5についての言及は不要であろう)。
【0031】
また図4に示す実施例にあっては、貯留コンテナ10における掻き落とし装置102の下方に一例として振動コンベヤにより構成される水平コンベヤ50を配し、この水平コンベヤ50の搬送方向終端に一例としてバケットコンベヤにより構成される垂直コンベヤ51を接続し、これらによって生茶葉連絡経路5を形成している。
【0032】
また垂直コンベヤ51の上端直下には、搬送方向を正・逆切替可能に設定し得る切替コンベヤ60により構成される切替機構6が設けられており、この切替コンベヤ60の一端には、前記生茶葉供給経路3が臨み、他端には前記生茶葉循環経路4が臨むという配置となっている。なおこの切替コンベヤ60としてはベルトコンベヤ、振動コンベヤあるいは前記搬送コンベヤ12において使用したスラットコンベヤ等が使用できる。
【0033】
そして図1に示す実施例にあっては、生茶葉循環経路4を前記切替コンベヤ60の一端と、前記貯留コンテナ10の始端側上方(厳密には生茶葉投入装置2における生茶葉投入コンベヤ20上)との間に横架されるリターンコンベヤ40によって構成している。またこのリターンコンベヤ40としても上述した切替コンベヤ60と同様、種々のコンベヤが使用できる。
【0034】
なお図1に基づいて以上説明した切替機構6及び生茶葉循環経路4は、あくまで本発明の生茶葉の管理装置1として使用できるほんの一例を示すものであって、以下述べるような構成または配設態様を異ならせた切替機構6または生茶葉循環経路4の使用を妨げるものではない。
すなわち図5に切替機構6の構成を異ならせた他の種々の実施例を示すものであって、まず図5(a)に示すものは回動式の切替ダンパ61により生茶葉Aの搬送経路を切り替えるようにしたものである。
【0035】
また図5(b)に示すものは貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aを図示のような伸縮コンベヤ62上に一旦落下させ、この伸縮コンベヤ62の伸縮加減によって生茶葉供給経路3あるいは生茶葉循環経路4のいずれかに生茶葉Aを供給するようにしたものである。更に図5(c)に示すものは、生茶葉連絡経路5における水平コンベヤ50として振動コンベヤを使用した場合において、図示のような開口部63を遮断あるいは開放し得る開閉シャッタ64を設けるようにしたものである。更にまた図5(d)に示すように水平コンベヤ50(なお図示の実施例にあってはベルトコンベヤを使用した状態を示す)の搬送方向終端に可動式のシュート65を設け、このシュート65の設置位置、あるいは設置状態を可変することにより前記図5(c)における開閉シャッタ64に類した作用をこのシュート65に持たせるようにすることも可能である。
【0036】
一方、図6は、生茶葉循環経路4の構成あるいは配設態様を異ならせた種々の実施例を示すものであって、まず図6(a)では、生茶葉循環経路4を搬送方向を異にする複数基のリターンコンベヤ40により構成した実施例を示している。因みに図示の実施例にあっては二基のリターンコンベヤ40を直角に配し、前記図1に示す生茶葉循環経路4よりも搬送経路を長くとった実施例を図示している。なお本実施例において図6(a)中、二点鎖線で示すように前段のリターンコンベヤ40に対しストックヤード41を設けることも可能である。因みにこのようなストックヤード41が設けてあれば、貯留コンテナ10に対し生茶葉投入装置2から生茶葉が投入されている場合等、生茶葉Aの投入に支障がある場合の一時貯留が可能となる。
【0037】
また図6(b)に示すものは、生茶葉Aを貯留コンテナ10の側方から取り出し、これを傾斜コンベヤ42により前記生茶葉連絡経路5を経ることなく、直接貯留コンテナ10の始端側に生茶葉Aを投入し得る構成としたものである。更に図6(c)に示すものは、貯留コンテナ10の下方にリターンコンベヤ40を貯留コンテナ10に沿うように設け、このリターンコンベヤ40の搬送方向終端に図示のような垂直コンベヤ43を設けることにより貯留コンテナ10内に生茶葉Aを再投入し得るようにしたものである。
【0038】
次にこのようにして構成される本発明の生茶葉の管理装置1の作動状態を説明するとともに、当該説明と併せ、このような生茶葉の管理装置1を使用しての本発明の生茶葉の管理方法に言及する。
まず茶園において摘採された生茶葉Aは、製茶工場に運ばれ、直接生茶葉投入装置2により、あるいは地下コンテナに一旦収容された後、生茶葉投入装置2によって貯留コンテナ10内に投入される。
【0039】
そして貯留コンテナ10内に投入された生茶葉Aは、送風装置11から送られる冷風を搬送コンベヤ12におけるスラット121の通気孔122より受けることにより冷却され、搬送コンベヤ12によってその搬送方向端部に設けられる掻き落とし装置102に向けて搬送される。そして生茶葉Aが掻き落とし装置102に至ると、集積された生茶葉Aの山が切り崩され、その下方に位置する水平コンベヤ50上に供給される。
【0040】
そして水平コンベヤ50上に供給された生茶葉Aは、この水平コンベヤ50により搬送され、その終端に至ると、次に垂直コンベヤ51によって上方に搬送されて垂直コンベヤ51の上端に至る。そして図2、4に示す実施例にあっては、この垂直コンベヤ51の上端に温度センサTが設けられているので、この部位において生茶葉Aの品温計測が行われる(なおこの温度センサTは貯留コンテナ10内に設けることも可能であるし、少なくとも切替機構6の前段に設けられていればよい)。
【0041】
そして品温の計測結果に基づき、切替コンベヤ60の搬送方向を切り替え、その後、切替コンベヤ60上に品温の計測された生茶葉Aを供給する。そして供給された生茶葉Aが所定品温以下の生茶葉A1である場合には、当該生茶葉A1は生茶葉供給経路3に導かれ、そのまま次工程の製茶加工工程に送られる。一方、所定品温より高い生茶葉A0である場合には、当該生茶葉A0は生茶葉循環経路4を構成するリターンコンベヤ40上に供給される。
【0042】
そしてリターンコンベヤ40上に供給された当該生茶葉A0は、このリターンコンベヤ40によって貯留コンテナ10の始端側上方に搬送され、直接貯留コンテナ10内に、あるいは一旦生茶葉投入装置2における生茶葉投入コンベヤ20上に投入した後、貯留コンテナ10内に再投入する。因みに生茶葉投入コンベヤ20を利用する場合には、貯留コンテナ10内に収容されている生茶葉の収容位置等を考慮し、最適の位置に当該生茶葉A0を再投入することが可能となる。
【0043】
そして再び貯留コンテナ10内に投入された所定品温より高い生茶葉A0は以上述べた動作を繰り返すことにより所定品温になるまで貯留コンテナ10、生茶葉連絡経路5、切替コンベヤ60及び生茶葉循環経路4上を循環し、所定品温以下となったところで生茶葉供給経路3側に送られ、次工程の製茶加工工程に供給されるのである。
【0044】
なお以上の説明は、本発明の生茶葉の管理方法の基本的実施例を示すものであって、本発明の生茶葉の管理方法には、更に以下述べるような管理態様を異にする他の実施例が存在する。すなわち上記実施例にあっては、一基の生茶葉の管理装置1を想定し、一基の生茶葉の管理装置1から次工程の製茶加工工程に生茶葉Aを供給する場合を説明しているが、実際の製茶工場にあっては、図7に示すように複数基の生茶葉の管理装置1が配置される。従って所定品温より高いとされた生茶葉A0を同一の貯留コンテナ10内に再投入するほか、当該貯留コンテナ10への生茶葉Aの投入状態やすべての貯留コンテナ10内における生茶葉Aの収容位置または収容量、収容状態を勘案し、最適の貯留コンテナ10の最適な投入位置を選択して再投入することも可能である。
【0045】
また複数基ある生茶葉の管理装置1を同様に作動させるほか、このうち一部の生茶葉の管理装置1については、品温に関係なく連続して生茶葉Aを循環させておくような管理態様をとることも可能である。またこのような複数基の生茶葉の管理装置1間の生茶葉Aの搬送、循環を考慮する場合には、生茶葉供給経路3の一部、または生茶葉循環経路4の一部を共用したり、これらを結ぶ別途の搬送経路を設けることも図7に骨格的に示すように必要となってくる。
【0046】
【発明の効果】
本発明は以上述べたような構成を有することにより成るものであって、このような構成を有することによって以下のような効果が発揮される。
すなわち請求項1記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10の底面の搬送コンベヤ12に形成された多数の通気孔122から送風装置11による冷風を貯留コンテナ10内に導くことにより、前記貯留搬送中の生茶葉Aの冷却を行うとともに、これに加え更に貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aの全部またはその一部を循環させるという構成をとっている。これにより夜間等、長時間にわたり生茶葉Aが貯留される場合にも葉焼けは生じない。
【0047】
また請求項2記載の生茶葉の管理方法は、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aのうち、所定品温より高い生茶葉A0については、貯留コンテナ10内に再投入して循環させることにより、更に冷却を図るとともに、所定品温以下の生茶葉A1についてはそのまま次工程に供給するという構成をとる。これにより所定品温より高い生茶葉A0は所定品温以下になるまで冷却が繰り返され、所定品温以下の生茶葉A1は必要以上の冷却を行うことがなくなる。
【0048】
更にまた請求項3記載の生茶葉の管理方法は、前記所定品温より高い生茶葉A0を一旦、生茶葉投入コンベヤ20上に投入した後、この生茶葉投入コンベヤ20によって貯留コンテナ10内の所定の位置に再投入するという構成をとる。これにより貯留コンテナ10内の生茶葉Aの収容位置及び収容量に応じた生茶葉Aの再投入が可能となる。
【0049】
更に請求項4記載の生茶葉の管理装置は、搬送コンベヤ12には多数の通気孔122が形成されており、これら通気孔122から前記送風装置11からの冷風を貯留コンテナ10内に導くものであり、更に前記貯留コンテナ10の生茶葉Aの取り出し側には、生茶葉Aの品温を計測する温度センサTが設けられるとともに、当該生茶葉Aの管理装置1に所定品温以下の生茶葉A1を次工程に供給する生茶葉供給経路3と、所定品温より高い生茶葉A0を貯留コンテナ10内に再投入する生茶葉循環経路4とを接続するという構成をとる。これにより請求項1記載の構成によりもたらされる効果と同様、所定品温より高い生茶葉A0は所定品温以下になるまで冷却が繰り返され、所定品温以下の生茶葉A1は必要以上の冷却を行うことがなくなる。
【0050】
更にまた請求項5記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉供給経路3及び生茶葉循環経路4と、前記生茶葉の管理装置1との接続部位には、貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aを、前記温度センサTによる計測値に基づき、生茶葉供給経路3と生茶葉循環経路4とに振り分ける切替機構6を設けるという構成をとる。これにより貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aは、その品温に応じて適宜搬送方向が選択され、生茶葉供給経路3または生茶葉循環経路4のいずれかに供給されるようになる。
【0051】
更にまた請求項6記載の生茶葉の管理装置は、前記切替機構6を搬送方向を正・逆切替可能に設定し得る切替コンベヤ60により構成し、この切替コンベヤ60の一端に生茶葉供給経路3を臨ませ、他端に生茶葉循環経路4を臨ませるという構成をとる。これにより貯留コンテナ10から外部に取り出された生茶葉Aは、その品温に応じて適宜切替コンベヤ60が搬送方向を切り替え、そのいずれかの端部から生茶葉供給経路3または生茶葉循環経路4に生茶葉Aを至らせる。
【0052】
更にまた請求項7記載の生茶葉の管理装置は、前記生茶葉循環経路4を前記切替コンベヤ60の一端と、貯留コンテナ10の始端側上方との間に横架するリターンコンベヤ40によって構成している。これにより極めて簡単な構造で貯留コンテナ10への生茶葉Aの再投入が可能となり、また生茶葉Aはリターンコンベヤ40上を移動する間中、外気に触れるため、これによる生茶葉Aの冷却もある程度期待できる。
そしてこのような各請求項記載の構成によってもたらされる効果が相乗的に作用することによって、生茶葉Aの搬送の効率化と生茶葉Aの冷却効率の向上が図られるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の生茶葉の管理装置を示す平面図である。
【図2】
同上背面図である。
【図3】
同上縦断側面図である。
【図4】
同上生茶葉連絡経路周辺を拡大して示す側面図である。
【図5】
切替機構の構成を異ならせた他の種々の実施例を示す説明図である。
【図6】
生茶葉循環経路の構成及び配設態様を異ならせた他の種々の実施例を示す説明図である。
【図7】
生茶葉の管理装置を複数基設けた場合の生茶葉循環経路の配設態様の一実施例を示す骨格的平面図である。
【符号の説明】
1 生茶葉の管理装置
2 生茶葉投入装置
3 生茶葉供給経路
4 生茶葉循環経路
5 生茶葉連絡経路
6 切替機構
7 製茶加工装置
10 貯留コンテナ
101 側板
102 掻き落とし装置
103 前面板
11 送風装置
111 送風機
112 増湿装置
113 吹出ダクト
12 搬送コンベヤ
121 スラット
122 通気孔
13 ムーブフロア
14 送風胴
20 生茶葉投入コンベヤ
40 リターンコンベヤ
41 ストックヤード
42 傾斜コンベヤ
43 垂直コンベヤ
50 水平コンベヤ
51 垂直コンベヤ
60 切替コンベヤ
61 切替ダンパ
62 伸縮コンベヤ
63 開口部
64 開閉シャッタ
65 シュート
A 生茶葉
A0 所定品温より高い生茶葉
A1 所定品温以下の生茶葉
T 温度センサ
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-07-09 
出願番号 特願平6-264627
審決分類 P 1 651・ 121- YA (A23F)
最終処分 維持  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 柿沢 恵子
鵜飼 健
登録日 2002-10-25 
登録番号 特許第3362272号(P3362272)
権利者 カワサキ機工株式会社
発明の名称 生茶葉の管理方法並びにその装置  
代理人 東山 喬彦  
代理人 東山 喬彦  

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