• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 特174条1項  A47J
管理番号 1104411
異議申立番号 異議2003-73426  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-01-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-26 
確定日 2004-07-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3423576号「調理機」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3423576号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.出願手続の経緯
本件特許第3423576号に係る出願は、平成9年6月16日の出願であって、平成13年4月24日付けで拒絶の査定がなされたが、これに対して、同年6月7日に審判が請求され、その後、平成15年4月25日に特許権の設定登録がなされたものである(特許掲載公報発行日:同年7月7日)。

2.特許異議の申立ての理由
平成15年12月26日付けで佐藤喜久雄から特許異議の申立がなされた。その理由の概要は以下のとおりである。

(1)特許権者は、平成13年7月9日付け、及び平成15年2月26日付けの手続補正により、特許請求の範囲の請求項1に「ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続され」との構成を追加した。

また、特許権者は、上記構成について、平成13年10月5日付けの手続補正書(審判請求の理由補充書)において、蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターを通じて水に混合して排出できるとの作用効果を主張し、また、平成15年2月26日付けの意見書において、蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターに供給してこれを作動させ、これにより蒸煮室を減圧できるとの作用効果を主張する。

これらの主張によると、上記構成は、蒸煮室の蒸気がトラップを逆流して蒸気エゼクターに達するように、ドレン管がトラップを介して蒸気エゼクター等に接続されていることを意味することになる。

しかし、トラップ本来の機能からして、上記構成は、蒸煮室の蒸気を大気に排出すると共に、蒸気エゼクター等のドレンをトラップを介して大気に排出するためのものである。

そして、特許権者が主張する上記作用効果、及び上記「蒸煮室の蒸気がトラップを逆流して蒸気エゼクターに達するように、ドレン管がトラップを介して蒸気エゼクター等に接続されている」との意味での上記構成は、出願当初の明細書又は図面に記載されておらず、また、これらの記載から自明のことでもない。

したがつて、本件特許は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない補正をした特許出願に対してされたものである。

(2)蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターに供給しようとすると、ドレン管を介して蒸煮室と大気とが連通することになるから、上記「蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターに供給してこれを作動させ、これにより蒸煮室を減圧できる」との作用効果はあり得ないものである。

したがつて、本件特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。

3.訂正請求
(1)手続の経緯
この特許異議の申立てにより、平成16年4月13日付けで取消理由が通知され、これに対して、同年6月22日付けで特許異議意見書が提出されると共に、訂正請求がなされた。

(2)訂正の内容
本件訂正請求は、本件明細書を本件訂正請求書に添付した訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであり、その内容は次のとおりである。

(a)特許請求の範囲の請求項1を次のとおりに訂正する。

「前面に開閉部を有し、食材を容器ごと多段的に配置可能で、かつ気密に収容可能な蒸煮室を画成された缶体と、缶体の前面に設けられた操作部、計器類と、蒸煮室に加熱蒸気を吹き込むために該蒸煮室に接続された給蒸管と、この給蒸管に配設された消毒用の自動弁を有する加熱蒸気を吹き込む手段、蒸煮室から水を排出する排水手段と、蒸煮室から蒸気を排出するために蒸煮室に接続され且つ大気に開放されるドレン管から構成された排蒸手段と、蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管と、この減圧管に、順次取り付けられた蒸気エゼクタ-と、逆止弁と、水エゼクタ-とを有する蒸煮室減圧手段とを備え、前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、同一の蒸煮室で容器の食材を蒸煮する工程と冷却する工程とを連続して、又はそのいずれかの工程を選択的に行うことを特徴とする調理機。」

すなわち、個別的には、
(a-1)「蒸煮室に加熱蒸気を吹き込む手段」を「蒸煮室に加熱蒸気を吹き込むために該蒸煮室に接続された給蒸管と、この給蒸管に配設された消毒用の自動弁を有する加熱蒸気を吹き込む手段」と訂正する。

(a-2)「蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管とこの減圧管に取り付けられた蒸気エゼクターとを有する蒸煮室減圧手段」を「蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管と、この減圧管に、順次取り付けられた蒸気エゼクタ-と、逆止弁と、水エゼクタ-とを有する蒸煮室減圧手段」と訂正する。

(a-3)「前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続され、」を「前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、」と訂正する。

(b)発明の詳細な説明を特許請求の範囲の訂正に適合させる。

(3)訂正の可否
上記(a)の特許請求の範囲の請求項1の訂正について
この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

上記(b)の発明の詳細な説明を特許請求の範囲の請求項1の訂正に適合させる訂正について
この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

したがって、本件訂正請求に係る訂正は、特許法120条の4第2項及び同第3項において準用する同第126条第2項ないし第4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

4.特許異議の申立てについての判断
上記訂正請求に係る(a-3)の訂正により、特許請求の範囲の請求項1の「前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続され、」は、「前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、」と訂正された。

また、上記特許異議意見書において、特許権者は、平成13年10月5日付けの手続補正書(審判請求の理由補充書)において主張した上記「蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターを通じて水に混合して排出できる」との作用効果、及び、平成15年2月26日付けの意見書において主張した上記「蒸煮室の蒸気の一部を蒸気エゼクターに供給してこれを作動させ、これにより蒸煮室を減圧できる」との作用効果を撤回した。

これにより、平成13年7月9日付け、及び平成15年2月26日付けの手続補正により、特許請求の範囲の請求項1に追加された「ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップを介して、蒸気エゼクター及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続され」との構成は、「蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレン」を大気に開放するとの作用効果を奏することが明らかになった。

そして、上記構成、及び該構成が上記作用効果を奏することは、トラップ本来の機能からして、出願当初の明細書又は図面に記載されたものである。

また、上記構成が上記作用効果を奏することは、本件訂正請求により訂正された本件明細書の記載から理解できることである。

したがって、本件異議申立の理由は、本件訂正請求に係る訂正により解消された。

5.まとめ
以上のとおりであるから、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1に係る特許は、異議申立の理由および証拠により取り消すことはできない。

また、他に当該特許請求の範囲の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
調理機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 前面に開閉部を有し、食材を容器ごと多段的に配置可能で、かつ気密に収容可能な蒸煮室を画成された缶体と、
缶体の前面に設けられた操作部、計器類と、
蒸煮室に加熱蒸気を吹き込むために該蒸煮室に接続された給蒸管と、この給蒸管に配設された消毒用の自動弁を有する加熱蒸気を吹き込む手段と、
蒸煮室から水を排出する排水手段と、
蒸煮室から蒸気を排出するために蒸煮室に接続され且つ大気に開放されるドレン管から構成された排蒸手段と、
蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管と、この減圧管に、順次取り付けられた蒸気エゼクターと、逆止弁と、水エゼクターとを有する蒸煮室減圧手段とを備え、
前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、同一の蒸煮室で容器の食材を蒸煮する工程と冷却する工程とを連続して、又はそのいずれかの工程を選択的に行うことを特徴とする調理機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、豆、芋、あるいは肉、魚などの食品の蒸煮と、その冷却に利用する調理機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の食品加工では、その蒸煮に蒸煮機が用いられている。蒸煮機は一つの缶体に蒸煮室と、蒸煮室に加熱蒸気を吹き込む給蒸手段とを備えている。一般に、缶体は全体が箱型又は円筒形に形成され、その内部に食材の蒸煮室が画成されている。なお、蒸煮室の前面は開閉部になっている。この蒸煮室に蒸気の吹き込みと、その排蒸が自動制御により行われるようになっている。操作は蒸煮時間と蒸煮温度を操作し、始動ボタンスイッチを押すだけで、自動運転される。したがって、その使用に当たり、食材を蒸煮室に収容した後、その食材に応じた蒸煮時間と蒸煮温度を操作し、始動ボタンスイッチを押すことにより、その食材の蒸煮が行われる。自動制御により、蒸煮室内に温度ムラがなく、食材がばらつきなく、均一に蒸煮される。
【0003】さて、このように食材が蒸煮により食品として仕上げられると、今度はその冷却に冷却機が用いられる。この種の冷却機には、従来、食材に直に空気を吹き付ける扇風機や吸引式の冷却機、また、気化熱を利用した真空冷却式の冷却機が利用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように従来においては、食材の蒸煮とその冷却とをそれぞれ、蒸煮機と冷却機とを用いて別々の工程で行っているため、蒸煮機で食材の蒸煮が終了すると、この食材を冷却機に移し替えなければならない。このため、蒸煮機から冷却機へ食材を移し替える作業を必要とするという作業上の問題があり、また、蒸煮機から冷却機へ食材を移し替えている間に、食材が空気中に触れるために、食材が汚染されたり、細菌の増殖が発生したりする虞があるなど、衛生上の問題があった。
【0005】本発明は、このような従来の問題を解決するものであり、食材の蒸煮工程とその冷却工程とを食材を移し替えることなしに行え、従来のような食材の移し替え作業を省略して作業性の向上を図り、また食材の汚染などを確実に防止するなど、衛生上の管理に優れ、品質の向上を図ることのできる調理機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の調理機においては、前面に開閉部を有し、食材を容器ごと多段的に配置可能で、かつ気密に収容可能な蒸煮室を画成された缶体と、缶体の前面に設けられた操作部、計器類と、蒸煮室に加熱蒸気を吹き込むために該蒸煮室に接続された給蒸管と、この給蒸管に配設された消毒用の自動弁を有する加熱蒸気を吹き込む手段と、蒸煮室から水を排出する排水手段と、蒸煮室から蒸気を排出するために蒸煮室に接続され且つ大気に開放されるドレン管から構成された排蒸手段と、蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管と、この減圧管に、順次取り付けられた蒸気エゼクターと、逆止弁と、水エゼクターとを有する蒸煮室減圧手段とを備え、前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクター及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、同一の蒸煮室で容器の食材を蒸煮する工程と冷却する工程とを連続して、又はそのいずれかの工程を選択的に行えるようにしたものである。
【0007】このようにして、蒸煮室に食材を容器ごと収容して蒸煮することにより、食材を短時間で、形崩れすることなく、高品質に仕上げることができ、さらにこの蒸煮室で調理された食材を容器ごと冷却することにより、蒸煮室から食材の出し入れや移し替えをなくし、食材の大気中の移動による汚染や細菌の増殖を防止することができ、作業性の向上と、品質の向上とを図る。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の調理機は、前面に開閉部を有し、食材を容器ごと多段的に配置可能で、かつ気密に収容可能な蒸煮室を画成された缶体と、缶体の前面に設けられた操作部、計器類と、蒸煮室に加熱蒸気を吹き込むために該蒸煮室に接続された給蒸管と、この給蒸管に配設された消毒用の自動弁を有する加熱蒸気を吹き込む手段と、蒸煮室から水を排出する排水手段と、蒸煮室から蒸気を排出するために蒸煮室に接続され且つ大気に開放されるドレン管から構成された排蒸手段と、蒸煮室を減圧するために蒸煮室に接続された減圧管と、この減圧管に、順次取り付けられた蒸気エゼクターと、逆止弁と、水エゼクターとを有する蒸煮室減圧手段とを備え、前記ドレン管はその中間部分において分岐し、一端はドレン用に大気に開放する一方、他端はトラップに接続されており、該トラップを介して、蒸気エゼクタ及び給蒸管に蒸気を供給する蒸気管に接続された蒸気元から供給される蒸気のドレンが大気に開放され、同一の蒸煮室で容器の食材を蒸煮する工程と冷却する工程とを連続して、又はそのいずれかの工程を選択的に行うようにしたものである。
【0009】上記構成から、蒸煮室に食材を容器ごと収容して蒸煮するので、食材を短時間で、形崩れすることなく、高品質に仕上げることができ、さらにこの蒸煮室で調理された食材を同一の蒸煮室で冷却できるので、蒸煮室から食材の出し入れや移し替えをなくし、食材の大気中の移動による汚染や細菌の増殖を防止することができ、品質の向上を図り、衛生上の管理に優れた効果を有する。また、食材の蒸煮工程から冷却工程への移行に際し、蒸煮室から食材の出し入れや移し替えの作業を不要にして、食品加工の作業性を大幅に向上させることができる。
【0010】
【実施例】以下、図を用いて本発明の一実施例について説明する。図1において、110は一つの缶体100内に画成された食材の蒸煮室、120は蒸煮室110の吸気手段、130は蒸煮室110に加熱蒸気を吹き込む手段、140は蒸煮室110からドレンを排出する手段、150は蒸煮室110を減圧する手段で、これらの手段により同一の蒸煮室110内で食材の蒸煮工程および冷却工程を行うように構成されている。
【0011】缶体100は、図2〜図4に示すように、全体が箱型の外装カバー101と、その内部に画成された蒸煮室110とからなり、蒸煮室110の前面に開閉部として、扉化粧カバー102がヒンジ103を介して回動可能に取り付けられている。蒸煮室110は大きな容器が多段的に収納可能な大きなスペースを有し、食材を容器ごと配置するようになっている。なお、扉化粧カバー102は、蒸煮室110を気密に塞ぎ、その開閉操作はハンドル104の回転操作により行われる。この蒸煮室110には、図1に示すように、缶内連成計1、圧力スイッチ2、温度調節器3、5、安全弁4などか配置されている。なお、図2に示すように、缶体100の前面パネルに操作部105や計器類106などが設けられている。
【0012】図1において、蒸煮室110の吸気手段120はフィルター6、逆止弁7、常圧復帰用の自動弁8、冷却用の第1、第2の自動弁9、10などを備えている。なお、この吸気手段120は加熱蒸気を吹き込む手段130の蒸気吹き込み口に連通されている。
【0013】図1において、加熱蒸気を吹き込む手段130は蒸気元131、蒸気元131と蒸煮室110とを連結する給蒸管132からなり、給蒸管132上には蒸気元131側から順次、ストレーナー26、圧力計25および自動弁23、減圧弁21、給蒸用の第1、第2の自動弁12、13、および消毒用の自動弁14がそれぞれ配設され、その蒸気吹き込み口133が蒸煮室110に設けられている。なお、20は圧力計であり、24はトラップである。
【0014】図1において、ドレンを排出する手段140は蒸煮室110に設けている温度調節機5に連結されたドレン管141と、蒸煮室110の底部側に配管されたドレン管142とを備え、一方のドレン管141上には、排蒸用の第1、第2の自動弁15、16が配設されている。また、他方のドレン管142上には、排蒸用の第3の自動弁17が配設されている。なお、図1中、18はトラップ用の自動弁であり、19はトラップである。
【0015】また、蒸煮室110には、底部に残存する水分を排除するための排水管160が設けられている。
【0016】図1において、蒸煮室110を減圧する手段150は蒸煮室110に連結、配管され、その途中に真空仕切り用の自動弁11を配設された減圧用の管151と、これに連結された減圧機構152とを備える。なお、この管151の終端には真空解除用の自動弁29が逆止弁28を介して設けられている。ここで、減圧機構152は、減圧用の管151に順次連結された蒸気エゼクター27、逆止弁30、水エゼクター31と、水エゼクター31に循環水路を形成する循環水タンク36、循環ポンプ37などから構成されている。なお、水エゼクター31には真空調整用の自動弁33が配設されている。また循環水タンク36には給水口が給水元に接続され、排水口が排水管に接続されている。なお、32は循環水圧力計であり、34は逆止弁であり、35は自動弁である。
【0017】次に上記実施例の動作について説明する。図1において、まず、蒸煮室110の開閉部、扉化粧カバー102が開放されて、蒸煮室110に食材が収容され、そしてこの開閉部が閉塞される。これにより蒸煮室110の食材は密封される。操作部105により操作を行うと、給蒸管132上の各自動弁が選択的に開かれて、蒸気元131から蒸気が送出され、蒸煮室110の蒸気吹き込み口133から蒸気が吹き出される。このようにして蒸煮室110の食材が加圧蒸煮される。
【0018】なお、この加圧蒸煮により、食材は短時間で、形崩れすることなく、高品質に仕上げられる。
【0019】さて、蒸煮室110で食材の蒸煮が完了すると、給蒸管132上で各自動弁が閉じられる一方、今度は排蒸用のドレン管141、142、排水管160から、ドレンの排出、排蒸、排水が行われる。次いで、蒸煮室110の減圧用の管151上で自動弁11が開放されるとともに、減圧機構152が始動される。すなわち、循環ポンプ37の作動により循環水タンク36の水が送り出され、循環水タンク36、循環ポンプ27、水エゼクター31間に循環されて、減圧用の管151を減圧していく。急速に、蒸煮室110の蒸気が吸い込まれるとともに、蒸煮室110が減圧されていき、その気化熱により高温の食品が急激に冷却される。
【0020】密封された蒸煮室110の急速な減圧により、食品を冷却していくので、冷却工程が短時間で済み、さらに埃の付着がなく、細菌の繁殖が防止される。
【0021】このように上記実施例によれば、一つの缶体100に、食材を気密に収容可能な蒸煮室110を画成するとともに、蒸煮室110に加熱蒸気を吹き込む手段130と、蒸煮室110からドレンを排出する手段140と、蒸煮室110を減圧する手段150とを設け、同一の蒸煮室110内で食材の蒸煮工程とその冷却工程とを併せて行うようにしているので、蒸煮室110に食材を収容してから蒸煮、冷却が終了するまでに、蒸煮室110から食材の出し入れや移し替えの作業をなくすことができ、また食材の大気中の移動をなくしてその汚染や細菌の増殖を防止することができる。
【0022】なお、上記実施例においては、食材の蒸煮工程に連続してその冷却工程を行うものとして説明しているが、食材の蒸煮工程と冷却工程を各工程連続して、または各工程別に、選択的に行うことができる。
【0023】
【発明の効果】本発明は、上記実施例から明らかなように、蒸煮室に食材を容器ごと収容して蒸煮するので、食材を短時間で、形崩れすることなく、高品質に仕上げることができ、さらに同一の蒸煮室で食材を冷却することにより、蒸煮室から食材の出し入れや移し替えをなくし、食材の大気中の移動による汚染や細菌の増殖を防止することができ、品質の向上を図り、衛生上の管理に優れた効果を有する。また、食材の蒸煮工程から冷却工程への移行に際し、蒸煮室から食材の出し入れや移し替えの作業を不要にして、食品加工の作業性を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における調理機の装置構成を示す図
【図2】同調理器の正面図
【図3】同調理機の側面図
【図4】同調理機の平面図
【符号の説明】
100 缶体
101 外装カバー
102 扉化粧カバー
103 ヒンジ
104 ハンドル
105 操作部
106 計器類
110 蒸煮室
1 缶内連成計
2 圧力スイッチ
3 温度調節器
4 安全弁
5 温度調節器
120 吸気手段
6 フィルター
7 逆止弁
8 常圧復帰用の自動弁
9 冷却用の第1の自動弁
10 冷却用の第2の自動弁
130 加熱蒸気を吹き込む手段
131 蒸気元
132 給蒸管
133 蒸気吹き込み口
20 圧力計
21 減圧弁
23 自動弁
24 トラップ
25 圧力計
26 ストレーナー
12 給蒸用の第1の自動弁
13 給蒸用の第2の自動弁
14 消毒用の自動弁
140 ドレンを排出する手段
141、142 ドレン管
15 排蒸用の第1の自動弁
16 排蒸用の第2の自動弁
17 排蒸用の第3の自動弁
18 トラップ用の自動弁
19 トラップ
150 減圧する手段
11 真空仕切り用の自動弁
151 減圧用の管
152 減圧機構
22 自動弁
27 蒸気エゼクター
28 逆止弁
29 真空解除用の自動弁
30 逆止弁
31 水エゼクター
32 循環水圧力計
33 真空調整用の自動弁
34 逆止弁
35 自動弁
36 循環水タンク
37 循環ポンプ
160 排水管
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-07-08 
出願番号 特願平9-159001
審決分類 P 1 651・ 55- YA (A47J)
最終処分 維持  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 櫻井 康平
長浜 義憲
登録日 2003-04-25 
登録番号 特許第3423576号(P3423576)
権利者 株式会社三和製作所
発明の名称 調理機  
代理人 佐藤 孝雄  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 湯原 忠男  
代理人 伊東 忠彦  
代理人 湯原 忠男  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ