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審決分類 |
審判 一部申し立て 2項進歩性 F25B |
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管理番号 | 1104412 |
異議申立番号 | 異議2003-73042 |
総通号数 | 59 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2001-02-23 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-12-16 |
確定日 | 2004-08-09 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3417351号「絞り装置」の請求項16ないし19、22、23、26ないし31に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3417351号の請求項16ないし18、21、22、25ないし28に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.訂正の適否 1-1 訂正の内容 ・訂正事項a 特許請求の範囲の請求項16の記載 「このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。」を「このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項b 特許請求の範囲の旧請求項17が実質的に請求項16に取り込まれたことに伴い、旧請求項17を削除する。 ・訂正事項c 特許請求の範囲の請求項17の削除に伴い、請求項17及び18(旧請求項18及び19)の引用請求項の番号を 「【請求項17】 前記オリフィスの直前に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項18】 前記オリフィスの直後に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項d 特許請求の範囲の請求項19(旧請求項20)の記載 「【請求項20】 前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とが略面一であることを特徴とする請求項16記載の絞り装置。」を 「【請求項19】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とが略面一であることを特徴とする絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項e 特許請求の範囲の請求項20(旧請求項21)の記載 「【請求項21】 絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。」を 「【請求項20】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたことを特徴とする絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項f 特許請求の範囲の請求項21(旧請求項22)の請求項の番号が繰り上がったことに伴い、請求項22(旧請求項23)の引用請求項の番号を 「【請求項22】 前記拡散部材を主弁体としたことを特徴とする請求項21記載の絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項g 特許請求の範囲の請求項25(旧請求項26)の記載 「【請求項26】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部にオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。」 を 「【請求項25】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。」と訂正する。 ・訂正事項h 特許請求の範囲の旧請求項27及び30を削除する。 ・訂正事項i 特許請求の範囲の旧請求項17、27及び30が削除されたことに伴い、請求項26乃至28(旧請求項28、29及び31)の引用請求項の番号を、 「【請求項26】 多孔質透過材の厚さを1から100ミリメートルの範囲としたことを特徴とする請求項25記載の絞り装置。 【請求項27】 多孔質透過材がオリフィスを挟み込んだ状態としたことを特徴とする請求項25乃至請求項26の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項28】 多孔質透過材を焼結金属としたことを特徴とする請求項1乃至請求項27の何れか1項に記載の絞り装置。 」と訂正する。 ・訂正事項j 明細書の段落番号【0025】の記載 「【0025】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したものである。」 を 「【0025】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したものである。」と訂正する。 ・訂正事項k 明細書の段落番号【0026】の記載を削除する。 ・訂正事項l 明細書の段落番号【0029】の記載 「【0029】 また、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一としたものである。」 を 「【0029】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一としたものである。」と訂正する。 ・訂正事項m 明細書の段落番号【0030】の記載 「【0030】 また、絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたものである。」を 「【0030】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたものである。」と訂正する。 ・訂正事項n 明細書の段落番号【0037】の記載 「【0037】 また、二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部にオリフィスを備えたものである。」 を 「【0037】 また、二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたものである。」と訂正する。 ・訂正事項o 明細書の段落番号【0039】、【0042】及び【0145】の記載を削除する。 ・訂正事項p 明細書の段落番号【0131】及び【0132】の記載 「【0131】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したので、絞り部の目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。 【0132】 また、前記バイパス流路にオリフィスを備えたので、絞り能力を高く維持しながら、目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。」 を 「【0131】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したので、絞り部の目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。 【0132】 また、前記バイパス流路に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたので、絞り能力を高く維持しながら、目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。」と訂正する。 ・訂正事項q 明細書の段落番号【0135】の記載 「【0135】 また、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一にしたので、弁開放時の主弁座内への冷媒の流れ込みが円滑になる効果が得られる。」 を 「【0135】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一にしたので、弁開放時の主弁座内への冷媒の流れ込みが円滑になる効果が得られる。」と訂正する。 ・訂正事項r 明細書の段落番号【0136】の記載 「【0136】 また、絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されているので、弁開放時、絞り時の冷媒の流れが円滑になる効果が得られる。」を 「【0136】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されているので、弁開放時、絞り時の冷媒の流れが円滑になる効果が得られる。」と訂正する。 ・訂正事項s 明細書の段落番号【0143】の記載 「【0143】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部にオリフィスを備えたので、絞り部の構造を簡略にできると共に、オリフィスへの冷媒流入を均一化でき、オリフィスによる圧力変動の伝達を低減できる効果が得られる。」 を 「【0143】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたので、絞り部の構造を簡略にできると共に、オリフィスへの冷媒流入を均一化でき、オリフィスによる圧力変動の伝達を低減できる効果が得られる。」と訂正する。 1-2 訂正の適否 ・訂正事項aについて 上記訂正事項aは、特許請求の範囲の請求項16に記載された「このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。」を「このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。」と限定するものである。 この限定は、多孔質透過材をさらに限定したものであり、また、オリフィスという構成要件の直列的付加に該当するため、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、上記訂正事項aの「このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材」については、本件特許明細書の【0094】段落に「通気孔の径を100マイクロメートルから500マイクロメートルとした」との記載がある。一方、「前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィス」については、訂正前の従属請求項17に「前記バイパス流路にオリフィスを備え」と記載されており、本件特許明細書の【0094】段落に「内径0.5ミリメ-トルで厚さ1ミリメートルのオリフィス」、【0099】段落に「オリフィスの内径と厚さは設計時の流量特性に応じて最適に設計される」との記載がある。そして、通気孔の径が100マイクロメートルから500マイクロメートルのときに、オリフィスの内径として0.5ミリメートルから3ミリメートルを採用できることについては、【0110】段落に「絞り部を通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔体で途中に内径0.5から3ミリメートルのオリフィスを挟み込んで構成する絞り部であっても良い」と記載されている。 また、「前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成した」点については、【0096】段落に「オリフィス16と多孔体12は共に絞り部として機能する。」と記載されている。 したがって、上記訂正事項aは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 さらに、上記訂正事項aは、上述のように特許請求の範囲の減縮を目的としており、特許請求の範囲の記載自体を訂正することによって実質上特許請求の範囲を拡張するものではない。さらにまた、「冷媒流動音を低減できる」(本件特許明細書の【0009】段落)という本件特許発明の目的を変更するものではないため、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。 ・訂正事項bについて 上記訂正事項bは、特許請求の範囲の請求項17を削除するものである。従って、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項cについて 上記訂正事項cは、上記訂正事項a及びbに伴い、引用請求項の番号を単に修正したものである。従って、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項d、eについて 上記訂正事項d及びeは、特許請求の範囲の請求項16の減縮に伴い、そのまま従属形式で記載したのでは特許異議申立の対象となっていない請求項19及び20(旧請求項20及び21)までもが減縮されてしまうのを避けるべく、請求項16を引用する形式から、単に独立形式に直したものであって、実質的に特許請求の範囲を変更するものではない。 ・訂正事項fについて 上記訂正事項fは、上記訂正事項a及びbに伴い、引用請求項の番号を単に修正したものである。従って、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項gについて 上記訂正事項gは、特許請求の範囲の請求項25(旧請求項26)の記載「二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部にオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。」を、「二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。」と限定するものである。 この限定は、多孔質透過材及びオリフィスをさらに限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、上記訂正事項gの「通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材」については、本件特許明細書の【0111】段落に「多孔体12は通気孔の径を100マイクロメートルから500マイクロメートルで」との記載がある。一方、「0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィス」については、本件特許明細書の【0111】段落に「内径1.0ミリメートルで厚さ1ミリメートルのオリフィス」、【0113】段落に「オリフィスの内径と厚さは設計時の流量特性に応じて最適に設計される」との記載があり、通気孔の径が100マイクロメートルから500マイクロメートルのときに、オリフィスの内径として0.5ミリメートルから3ミリメートルを採用できるということについては、【0110】段落に「絞り部を通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔体で途中に内径0.5から3ミリメートルのオリフィスを挟み込んで構成する絞り部であっても良い」と記載されている。 したがって、上記訂正事項gは、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。 さらに、上記訂正事項gは、上述のように特許請求の範囲の減縮を目的としており、特許請求の範囲の記載自体を訂正することによって実質上特許請求の範囲を拡張するものではない。さらにまた、「冷媒流動音を低減できる」(本件特許明細書の【0009】段落)という本件特許発明の目的を変更するものではないため、実質上特許請求の範囲を変更するものでもない。 ・訂正事項hについて 上記訂正事項hは、特許請求の範囲の旧請求項27及び30を削除するものである。従って、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 ・訂正事項iについて 上記訂正事項iは、上記訂正事項hに伴い、引用請求項の番号を単に修正したものである。従って、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。 また、他の訂正事項j〜sによる訂正についても上記規定に適合するので当該訂正を認める。 2.異議申立てについての判断 2-1 本件発明 上記の通り、訂正は認められるから、本件の請求項1〜28に係る発明(以下、請求項1〜28に係る発明をそれぞれ「本件発明1」〜「本件発明28」という。)は、訂正された特許明細書の請求項1〜28に記載された次のとおりのものである。 「【請求項1】 周方向に回転する円柱状または円盤状の可動部と、この可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材より成る絞り部とを備えたことを特徴とする絞り装置。 【請求項2】 前記可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に貫通する貫通流路を備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項3】 前記可動部に形成され前記回転により冷媒の流れを遮断する遮断部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の絞り装置。 【請求項4】 前記貫通流路はその周囲壁を前記多孔質透過材で形成したことを特徴とする請求項2記載の絞り装置。 【請求項5】 前記可動部の周面側に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたこを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項6】 前記可動部の回転軸方向に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項7】 前記絞り部を複数備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項8】 前記可動部は絞り部のみ多孔質透過材で構成したことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項9】 前記可動部は全体を多孔質透過材で構成したことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項10】 前記可動部の回転により選択可能な異なる流動抵抗の絞り部を備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項11】 前記異なる流動抵抗の絞り部は流動抵抗の順に前記可動部の回転方向に配置されたことを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項12】 前記異なる流動抵抗の絞り部が連続していることを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項13】 前記異なる流動抵抗の絞り部が断続して配列していることを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項14】 前記異なる流動抵抗の絞り部間に仕切りを設けたことを特徴とする請求項6記載の絞り装置。 【請求項15】 前記可動部をステッピングモータで回転駆動することを特徴とする請求項7および10乃至14の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項16】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。 【請求項17】 前記オリフィスの直前に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項18】 前記オリフィスの直後に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項19】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とが略面一であることを特徴とする絞り装置。 【請求項20】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたことを特徴とする絞り装置。 【請求項21】 弁室側部に形成され、主弁体移動方向に垂直な冷媒流入口と、この冷媒流入口からの冷媒流を拡散する拡散部材とを備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項22】 前記拡散部材を主弁体としたことを特徴とする請求項21記載の絞り装置。 【請求項23】 弁室側壁に第1流路が開口する弁本体と、弁室底面に第2流路が開口する主弁座と、弁室内に前記主弁座を閉止できる主弁体とを備え、前記主弁体および主弁座で主絞り部を構成し、前記主絞り部の直前または直後に多孔質透過材を用いた補助絞り部を構成し、少なくとも前記主弁座側の流路に前記主弁体と当接する補助絞り部を設けたことを特徴とする絞り装置。 【請求項24】 前記主弁体先端の周囲の角を落とし、前記補助絞り部との当接時に前記主弁座とでオリフィス部を構成することを特徴とする請求項23記載の絞り装置。 【請求項25】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。 【請求項26】 多孔質透過材の厚さを1から100ミリメートルの範囲としたことを特徴とする請求項25記載の絞り装置。 【請求項27】 多孔質透過材がオリフィスを挟み込んだ状態としたことを特徴とする請求項25乃至請求項26の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項28】 多孔質透過材を焼結金属としたことを特徴とする請求項1乃至請求項27の何れか1項に記載の絞り装置。」 2-2 取消理由通知で引用された刊行物に記載された発明 ・刊行物1:実願平1-51607号(実開平2-141778号)のマイクロフィルム(異議申立人の提出した甲第1号証) ・刊行物2:特開昭57-65557号公報(同甲第2号証) ・刊行物3:実願昭52-9158号(実開昭53-104469号)のマイクロフィルム(同甲第3号証) ・刊行物4:実願平3-17890号(実開平4-113864号)のマイクロフィルム(同甲第4号証) ・刊行物5:特開平7-146032号公報(同甲第5号証) 刊行物1には、以下の事項が図面とともに記載されている。 ・「(1)第1流体口と第2流体口との間に設けた弁座を弁室側に設けた弁体によって開閉する電磁弁において、該弁体内を貫通して該第1流体口に続く弁本体内部流路と該第2流体口に続く弁本体内部流路とを連通するテーパ付漏洩流路を設けると共に該漏洩流路内のテーパ付部位に錐状の絞り部材を装着してなる双方向型電磁弁。 (2)漏洩流路の開口部の少なくとも一方に通気性多孔体を嵌着してなる請求項(1)記載の双方向型電磁弁。」(実用新案登録請求の範囲) ・「本考案はヒートポンプ式エアコン等に用いられる電磁弁に関する。」(明細書第1頁17〜18行) ・「かかるエアコンシステムにおいては、除湿運転を行なうために室内熱交換器を冷却用と再加熱用との2個に分割し、その間に膨張器を設けるなどの構成をとる必要があり、かかるエアコンシステムの回路例が、たとえば特開昭58-106369号に開示されている(第4図)。この回路においては、室外熱交換器cと室内熱交換器bとの間に可逆流通性を有する膨張弁fを設け、室内熱交換器a,b間にキャピラリーチューブhと二方電磁弁gとを並列として設けてある。そして、通常の冷房または暖房時には電磁弁gを開いて室内熱交換器a,bを共に冷却または加熱用として用い、除湿時には膨張弁fを開くと共に電磁弁gを閉じて室内熱交換器bを加熱用にまた室内熱交換器aを冷却用に用いるものである。dは圧縮機、eは四方弁、Fはファンである。」(同第2頁4〜19行) ・「本考案は冷暖房および除湿ができるエアコンシステムにおける膨張器兼用の電磁弁を改良して、コンパクトに組み込むことができかつ騒音レベルを低下させると共に高信頼性をそなえた双方向型電磁弁を得ることを目的とした。」(同第3頁17行〜第4頁2行) ・「図において、1は弁本体であり、1aは第1流体口、1bは第2流体口である。第1流体口1aに通ずる弁室1cの底部には第2流体口1bに通ずる弁座1dが形成されている。2は弁体であり、弁ばね3によって弁座1dに向けて付勢されている。4は吸引子、5は電磁コイルである。 弁体2には弁座1dから第2流体口1bへ通ずる流路に面する弁体2の先端部に凹孔2aが設けてあり、弁室1cにも通じている。更にこの凹孔2aの中には金属材料から形成されてテーパ状の漏洩流路7aを有するオリフィス体7と、そのテーパ状の漏洩流路7a内に管壁面に沿う流通間隙を残すように組み込まれた錐状の絞り部材8とが嵌着されており、またオリフィス体7の前後には漏洩流路7aの開口部を遮るように、金属粉末を焼結して得た通気性の円筒状多孔体6aと盤状多孔体6bとがそれぞれ嵌着されている。従って、弁の開閉に拘わらず第1流第口1aと第2流体口1bとはオリフィス体7の漏洩流路7aと多孔体6aおよび6bとを介して常時連絡されている。そして、この漏洩流路7aが膨張器として働くときは、流体の流出に伴う擦過音発生が効果的に抑制される。」(同第5頁5行〜第6頁8行) ・「第3図は、このような本考案の双方向型電磁弁を用いたヒートポンプ式エアコンシステムの回路例である。図においてVは本考案の双方向型電磁弁であり、第4図における電磁弁gとキャピラリーチューブhとに置きかえて設けられているほかは従来と全く同様な機能を備えた回路が構成されている。」(同第6頁17行〜第7頁3行) 上記記載及び図面によれば、刊行物1には、 「弁本体1の弁室1c内にて互いに離着することで開閉可能な弁座1dおよび弁体2と、前記弁座および弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスして第1流体口1aと第2流体口1bとをオリフィス体7の漏洩流路7aと多孔体6a、6bとを介して連絡するバイパス流路とを備え、前記多孔体と前記オリフィス体の漏洩流路とで絞り部を構成したことを特徴とする双方向型電磁弁。」 が記載されている。 刊行物2には、以下の事項が図面とともに記載されている。 ・「本発明は、空調装置に用いられる空調装置用冷媒減圧器に関するものである。」(第1頁左下欄16〜17行) ・「本発明の空調装置用冷媒減圧器の特徴は、空調装置に用いられる空調装置用冷媒減圧器において、空孔が連通した円柱状の発泡金属を、パイプ内に挿入して固定した空調装置用冷媒減圧器にある。」(第2頁左上欄6〜9行) ・「前記した発泡金属6としては、たとえば外径17mm,長さ30mmの粉末焼結体(黄銅,多孔率15%,孔径0.1mm)、またパイプ7としては、たとえばストレートな無酸素銅パイプ(焼きなまし材,外径19mm,内径17mm,長さ50mm)が好適な組合せの一例である。」(第2頁右上欄9〜14行) ・「そして、6aは多孔率が15%,6bは30%,6cは50%の発泡金属であって、これらの発泡金属6a,6b,6cを層状に組合せて、空孔が連通する円柱状の発泡金属を構成したものである。 本実施例の空調装置用冷媒減圧器も、前記第2図に係る実施例と同様に成形することができる。 このように、多孔率の異なる2種類以上の発泡金属を層状に組合せることによって、任意の流路抵抗を有する空調装置用冷媒減圧器を成形することができる。」(第3頁左上欄11〜同頁右上欄1行) 刊行物3には、以下の事項が図面とともに記載されている。 ・「凝縮器と蒸発器間の冷媒通路内に、通気性金属発泡体からなる減圧装置を設けたことを特徴とする、冷凍装置。」(実用新案登録請求の範囲) ・「本考案はこのような不都合を解消した冷凍装置を提供することを目的とするものであって、立体の金属発泡体(該発泡体は連続気泡体である)により冷凍装置の減圧装置の一部または全部を構成したことを特徴とする。」(明細書第2頁7〜11行) ・「この金属発泡体6は、連続気泡を有する立体状のもので、毛細管4と共働して該冷凍装置が適切な冷凍能力を発揮できるように、その減圧能力(透過率)が選定されることは勿論である。」(明細書第2頁19行〜第3頁2行) ・「このように、本考案によれば、冷媒の液相を急激に気相に変えることができる金属発泡体の使用により、毛細管を短縮或は省略することができる。」(明細書第3頁15〜17行) 刊行物4には、以下の事項が図面とともに記載されている。 ・「本考案はヒートポンプ式エアコン等に用いられるオリフィス内蔵電磁弁に関する。」(明細書第4頁4〜5行) ・「プランジャ7の中心部軸方向において流通孔7aが貫通して形成され、弁座ldに対向する下端部分が弁体vを構成している。流通孔7a内において、下端の段部7bに支持されて盤状多孔体8が設けられ、その上に支持杆部9aが当接した状態で螺旋流路形成体9が設けられ、その上に更に盤状多孔体8を積層すると共にバネ受けリング9により固定される。吸引鉄心4の中心部から下方に延長して設けられた緩衝棒10の中間段部10aとバネ受けリング9間には圧縮コイルバネ11が設けられ、該圧縮コイルバネ11によりプランジャ7乃至弁体vは常時弁座ld方向に付勢されている。螺旋流路形成体9の外周部には雄螺子部9aが形成され、該雄螺子部9aとプランジャ管2の流通孔7aを形成する内周面との間で螺旋流路状オリフィスP′を形成する。 【0009】 上記構成において、図1に示される弁閉時には、第1流体口1aから流入する流体はプランジャ7とプランジャ管2の内周面間の隙間をもって形成される漏洩流路P1を上昇してからプランジャ7の流通孔7aによって形成される漏洩流路P2を下って第2流体口1bに向って流れるもので、漏洩流路P2においては2個の盤状多孔体8,8と共に螺旋流路状オリフィスP′により抵抗を受けて流体の流出に伴う擦過音の発生が効果的に抑制される。」(明細書第6頁3〜19行) 刊行物5には、以下の事項が図面とともに記載されている。 ・「図に示すように膨張弁105は配管111,111aと接続されている。膨張弁105の内部には、多孔質性からなる多孔体1を設け、この多孔体に接合させてオリフィス部109,109aを配置する。また、膨張弁105の中心部には上下方向に移動する絞り部110があり、絞り部110がオリフィス部109とで開閉作用を行うことになる。 【0020】上記構成により、膨張弁105に接続された配管111より流れてきた冷媒106は、流動状態が気泡魂を伴う流れであるため、膨張弁105の配管111側に配置した多孔体1を通過する際、気相、液相がそれぞれ混ざり合った流動状態に移行され、オリフィス部109内を通過する。オリフィス部109を通過した冷媒106は、絞り部110に到達したときは、圧力脈動が連続的になっているため均圧された冷媒106は、絞り部110により減圧膨張される。減圧膨張された冷媒は、オリフィス部109aを通り、多孔体laを通過する際、気相、液相がそれぞれ混ざり合った流動状態に再び移行されるため、圧力脈動が連続的になり、均圧された冷媒106状態なって膨張弁105から出ていくことになる。」(第3頁第3欄42行〜第4欄13行) 2-3 対比・判断 ・本件発明16について 本件発明16と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された「弁座1d」は、本件発明16の「主弁座」に相当し、以下同様に「弁体2」は「主弁体」に、「多孔体6a、6b」は「多孔質透過材」に、「オリフィス体7」は「オリフィス」に、「双方向型電磁弁」は「絞り装置」に、それぞれ相当し、刊行物1に記載された多孔体6a、6bも当然冷媒流れ方向に連通する通気孔を有しているから、両者は、 「弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する通気孔を有する多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられたオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 [相違点]本件発明16は、多孔質透過材の通気孔径を100マイクロメートルから500マイクロメートルとするとともにオリフィスの内径を0.5ミリメートルから3ミリメートルとしたのに対して、刊行物1に記載された発明では、多孔質透過材の通気孔径及びオリフィスの内径について限定していない点。 上記相違点について検討すると、刊行物2に、空調装置用冷媒減圧器として使用する発泡金属の孔径(本件発明の「通気孔径」に相当する。)を0.1mm(100マイクロメートル)とすることについての記載があるものの、刊行物2〜5の何れにも上記相違点における本件発明16の、多孔質透過材の通気孔径を100マイクロメートルから500マイクロメートルとするとともにオリフィスの内径を0.5ミリメートルから3ミリメートルとした点について記載されておらず、示唆もされていない。 そして、本件発明16は、上記構成を有することにより、明細書記載の格別の作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明16は、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 ・本件発明17、18、21、22について 本件発明17、18、21は、請求項16を引用し、また、本件発明22は請求項21引用し、それぞれ、さらに、構成を付加、限定するものであるから、本件発明16と同様に刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 ・本件発明25について 本件発明25と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された「弁本体1及び該弁本体に設けられた弁座1dを開閉する弁体2からなる電磁弁」は、本件発明25の「二方弁」に相当し、以下同様に「多孔体6a、6b」は「多孔質透過材」に、「オリフィス体7」は「オリフィス」に、それぞれ相当する。また、「多孔体6a、6b及びオリフィス体7」は本件発明25の「絞り部」に相当し、また、該絞り部は、弁体2が弁座1dを閉じたときにも冷媒が流れるから、弁体2で開閉される冷媒流路とは並列に接続された流路である。 したがって、両者は、 「二方弁と、冷媒流れ方向に連通する通気孔を有する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部にオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。」である点で一致し、本件発明16との相違点である上記相違点と同一の点で相違する。 上記相違点については、本件発明16の検討で述べたとおりである。 そして、本件発明25は、上記構成を有することにより、明細書記載の格別の作用効果を奏するものである。 したがって、本件発明25は、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 ・本件発明26、27について 本件発明26、27は、請求項25を引用し、さらに、構成を付加、限定するものであるから、本件発明25と同様に刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 ・本件発明28について 本件発明28は、請求項16〜18、21、22、25〜27、及び特許異議申立がされていない請求項1〜15、19、20、23、24を引用し、さらに、構成を付加、限定するものであるから、刊行物1〜5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 3.むすび 以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明についての特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 絞り装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 周方向に回転する円柱状または円盤状の可動部と、この可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材より成る絞り部とを備えたことを特徴とする絞り装置。 【請求項2】 前記可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に貫通する貫通流路を備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項3】 前記可動部に形成され前記回転により冷媒の流れを遮断する遮断部を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の絞り装置。 【請求項4】 前記貫通流路はその周囲壁を前記多孔質透過材で形成したことを特徴とする請求項2記載の絞り装置。 【請求項5】 前記可動部の周面側に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたこを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項6】 前記可動部の回転軸方向に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項7】 前記絞り部を複数備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項8】 前記可動部は絞り部のみ多孔質透過材で構成したことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項9】 前記可動部は全体を多孔質透過材で構成したことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項10】 前記可動部の回転により選択可能な異なる流動抵抗の絞り部を備えたことを特徴とする請求項1記載の絞り装置。 【請求項11】 前記異なる流動抵抗の絞り部は流動抵抗の順に前記可動部の回転方向に配置されたことを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項12】 前記異なる流動抵抗の絞り部が連続していることを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項13】 前記異なる流動抵抗の絞り部が断続して配列していることを特徴とする請求項10記載の絞り装置。 【請求項14】 前記異なる流動抵抗の絞り部間に仕切りを設けたことを特徴とする請求項6記載の絞り装置。 【請求項15】 前記可動部をステッピングモータで回転駆動することを特徴とする請求項7および10乃至14の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項16】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したことを特徴とする絞り装置。 【請求項17】 前記オリフィスの直前に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項18】 前記オリフィスの直後に多孔質透過材を備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項19】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とが略面一であることを特徴とする絞り装置。 【請求項20】 弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたことを特徴とする絞り装置。 【請求項21】 弁室側部に形成され、主弁体移動方向に垂直な冷媒流入口と、この冷媒流入口からの冷媒流を拡散する拡散部材とを備えたことを特徴とする請求項16記載の絞り装置。 【請求項22】 前記拡散部材を主弁体としたことを特徴とする請求項21記載の絞り装置。 【請求項23】 弁室側壁に第1流路が開口する弁本体と、弁室底面に第2流路が開口する主弁座と、弁室内に前記主弁座を閉止できる主弁体とを備え、前記主弁体および主弁座で主絞り部を構成し、前記主絞り部の直前または直後に多孔質透過材を用いた補助絞り部を構成し、少なくとも前記主弁座側の流路に前記主弁体と当接する補助絞り部を設けたことを特徴とする絞り装置。 【請求項24】 前記主弁体先端の周囲の角を落とし、前記補助絞り部との当接時に前記主弁座とでオリフィス部を構成することを特徴とする請求項23記載の絞り装置。 【請求項25】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたことを特徴とする絞り装置。 【請求項26】 多孔質透過材の厚さを1から100ミリメートルの範囲としたことを特徴とする請求項25記載の絞り装置。 【請求項27】 多孔質透過材がオリフィスを挟み込んだ状態としたことを特徴とする請求項25乃至請求項26の何れか1項に記載の絞り装置。 【請求項28】 多孔質透過材を焼結金属としたことを特徴とする請求項1乃至請求項27の何れか1項に記載の絞り装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、冷媒の流動制御に好適で、冷媒流動音を低減する絞り装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来の空気調和装置では、空調負荷の変動に対応するためにインバーターなどの容量可変型圧縮機が用いられ、空調負荷の大小に応じて圧縮機の回転周波数が制御されている。ところが冷房運転時に圧縮機回転が小さくなると蒸発温度も上昇し、蒸発器での除湿能力が低下したり、あるいは蒸発温度が室内の露点温度以上に上昇し、除湿できなくなったりする問題点があった。 【0003】 この冷房低容量運転時の除湿能力を向上させる手段としては次のような空気調和装置が考案されている。図27は例えば特開平11-51514号公報に示された従来の空気調和装置の冷媒回路図を、図28は図27に備えられた一般的な絞り弁の断面図を示す。図において1は圧縮機、2は四方弁、3は室外熱交換器、4は第1流量制御装置、5は第1室内熱交換器、6は第2流量制御装置、7は第2室内熱交換器であり、これらは配管で順次接続され冷凍サイクルを構成している。 【0004】 次に従来の空気調和装置の動作について説明する。冷房運転では、圧縮機1を出た冷媒は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で凝縮液化し、第1流量制御装置4の二方弁18は閉じられているため、絞り装置19で減圧され室内熱交換器5において蒸発気化し再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。また、暖房運転では圧縮機1を出た冷媒は冷房運転とは逆に四方弁2を通過して、室内熱交換器5で凝縮液化し、第1流量制御装置4の二方弁9は閉じられているため主絞り装置8で減圧され室外熱交換器3において蒸発気化し再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。 【0005】 一方、除湿運転時には、第1流量制御装置4の主絞り装置8は閉じられ、二方弁9を開け第2流量制御弁6で冷媒流量を制御することにより、第1室内熱交換器が凝縮器すなわち再熱器、第2室内熱交換器7が蒸発器として動作し、室内空気は第1室内熱交換器で加熱されるため、室温の低下が小さい除湿運転が可能となる。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 上記のような従来の空気調和装置では、室内ユニット内に設置する第2流量制御弁として、通常、オリフィスを有する流量制御弁を用いているため、このオリフィスを冷媒が通過する時に発生する冷媒流動音が大きく、室内環境を悪化させる要因となっていた。特に除湿運転時には第2流量制御弁の入口が気液二相冷媒となり、冷媒流動音が大きくなるという問題があった。 【0007】 この除湿運転時の第2流量制御弁の冷媒流動音低減策としては、特開平11-51514号公報に示された流量制御弁内に複数の切り込み溝と弁体からなるオリフィス状の絞り流路を設けたものがある。ところがこの冷媒流動音低減策では絞り部が複数のオリフィス形状の流路で気液二相冷媒を連続的に流すように工夫したものであるが、加工上配置し得る流路数が有限であるため効果的ではなく冷媒流動音が大きくなるといった問題があった。その結果、第2流量制御装置の周囲に遮音材や制振材を設けるなどの追加の対策を必要とし、コスト増加や設置性の悪化およびリサイクル性の悪化などの問題もあった。 【0008】 これに対し、特開平7-146032号公報に示された空気調和装置で用いられている流量制御装置では、図29の断面図に示すように冷媒流動音を低減するために絞りの上流および下流側にフィルタとして多孔体25を設けてある。しかしながら、多孔体と絞り部(10、14)の間にオリフィス16があり距離が離れているため、気液二相冷媒を連続的に絞り部に効果的に供給することはできず、冷媒流動音が大きくなるといった問題があった。 【0009】 本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、冷媒の流動制御に好適で、冷媒流動音を低減できる絞り装置を得ることを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 この発明に係る絞り装置は、周方向に回転する円柱状または円盤状の可動部と、この可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材より成る絞り部とを備えたものである。 【0011】 また、前記可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に貫通する貫通流路を備えたものである。 【0012】 また、前記可動部に形成され前記回転により冷媒の流れ遮断する遮断部を備えたものである。 【0013】 また、前記貫通流路はその周囲壁を前記多孔質透過材で形成したものである。 【0014】 また、前記可動部の周面側に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたものである。 【0015】 また、前記可動部の回転軸方向に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたものである。 【0016】 また、前記絞り部を複数備えたものである。 【0017】 また、前記可動部は絞り部のみ多孔質透過材で構成したものである。 【0018】 また、前記可動部は全体を多孔質透過材で構成したものである。 【0019】 また、前記可動部の回転により選択可能な異なる流動抵抗の絞り部を備えたものである。 【0020】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部は流動抵抗の順に前記可動部の回転方向に配置されたものである。 【0021】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部が連続しているものである。 【0022】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部が断続して配列しているものである。 【0023】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部間に仕切りを設けたものである。 【0024】 また、前記可動部をステッピングモータで回転駆動するものである。 【0025】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材と、前記バイパス流路に設けられ0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスとを備え、前記多孔質透過材と前記オリフィスとで絞り部を構成したものである。 【0026】 【0027】 また、前記オリフィスの直前に多孔質透過材を備えたものである。 【0028】 また、前記オリフィスの直後に多孔質透過材を備えたものである。 【0029】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一としたものである。 【0030】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されたものである。 【0031】 また、弁室側部に形成され、主弁体移動方向に垂直な冷媒流入口と、この冷媒流入口からの冷媒流を拡散する拡散部材とを備えたものである。 【0032】 また、前記拡散部材を主弁体としたものである。 【0033】 また、弁室側壁に第1流路が開口する弁本体と、弁室底面に第2流路が開口する主弁座と、弁室内に前記主弁座を閉止できる主弁体とを備え、前記主弁体および主弁座で主絞り部を構成し、前記主絞り部の直前または直後に多孔質透過材を用いた補助絞り部を構成し、少なくとも主弁座側の流路に前記主弁体と当接する補助絞り部を設けたものである。 【0036】 また、前記主弁体先端の周囲の角を落とし、前記補助絞り部との当接時に前記主弁座とでオリフィス部を構成するものである。 【0037】 また、二方弁と、冷媒流れ方向に連通し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたものである。 【0039】 【0040】 また、多孔質透過材の厚さを1から100ミリメートルの範囲としたものである。 【0041】 また、多孔質透過材がオリフィスを挟み込んだ状態としたものである。 【0042】 【0043】 また、多孔質透過材を焼結金属としたものである。 【0044】 【発明の実施の形態】 実施の形態1. 図1はこの発明の実施の形態の一例を示す空気調和装置の冷媒回路図で、従来装置と同様の部分は同一符号で表している。図において、1は圧縮機、2は冷房運転および暖房運転の冷媒の流れを切換える流路切換え手段で例えば四方弁、3は室外熱交換器、4は第1流量制御装置、5は第1室内熱交換器、6は第2流量制御装置、7は第2室内熱交換器であり、これらは配管によって順次接続され冷凍サイクルを構成している。この冷凍サイクルの冷媒には、R32とR125の混合冷媒であるR410Aが用いられ、冷凍機油としてはアルキルベンゼン系油が用いられている。 【0045】 図2は図1に示した空気調和装置の第2流量制御装置の構成断面図を示す図であり、図において、8は第1室内熱交換器5と接続され、冷媒流入口となる配管、9は第2室内熱交換器7と接続され冷媒流出口となる配管、10は主弁体であり円柱状に形成され、円柱中心を軸に周方向に摺動しながら回転する。11は主弁体10を駆動するステッピングモータで、図示しない制御部からの指令に基づいてステッピングモーター11を駆動し主弁体10を調整する。 【0046】 図3は図2に示した第2流量制御装置6の主弁体10の断面図であり、図において、13は主弁体10に形成され、冷媒が流路抵抗を殆ど受けることなく通過可能な貫通流路となる溝である。主弁体10は全体が多孔質透過材で形成され、通気孔(流体が透過できる多孔質体表面及び内部の気孔)の平均直径が40マイクロメートルの焼結金属(以下多孔体12または焼結金属という)で構成されている。焼結金属は、金属粉末あるいは合金粉末を型に入れて加圧成形し、次いで溶融点以下の温度で焼結を行なって製造されたものである。 【0047】 また、主弁体に設けられた溝13は第2流量制御弁6と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9において、それぞれの配管断面積以上の断面積を有する。さらに、ステッピングモータ11を駆動することにより、図4の(b)のごとく、主弁体の溝13が第2流量制御弁と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9の位置まで移動することによって、圧力損失がほとんどない状態で接続することができる。また、同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図4の(a)のごとく、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9が主弁体10の多孔体12を介して接続される。 【0048】 次に本実施の形態による空気調和装置の冷凍サイクルの動作について説明する。図1では冷房時の冷媒の流れを実線矢印で示している。冷房運転は起動時や夏季時など部屋の空調顕熱負荷と潜熱負荷がともに大きい場合に対応する通常冷房運転と中間期や梅雨時期のように空調顕熱負荷は小さいが、潜熱負荷が大きな場合に対応する除湿運転に分けられる。通常冷房運転は、第2流量制御装置6のステッピングモーター11を駆動することにより、主弁体10の溝13が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9の位置に固定されている。 【0049】 この時、空調負荷に応じた回転数で運転されている圧縮機1を出た高温高圧の蒸気冷媒は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で凝縮液化し、第1流量制御装置4で減圧され低圧二相冷媒となって第1室内熱交換器5に流入し蒸発気化し、第2流量制御装置6を大きな圧力損失なしに通過し再び第2室内熱交換器7で蒸発気化し、低圧蒸気冷媒となって再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。 【0050】 第2流量制御装置は図4(b)に示すように主弁体10の溝13が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9の位置にあるため、この第2流量制御装置を通過する冷媒はほとんど圧力損失がないため冷房能力や効率低下などは起こらない。また、第1流量制御装置は例えば圧縮機1の吸入部分で冷媒の過熱度が10℃となるように制御されている。このような冷凍サイクルでは室内熱交換器5で冷媒が蒸発することにより室内から熱を奪い、室外熱交換器3で冷媒が凝縮することによって室内で奪った熱を室外で放出することによって室内を冷房する。 【0051】 次に除湿運転時の動作について、図5に示す圧力-エンタルピー線図を用いて説明する。なお、図5に示した英文字は、図1に示した英文字と対応している。この除湿運転時は、図示しない制御部が第2流量制御装置のステッピングモーターを駆動し、主弁体10を図4(a)に示すように主弁体10の溝13以外の部分が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部が密着する位置にある。 【0052】 この時、空調負荷に応じた回転数で運転されている圧縮機1を出た高温高圧の蒸気冷媒(A点)は四方弁2を通過して、室外熱交換器3で外気と熱交換して凝縮し気液二相冷媒となる(B点)。この高圧二相冷媒は第1流量制御装置4で若干減圧され、中間圧の気液二相冷媒となって第1室内熱交換器5に流入する(C点)。第1室内熱交換器に流入した中間圧の気液二相冷媒は、室内空気と熱交換を行いさらに凝縮する(D点)。第1室内熱交換器を流出した気液二相冷媒は第2流量制御装置6に流入する。 【0053】 第2流量制御装置6では図4(a)に示すように主弁体10が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部に密着する位置にあるため、主弁体10を成す多孔質透過材の通気孔を通って第2室内熱交換器7に流入する。この主弁体10の通気孔は40マイクロメートル程度でありこの通気孔を通る冷媒は減圧されて、低圧の気液二相冷媒となって、第2室内熱交換器7に流入する(E点)。第2室内熱交換器7に流入した冷媒は、室内空気の顕熱および潜熱を奪って蒸発する。第2室内熱交換器を出た低圧蒸気冷媒は再び四方弁2を介して圧縮機1に戻る。室内空気は、第1室内熱交換器5で加熱され、第2室内熱交換器7で冷却除湿されるため、部屋の室温低下を防ぎながら除湿を行うことができる。 【0054】 なお、この除湿運転では、圧縮機1の回転周波数や室外熱交換器3のファン回転数を調整して、室外熱交換器3の熱交換量を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御して吹出し温度を広範囲に制御できる。また、第1流量制御装置4の開度や室内ファン回転数を制御して第1室内熱交換器の凝縮温度を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御することもできる。また、第2流量制御装置6は例えば圧縮機吸入冷媒の過熱度が10℃となるように制御される。 【0055】 この実施の形態では主弁体10を焼結金属で構成したため、気液二相冷媒が通過する際に発生する冷媒流動音を大幅に低減できる。通常のオリフィスタイプの流量制御装置に気液二相冷媒が通過する際には、大きな冷媒流動音が発生する。特に気液二相冷媒の流動様式がスラグ流となる場合に大きな冷媒流動音が発生することが知られている。この原因は気液二相冷媒の流動様式がスラグ流の場合は、図6に示すように流れ方向に対して蒸気冷媒が断続的に流れ、絞り部流路より大きな蒸気スラグもしくは蒸気気泡が絞り部流路を通過する際に絞り部流路上流の蒸気スラグもしくは蒸気気泡が崩壊することにより、それらが振動することや、絞り部を蒸気冷媒と液冷媒が交互に通過するため、冷媒の速度は蒸気冷媒が通過する際は速く、液冷媒が通過する際は遅くなるため、それに伴って圧力も変動するためである。また、従来の第2流量制御装置6出口においては出口流路が1ヶ所〜4ヵ所であるため冷媒流速が速く、出口部分では流れに渦が発生し噴流騒音も大きくなっている。 【0056】 図2に示した第2流量制御装置6では気液二相冷媒や液冷媒は焼結金属で構成されている主弁体10の微細で無数の通気孔を通過し減圧される。そのため、蒸気スラグや蒸気泡が崩壊することは無い。また、蒸気冷媒と液冷媒が同時に絞り部を通過するため冷媒の速度変動が生じず、圧力も変動しない。従来のオリフィスでは流路が1ヶ所であるが、焼結金属では内部の流路が複雑に構成され、この内部で圧力が低下している。焼結金属のような多孔体は内部において流速変動は圧力変動として繰り返され一部熱エネルギに変換しながら圧力変動を一定にする効果がある。これを一般に吸音効果と言い、音を消すメカニズムと考えられる。また、多孔体内部で冷媒の流速が十分に減速され、一定となるため、絞り部出口部も流れに渦が発生することも無く噴流騒音も小さくなる。 【0057】 このため、従来装置で必要であった、遮音材や制振材を絞り装置6の周囲に巻きつけるなどの対策も不要でコスト低減となり、さらに空気調和装置のリサイクル性も向上する。なお、上述した気液二相冷媒に起因する冷媒流動音の課題に関しては空気調和器に限定されることなく、冷蔵庫などの冷凍サイクル一般についての課題であり、本実施の形態の絞り装置はこのような冷凍サイクル一般に広く適用することで、同様の効果が得られる。 【0058】 冷房除湿運転時の第2流量制御装置6の流量特性(冷媒流量と圧力損失の関係)は主弁体10に用いる多孔体の径や冷媒が通過する流路長さおよび多孔体の空隙率(単位体積あたりの隙間容積)を調整することによって調整することができる。 すなわちある冷媒流量を小さな圧力損失で流す場合は多孔体の通気孔径を大きくしたり(多孔体の素子を大きくする)、流路長さを短くしたり(弁本体を短くする)、空隙率が大きい多孔体を用いれば良い。また、逆にある冷媒流量を大きな圧力損失で流す場合は多孔体の通気孔径を小さくしたり(多孔体の素子を小さくする)、流路長さを長くしたり(弁本体を長くする)、空隙率が小さい多孔体を用いれば良い。このような主弁体に用いる多孔体の通気孔の径や弁本体の形状は、機器設計時に最適に設計される。 【0059】 なお、主弁体に用いる多孔体の素子は、焼結金属(金属粉末あるいは合金粉末を型に入れて加圧成形し、融点以下の温度で焼結を行って製造されたもの)やセラミック、発泡金属および発泡樹脂などを用いる。 【0060】 また、主弁体10をステッピングモーター11で駆動することが出来るため、絞り部入口部の主弁体10がサイクル内の異物により目詰まりを起こしたとしても、モーターを駆動することによって新たな面を入口部に移動することにより、目詰まりによる性能低下を防止することが出来る。さらに、主弁体全面の多孔体入口部が目詰まりを起こしたとしても、主弁体10には溝13を設けているため絞り部入口に一部溝の部分を含む位置に主弁体10をモーターにより駆動することによって絞り装置としての機能を保つことができ、絞り装置としての信頼性を十分に持っているため、空気調和装置としても十分な信頼性を持ったものを提供することが出来る。 【0061】 次に、この実施の形態の空気調和装置の運転制御法について説明する。空気調和装置には、部屋内に居る居住者の好みの温湿度環境を設定するために、例えば設定温度と設定湿度が空調装置運転時に設定される。なおこの設定温度と設定湿度は、居住者がそれぞれの設定値を室内ユニットのリモコンから直接入力してもよく、また暑がりの人用、寒がりの人用や子供用、老人用など室内ユニットのリモコンに対象とする居住者別に定めた温度および湿度の最適値テーブルを記憶させ、対象居住者のみを直接入力するようにしてもよい。また室内ユニット22には、室内の温度および湿度を検知するために、室内ユニットの吸い込み空気の温度および湿度を検出するセンサーがそれぞれ設けられている。 【0062】 空気調和装置が起動されると、設定温度と現在の室内吸込み空気温度との差を温度偏差、設定湿度と現在の室内吸込み空気湿度との差を湿度偏差として演算し、最終的にこれらの偏差がゼロあるいは所定の値以内となるように空気調和装置の圧縮機1の回転周波数、室外ファン回転数、室内ファン回転数、第1流量制御弁4の絞り開度、および第2流量制御弁6の開閉を制御する。この時、温度および湿度偏差をゼロあるいは所定の値以内に制御する際には、温度偏差を湿度偏差よりも優先して空気調和装置の制御を行なう。 【0063】 すなわち、空気調和装置起動時に、温度偏差および湿度偏差がともに大きい場合は、第2流量制御弁6を図4(b)に示すように主弁体10の溝13が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9の位置となるよう制御部が指示する。この第2流量制御装置を通過する冷媒はほとんど圧力損失がないため冷房能力や効率低下などは起こらない。このように第2流量制御弁6を開状態とし、まず通常冷房運転で、室内の温度偏差を優先的にゼロまたは所定の値以内となるように運転する。空気調和装置の冷房能力が部屋の熱負荷と一致し、温度偏差がゼロまたは所定の値以内となった場合に、湿度偏差を検出し、この時、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内となっている場合は、現在の運転を続行する。 【0064】 温度偏差がゼロまたは所定の値以内となり、この時の湿度偏差がまだ大きな値となっている場合は、第2流量制御弁6を図4(a)に示すように主弁体10の溝13以外の部分が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部と密着する位置にする。このように第2流量制御弁6を絞り、冷房除湿運転に切換える。この冷房除湿運転では、室内の温度偏差がゼロまたは所定の値以内を維持できるように、第2室内熱交換器7の加熱量を制御するとともに、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内に入るように、第1室内熱交換器5の冷却除湿量を制御する。第2室内熱交換器7の加熱量の制御には、室外熱交換器3のファン回転数や第1流量制御弁4の開度などによって調整する。また第1室内熱交換器5の冷却除湿量の制御には、圧縮機1の回転周波数や室内ユニット22のファン回転数などによって制御する。 【0065】 このようにこの実施の形態では、冷房運転時の部屋の負荷に応じて、冷媒回路を通常冷房運転と冷房除湿運転に切換えることにより、部屋内の温湿度環境を、居住者の好みに応じて最適な状態に制御することができる。また、冷房、除湿、暖房などのモードの変化や空調負荷の変化により絞り装置を通過する冷媒の相状態や気液の混在比が変化しても多孔体12の焼結金属内を冷媒が低騒音で安定的に流れることができる。 【0066】 実施の形態2. 以下、本発明の実施の形態2による空気調和装置について説明する。本実施の形態は、暖房運転に関するもので、空気調和機を構成する冷媒回路は、例えば実施の形態1での図1と同様であり、第2流量制御弁6の構造は図2と同様である。本実施の形態による空気調和装置の暖房時の動作について説明する。図1では暖房時の冷媒の流れを破線矢印で示している。通常の暖房運転は、第2流量制御弁6を図4(b)に示すように主弁体10の溝13が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9の位置となるよう制御部が指示する。 【0067】 このとき圧縮機1を出た高温高圧の冷媒蒸気は、四方弁2を通って第2室内熱交換器7および第1室内熱交換器5に流入し、室内空気と熱交換して凝縮、液化する。なお第2流量制御弁6は、図4(b)に示すように配管8と配管9とが大きな開口面積で接続されているので、この弁を通過する際の冷媒圧力損失はほとんどなく、圧力損失による暖房能力や効率面での低下もない。第1室内熱交換器5を出た高圧の液冷媒は、第1流量制御弁4で低圧に減圧され、気液二相冷媒となって室外熱交換器3で室外空気と熱交換して蒸発する。室外熱交換器3を出た低圧の蒸気冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1に戻る。この通常冷房運転時の第1流量制御弁4の開度は、例えば室外熱交換器3の出口冷媒の過熱度が5℃となるように制御されている。 【0068】 次に暖房除湿運転時の動作について、図1に示した英文字と対応させて説明する。この暖房除湿運転時は、第2流量制御弁6を図4(a)に示すように主弁体10が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部に密着する位置となるよう制御部が指示する。この時、圧縮機1を出た高温高圧の冷媒蒸気(F点)は、四方弁2を通って第2室内熱交換器7流入し、室内空気と熱交換して凝縮する(E点)。この高圧の液冷媒あるいは気液二相冷媒は、第2流量制御弁6に流入する。 【0069】 第2流量制御弁6では図4(a)に示すように主弁体10が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部に密着しているため、この弁に流入した冷媒は、焼結金属で構成されている主弁体24内の通気孔を通って第1室内熱交換器5に流入する。この主弁体10の通気孔は40マイクロメートル程度であり、この通気孔を通る冷媒は減圧されて、中間圧の気液二相冷媒となって、第1室内熱交換器5に流入する(D点)。この第1室内熱交換器5に流入した冷媒の飽和温度は室内空気の露点温度以下であり、室内空気の顕熱および潜熱を奪って蒸発する(C点)。第1室内熱交換器5を出た中間圧の気液二相冷媒は、第1流量制御弁4に流入し、低圧まで減圧され、さらに室外熱交換器3に流入し、室外空気と熱交換して蒸発する。室内外熱交換器4を出た低圧の蒸気冷媒は、四方弁2を通って再び圧縮機1に戻る。 【0070】 この暖房除湿運転では、室内空気は、第2室内熱交換器7で加熱されるとともに、第1室内熱交換器5で冷却除湿されるため、部屋を暖房しながら除湿を行うことができる。また暖房除湿運転では、圧縮機1の回転周波数や室外熱交換器3のファン回転数を調整して、室外熱交換器3の熱交換量を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の加熱量を制御して吹出し温度を広範囲に制御できる。また第1流量制御弁7の開度や室内ファン回転数を調整して、第1室内熱交換器5の蒸発温度を制御し、第1室内熱交換器5による室内空気の除湿量を制御することもできる。また第2流量制御弁4の開度は、例えば第2室内熱交換器7の出口冷媒の過冷却度が10℃となるように制御されている。 【0071】 このように本実施の形態では、焼結金属を弁本体として用いた第2流量制御弁を用いているため、暖房時の除湿運転が可能となるとともに、この暖房除湿運転時の冷媒流動音の発生を防止でき、温湿度環境および騒音面でも快適な空間が実現できる。 【0072】 また、暖房起動時などに第2流量制御弁6を図4(a)に示すように主弁体10が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部に密着させ絞ることにより、暖房吹出し温度を高温化することも可能となる。すなわち、暖房起動時に上記暖房除湿サイクルを形成し、第1室内熱交換器5の蒸発温度を室内の吸込み空気温度とほぼ等しくなるように第2流量制御弁で制御する。第1室内熱交換器5の蒸発温度が室内の吸込み空気温度とほぼ等しいため、第1室内熱交換器5ではほとんど冷却および除湿は行なわれず、結果として暖房時の凝縮器の伝熱面積が通常の暖房運転の約半分になり、このため凝縮温度は通常の暖房運転よりも上昇し、吹出し温度の高温化が可能となる。さらにこの暖房高温吹出し運転時でも、第2流量制御弁6での冷媒流動音発生はなく、騒音面でも問題となることはない。 【0073】 次に、この実施の形態の空気調和装置の具体的な暖房運転制御法の一例について説明する。この空気調和装置には、実施の形態1で説明したように、設定温度と設定湿度および吸込み空気温度と湿度が入力されている。この空気調和装置は、暖房起動時に高温吹出し運転運転を所定の時間、たとえば5分間行ない、その後通常暖房運転に移行する。この後、部屋の温度偏差および湿度偏差に応じて、通常暖房運転と暖房除湿運転を切換制御される。 【0074】 暖房運転起動時は、第2流量制御弁6を図4(a)に示すように主弁体10が第2流量制御装置と第1室内熱交換器5と接続される配管8の端部と第2室内熱交換器7と接続される配管9の端部に密着させた絞り状態とし、圧縮機1を起動する。この時、第1室内熱交換器5での冷却除湿能力がゼロとなるように、室外熱交換器3のファン回転数や第1流量制御弁4の弁開度などを調整して、第1室内熱交換器5の蒸発温度が、吸込み空気温度と等しくなるように制御する。圧縮機起動から所定の時間である5分間が経過すると、第2流量制御弁6を図4(b)に示すような開状態とし、通常暖房運転に移行する。 【0075】 この時、温度偏差がゼロまたは所定の値以内となるように、圧縮機1の回転周波数や、室内ファンの回転数、室外ファンの回転数を調整する。この暖房通常運転により温度偏差がゼロまたは所定の値以内となった場合は、湿度偏差を検出し、この湿度偏差がゼロまたは所定の値以内の場合、および湿度偏差が所定の値以上であっても、加湿を必要とする場合には、通常暖房運転を継続する。一方、湿度偏差がゼロまたは所定の値以上であり、除湿を必要とする場合には、第2流量制御弁6を図4(a)に示すような絞り状態とし、暖房除湿運転を行なう。 【0076】 この暖房除湿運転では、室内の温度偏差がゼロまたは所定の値以内を維持できるように、第2室内熱交換器7の加熱量を制御するとともに、湿度偏差がゼロまたは所定の値以内に入るように、第1室内熱交換器5の冷却除湿量を制御する。第2室内熱交換器7の加熱量の制御には、圧縮機1の回転周波数や室内ユニット22のファン回転数などによって制御する。また第1室内熱交換器5の冷却除湿量の制御には、室外熱交換器3のファン回転数や第1流量制御弁4の開度などによって調整する。 【0077】 このようにこの実施の形態では、暖房運転時の運転時間や部屋の負荷に応じて、冷媒回路を暖房高温吹出し運転や通常暖房運転、暖房除湿運転に切換えることにより、部屋内の温湿度環境を、居住者の好みに応じて最適な状態に制御することができる。 【0078】 実施の形態3. 図7はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置の構成断面図であり、図8は図7に示す第2流量制御装置の主弁体10の断面図であり、図2および図3に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、主弁体10は通常用いられるの樹脂もしくは金属の芯部分10aに多孔体12を組み込んでいる。 【0079】 図示しない制御部からの指示でステッピングモータ11を駆動して、主弁体10を図9の(a)の位置にすることで、主弁体の溝13が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9を圧力損失がほとんどなしに接続することができる。また、同様にステッピングモ一夕11を駆動することにより、図9の(b)のごとく、主弁体10の多孔体12が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに12bの位置で対面し、通気孔を介して接続される。同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図9の(c)のごとく、主弁体10の多孔体12が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに多孔体12cの位置で対面し、通気孔を介して接続される。同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図9の(d)のごとく、主弁体10の遮断部10dが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに対面し、流路を遮断する。 【0080】 図3に示した実施の形態のように主弁体10全体を焼結金属で成形するよりも、本実施の形態で示したように主弁体10の一部を焼結金属で形成する方が材料費は安価で冷媒流動音の発生しない第2流量制御装置6を得ることができる。また、芯部10aによって溝13が多孔湿透過体12と連通状態にならないため、図9(a)の開状態では冷媒が多孔質透過体12に流れ込むことがなく、多孔質透過体12の耐久性を向上させることができる。 【0081】 さらに、空調負荷が空気調和装置の圧縮機1の回転数を最小にした能力よりも小さい場合など、圧縮機1が発停を繰り返すような断続運転となった場合に、本実施の形態で示した主弁体10のように樹脂または金属面を有する遮断部10dを対面さて図9の(d)のごとく、全閉とすることにより、圧縮機停止時に室外熱交換器3内の圧力と室内熱交換器5内の圧力を運転中の状態に保ち、次回圧縮機1が起動する際の立ちあがり性能を向上させることにより省エネルギー運転を実現することが出来る。 【0082】 実施の形態4. 図10はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置の構成断面図であり、図11はこの発明の実施の形態の他の例を示す第2流量制御装置の主弁体10の断面図であり、図2および図3に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、主弁体10は通常用いられる樹脂もしくは金属に焼結金属を弁体中心に対して連続的に焼結金属が厚くなるように組み込んでいる。 【0083】 図示しない制御部からの指示でステッピングモータ11を駆動して、主弁体10を図12の(a)のごとく、主弁体の溝13が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とを結ぶ接続流路を形成するような位置にする。こに状態では圧力損失がほとんどなしに接続することができる。また、同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図12の(b)のごとく、主弁体10の多孔体12が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに流動抵抗が大きな多孔体12の薄肉部である12bと対面する位置となり、通気孔を介して接続される。 【0084】 また、同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図12の(c)のごとく、主弁体10の多孔体12が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに流動抵抗が小さな多孔体12の厚肉部である12cと対面する位置となり、通気孔を介して接続される。さらに、ステッピングモータ11を駆動することにより、図12の(d)のごとく、主弁体10の遮断部10dが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管8とに対面し、冷媒流路を遮断する。 【0085】 図3に示した実施の形態のように主弁体10全体を焼結金属で成形するよりも、本実施の形態で示したように主弁体10の一部を焼結金属で形成する方が材料費は安価で冷媒流動音の発生しない第2流量制御装置を得ることができる。さらに、空調負荷に応じて空気調和装置の圧縮機1の回転数を調整した場合など、冷凍サイクルを最も効率良く運転するための第1室内熱交換器5と第2室内熱交換器7の圧力差を第2流量制御装置6のステッピングモーター11で弁体を移動させることによって調整することができる。焼結金属を連続させることにより、主弁体10の加工が簡単になり、また、多孔体12が配管8、9と直接対面する部分とその周囲部分を流路とすることができるので、主弁体10を小型化することができる。 【0086】 実施の形態5. 図13はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置の構成断面図であり、図14はこの発明の実施の形態の他の例を示す第2流量制御装置の主弁体10の断面図であり、図2および図3に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、主弁体10は通常用いられる樹脂もしくは金属を芯10aとし、そこに通気孔の平均直径が異なる焼結金属の多孔体12d、12e、12fを流動抵抗順に周方向に3種類組み込んみ配置し、それぞれの間を芯10aと同一素材の仕切り10bで仕切っている。 【0087】 図示しない制御部からの指示でステッピングモータ11を駆動して、主弁体10を図15の(a)のごとく、主弁体の溝13が第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9を圧力損失がほとんどなしに接続することができる。また、同様にステッピングモータ11を駆動することにより、図15の(b)のごとく、主弁体10のうち流動抵抗の小さな多孔体12dが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに対面し、通気孔を介して接続される。 【0088】 さらに、同様にステッピングモータを駆動することにより、図15の(c)のごとく、中くらいの流動抵抗である多孔体12eが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに対面し、通気孔を介して接続される。さらに、同様にステッピングモータを駆動することにより、図15の(d)のごとく、流動抵抗が大きな多孔体12cが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに対面し、通気孔を介して接続される。さらに、同様にステッピングモータを駆動することにより、図15の(e)のごとく、主弁体10の遮断部10dが第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とに対面し、冷媒流路を遮断する。 【0089】 図10に示した実施の形態のように通常用いられる樹脂もしくは金属に焼結金属を弁体中心に対して連続的に焼結金属が厚くなるように組み込んで成形するよりも、本実施の形態で示したように主弁体10の3個所に通気孔の平均直径が異なる焼結金属を3種類組み込んで主弁体10形成する方が加工は容易でかつ安価で冷媒流動音の発生しない第2流量制御装置を得ることができる。また、複数の多孔体12を仕切り10bで仕切ることで、各多孔体12の流路断面積を正確に区切ることができ、精度よく流量制御が行なえる。特に本実施の形態のように流動抵抗の異なる多孔体間を仕切り10dで仕切れば、流動抵抗の小さい多孔体へ冷媒が流れ込むことを防止できる。 【0090】 実施の形態6. 図16はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の構成断面図であり、図2に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、主弁体10は通常用いられる樹脂もしくは金属であり、弁室内において主弁体10と弁座14で形成される冷媒流路の空間を円柱上に形成した多孔体12で埋めてある。この焼結金属は通気孔の平均直径が0.5マイクロメートルから200マイクロメートルである。弁座14は弁室内の配管9側で周囲の多孔体12と配管9とを連通状態にする連通口を形成している。 【0091】 電磁コイル15に非通電することにより主弁体10と弁座14が引き離れ、図16の(a)に示すように、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9が大きな開口面積で接続されているのでほとんど圧力損失のない状態でこれら配管間を接続することができる。また、電磁コイル15に通電するすることにより、図16の(b)のように、主弁体10と弁座14を密着させることにより形成される焼結金属の多孔体12の絞り流路へ多孔体12の通気孔を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9たが接続される。 【0092】 この実施の形態では、電磁コイル15で主弁体10の駆動をで行うため、ステッングモータより低コストに低騒音絞り装置を実現することができる。さらに、多孔体を円柱状に構成しているためその加工も容易である。さらに、多孔体の冷媒入口部を大きくすることができるため、目詰まり耐力も大幅に向上している。この実施の形態では多孔体を円柱状に形成した場合について説明したが、弁体10と弁座14で形成される空間に合わせた形状であれば良い。 【0093】 実施の形態7. 図17はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の構成断面図であり、図2に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図18はこの実施の形態の流量制御装置に用いられるオリフィス16の詳細図である。この実施の形態では、主弁体10および弁座14は通常用いられる樹脂もしくは金属で形成され、電磁コイル15の通断電により主弁体10が弁室内を上下方向に移動する。主弁体10と弁座14で形成される弁室内には、弁座14をバイパスして配管9へ至る冷媒流路が筒状の弁座14の周囲に形成されている。 【0094】 冷媒流路には通気孔の径を100マイクロメートルから500マイクロメートルとした焼結金属の多孔体12が弁座14の上端と略面一になるよう一様に設けられ、さらに多孔体12の間に内径0.5ミリメートルで厚さ1ミリメートルのオリフィス16を冷媒の流れ方向に均等に4ヶ所設けてある。オリフィス16は上下の多孔体12に挟まれ、弁室側壁に嵌合されるとともに下側(冷媒流れ下流側の多孔体12が弁室底面に当接することで一定の位置に固定状態となっている。弁座14は弁室内下部(配管9側)には当接せず、冷媒流路と配管9とを連通する一定の間隔が空いているが、弁座14はオリフィス16に固定または一体に成形されることで、上下方向に固定状態にあるオリフィス16によって上記間隔を保持している。 【0095】 電磁コイル15に非通電することにより主弁体10と弁座14が引き離れ、図17の(a)に示すように、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9が弁座14内を通路とする大きな開口面積で接続されているので、ほとんど圧力損失がない状態で接続することができる。また、電磁コイル15に通電するすることにより、図17の(b)のように、主弁体10と弁座14を密着させることにより形成される弁座14周囲の冷媒流路を、焼結金属の多孔体12の通気孔とオリフィス16を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とが接続される。 【0096】 オリフィス16と多孔体12は共に絞り部として機能する。オリフィス16とその上下の多孔体12は密着状態にある。オリフィス16の上部側(冷媒流れ上流側)の多孔体12は気液二相冷媒を混合状態で通過させ、また、オリフィス16によって発生する圧力変動が上流側に伝わることを防止する。オリフィス16の下部側(冷媒流れ下流側)の多孔体12はオリフィス16によって発生する圧力降下はないが、出口側での噴流によって発生する圧力変動が下流側に伝わることを防止する。 【0097】 冷媒流入口となる配管8は弁室の側部に接続され、冷媒は配管8を通じて弁室側部から流入する。その際、弁室の中央には上下方向に主弁体10が位置し、流入した冷媒を拡散する拡散部材としての役割を果たす。このように配管8から流入した冷媒は主弁体10に当たって拡散することで、冷媒が配管8と反対側の弁室内壁に当たって弁室内の配管8と反対側の多孔体12に偏って流入することを防止でき、冷媒流路を有効に使える。また、弁室内壁に当たって拡散させると、弁室内の冷媒が当たる側と配管側(拡散した冷媒が多孔体12に流入する側)とで気液二相冷媒が液体と気体とに分離し、絞り部を流れる冷媒の相状態が均一にならないが、主弁体10が弁室中央で流入冷媒を拡散することで、冷媒の相状態がより均一な状態で多孔体12へ流入する。 【0098】 弁座14の上端部と多孔体12の上面とが略面一なので、弁開時(主弁体10が上方に移動し、弁座14と離れた状態)には、配管8から流入した冷媒が円滑に弁座14内へと流れ込む。また、弁座14の上端部と多孔体12の上面とを略面一とすることで、弁室内の高さ寸法を小さくすることができる。主弁体10は弁座14との当接面周囲の角を落としてあるので、弁閉時(主弁体10と弁座14とが当接した状態)に多孔体12と当接することはなく、多孔体12は主弁体10との当接に耐え得る強度や耐久性を必要としない。弁座14はオリフィス16と一体化され、オリフィス16と多孔体12とが密着しているので、弁座14と多孔体12との位置関係も一定に保たれ、長年の使用によって主弁体10と多孔体12とが当接することはない。 【0099】 この実施の形態では主絞り部をオリフィス16としているため、補助絞り部である焼結金属の多孔体12の通気孔径を大きくすることができるため目詰まり耐力がさらに向上する。また、弁座14とオリフィス16を一体で成形しているため、弁座14の位置決めが容易である。さらに多孔体12がオリフィス16の直前、直後に配置されているため、気液二相冷媒でも連続的に通過させることができ、冷媒流動音の低減が図れる。また、実施の形態ではオリフィス16を4ヶ所の例を示したが、オリフィスの内径と厚さは設計時の流量特性に応じて最適に設計されるため、1ヶ所から無数であっても良い。 【0100】 実施の形態8. 図19はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の構成断面図であり、図2に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。この実施の形態では、主弁体10および弁座14は通常用いられる樹脂もしくは金属であり形成され、主弁体10と弁座14で形成される弁室内の冷媒流路と絞り部出口側直後に通気孔の径を100マイクロメートルから500マイクロメートルとした補助絞り部としての機能を担う焼結金属の多孔体12g、hを設けてある。焼結金属は通気孔の平均直径が100マイクロメートルから500マイクロメートルであり、冷媒の流動抵抗を小さくしてある。 【0101】 主弁体10の先端は周囲の角部が切り落とし形状をした溝13を形成し、また対する弁座14も弁座14に満たされる多孔体12hの主弁体10との当接面よりも低くなるよう構成されている。この結果、主弁体10が多孔体12hと当接した状態で、溝13を介して流路が形成される。この流路は狭く、流路抵抗が大きいため、主絞り部として機能するオリフィス部を構成する。 【0102】 電磁コイル15に非通電することにより主弁体10と弁座14が引き離れ、図19の(a)に示すように、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9が大きな開口面積で接続されているので、焼結金属の多孔体12での圧力損失程度で冷媒流路を接続することができる。また、電磁コイル15に通電するすることにより、図19の(b)のように、主弁体10と弁座14を密着させることにより形成される焼結金属の多孔体12の通気孔と主弁体10と弁座に設けてある溝13で形成されるオリフィス部を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9接続される。 【0103】 この実施の形態では主絞り部をオリフィス16としているため、補助絞り部である焼結金属の多孔体12の通気孔径を大きくすることができるため目詰まり耐力が向上する。 【0104】 実施の形態9. 図20はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置の構成断面図である。図2に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。17は切換え流路であり、電磁コイルまたはステッピングモータにより駆動する。18は第2流量制御装置出口流路で、切替え流路17の回転方向に複数の通過流路を形成し、流動抵抗なく配管9aへと導く通過孔18aと、流動抵抗となる多孔体12が設けられ、減圧して配管9bへと導く絞り部18bとをそれぞれ成す。また、図21は図20のA-A‘断面の図であり、切換え流路の動作を表している。 【0105】 ステッピングモータ11により駆動された切換え流路17が第2流量制御装置出口流路として通過孔18aと接続されると第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とがほとんど圧力損失なしで接続することができる。(図21の(a))また、同様にステッピングモータ駆動することにより、図21の(b)のように、切換え流路17と第2流量制御装置出口流路として絞り部18bと接続することにより、焼結金属の多孔体12の通気孔を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とが接続される。 【0106】 この実施の形態では、多孔体12を絞り部18bの形状に合わせた円柱状に構成しているためその加工も容易であり、低コストで低騒音流量制御装置が実現できる。さらに、多孔体12の冷媒入口部形状の変更が容易であるため流量特性に応じた設計変更が容易である。この実施の形態では多孔体を円柱状に形成した場合について説明したが、弁座14の形状に合わせた形状であれば良い。 【0107】 実施の形態10. 図22はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の構成断面図である。図20または図21に示したものと同一または同様の構成部品には同一符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図23は図21のA-A‘断面の図であり、切換え流路の動作を表している。この実施の形態では第2流量制御装置出口流路のうち、絞り部18b、18cに通気孔の径(流路抵抗)が異なる焼結金属の多孔体12e、12fを組み込んでいる。 【0108】 ステッピングモータにより駆動された切換え流路17が第2流量制御装置出口流路うちの通過孔18aと接続されると第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とがほとんど圧力損失なしで接続することができる。(図23の(a))また、同様にステッピングモータを駆動することにより、図21の(b)のように、切換え流路17と第2流量制御装置出口流路の流路抵抗の小さな絞り部18bを接続することにより形成されると、焼結金属の多孔体12の通気孔を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とが接続される。さらに、ステッピングモータを駆動することにより、図21の(c)のように、切換え流路17と第2流量制御装置出口流路のうち流路抵抗の大きな絞り部18cを接続することにより18bより流動抵抗が大きい焼結金属の多孔体12の通気孔を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とが接続される。 【0109】 この実施の形態では第2流量制御装置出口流路18を3ヶ所とし、2ヶ所に流動抵抗が異なるように通気孔の直径を変えて設置しているので空調負荷に応じて冷媒流量を制御し、冷凍能力を調整することができるため、より快適な除湿運転を可能としている。 【0110】 実施の形態9と形態10では、絞り部に通気孔の径が0.5マイクロメートルから100マイクロメートルの多孔体を用いて説明した。絞り部を通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔体で途中に内径0.5から3ミリメートルのオリフィスを挟み込んで構成する絞り部であっても良い。 【0111】 実施の形態11. 図24はこの発明の実施の形態の他の例を示す空気調和装置の第2流量制御装置6の構成図であり、図において18は二方弁、19は二方弁18をバイパスするバイパス流路となる配管20に形成された絞り部である。また、図25は絞り部19の詳細図であり、図26はその他の実施形態を示す絞り部の詳細図である。図24において、12は多孔体、16はオリフィス、20は配管である。多孔体12はオリフィス16を隙間なく挟み込んだ状態で配管20に圧入されている。多孔体12は通気孔の径を100マイクロメートルから500マイクロメートルで厚さを1ミリメートルから100ミリメートルとした焼結金属の多孔体12間に内径1.0ミリメートルで厚さ1ミリメートルのオリフィス16を1ヶ所設けてある。 【0112】 電磁コイル15に非通電することにより主弁体10と弁座14が引き離れ、図24の(a)に示すように、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9が大きな開口面積で接続されているのでほとんど圧力損失が無い状態で接続することができる。また、電磁コイル15に通電することにより、図24の(b)のように、主弁体10と弁座14を密着させることにより、絞り部19で形成される焼結金属の多孔体12の通気孔を介して、第1室内熱交換器5と接続される配管8と第2室内熱交換器7と接続される配管9とが接続される。 【0113】 この実施の形態では絞り装置を二方弁と組み合わせたため、絞り部19の構造が簡易化され低コストで低騒音絞りが実現できる。また、多孔体12とオリフィス16は隙間なく配管20内に設けてあるので、気液二相冷媒を均質に混合したまま、オリフィスに流入させることができ、圧力変動を抑え、冷媒流動音を低減することができる。また、実施の形態ではオリフィス16を1ヶ所の例を示したが、オリフィスの内径と厚さは設計時の流量特性に応じて最適に設計されるため、オリフィスの個数は1ヶ所から無数で、厚さはどのくらいであっても良い。 【0114】 また、実施の形態1から形態10では、空気調和装置の冷媒としてR410Aを用いた場合について説明した。R410AはHFC系冷媒であり、オゾン層を破壊しない地球環境保全に適した冷媒であるとともに、従来冷媒として用いられてきたR22に比べて、冷媒圧力損失が小さいため、第2流量制御装置6の絞り部に用いる多孔体の通気孔の径を小さくでき、より一層冷媒流動音低減効果を得ることができる冷媒である。 【0115】 さらに、この空気調和装置の冷媒としては、R410Aに限ることはなく、HFC系冷媒であるR407CやR404A、R507Aであっても良い。また、地球温暖化防止の観点から、地球温暖化系数の小さなHFC系冷媒であるR32単独、R152a単独あるいはR32/R134aなどの混合冷媒であっても良い。 また、プロパンやブタン、イソブタンなどのHC系冷媒やアンモニア、二酸化炭素、エーテルなどの自然系冷媒およびそれらの混合冷媒であっても良い。 【0116】 【発明の効果】 以上のように、この発明によれば、周方向に回転する円柱状または円盤状の可動部と、この可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材より成る絞り部とを備えたので、冷媒流動音の発生を防止して騒音を低減できる効果が得られる。 【0117】 また、前記可動部に形成され前記回転により冷媒流れ方向に貫通する貫通流路を備えたので、冷媒流動音の発生を防止して騒音を低減した絞り状態と、流動抵抗のほとんどない開状態とを選択できる効果が得られる。 【0118】 また、前記可動部に形成され前記回転により冷媒の流れを遮断する遮断部を備えたので、冷媒流動音の発生を防止して騒音を低減した絞り状態と、冷媒流れのない閉状態とを選択できる効果が得られる。 【0119】 また、前記貫通流路はその周囲壁を前記多孔質透過材で形成したので、貫通流路と多孔質透過材とにより冷媒流路を確保することができる効果が得られる。 【0120】 また、前記可動部の周面側に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたので、可動部の各口対応部の面積を周面側で調節でき、可動部の径を小さくできる効果が得られる。 【0121】 また、前記可動部の回転軸方向に冷媒流入口および冷媒流出口を備えたので、冷媒を絞り部内に直線的で均一に流せる効果が得られる。 【0122】 また、前記絞り部を複数備えたので、多孔体が選択的に使用でき、長寿命化できる効果が得られる。 【0123】 また、前記可動部は絞り部のみ多孔質透過材で構成したので、コストが安く、絞り部の流動抵抗が正確になる効果が得られる。 【0124】 また、前記可動部は全体を多孔質透過材で構成したので、成形が容易で、小型化できる効果が得られる。 【0125】 また、前記可動部の回転により選択可能な異なる流動抵抗の絞り部を備えたので、流動抵抗を可変できる効果が得られる。 【0126】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部は流動抵抗の順に前記可動部の回転方向に配置されているので、可動部の回転時に抵抗順に所望の流動抵抗の位置にできるから、不意に流動抵抗が低下し過ぎたりすることを防止できる。 【0127】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部が連続しているので、多孔室透過材の成形が容易で可動部を小型化できる効果が得られる。 【0128】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部が断続して配列しているので、各絞り部の流動抵抗が独立し、精度が向上する効果が得られる。 【0129】 また、前記異なる流動抵抗の絞り部間に仕切りを設けたので、異なる流動抵抗の絞り部間の距離を近づけることができ、小型化が図れる効果が得られる。 【0130】 また、前記可動部をステッピングモータで回転駆動するので、冷媒流入口および冷媒流出口と絞り部との位置関係を正確に合わせることができ、可動部を小型化できる効果が得られる。 【0131】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成したので、絞り部の目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。 【0132】 また、前記バイパス流路に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたので、絞り能力を高く維持しながら、目詰まり耐力に優れた絞り部とできる効果が得られる。 【0133】 また、前記オリフィスの直前に多孔質透過材を備えたので、オリフィスによって発生する圧力変動が上流側に伝わることを防止できる効果が得られる。 【0134】 また、前記オリフィスの直後に多孔質透過材を備えたので、オリフィスを通過する噴流による圧力変動が下流側に伝わることを防止できる効果が得られる。 【0135】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記主弁体が当接する前記主弁座端部と前記多孔質透過材とを略面一にしたので、弁開放時の主弁座内への冷媒の流れ込みが円滑になる効果が得られる。 【0136】 また、弁室内にて互いに離着することで開閉可能な主弁座および主弁体と、前記主弁座および主弁体が閉時に閉部を前記弁室内バイパスするバイパス流路と、このバイパス流路に設けられ冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材とを備え、前記多孔質透過材で絞り部を構成し、前記絞り部が前記主弁座を取り囲むよう配置されているので、弁開放時、絞り時の冷媒の流れが円滑になる効果が得られる。 【0137】 また、弁室側部に形成され、主弁体移動方向に垂直な冷媒流入口と、この冷媒流入口からの冷媒流を拡散する拡散部材とを備えたので、弁室内で冷媒を偏りなく絞り部へ誘導することができる効果が得られる。 【0138】 また、前記拡散部材を主弁体としたので、特別な部材を必要とせず弁室内で冷媒を偏りなく絞り部へ誘導することができる効果が得られる。 【0140】 また、弁室側壁に第1流路が開口する弁本体と、弁室底面に第2流路が開口する主弁座と、弁室内に前記主弁座を閉止できる主弁体とを備え、前記主弁体および主弁座で主絞り部を構成し、前記主絞り部の直前または直後に多孔質透過材を用いた補助絞り部を構成し、少なくとも主弁座側の流路に前記主弁体と当接する補助絞り部を設けたので、多孔質透過材の通過径を大きくでき、目詰まり耐力を向上できると共に、主絞り部と補助絞り部間で乱流や騒音が発生するのを防止できる効果が得られる。 【0142】 また、前記主弁体先端の周囲の角を落とし、前記補助絞り部との当接時に前記主弁座とでオリフィス部を構成するので、主絞り部による圧力変動が伝達するのを補助絞り部で防止でき、主絞り部と補助絞り部間で乱流や騒音が発生するのを防止できる効果が得られる。 【0143】 二方弁と、冷媒流れ方向に連通する多孔質透過材で構成した絞り部とを備え、前記二方弁と絞り部とを並列に接続し、通気孔径が100マイクロメートルから500マイクロメートルの前記絞り部に0.5ミリメートルから3ミリメートルの内径を有するオリフィスを備えたので、絞り部の構造を簡略にできると共に、オリフィスへの冷媒流入を均一化でき、オリフィスによる圧力変動の伝達を低減できる効果が得られる。 【0145】 【0146】 多孔質透過材焼結金属としたので、耐久性に優れた絞り装置とすることができる効果が得られる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施の形態1による空気調和装置の冷媒回路図である。 【図2】 実施の形態1に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図3】 実施の形態1に係わり絞り装置の主弁体の詳細図である。 【図4】 実施の形態1に係わり絞り装置の動作を表す図である。 【図5】 実施の形態1に係わる空気調和装置の冷房除湿運転時の動作状態を表す特性図である。 【図6】 実施の形態1に係わり絞り部入口の冷媒の流動様式図である。 【図7】 実施の形態3に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図8】 実施の形態3に係わり絞り装置の主弁体の詳細図である。 【図9】 実施の形態3に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図10】 実施の形態4に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図11】 実施の形態4に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図12】 実施の形態4に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図13】 実施の形態5に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図14】 実施の形態5に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図15】 実施の形態5に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図16】 実施の形態6に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図17】 実施の形態7に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図18】 実施の形態7に係わり絞り装置に用いられるオリフィスの詳細図である。 【図19】 実施の形態8に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図20】 実施の形態9に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図21】 実施の形態9に係わり絞り装置の動作を表す図である。 【図22】 実施の形態10に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図23】 実施の形態10に係わり絞り装置の動作を表す図である。 【図24】 実施の形態11に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図25】 実施の形態11に係わり絞り装置の動作を表す図である。 【図26】 実施の形態11に係わり絞り装置の構成断面図である。 【図27】 従来の空気調和装置を示す冷媒回路図である。 【図28】 従来の絞り装置のその他の例を示す構成断面図である。 【図29】 従来の絞り装置のその他の例を示す構成断面図である。 【符号の説明】 1圧縮機、2 四方弁、3 室外熱交換器、4 第1流量制御装置、5 第1室内熱交換器、6 第2流量制御装置、7 第2室内熱交換器(絞り装置)、8 第1室内熱交換器5と接続される配管、9 第2室内熱交換器7と接続される配管、10 主弁体、11 ステッピングモータ、12 多孔体、13 溝、14 弁座、15 電磁コイル、16 オリフィス、17 切換え流路、 18 二方弁、19 絞り装置、20 配管、21 室外ユニット、22 室内ユニット。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-07-20 |
出願番号 | 特願平11-223645 |
審決分類 |
P
1
652・
121-
YA
(F25B)
|
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 佐野 遵、丸山 英行 |
特許庁審判長 |
水谷 万司 |
特許庁審判官 |
長浜 義憲 原 慧 |
登録日 | 2003-04-11 |
登録番号 | 特許第3417351号(P3417351) |
権利者 | 三菱電機株式会社 |
発明の名称 | 絞り装置 |
代理人 | 高橋 省吾 |
代理人 | 佐藤 久容 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 村上 加奈子 |
代理人 | 高橋 省吾 |
代理人 | 高瀬 彌平 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 中鶴 一隆 |
代理人 | 宮田 金雄 |
代理人 | 阿部 和夫 |
代理人 | 中鶴 一隆 |
代理人 | 谷 義一 |
代理人 | 稲葉 忠彦 |