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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1105050 |
審判番号 | 不服2002-2253 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-05-19 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-02-12 |
確定日 | 2004-10-12 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第270843号「図形編集装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 7年 5月19日出願公開、特開平 7-129643〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続きの経緯・本願発明 本願は、平成5年10月28日の出願であって、その請求項1-7に係る発明は、平成13年10月30日付け及び平成14年3月14日付けの手続補正によって補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1-7に記載されたとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。 「【請求項1】図形を修正するための図形情報を入力する入力手段と、 前記入力手段からの図形情報により修正された後の図形情報である第1の編集図形情報を記憶する第1の情報記憶手段と、 前記入力手段からの図形情報により修正される前の図形情報である第2の編集図形情報を記憶する第2の情報記憶手段と、 前記第1の情報記憶手段に記憶された第1の編集図形情報と第2の情報記憶手段に記憶された第2の編集図形情報の差異を検出し、修正情報を付加した第3の編集図形情報を生成する図形情報差異検出手段と、 前記図形情報差異検出手段により生成された第3の編集図形情報を記憶する第3の情報記憶装置と、 前記第1の情報記憶手段に記憶された第1の編集図形情報、前記第2の情報記憶手段に記憶された第2の編集図形情報および前記第3の情報記憶手段に記憶された第3の編集図形情報とから表示図形情報を生成する図形情報編集手段と、 前記図形情報編集手段により生成された表示図形情報を表示する表示手段と を備えたことを特徴とする図形編集装置。」 2.引用刊行物 原審の拒絶の理由で引用した特開平5-128179号公報(平成5年5月25日出願公開)(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に次の各記載がある。 (ア)「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、コンピュータ支援設計システム(以下CADとする)などにおける図面ファイルの変更履歴と変更図形要素の履歴を管理する図形ファイル管理装置に関するものである。」(第2頁段落【0001】) (イ)「【0009】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明の図形ファイル管理装置は、表示装置に図形ファイルから図面ファイルを選択して表示し、ポインティング装置を用いて図面の作成,修正などを行う図形ファイル管理装置において、図面の修正に基づく図面ファイルの履歴を記憶する記憶手段と、前記図面の修正のときに修正,追加された図形要素を抽出し記憶する抽出手段と、図面ファイルの修正,追加前後の相関性を自動計算する計算手段を有するものである。 【0010】 【作用】上記構成の本発明の図形ファイル管理装置は、ポインティング装置を用い、表示装置上に変更したい図面ファイルの複写を行い、変更の後にファイルの名の異なる同一図面ファイルを作成する。そして、抽出手段により変更される前の図面と変更された後の図面ファイルを重ねあわせて、図形要素の変更された要素を抽出する。そして、この変更された図形要素に対して、変更理由を表す属性を付加することにより、図形要素のデータに図形形状の変更部分と変更理由を付加させ、図形要素の変更履歴を記憶手段により記憶する。また、変更された図面ファイルが、どの図面ファイルから複写された図面ファイルであるかを記憶させておき、ファイルの変更履歴が設計者に容易に理解できるように表示する。 【0011】さらに、図形要素が変更される前の図面ファイルと変更された後の図面ファイルとの相関関係(類似度)をファジィ理論などにより、自動的に計算手段により計算を行う。これにより必要とされる図面との相関関係が数値で表現されるので、その相関の低い図面に対しては消去しても支障のないと設計者に示唆する機能を有し、CAD内の図面ファイルの増加を防ぐことができる。また、CADにおける図面ファイルの変更履歴,変更図形要素を明確に表示するファイル管理を行 い、設計者が図面の変更履歴と変更箇所を把握することにより、以前の設計変更箇所を迅速に理解することができ、迅速なCADの作業を可能とするものである。さらに図面ファイルの担当者以外の設計者も設計変更された図面要素を即座に把握することができるために設計担当者が不在の場合の際にも、その図面ファイルの活用が可能となる。」(第3頁段落【0009】〜【0011】) (ウ)「【0012】 【実施例】本発明の一実施例における図形ファイル管理装置の機能を図1に示し、その動作を示すフローチャートを図2に示している。なお、適応されるCADシステムは従来と同一であるために説明を省略する。図1に示すように構成要素として、10は図面ファイルなどが記憶されている主記憶部であり記憶部11〜14の複数の記憶手段で構成されている。15は主記憶部10に記憶されている図面ファイル検索など各種制御を行う中央演算処理装置、16は設計者などの操作者が目的とする操作を行うためのポインティング装置としてのマウスなどで構成される入力装置、17は設計者などの操作者が入力装置16を操作し、主記憶部10内の図面ファイルの内容を確認できる表示装置などで構成される出力装置である。つぎに構成要素相互の関連動作について図2のフローチャートを用いて説明する。まず、設計者が設計変更を行う図面ファイル(ここでは、ファイルAとする)を、従来の構成と同様に図13のポインティング装置としてのマウス1(図1の入力装置16と対応)で表示スクリーン上に表示されたコマンド群5を指示し、図1の例えば記憶部12に入力し、つぎに図面ファイルを新規登録するコマンドを選択し、新たな図面ファイル名(ここでは、ファイルBとする)を設定し、同一図面ファイルをファイル名を変更して、記憶部11に新たに作成する。ここで、ファイルBはファイルAから複写された図面ファイルであることをファイルBの図面データに付加する。同時にファイルBが複写された日時のデータも付加し、記憶部12に入力されたデータを主記憶部10より消去する。 【0013】つぎに設計者は記憶部11に読み込まれた図面ファイルBに対して設計変更を行う。そして、設計変更が終了した時点において、記憶部12に図面ファイルAを同時に読み込ませ、記憶部12に読み込まれたファイルAと記憶部11に読み込まれたファイルBを照合させるコマンドをポインティング装置としてのマウス1で表示スクリーン上に表示されたコマンド群5から選択する。すると、記憶部11には存在するが記憶部12には存在しない図形要素を中央演算処理装置15によって抽出手段としての動作により探索させ、記憶部13に記憶させる。例えば図3のような前述のファイルA,ファイルBであったとき、ファイル照合コマンドを選択すると図に示すような図3(b)のファイルBには存在するが図3(a)のファイルAには存在しない図形要素を抽出し、図4に示すように、出力装置17としての表示装置2上に表示させる。 【0014】つぎに抽出された図形要素に対して、例えば図5に示すように設計者は以下に示す分類に従ってポインティング装置によって図形要素を指示し、変更,追加された図形要素に対して属性を付加する。 (1)図形要素の形状の変更 (2)図形サイズの変更 (3)図形要素の位置の変更 (4)図形要素の追加 上記のような手順によって、記憶部13に記憶されている図形要素に対して属性値が付加される。そして、記憶部13に記憶された図形要素の属性値が記憶部11の図形要素のデータに対して、図形要素の変更履歴の属性値として記憶させられる。」(第3頁段落【0012】〜第4頁段落【0014】) (エ)「【0015】ここで、図面ファイルの変更履歴,変更された図形要素の変更履歴を確認したい場合について説明する。 【0016】コマンド群5から図面の履歴を確認するコマンドを指示し、確認したい図面ファイルを選択する。すると、図6に示すように図面ファイルの履歴が階層構造で表示され、上記の図面ファイルの階層構造表示によって、図面の履歴が明確に確認できる。また、同一図面から、複数の図面ファイルが派生した場合、上記の図面ファイルが作成された時間の推移に従って、順番に図7のように表示される。ここで、ファイルAの図面が不要となれば消去を行うと、図面ファイルの履歴上にはファイルAの名称は残るが、図8のように斜線部分のファイルAの名称は網かけが施され、CAD内には図面データファイルが存在しないことが示される。この機能により、ファイルAが存在しなくとも、ファイルBとファイルCがファイルAから、派生した図面ファイルであることを設計者は理解することができる。 【0017】さらに複数の設計者が一つの図面ファイルに対して、新たな図面ファイルを作成し、各自が詳細な検討を行い、詳細な設計を行った図面ファイルを再び、元の図面へデータを移動させることがある。例えばファイルAという図面ファイルから、新たにファイルB,ファイルC,ファイルDを作成し、各設計者が前記のファイルの詳細設計を行い、その結果であるファイルB,ファイルC,ファイルDをファイルAへ複写し、設計を進めることが頻繁にある。その際、ファイルAのデータに写されてきたファイルの名前をファイルAの図面データに付加し、前記の図面ファイルの派生を示す階層構造表示に図9に示すように、複写されてきた図面ファイルの名前を表示し、詳細な検討がどの図面ファイルで行われたものかを設計者は知ることが出来る。 【0018】ここで、図9のような図面ファイルの履歴の関係があるとき、(1)図形要素の形状の変更、(2)図形サイズの変更、(3)図形要素の位置の変更、(4)図形要素の追加の変更の数の割合、例えば、図面ファイルAと図面ファイルBの上記の統計量を求め、図面ファイルAと図面ファイルBの相関関係(以下類似度とする)を計算する。この類似度を求めるために本発明では中央処理装置15において計算手段としてのファジィ理論における推論法を用いる。まず、二つの図面ファイルを照合し、この二つの図面ファイルの共用する図形要素の数をN1とする。そして、図形要素の一致しなかった、つまり、図形要素の変更のあった図形要素の数をN2とし、その前記図形要素の変更のあった図形要素の中から設計者が指定を行った前記の(1)の図形要素の形状の変更のあった図形要素の数をN3、(2)図形サイズの変更のあった図形要素の数をN4、(3)図形要素の位置の変更のあった図形要素の数をN5、(4)図形要素の追加での図形要素の数をN6とし、N1,N2(N3,N4,N5,N6)の和をNとする。そして、上記の図形要素の形状の変更の割合P3(N3/N)、図形サイズの変更の割合P4(N4/N)、図形要素の位置の変更の割合P5(N5/N)、図形要素の追加の割合P6(N6/N)の計算を中央演算処理装置15で行う。 【0019】ここで、任意に(1)図形要素の形状の変更の割合に対するファイルの図形形状の変更の度合いを表わすメンバーシップ関数を図10のように設計者が任意に定義し、記憶部14に記憶させる。前記のメンバーシップ関数の表す意味は横軸は図形要素の形状の変更の割合P3を表し、そのP3が増加するに連れ、図面ファイルGと図面ファイルHの相違が大きくなっていることを意味する。つまり、縦軸の値は0の場合、2つの図面ファイルの相違が無いことを表し、1の場合、2つの図面ファイルが全く異なることを意味する。 【0020】同様に(2)図形サイズの変更、(3)図形要素の位置の変更、(4)図形要素の追加の割合に対しても図12に示すようなメンバーシップ関数を任意に定義し、記憶部14に記憶する。そして、実際に2つの図面ファイルが照合されて、P3,P4,P5,P6が計算され、図10,図11のメンバーシップ関数に適応させ、中央演算処理装置15によって、図12のように2つの図面ファイルの相違度を計算し、その値をQ3,Q4,Q5,Q6とする。そして、最後に現在、公知となっているファジィ理論の推論法を用いて2つの図面ファイルの相違度をQ3,Q4,Q5,Q6の最大値Rとする。このRが1に近づくに連れ、2つの図面ファイルの相違が大きいことを意味し、0に近づくに連れ、2つの図面ファイルが類似していることを意味する。そして、設計者は類似度Rを指標とし、現在、必要であると考えられる図面と類似度の低い(相関性の低い)と判断される図面ファイルはCAD内から削除し、CAD内に不要な図面ファイルが蓄積されることを防ぐことが出来る。」(第4頁段落【0015】〜【0020】) (オ)「【0021】 【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明の図形ファイル管理装置は図面ファイルの履歴を記憶する記憶手段と図面ファイルの修正,追加により修正,追加された図形要素を記憶し表示する抽出手段と、図面ファイルの修正,追加前後の相関性を計算する計算手段を設けることにより、CADなどに用い図面ファイルの履歴を管理することにより、設計者の記憶に頼っていた図面ファイルの管理を容易にするものである。また、設計変更を行った図形要素に対して、図形要素の変更,修正理由を表す属性値を付加するので、図形要素に対しても設計変更履歴を残すことができ、この機能によって設計者が過去の設計手順を思い起こすことが容易に出来る。さらに過去に設計した図面ファイルと現在必要とされる図面ファイルとの相関関係を自動計算できるので、設計者が不要な図面ファイルを判断し、CAD内から前記の不要な図面ファイルを削除してCAD内に不要な図面ファイルが蓄積されることを防ぐことが出来る。」(第4頁段落【0021】) 以上(ア)〜(オ)の記載からみて、引用例1には次のような発明が記載されているものと認められる。 「コンピュータ支援設計システム(CAD)などにおける図面ファイルの変更履歴と変更図形要素の履歴を管理する図形ファイル管理装置に関するものであって、設計者は、マウスなどで構成される入力装置16を操作しスクリーン上に表示されたコマンド群5を指示し設計変更対象の図面ファイルAを記憶部12に入力し、次に図面ファイルを新規登録するコマンドを選択しファイルAのファイル名をAからBに名称変更し、同一図面ファイルをファイルBとして記憶部11に新たに作成し、次に記憶部11に読み込まれたファイルBに対し設計変更を行い、ファイルBの設計変更終了時点に表示スクリーン上に表示されたコマンド群5から照合コマンドを選択し、該コマンドにより記憶部12に読み込まれたファイルAと記憶部11に読み込まれたファイルBとを照合し、記憶部11に記憶されているファイルBには存在するが記憶部12に記憶されているファイルAには存在しない図形要素を、図形要素抽出手段としての中央演算処理装置15により探索抽出し、それを記憶部13に記憶し、次に設計者は、抽出された図形要素をポインティング装置によって指示し、「図形要素の形状の変更」、「図形サイズの変更」、「図形要素の位置の変更」、「図形要素の追加」の種別に従って、記憶部13の変更、追加された各図形要素に対してそれぞれ属性値を付加し、次に記憶部13の各図形要素に対して付加された属性値に基づいて各図面ファイルの類似度を計算し、出力装置17に表示する図形ファイル管理装置。」 3.対比 本願発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、 前記(ア)〜(オ)の記載から見て、引用例1に記載された発明の「図面ファイルB」、「図面ファイルA」は、それぞれ本願発明の「第1の編集図形情報」、「第2の編集図形情報」に相当することは明かであり、また引用例1に記載された発明の「記憶部12」、「記憶部11」、「記憶部13」は、それぞれ本願発明の「第1の情報記憶手段」、「第2の情報記憶手段」、「第3の情報記憶手段」に相当することも、明かである。 引用例1には、マウスなどで構成される入力装置16を操作し、スクリーン上に表示されたコマンド群5を指示し設計変更対象の図面ファイルを記憶部12に入力することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、 「図形を修正するための図形情報を入力する入力手段」を有する点で相違しない。 引用例1には、記憶部12に記憶されているファイルAのファイル名をAからBに名称変更し同一内容の図面ファイルを記憶部11に新たに作成し、記憶部11に読み込まれたファイルBに対し設計変更を行うことが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、 「入力手段からの図形情報により修正された後の図形情報である第1の編集図形情報を記憶する第1の情報記憶手段と、前記入力手段からの図形情報により修正される前の図形情報である第2の編集図形情報を記憶する第2の情報記憶手段と」を有する点で相違しない。 引用例1には、記憶部12に読み込まれたファイルAと記憶部11に読み込まれたファイルBとを照合し、記憶部11に記憶されているファイルBには存在するが記憶部12に記憶されているファイルAには存在しない図形要素を、図形要素抽出手段としての中央演算処理装置15により探索抽出し、それを記憶部13に記憶すること、および、記憶部13に記憶されている抽出された図形要素に対して、「図形要素の形状の変更」、「図形サイズの変更」、「図形要素の位置の変更」、「図形要素の追加」の種別に従って、変更、追加された図形要素に対して属性値を付加することが記載されているから、本願発明と引用例1に記載された発明とは、 「第1の情報記憶手段に記憶された第1の編集図形情報と第2の情報記憶手段に記憶された第2の編集図形情報の差異を検出し、第3の編集図形情報を生成する図形情報差異検出手段と、前記図形情報差異検出手段により生成された第3の編集図形情報を記憶する第3の情報記憶装置と」を有する点で相違しない。 そうすると、本願発明と引用例1に記載された発明とは、 (一致点) 「図形を修正するための図形情報を入力する入力手段と、 前記入力手段からの図形情報により修正された後の図形情報である第1の編集図形情報を記憶する第1の情報記憶手段と、 前記入力手段からの図形情報により修正される前の図形情報である第2の編集図形情報を記憶する第2の情報記憶手段と、 前記第1の情報記憶手段に記憶された第1の編集図形情報と第2の情報記憶手段に記憶された第2の編集図形情報の差異を検出し、第3の編集図形情報を生成する図形情報差異検出手段と、 前記図形情報差異検出手段により生成された第3の編集図形情報を記憶する第3の情報記憶装置と、 表示図形情報を表示する表示手段と を備えた図形編集装置。」 である点で一致し、次の2点で相違する。 (相違点1) 第3の編集図形情報が、本願発明では、修正情報を付加した情報であるのに対し、引用例1に記載された発明では、記憶部11のファイルBには存在するが記憶部12のファイルAには存在しない図形要素を抽出し記憶部13に記憶し、記憶部13の各図形要素に対して「図形要素の形状の変更」、「図形サイズの変更」、「図形要素の位置の変更」、「図形要素の追加」の種別を示す属性値を付加した情報である点。 (相違点2) 本願発明が、第1の情報記憶手段に記憶された第1の編集図形情報、第2の情報記憶手段に記憶された第2の編集図形情報および第3の情報記憶手段に記憶された第3の編集図形情報とから表示図形情報を生成する図形情報編集手段を有しているのに対し、引用例1に記載された発明は、記憶部12に記憶された図形ファイルA、記憶部11に記憶された図形ファイルB及び記憶部13に記憶された図形ファイルAとBとの変更を示す情報とから図形情報を生成する図形編集手段を有すると明記しない点。 4.当審の判断 (相違点1について) 更新前後の図形情報の差異を検出し、更新前の図形情報に対する修正情報を得て、それを修正履歴として記憶装置に記憶するようにすることは、当業者には周知の技術事項である。この点に関しては、例えば特開平5-242176号公報、特に段落【0007】及び【0008】に記載された事項、そして図面2及び3に開示された事項を参照されたい。 従って、引用例1に記載された発明の第3の編集図形情報を、修正情報を付加した情報に代え本願発明の如く構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 (相違点2について) 修正前の図形情報、修正後の図形情報、及び修正前後の修正情報とから表示図形情報を生成することは、当業者には周知慣用されている技術事項である。例えば、特開平5-247379号公報には、修正前の図形情報を表す修正前のシンボルリスト、シンボル配置リスト、及びネットリストと、修正後の図形情報を表す修正後のシンボルリスト、シンボル配置リスト、及びネットリストとを、各リストの特性に応じて比較し、追加、削除、移動等の修正を判別すること、および追加、削除、移動等の修正があった場合には、修正部分を他とは違う形態(例えば、ハッチングをする、網掛けをする、線を太くする、表示色を変える)で表示することが記載されている。 従って、上記公報に記載の周知技術を引用例1に記載された発明に転用して本願発明の如く構成することは、当業者が適宜なし得ることである。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、引用例1に記載された発明と周知技術とに基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-12 |
結審通知日 | 2004-08-17 |
審決日 | 2004-08-30 |
出願番号 | 特願平5-270843 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 加舎 理紅子、田中 幸雄、猪瀬 隆広 |
特許庁審判長 |
関川 正志 |
特許庁審判官 |
深沢 正志 江頭 信彦 |
発明の名称 | 図形編集装置 |
代理人 | 外川 英明 |