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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H05B |
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管理番号 | 1105053 |
審判番号 | 不服2004-9220 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1999-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2004-05-06 |
確定日 | 2004-10-12 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第205642号「電気機器」拒絶査定不服審判事件〔平成11年 2月26日出願公開、特開平11- 54263〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成9年7月31日の出願であって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成15年11月27日付け、及び平成16年5月6日付けの各手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし5記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明は次の事項により特定されるとおりのものである。 【請求項1】 全体的通電制御を行うための主スイッチング手段と、該主スイッチング手段の制御下で個別的通電制御を行うための副スイッチング手段と、該副スイッチング手段にて通電制御される電気的構成部品の動作・非動作を検知する検知手段と、前記主スイッチング手段を非通電状態にし前記副スイッチング手段を通電状態にして前記検知手段からの検知信号に基づき前記主スイッチング手段の良否判定を行う制御手段とを具備してなる電気機器。 (以下、「本願発明」という。) 2.引用例 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開平8-47166号公報(以下、「引用刊行物」という。)には、下記の事項が記載されている。 「温度検知センサ104としては、サーミスタが用いられ、加熱室103に設けられている。この温度検知センサ104は、加熱室103の温度を検知するとともに加熱源制御リレー105bの接点溶着による異常温度の検知も兼ねている。」(段落【0010】)、 「上記構成によれば、加熱源101をON/OFF制御する際の温度検知センサ104を利用することにより部品点数を増やすことなく加熱源制御リレー105bの異常を検知することができる。」(段落【0013】)、 「RL1は電源2をON/OFF制御するメインリレー(電源制御リレー)、RL2はヒータ1a、1bをON/OFF制御するヒータ制御リレー(加熱源制御リレー)、RL3はマグネトロン1cをON/OFF制御するマグネトロン制御リレー、RL4はターンテーブルモータTTをON/OFF制御するターンテーブルモータ制御リレー、RL5はブロアーモータBMをON/OFF制御するブロアーモータ制御リレーである。」(段落【0023】)、 「図5のBは、ヒータ制御リレーRL2の接点が溶着して、OFF信号を出してもOFFできない異常状態を示している。」(段落【0028】)、 「ステップS113〜S114:サーミスタTHで加熱室3の庫内温度Thを検知し、加熱設定温度Tsに達したか否かが判定される。 ステップS115〜S118:庫内温度Thが加熱設定温度Ts以下であれば、フラグF0=1か否かをチェックし、ヒータ制御リレーRL2をONにする。次に、フラグF0、フラグF1をリセットし、ステップS111に戻る。 ステップS119〜S122:庫内温度Thが加熱設定温度Ts以上になれば、フラグF1=0か否かをチェックし、ヒータ制御リレーRL2をOFFにする。…(中略)… 【0030】 ステップS123〜S127:庫内温度Thが異常温度検知レベルTe以上であるか否かをチェックし、庫内温度Thが異常温度検知レベルTe以上になれば、ヒータ制御リレーRL2が異常であると判断し、加熱を停止し、メインリレーRL1をOFFすることで、ヒータ制御リレーRL2をOFFし、表示部6にヒータ制御リレーRL2の異常を報知する。」(段落【0029】、【0030】)、 「【発明の効果】 本発明によれば、加熱室の温度を検知する温度検知センサを利用して、異常設定温度を検知することでヒータ制御リレーの異常を判定するので、部品点数も増やさず簡単な構成でヒータを安全に制御できる。加熱調理器を提供することができる。」(段落【0040】)ことが図面と共に記載されている。 上記摘示した事実によれば、引用刊行物には、下記の発明が記載されていると認められる。 「電源2をON/OFF制御するメインリレー(電源制御リレー)RL1と、該メインリレーの制御下で個別的ON/OFF制御を行うためのヒータ制御リレー(加熱源制御リレー)RL2と、該ヒータ制御リレーにて通電制御されるヒータ1a、1bの動作・非動作を検知する温度検知センサ104と、前記ヒータ制御リレーをOFFにし前記メインリレーをONにして前記温度検知センサからの検知信号に基づき前記ヒータ制御リレーの良否判定を行う制御部5とを具備してなる加熱調理器」 3.対比・判断 (1)一致点、相違点の認定 本願発明と引用刊行物に記載された発明を対比すると、引用刊行物の「電源2をON/OFF制御するメインリレー(電源制御リレー)RL1」、「個別的ON/OFF制御を行うためのヒータ制御リレー(加熱源制御リレー)RL2」、「ヒータ1a、1b」、「温度検知センサ104」、「OFF」、「ON」、「加熱調理器」は、それぞれ本願発明の「全体的通電制御を行うための主スイッチング手段」、「個別的通電制御を行うための副スイッチング手段」、「電気的構成部品」、「検知手段」、「非通電状態」、「通電状態」、「電気機器」に相当すると認められる。 そうすると、両者は、「全体的通電制御を行うための主スイッチング手段と、該主スイッチング手段の制御下で個別的通電制御を行うための副スイッチング手段と、該副スイッチング手段にて通電制御される電気的構成部品の動作・非動作を検知する検知手段と、前記一方のスイッチング手段を非通電状態にし前記他方のスイッチング手段を通電状態にして前記検知手段からの検知信号に基づき前記一方のスイッチング手段の良否判定を行う制御手段とを具備してなる電気機器。」で一致し、下記の点で相違する。 (相違点) 本願発明では、良否判定の対象となるのが主スイッチング手段であり、主スイッチング手段を非通電とし、副スイッチング手段を通電とするのに対し、引用刊行物に記載された発明は、良否判定の対象となるのが副スイッチング手段であり、主スイッチング手段を通電とし、副スイッチング手段を非通電とする点。 (2)相違点の検討 上記相違点について検討する。 請求人は、引用刊行物には主スイッチング手段の良否判定を行うことについて示唆されていないことから容易に発明をすることができない旨の主張している。 しかし、主スイッチング手段の接点溶着等を検出することは、本願発明の出願前に周知の技術である(例えば、特公昭63-24316号公報、特開平1-176696号公報を参照)。 そして、引用刊行物に記載された発明の主スイッチング手段・副スイッチング手段はともに接点溶着という不具合を生ずる可能性を持つリレーであり、主スイッチング素子であるか副スイッチング素子であるかに関わらずリレーである以上接点溶着に対して何らかの対策をしなければならないことは、当業者が当然認識する事項である。 してみれば、引用刊行物の副スイッチング手段溶着検知の技術を主スイッチング手段の溶着検知に適用しようと考えることは、当業者にとって格別困難性を有することではなく、当業者の通常の創作能力の範囲内においてなし得たことである。 したがって、引用刊行物記載の発明において上記周知技術を適用し良否判定の対象を副スイッチング手段から主スイッチング手段に換え本願発明のようにすることは、当業者であれば容易になし得たことである。 そして、本願発明の効果について検討してみても、引用刊行物に記載された発明及び上記周知の技術から当業者が予測し得る程度のものにすぎない。 4.まとめ したがって、本願発明は、引用刊行物に記載された発明及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-12 |
結審通知日 | 2004-08-17 |
審決日 | 2004-08-30 |
出願番号 | 特願平9-205642 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(H05B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 結城 健太郎、豊島 唯 |
特許庁審判長 |
橋本 康重 |
特許庁審判官 |
櫻井 康平 長浜 義憲 |
発明の名称 | 電気機器 |
代理人 | 佐野 静夫 |