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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63B
管理番号 1105159
審判番号 不服2001-4250  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-09-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-21 
確定日 2004-10-13 
事件の表示 平成 8年特許願第 96137号「アイアンヘッド」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年 9月30日出願公開、特開平 9-253248〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.[手続の経緯・本願発明の内容]
本願は、平成8年3月25日の出願であって、その請求項1ないし請求項7に係る発明は、平成16年5月31日付手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし請求項7に記載された事項により特定されるとおりのものであり、そのうち請求項5に係る発明は次のとおりのものと認める。
「【請求項5】内端6aから外端6bへ次第に縮小するテーパ状でかつ中実形状に粉末焼結により形成された比重が10g/cm3以上かつ22g/cm3以下のウエイト部材6と、ヘッド本体部1の少なくとも底部5に設けられた有底状の嵌込凹窪部7と、を備え、上記ウエイト部材6を、該ウエイト部材6の拡大状の内端6aが上記嵌込凹窪部7の拡大状の内端に対応するよう、該嵌込凹窪部7に打撃又は圧入にて嵌め込んだことを特徴とするアイアンヘッド。」(以下、「本願発明」という。)

2.[引用例]
これに対して、当審の拒絶の理由に引用した特開平6-335542号公報(以下、「引用例1」という。)、特開平4-124243号公報(以下、「引用例2」という。)には、図面とともに、それぞれ以下の事項が記載されている。
(引用例1):
a.「本発明は・・・アイアンゴルフクラブヘッドに関する。」(段落【0001】)。
b.「11は前記ヘッド本体1のソール12の後部に固着したウエイトであって、このウエイト11は前記ソール12の長手方向に形成した逆テーパ状の溝13に圧入したものであり、該ウエイト11は金属材料比重が大きい鋼、ステンレス鋼、ベリリューム銅合金等の銅合金等からなる。」(段落【0009】)。
c.図3から、アイアンゴルフクラブヘッド本体1のソール12に設けられた有底状の逆テーパ状の溝13に圧入されたウエイト11が、内端から外端へ次第に縮小するテーパ状でかつ中実形状であると共に、ウエイト11の拡大状の内端が上記逆テーパ状の溝13の拡大状の内端に対応する点が看取できる。

(引用例2):
a.「1.Ni,・・・から選択される少なくとも1種の金属を0.1〜20重量%含有し、残部タングステンおよび不可避的不純物から成る焼結体で形成されたことを特徴とする高比重金属材。・・・3.クラブヘッドの少なくとも一部を請求項1記載の高比重金属材にて形成したことを特徴とするゴルフクラブ。」(特許請求の範囲、請求項1,請求項3)。
b.「高比重金属材は、いずれも密度が15〜19.5g/cm3の範囲にあり、高比重のWを基材とした焼結体で形成されている」(第3頁右上欄13〜15行)。
c.「高比重金属材をヘッド底部に装着したドライバー2aは、・・・従来のドライバー2・・・と比較してクラブヘッドをより低重心化することができる。」(第4頁左上欄9〜13行)。
d.「クラブヘッド3aに固着させるバックメタル16として、本実施例に係る高比重金属材を配置することにより、クラブヘッド3aの重心位置をより効果的に後方に移すことができ、インパクト時の振れが少なく、方向性の良いクラブを形成することができる。」(第4頁右上欄15〜20行)。
e.「第2図に示すようにクラブヘッド3bの下部にろう付けによって一体に接合してアイアン17を製造した。本実施例に係る高比重金属材によって形成した当て板15aを装着したアイアン17は、従来のものと比較して低重心化が可能であり、ボールの飛行特性を大幅に改善することができた。」(第4頁左下欄12〜19行)。

3.[対比・判断]
引用例1の上記記載事項a〜cを含む明細書及び図面によれば、引用例1には、以下の発明が記載されている。
「内端から外端へ次第に縮小するテーパ状でかつ中実形状に形成された金属材料比重が大きい鋼、ステンレス鋼、ベリリューム銅合金等の銅合金等からなるウエイト11と、ヘッド本体1の少なくともソール12に設けられた有底状の逆テーパ状の溝13と、を備え、上記ウエイト11を、該ウエイト11の拡大状の内端が上記逆テーパ状の溝13の拡大状の内端に対応するよう、該逆テーパ状の溝13に圧入にて嵌め込んだことを特徴とするアイアンゴルフクラブヘッド。」(以下、「引用例1発明」という。)

本願発明と引用例1発明とを対比する。
引用例1発明における「ウエイト11」、「ヘッド本体1」、「ソール12」、「逆テーパ状の溝13」、「アイアンゴルフクラブヘッド」は、それぞれ、本願発明の「ウエイト部材6」、「ヘッド本体部1」、「底部5」、「嵌込凹窪部7」、「アイアンヘッド」に相当する。
そうすると、本願発明と引用例1発明とは、
「内端から外端へ次第に縮小するテーパ状でかつ中実形状に形成されたウエイト部材と、ヘッド本体部の少なくとも底部に設けられた有底状の嵌込凹窪部と、を備え、上記ウエイト部材を、該ウエイト部材の拡大状の内端が上記嵌込凹窪部の拡大状の内端に対応するよう、該嵌込凹窪部に圧入にて嵌め込んだことを特徴とするアイアンヘッド。」である点で一致し、次の点で相違する。
相違点:ウエイト部材について、本願発明では、粉末焼結により形成された比重が10g/cm3以上かつ22g/cm3以下のものであるとしているのに対して、引用例1発明では、金属材料比重が大きい鋼、ステンレス鋼、ベリリューム銅合金等の銅合金等からなるとしている点。

上記相違点について、検討する。
まず、本願発明の目的は、容易にトウ重心化や低重心化を図ることができ、かつ、低コストにて大量に生産できるアイアンヘッドを提供すること(段落【0008】参照)である。
引用例2には、ゴルフクラブヘッドの低重心化を図るための素材として、密度が15〜19.5g/cm3の範囲にあり、高比重のWを基材とした焼結体を用いる点が記載されている。
してみれば、引用例1発明のウエイトの素材として、金属材料比重が大きい鋼、ステンレス鋼、ベリリューム銅合金等の銅合金等に代えて、引用例2に記載された焼結体を採用し、相違点に係る本願発明の如く構成することは、当業者が容易に想到し得たことである。

4.[むすび]
以上の通りであるから、本願発明は、引用例1および引用例2に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
本願発明が特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明を検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。
よって、結論の通り審決する。
 
審理終結日 2004-07-30 
結審通知日 2004-08-10 
審決日 2004-08-23 
出願番号 特願平8-96137
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 土屋 保光  
特許庁審判長 砂川 克
特許庁審判官 藤井 靖子
清水 康司
発明の名称 アイアンヘッド  
代理人 中谷 武嗣  

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