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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由)(定型) G01N
管理番号 1105367
審判番号 不服2003-3163  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-04-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-27 
確定日 2004-10-21 
事件の表示 特願2000-309471「浮遊粒子状物質の測定装置」拒絶査定不服審判事件〔平成14年4月19日出願公開、特開2002-116134〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 本願は、平成12年10月10日の出願であって、その請求項に係る発明は、特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。
これに対して、平成16年5月14日付けで拒絶理由(下記参照)を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もない。
***********************
本件出願の請求項1、2に係る発明は、その出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1乃至4に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

刊行物1;特開平9-15136号公報
刊行物2;特開平9-89726号公報
刊行物3;特開昭61-247937号公報
刊行物4;特開平7-260669号公報

本願の請求項1,2に記載された発明は次のとおりである。(以下、本件発明1、本件発明2という。)
【請求項1】大気中に含まれる浮遊粒子状物質を測定する装置であって、大気中の浮遊粒子状物質を液体中に捕集して分散させる捕集・分散手段と、その捕集・分散手段に連通した循環用配管を介して、その浮遊粒子状物質が捕集されて分散された液体が流されるフローセルと、そのフローセルに対してレーザ光を照射する照射光学系と、そのレーザ光の液体中の物質による回折・散乱光の空間強度分布を測定する測定光学系と、その測定された回折・散乱光の空間強度分布から液体中に捕集・分散された浮遊粒子状物質の粒度分布を算出する演算手段を備えていることを特徴とする浮遊粒子状物質の測定装置。
【請求項2】上記捕集・分散手段が、液体を収容するとともに、攪拌機構および超音波照射手段を備えた分散槽と、大気を吸引するポンプと、そのポンプにより吸引された大気を上記分散槽中に導いて開放する配管によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の浮遊粒子状物質の測定装置。

刊行物1には、従来技術として、
「【0002】
【従来の技術】
レーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置においては、一般に、被測定粒子群を媒液中に分散させた試料懸濁液を透光性材料からなるフローセル中に流し、このフローセルを介して試料懸濁液にレーザ光を照射することによって得られる回折/散乱光をリングデテクタ等の光センサアレイで受光してその空間強度分布を測定し、その測定結果をミーの散乱理論ないしはフラウンホーファ回折理論を用いて被測定粒子群の粒度分布に換算する。
【0003】
この種の測定装置においては、通常、攪拌装置や超音波振動子等を備えた分散槽を設け、その分散槽内に被測定粒子群と媒液を投入して、測定に最適な濃度範囲内に収まるよう、被測定粒子群を媒液中に均一に分散させるとともに、その状態で試料懸濁液を分散槽とフローセル中との間を循環させながら、フローセルにレーザ光を照射して回折/散乱光の測定を行う。」
と記載されている。
この刊行物1に記載された発明(従来技術)と本件発明1とを対比すると、両者は、
「攪拌装置や超音波振動子等を備えた分散槽を設け、その分散槽内で被測定粒子群を媒液中に均一に分散させるとともに、その状態で試料懸濁液を分散槽とフローセル中との間を循環させながら、フローセルにレーザ光を照射して回折/散乱光の測定を行うレーザ回折/散乱式の粒度分布測定装置」である点で一致し、次の点で相違する。
本件発明1は、大気中に含まれる浮遊粒子状物質を測定する装置であって、大気中の浮遊粒子状物質を分散槽の液体中に捕集して分散させる捕集・分散手段であるのに対し、刊行物1に記載された従来技術は、土砂等の粒度分布を測定する装置であって、被測定粒子群と媒液を投入して、分散槽の液体中に分散させる分散手段である点。

相違点について検討するに、
刊行物2、刊行物3に記載されているように、大気中の浮遊粒子を水中に捕集して、その浮遊粒子を取り込んだ水を分析装置にかけて分析することは本件の出願前公知の技術であって、刊行物1に記載された発明の分散槽の液体は分析のために被測定粒子を取り込んで分散させるためのものであるから、この分散槽の液体に大気中の浮遊粒子を捕集する手段を付加して、大気中に含まれる浮遊粒子状物質を測定する装置として構成することは当業者が容易に成しうることである。
なお、レーザ光の液体中の物質による回折・散乱光の空間強度分布を測定する測定光学系として、「レンズで集光したアレイセンサ、前方散乱光・側方散乱光・後方散乱光を検出する光センサ」から成る粒度分布測定装置も公知である。(刊行物4参照)
したがって、本件発明1は、刊行物1乃至刊行物4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
そして、大気を吸引するポンプとそのポンプにより吸引された大気を水中に導いて開放する配管から成る構造は金魚の水槽などにみられるように周知慣用の技術であって、このような周知慣用の技術を採用することに困難はないから、本件発明2も、刊行物1乃至刊行物4に記載された発明及び周知慣用技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
***********************

そして、上記の拒絶理由は妥当なものと認められるので、本願は、この拒絶理由によって拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-23 
結審通知日 2004-08-24 
審決日 2004-09-06 
出願番号 特願2000-309471(P2000-309471)
審決分類 P 1 8・ 121- WZF (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 長井 真一
菊井 広行
発明の名称 浮遊粒子状物質の測定装置  
代理人 江口 裕之  
代理人 喜多 俊文  

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