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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1105389
審判番号 不服2002-9994  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-09-14 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-06-05 
確定日 2004-10-21 
事件の表示 特願2000- 61051「タッチパネルの画面表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 9月14日出願公開、特開2001-249768〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 【1】 手続きの経緯
本願は、平成12年3月6日に特許出願されたものであって、平成14年1月29日付で拒絶の理由が通知され、平成14年4月8日付で手続補正書が提出され、平成14年4月25日付で拒絶査定され、その後平成14年6月5日付で審判請求がなされ、同じく平成14年6月5日付で手続補正書が提出されたものである。
【2】 補正却下の決定
平成14年6月5日付け手続補正について、以下のとおり決定する。
[結論]
平成14年6月5日付けの手続補正を却下する。
[理由]
(1)手続補正の内容
平成14年6月5日付け手続補正(以下「本件補正」という。)は少なくとも特許請求の範囲の請求項1について、これを以下のとおり補正するものである。
「【請求項1】 データ記憶手段、タッチパネルを有する端末を具備し、該端末のタッチパネルにデータ入出力用の操作画面を表示し、該操作画面を操作してデータの入出力を行う情報処理システムのタッチパネルの画面表示方法であって、
前記データ記憶手段に前記タッチパネルに表示する操作画面パターンデータを端末利用者の特性に応じて予め複数格納しておくと共に、端末利用者は該複数の操作画面パターンデータの中から自己の使用する操作画面パターンデータを指定し登録しておき、
端末利用者は前記タッチパネルを操作してデータの入出力を行う際、前記自己の指定した操作画面パターンデータを前記データ記憶手段から読出し、該タッチパネルに該操作画面パターンデータに基くパターンの操作画面を表示することを特徴とするタッチパネルの画面表示方法。」
本件補正についてその内容をみると、この補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「画面」について「データ入出力用の操作画面」と限定したものであり、また、「タッチパネル表示画面データ」を「操作画面パターンデータ」と訂正し、「該タッチパネルに表示する」を「該タッチパネルに該操作画面パターンデータに基づくパターンの操作画面を表示する」と限定したものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか否か)について、以下に検討する。
(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-161691号公報(以下、「引例1」という。)には以下のことが記載されている。
(イ)以下図面に従って実施例を説明する。図1は本発明の第1の実施例を示すブロック図である。図において、20は自動取引装置であり、外観は図15で示したものと同一である。6は顧客の操作,誘導や案内を画面に表示したり、顧客が押すキー等を表示するCRTディスプレイ、7は該CRTディスプレイ6に表示されているキーに対して顧客がどのキーを押したかを検知するタッチセンサであり、これらでタッチセンサ付CRTディスプレイ1を構成する。8は通帳の記帳を行う通帳記帳機、9はカードの磁気ストライプの読み出し,書き込み及び取引明細票の印字を行うカードリーダプリンタ、10は紙幣の入出金機、21はこれらの動作制御を行う中央処理装置(以下CPUという)である。(段落0011、図1)
(ロ)カード,明細票の受取りを確認し(SA12)、取引終了表示画面の拡大表示(図8の(B))を行い(SA13)取引を終了する。後に、通常文字での表示指示にて、ステップSA1の取引選択画面(図3の(A))へ戻る。なお、本実施例では、通常画面を変換処理して拡大表示画面を得ているが、これに限るものではなく、例えば、装置内の記憶部に予め作成した拡大表示画面を格納して、随時これを引き出して表示することとしてもよい。(段落0018、図3、8)
(ハ)顧客は、自動取引装置のCRTディスプレイ6に取引選択画面を表示している状態(SB1)で、顧客が取引選択するよりも先に磁気カード挿入口3へカード挿入した場合(SB2)、挿入されたカードの磁気ストライプを読み取る(SB3)。磁気ストライプ上に弱視者であることを示す情報があるかを判断し(SB4)、弱視者であった場合は、取引選択画面を拡大表示する(SB5)。弱視者でなかった場合は、通常の取引選択画面を表示する(SB6)。次に、取引選択画面より、残高照会キーが押下されるのを待つ(SB7)。顧客が残高照会キーを押下することにより、弱視者であるかを判定する(SB8)。(段落0020、図9)
(ニ)また、SD2にて、カードが挿入されず先に残高照会キーが押下された場合(SD13)、通常のカード挿入指示画面表示を行い(SD14)カードの挿入を待つ(SD15)。顧客がカードを挿入すると、磁気ストライプを読み取り(SD16)、読み取ったストライプデータをホストコンピュータへ送信する(SD17)。
ホストコンピュータは、顧客の個人情報を持ち、自動取引装置20より送られたストライプデータより弱視者であるかを検索し、自動取引装置20へ指示を送り、自動取引装置20は指示を受け取る(SD18)。自動取引装置20は、ホストコンピュータよりの指示を判定し(SD19)、弱視者指示であった時、暗証入力指示画面の拡大表示を行い(SD20)、弱視者指示でなかった場合は、通常の暗証入力指示画面を表示する(SD21)。以下残高照会の次処理に移行し、画面表示の度に、弱視者指示を参照し表示画面を切り分ける。(段落0029、0030,図11、12)
(ホ)以上詳細に説明した如く本発明によれば、顧客の操作誘導文字を画面表示する表示装置と、顧客が操作を行う入力装置とを有し、該入力装置における顧客の操作に従って、取引を行う自動取引装置の、前記顧客の表示装置の画面表示方法において、前記表示装置における拡大表示への切り換えトリガを予め設定しておき、自動取引装置はこのトリガを得ると、前記表示装置に表示する操作誘導文字を拡大表示するので、弱視者または希望する顧客に対して、操作誘導画面を拡大することができる。
これにより、弱視者に、弱視のハンディーを考慮した操作誘導画面を提供することが可能になり、弱視者が画面読み取りの為に操作キーへの接触するほど画面へ近づく必要が無くなり、従って操作キーへの不要な接触による誤操作は防止され、弱視者にとっても操作性の優れた装置を提供するという効果がある。(段落0032、0033)
同じく、原査定時に周知技術の例として引用された特開平5-53754号公報(以下、「引例2」という。)には以下のことが記載されている。
(ヘ)図1は、この発明に係る1実施例のパーソナル電子机上装置の主要部構成図である。
複数の実行プログラムを格納する実行プログラム格納部1と、これらの実行プログラムを識別・選択するアイコンをディスプレイ3上に表示するアイコン表示部2とがある。アイコン情報格納部4には簡易図形などを用いた絵表示方式による各アイコンの表示データ等が格納されている。また制御部5は、ディスプレイ3上に表示されたアイコンから任意の一つが選択されたとき、前記複数の実行プログラム中から対応するプログラムを選択して実行させるシステム制御などを行なうものである。
さらに、該システムの各利用者を識別する利用者識別部7と、利用者毎に前記アイコンを表示する位置や種類等の情報を記憶する利用者情報格納部6が設けられている。利用者情報格納部6には、予め各利用者がそれぞれ表示するアイコンの種類や位置を整理し、分担業務に応じた、あるいは個人の好みにあった使いやすい形態の机上を作成して登録しておく。
また、利用者識別部7による利用者の識別方法としては、例えばキーボード8を使用して利用者の名前、あるいは識別コード等を入力することにより行なう方法がある。あるいはまた、識別カード等を作成して各個人が所持し、識別カード読取り器等を利用してより簡易に行なうことも可能である。(段落0013、0014,0015,0016)
(3)対比・判断
本件補正発明と引例1に記載された発明とを比較すると、引例1の「自動取引装置」、「タッチセンサ付きCRTディスプレイ」は本件補正発明の「端末」、「タッチパネル」に相当する。また、引例1に記載された発明において、弱視者用の操作画面パターンデータのほかに健常者用の操作画面パターンデータも格納されていることは明らかであって、「操作画面パターンデータを端末利用者の特性に応じて予め複数格納し」ておくことは開示されている。さらに、引例1に記載された発明において、端末利用者である弱視者は、タッチパネルを操作してデータの入出力を行う際、識別カードを読み取らせること等により、予め複数格納された操作画面パターンデータから、弱視者用の操作画面パターンデータを記憶手段から読み出してタッチパネルに表示することが開示されており、このとき読み出す操作画面パターンデータは、自己の使用する操作画面パターンデータとして指定し登録した操作画面パターンデータを指定して読み出しているといえる。したがって、本件補正発明と引例1に記載された発明とは、
「データ記憶手段、タッチパネルを有する端末を具備し、該端末のタッチパネルにデータ入出力用の操作画面を表示し、該操作画面を操作してデータの入出力を行う情報処理システムのタッチパネルの画面表示方法であって、
前記データ記憶手段に前記タッチパネルに表示する操作画面パターンデータを端末利用者の特性に応じて予め複数格納しておくと共に、端末利用者は該複数の操作画面パターンデータの中から自己の使用する操作画面パターンデータを指定し登録しておき、
端末利用者は前記タッチパネルを操作してデータの入出力を行う際、前記自己の指定した操作画面パターンデータを前記データ記憶手段から読出し、該タッチパネルに該操作画面パターンデータに基くパターンの操作画面を表示することを特徴とするタッチパネルの画面表示方法。」である点で一致し、
(a)引例1に記載された発明においては、端末利用者が健常者であるときには、自己の使用する操作画面パターンデータを指定し登録していないし、自己の指定した操作画面パターンデータを読み出し、タッチパネルに表示もしていない点で相違する。
(4)検討
(a)の相違点について、引例2に例示するように、利用者ごとに好みにあった使いやすい画面パターンを登録し、利用の際にこの画面パターンを読み出すことは周知であるから、端末利用者が健常者の場合にも、弱視者の場合と同様に、複数の操作画面パターンデータの中から自己の使用する操作画面パターンデータとして指定し登録しておき、自己の指定した操作画面パターンデータを読み出し、タッチパネルに表示することに格別困難性を要しないものと認められる。
(5)むすび
以上のとおり、本件補正発明は、引例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


【3】 本願発明について
(1)本願発明
平成14年6月5日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は平成14年4月8日付手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】 データ記憶手段、タッチパネルを有する端末を具備し、該端末のタッチパネルに画面を表示し、該画面を操作してデータの入出力を行なう情報処理システムのタッチパネルの画面表示方法であって、
前記データ記憶手段に前記タッチパネルに表示するタッチパネル表示画面データを端末利用者の特性に応じて予め複数格納しておくと共に、端末利用者は該複数のタッチパネル表示画面データの中から予め自己の使用するタッチパネル表示画面データを指定し登録しておき、
端末利用者は前記タッチパネルを操作してデータの入出力を行う際、前記自己の指定したタッチパネル表示画面データを前記データ記憶手段から読出し、該タッチパネルに表示することを特徴とするタッチパネルの画面表示方法。」
(2)引用刊行物
原査定の拒絶の理由に引用された特開平6-161691号公報(以下、「引例1」という。)及び原査定時に周知技術の例として引用された特開平5-53754号公報(以下、「引例2」という。)には、前記 【2】 の(2)に記載したとおりの技術的事項が開示されている。
(3)対比・判断
本願発明は、前記 【2】 の(1)で検討した本件補正発明における「データ入出力用の操作(画面)」、「操作画面パターンデータに基づくパターンの操作画面」の限定をなくし、「操作画面パターンデータ」を「タッチパネル表示画面データ」とするものである。
そうすると、「タッチパネル表示画面データ」を格納することも引例1に記載されているものであるから、前記したように、本件補正発明が前記 【2】 の(4)に記載した理由によって、引例1に記載された発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる以上、本願発明についてもこれと同様に前記引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
(4)むすび
以上のとおりであって、本願の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、前記引例1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-18 
結審通知日 2004-08-24 
審決日 2004-09-08 
出願番号 特願2000-61051(P2000-61051)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 昌晴  
特許庁審判長 下野 和行
特許庁審判官 植松 伸二
内田 正和
発明の名称 タッチパネルの画面表示方法  
代理人 熊谷 隆  
代理人 高木 裕  

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