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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F16K |
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管理番号 | 1105399 |
審判番号 | 不服2002-12708 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-09 |
確定日 | 2004-11-04 |
事件の表示 | 平成5年特許願第85777号「流体制御器」拒絶査定に対する審判事件[平成6年9月27日出願公開、特開平6-272770]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年3月18日の出願であって、本願の請求項1に係る発明は、平成14年4月18日付けと平成14年8月8日付けの手続補正書によって補正された明細書の、特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのもの(以下、「本願発明」という。)と認める。 「流路を有する弁箱と、この弁箱の流路と当接して設けられたダイアフラムと、このダイアフラムを上下動させる操作機構とからなるダイアフラム弁において、前記ダイアフラムには突起状の金属製弁体が係脱自在に設けられ、且つ前記弁箱の流路には前記金属製弁体の先端部が挿入されることにより該先端部と係合される開口部が設けられてなることを特徴とする流体制御器。」 2.引用刊行物およびその記載事項 これに対して、原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願前に日本国内において頒布された実公平3-5727号公報(以下、「引用例」という。)には超高真空バルブ用メタルディスクに関して、第3図とともに以下の記載がある。 A)「第3図は、上記の金属製ダイヤフラムを使用した超高真空バルブの一例を示す側断面図であって、弁座1に着座するメタルディスク2aを具えた弁体2は、金属製ダイヤフラム3によって弁室7と隔離するようにして弁本体4に昇降自在に取付けられており、該弁体2は、ハンドル操作によって昇降される。図中、5は弁体2の頂部をボールを介して押圧している操作ハンドル、6は弁体2を常時弁開方向に持ち上げているばね、8及び9は、弁室7に連通されたガス導入管及び同導出管を示す。」(第1頁第2欄1〜11行) 上記A)の記載と併せて第3図を参酌すれば、上記引用例の第3図に示された超高真空バルブは、ガス導入管8及びガス導出管9に連通する流路を有する弁本体4と、該流路の一部として弁本体4内に設けられた弁室7と、弁室7に当接して設けられたダイアフラム3と、このダイアフラム3を上下動させる操作ハンドル5とからなるダイアフラム弁であって、ダイアフラム3にはメタルディスク2aが突起状に設けられ、弁本体4の流路には、メタルディスク2aの先端部が当接することにより該先端部と係合される弁座1が設けられているものと認められる。また、このバルブは、超高真空用のバルブとして用いられるものであるから、ガス流体の制御器でもあるものと認める。 したがって、上記引用例には、 「流路を有する弁本体4と、この弁本体4の流路と当接して設けられたダイアフラム3と、このダイアフラム3を上下動させる操作ハンドル5とからなるダイアフラム弁において、前記ダイアフラムには突起状のメタルディスク2aが設けられ、且つ前記弁本体4の流路には前記メタルディスク2aの先端部と係合される弁座1が設けられてなる流体制御器。」の発明(以下、「引用例記載の発明」という。)が記載されているものと認める。 3.本願発明と引用例記載の発明との対比 本願発明と引用例記載の発明とを対比すれば、引用例記載の発明の「弁本体4」、「操作ハンドル5」、「弁座1」は、それぞれ本願発明の「弁箱」、「操作機構」、「開口部」に相当しており、さらに引用例記載の発明の「メタルディスク2a」は、メタルで形成され、先端部が弁座1に係合して弁体として機能するから、本願発明の「金属製弁体」に相当している。 したがって、本願発明と引用例記載の発明は、 「流路を有する弁箱と、この弁箱の流路と当接して設けられたダイアフラムと、このダイアフラムを上下動させる操作機構とからなるダイアフラム弁において、前記ダイアフラムには突起状の金属製弁体が設けられ、且つ前記弁箱の流路には前記金属製弁体の先端部と係合される開口部が設けられてなる流体制御器。」 である点で一致し、以下の相違点1)、2)で相違しているものと認める。 <相違点> 1)本願発明のダイアフラムは、突起状の金属製弁体が係脱自在に設けられているのに対し、引用例記載の発明のダイアフラム3は、突起状のメタルディスク2aが設けられてはいるものの、それが係脱自在であるか否かは明らかでない点。 2)本願発明の弁箱の流路に設けられた開口部は、金属製弁体の先端部が挿入されることによって該先端部と係合されるのに対し、引用例記載の発明の弁本体4の流路に設けられた弁座1は、メタルディスク2aの先端部が当接することにより該先端部と係合されるようになっており、メタルディスク2aの先端部が挿入されるものでない点。 4.相違点の検討 (1)相違点1)に関して ダイアフラムに突起状の弁体を設けたダイアフラム弁において、該突起状の弁体を係脱自在としておくことは周知技術(例えば、原査定の拒絶理由通知書の「先行技術文献調査の記録」に先行技術文献として挙げられた、実公昭8-17935号公報(昭和8年実用新案出願公告第17935号公報)、実公昭3-7911号公報(昭和3年実用新案出願公告第7911号公報)を参照されたい。前者の弁体3は螺杆9の凸部8に螺合され、後者の弁頭3は弁杆4に螺合されている(公報中の漢字は新字体に改めた)から、それぞれ係脱自在である。なおさらに必要ならば、特開昭64-6588号公報等を参照されたい。)であり、このようにすれば該突起状の弁体を容易に交換できることは当業者において自明である。 してみれば、引用例記載の発明において、突起状のメタルディスク2aをダイアフラム3に係脱自在に設けることは、上記周知技術から当業者が容易に行うことができたものである。 (2)相違点2)に関して 弁箱の流路に設けられた開口部に、弁体の先端部を挿入することによって開口部を該先端部と係合させ、これにより流体の精密な制御を行うことは周知技術(例えば原査定において、「先行技術文献調査結果の追加」として挙げられた特開平4-236861号公報と特開平5-10455号公報、または原査定の拒絶理由通知書の「先行技術文献調査の記録」に先行技術文献として挙げられた実願昭62-180946号(実開平1-85589号)のマイクロフィルムを参照されたい。)である。 してみれば、引用例記載の発明において、弁本体4の流路に設けられた弁座1を、メタルディスク2aの先端部が挿入されることによって該先端部と係合されるようにすることは、上記周知技術から当業者が容易に行うことができたものである。 そして、本願発明が奏する作用効果は、上記引用例記載の発明と上記各周知技術に示唆された事項から予測される程度以上のものではない。 したがって、本願発明は、上記引用例記載の発明に上記各周知技術を適用することにより当業者が容易に発明をすることができたものである。 5.むすび 以上詳述したとおり、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例記載の発明と上記各周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-06-25 |
結審通知日 | 2003-06-30 |
審決日 | 2003-07-11 |
出願番号 | 特願平5-85777 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(F16K)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 渡邉 洋 |
特許庁審判長 |
藤井 俊明 |
特許庁審判官 |
ぬで島 慎二 尾崎 和寛 |
発明の名称 | 流体制御器 |
代理人 | 清原 義博 |