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審決分類 |
審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H04N |
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管理番号 | 1105848 |
異議申立番号 | 異議2003-72235 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2001-07-10 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2003-09-01 |
確定日 | 2004-08-23 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第3387468号「画像形成装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 訂正を認める。 特許第3387468号の請求項1に係る特許を維持する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第3387468号の請求項1に係る発明についての出願は、平成11年12月28日に特許出願され、平成15年1月10日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人市東 勇により特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月25日に訂正請求がなされたものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。 ア.訂正事項a 特許請求の範囲の請求項1について、 「【請求項1】自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙の倍率を算出し、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する画像形成装置。」とあるのを、 「【請求項1】自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値の比較結果に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率が大きい方の用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する画像形成装置。」と訂正する。 イ.訂正事項b 明細書の段落【0005】の 「【0005】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙の倍率を算出し、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する。」とあるのを、 「【0005】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値の比較結果に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率の大きい方の用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する。」と訂正する。 ウ.訂正事項c 明細書の段落【0045】の 「【0045】 このように構成すれば、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 〔2〕請求項1〜請求項3、前記〔1〕のいずれか1項に記載の画像形成装置において、制御手段は、複数の用紙収容手段に収容されている用紙サイズに依存しない画像形成装置。」とあるのを、 「【0045】 このように構成すれば、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 〔2〕請求項1、前記〔1〕のいずれか1項に記載の画像形成装置において、制御手段は、複数の用紙収容手段に収容されている用紙サイズに依存しない画像形成装置。」と訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否 ア.訂正事項aについて (ア)訂正事項aのうち「それらの数値の比較結果に基づいて」と訂正する点について この訂正は、訂正前の「それらの数値に基づいて」に対して、数値が比較され、その比較結果が用いられることの限定を加えるものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当し、また、かかる訂正事項は願書に添付した明細書の段落【0035】,【0043】に記載されていたものといえ、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (イ)訂正事項aのうち「用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率の大きい方の用紙を選択する一方」と訂正する点について これに関連する記載として、願書に添付した明細書には、 「【0031】 ステップS4においては、原稿サイズと用紙選択キー71で選択された用紙サイズとに基づいて、倍率を自動的に設定する、いわゆる自動倍率機能が設定されているか否かが判断される。そして、自動倍率機能が設定されている場合は、ステップS5に移行する。一方、自動倍率機能が設定されていない場合、つまりズームキー72及びテンキー61で倍率が設定された場合は、ステップS8に移行する。 【0032】 ステップS5においては、選択された用紙に対する倍率が設定される。具体的には、原稿サイズと用紙サイズとに基づいて、倍率が算出される。 ステップS6においては、選択された用紙を、90度回転させた仮想用紙が想定されて、その仮想用紙に対する倍率が算出される。 【0033】 ステップS7においては、前記ステップS5の算出結果と、前記ステップS6の算出結果とに基づいて、倍率の大きい方の用紙が選択されて、その選択された用紙が記録部50に移送される。そして、その用紙に画像が記録される。このとき、倍率の大きい方の用紙が仮想用紙を想定したときの場合は、その用紙に90度回転された画像が記録される。」とある。 してみると、訂正前の「複数の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙の倍率を算出し、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する一方」の記載は、発明の詳細な説明の段落【0031】〜【0033】の上記記載及び図3からみて、さらには、訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、」との記載からみて、不明りょうな記載であるといえる。 したがって、かかる訂正事項は、この不明りょうな記載を、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内において明りょうにし、また、後述するように、訂正前においては複数の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙に対して倍率の算出、及び用紙の選択を行うとしていたのを、選択手段で選択された1つの用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対してのみ倍率の算出、及び用紙の選択を行うと限定を加えるものであるとも解することができるから、明りょうでない記載の釈明または特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当しないことも明らかである。 ところで、異議申立人は、このような訂正について、特許請求の範囲を拡張することとなるから認められない旨を主張している。 上記主張について検討するに、文言上は、訂正前の「複数の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙の倍率を算出し、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する一方」が選択された用紙収容手段以外の用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対しても倍率の算出、及び用紙の選択を行うのに対し、訂正後においては、選択された用紙収容手段以外の用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対して倍率の算出、及び用紙の選択を行うことを必ずしも特定できない点で、特許請求の範囲を拡張するものに見える。 しかしながら、「用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、」という記載から明らかなように、用紙収容手段は選択済みであることが前提条件である。したがって、訂正前の本件特許請求の範囲に接した者にとっては、選択された用紙収容手段以外の用紙収容手段に収容されている各用紙及び各仮想用紙についてまでも倍率の算出、及び用紙の選択を行うことは、技術的にみて全く意味のないものであることを直ちに認識できるものであり、また、倍率の算出、及び用紙の選択を、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対してのみ行えば足りることを当然に推測できるものである。 したがって、かかる訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (ウ)以上のとおり、上記訂正事項aは、特許請求の範囲の減縮または明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当し、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 イ.訂正事項bについて 訂正事項bは、上記訂正事項aの訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 ウ.訂正事項cについて 訂正事項cは、平成14年11月15日付け手続補正書により請求項2及び3が削除されたのにともない、それに合わせて補正されるべきところ、補正がされなかったため不明りょうとなった点を訂正するものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当し、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (3)むすび したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。 3.特許異議の申立てについての判断 (1)特許異議申立ての理由の概要 特許異議申立人は、証拠として、甲第1号証(特開平7-245670号公報)を提出し、本件請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものであるから、本件特許を取り消すべきである旨主張している。さらに、本件請求項1に係る発明は、特許法第36条第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしていないものであるから、本件特許は取り消されるべきものである旨主張している。 (2)本件請求項1に係る発明 上記2.で示したとおり、上記訂正は認められるから、本件請求項1に係る発明は上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 (3)引用刊行物記載の発明 特許異議申立人が証拠として提出し、当審が取消理由通知において引用した刊行物1(甲第1号証)には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア.「【発明が解決しようとする課題】このような画像回転機能を備えたデジタル複写機では、用紙の向きに関係なく複写を実行できると言った利点を有するが、全ての複写に対して画像回転機能を働かせると、使用者が意図的に原稿画像と用紙の向きを違えて複写しようとした場合に、使用者の意図に反して複写が実行されると言った不都合がある。 本願発明はこのような不都合を解決することを目的とする。」(2頁右欄3〜10行) イ.「このデジタル複写機は、原稿を1枚ずつ原稿置台19上に給送してセットする原稿搬送装置500(以下、ADFと記す)と、セットされた原稿画像を読み取って画像データを発生する画像読取装置IRと、画像読取装置IRから画像データを受け取って用紙上に画像を形成するプリンタ装置PRから構成される。」(2頁右欄46行〜3頁左欄2行) ウ.「給紙カセット81a、81bは、B5、A4サイズの用紙を縦向き、横向きの両方向に、B4サイズの用紙を縦向きに、A3サイズの用紙を縦向きに収容可能であり、いずれかのサイズの用紙がいずれかの向きで積層状態で収容される。」(3頁右欄49行〜4頁左欄4行) エ.「【0027】また、CPU21は操作パネル90の各種操作キーからの信号の入力及び表示に関する制御を行い操作パネル90上の設定状態はCPU21の内部のメモリにストアされる。操作パネル90は図3に示すように構成されている。 【0028】900はテンキーであり、複写枚数の設定及び複写倍率の設定を行う際に操作する。設定された複写枚数及び複写倍率は表示部901に表示される。902は、倍率表示部903に表示されている複写倍率の中から、所望の複写倍率を選択するためのキーであり、キー902を押す度に選択される倍率が切り替わる。 【0029】904は複写紙サイズの選択キーであり、複写紙サイズ表示部に表示されている、給紙カセット81a、81bに収容されている用紙サイズ及び向き(給紙カセット81a、81bにセットされている複写紙サイズとそうでない複写紙サイズとは区別して表示している)の中から、一つを選択するためのキーである。キー904を押す度に選択している用紙サイズ及び向きが切り替わるようになっている。ここでは、給紙カセット81a、81bに、A4縦(A4T)とA3縦(A3T)が収容されており、現在、A4縦が選択されている状態を示している。 【0030】906は自動用紙選択(APS)モード、自動倍率選択(AMS)モード、用紙選択と倍率選択とを手動でおこなう(マニュアル)モードとを選択するためのキーであり、キー906を押す度に選択されるモードが切り替わる。ここでAPSモードとは、原稿サイズ及び向きを検出し、検出された原稿サイズ、向きと設定された複写倍率から最適な用紙サイズ、向きを自動的に選択し、複写を実行するモードのことである。また、AMSモードとは、原稿サイズを検出し、検出した原稿サイズと設定された用紙サイズから最適な複写倍率を自動的に設定し、複写を実行するモードである。」(4頁右欄40行〜5頁左欄22行) オ.「図6,図7に上記制御を実行するためのCPU21の処理フローを示す。」(5頁右欄7〜8行) カ.「マニュアルモードもしくはAPSモードが選択されているときには、ステップ605で倍率選択キー902あるいはテンキー900で選択されている複写倍率Mを読み取り、ステップ606でマニュアルモードかAPSモードかの判断を行う。マニュアルモードもしくはAPSモードが選択されているときには、ステップ605で倍率選択キー902あるいはテンキー900で選択されている複写倍率Mを読み取り、ステップ606でマニュアルモードかAPSモードかの判断を行う。マニュアルモードのときには、ステップ607で選択されている用紙の図5におけるx方向の長さPx、y方向の長さPyを読み取り、ステップ608では、ステップ601でのYES、NOの判断に従って、YES、NOの方向に分岐する。つまり、ADF500を使用した複写ならステップ609へ進み、ADF500を使用しない複写であるならステップ619へ進む。 【0036】ADF500を使用した複写ならステップ609で、用紙と原稿の向きを比較する。即ち、用紙及び原稿が縦向きであれば、縦横の長さの差(Px-PyとDx-Dy)は、ともに正の値を示し、用紙及び原稿が横向きであれば、縦横の長さの差は、ともに負の値を示す。よって、(Px-Py)・(Dx-Dy)の値の正負を判断することによって、用紙と原稿の向きの比較を行う。原稿の向きと用紙の向きとが一致しないときには(ステップ609でYES)、ステップ610でPxとPyの値を交換し、画像回転フラグRを1にセットする。ステップ609で、用紙と原稿の向きが一致すると判断されたときには(ステップ609でNO)、そのままステップ619へ進む。 【0037】さて、ステップ606でAPSモードが選択されているときには、ステップ611で原稿サイズと設定倍率とから、画像が欠損することなく複写することができる用紙サイズPx、Pyを演算し、ステップ612で該当するサイズで向きの一致する用紙を収容するカセットをカセット81a、81bの中から選択する。 【0038】ステップ613で適当なカセットがある場合には(ステップ613でYES)、そのままステップ619へ進むが、適当なカセットが無い場合には(ステップ613でNO)、ステップ614でPxとPyの値を交換し、画像回転フラグRを1にセットする。そして、再度ステップ615で適当なカセットの有無を判断する。つまり、ここでは、Px、Pyの値を交換することによって、ステップS611で演算した用紙とサイズは同じであるが向きの異なる用紙を収容するカセットが有るかを判定して、適当なカセットがある場合には、これを選択する。」(5頁右欄22行〜6頁左欄13行) キ.「【0039】また、ステップ604でAMSモードが選択されていたときには、ステップ617で選択されている用紙のサイズPx、Pyを読み取り、ステップ618で複写倍率Mを演算し、ステップ619へ移行する。ステップ619では、読み取り倍率Mに基づいて変倍処理部25へ制御信号(倍率信号)を出力する。」(6頁左欄21〜26行) ク.「また、マニュアルモードでADF500を用いないで複写するとき、即ち、マニュアルモードで原稿をマニュアル操作で原稿載置台19上にセットして複写するときには、このことがステップ608で判定されると(ステップ608でNO)、ステップ609及びステップ610での処理が飛ばされて実行されないので、ステップ622での画像の回転処理が禁止され、読み取った画像データが回転されることなく画像メモリに展開される(ステップ623)。これによって、使用者が意図的に原稿と用紙の向きを違えて複写しようとした場合には、原稿画像が回転されることなく、使用者の意図通りの複写が実行される。」(6頁右欄30〜41行) これらの記載からみて、刊行物1には、 「自動用紙選択(APS)モード及び画像回転機能を備えたデジタル複写機において、原稿画像を読み取る画像読取装置IRと、用紙を収容する複数の給紙カセット81a、81bと、給紙カセット81a、81bに収容されている用紙サイズを選択する複写紙サイズの選択キー904と、倍率を設定するキー902と、画像を用紙上に形成するプリンタ装置PRと、原稿サイズと設定倍率とから画像が欠損することなく複写するのに必要な用紙サイズPx,Pyを演算し、前記Px,Pyにサイズ及び向きの一致する用紙を収容するカセット、あるいは前記Px,Pyを交換することによってサイズ及び向きの一致する用紙を収容する給紙カセットがあるか否かを判定し、適当と判定された給紙カセットを選択するCPU21とを備え、そのCPU21は、自動倍率選択(AMS)モードが選択され、用紙サイズが選択された場合は、選択された用紙サイズに対する複写倍率Mを演算する一方、複写倍率が倍率選択キー902で選択され、マニュアルモードが選択され、用紙が選択され、ADF500を使用しない場合は、画像を回転させることなく、画像を選択された用紙にプリンタ装置PRで形成するデジタル複写機。」の発明が記載されていると認められる。 (4)対比・判断 本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、 本件請求項1に係る発明は、「各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値の比較結果に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する」のに対し、刊行物1に記載の発明は、演算した用紙サイズPx,Pyに基づいて各給紙カセットに収容された用紙及び仮想用紙のうち適当なものがあるか否かを判定し、適当と判定された用紙を選択しているにすぎず、各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化した数値の比較結果に基づいて複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択することについては記載も示唆もされていない。 また、本件請求項1に係る発明は、自動倍率機能が設定された場合(さらに言えば、その自動画像回転の際)に「選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率が大きい方の用紙を選択する」のに対し、刊行物1に記載の発明は、そのように選択する点を備えていない。 付言するに、刊行物1に記載の自動画像回転は、倍率を算出するものではない。加えて、この自動画像回転は、自動用紙選択(APS)モード及びマニュアルモードにおけるものであり、これらのモードでは倍率が設定されているから、自動画像回転に際して倍率を算出すべき動機も見出せない。 したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。 さらに、上記訂正により、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択手段で「選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率の大きい方の用紙を選択する」ことが明らかになり、かつ、これは発明の詳細な説明の記載(特に、上述の段落【0031】ないし【0033】、及び図3参照。)と整合するものであるから、本件特許請求の範囲の記載は特許法第36条第6項第1号、第2号に規定する要件を満たしている。 (5)むすび 以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 画像形成装置 (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値の比較結果に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率の大きい方の用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する画像形成装置。 【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、コピー装置や複写機能付きファクシミリ装置等に代表される画像形成装置に関し、より詳しくは自動的に用紙を選択する機能、いわゆる自動用紙選択機能、及び画像をそのまま用紙に記録するか或いは画像を90度回転させて、用紙に記録させるかを自動的に判断する、いわゆる自動画像回転機能を備えた画像形成装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年の画像形成装置においては、原稿サイズ、倍率及び用紙サイズに基づいて、画像をそのまま用紙に記録するか、或いは画像を90度回転させて、用紙に記録させるかを自動的に判断する、いわゆる自動画像回転機能を備えたものがある。このような装置においては、用紙カセットに収容されている用紙の向きを考慮することなく、原稿を縦向き又は横向きに載置した場合であっても、確実にコピーが行われる。従って、使用者は、原稿の向きを考慮する必要がないため、非常に簡便であるとともに、ミスコピーを低減することができる。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、画像を90度回転させることなく、原稿を読取部に載置した状態のままでコピーしたい場合もある。すなわち、用紙に余白を作成する場合である。このような場合において、自動画像回転機能を備えた装置でコピーする場合には、画像を90度回転させない設定、すなわち自動画像回転機能を「OFF」に設定する必要があった。このため、この自動画像回転機能が逆に煩わしいと感じられることすらあった。 【0004】 本発明は、このような問題点に着目してなされたものであって、その目的は、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することが可能な画像形成装置を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】 上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、自動用紙選択機能及び自動画像回転機能を備えた画像形成装置において、原稿の画像を読み取る読取手段と、用紙を収容する複数の用紙収容手段と、用紙収容手段を選択する選択手段と、倍率を設定する倍率設定手段と、画像を用紙に記録する記録手段と、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値の比較結果に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択する制御手段とを備え、その制御手段は、用紙収容手段が選択手段で選択され、自動倍率機能が設定された場合は、選択された用紙収容手段に収容されている用紙及び仮想用紙に対する倍率をそれぞれ算出し、倍率の大きい方の用紙を選択する一方、用紙収容手段が選択手段で選択され、倍率が倍率設定手段で設定された場合は、用紙を回転させた仮想用紙を想定することなく、画像を選択手段で選択された用紙収容手段の用紙に記録手段で記録する。 【0006】削除 【0007】削除 【0008】 なお、以下に述べる発明の実施の形態において、特許請求の範囲または課題を解決するための手段に記載の「画像形成装置」は複写機能付きファクシミリ装置1に相当し、同じく「読取手段」は読取部40に相当し、同じく「用紙収容手段」は第1〜第3用紙カセット51〜53に相当し、同じく「制御手段」はMPU10、ROM20及びRAM30に相当し、同じく「選択手段」は用紙選択キー71に相当し、同じく「倍率設定手段」はズームキー72及びテンキー61に相当し、同じく「記録手段」は記録部50に相当する。 【0009】 【発明の実施の形態】 以下に、本発明に係る画像形成装置を複写機能付きファクシミリ装置に具体化した一実施形態を図面を用いて説明する。 【0010】 図1に示すように、複写機能付きファクシミリ装置1は、MPU10、ROM20、RAM30、読取部40、記録部50、操作部60、表示部70、画像メモリ80、コーデック90、モデム100、及びNCU110から構成されるとともに、各部10〜110がバス120を介してそれぞれ接続されている。 【0011】 MPU10は、複写機能付きファクシミリ装置1を構成する各部を制御する。ROM20は、複写機能付きファクシミリ装置1を制御するためのプログラムを記憶する。RAM30は、複写機能付きファクシミリ装置1に関する各種情報を一時的に記憶する。 【0012】 読取部40は、原稿上の画像データを読み取って、白黒2値のイメージデータを出力する。記録部50は、電子写真方式のプリンタよりなり、受信画データや、コピー動作において読取部40にて読み取られた原稿の画データを、用紙上に記録する。記録部50は、上段に配設された第1用紙カセット51と、中段に配設された第2用紙カセット52と、下段に配設された第3用紙カセット53と、複写機能付きファクシミリ装置1の側面に配設された手差しトレイ54とを備えている。そして、第1〜第3用紙カセット51〜53には、用紙サイズを検出するためのサイズセンサ51a〜53aが配設されている。 【0013】 操作部60は、電話番号やFAX番号等を入力するためのテンキー(*,#キーを含む)61、短縮番号の登録又は短縮番号から発信するための短縮キー62、予め登録したFAX番号をワンタッチで指定するためのワンタッチキー63、原稿の読み取り動作を開始させるためのスタートキー64、「通信(FAX)」モード又は「コピー」モードに設定するための通信/コピーキー65等の各種操作キーを備えている。 【0014】 LCD等よりなる表示部70は、タッチパネルで構成され、複写機能付きファクシミリ装置1の動作状態等の各種情報の表示を行う。そして、操作部60の通信/コピーキー65が操作されて、コピーモードに設定された後、テンキー61等からコピーの設定が行われる。すると、図2に示すように、状態表示を示す「コピーできます」と、用紙を示す「A4」と、倍率を示す「100%」と、セット即ちコピー部数を示す「1」と、自動用紙選択機能を示す「自動」と、選択されている用紙等本体の状態を示す本体アイコンとが表示される。また、表示部70の下方には、機能キー、すなわち第1〜第3用紙カセットに収容されている用紙又は手差しトレイ54に載置されている用紙を選択するための用紙選択キー71と、倍率を設定するためのズームキー72と、ソートを設定するためのソート選択キー73とが表示される。そして、これらの各機能キー71〜73を直接指で触れると、各種機能及び必要な操作を複写機能付きファクシミリ装置1に指示することができる。 【0015】 図1に示すように、画像メモリ80は、受信画データや読取部40で読み取られた画データを一時的に記憶する。コーデック90は、読取部40にて読み取られた画データを送信のためにMH,MR,MMR方式等により符号化(エンコード)する。また、コーデック90は、受信画データを復号(デコード)する。 【0016】 モデム100は、ITU-T勧告T.30に従ったファクシミリ伝送制御手順に基づいて、V.17,V.27ter,V.29等に従った送受信データの変調及び復調を行う。NCU110は、電話回線Lとの接続を制御するとともに、相手先のFAX番号に対応したダイヤル信号の送出及び着信を検出するための機能を備えている。 【0017】 次に、最適な用紙の判断を行う処理で用いる「記録状態番号」について、説明する。すなわち、本実施形態では、読取部40で読み取った画像が用紙にどのように記録されるかを数値化するために「記録状態番号」という概念を用いる。 【0018】 ここで、記録状態番号が「0」とは、読取部40で読み取った画データを、設定された倍率で用紙に記録した場合に、画像が用紙の長辺及び短辺ともに丁度収まる場合を示す。 【0019】 記録状態番号が「1」とは、同様に画像を用紙に記録した場合に、画像が用紙の長辺に対して丁度であって、用紙の短辺に対して余白が発生する場合と、画像が用紙の短辺に対して丁度であって、用紙の長辺に対して余白が発生する場合とを示す。 【0020】 記録状態番号が「2」とは、同様に画像を用紙に記録した場合に、画像が用紙の長辺及び短辺ともに余白が発生する場合を示す。 記録状態番号が「3」とは、同様に画像を用紙に記録した場合に、画像が用紙の長辺に対して丁度であって、用紙の短辺に対して収まらない場合、つまり画像が用紙の短辺からはみ出す場合と、画像が用紙の短辺に対して丁度であって、用紙の長辺に対して収まらない場合、つまり画像が用紙の長辺からはみ出す場合とを示す。 【0021】 記録状態番号が「4」とは、同様に画像を用紙に記録した場合に、画像が用紙の長辺及び短辺ともに収まらない場合、つまり画像が用紙の長辺及び短辺からはみ出す場合とを示す。 【0022】 このように「記録状態番号」という概念を用いると、記録状態番号が小さい程、読取部40で読み取った画像を最適な用紙に記録することができることが分かる。しかも、この記録状態番号を用いれば、ミスコピーを極力抑制することもできる。その結果、この記録状態番号に基づいて、最適な用紙を選択することができる。 【0023】 次に、複写機能付きファクシミリ装置1におけるコピー時の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この動作は、ROM20に記憶されたプログラムに基づき、MPU10の制御により実行される(以下、複写機能付きファクシミリ装置1の動作について同じ)。 【0024】 さて、操作部60の通信/コピーキー65が操作されて、コピーモードに設定され、原稿が読取部40に載置されるとともに、コピー部数(但し、コピー部数が1部の場合を除く)や倍率等が、ズームキー72及びテンキー61から設定されて、スタートキー64が押下されると、 図3に示すステップS1においては、自動用紙選択機能が設定されているか否かが判断される。そして、自動用紙選択機能が設定されている場合は、ステップS2に移行する。一方、自動用紙選択機能が設定されていない場合、つまり用紙選択キー71でいずれかの用紙が選択された場合は、ステップS4に移行する。 【0025】 ステップS2においては、原稿サイズとズームキー72及びテンキー61から設定された倍率とに基づいて、最適な用紙が判断される。 ここで、最適な用紙の判断処理について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。なお、この記録状態番号は、RAM30に記憶される。 【0026】 図4に示すステップS101においては、第1用紙カセット51に収容されている用紙の記録状態番号が算出される。 ステップS102においては、第2用紙カセット52に収容されている用紙の記録状態番号が算出される。 【0027】 ステップS103においては、第3用紙カセット53に収容されている用紙の記録状態番号が算出される。 ステップS104においては、第1用紙カセット51に収容されている用紙を、90度回転させた仮想用紙が想定されて、その仮想用紙の記録状態番号が算出される。 【0028】 ステップS105においては、第2用紙カセット52に収容されている用紙を、90度回転させた仮想用紙が想定されて、その仮想用紙の記録状態番号が算出される。 【0029】 ステップS106においては、第3用紙カセット53に収容されている用紙を、90度回転させた仮想用紙が想定されて、その仮想用紙の記録状態番号が算出される。 【0030】 図3に示すステップS3においては、前記ステップS2の処理において、算出された記録状態番号のうち、最も小さい記録状態番号に対応する用紙が選択されて、その用紙が記録部50に移送される。そして、その用紙に画像が記録される。このとき、最も小さい記録状態番号が、仮想用紙を想定したときの場合は、仮想用紙を想定した用紙が記録部50に移送される。そして、その用紙に90度回転された画像が記録される。 【0031】 ステップS4においては、原稿サイズと用紙選択キー71で選択された用紙サイズとに基づいて、倍率を自動的に設定する、いわゆる自動倍率機能が設定されているか否かが判断される。そして、自動倍率機能が設定されている場合は、ステップS5に移行する。一方、自動倍率機能が設定されていない場合、つまりズームキー72及びテンキー61で倍率が設定された場合は、ステップS8に移行する。 【0032】 ステップS5においては、選択された用紙に対する倍率が設定される。具体的には、原稿サイズと用紙サイズとに基づいて、倍率が算出される。 ステップS6においては、選択された用紙を、90度回転させた仮想用紙が想定されて、その仮想用紙に対する倍率が算出される。 【0033】 ステップS7においては、前記ステップS5の算出結果と、前記ステップS6の算出結果とに基づいて、倍率の大きい方の用紙が選択されて、その選択された用紙が記録部50に移送される。そして、その用紙に画像が記録される。このとき、倍率の大きい方の用紙が仮想用紙を想定したときの場合は、その用紙に90度回転された画像が記録される。 【0034】 ステップS8においては、読取部40で読み取った画像が、ズームキー72及びテンキー61で設定された倍率で、用紙選択キー71で選択された用紙に記録される。このとき、読取部40で読み取った画像が、90度回転されることなく、そのままの状態で用紙に記録される。 【0035】 以上、詳述したように本実施形態によれば、次のような作用、効果を得ることができる。 (1)自動用紙選択機能が設定された場合は、原稿サイズとズームキー72及びテンキー61で設定された倍率とに基づいて、最適な用紙が判断される。具体的には、第1〜第3用紙カセット51〜53に収容されている用紙と、それぞれの用紙を90度回転させた仮想用紙との記録状態番号が算出される。そして、最も小さい記録状態番号に対応する用紙が選択されて、読取部40で読み取った画像が記録部50で用紙に記録される。一方、自動倍率機能が設定された場合、つまり用紙選択キー71で用紙が選択された場合には、原稿サイズと用紙選択キー71で選択された用紙サイズとに基づいて、倍率が算出される。続いて、選択された用紙と、その用紙を90度回転させた仮想用紙との倍率が算出される。そして、大きい方の倍率の用紙が選択されて、読取部40で読み取った画像が記録部50で用紙に記録される。他方、用紙選択キー71で用紙が選択され、ズームキー72及びテンキー61で倍率が設定された場合は、読取部40で読み取った画像が90度回転されることなく、そのままの状態で記録部50で用紙に記録される。このため、画像を90度回転させることなく、原稿を読取部40に載置した状態のままでコピーしたい場合は、用紙選択キー71で用紙を選択するとともに、ズームキー72及びテンキー61で倍率を設定すれば、読取部40で読み取った画像が90度回転されることなく、そのままの状態で記録部50で用紙に記録される。従って、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 【0036】 (2)自動用紙選択機能が設定された場合と、用紙選択キー71で用紙が選択されて、自動倍率設定機能が設定された場合とは、用紙と、その用紙を90度回転させた仮想用紙との両方のいずれが、読取部40で読み取った画像を記録するために最適であるか否かを判断している。このため、読取部40で読み取った画像が最適な用紙に記録される。従って、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 【0037】 (3)用紙選択キー71で用紙が選択され、ズームキー72及びテンキー61で倍率が設定された場合は、読取部40で読み取った画像が90度回転されることなく、そのままの状態で記録部50で用紙に記録される。このため、従来のように、自動画像回転機能を「OFF」に設定する必要はない。従って、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 【0038】 (4)自動用紙選択機能が設定された場合においては、第1〜第3用紙カセット51〜53に収容されている用紙と、それぞれの用紙を90度回転させた仮想用紙との記録状態番号が算出される。そして、最も小さい記録状態番号に対応する用紙が選択されて、読取部40で読み取った画像が記録部50で用紙に記録される。このため、第1〜第3用紙カセット51〜53に収容されている用紙サイズの順序に、依存することはない。従って、第1〜第3用紙カセット51〜53に収容される用紙サイズの順序に関係なく、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 【0039】 (5)加えて、第1〜第3用紙カセット51〜53に収容される用紙サイズの順序に依存性がないため、頻繁に使用される用紙を上段に配設された第1用紙カセット51に収容すれば、いわゆるファーストコピー時間を向上させることができる。従って、コピー待ち時間を短縮することができる。 【0040】 (6)用紙選択キー71で用紙が選択されて、自動倍率設定機能が設定された場合は、倍率が大きい方で用紙に記録される。これは、使用者が、原稿を読取部40に対して縦方向にも横方向にも載置する可能性があることを考慮したものである。つまり、使用者が原稿を読取部40に対していずれの方向に載置するかは不明である。そこで、原稿を読取部40のいずれの方向に載置されても、用紙に記録することができるように考慮したのである。従って、いずれの方向に原稿が載置されても、使用者の目的に応じたコピーが行われる。換言すれば、使用者は、原稿の載置する方向を考慮することなく、コピーを行うことができる。 【0041】 なお、前記実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。 ・前記実施形態は、読取部40で読み取った原稿の画像を、一旦画像メモリ80に記憶することなく、記録部50で用紙に記録するコピー機、又は複写機能付きファクシミリ装置にも適用しても良い。 【0042】 ・前記実施形態における読取部40は、いわゆるフラットベッドスキャナ(FBS)で原稿を読み取る読取部40であっても、1枚ずつ分離しながら自動的に原稿を読み取る、いわゆる自動原稿読取機能(ADF)を備えた読取部40であっても良い。 【0043】 ・前記実施形態では、記録状態番号を示す数値として「0〜4」を用いたが、比較可能なデータであれば良く、例えば文字コードデータやメモリ内のビット位置の情報(フラグ)等であっても良い。 【0044】 さらに、上記実施形態より把握される請求項以外の技術的思想について、以下にそれらの効果と共に記載する。 〔1〕請求項1に記載の画像形成装置において、画像を用紙に記録する記録手段を備え、制御手段は、複数の用紙収容手段に収容されている各用紙を回転させた各仮想用紙を想定し、画像を各用紙及び各仮想用紙に記録した場合の記録状態を数値化するとともに、それらの数値に基づいて、複数の用紙収容手段から最適な用紙を選択し、記録手段で画像を用紙に記録させる画像形成装置。 【0045】 このように構成すれば、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 〔2〕請求項1、前記〔1〕のいずれか1項に記載の画像形成装置において、制御手段は、複数の用紙収容手段に収容されている用紙サイズに依存しない画像形成装置。 【0046】 このように構成すれば、頻繁に使用される用紙を最上段の用紙収容手段に収容すると、いわゆるファーストコピー時間を向上させることができる。従って、コピー待ち時間を短縮することができる。 【0047】 【発明の効果】 本発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。 請求項1に記載の発明によれば、使用者のコピー目的に応じて、最適な用紙を選択することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】複写機能付きファクシミリ装置の構成を示すブロック図。 【図2】表示部を示す説明図。 【図3】コピー時の動作を示すフローチャート。 【図4】最適用紙の判断処理を示すフローチャート。 【符号の説明】 1…画像形成装置としての複写機能付きファクシミリ装置、10…制御手段を構成するMPU、20…制御手段を構成するROM、30…制御手段を構成するRAM、40…読取手段としての読取部、50…記録手段としての記録部、51…用紙収容手段としての第1用紙カセット、52…用紙収容手段としての第2用紙カセット、53…用紙収容手段としての第3用紙カセット、54…用紙収容手段としての手差しトレイ、61…倍率設定手段としてのテンキー、71…選択手段としての用紙選択キー、72…倍率設定手段としてのズームキー。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2004-08-03 |
出願番号 | 特願平11-375111 |
審決分類 |
P
1
651・
537-
YA
(H04N)
P 1 651・ 121- YA (H04N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 橋爪 正樹 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
加藤 恵一 井上 信一 |
登録日 | 2003-01-10 |
登録番号 | 特許第3387468号(P3387468) |
権利者 | 村田機械株式会社 |
発明の名称 | 画像形成装置 |
代理人 | 恩田 誠 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 博宣 |
代理人 | 恩田 誠 |