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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1105849
異議申立番号 異議2003-71210  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1994-11-04 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-12 
確定日 2004-08-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3342742号「画像処理装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3342742号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3342742号の請求項1に係る発明は、平成5年4月22日に特許出願され、平成14年8月23日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、天川伸仁より特許異議の申立てがなされ、平成16年5月10日に取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年7月20日に訂正請求がされたものである。

2.訂正の適否についての判断
2-1.訂正の内容
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、以下のように訂正する。
「【請求項1】外部の画像診断装置で生成された被検体の診断画像のデータを入力して記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出した診断画像のデータを画像として表示する表示手段と、上記各手段を制御する制御手段と、各種の情報を入力する入力手段とを有する画像処理装置において、
上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、
上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段と、
を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力することを特徴とする画像処理装置。」
(2)訂正事項2
本件特許明細書中の段落番号0005の記載を、以下のように訂正する。
「【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明による画像処理装置は、外部の画像診断装置で生成された被検体の診断画像のデータを入力して記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出した診断画像のデータを画像として表示する表示手段と、上記各手段を制御する制御手段と、各種の情報を入力する入力手段とを有する画像処理装置において、上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段と、を備え、上記しきい値の設定手段に運動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力するものである。」
(3)訂正事項3
本件特許明細書中の段落番号0006の記載を、以下のように訂正する。
「【0006】
【作用】このように構成された画像処理装置は、表示手段に表示される画像全体の ウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力し、この可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるように動作する。このとき、しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力する。これにより、設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力手段で入力することができる。」
(4)訂正事項4
本件特許明細書中の段落番号0008の記載を、以下のように訂正する。
「【0008】ここで、本発明においては、上記表示装置3に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示装置3に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段(後述の第一の変換テーブル9)と、上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示装置3にカラー表示させるための手段(後述の第一の変換テーブル9)と、を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力するようになっている。」
(5)訂正事項5
本件特許明細書中の段落番号0017の記載を、以下のように訂正する。
「【0017】今度は、図5に示すマウス6の操作により、表示装置3の画面上の第二の選択用アイコン13bをクリックしてオンとする。すると、図7に示すフローチャートのステップBにおいて上記アイコン13bのオンを検知して、“YES”側へ進む。これにより、結合子1を介して図8に示すフローチャートに移り、ステップMに入る。このステップMでは、上記マウス6のボタンが押されるまで待ち、押されたら “YES”側へ進む。そして、次に続く各ステップN,O,P,Qで上記マウスと運動する矢印の位置が領域A,B,C又はそれ以外の何れにあるかを判定する。以下、図7に示すフローチャートの場合と同様な手順により各ステップを進め、図4に示す差分値に対するしきい値T1,T2を任意に変更して設定する。このとき、それぞれの状態におけるしきい値が適当であるかどうかを判断して決定する。」
(6)訂正事項6
本件特許明細書中の段落番号0018の記載を、,以下のように訂正する。
「【0018】そして、ステップQが“YES”側へ進んだら、結合子2を介して図7に示すフローチャートに帰り、ステップAに戻る。この状態で、しきい値T1,T2,T3,T4の入力が終了したとすると、操作者は第三の選択用アイコン13cをクリックしてオンとする。これにより、ステップCが“YES”側へ進んで総ての処理が終了し、所望のしきい値の入力が完了する。」
(7)訂正事項7
本件特許明細書中の段落番号0023の記載を、以下のように訂正する。
「【0023】
【発明の効果】本発明は以上のように構成されたので、表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力し、この可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させることができる。このとき、しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力することができる。これにより、設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力手段で入力することができる。従って、しきい値の入力操作が簡単になると共に、適切なしきい値を短時間で入力完了することができる。」
(8)訂正事項8
本件特許明細書中の[図面の簡単な説明]の欄の[図8]の記載を、以下のように訂正する。
「【図8】 図7のフローチャートと結合子1及び結合子2でつながる手順を示すフローチャートの後半部、」

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
前記訂正事項1は、特許請求の範囲の請求項1の特定事項の記載部分において、しきい値を設定するための手段について、「上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段」と限定し、
表示手段にカラー表示させるための手段について、「上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段」と限定し、
さらに、しきい値範囲の可変入力について、「上記しきい値の設定手段に運動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力する」と限定するものである。

また、その他の訂正事項2乃至8についても、発明の詳細な説明を明りょうにしたものであると認められる。

2-3.むすび
以上のとおりであるから、上記平成16年7月20日付けの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
3-1.本件発明
上記2.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1に係る発明は、上記訂正に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項に特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】 外部の画像診断装置で生成された被検体の診断画像のデータを入力して記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出した診断画像のデータを画像として表示する表示手段と、上記各手段を制御する制御手段と、各種の情報を入力する入力手段とを有する画像処理装置において、
上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、
上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段と、
を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力することを特徴とする画像処理装置。」

3-2.申立て理由の概要
申立人天川伸仁は、証拠として甲第1号証(特開平4-188374号公報)、甲第2号証(特開平1-261787号公報)、甲第3号証(特開昭63-225872号公報)、甲第4号証(特開平3-121571号公報)、甲第5号証(特開平3-167677号公報)を提出し、請求項1に係る発明は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから、特許を取り消すべき旨主張している。

3-3.引用刊行物に記載された発明
当審が平成16年5月10日付けで通知した取消理由で引用した刊行物は、刊行物1(特開平4-188374号公報)(甲第1号証)、刊行物2(特開平1-261787号公報)(甲第2号証)、刊行物3(特開昭63-225872号公報)(甲第3号証)、刊行物4(特開平3-121571号公報)(甲第4号証)、刊行物5(特開平3-167677号公報)(甲第5号証)であり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないとしたものである。

刊行物1(特開平4-188374号公報)
(1)「次に上記構成の各装置の作用を説明する。
請求項1記載の装置においては、設定手段によりウインドウ値に係る中央値及び幅並びにウインドウ値に係る上限値及び下限値の設定をすることが可能となり、ウインドウ変換における設定操作性か向上する。
請求項2記載の装置においては、ウインドウ値に係る各値間の換算の手間か省ける。
請求項3記載の装置においては、変換パタ-ンの選択が容易に行える。」(刊行物1の2頁下左欄3〜12行)
(2)「第1図は本発明の一実施例の画像表示装置10の概略構成図を示すものである。
本装置10は、各種医用診断装置等により得られた階調性ある複数の各種画像情報をその付帯情報と共に記憶するハ-ドディスク等の画像メモリ11と、高速でウインドウ変換処理、ウインドウ値の換算を行う階調変換部12と、例えば1024×1280マトリックスの表示領域を有する20インチのTVモニタ等の表示部13と、ウインドウ値等の入力用のツマミ14a乃至14d又はマウス、キ-ボ-ド等を備えた入力部14と、画像選択情報等を記憶するメインメモリ15と、カ-ソルKの移動等の制御を行うグラフィックコントローラ16と、カーソルK、変換パタ-ンT等のグラフイツク情報を記憶するグラフィックメモリ17と、ウインドウ変換する際の各種変換式Fを記憶する変換デ-タメモリ18と、表示部13への表示用として情報を一時記憶する表示用メモリ19と、この装置10各部の制御を司どるCPU20とにより概略構成されている。
前記入力部14は、第2図に示すようにウインドウ値に係る中央値、幅、上限値及び下限値を独立に設定し得るツマミ14a乃至14dを備えるものである。このツマミ14a乃至14dは、第3図に示すように設定の種類及び値の増減方向により独立に設定し得る押し釦24a乃至24hを設けてもよい。」(刊行物1の2頁下左欄16行〜3頁上左欄2行)
(3)「前記変換デ-タメモリ18が記憶する変換タイプTには、第4図に示すようにリニア(Tl)、バンド強調(T2)、ガンマ曲線(T3)等に対応するものがあり、更にこれらのタイプ(Tl乃至T3)に対して白黒反転した各タイプ(T4乃至T6)等に対応するものがある。」(刊行物1の3頁下左欄5〜10行)
(4)「前記階調変換部12は、入力部14のツマミ14a乃至14dの設定操作による設定値と、入力部14のマウス操作によるカーソルKにより選択された変換パターンTとに基づいて、画像表示領域E2に表示された画像の変換処理を行うものである。すなわち、リニアの変換パターンT1が選択された場合を例にして説明すると、第5図に示すように-1000乃至+1000の画像値を有する入力画像デ-タから設定された画像値範囲(WW)のデータを抽出し、そのデータをリニアに所定の階調範囲例えば人間が識別可能な32階調にウインドウ変換して画像データを出力するようになつている。この場合に変換能力の最大階調数に変換してもよい。またこの階調変換部12は、ウインドウ値に係る中央値WL、幅WW又は上限値UP、下限値LOに基づいて、設定されていない他の上限値UP、下限値LO又は中央値WL、幅WWを演算するものである。」(刊行物1の3頁下左欄11行〜同頁下右欄8行)
(5)「また第7図に示すように、ウインドウ値に係る上限値UPが+1000、下限値LOが-1000として設定され、バンド強調する上限値UP2が+20、下限値LO2が-20として設定され、更に白黒反転したバンド強調のパタ-ンT5が選択された場合は、ウインドウ値に係る中央値WL=0、WW=+2000を演算すると共にバンド強調の中央値WL2=0、幅WW2=+0040を演算するようにしている。これらの値も上述したように表示される。」(刊行物1の3頁下右欄18行〜4頁上左欄7行)
(6)「またこの階調変換部12は、第6図乃至第8図でウインドウ値に係る中央値WL、WL2、幅WW、WW2が設定された場合でも、選択された画像を設定された変換パターンT1乃至T6で同様にウインドウ変換すると共に、ウインドウ値に係る上限値UP、UP2及び下限値LO、LO2を演算するものである。」(刊行物1の4頁上左欄12〜18行)
(7)「オペレータの入力部14の選択操作により表示部13に表示された画像選択リストから画像を選択すると、CPU20は、その選択された画像を画像メモリ11から読み出して表示用メモリ19のフレームメモリ19aに転送し、グラフィックコントローラ16は、第4図に示すように選択された画像を表示部13の画像表示領域E2に表示する。またCPU20は、グラフィックメモリ17より変換パターン情報(T)を読み出して表示用メモリ19のフレームメモリ19bに転送し、コントローラ16は、同図に示すように変換パターンTを表示部13の処理コマンド表示領域E3に表示する。
オペレータが、入力部14のマウス操作により表示部13に表示された処理コマンド表示領域E3上でカーソルKを移動して変換パターンTを選択する。更にオペレータが、入力部14のツマミ14a乃至14d(例えは中央値設定用のツマミ14a、幅設定用のツマミ141b)を操作してウインドウ値を設定する。
階調変換部12は、入力部14の操作により設定されたウインドウ値に基づいて、表示部13に表示された画像のウインドウ変換を行うと共に、入力部14で設定されていないウインドウ値に係る上限、下限値等を演算する。ウインドウ変換後の画像、設定値及び演算した値は、コントローラ16の制御の下にそれぞれ表示部13の画像表示領域E2及び処理コマンド表示領域E3に表示される。尚ここで、オペレータの入力部14のマウス操作により画像の拡大率を選択し、コントローラ16がその選択された拡大率に基づいてウインドウ変換された画像を拡大し、表示部13に表示してもよい。
このような上記実施例装置10によれば、異なる種類の画像でも独立的にウインドウ値に係る中央値、幅、上限値及び下限値を設定できるので、ウインドウ変換における設定操作性が向上する。」(刊行物1の4頁上右欄1行〜同頁下左欄17行)
(8)「ウインドウ値に係る設定用のツマミ等を設けずに、その設定用のコマンドを表示画面に表示し、マウス操作によりウインドウ値に係る各値を設定できるようにしてもよい。」(刊行物1の4頁下右欄2〜6行)
(9)上記の記載より、刊行物1には次のことが記載されている。
「各種医用診断装置等により得られた階調性ある複数の各種画像情報をその付帯情報と共に記憶するハ-ドディスク等の画像メモリ11と、高速でウインドウ変換処理、ウインドウ値の換算を行う階調変換部12と、例えば1024×1280マトリックスの表示領域を有する20インチのTVモニタ等の表示部13と、ウインドウ値等の入力用のツマミ14a乃至14d又はマウス、キ-ボ-ド等を備えた入力部14と、画像選択情報等を記憶するメインメモリ15と、カ-ソルKの移動等の制御を行うグラフィックコントローラ16と、カーソルK、変換パタ-ンT等のグラフィック情報を記憶するグラフィックメモリ17と、ウインドウ変換する際の各種変換式Fを記憶する変換デ-タメモリ18と、表示部13への表示用として情報を一時記憶する表示用メモリ19と、各部の制御を司どるCPU20とにより概略構成されている画像表示装置10において、
前記階調変換部12は、ウインドウ値に係る中央値WL、バンド強調の中央値WL2、幅WW、バンド強調の幅WW2が設定された場合でも、選択された画像を設定された変換パターンT1乃至T6で同様にウインドウ変換すると共に、ウインドウ値に係る上限値UP及び下限値LO、バンド強調する上限値UP2及び下限値LO2を演算するものであり、
オペレータが表示部13に表示された画像選択リストから画像を選択すると、グラフィックコントローラ16は、選択された画像を表示部13の画像表示領域E2に表示し、またCPU20は、グラフィックメモリ17より変換パターン情報(T)を読み出し、変換パターンTを表示部13の処理コマンド表示領域E3に表示して、オペレータが、変換パターンTを選択し、更にオペレータが、入力部14のツマミ14a乃至14dを操作してウインドウ値を設定すると、階調変換部12は、設定されたウインドウ値に基づいて、表示部13に表示された画像のウインドウ変換を行うと共に、入力部14で設定されていないウインドウ値に係る上限、下限値等を演算して、ウインドウ変換後の画像を表示部13の画像表示領域E2及び処理コマンド表示領域E3に表示するものであり、
前記変換デ-タメモリ18が記憶する変換タイプTには、バンド強調(T2)に対応するものがあり、
さらに、入力部14にウインドウ値に係る設定用のツマミ等を設けずに、その設定用のコマンドを表示画面に表示し、マウス操作によりウインドウ値に係る各値を設定できるようにしてもよい、
ことを特徴とする画像表示装置。」

刊行物2(特開平1-261787号公報)
(1)「7は階調処理済み画像のうち制御装置6によつて設定された画像信号値をハイライテイング(画像の他の部分に比べて特別に明るくしたり暗くしたりして画像の一部を強調すること)して表示装置8へ出力するルツクアツプテ-ブルである。表示装置8としてはCRTデイスプレイや液晶デイスプレイが用いられる。
9は階調処理条件を変更するための操作部であり、この操作部9は、画像全体の明るさを調整する明度調整キー91と1画像のコントラストを調整するコントラスト調整キー92と、ハードコピー装置5によって記録される記録画像の光学濃度を指定する濃度指定キー93とを有している。明度調整キー91を操作すると、第2図に示す階調処理関数fが全体として横軸方向に移動し、入力画像信号の範囲が変化して画像全体の明るさが変化する。またコントラスト調整キー92を操作すると階調処理関数fの傾キーが変化して画像のコントラストを調整される。」(刊行物2の3頁上左欄7行〜同頁上右欄5行)
(2)「ところで、階調の刻みか細かいときは、指定された信号値のみをハイライテイングすると、ハイライテイング部が小さ過ぎて見にくくなる。この場合は指定された信号値を中心としてある幅をもたせてハイライテイングするとよい。」(刊行物2の3頁下右欄5〜10行)
(3)「まずデイジタル画像形成装置lからのデイジタル画像を記憶装置2に取込み(F-1)、制御装置6で設定された階調処理条件に基づいてルツクアツプテーブル3により自動階調処理が行なわれる(F-2)、一方、使用者は濃度指定キー93によつて濃度を指定する(F-3)。表示装置8には、自動階調され一部ハイライテイングされた画像が表示される。使用者はこの表示画像を確認し(F-4)、階調処理が良いかどうかを判断し(F-5)、良ければハードコピー装置5によって画像を記録する(F-7)、階調処理の結果が良くなければ画面を見ながら操作部9によつて処理の変更を行なう(F-6)。たとえば、ハイライテイング部か指定濃度で記録したい部位に位置するように明度調整キー9で調整する。そのように調整すればその部位が指定濃度で記録され、表示画像から期待される画像と同様のハードコピーが得られる。またコントラストについてもコントラスト調整キー92によつて最適なコントラストが得られるように画面を見ながら調整する。」(刊行物2の3頁下右欄13行〜4頁上左欄11行)
(4)「さらに表示装置8にカラー表示かできるものを使用して、ハイライテイングを画像の色を変えることで行えば見易くなりいっそう使いやすくなる。」(刊行物2の4頁下左欄4〜7行)

刊行物3(特開昭63-225872号公報)
「このように、本発明は、画像データ表示装置において、トラックボール等のように、2方向、或いは増加/減少方向の変化量を自由に発生できる入力装置と、該入力装置の変化量を検出する為のカウンタを設けて、該カウンタのカウント値によつて決まる階調処理カーブ、又はγ曲線を生成し、該階調処理階調、又はγ曲線の出力階調データをルックアップテーブル(LUT)に連続的に設定して、画面の様子を見ながらトラックボール操作ができるようにした所に特徴がある。」(刊行物3の4頁下右欄4〜13行)

刊行物4(特開平3-121571号公報)
「得られた指定領域に対して色変換処理装置13により色変換(例えば赤色を他の色に変換する)を行なった後」(刊行物4の3頁下左欄11〜13行)

刊行物5(特開平3-167677号公報)
注目画素の濃度が第1、第2の閾値範囲にあり、隣接画素との差分が第3、第4の閾値の範囲にあることを条件とする臓器領域抽出方法が記載されている。

3-4.対比・判断
本件請求項1に係る発明と刊行物1とを対比すると、
刊行物1では、変換パターンとして、第4図に示すようにリニア(T1)、バンド強調(T2)、ガンマ曲線(T3)等を選択した後に表示している。したがって、例えば、リニアの変換パターンT1を選択し、そのウインド値による画像を表示した後に、バンド強調領域(特定領域)を表示させるために、バンド強調を行なうためのバンド強調の中央値、幅、バンド強調する上限値、下限値を更に設定しているかというと、そのような設定の仕方をしているとは認められない。
あるいは、バンド強調の変換パターンT2を選択して、ウインド値、バンド強調の中央値、幅、上限値、下限値を一旦設定して画像を表示した後、さらに、バンド強調の中央値、幅、上限値、下限値を再度設定しなおして、バンド強調する部分を変えるようなことを行なうかというと、そのようなことを行っているものとも認められない。
さらに、本件請求項1に係る発明は、特定領域をカラー表示しているが、刊行物1では、バンド強調を行なうときに、そのバンド強調を行なったところをカラー表示するとは記載されていない。
したがって、本件請求項1に係る発明の、表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段の構成は、刊行物1には記載されていないばかりか示唆するものでもない。
刊行物2には、ハイライティングを画像の色を変えることで見易くすることが記載されているが、設定手段については記載されておらず、刊行物2の記載から設定手段が自明のものとも認められない。
刊行物3には、階調の調整をリアルタイムで確認しながら行うことが記載されているが、刊行物1のものをリアルタイムで確認するようにしても、変換パターンT1,T2,T3のウインド値に係る中央値、幅、上限値、下限値、バンド強調に係る中央値、幅、上限値、下限値を入力し、さらに、選択したパターンのウインド値、バンド強調値を入力することにより、リアルタイムで確認することができるようになるだけで、パターンを選択した後に、バンド強調に係る中央値、幅、上限値、下限値だけを入力して、バンド強調だけをリアルタイムで確認するようにすることは考えられない。
さらに、刊行物4、5には、請求項1に係る発明の設定手段とカラー表示させるための手段については記載されていない。
しかも、このように、設定手段と、カラー表示させるための手段を設けることにより、本発明は、設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力し、この可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させることができる効果を奏するものと認められる。
してみると、本件請求項1に係る発明は、刊行物1乃至5に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたものでもない。

(5)むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由によっては本件請求項1に係る発明についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
画像処理装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の画像診断装置で生成された被検体の診断画像のデータを入力して記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出した診断画像のデータを画像として表示する表示手段と、上記各手段を制御する制御手段と、各種の情報を入力する入力手段とを有する画像処理装置において、
上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、
上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段と、
を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力することを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、X線CT装置やMRI装置などの外部の画像診断装置により被検体の診断部位について検出、作成したCT画像から例えば骨や臓器などの特定領域を抽出する際に抽出すべき画像の画素値に対してしきい値を入力して画像表示する画像処理装置に関し、特に設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力することができる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の画像処理装置におけるしきい値の入力は、画像診断装置により対象となる画像のヒストグラムを表示し、このヒストグラムを見てそのパターンから骨とか臓器などの特定領域を判断し、その領域を切り分けるしきい値を入力装置のキー入力により入力し、これにより上記特定領域の抽出処理をし、その抽出結果を表示装置に表示して上記しきい値が適当であったかどうか判断しながら入力していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の画像処理装置におけるしきい値の入力においては、入力したしきい値が適当であったかどうかは、そのしきい値により抽出処理をした結果を表示装置に表示し、この画像を見て判断していたので、もし適当でなければ画像の表示処理を終わらせて再度しきい値のキー入力の処理に戻り、異なるしきい値を入力して特定領域の抽出処理をし、その抽出結果を表示装置に表示して再度判断しなければならなかった。すなわち、しきい値を試行錯誤的に入力して、その都度抽出処理及び画像の表示処理を繰り返しながら判断し、所望の特定領域が抽出されたと判断したところで初めて入力すべきしきい値が決定され入力されるものであった。従って、しきい値のキー入力の操作が煩雑になると共に、キー入力しただけではしきい値が適当であるかどうかがわからず画像の表示結果まで見て判断しなければならないので、最終的にしきい値の入力が終了するまで時間がかかるものであった。特に、例えば頭部の断層像において皮膚と脳とを区別して脳の部分を抽出するような場合は、一つのしきい値だけでは区別できず、二つのしきい値を用いるが、さらにキー入力の操作が煩雑になると共に、時間がかかるものであった。なお、これに関連する従来技術としては、特開平3-167677号公報に記載のものがある。
【0004】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による画像処理装置は、外部の画像診断装置で生成された被検体の診断画像のデータを入力して記憶する記憶手段と、該記憶手段から読み出した診断画像のデータを画像として表示する表示手段と、上記各手段を制御する制御手段と、各種の情報を入力する入力手段とを有する画像処理装置において、上記表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段と、上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるための手段と、を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力するものである。
【0006】
【作用】
このように構成された画像処理装置は、表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力し、この可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させるように動作する。このとき、しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力する。これにより、設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力手段で入力することができる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による画像処理装置の実施例を示すブロック図である。図1において、記憶装置1は、外部の例えばX線CT装置などの画像診断装置で被検体の診断部位について検出、作成した多数のCT画像のデータを入力して記憶する記憶手段となるもので、磁気テープ又は磁気ディスクなどから成る。表示メモリ2は、上記記憶装置1から読み出したCT画像のデータを表示するために一旦記憶するものである。そして、表示装置3は、上記表示メモリ2から画像データを読み出してCT画像をその画面に表示する表示手段となるもので、カラー表示のCRTから成る。CPU4は、この画像処理装置の全体を制御する制御手段となるものである。また、主メモリ5は、上記CPU4による制御動作に必要なデータや情報を記憶しておくもので、該CPU4によって直接アドレス指定されるようになっている。マウス6は、各種のデータや情報を入力する入力装置であり、コントローラ7で制御されるようになっている。なお、図1において、符号8はデータバスである。
【0008】
ここで、本発明においては、上記表示装置3に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示装置3に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力するための設定手段(後述の第一の変換テーブル9)と、上記可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示装置3にカラー表示させるための手段(後述の第一の変換テーブル9)と、を備え、上記しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力するようになっている。
【0009】
次に、上記のように構成された画像処理装置におけるしきい値の入力について、図2〜図4を参照して説明する。この画像処理装置は、X線CT装置やMRI装置などの画像診断装置により被検体の診断部位について検出、作成したCT画像から例えば骨や臓器などの特定領域を抽出する際に抽出すべき画像の画素値に対してしきい値を入力して画像表示するもので、図2に示す第一の変換テーブル9及び図3に示す第二の変換テーブル10並びに図4に示す第三の変換テーブル11を用いる。このとき、図1に示すカラー表示のCRTから成る表示装置3で使用するカラーテーブルは例えば8ビットであり、輝度信号の入力0〜Bmaxに対し白黒で表示し、(Bmax+1)〜255までの入力に対してはカラーで表示するようになっているものとする。
【0010】
第一の変換テーブル9は、図2に示すように画素値入力に対して輝度出力に変換するテーブルであり、白黒の画像表示の上限値U及び下限値Lを用いて表示のレベル=(U+L)/2及びウインドウ=(U-L)を設定すると共に、上記ウインドウ値(U-L)で規定されたウインドウ内に図1に示すマウス6などの入力装置で指示されるある範囲内のしきい値(T3<X<T4)間はカラー表示の値をとらせた領域を設定して作成されている。すなわち、上記しきい値T3からT4までの間は、輝度出力として(Bmax+1)〜255の値が格納されている。
【0011】
また、第二の変換テーブル10は、図3に示すように画素値入力に対して輝度出力に変換するテーブルであり、上記第一の変換テーブル9と同様に白黒の画像表示の上限値U及び下限値Lを用いて表示のレベル=(U+L)/2及びウインドウ=(U-L)を設定して作成されている。この第二の変換テーブル10においては、カラー表示をさせるための領域は設定されていない。
【0012】
さらに、第三の変換テーブル11は、対象となる画像の近傍画素の演算結果の大小により上記二つの変換テーブル9,10を選択使用する処理を行うためのもので、図4に示すように演算結果としての例えば差分値入力に対してテーブルアドレスに変換するテーブルであり、予め上記演算結果(差分値)に対してある範囲のしきい値(T1<Y<T2)を設定しておき、そのしきい値T1,T2と差分値とを比較して白黒表示又はカラー表示を振り分けるように作成されている。
【0013】
すなわち、図4において、メモリアドレスのAD0〜(AD0+T1)までの間と(AD0+T2+1)より上には、上記第二の変換テーブル10のアドレスAD2が格納されており、(AD0+T1+1)〜(AD0+T2)までの間には上記第一の変換テーブル9のアドレスAD1が格納されている。そして、操作者が差分値の絶対値で各テーブルを指定できるようにされており、図4において差分値が例えばSUB1でありメモリアドレスがS1=(AD0+SUB1)のときは、第三の変換テーブル11から出力されるテーブルアドレスはAD1となり、図2に示す第一の変換テーブル9を選択することとなる。また、差分値が例えばSUB2でありメモリアドレスがS2=(AD0+SUB2)のときは、第三の変換テーブル11から出力されるテーブルアドレスはAD2となり、図3に示す第二の変換テーブル10を選択することとなる。
【0014】
そして、図2の第一の変換テーブル9において、画素値が例えばCT2でありメモリアドレスがP2=(AD1+CT2)のときは白黒表示の輝度領域に入るので、白黒で表示され画像の抽出領域ではないことが判る。また、画素値が例えばCT1でありメモリアドレスがP1=(AD1+CT1)のときはカラー表示の輝度領域に入るので、カラーで表示され画像の抽出領域であることが判る。一方、図3の第二の変換テーブル10においては、画素値が例えばCT1又はCT2でありメモリアドレスがP1′=(AD2+CT1)又はP2′=(AD2+CT2)のいずれであっても白黒表示の輝度領域に入るので、白黒で表示され画像の抽出領域ではないことが判る。このように、図4に示すしきい値T1,T2及び図2に示すしきい値T3,T4を同時に満たすか否かを判断しながらしきい値を決定して入力し、特定領域の画像を抽出して表示することができる。
【0015】
次に、図1に示す画像処理装置においてしきい値を実際に入力する場合の具体的な手順を、図5〜図9を参照して説明する。この実施例では、表示装置3に画像を表示しながらマウス6によりしきい値を設定して入力する場合を説明する。まず、図5に示すように、表示装置3の画面内には、例えば頭部の断層像14を表示すると共に、しきい値(T1,T2,T3,T4)の設定用アイコン12と、T3及びT4の設定を選択するアイコン13aと、T1及びT2の設定を選択するアイコン13bと、処理の終了を選択するアイコン13cとを表示する。このとき、上記しきい値の設定用アイコン12は、その内部が三つの領域A,B,Cに分けられ、例えば第一の選択用アイコン13aをオンした後で領域Aをマウス6で連動させるとしきい値T3が変化し、領域Bを連動させるとしきい値T4が変化し、さらに領域Cを連動させるとしきい値T3及びT4が同じ値だけ変化するようになっている。同様に、第二の選択用アイコン13bをオンした後で領域Aをマウス6で連動させるとしきい値T1が変化し、領域Bを連動させるとしきい値T2が変化し、さらに領域Cを連動させるとしきい値T1及びT2が同じ値だけ変化する。
【0016】
このような状態で、まず、図5に示すマウス6を操作して、表示装置3の画面上の第一の選択用アイコン13aをクリックしてオンとする。すると、図7に示すフローチャートのステップAでは上記アイコン13aのオンを検知して、“YES”側へ進む。これにより、上記表示装置3の画面上には、図5に示すように、設定用アイコン12が表示され、上記フローチャートはステップDへ飛ぶ。このステップDでは、上記マウス6のボタンが押されるまで待ち、押されたら“YES”側へ進む。そして、次に続く各ステップE,F,G,Hで上記マウス6と連動する矢印の位置が設定用アイコン12の領域A,B,C又はそれ以外の何れにあるかを判定する。いま、領域Aに連動しているとすると、ステップEが“YES”側へ進み、ステップIに入る。そして、図2に示す画素値に対するしきい値T3を変更し(ステップI)、この状態で画像を表示する(ステップL)。また、領域Bに連動しているとすると、ステップFが“YES”側へ進み、ステップJに入る。そして、図2に示すしきい値T4を変更し(ステップJ)、この状態で画像を表示する(ステップL)。さらに、領域Cに連動しているとすると、ステップGが“YES”側へ進み、ステップKに入る。そして、図2に示すしきい値T3及びT4を同じ値だけ変更し(ステップK)、この状態で画像を表示する(ステップL)。このとき、それぞれの画像表示の際に、その状態におけるしきい値が適当であるかどうかを判断して決定する。また、上記の領域A,B,Cの何れでもなければ、ステップHが“YES”側へ進み、ステップAに戻る。
【0017】
今度は、図5に示すマウス6の操作により、表示装置3の画面上の第二の選択用アイコン13bをクリックしてオンとする。すると、図7に示すフローチャートのステップBにおいて上記アイコン13bのオンを検知して、“YES”側へ進む。これにより、結合子1を介して図8に示すフローチャートに移り、ステップMに入る。このステップMでは、上記マウス6のボタンが押されるまで待ち、押されたら“YES”側へ進む。そして、次に続く各ステップN,O,P,Qで上記マウスと連動する矢印の位置が領域A,B,C又はそれ以外の何れにあるかを判定する。以下、図7に示すフローチャートの場合と同様な手順により各ステップを進め、図4に示す差分値に対するしきい値T1,T2を任意に変更して設定する。このとき、それぞれの状態におけるしきい値が適当であるかどうかを判断して決定する。
【0018】
そして、ステップQが“YES”側へ進んだら、結合子2を介して図7に示すフローチャートに帰り、ステップAに戻る。この状態で、しきい値T1,T2,T3,T4の入力が終了したとすると、操作者は第三の選択用アイコン13cをクリックしてオンとする。これにより、ステップCが“YES”側へ進んで総ての処理が終了し、所望のしきい値の入力が完了する。
【0019】
図6及び図9は本発明の画像処理装置においてしきい値を実際に入力する場合の具体的な手順の他の例を示す図である。まず、図6に示すように、表示装置3の画面内には、例えば頭部の断層像14を表示すると共に、図4に示す差分値に対するしきい値T1,T2を設定する設定用アイコン15と、図2に示す画素値に対するしきい値T3,T4を設定する設定用アイコン16とを共に表示する。このとき、上記第一の設定用アイコン15は、その内部が三つの領域A,B,Cに分けられ、領域Aをマウス6で連動させるとしきい値T1が変化し、領域Bを連動させるとしきい値T2が変化し、さらに領域Cを連動させるとしきい値T1及びT2が同じ値だけ変化するようになっている。同様に、第二の設定用アイコン16は、その内部が三つの領域D,E,Fに分けられ、領域Dをマウス6で連動させるとしきい値T3が変化し、領域Eを連動させるとしきい値T4が変化し、さらに領域Fを連動させるとしきい値T3及びT4が同じ値だけ変化する。
【0020】
このような状態で、まず、図6に示すマウス6を操作して第一の設定用アイコン15又は第二の設定用アイコン16のいずれかの領域をクリックする。このとき、図9に示すフローチャートのステップAでは、上記マウス6のボタンが押されるまで待ち、押されたら“YES”側へ進む。そして、次に続く各ステップB,C,D,E,F,G,Hで上記マウス6と連動する矢印の位置が二つの設定用アイコン15,16の領域A,B,C,D,E,F又はそれ以外の何れにあるかを判定する。いま、領域Aに連動しているとすると、ステップBが“YES”側へ進み、ステップIに入る。そして、図4に示す差分値に対するしきい値T1を変更し(ステップI)、この状態で画像を表示する(ステップO)。また、領域Bに連動しているとすると、ステップCが“YES”側へ進み、ステップJに入る。そして、図4に示すしきい値T2を変更し(ステップJ)、この状態で画像を表示する(ステップO)。さらに、領域Cに連動しているとすると、ステップDが“YES”側へ進み、ステップKに入る。そして、図4に示すしきい値T1及びT2を同じ値だけ変更し(ステップK)、この状態で画像を表示する(ステップO)。
【0021】
以下、同様にして、領域D,E,Fのいずれに連動しているかにより、各ステップE,F,Gがそれぞれ“YES”側へ進み、対応する各ステップL,M,Nで図2に示す画素値に対するしきい値T3,T4を変更し、それぞれの状態で画像を表示する(ステップO)。このとき、上記総ての回の画像表示の際に、その状態におけるしきい値が適当であるかどうかを判断して決定する。そして、この状態でしきい値T1,T2,T3,T4の入力が終了したとすると、操作者は上記第一及び第二の設定用アイコン15,16のいずれの領域にも連動させず、ステップHが“YES”側へ進んで総ての処理が終了し、所望のしきい値の入力が完了する。
【0022】
なお、以上の説明においては、図2〜図4に示す第一〜第三の変換テーブル9,10,11の全部を使用する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図2に示す第一の変換テーブル9のみを用いても抽出すべき特定領域の切り分けが容易な場合は実行可能である。また、図4に示す第三の変換テーブル11は高速処理のために使用したが、条件分岐を使うように図1に示すCPU4のプログラムを書き換えることにより、図4に示す差分値としきい値T1,T2を直接比較して、出力としてのテーブルアドレスAD1又はAD2を得るようにしてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、表示手段に表示される画像全体のウインドウ値を設定し、該設定されたウインドウ値で規定される画素値領域からなる画像を上記表示手段に表示させると共に、該表示された画像内の特定領域を抽出する際にその画像の画素値に対応するしきい値範囲を可変入力し、この可変入力されたしきい値範囲によって抽出された画像の特定領域を上記表示手段にカラー表示させることができる。このとき、しきい値の設定手段に連動する入力操作用アイコンを上記表示手段の画面に表示し、この入力操作用アイコンを指示して上記しきい値範囲を可変入力することができる。これにより、設定したしきい値が適当であるかどうかをリアルタイムで判断しながら入力手段で入力することができる。従って、しきい値の入力操作が簡単になると共に、適切なしきい値を短時間で入力完了することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による画像処理装置の実施例を示すブロック図、
【図2】 第一の変換テーブルの入出力を示すグラフ、
【図3】 第二の変換テーブルの入出力を示すグラフ、
【図4】 第三の変換テーブルの入出力を示すグラフ、
【図5】 本発明の画像処理装置においてしきい値を実際に入力する場合の具体例を説明するための画面表示の例を示す図、
【図6】 本発明の画像処理装置におけるしきい値入力の他の具体例を説明するための画面表示の例を示す図、
【図7】 図5に対応する具体例の手順を示すフローチャートの前半部、
【図8】 図7のフローチャートと結合子1及び結合子2でつながる手順を示すフローチャートの後半部、
【図9】 図6に対応する具体例の手順を示すフローチャート。
【符号の説明】
1…記憶装置、 2…表示メモリ、 3…表示装置、 4…CPU、 5…主メモリ、 6…マウス、 7…コントローラ、 9…第一の変換テーブル、 10…第二の変換テーブル、 11…第三の変換テーブル。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-03 
出願番号 特願平5-117625
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 伊知地 和之  
特許庁審判長 小川 謙
特許庁審判官 江頭 信彦
井上 信一
登録日 2002-08-23 
登録番号 特許第3342742号(P3342742)
権利者 株式会社日立メディコ
発明の名称 画像処理装置  
代理人 西山 春之  
代理人 西山 春之  

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