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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A61K
管理番号 1105877
異議申立番号 異議2000-71426  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1996-09-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-04-03 
確定日 2004-01-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第2960344号「塩基性アミノ酸およびカチオンポリマーを含有する還元組成物」の請求項1ないし25に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第2960344号の請求項1〜21に係る特許を取り消す。 
理由 理由

1.手続の経緯

本件特許第2960344号に係る発明は、平成8年1月29日に特許出願され、平成11年7月30日に特許権が設定登録された。その後、その特許について、ホーユー株式会社より特許異議の申立てがされ、特許取消し理由の通知後、その指定期間内である平成13年3月5日に明細書の訂正請求がされ、その後再度取消し理由が通知されたものである。

2.訂正の適否

(1)訂正の内容
訂正の内容は、平成13年3月5日付けの訂正請求書及びそれに添付された訂正明細書の記載からみて、以下のとおりである。

特許請求の範囲の請求項1〜25の
「【請求項1】 ケラチンのジスルフィド結合を還元することからなる、髪に代表されるケラチン物質のパーマネント変形操作の第1段階用組成物であって、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤と、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つの塩基性化剤と、アクリルアミドおよびジメチルアリルアンモニウムクロリドモノマーからなるポリマーの4級アンモニウム塩を除く、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーとを含有することを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項2】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、またはチオール類、単独、または、これらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその種々の誘導体、3ーメルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、およびチオグリコール酸、およびこれらのエステルまたは塩であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】 塩基性化剤が、アルギニンであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】 アンモニア水、モノエタノールアミン、または炭酸塩ーベー
スの生成物に代表される、他の塩基性化剤を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】 前記他の塩基性化剤が、酸性の還元剤を中性化するために存在することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】 前記カチオンポリマーが、
(1)ピペラジニルユニットと、直鎖または分岐鎖で、任意に酸素、硫黄、または窒素原子、または、芳香族または複素環が間に入っていてもよい、2価のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基とからなるポリマー類、および、該ポリマーの酸化および/または4級化生成物;
(2)任意に架橋および/またはアルキル化した、水溶性ポリアミノアミド類;
(3)ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合、およびこれに次ぐ、2官能性剤とのアルキル化により得られたポリアミノアミド誘導体;
(4)2つの1級アミン基および少なくとも1つの2級アミン基を含有するポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応により得られたポリマー;
(5)メチルジアリルアミンまたはジメチルジアリルアンモニウムのシクロホモポリマー;
(6)4級ジアンモニウムポリマー;および
(7)4級ポリアンモニウムポリマー
から選択されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】 該ポリマーが、メルクアット100と、式(III):
【化1】(化学式は省略する)
(式中、R4、R5、R6、およびR7は、メチル基であり、A1は、式-(CH2)3-で表わされる基であり、B1は、式-(CH2)6-で表される基であり、X-はであり、塩化物イオンを示す)
で表わされる繰り返し単位を含有する4級ジアンモニウムポリマーとから選択されることを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】 非イオン、アニオン、カチオン、または両性界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、少なくとも1つのジスルフィドと組み合わされていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、前記組成物の全重量に対して、1重量%から20重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、前記組成物の全重量に対して、5重量%から15重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】 1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.1重量%から5重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】 1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.5重量%から3重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】 塩基性化剤が、前記組成物の全重量に対して、0.01重量%から20重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】 塩基性化剤が、前記組成物の全重量に対して、0.1重量%から18重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】 任意に増粘化されてもよい、ローション、クリーム、またはゲルの形状であることを特徴とする、請求項1ないし16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】 1以上の区画室に、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする、収容装置。
【請求項19】 少なくとも2つの区画室を含有し;ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤が第1区画室に存在し、オルニチン、リシンおよびアルギニン、から選択される少なくとも1つの塩基性化剤および任意に香料が、第2区画室に存在することを特徴とする、請求項18に記載の収容装置。
【請求項20】 パーマネントウエーブヘアーの形状に代表される、ケラチン物質をパーマネント変形するための、髪に代表されるケラチン物質の処理方法であって、(i)請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけるのに必要な手段を与え、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いし、(iii)前記濯ぎ洗いしたケラチン物質に次いで酸化組成物を適用し、該酸化組成物適用前または適用後に、工程(i)で使用した機械的引張力をかけるのに必要な手段をはずし、(iv)最後に、ケラチン物質を再度濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。
【請求項21】 パーマネントウエーブヘアーを得るため行われることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時間が、5分から60分までの間であることを特徴とする、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】 髪をストレートにする、または、髪からカールを除去するための方法であって、請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物を、5分から60分までの間、処理されるべき髪に適用し、手または櫛または櫛の背で髪をならし、髪を1回以上、再度ならし、次いで、全体を濯ぎ洗いし、酸化組成物を適用し、約2分から10分間作用させ、次いで髪全体を濯ぎ洗いすることを特徴とする、髪のストレート処理方法。
【請求項25】 請求項1ないし17のいずれか1項に記載の組成物の適用時間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項24に記載の方法。」
を、
「【請求項1】 ケラチンのジスルフィド結合を還元することからなる、髪に代表されるケラチン物質のパーマネント変形操作の第1段階用組成物であって、前記組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤と、
前記組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つの塩基性化剤と、
前記組成物の全重量に対して0.1重量%から5重量%の、アクリルアミドおよびジメチルアリルアンモニウムクロリドモノマーからなるポリマーの4級アンモニウム塩を除く、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーとを含有し、
前記少なくとも1つのカチオンポリマーが、
(1)ピペラジニルユニットと、直鎖または分岐鎖で、任意に酸素、硫黄、または窒素原子、または、芳香族または複素環が間に入っていてもよい、2価のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基とからなるポリマー類、および、該ポリマーの酸化および/または4級化生成物;
(2)任意に架橋および/またはアルキル化した、水溶性ポリアミノアミド類;
(3)ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合、およびこれに次ぐ、2官能性剤とのアルキル化により得られたポリアミノアミド誘導体;
(4)2つの1級アミン基および少なくとも1つの2級アミン基を含有するポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応により得られたポリマー;
(5)メチルジアリルアミンまたはジメチルジアリルアンモニウムのシクロホモポリマー;
(6)4級ジアンモニウムポリマー;および
(7)4級ポリアンモニウムポリマー
から選択されることを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項2】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、またはチオール類、単独、または、これらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその種々の誘導体、3ーメルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、およびチオグリコール酸、およびこれらのエステルまたは塩であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】 塩基性化剤が、アルギニンであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】 アンモニア水、モノエタノールアミン、または炭酸塩ーベー
スの生成物に代表される、他の塩基性化剤を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】 前記他の塩基性化剤が、酸性の還元剤を中性化するために存在することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】 該ポリマーが、メルクアット100と、式(III):
【化1】(構造式は省略する。)
(式中、R4、R5、R6、およびR7は、メチル基であり、A1は、式-(CH2)3-で表わされる基であり、B1は、式-(CH2)6-で表わされる基であり、X-は、塩化物イオンを示す)
で表わされる繰り返し単位を含有する4級ジアンモニウムポリマーとから選択されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】 非イオン、アニオン、カチオン、または両性界面活性剤を含
有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤
が、少なくとも1つのジスルフィドと組み合わされていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤
が、前記組成物の全重量に対して、5重量%から15重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】 1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.5重量%から3重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】 塩基性化剤が、前記組成物の全重量に対して、0.1重量
%から18重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】 任意に増粘化されてもよい、ローション、クリーム、またはゲルの形状であることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】 1以上の区画室に、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする、収容装置。
【請求項15】 少なくとも2つの区画室を含有し;ケラチンのジスルフィ
ド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤が第1区画室に存在し、オルニチン、リシンおよびアルギニン、から選択される少なくとも1つの塩基性化剤および任意に香料が、第2区画室に存在することを特徴とする、請求項14に記載の収容装置。
【請求項16】 パーマネントウエーブヘアーの形状に代表される、ケラチ
ン物質をパーマネント変形するための、髪に代表されるケラチン物質の処理方法であって、(i)請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけるのに必要な手段を与え、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いし、(iii)前記濯ぎ洗いしたケラチン物質に次いで酸化組成物を適用し、該酸化組成物適用前または適用後に、工程(i)で使用した機械的引張力をかけるのに必要な手段をはずし、(iv)最後に、ケラチン物質を再度濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。
【請求項17】 パーマネントウエーブヘアーを得るため行われることを特
徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時
間が、5分から60分までの間であることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時
間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】 髪をストレートにする、または、髪からカールを除去する
ための方法であって、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、5分から60分までの間、処理されるべき髪に適用し、手または櫛または櫛の背で髪をならし、髪を1回以上、再度ならし、次いで、全体を濯ぎ洗いし、酸化組成物を適用し、約2分から10分間作用させ、次いで髪全体を濯ぎ洗いすることを特徴とする、髪のストレート処理方法。
【請求項21】 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物の適用
時間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。」
に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

訂正後の請求項1は、訂正前の請求項1に記載された発明の特定事項に、さらに訂正前の請求項7、11、13及び15にそれぞれ記載されていた事項を加えて特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
訂正前の7、11、13及び15を削除することは、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。
訂正後の請求項7〜21についての訂正は、上記訂正前の請求項7、11、13及び15の削除に伴い、請求項の項番及び引用する請求項の項番を整合させたものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、上記訂正は、訂正前の特許請求の範囲に記載された事項に基づくものであるので、明細書に記載された事項の範囲内であることが明らかであり、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する同第126条第2項及び3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.本件発明

上記2.のとおり本件訂正は認容されるから、特許第2960344号の請求項1〜21に係る発明(以下、本件発明1〜21という)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜21に記載された事項により特定されたとおりのものである。

4.引用刊行物に記載された事項の概要

当審で通知した取消し理由に引用した刊行物には、それぞれ以下の事項が記載されている。

刊行物1:特開昭56-100710号公報
(特許異議申立人株式会社ホーユーが提出した甲第2号証)

a.第1の段階で還元性組成物を適用することによりケラチンのジスルフィド結合を還元し次に第2の段階で酸化性組成物を適用することによりジスルフィド結合を再生させることからなる毛髪のパーマネント処理方法において、還元過程をカチオン系ポリマーを少なくとも1種含んでいる還元性組成物を用いて実施し、固定(セット)過程を少なくとも1種のアニオン系界面活性剤の存在下において実施することを特徴とする毛髪のパーマネント処理方法(特許請求の範囲第1項)

b.還元剤は組成物中に還元性組成物の全重量に基づいて2乃至25重量%の濃度で存在していることが好ましい。この還元剤は毛髪のパーマネント処理で通常用いられる還元剤であり、たとえばチオグリコール酸又はチオ乳酸又はこれらの酸の混合物であり得る。この場合これらの還元剤の濃度は一般に2乃至11重量%である。
還元剤はまた亜硫酸-又は重亜硫酸アルカリ又は-アンモニウムであることができる。この場合濃度は一般に2乃至15重量%である。還元剤はそのほかチオグリコール酸又はチオ乳酸のエステル(たとえばグリセロール又はグリコールのモノチオグリコラート)であることができ、これらはたとえば5乃至25重量%の濃度で存在させることができる。
また、還元剤はシステイン又はその誘導体たとえば塩酸塩のごとき塩であることもできる。(第3頁左下欄第10行〜同右下欄第6行)

c.還元性組成物のpHは一般にアルカリ剤たとえばアンモニア、モノエタノールアミン…炭酸-又は重炭酸アルカリ又は-アンモニウムなどによって得られる。(第3頁右下欄第7〜11行)

d.カチオン系ポリマーは一般に組成物の全重量に対して0.2乃至5重量%の濃度で還元剤組成物中に存在させる。(第3頁右下欄第16〜18行)

e.カチオン系ポリマーとして、MERCK社からMERQUAT100の名称で市販の分子量100000未満のジメチルジアリルアンモニウム・クロリド・ホモポリマー(第5頁右上欄)や、式(第8頁左下欄の構造式)(R1〜R4は、CH3を表し、XはClを表す)の反復単位からなるものを選択し得ること(第4頁左上欄第3行〜第7頁左上欄、実施例14及び15)

f.還元剤及びカチオン系コポリマーのほかに還元性組成物はまた種々の成分、たとえば、…非イオン系又はカチオン系界面活性剤又は処理剤も含むことができる。(第7頁右上欄第1〜6行)

g.パーマネント処理の第1の段階で用いる組成物は還元剤のほかに組成物をローション、クリーム、ゲルの形とすることのできる添加物を含んでいる。(第2頁左下欄第19行〜同右下欄第2行)

h.第1液がそれ自体二液型に調製されており(特許請求の範囲第11項)、使用の際に、モノチオグリコール酸グリセロール及びグリセリンからなるA成分と、モノエタノールアミン、カチオン系ポリマー、非イオン系界面活性剤及び香料からなるB成分とを混合して還元性組成物を調製すること(実施例6)

i.毛髪にウエーブをかける方法である場合は…ローラに巻きつけた濡れた毛髪に還元性組成物を適用し又は巻きつけるに応じて組成物を適用し、これを5乃至60分とくに5乃至30分間作用させ十分にすすいだ后に…酸化剤組成物を適用する。2乃至10分の時間の間、該組成物を作用させた后に、ローラを取外し十分に毛髪をすすいだ后乾燥させる。くせなおし又は縮みとり処理の場合は新しい形に毛髪を固定できる毛髪の機械的変形は一般に還元性組成物を歯幅の広い櫛・櫛の背又は手で適用した后に毛髪のつや出し処理によって得られる。5乃至60分とくに5乃至30分間の作用時間后…慎重にすすぎ、酸化性又は固定組成物を適用し約2乃至10分間作用させる。引続いて毛髪を慎重にすすぐ。(第3頁左上欄第18行〜右上欄第16行)。

刊行物2:特開昭54-86635号公報
(特許異議申立人株式会社ホーユーが提出した甲第3号証)

a.パーマネントウェーブ用第一液のpH調整剤として塩基性アミノ酸を使用することにより、アンモニアによる不快臭、皮膚刺激性が避けられ、使用時安全に使用することができるという実用上好ましい付帯的効果を挙げることができること。(第2頁左上欄第11〜17行)。

b.pH調整剤として用いる塩基性アミノ酸の例として、リジン、オキシリジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン等が挙げられるが、特にリジン、アルギニンが好ましいこと。(第2頁左上欄第18行〜同右上欄第1行)。

c.塩基性アミノ酸の含有量に関し、例えば、L-アルギニン2水和物を12.0重量%含有させること(配合例1)。

d.塩基性アミノ酸を、アンモニア、アルコールアミン(例えばモノエタノールアミン等)と組み合わせて含有させること(第2頁左上欄第5〜15行、配合例3、4及び5)。

刊行物3:特開昭56-77220号公報

a.酸化染色剤に関し、第1剤にアルカリ剤としてアルギニン、リジン、オキシリジン及びヒスチジンからなる群から選ばれた1種又は2種以上の塩基性アミノ酸を配合しアルカリ性にしてpHを8〜12の範囲に調整した場合には、従来品のように性質の比較的強いアルカリ剤を用いたものに比べ作用がおだやかであること、及び、不快臭がなく、頭皮に対する刺激がなく、染色後の毛髪の損傷を低く押さえることが出来ること。(第2頁左下欄第20行〜同右下欄第12行)。

刊行物4:フレグランスジャーナル,20(9),p.91-97(1992)
(特許異議申立人株式会社ホーユーが提出した甲第4号証)

a.パーマネント・ウエーブ用剤の第1剤の原料の塩基製剤となるアミン類としてアルギニン、リジンなどの塩基性アミノ酸は臭いやウエーブ形成力の面で優れるとの報告があること。(第93頁左欄)

b.パーマ剤に関し、ジチオジグリコール酸が第1剤中に存在すると、主成分のチオグリコール酸と平衡反応を起こし、毛髪に対する第1剤の過剰反応を抑制すること。(第93頁右欄第40-44行)。

刊行物5:欧州特許出願公開第614657号明細書

a.パーマネントウエーブ用組成物に関し、チオグリコール酸及びその塩を含有する組成物Aと、アルカリ剤を含有する組成物Bを、毛髪適用時まで、2-室容器にそれぞれ別々に保持すること(実施例1〜6)。

5.対比・判断

(1)本件発明1について

刊行物1(摘記事項a,e)の毛髪用パーマネント処理用組成物において還元性組成物中に存在させるカチオン系ポリマーとして例示の「MERCK社からMERQUAT100の名称で市販の分子量100000未満のジメチルジアリルアンモニウム・クロリド・ホモポリマー」は、本件明細書段落【0021】〜【0022】の記載から見て(5)のカチオンポリマーであるメチルジアリルアミンまたはジメチルアリルアンモニウムのポリマーに相当し、また、実施例14の式で表されるカチオンポリマーは、本件明細書の段落【0032】の記載から見てMexomer PO、即ち、(6)のカチオンポリマーである4級ジアンモニウムポリマーに該当する。さらに、刊行物1におけるカチオン系ポリマーの還元性組成物に対する含有割合0.2〜5重量%は、本件発明1の0.1〜5重量%と重複している。
本件発明1の組成物中に含まれるカチオンポリマーは、「アクリルアミドおよびジメチルアリルアンモニウムクロリドモノマーからなるポリマーの4級アンモニウム塩を除く、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーであって、少なくとも1つのカチオンポリマーが(1)〜(7)から選択される」ものであるから、選択されるカチオンポリマーにより、種々の異なる組成の組成物を包含する発明であるが、刊行物1の第1段階で適用される還元性組成物においてカチオンポリマーとしてMERQUAT100又は実施例14の構造式で示されるカチオンポリマーを使用した組成物とを対比すると、
両者は、
「ケラチンのジスルフィド結合を還元することからなる、髪に代表されるケラチン物質のパーマネント変形操作の第1段階用組成物であって、前記組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤と、塩基性化剤と、前記組成物の全重量に対して0.2重量%から5重量%の、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーとを含有し、前記少なくとも1つのカチオンポリマーが、
(5)メチルジアリルアミンまたはジメチルジアリルアンモニウムのシクロホモポリマー;又は
(6)4級ジアンモニウムポリマー
である化粧品組成物。」
である点で一致し、
前者が、塩基性化剤として、「組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つ」を用いるものであるのに対して、後者は、塩基性化剤として、アンモニア、モノエタノールアミン、炭酸-又は重炭酸アルカリ又は-アンモニウムを用いるものである点で相違する。
しかしながら、刊行物2(摘記事項a、b)には、パーマネント変形操作の第1段階用組成物中のpH調整剤(塩基性化剤と同義)であるアンモニアによる不快臭を防止し、かつ皮膚および/または頭皮に対して刺激性のないものとするという課題を解決するため、オルニチン、リシンおよびアルギニンといった塩基性アミノ酸を用いることが記載されており、上記課題は刊行物1の組成物においても当然に解決することが望まれるものであるから、塩基性化剤として使用されているアンモニア、モノエタノールアミン、炭酸-又は重炭酸アルカリ又は-アンモニウムに代え、オルニチン、リシン、アルギニン等の塩基性アミノ酸を採用することは当業者が容易に想倒し得ることであって、その配合量も、刊行物2の配合例(摘記事項c)に倣い、当業者が適宜に決定できる範囲のものである。
また、刊行物3によれば、染毛剤のpH調整剤をアンモニア、モノエタノールアミン、炭酸ナトリウム等の有機アミン類にかえ、塩基性アミノ酸とした場合に、不快臭が防止され、かつ、皮膚および/または頭皮に対して刺激のないものとなるという効果とともに、毛髪の損傷が少ないという点についても報告されており、パーマネントの第1剤に塩基性アミノ酸を使用した場合にも、これらの効果が得られることは当業者が容易に予測し得るものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(2)本件発明2、3について
本件発明2及び3は、本件発明1における、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤を、それぞれ、「亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、またはチオール類、単独、または、これらの混合物」(本件発明2)、及び、「システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその種々の誘導体、3-メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、およびチオグリコール酸、およびこれらのエステルまたは塩」(本件発明3)に特定するものであるが、これらは周知の還元剤であって、刊行物1(摘記事項b)においても、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、チオグリコール酸、チオ乳酸、システインなどが列挙されており、これらの活性剤を特定する点に格別な技術的特徴は存在しない。
したがって、本件発明2及び3は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(3)本件発明4について
本件発明4は、塩基性化剤を、アルギニンに特定するものであるが、刊行物2(摘記事項b)には、pH調整剤として、特にリジン、アルギニンが好ましい旨記載されているから、刊行物1に記載の発明において、塩基性アミノ酸を用いるに際し、アルギニンを選択することは、当業者が適宜になし得たことである。
したがって、本件発明4は、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)本件発明5、6について
本件発明5及び6は、本件発明1に「アンモニア水、モノエタノールアミン、または炭酸塩-ベースの生成物に代表される、他の塩基性化剤」を付加したものであるが、pH調整剤として、塩基性アミノ酸と、アンモニア水、あるいは、モノエタノールアミンとを組み合わせて用いることは、刊行物2(摘記事項d)にも記載されており、塩基性アミノ酸と従来の塩基性化剤であるアンモニア水、モノエタノールアミンの併用は当業者が容易になしえたことである。
また、これらの塩基性化剤により、酸性の還元剤が中性化されていることは、当業者にとって技術常識である。
したがって、本件発明5及び6は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(5)本件発明7について
本件発明7は、カチオンポリマーを、「メルクアット100と、式(III):【化1】(構造式は省略)(式中、R4、R5、R6、およびR7は、メチル基であり、A1は、式-(CH2)3-で表わされる基であり、B1は、式-(CH2)6-で表わされる基であり、X-は、塩化物イオンを示す)で表わされる繰り返し単位を含有する4級ジアンモニウムポリマー」に特定するものであるが、刊行物1(摘記事項e)においても、これと同一のカチオンポリマーを用いていることから、この点に格別の創意は認められない。
したがって、本件発明7は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(6)本件発明8について
本件発明8は、本件発明1に「非イオン、アニオン、カチオン、または両性界面活性剤を含有する」という要件を加えるものであるが、刊行物1(摘記事項a、f)に記載のとおり、パーマネント変形操作の第1段階用組成物において、界面活性剤を含有せしめることは通常行われることであり、上記界面活性剤を更に含有せしめることは当業者が適宜なし得たことである。
したがって、本件発明8は、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(7)本件発明9について
本件発明9は、本件発明1に、「少なくとも1つのジスルフィドと組み合わせる」という要件を加えるものであるが、還元反応の過剰反応を防止することは、パーマ変形操作の第1段階用組成物の分野において、本件出願前周知の課題であり、刊行物4(摘記事項b)には、ジスルフィドである、ジチオジグリコール酸が第1剤中に存在すると、チオグリコール酸の過剰反応を抑制することが記載されているから、刊行物1に記載の発明において、同様の効果を期待して、ジスルフィドを組み合わせて用いることは当業者が容易に想倒し得たことである。
したがって、本件発明9は、刊行物1〜4に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(8)本件発明10について
本件発明10は、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤の含有量を、組成物の全重量に対して、5重量%から15重量%とするものであるが、刊行物1(摘記事項b)には、還元剤が、チオグリコール酸又はチオ乳酸又はこれらの酸の混合物である場合には、2乃至11重量%、亜硫酸-又は重亜硫酸アルカリ又は-アンモニウムである場合には、2乃至15重量%、チオグリコール酸又はチオ乳酸のエステルである場合には、5乃至25重量%である旨記載されているから、還元剤の使用量を5重量%から15重量%とする点は従来の使用量の範囲内のものにすぎない。
したがって、本件発明10は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(9)本件発明11について
本件発明11は、カチオンポリマーの含有量を、組成物の全重量に対して、0.5重量%から3重量%とするものであるが、刊行物1(摘記事項d)には、カチオンポリマーの量を配合材料の還元性組成物の全重量に基づいて0.2乃至5重量%の濃度で存在させることが記載されているから、係る配合量に倣い、その前後の好適な含有量の範囲を設定することは当業者が容易になし得ることである。
したがって、本件発明11は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(10)本件発明12について
本件発明12は、塩基性化剤の含有量を、組成物の全重量に対して、0.1重量%から18重量%とするものであるが、刊行物2には、塩基性化剤である、L-アルギニン2水和物を組成物の全重量に対して12.0重量%含有させた例が記載されており、係る配合量に倣い、その前後の好適な含有量の範囲を設定することは当業者が容易になし得ることである。
したがって、本件発明12は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(11)本件発明13について
本件発明13は、本件発明1に「ローション、クリーム、またはゲルの形状」とする構成を付加するものであるが、刊行物1(摘記事項g)においても、パーマネント処理の第1の段階で用いる組成物は還元剤のほかに組成物をローション、クリーム、ゲルの形とすることのできる添加物を含んでいる旨記載されているから、この点にも格別の創意は認められない。
したがって、本件発明13は、本件発明1と同様の理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(12)本件発明14及び15について
本件発明14は、本件発明1の組成物を、1以上の区画室に含有せしめた収容装置の発明であり、本件発明15は、区画室を少なくとも2つとし、第1区画室に、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤を存在せしめ、第2区画室に、オルニチン、リシン、およびアルギニン、から選択される少なくとも1つの塩基性化剤および任意に香料を存在させるものである。しかしながら、刊行物1(摘記事項h)には、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤を含む成分と、塩基性化剤及び香料からなる成分を分けて収容し、使用時に混合することが記載されており、また、刊行物5には、パーマネント処理の第1段階で用いる組成物を、収容装置、特に、2の区画室を有する収容装置に含有させることが記載されているから、収容装置に収容し、上記2成分を第1及び第2の区画室に分けて存在せしめる点に格別の技術的困難性を見出せない。
したがって、本件発明14及び15は、刊行物1〜3、5に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(13)本件発明16及び17について
本件発明16は
「パーマネントウエーブヘアーの形状に代表される、ケラチン物質をパーマネント変形するための、髪に代表されるケラチン物質の処理方法であって、
(i)請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけるのに必要な手段を与え、
(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いし、
(iii)前記濯ぎ洗いしたケラチン物質に次いで酸化組成物を適用し、該酸化組成物適用前または適用後に、工程(i)で使用した機械的引張力をかけるのに必要な手段をはずし、
(iv)最後に、ケラチン物質を再度濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。」であり、本件発明17はこれがパーマネントウエーブヘアーを得るために行われる点を特定するものであるが、刊行物1(摘記事項i)においても、毛髪にウエーブをかける方法としてローラに巻きつけた濡れた毛髪に還元性組成物を適用し又は巻きつけるに応じて組成物を適用し、これを5乃至60分とくに5乃至30分間作用させ十分にすすいだ后に…酸化剤組成物を適用し、2乃至10分の時間の間、該組成物を作用させた后に、ローラを取外し十分に毛髪をすすいだ后乾燥させるという方法によって行われるものであって、本件発明16、17と刊行物1に記載の毛髪処理方法とは、(i)の請求項1乃至13のいずれか1項に記載の組成物を使用する点で相違するのみである。
しかるに、本件発明1〜13の組成物が当業者が容易に想到しうるものである点は上記で述べたとおりである。したがって、本件発明16及び17にしても、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(14)本件発明18及び19について
本件発明18及び19は、工程(i)の適用時間を、それぞれ、5分〜60分、及び、5分〜30分とするものであるが、刊行物1(摘記事項i)には、還元性組成物を適用する時間を、5乃至60分とくに5乃至30分間とする旨記載されているから、本件発明18及び19の方法と、刊行物1に記載の方法の作用時間に差異はない。
したがって、本件発明18及び19は、本件発明16、17に記載した理由により、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

(15)本件発明20及び21について
本件発明20及び21は、本件発明1ないし13の組成物を、髪をストレートにする、または、髪からカールを除去するための特定の方法に適用するものであるが、刊行物1(摘記事項i)には、くせなおし又は縮みとり処理の場合は新しい形に毛髪を固定できる毛髪の機械的変形は一般に還元性組成物を歯幅の広い櫛・櫛の背又は手で適用した后に毛髪のつや出し処理によって得られ、5乃至60分とくに5乃至30分間の作用時間后、慎重にすすぎ、酸化性又は固定組成物を適用し約2乃至10分間作用させ、引続いて毛髪を慎重にすすぐ方法が記載されており、これは、本件発明1ないし13の組成物を使用する点を除き、本件発明1ないし13の組成物を本件発明20及び21において特定された方法と一致するものである。
しかるに、本件発明1ないし13の組成物は当業者が容易に想到しうる点は上記のとおりであるから、本件発明20及び21にしても、刊行物1〜3に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1〜21に係る発明は、刊行物1〜5に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるので、その特許は、特許法第29条2項に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
塩基性アミノ酸およびカチオンポリマーを含有する還元組成物
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケラチンのジスルフィド結合を還元することからなる、髪に代表されるケラチン物質のパーマネント変形操作の第1段階用組成物であって、
前記組成物の全重量に対して1重量%から20重量%の、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤と、
前記組成物の全重量に対して0.01重量%から20重量%の、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つの塩基性化剤と、
前記組成物の全重量に対して0.1重量%から5重量%の、アクリルアミドおよびジメチルジアリルアンモニウムクロリドモノマーからなるポリマーの4級アンモニウム塩を除く、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーとを含有し、
前記少なくとも1つのカチオンポリマーが、
(1)ピペラジニルユニットと、直鎖または分岐鎖で、任意に酸素、硫黄、または窒素原子、または、芳香族または複素環が間に入っていてもよい、2価のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基とからなるポリマー類、および、該ポリマーの酸化および/または4級化生成物;
(2)任意に架橋および/またはアルキル化した、水溶性ポリアミノアミド類;
(3)ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合、およびこれに次ぐ、2官能性剤とのアルキル化により得られたポリアミノアミド誘導体;
(4)2つの1級アミン基および少なくとも1つの2級アミン基を含有するポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸との反応により得られたポリマー;
(5)メチルジアリルアミンまたはジメチルジアリルアンモニウムのシクロホモポリマー;
(6)4級ジアンモニウムポリマー;および
(7)4級ポリアンモニウムポリマー
から選択されることを特徴とする、化粧品組成物。
【請求項2】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、またはチオール類、単独、または、これらの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその種々の誘導体、3-メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、およびチオグリコール酸、およびこれらのエステルまたは塩であることを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】 塩基性化剤が、アルギニンであることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】 アンモニア水、モノエタノールアミン、または炭酸塩-ベースの生成物に代表される、他の塩基性化剤を含有することを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】 前記他の塩基性化剤が、酸性の還元剤を中性化するために存在することを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】 該ポリマーが、メルクアット100と、式(III):
【化1】

(式中、R4、R5、R6、およびR7は、メチル基であり、A1は、式-(CH2)3-で表わされる基であり、B1は、式-(CH2)6-で表わされる基であり、X-は、塩化物イオンを示す)
で表わされる繰り返し単位を含有する4級ジアンモニウムポリマーとから選択されることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】 非イオン、アニオン、カチオン、または両性界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、少なくとも1つのジスルフィドと組み合わされていることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】 ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な活性剤が、前記組成物の全重量に対して、5重量%から15重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】 1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.5重量%から3重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】 塩基性化剤が、前記組成物の全重量に対して、0.1重量%から18重量%までの間で存在することを特徴とする、請求項1ないし11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】 任意に増粘化されてもよい、ローション、クリーム、またはゲルの形状であることを特徴とする、請求項1ないし12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】 1以上の区画室に、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を含有することを特徴とする、収容装置。
【請求項15】 少なくとも2つの区画室を含有し;ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤が第1区画室に存在し、オルニチン、リシンおよびアルギニン、から選択される少なくとも1つの塩基性化剤および任意に香料が、第2区画室に存在することを特徴とする、請求項14に記載の収容装置。
【請求項16】 パーマネントウエーブヘアーの形状に代表される、ケラチン物質をパーマネント変形するための、髪に代表されるケラチン物質の処理方法であって、(i)請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけるのに必要な手段を与え、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いし、(iii)前記濯ぎ洗いしたケラチン物質に次いで酸化組成物を適用し、該酸化組成物適用前または適用後に、工程(i)で使用した機械的引張力をかけるのに必要な手段をはずし、(iv)最後に、ケラチン物質を再度濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法。
【請求項17】 パーマネントウエーブヘアーを得るため行われることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時間が、5分から60分までの間であることを特徴とする、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】 前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項18に記載の方法。
【請求項20】 髪をストレートにする、または、髪からカールを除去するための方法であって、請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物を、5分から60分までの間、処理されるべき髪に適用し、手または櫛または櫛の背で髪をならし、髪を1回以上、再度ならし、次いで、全体を濯ぎ洗いし、酸化組成物を適用し、約2分から10分間作用させ、次いで髪全体を濯ぎ洗いすることを特徴とする、髪のストレート処理方法。
【請求項21】 請求項1ないし13のいずれか1項に記載の組成物の適用時間が、5分から30分までの間であることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塩基性化剤として、塩基性アミノ酸、およびカチオンポリマーを含有する、ケラチン物質、特に髪のパーマ変形用操作の第1段階用の新規化粧品組成物に関する。
本発明はまた、ケラチン物質のパーマ変形、特にウエーブパーマヘアーの形態にパーマ変形する目的で、ケラチン物質、特に髪を処理する新規な方法に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】
髪をパーマ変形するための最も一般的な技術は、まず第1工程として、ケラチン(システイン)の-S-S-ジスルフィド結合を還元剤を含有する組成物を用いて開裂し(還元段階)、次いで、好ましくは上記処理された髪を濯ぎ洗いした後、第2工程として、最終的に所望の髪の形状にするために、機械的引張力(カーラー等)が予めかけられている髪に対して酸化組成物を適用することにより(酸化段階、定着段階としても知られている)、前記ジスルフィド結合を再構成することからなることが、知られている。該技術によれば、無差別に、髪にウエーブをかけるか、または、髪をストレートにしたりちぢれをとるかのいずれかを行うことが可能である。上記のような化学処理によって髪に与えられた新しい形状は、パーマ変形処理ではない従来の簡単な方法、たとえばセット処理方法と比較して、経時的に著しく持続性があるものであり、水またはシャンプーを用いた洗浄に対して特に耐性がある。
【0003】
パーマウエーブ操作の第1段階を行うのに使用可能な還元組成物は、一般的には、還元剤として、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、または好ましくはチオール類を含有する。チオール類として一般的に使用されるものとしては、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその誘導体、チオ乳酸、チオグリコール酸およびそのエステル類、特にグリセリル=モノチオグリコラート、およびチオグリセロールが挙げられる。
チオグリコール酸は、不快な臭いにもかかわらず、特に効果的であり、したがって、ケラチンのジスルフィド結合を還元するための標準パーマウエーブ化合物をなすものである。システインは部分的に、チオグリコール酸またはグリセリル=モノチオグリコラートよりもより弱い臭いを呈するものであるが、得られるカールの度合は残念ながらより低く、完全に満足するものとは程遠いものである。
【0004】
該還元剤は髪を劣化させるため、還元剤をカチオンポリマーとともに使用することが推奨されている。
しかしながら、該組成物は、ユーザーには不都合で、特に、この種の処理がしばしば使用されるヘアーサロンおよびその周辺において、総体的に強い刺激性の臭いを有する。該組成物の不快な臭いは、該還元剤および塩基性化剤によるものであり、一般的に使用される該塩基性化剤は、アンモニア水またはモノエタノールアミンである。
さらに、髪をパーマ変形するために、敏感な髪に該組成物を使用すると、カールの結果または髪の質に関して、完全には満足のいくものではない。
【0005】
これまで知られているパーマウエーブ技術に伴う他の問題点は、髪に繰り返し使用すると、特に、パーマに次ぐ染色の可能性に関して、経時的に髪がかなり変質してしまう可能性があることである。2、3回のパーマウエーブ処理が施された髪に対しての染色は、パーマウエーブ処理されていない髪に対してよりも、より顕著である。したがって、染色操作が、パーマウエーブ処理されてしばらく経過して伸びた髪に対して行われる、全ての場合において、問題(パーマウエーブ処理され髪とパーマウエーブ処理されされていない新たに伸びた髪との間の不調和)が生じる。さらに、染色されるべき髪が予め5、6回のパーマウエーブ処理された場合には、染色が非常に困難になるか、または不可能となることが観察されている。
【0006】
さらに、還元組成物のpHを緩衝するために存在する塩基性化剤が、炭酸塩ベースの生成物、たとえば二酸化炭素、アンモニウムまたはアルカリ炭酸塩類または重炭酸塩または有機炭酸塩、たとえば特に、グアニジン=カーボナートである場合には、過酸化水素水に基づいた酸化組成物と組み合わせた該炭酸塩ベースの還元剤組成物を用いたシェープ/パーマ変形操作を繰り返し適用すると、特に繊維の柔軟性に関して、髪の質が経時的に次第におよび顕著に損なわれることになり、これによって、次第に髪が脆くなる。
【0007】
本発明の目的は、特に、上記問題点を解決することである。
より詳細には、本発明の目的は、上記したように、パーマ処理を繰り返した後の、髪の機械的劣化を制限または防止可能にする組成物を提案することである。
本発明の他の目的は、総体的にほとんど臭わず、皮膚および/または頭皮に対してほとんど刺激性がない組成物を提案することである。
【0008】
本発明の目的はまた、カールの度合、鮮明さ、および魅了性に関して、満足のいく結果を得ることの可能な髪のパーマ変形用操作の第1段階用の、新規な化粧品組成物を提案することである。
最後に、本発明の目的は、パーマ処理に次いで行われる染色の質を向上可能な、髪のパーマ変形用操作の第1段階用の、新規な化粧品組成物を提案することである。
本出願人は、いわゆる還元組成物の化合物を適当に選択することによって、上記目的が、達成されることを見い出した。該発見が本発明の基礎となるものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および発明の実施の形態】
本発明によれば、ケラチンのジスルフィド結合を還元することからなる、ケラチン物質、特に髪のパーマネント変形操作の第1段階用組成物であって、還元組成物としてしられているものであり、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤と、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つの塩基性化剤と、アクリルアミドおよびジメチルジアリルアンモニウムクロリドモノマーからなるポリマーの4級アンモニウム塩を除く、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する少なくとも1つのカチオンポリマーとを含有することを特徴とする、化粧品組成物が提供される。
【0010】
本発明によれば、また、特にパーマネントウエーブヘアーの形状に、ケラチン物質をパーマネント変形するための、ケラチン物質、特に髪の処理方法であって、(i)上記組成物を、処理されるべきケラチン物質に適用し、該適用前、適用中、または適用後に、ケラチン物質に機械的引張力をかけるのに必要な手段(ローラー)を与え、(ii)前記処理されたケラチン物質を濯ぎ洗いし、(iii)前記濯ぎ洗いしたケラチン物質に次いで酸化組成物を適用し、該酸化組成物適用前または適用後に、工程(i)で使用した機械的引張力をかけるのに必要な手段をはずし、(iv)最後に、ケラチン物質を再度濯ぎ洗いする工程を有することを特徴とする、ケラチン物質の処理方法が提供される。
本発明による方法は、一般的には、ウエーブパーマ処理された髪を得るのに適当である。
【0011】
健康な髪に繰り返し適用される場合、複数回、繰り返して適用される場合でさえも、本発明による組成物には、特に不快な臭いがなく、皮膚および/または頭皮に対して非刺激性である一方、ほとんどダメージがなく、機械的に強度があり、美しいカールが施される髪を与えるという主な優位性を有している。
本発明による他の特徴部、優位性は、以下の具体例および詳細な説明からより明らかとなるであろう。ただし、本発明は、該実施例に例解されるものであって、これらに限定されるものではない。
【0012】
以下の記載は、髪処理の特別なケースに関するものであるが、本発明による方法は、種々のケラチン物質、一般的には、特にまつげ、髭、髪、体毛、羊毛等に適用可能であることを記しておく。
ケラチンのジスルフィド結合の還元に適当な活性剤としては、亜硫酸塩類、重亜硫酸塩類、または好ましくはチオール類が挙げられる。該チオール類としては、システインおよびその種々の誘導体、システアミンおよびその種々の誘導体、3-メルカプトプロピオン酸、チオ乳酸、およびチオグリコール酸、およびこれらのエステルまたは塩、特に、グリセリル=モノチオグリコラートおよびチオグリセロールが挙げられる。
【0013】
該活性剤類は、単独、または、混合物として使用可能である。
本発明において使用される塩基性化剤としては、アルギニンが好ましい。
オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択された塩基性化剤は、所望のpHにするために使用され、該pHは、一般的には5から11.5までの間である必要がある。
【0014】
該塩基性化剤類は、単独、または、混合物として使用可能である。該塩基性化剤類は、他の塩基性化剤、たとえば、アンモニア水、モノエタノールアミン、または炭酸塩-べースの生成物とともに存在可能である。前記他の塩基性化剤は、好ましくは、不快な臭いなどの上記欠点を解消可能な量で、存在する。
特に、該他の塩基性化剤は、酸性の還元剤を中性化するために使用されるものである。
【0015】
チオグリコール酸、チオ乳酸、3-メルカプトプロピオン酸、システインまたはシステアミン、または、これらの塩または誘導体の1つが、還元剤として使用される場合には、本発明の全組成物のpHが、好ましくは、6.5から11.5までの間、さらに好ましくは7から10までの間である。
チオグリコール酸またはチオ乳酸、3-メルカプトプロピオン酸が、還元剤として使用され、本発明による組成物のpHは、全体として好ましくは5から11までの間、さらに好ましくは6から9.5までの間である。
本発明において使用されるカチオンポリマーは、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有する。該ポリマーは一般的には、500より大きい、好ましくは1000よりも大きい分子量を有する。
【0016】
本発明に使用されるカチオンポリマーは、以下のものが挙げられる。
(1)ピペラジニルユニットと、直鎖または分岐鎖で、任意に酸素、硫黄、または窒素原子、または、芳香族または複素環が間に入っていてもよい、2価のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基とからなるポリマー類、および、該ポリマーの酸化および/または4級化生成物、特に仏国特許2,162,025および2,280,361に記載されているポリマー類;
【0017】
(2)ポリアミンと酸性化合物の重縮合により特に調製された水溶性ポリアミノアミド類、該ポリアミノアミド類は、エピハロヒドリン、ジエポキシド、二無水物、不飽和二無水物、ビス-不飽和誘導体、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-アルキル=ハライド、または、ビス-ハロヒドリン、ビス-アゼチジニウム、ビス-ハロアシルジアミン、ビス-アルキル=ハライド、エピハロヒドリン、ジエポキシド、またはビス-不飽和誘導体と反応性のある2官能性化合物の反応により得られるオリゴマーと架橋可能であり、架橋剤はポリアミノアミドのアミン基あたり0.025から0.035モルの範囲で使用され、1以上の3級アミン官能基がある場合には、4級化可能であり、特に仏国特許2,252,840および2,368,508に記載されているポリマー類;
【0018】
(3)ポリアルキレンポリアミンとポリカルボン酸との縮合、およびこれに次ぐ、2官能性剤とのアルキル化により得られたポリアミノアミド誘導体、たとえば、アジピン酸-ジアルキルアミノヒドロキシアルキル-ジアルキレントリアミンポリマー類、ここで、アルキル基は1〜4の炭素数を有し、好ましくはメチル、エチルまたはプロピルであり、特に仏国特許1,583,363に記載されているポリマー類、特に、”Sandoz”社から”Cartaretine F、F4またはF8”の名称で販売されているアジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピル/ジエチレントリアミンポリマー類;
【0019】
(4)2つの1級アミン基および少なくとも1つの2級アミン基とを含有するポリアルキレンポリアミンと、炭素数3〜8の飽和脂肪族ジカルボン酸およびジグリコール酸から選択されたジカルボン酸との反応により得られたポリマー、ポリアルキレンポリアミンとジカルボン酸とのモル比率が0.8:1から1.4:1までの間であり、得られたポリアミノアミドはエピクロロヒドリンと、エピクロロヒドリン:ポリアミノアミドの2級アミン基が0.5:1から1.8:1までの間であるモル比で反応し、特に仏国特許3,227,615および2,961,347に記載されているポリマー類、特に、ハーキュレス社から”Hercosett 57”の名称で販売されている上記タイプのポリマー、または、アジピン酸/エポキシプロピル/ジエチレントリアミンコポリマーの場合には、ハーキュレス社から”PD 1/0”または”Delsette 101”の名称で販売されているポリマー;
【0020】
(5)メチルジアリルアミンまたはジメチルジアリルアンモニウムのシクロホモポリマー、たとえば、主鎖成分として、式(I)または(II):
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、mおよびtが、0または1であり、m+1の合計が1であり;R3は、水素原子またはメチル基を示し;R1およびR2は、各々独立に、1〜22の炭素数を有するアルキル基、アルキル基が好ましくは1〜5の炭素数を有するヒドロキシアルキル基、低級アミノアルキル基を示し、または、R1およびR2が、窒素原子を介して複素環基、たとえばピペリジルまたはモルホリニル基を示し;Y-がアニオン、たとえば、臭化物、塩化物、アセタート、ボラート、シトラート、タータラート、ビスルファート、ビスルファイト、スルファートまたはホスファートイオンを示す)
で表わされるユニットを含有するホモポリマー、特に、メルク社から”メルクアット(Merquat)100”の名称で販売されている塩化ジメチルジアリルアンモニウムのホモポリマーであり、特に仏国特許2,080,759および2,190,4065に記載されているポリマー類;
【0023】
(6)以下の式(III)で示される繰り返しユニットを含有する4級ジアンモニウムポリマー、
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、R4、R5、R6、およびR7は、同一でも異なっていてもよく、1〜20の炭素数を有する脂肪族、脂環式またはアリール脂肪族基、または低級ヒドロキシアルキル脂肪族基であり、または、R4、R5、R6、およびR7は、共にまたは別個に、窒素原子を介在して結合するか、任意に窒素原子以外の第2のヘテロ原子を含有する複素環であるか、または、R4、R5、R6、およびR7は、ニトリル、エステル、アシル、アミドまたは-CO-O-R8-Dまたは-CO-NH-R8-D基(式中、R8はアルキレンであり、およびDは4級アンモニウム基である)で置換された、直鎖または分岐鎖のC1〜C6アルキル基を示し;
A1およびB1は、炭素数2〜20のポリメチレン基であり、該基は、直鎖または分岐鎖で、飽和または不飽和でもよく、主鎖中に介在または結合した、1以上の芳香環または1以上の酸素または硫黄原子またはスルホキシド、スルホン、ジスルフィド、アミノ、アルキルアミノ、ヒドロキシル、4級アンモニウム、ウレイド、アミドまたはエステル基を含有してもよく、
X-は、無機または有機酸から誘導されたアニオンを示し;
A1、R4およびR6は、2つの窒素原子とともに、ピペラジニル環を形成可能であり;
さらに、A1が、直鎖または分岐鎖で、飽和または不飽和のアルキレンまたはヒドロキシアルキレン基を示す場合、B1は、(CH2)n-CO-D-OC-(CH2)n-で表わされる基であってもよく、
【0026】
ここで、Dは、
a)式:O-Z-O-(式中、Zは、直鎖または分岐鎖の炭化水素基、または、式:-(CH2-CH2-O)x-CH2-CH2、-[CH2CH(CH3)O]y-CH2CH(CH3)-(式中、xおよびyは1〜4の整数の重合度または平均重合度を示す)のうちの1つに相当する基)で表わされるグリコール基;
b)ピペラジン誘導体などのビス-2級ジアミン基;
c)式:-NH-Y-NH-(式中、Yは、直鎖または分岐鎖の炭化水素基、または、2価の基:-CH2-CH2-S-S-CH2-CH2を示す)で表わされるビス-1級ジアミン基;
d)式:-NH-CO-NH-で表わされるウレイレン(ureylene)基;
で表わされ、
X-は、好ましくは塩化物イオンまたは臭化物イオンなどのアニオンである)、
【0027】
1000から100,000までの間の分子量を一般的には有し、特に、仏国特許2,320,330、2,270,846、2,316,271、2,336,434、および2,413,907、および米国特許2,273,780、2,375,853、2,388,614、2,454,547、3,206,462、2,261,002、2,271,378、3,874,870、1,001,432、3,929,990、3,966,904、4,005,193、4,025,617、4,025,627、4,025,653、1,026,945、および4,027,020に記載されているポリマー類;
【0028】
(7)以下の式(IV)で表わされるユニットからなる4級ポリアンモニウムポリマー、
【0029】
【化4】

【0030】
(式中、R9、R10、R11およびR12は、同一でも異なっていてもよく、水素原子またはメチル、エチル、プロピル、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル、または、-CH2CH2(OCH2CH2)pOH基を示し、pは、0または1〜6の整数であり、ただし、R9、R10、R11およびR12は、同時に水素原子を示さず、
rおよびsは、同一でも異なっていてもよく、1〜6の整数を示し、
qは、0または1〜34の整数を示し、
Xは、ハロゲン原子を示し、
Aは、ジハライド基または好ましくは、-CH2-CH2-O-CH2-CH2-を示す)
【0031】
特に、欧州特許出願EP-A-122,324に記載されているポリマー類、たとえば、ミラノール社から”Mirapol A 15”、”Mirapol AD1”、”Mirapol AZ1”、および”Mirapol 175”の名称で販売されているポリマー類。
【0032】
該カチオンポリマーとしては、メルクアット100と、式(III)(式中、R4、R5、R6、およびR7は、メチル基であり、A1は、式-(CH2)3-で表わされる基であり、B1は、式-(CH2)6-で表わされる基であり、X-は、塩化物イオンを示す)で表わされる化合物とから選択されたポリマー類を使用するのが好ましい。(以後、”Mexomer PO”と称する)。
【0033】
好ましい実施態様によれば、還元組成物はまた、ウエーブパーマ還元組成物において通常使用される、非イオン、アニオン、カチオン、または両性界面活性剤を含有する。該界面活性剤類としては、アルキル=スルファート類、アルキル=ベンゼンスルファート類、アルキル=エーテル=スルファート類、アルキル=スルホナート類、第4級アンモニウム塩類、アルキルベタイン類、オキシエチレン化アルキルフェノール類、脂肪酸アルカノールアミド類、オキシエチレン化脂肪酸エステル類、および、ヒドロキシプロピル=エーテルタイプの他の非イオン界面活性剤が挙げられる。
還元組成物が少なくとも1つの界面活性剤を含有する場合には、界面活性剤は、還元組成物の全重量に対して、最大で30重量%の濃度で存在し、好ましくは0.5重量%および10重量%の間で存在するものである。
【0034】
髪の化粧品特性を向上させる目的で、または髪の劣化を減少または防止する目的で、還元組成物はまた、アニオン、非イオンまたは両性の処理剤を含有可能である。
使用可能な処理剤としては、揮発性または不揮発性で、直鎖または環状シリコーン類、およびこれらの混合物、ポリジメチルシロキサン類、4級化ポリオルガノシロキサン類、たとえば仏国特許出願2,535,730に記載されているもの、アルコキシカルボニルアルキル基で修飾されたアミノアルキル基を含有するポリオルガノシロキサン類、たとえば米国特許4,749,732に記載されているもの、ポリオルガノシロキサン類、たとえば、ジメチコンコポリオールタイプのポリジメチルシロキサン-ポリオキシアルキルコポリマー、末端ステアロキシ基類を含有するポリジメチルシロキサン(ステアロキシジメチコン)、英国特許出願2,197,352に記載されたポリジメチルシロキサン-ジアルキルアンモニウム=アセタートコポリマーまたはポリジメチルシロキサン-ポリ(アルキルベタイン)コポリマー、メルカプトまたはメルカプトアルキル基でオルガノ修飾されたポリシロキサン類、たとえば仏国特許1,530,369、および欧州特許出願295,780に記載されたもの、および、シラン類、たとえばステアロキシトリメチルシランが挙げられる。
【0035】
還元組成物はまた、他の処理成分類を含有可能であり、たとえば、ワックス類、膨潤剤類、浸透剤類、または還元剤の効果を強化可能な薬剤類、たとえばジメチルイソソルビトール、尿素およびその誘導体、ピロリドン、N-アルキルピロリドン類、チアモルホリノン、アルキレングリコールのアルキルエーテル類、またはジアルキレングリコールのアルキルエーテル類、たとえば、プロピレングリコールのモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル、エチレングリコールのモノエチルエーテル、ジエチレングリコールのモノエチルエーテル、炭素数3〜6のアルカンジオール類、たとえば、1,2-プロパンジオールおよび1,2-ブタンジオール、または2-イミダゾリジノン、および他の化合物類、たとえば脂肪アルコール類、ラノリン誘導体、活性成分類、たとえばパントテン酸、髪抜け防止剤類、抗ふけ剤類、増粘剤類、懸濁剤類、金属イオン封止剤類、乳白剤類、染料類、サンスクリーン類、および香料類および防腐剤類を含有可能である。
【0036】
最後に、組成物はまた、いわゆる”自己中性化(self-neutralizing)”または”自己調節化(self-regulating)”の形態であってもよく、この場合には、還元剤類は、パーマウエーブ用の自己中性化還元組成物中において使用することが知られている、少なくとも1つのジスルフィドと組み合わせる。
【0037】
このようなジスルフィド類としては、ジチオジグリコール酸、ジチオグリセロール、システアミン、N,N’-ジアセチルシステアミン、システイン、パンテチン、および、欧州特許出願EP-A-354,835に記載された、N-(メルカプトアルキル)-ω-ヒドロキシアルキルアミド類のジスルフィド類、欧州特許出願EP-A-368,763に記載された、4-N-モノ-または4-N,N-ジアルキルメルカプトブチルアミド類のジスルフィド類、欧州特許出願EP-A-432,000に記載された、アミノメルカプトアルキルアミド類のジスルフィド類、欧州特許出願EP-A-465,342に記載された、N-(メルカプトアルキル)スクシナミン酸またはN-(メルカプトアルキル)スクシナミド類のジスルフィド類、および、欧州特許出願EP-A-514,282に記載された、アルキルアミノメルカプトアルキルアミド類のジスルフィド類が挙げられる。これらのジスルフィド類は一般的には、還元剤に対して、0.5から2.5のモル比、および好ましくは1から2のモル比で存在する(米国特許3,768,490参照)。
【0038】
本発明において使用可能な還元パーマウエーブ組成物において、上記還元剤類は一般的には、還元組成物の全重量に対して、1重量%から20重量%の範囲で、好ましくは5重量%と15重量%との間の範囲で存在するものである。
本発明において使用可能な還元パーマウエーブ組成物において、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有するカチオンポリマーが、前記組成物の全重量に対して、0.1重量%から5重量%までの間で、好ましくは0.5重量%から3重量%までの間で存在する。
【0039】
本発明において使用可能な還元パーマウエーブ組成物において、上記塩基性化剤が、該組成物のpHを調節するのに必要な濃度で存在し、一般的には、前記組成物の全重量に対して、0.01重量%から20重量%までの間で、好ましくは0.1重量%から18重量%までの間で存在する。
還元組成物は、任意に増粘化されてもよい、ローション、クリーム、ゲル、または他の適当なの形状であってもよい。
本発明のある変形例によれば、本発明の還元組成物は、該組成物を収容するようにパーケージされ、1つの区画室を含有する装置に、該組成物が含有されているものである。
【0040】
本発明の他の変形例によれば、本発明による組成物は、少なくとも2つの区画室を含有する装置内に収容され、還元組成物の成分が使用時に混合されるものである。特に、ケラチンのジスルフィド結合を還元するのに適当な少なくとも1つの活性剤が第1区画室に存在し、オルニチン、リシンおよびアルギニンから選択される少なくとも1つの塩基性化剤および任意に香料が、第2区画室に存在する。他の化合物、特に1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有するカチオンポリマーが、該2つの区画室のいずれか1つに、好ましくは、第2区画室、または他の区画室に存在する。本発明の該変形例によれば、本発明の還元組成物はほとんど無臭にすることが可能となる。
【0041】
還元組成物はまた、発熱タイプのものであってもよく、すなわち、髪に適用している間に加熱を起こすものであり、パーマウエーブ処理またはストレートヘアー処理する人には気持ちの良いものである。
還元組成物はまた、たとえば、エタノール、プロパノールまたはイソプロパノールまたはグリセロール等の溶媒を、組成物の全重量に対して、最大20重量%の濃度で含有可能である。
組成物のビヒクルは、水、または、エタノール、イソプロパノールまたはブタノール等の低級アルコールの水/アルコール溶液であるのが好ましい。
【0042】
組成物が、ストレートヘアー処理またはちぢれを直す処理を目的に使用される場合には、還元組成物は、可能な限り髪を真直ぐな状態で保持するために、増粘したクリームの形態であることが好ましい。これらのクリーム類は、たとえば、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸グリコール、自己乳化可能なワックス類、脂肪アルコール類等をベースとした、”重(heavy)”エマルション類の形態で製造される。
髪を”固着させ(stick)”て処理中にスムーズな位置に髪を保持する、カルボキシビニルポリマー類またはコポリマー類等の増粘剤類を含有する液体類またはゲル類も、使用可能である。
【0043】
本発明による方法の第1工程(工程(i))によれば、本発明の組成物が次いで、好ましくは予め湿らされた処理すべき髪に適用される。
該適用は、最終的な所望の髪形に対応する形(たとえばカール等)に、髪に引張力をかける通常の工程前、工程中、または工程後に行うことが可能である。該工程は、適当な手段、特に、髪に引張力をかけるためのそれ自体知られている機械的手段、たとえばローラー類、カーラー類等によって行うことが可能である。
前記組成物を作用させるために、前記工程(i)の適用時間は、一般的には5分から60分までの間、好ましくは5分から30分までの間である。
【0044】
本発明による方法の第2工程(工程(ii))において、還元組成物が染み込んだ髪は、注意深く、一般的には水で濯ぎ洗いする。
本発明による処理方法の第3工程(工程(iii))において、ケラチンのジスルフィド結合を変形可能(定着工程)とする酸化組成物が、濯ぎ洗いされた髪に適用される。
酸化組成物は、通常使用されているタイプのものであり、酸化剤として、たとえば、過酸化水素水、アルカリブロマート、過塩、および、アルカリブロマートの混合物または過塩を含有する。
過酸化水素水の濃度は、1から10容量、好ましくは8容量であってもよく、アルカリブロマートの濃度は、酸化組成物の全重量に対して、1重量%から12重量%であり、過塩の濃度は、酸化組成物の全重量に対して、0.1重量%から15重量%である。
【0045】
酸化組成物のpHは、2から8までの間、好ましくは3から6までの間であってもよい。
過酸化水素水は、たとえば、フェナセチン、アセタニリド、リン酸モノ-およびトリナトリウム、または8-ヒドロキシキノリン=スルファートで安定化可能である。
酸化組成物はまた、塩基性化または酸性化剤、防腐剤、金属イオン封止剤、乳白剤、および任意に還元組成物用の上記カチオンポリマーを含有可能である。
処理中に所望の形に髪を保持する機械的手段(ローラー、カーラーなど)は、定着工程の前または後に、髪から除去可能である。
最後に、本発明による方法の最終工程(工程(iv))において、このように処理された髪が濯ぎ洗いされる。
【0046】
本発明の他の主題は、髪をストレートにする、または、髪からカールを除去するための方法であって、上記組成物を、5分から60分までの間、好ましくは5分から30分までの間で処理されるべき髪に適用し、手または櫛または櫛の背で髪をならし、髪を1回以上、再度ならし、次いで、全体を濯ぎ粗いし、酸化または固着組成物を適用し、約2分から10分間作用させ、次いで髪全体を濯ぎ洗いすることを特徴とする、髪のストレート処理方法である。
以下に、実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるわけではない。なお、”AM”とは、活性材料の意味である。
【0047】
【実施例】
実施例1
髪のパーマ変形処理用還元組成物を、本発明にしたがって、以下の成分を混合することによって調製する:
-チオグリコール酸 9.2g
-アルギニン 2.0g
-20%NH3含有のアンモニア水 9.3g(1.86gAM)
-Mexomer PO 1.0gAM
-炭酸アンモニウム 4.5g
-30%水溶液としてのココイルアミドプロピルベタイン/グリセリル=モノラウラート(25/5)
1.3g(0.39gAM)
-香料 0.4g
-ペプタイザー 0.8g
-金属イオン封止剤 0.4g
-脱イオン水 合計100g
pH 8.3
【0048】
該組成物を、ヘアーセットローラーに予め巻いた濡れた髪に適用する。該組成物を約15分間作用させるために放置した後、髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、次いで以下の組成物を適用する。
-過酸化水素水 8容量
pH 3
酸化組成物を、約5分間、作用させるために放置し、次いで髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、ローラーを除去する。
フード内で乾燥させた後、髪には、美しいカールが施されている。
【0049】
実施例2
髪のパーマ変形処理用還元組成物を、本発明にしたがって、以下の成分を混合することによって調製する:
-チオグリコール酸 6.2g
-トリグリコール酸アンモニウム 2.9g
-アルギニン 15.0g
-Mexomer PO 1.0gAM
-30%水溶液としてのココイルアミドプロピルベタイン/グリセリル=モノラウラート(25/5)
1.3g(0.39gAM)
-香料 0.5g
-ペプタイザー 1g
-金属イオン封止剤 0.4g
-脱イオン水 合計100g
pH 8.3
【0050】
該組成物を、ヘアーセットローラーに予め巻いた濡れた髪に適用する。該組成物を約15分間作用させるために放置した後、髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、次いで以下の組成物を適用する。
-過酸化水素水 8容量
pH 3
酸化組成物を、約5分間、作用させるために放置し、次いで髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、ローラーを除去する。
フード内で乾燥させた後、髪には、美しいカールが施されている。
【0051】
実施例3
実施例2と同様の組成物を調製し、2区画室の装置にパッケージする。
区画室A:
-チオグリコール酸 6.2g
-トリグリコール酸アンモニウム 2.9g
-金属イオン封止剤 0.4g
-脱イオン水 合計30g
区画室B:
-アルギニン 15.0g
-Mexomer PO 1.0gAM
-30%水溶液としてのココイルアミドプロピルベタイン/グリセリル=モノラウラート(25/5)
1.3g(0.39gAM)
-香料 0.5g
-ペプタイザー 1g
-脱イオン水 合計70g
【0052】
(チオール類が存在しておらず)香料をより良好に保存することによって、該タイプの製品は、顕著にその臭いを改善可能である。
該組成物の成分を混合し、該組成物を、ヘアーセットローラーに予め巻いた濡れた髪に適用する。該組成物を約15分間作用させるために放置した後、髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、次いで以下の組成物を適用する。
-過酸化水素水 8容量
pH 3
酸化組成物を、約5分間、作用させるために放置し、次いで髪を水で全体的に濯ぎ洗いし、ローラーを除去する。
フード内で乾燥させた後、髪には、美しいカールが施されている。
【0053】
実施例4
以下の4つのパーマ変形還元組成物を調製した。
還元組成物1(本発明)
-チオグリコール酸 9.2g
-金属イオン封止剤 0.4g
-アルギニン 1.0g
-Mexomer PO 1.0gAM
-水 合計100g
【0054】
還元組成物2(本発明)
-チオグリコール酸 9.2g
-金属イオン封止剤 0.4g
-アルギニン 1.0g
-Mexomer PO 2.0gAM
-水 合計100g
【0055】
還元組成物3(比較)
-チオグリコール酸 9.2g
-金属イオン封止剤 0.4g
-アルギニン 1.0g
-30%の水溶液としてのN-ヒドロキシプロピルココイルジメチルアンモニウム=コラーゲンの加水分解物
1.0gAM
-水 合計100g
【0056】
還元組成物4(比較)
-チオグリコール酸 9.2g
-金属イオン封止剤 0.4g
-アルギニン 1.0g
-30%の水溶液としての4級化ウールケラチン(MW 1350)の加水分解物
1.0gAM
-水 合計100g
【0057】
各還元組成物を、温和に感作化した4つの髪束に適用した。該組成物を約15分間作用させるために放置した後、髪束を水で全体的に濯ぎ洗いし、次いで以下の酸化組成物を適用する。
-過酸化水素水 8容量
pH 3
酸化組成物を、約5分間、作用させるために放置し、次いで髪束を水で全体的に濯ぎ洗いする。
髪束を次いで酸化染色法で処理した。
最後に、髪束を、再度、上記と同一のパーマ変形方法で処理した。
【0058】
上記のように処理された髪束を、次いで、以下のアルカリ溶解度テストした:
髪を、0.1モル/Lの濃度の水酸化ナトリウム溶液に30分間、60℃で浸した。髪の量を測定した。該測定によって、髪のダメージ度を評価可能である。髪がダメージを受ければ受けるほど、より溶解される。
結果は、溶解した髪(SA)の%として示され、4つの髪束において得られた結果の平均として、各還元組成物の結果が、以下の表に示される。
【0059】
【表1】

【0060】
上記結果は、明らかに、種々の処理、特に、パーマ変形処理が施された髪の機械的劣化を制限するために、1級、2級、または3級アミン基または4級アンモニウム基を主鎖に含有するカチオンポリマーを含有する本発明による還元組成物が、4級化蛋白質加水分解物などの、主鎖に該基を含有しないカチオンポリマーを含有する比較還元組成物よりも、より効果的であることを示している。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-21 
出願番号 特願平8-13180
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A61K)
最終処分 取消  
前審関与審査官 塚中 直子高原 慎太郎  
特許庁審判長 森田 ひとみ
特許庁審判官 横尾 俊一
竹林 則幸
登録日 1999-07-30 
登録番号 特許第2960344号(P2960344)
権利者 ロレアル
発明の名称 塩基性アミノ酸およびカチオンポリマーを含有する還元組成物  
代理人 志賀 正武  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 志賀 正武  
代理人 渡邊 隆  
代理人 成瀬 重雄  
代理人 渡邊 隆  

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