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審決分類 審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  B65B
審判 全部申し立て 2項進歩性  B65B
審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  B65B
管理番号 1105883
異議申立番号 異議2003-73097  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-06-20 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-12 
確定日 2004-09-06 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3432871号「圧縮包装装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3432871号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第3432871号発明についての出願は、平成5年12月2日に特許出願され、平成15年5月23日に特許権の設定登録がなされ、その後、北隅康彦より、全請求項(請求項の数4)に係る発明についての特許に対し特許異議の申立てがなされ、当審において取消しの理由を通知したところ、その指定期間内の平成16年7月16日に意見書とともに、訂正請求がなされた。

〔2〕訂正請求について
1 訂正請求の内容
本件訂正請求の趣旨は、特許第3432871号の明細書を訂正請求書に添付した訂正明細書のとおり訂正することを求めるものであり、訂正事項は以下のとおりである。

訂正事項a
特許請求の範囲の記載
「【請求項1】 接近又は離間することにより収縮物品を水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記物品を圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記物品を案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、
上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記物品を収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、
上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっていることを特徴とする圧縮包装装置。」を、
「【請求項1】 接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、
上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、
上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっていることを特徴とする圧縮包装装置。」
と訂正する。
訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
訂正事項c
特許請求の範囲
「【請求項3】 上記圧縮板又は上記案内板の内面がテフロン材からなることを特徴とする請求項1又は2記載の圧縮包装装置。」を
「【請求項2】 上記圧縮板又は上記案内板の内面がテフロン材からなることを特徴とする請求項1記載の圧縮包装装置。」
と訂正する。
訂正事項d
特許請求の範囲
「【請求項4】 請求項1記載の圧縮包装装置の使用方法であって、上記押子が上記物品を包装内に押出す際に、上記案内板を上記移動手段で包装袋内から脱抜させるか、又は上記押子を更に押出させて包装袋を移動させて該包装袋内から脱抜させるかにより、上記包装袋を案内板の先端部に対して相対的に移動させることを特徴とする圧縮包装装置の使用方法。」を
「【請求項3】 請求項1記載の圧縮包装装置の使用方法であって、上記押子が上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを包装内に押出す際に、上記案内板を上記移動手段で包装袋内から脱抜させるか、又は上記押子を更に押出させて包装袋を移動させて該包装袋内から脱抜させるかにより、上記包装袋を案内板の先端部に対して相対的に移動させることを特徴とする圧縮包装装置の使用方法。」
と訂正する。
訂正事項e
明細書の段落【0005】における「収縮可能な物品」の後に、「である使い捨てオムツ又は生理用ナプキン」を加入する。
訂正事項f
明細書の段落【0006】の記載を、
「【課題を解決するための手段】
本発明は、接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっていることを特徴とする圧縮包装装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。」と訂正する。
訂正事項g
明細書の段落【0007】における「上記収縮可能な物品」の後に、「である使い捨てオムツ又は生理用ナプキン(以下、単に物品と言う場合、使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを意味する)」を加入する。
訂正事項h
明細書の段落【0010】における「略T字型の」を削除する。
訂正事項i
明細書の段落【0017】における「上記実施例では、圧縮板3と案内板4を別々に設けたが、…設けることができる。更に、」を削除する。

2 訂正の適否
上記訂正について検討する。
訂正事項aは、特許請求の範囲の【請求項1】において、圧縮包装の対象である「収縮物品」なる構成を、「整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキン」なる構成に限定するものであり、この限定した構成は、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0001】、【0007】、【0009】、【0010】、【0014】、【図1】、【図2】に記載されていたものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項bは、特許請求の範囲の【請求項2】を削除するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項cは、訂正事項bの訂正による【請求項2】の削除に伴い、訂正前の【請求項3】を形式的に繰り上げるもので、さらに、訂正後の【請求項2】の「請求項1又は2」なる記載を「請求項1」なる記載に訂正するものであるから、この訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項dは、訂正事項bの訂正による【請求項2】の削除に伴い、訂正前の【請求項4】を形式的に繰り上げるもので、さらに、訂正後の【請求項3】の「上記物品」なる構成を「上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキン」に限定するもので、この限定した構成は、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0001】、【0007】、【0009】、【0010】、【0014】、【図1】、【図2】に記載されていたものであるから、この訂正は、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項e〜gは、訂正後の【請求項1】の記載と発明の詳細な説明の記載との整合性を図るもので、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項hは、「略T字型の載置パネル」なる構成を「載置パネル」なる構成に訂正して、図面との整合性を図るもので、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
訂正事項iは、訂正事項bの訂正による【請求項2】の削除に伴い、特許請求の範囲と発明の詳細な説明との整合性を図るもので、この訂正は、明りょうでない記載の釈明を目的とする訂正であり、願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてなされたものであり、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

したがって、訂正事項a〜iの訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書き及び第2項の規定に適合するので、本件訂正を認める。

〔3〕異議申立てについて
3-1 異議申立の理由の概要
異議申立人は、訂正前の請求項1乃至4に係る発明は、甲第1乃至6号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、さらに、請求項2及び発明の詳細な説明の記載に不備があるので、特許法第36条第4及び第5項の規定により特許を受けることができなものであるから、訂正前の請求項1乃至4に係る発明についての特許は取り消されるべきである旨主張している。

甲第1号証:特開平5-178314号公報
甲第2号証:米国特許第4,763,574号明細書
甲第3号証:米国特許第3,501,890号明細書
甲第4号証:特開平4-352623号公報
甲第5号証:特開昭59-124203号公報
甲第6号証:実公平3-39362号公報

3-2 本件発明
上記のとおり訂正が認められたので、本件請求項1乃至3に係る発明は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載されたとおりのものと認める(上記〔2〕の「1 訂正請求の内容」の「訂正事項a」、「訂正事項c」及び「訂正事項d」参照。)。

3-3 特許法第29条第2項違反について
(1)甲各号証の記載事項
(ア)甲第1号証(取消理由に引用した刊行物1)
甲第1号証の段落【0007】及び図面の記載によれば、甲第1号証には、「油あげのような収縮物品41を圧縮した状態で物品包装袋37内まで案内する角筒型の案内板31と、上記案内板の先端部を包装袋内に挿脱させるための環状レール29及びロッド26等、回転軌道上で前記案内板31を上下方向に連動させる移動手段と、上記案内板31の先端部が包装袋内にある位置で上記物品41を同案内板31の先端部から上記包装袋内に押し出す押子43とを備える圧縮包装装置。」という発明が記載されているものと認められる。
(イ)甲第2号証(取消理由に引用した刊行物2)
甲第2号証の第3欄第24〜50行、第4欄第24〜33行及び図面の記載によれば、甲第2号証には、「干草梱包物として示された収縮物品21をラム20で圧縮したあと、前記の圧縮した収縮物品21を別個のラム25により直角方向の一対の案内板13,18の間を通してチャンンバー14内に押し出し解放する」という技術が記載されているものと認められる。
(ウ)甲第3号証(取消理由に引用した刊行物3)
甲第3号証の第2欄第26行〜第3欄第18行、第4欄第56行〜第5欄第24行及び図面の記載によれば、甲第3号証には「籾殻として示される収縮物品31をラム18で圧縮したあと、前記の圧縮した収縮物品31を別個のラム38により、同じく直角方向の両側一対の案内板30,78を通して容器44内に収容する」という技術が記載されているものと認められる。
(エ)甲第4号証(取消理由に引用した刊行物4)
甲第4号証の段落【0001】、【0011】、【0015】、【0018】及び図面の記載によれば、甲第4号証には「接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを包装袋内に押出すアームプッシャーとを具備した圧縮包装装置。」という発明が記載されているものと認められる。
(オ)甲第5号証(取消理由に引用した刊行物5)
甲第5号証の第2頁右上欄第4行〜同頁左下欄第1行及び第1図の記載によれば、甲第5号証には「物品2を載せた受板4の縦断面形状がコ字状」という技術が記載されているものと認められる。
(カ)甲第6号証(取消理由に引用した刊行物6立人提出の甲第6号 証)
甲第6号証の第3欄第43行〜第4欄第2行、第4欄第12〜17行及び第8図の記載によれば、甲第6号証には、「載置板の上面にテフロンを施して、搬送物との摩擦を低減させる」という技術が記載されているものと認められる。
(2)対比・判断
本件請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)と甲第4号証記載の発明とを対比すると、両者は、
「接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板を具備した圧縮包装装置。」である点で一致しているが、本件発明は、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっているのに対し、甲第4号証に記載の発明は、使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを包装袋内に押出す押子として機能するアームプッシャーを具備するものの、一対の案内板、圧縮板及び案内板の移動手段を具備することについては、記載も示唆もされていない。
そして、本件発明は、「接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板」なる構成と上記相違点に挙げた構成が相俟って、甲第4号証記載の発明からは予測し難い「収縮可能な物品である使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを十分に圧縮した状態で包装し包装袋内の物品の収縮でよれや圧縮ずれ等を生じさせることがない。」という訂正明細書記載の効果を奏するものである。そして、甲第1〜3、5、6号証に記載のものは、圧縮包装の対象物品が、本件発明のような、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンとは全く異なるものであり、しかも、上記相違点に挙げた構成及び作用効果は、甲第1〜3、5、6号証記載のものには開示も示唆もされていない。
したがって、本件請求項1に係る発明は、上記相違点に挙げた構成を開示又は示唆しない甲第1〜6号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。
また、本件請求項2に係る発明、及び本件請求項3に係る発明は、請求項1を引用することにより、上記相違点に挙げた構成をその一部とするものであるから、上記相違点に挙げた構成を開示又は示唆しない甲第1〜6号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることができない。

3-4 特許法第36条第4及び第5項違反について
上記〔2〕の「1 訂正請求の内容」の「訂正事項b」、「訂正事項h」及び「訂正事項i」により特許法第36条第4及び第5項違反は解消している。

〔4〕むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明を取り消すことができない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
圧縮包装装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、
上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、
上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっていることを特徴とする圧縮包装装置。
【請求項2】 上記圧縮板又は上記案内板の内面がテフロン材からなることを特徴とする請求項1記載の圧縮包装装置。
【請求項3】 請求項1記載の圧縮包装装置の使用方法であって、上記押子が上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを包装内に押出す際に、上記案内板を上記移動手段で包装袋内から脱抜させるか、又は上記押子を更に押出させて包装袋を移動させて該包装袋内から脱抜させるかにより、上記包装袋を案内板の先端部に対して相対的に移動させることを特徴とする圧縮包装装置の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、圧縮包装装置に関するものであり、より詳細には、使い捨てオムツ、ナプキン等の収縮可能な物品を収縮させて包装する圧縮包装装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に使い捨てオムツ、生理用ナプキン等のいわゆる軟性物品(収縮可能な物品)においては、樹脂フィルム製の包装袋に、これらを一体包装(集積包装)して製品としている。この場合、通常コンパクト包装が行われ、軟性物品を圧縮後、充填プッシャー等にて包装袋の開口端から充填する。
【0003】
従来の物品の圧縮包装装置は、物品の移送路に回転盤式のホルダ機構を設け、ホルダ機構は回転盤からなり、その回転盤には、物品の移送路に合わせて物品の挿通孔が複数形成され、その回転盤の裏側に包装袋の開口端を拡開させた状態で保持する爪を備えている。そして、回転盤を回転させながら物品の充填位置に包装袋が回転により順次供給されるようになっている。
充填位置では図3に示す如く、物品1が圧縮された状態で一対の爪70、70の間に配され、後方からプッシャー71で包装袋2の開口に押し込むようになっている。
【0004】
また、この他の圧縮包装装置としては図4に示す如く、物品1の圧縮可能な方向から一対のナイフベルト75、75で物品1を挟み、そのベルト75、75間の隙間を減少させることで物品1を圧縮し、ベルト75、75を包装袋2に挿入する。そして、ベルト75を作動させながらベルト75自体を包装袋2から引き抜くことにより、物品1は収縮した状態で包装袋2内に残るものが提案されている(特開平3-85232号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図3に示す従来の圧縮包装装置では、装置的の回転盤の型替え作業が煩雑となる。また操作上、一対の爪の先端から物品の圧縮は開放されるため、挿入される包装袋2の内側との摩擦で図3に示す如く物品の両側が折れたり、中央部の物品群に比べて移動が遅れる等の問題があった。
またナイフベルトでは上記問題はないが、図4に示す如く包装品1Aとなった後、ナイフベルト75の厚さ分がボイドボリュームとなり圧縮効果が著しく低減し、またベルト75間での圧縮力を高めると、ベルト回転の負荷が大きくなりベルト寿命が短くベルトの交換等の作業量が増える問題があった。
従って、本発明の目的は、収縮可能な物品である使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを十分に圧縮した状態で包装し且つ包装袋内の物品の収縮でよれや圧縮ずれ等を生じさせることのない圧縮包装装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、接近又は離間することにより、整列された状態で供給される使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板と、上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを圧縮した状態で上記圧縮板間から物品の包装袋の開口部まで案内する一対の案内板と、上記圧縮板及び案内板を一体的に移動させ且つ上記案内板の先端部を上記包装袋内に挿脱させる圧縮板及び案内板の移動手段と、を具備すると共に、上記案内板の先端部が包装袋内にある位置で上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを案内板の先端部から上記包装袋内に押出す物品の押子とを具備してなり、上記一対の案内板は、互いに水平方向に一定距離離れて設けられており、該案内板の間は、上記圧縮板で圧縮された上記使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを収縮状態で上記包装袋の開口部に案内する案内路となっており、上記一対の案内板の下端縁同士は、水平方向に配される別の板により連結されており、該一対の案内板及び該別の板全体の縦断面形状は、コ字状となっていることを特徴とする圧縮包装装置を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0007】
【作用】
上記収縮可能な物品である使い捨てオムツ又は生理用ナプキン(以下、単に物品と言う場合、使い捨てオムツ又は生理用ナプキンを意味する)は、一対の圧縮板間に前段で整列させた状態で供給され、圧縮板の間が狭められて圧縮される。そして、物品はその圧縮により巾が収縮し、一対の案内板の先端部までの移動が可能となる。
圧縮板は物品を圧縮後、案内板と共に移動手段によって移動させられ、案内板の先端部が包装袋内に挿入される時又は挿入された時、押子が作動して物品を圧縮板間から案内板の先端部の間、即ち包装袋内の深部まで押し込む。そして、押子を静止した場合、この状態で案内板が移動手段により戻り動作を開始すると、物品が収縮した状態で包装袋内に残る。尚、押子を更に前進させた場合、包装袋は物品の移動先端部で押出されて移動し案内板の先端から徐々に離れる。
従って、案内板は薄く形成することができるため、圧縮効果を十分に発揮させることができ、また押子と案内板との相対的移動があっても包装袋に膨張状態で強制的に物品を押し込まないため、収縮物品によれや圧縮ずれが生じ難い。
【0008】
【実施例】
以下、本発明に係る圧縮包装装置の実施例を添付図面に従って説明する。
図1(A)及び(B)は、本実施例の圧縮包装装置の要部斜視図である。図2は、図1(B)の圧縮包装装置の案内板の先端部の包装袋内での断面図である。
【0009】
図1及び図2に示す如く、本実施例の圧縮包装装置10は、接近又は離間することにより収縮可能な生理用品等の整列物品1を水平方向に圧縮可能に保持する一対の圧縮板3、3と、その物品1を圧縮した状態で圧縮板3、3間から物品1の包装袋2の開口部2Aまで案内する一対の案内板4、4と、圧縮板3及び案内板4を一体的に移動させ且つその案内板4の先端部4Aをその包装袋2内に挿脱させる圧縮板3及び案内板4の往復移動用にレール5、5上を移動する移動台6とを具備すると共に、その案内板4の先端部4Aが包装袋2内にある位置で物品1を案内板4、4の先端部4A、4Aから包装袋2内に押出す物品のプッシャー8とを具備してなる。
【0010】
本実施例の圧縮包装装置10を更に説明すると、図1及び図2に示す如く、包装される生理用ナプキン等の物品1は圧縮包装装置10の前段で、その搬送方向に対して直角方向で整列されこの方向より圧縮可能な状態で供給される。物品1はレール5、5を移動する移動台6に取り付けられた載置パネル7に供給される。かかる供給方法は上部からの昇降板に依るか、バー式コンベアを用いることによりできる。
【0011】
載置パネル7上には互いに所定の距離離れた一対の圧縮板3、3が立設して配され、圧縮板3、3は図示しない駆動手段によって互いに接近或いは離間して物品1を圧縮することができるようになっている。駆動手段は強力な推力が要求されるため、油圧シリンダやサーボモータであることが望ましい。特にサーボモータを用いた場合は1本のボールネジに左右のネジを切り、同一の回転で圧縮、開放動作ができるようにして、駆動源を1つのモータですることができる。またサーボモータの制御数値を任意に設定することで型替え作業の効率がアップする等の利点がある。
更に、圧縮板3、3は移動台6のレール5、5上での移動と共に移動するように取り付けられている。
【0012】
載置パネル7上には互いに水平方向に一定の距離離れた一対の案内板4、4が立設して取付られている。案内板4、4の間は圧縮板3、3で圧縮された物品1を収縮状態で後段の包装袋2の開口2Aに案内する案内路となっている。また、図1(A)に示すように、上記一対の案内板4、4の下端縁同士は、水平方向に配される別の板9により連結されており、該一対の案内板4、4及び該別の板9全体の縦断面形状は、コ字状となっている。
案内板4は滑面のテフロン材を物品1が接触する面に貼付したものからなる。また本発明では案内板4の厚みは6〜12mmの範囲にあることが望ましく、厚みが上記範囲を下回ると、案内板4がフレキシブルに変形して物品1を十分に圧縮保持できなくなるおそれがあり、上記範囲を上回ると物品1の圧縮効果が低減されて十分な圧縮包装ができなくなる。
【0013】
案内板4は移動台6、圧縮板3、及び載置パネル7と一体となってレール5の敷設方向(物品の案内方向又は図1(A)の矢印A)に移動し、案内板4の先端部4Aは包装袋2の開口4Aから深部まで挿入できるようになっている。
また圧縮板3、3間、及び案内板4、4間の上方にはプッシャー8が設けられ、プッシャー8は物品1の移動路まで下動して物品1を圧縮板3、3間から少なくとも案内板4、4間の先端部4A、4Aまで押出すことが可能となっている。
【0014】
このように構成された圧縮包装装置10では、図1(A)及び(B)に示す如く前段で整列させた状態で収縮可能な物品1が載置パネル7に供給され、圧縮板3、3の間が狭められて圧縮される。そして、物品1はその圧縮により巾が収縮し、一対の案内板4、4の先端部4A、4Aまでの移動が可能となる。
圧縮後、移動台6がレール5、5上を図1(A)の矢印Aの方向に移動し、圧縮板3、案内板4及び載置パネル7が一体的に移動する。これにより、図1(B)及び図2に示す如く案内板4の先端部4Aが包装袋2の開口2Aから深部まで挿入される。
【0015】
次にプッシャー8が移動台6によって既に通った物品1の搬送路上に下動し、物品1の背後を押圧し、物品1を圧縮板3、3の間から案内板4、4の先端部4A、4Aの間まで押出す。そして、プッシャー8が静止し、この状態で移動台6が図1(B)に示す如く矢印Bの方向に戻り、案内板4の先端部4Aを包装袋2から脱抜する。これにより、物品1が整列した状態で、且つ収縮した状態で包装袋2内に残る。
【0016】
この場合、案内板4は薄く形成してあるため、圧縮板3、3での圧縮効果を十分に発揮させることができ、またプッシャー8の移動があっても包装袋に膨張状態で強制的に物品を押し込まないため、収縮物品1によれや圧縮ずれが生じ難い。
また移動台6の後退操作により、元の状態が維持され、順次物品1を載置パネル7に供給することにより、高速化を図ることができる。従って、従来よりも低価格で製品の圧縮効果を無駄にすることなく型替え作業の簡単な圧縮包装装置10を構築することが可能となる。
【0017】
上記実施例では、プッシャー8を案内板4の先端部4Aで静止したが、更に前進させても良い。この場合、包装袋2が物品1の移動先端部により押されプッシャー8と共に移動し案内板4の先端から徐々に離れ、収縮物品1を封するシール場所まで搬送し、ライン自体の簡素化を図ることができる。
また、物品1が接触する面にテフロン材を貼付したものを圧縮板3に使用しても良い。
【0018】
【発明の効果】
本発明に係る圧縮包装装置によれば、収縮可能な物品を十分に圧縮した状態で包装し且つ包装袋内の物品の収縮でよれや圧縮ずれ等を生じさせることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】
(A)及び(B)は、本実施例の圧縮包装装置の要部斜視図である。
【図2】
図1(B)の圧縮包装装置の案内板の先端部の包装袋内での断面図である。
【図3】
従来の装置における包装袋の開口付近の断面図である。
【図4】
従来の装置における包装袋の開口付近の断面図である。
【符号の説明】
1 整列物品
2 包装袋
2A 包装袋の開口
3 圧縮板
4 案内板
4A 案内板の先端部
5 レール
6 移動台
7 物品の載置パネル
8 物品のプッシャー
9 別の板
10 圧縮包装装置
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-18 
出願番号 特願平5-302979
審決分類 P 1 651・ 121- YA (B65B)
P 1 651・ 534- YA (B65B)
P 1 651・ 531- YA (B65B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 神山 茂樹  
特許庁審判長 鈴木 公子
特許庁審判官 市野 要助
溝渕 良一
登録日 2003-05-23 
登録番号 特許第3432871号(P3432871)
権利者 花王株式会社
発明の名称 圧縮包装装置  
代理人 羽鳥 修  
代理人 羽鳥 修  

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