• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明  H01R
審判 一部申し立て 2項進歩性  H01R
管理番号 1105908
異議申立番号 異議2003-70763  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-01-10 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-24 
確定日 2004-09-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3326507号「コネクタ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3326507号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 (1)手続の経緯

特許第3326507号に係る発明についての出願は、平成5年6月15日に出願され、平成14年7月12日にその発明について特許の設定登録がなされ、その後、その特許について、異議申立人 豊島 雅悠により特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年7月23日に訂正請求がなされたものである。

(2)訂正の適否についての判断

ア.訂正の内容

特許権者が求めている訂正の内容は、以下のとおりである。

(a)特許請求の範囲の請求項1の
「前記伝送ブロックは所定のパターンで形成された伝送路パターンを有し」を
「前記伝送ブロックは所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された伝送路パターンを有し」と訂正する。
(b)明細書段落【0007】の
「前記伝送ブロックは所定のパターンで形成された伝送路パターンを有し」を
「前記伝送ブロックは所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された伝送路パターンを有し」と訂正する。

イ.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び拡張・変更の存否
上記訂正事項(a)は、請求項1の「伝送路パターン」に形成される「所定のパターン」について、その設けられる箇所及び出来上がったパターンの態様が「面」であることを限定し、かつ、明りょう化したものであり、かつ、特許明細書の段落【0016】「この伝送路パターン34は、銅箔エッチング、導電インクの塗布、メッキなどの手段によって形成されるものであり、必要に応じて伝送路ブロック33の両面あるいは片面に伝送路パターン34が形成される。伝送路ブロック33の一方の面にのみ伝送路パターン34を形成する場合には、他方の面にはグランド広いパターンを形成するとよい。例えば、略全面にグランドパターンを形成すればマイクロストリップラインとすることができる。」に記載された事項の範囲内であることから、特許請求の範囲の記載を明りょう化することで減縮を目的としたものであり、願書に添付した明細書または図面に記載された事項の範囲内の訂正である。
上記訂正事項(b)は、上記特許請求の範囲の訂正に伴い、これと整合性を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記いずれの訂正事項も、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

ウ.独立特許要件
本件請求項1についての訂正により、異議申立のされていない請求項2及び3は請求項1を引用する形式のため、実質的に特許請求の範囲が減縮されたものになっているところ、これらの請求項に係る訂正後の独立特許要件の有無につき検討する。
(訂正明細書の請求項2及び3に係る発明)
訂正明細書の請求項2及び3に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項2及び3に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項2】 請求項1に記載されたコネクタにおいて、前記伝送路ブロックは板状であり、前記伝送路パターンが前記伝送路ブロックの一方の面に形成されており、前記伝送路ブロックの他方の面にはグランドパターンが形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】 請求項1又は2に記載されたコネクタにおいて、前記伝送路パターンにはフィルタ素子が含まれていることを特徴とするコネクタ。」(以下、それぞれ「本件訂正発明2」、「本件訂正発明3」という。)

(判断)
本件訂正発明2,3が共に引用する本件訂正された請求項1に係る発明の構成が、下記(3)に示すように当業者が容易に発明できたとすることができない以上、本件訂正発明2,3についても同様に当業者が容易に発明できたとすることはできない。

したがって、本件訂正発明2,3は、特許出願の際独立して特許を受けることができるものである。
エ.むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項で準用する第126条第2〜4項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

(3)特許異議の申立てについて
ア.本件発明
本件請求項1に係る発明は、平成16年7月23日付けで提出された訂正請求書に添付された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。

「【請求項1】 互いに嵌合接続されるコネクタプラグとコネクタレセプタクルとを備え、前記コネクタプラグは、ハウジングと、前記ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列された伝送路ブロックとを含み、前記伝送ブロックは所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された伝送路パターンを有し前記ハウジングに嵌入することにより位置決め固定されており、前記コネクタレセプタクルには前記伝送路ブロックに係合して前記伝送路パターンの一部と電気的に接続するソケットコンタクトが設けられていることを特徴とするコネクタ。」(以下、「本件訂正発明」という。)

イ.申立ての理由の概要
申立人は、証拠として甲第1号証及び甲第2号証を提出し、本件訂正発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消されべきものである旨主張している。

ウ.引用刊行物に記載の発明
本件訂正発明に対し、異議申立人が証拠として提示した甲第1号証(米国特許第5171161号明細書)には、(電気)コネクタ(組み立て体)に関するものであって、その第4欄第40〜44行、第7欄第58〜67行、第8欄第11〜17行、及び第10欄第15〜20行には各々
・「本発明は、番号20(図1参照)で総括して示される第1コネクタ組立体と、番号22(図2参照)で総括して示される第2コネクタ組立体とを備える電気コネクタシステムで実施される。」、
・「直角リセプタクルすなわちヘッダコネクタ組立体22(図2参照)に目を向けると、そのコネクタ組立体は、プラスチック材料等製の一体成形された、番号90で総括して示される絶縁ハウジング(図11参照)を備える。番号92で総括して示される一体の導電性シールドは、金属板材料を打抜き及びフォーミングした一部品で製造される(図1参照)。複数のほぼ平坦な端子モジュール94は、ハウジング90のモジュール受容キャビティ96内にネスト(;「ぴったり収める」の意。)配置される。モジュールは、垂直で横並びの関係にある。」、
・「図8は、ヘッダコネクタアセンブリ22の端子を、帯状形態の金属板材料の、Bで示される打抜きされたブランクからいかに大量生産するかを示している。5個の端子102グループがブランクから直角の形態で打抜きされ、端子の両直角端にピン部分100及びテール部分98が画定される。」、
・「このように、図8及び図9についてモジュール94を形成する説明から明らかなように、端子ピン部分100の滑らかな金属板面が雌端子36の顎部150の滑らかな顎部面に係合する。」
が記載(注:抄訳については異議申立書の記載から転載)され、第1図及び第2図の形状から見て、第2コネクタアセンブリ22と第1コネクタアセンブリ20とは互いにピン100とソケット34とが嵌合接続されるものと見て取れるので、甲第1号証に記載の発明は
「互いに嵌合接続される第2コネクタアセンブリ22と第1コネクタアセンブリ20とを備え、
前記第2コネクタアセンブリ22は、絶縁ハウジング90と、複数のほぼ平坦な端子モジュール94とを含み、
前記端子モジュール94は前記絶縁ハウジング90に垂直で横並びにネスト配列されることでピン部分100の植設によるパターンを有し、前記絶縁ハウジング90のモジュール受容キャビティ96内に収納(=ネスト)配置され、
前記第1コネクタアセンブリ20には前記端子モジュール94を形成する各々の前記端子ピン部分100と係合する雌端子36が設けられている
電気コネクタ組立体。」(以下、「引用発明1」という。)と認める。
同じく異議申立人が提示した甲第2号証(特開平2-273475号公報)には、プリント基板カードエッジコネクタ装置に関するものが記載され、特に第2頁左上欄第10〜17行、第1頁右下欄第20行〜第2頁左上欄第3行、及び第1頁右下欄第16〜17行には各々
・「第4図〜第6図に示すコネクタ基板内蔵金属ケースのコネクタ部5を第7図に示す受け側のコネクタ10の長孔11に挿入することにより、プリント基板4のコネクタ用パターン8と受け側の端子12とが接触して電源供給が行われるとともに、プリント基板4上に構成された電子回路が作動し、コネクタ用パターン8、端子12を介して信号の入出力が行われる。」、
・「8はプリント基板4のコネクタ部5に形成されたコネクタ用パターンであり、このコネクタ用パターン8は複数個平行に形成されている。」、
・「上記プリント基板4はネジ6により金属ケース1の取付部7に固定されている。」
が記載されている。

エ.対比・判断
本件訂正発明と上記引用発明1とを対比すると、その機能・構成から見て引用発明1の「第2コネクタアセンブリ22」は、本件訂正発明の「コネクタプラグ」に相当し、以下、順に、「第1コネクタアセンブリ20」は「コネクタレセプタクル」に、「絶縁ハウジング90」は「ハウジング」に、「前記第1コネクタアセンブリ20には前記端子モジュール94を形成する各々の端子ピン部分100と係合する雌端子36が設けられている」は「前記コネクタレセプタクルには前記伝送路ブロックに係合して前記伝送路パターンの一部と電気的に接続するソケットコンタクトが設けられている」に、「電気コネクタ組立体」は「コネクタ」に相当する。
また、引用発明1の「複数のほぼ平坦な端子モジュール94」は「前記絶縁ハウジング90に垂直で横並びにネスト配列される」ことから本件訂正発明の「ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列された伝送路ブロック」に当たるものと解される。
さらに、引用発明1において、「前記端子モジュール」が「パターンを有」することは、本件訂正発明において、「前記伝送ブロック」が「伝送路パターンを有」することに、「ハウジング90のモジュール受容キャビティ96内に収納配置され」ることは「前記ハウジングに嵌入することにより位置決め固定されており」にそれぞれつながることが明らかである。
したがって両者は、
「互いに嵌合接続されるコネクタプラグとコネクタレセプタクルとを備え、前記コネクタプラグは、ハウジングと、前記ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列された伝送路ブロックとを含み、前記伝送ブロックは伝送路パターンを有し前記ハウジングに嵌入することにより位置決め固定されており、前記コネクタレセプタクルには前記伝送路ブロックに係合して前記伝送路パターンの一部と電気的に接続するソケットコンタクトが設けられているコネクタ。」の点で一致し、以下の点で相違する。
(イ)相違点
「伝送路パターン」に関し、本件訂正発明は、「所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された」ものとし、これを「ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列」することで構成しているのに対して、引用発明1のものは、「前記絶縁ハウジング90に垂直で横並びにネスト配列されることでピン部分100の植設によ」り「パターンを有」するよう構成している点。

上記相違点について検討する。
前記本件訂正発明の、「所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された」ものとし、これを「ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列」することで構成していることは、「伝送ブロック」が面を有する板状のものであって、その面状に設けられるパターンは必然的に平面パターンとなることを技術上意味している。
これに対して引用発明1の「パターン」は、複数のピンを整列させただけのものでしかなく、点の集合から成るものであり、形成されるパターンは平面パターンとは言えないことが明らかである。
そして、異議申立人が提示した甲第2号証には、前述のとおり基板上にパターンが形成された部分をそのままコネクタ端子として利用可能とした技術が記載されているものの、甲第2号証全体から見て、用いる基板は1枚でありかつパターン以外の電子部品が基板上に搭載されている構成である以上、電子部品が基本的に付属していない汎用コネクタの部品として転用すること自体に着想の困難性があると言わざるを得ない。

オ.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
コネクタ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 互いに嵌合接続されるコネクタプラグとコネクタレセプタクルとを備え、前記コネクタプラグは、ハウジングと、前記ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列された伝送路ブロックとを含み、前記伝送ブロックは所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された伝送路パターンを有し前記ハウジングに嵌入することにより位置決め固定されており、前記コネクタレセプタクルには前記伝送路ブロックに係合して前記伝送路パターンの一部と電気的に接続するソケットコンタクトが設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】 請求項1に記載されたコネクタにおいて、前記伝送路ブロックは板状であり、前記伝送路パターンが前記伝送路ブロックの一方の面に形成されており、前記伝送路ブロックの他方の面にはグランドパターンが形成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】 請求項1又は2に記載されたコネクタにおいて、前記伝送路パターンにはフィルタ素子が含まれていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はコネクタに関し、特に伝送路パターンを有する伝送路ブロックをハウジング内に格納するコネクタプラグとこのコネクタプラグに嵌合接続するコネクタレセプタクルからなるコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
まず図7を参照して、従来のコネクタについて概説する。
【0003】
この種のコネクタは一般に相互に嵌合接続するコネクタレセプタクル80とコネクタプラグ90とを備えており、コネクタレセプタクル80にはハウジング81内にソケットコンタクト83が圧入保持されている。また、コネクタプラグ90にはソケットコンタクト83に嵌合するピンコンタクト93が備えられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のコネクタでは、例えばノイズ対策のためのフィルタ素子をコネクタ自体に取付けることは構造的に不可能である。加えて、この種のコネクタでは高速信号を伝送する際には、インピーダンス整合及びクロストーク対策のために、信号ピンとグランドピンを所定の配列にすることが行われる。しかしながら、従来のコネクタではコンタクトがハウジングに固定されているため、インピーダンス整合及びクロストーク対策を実現できる特性範囲がおのずから制限されてしまう。つまり、特性インピーダンス整合及びクロストーク低減対策を有効に実現することが困難となって高速信号の伝送を実質上行うことができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は特性インピーダンス整合及びクロストーク低減対策を有効に実現することができるコネクタを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的はノイズ対策を有効に実現することのできるコネクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、互いに嵌合接続されるコネクタプラグとコネクタレセプタクルとを備え、前記コネクタプラグは、ハウジングと、前記ハウジングに予め定められた間隔をおいて配列された伝送路ブロックとを含み、前記伝送ブロックは所定のパターンが伝送ブロックの少なくとも一方の面に形成された伝送路パターンを有し前記ハウジングに嵌入することにより位置決め固定されており、前記コネクタレセプタクルには前記伝送路ブロックに係合して前記伝送路パターンの一部と電気的に接続するソケットコンタクトが設けられていることを特徴とするコネクタが得られる。
【0008】
【作用】
本発明によれば、コネクタプラグのハウジング内に伝送ブロックを格納し、この伝送ブロックに伝送路パターン(例えば、ストリップライン)を形成するようにしたから、コネクタの構造が複雑にならず、しかも特性インピーダンス整合及びクロストーク低減対策及びノイズ対策を有効に実現することができる。
【0009】
【実施例】
以下本発明について実施例によって説明する。
【0010】
図1は本発明のコネクタを示した一部破断斜視図であり、図示のコネクタはコネクタレセプタクル1とコネクタプラグ3を備えている。
【0011】
コネクタレセプタクル1はハウジング10を備えており、ハウジング10内にはバネ性を有するソケットコンタクト13が圧入保持されている。ハウジング10はコネクタプラグ3との接続側において櫛歯状に形成されており、櫛歯間には後述するコネクタプラグ3の伝送路ブロック33が嵌入する。
【0012】
図示の実施例ではソケットコンタクト13は、上下方向に所定の間隔をおいて4段に配列されるとともにコネクタレセプタクル1の幅方向に予め定められた間隔をおいて所定数列設されている。なお、ソケットコンタクト13の段数及び幅方向の数は図示の実施例に限定されるものではない。
【0013】
図2に示すように、コネクタプラグ3はハウジング30を有しており、ハウジングにはコネクタレセプタクル1との接続側において開口部が形成されている。そして、この開口側と反対側には奥壁部31が形成されている。この奥壁部31には、幅方向に予め定められた間隔をおいて上下方向に延在するスロット32が穿設されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、奥壁部31の背面側からスロット32に伝送路パターン34を有する伝送路ブロック33が立設状態で挿嵌保持される。ハウジング30の上下壁面部の内側には溝30aが形成されており、伝送路ブロック33にはその上下側面部に突起部33aが形成されている。スロット32に伝送路ブロック33を嵌入することによって突起部33aが溝30aに嵌合し、これによって伝送路ブロック33のハウジング30内での位置決め及び固定が行われる。なお、図中35は伝送路パターン34に接続する基板取付け用ピンである。
【0015】
伝送路ブロック33の材質としては種々のものがあり、例えば、ガラスエポキシ、セラミック、及びプラスチック等の絶縁材料から構成されたものであればよい。そして、伝送路ブロック33の材質は必要強度及び誘電率等によって適宜選択される。
【0016】
ここで図3に伝送路ブロック33の構造の一例を示す。各伝送路パターン34の途中の所定位置にはノイズ対策用フィルタとしてのインダクタなどの素子4が設けられている。この伝送路パターン34は、銅箔エッチング、導電インクの塗布、メッキなどの手段によって形成されるものであり、必要に応じて伝送路ブロック33の両面あるいは片面に伝送路パターン34が形成される。伝送路ブロック33の一方の面にのみ伝送路パターン34を形成する場合には、他方の面にはグランドパターンを形成するとよい。例えば、略全面にグランドパターンを形成すればマイクロストリップラインとすることができる。
【0017】
この時、伝送路パターン34の幅寸法及び伝送ブロック33の材質によって特性インピーダンスとして任意の値が得られる。つまり、伝送路パターン34の幅及び伝送路ブロック33材質等を適宜選択設計することによって反射及びクロストークを抑えることが可能となる。その結果、高速伝送に適したコネクタを得ることができる。
【0018】
図1乃至図3では基板取付け用ピン35をハウジング30の下面側に突出した例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、基板取付け用ピン35をハウジング30の背面側に突出させるようにしてもよい。この場合には、例えば、図4のような構造の伝送路ブロックを用いる。
【0019】
次に、このように構成したコネクタレセプタクル1とコネクタプラグ3の嵌合接続状態について説明する。
【0020】
図5は、図1に太線矢印方向に相互に接続されたコネクタレセプタクル1とコネクタプラグ3を示す平面断面図であり、図6はその側面断面図である。コネクタレセプタクル1はコネクタプラグ3の開口部に進入した状態でコネクタプラグ3の伝送ブロック33がコネクタレセプタクル1の櫛歯間に入り込んでおり、一対のソケットコンタクト13によって伝送パターン34が設けられた形成された位置において伝送ブロック33が挟持される。この結果、ソケットコンタクト13と基板取付け用ピン35が導通接続状態となる。
【0021】
【発明の効果】
以上説明したように本発明では、伝送路ブロックの一方の面に信号用の伝送路パターンを形成し、他方の面にグランドパターンを施すことが可能となり、しかも伝送路パターンの幅寸法及び伝送路ブロックの材質等を適宜設計・選択することによって特性インピーダンスを所望の値に設定できる。この結果、反射及びクロストークを抑え高速信号の伝送が可能となる。
【0022】
さらに、本発明では、伝送路パターンの途中にフィルタ素子を設けるようにしたので、フィルタ素子の形成が容易行え、ノイズ対策を有効に実現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明によるコネクタの一実施例を一部破断して示す斜視図である。
【図2】
図1に示すコネクタプラグを背面側から一部破断して示す斜視図である。
【図3】
本発明によるコネクタに用いられる伝送路ブロックの一例を示す側面図である。
【図4】
本発明によるコネクタに用いられる伝送路ブロックの他の例を示す平面図である。
【図5】
図1に示すコネクタの接続状態を説明するための平面断面図である。
【図6】
図1に示すコネクタの接続状態を説明するための側面断面図である。
【図7】
従来のコネクタを一部破断して示す側面図である。
【符号の説明】
1 コネクタレセプタクル
3 コネクタプラグ
4 インダクタ等の素子
10 ハウジング
13 ソケットコンタクト
30 ハウジング
33 伝送路ブロック
34 伝送路パターン
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-08-17 
出願番号 特願平5-143212
審決分類 P 1 652・ 853- YA (H01R)
P 1 652・ 121- YA (H01R)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松縄 正登  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 岡田 孝博
西村 泰英
登録日 2002-07-12 
登録番号 特許第3326507号(P3326507)
権利者 日本航空電子工業株式会社
発明の名称 コネクタ  
代理人 山本 格介  
代理人 後藤 洋介  
代理人 後藤 洋介  
代理人 山本 格介  
代理人 池田 憲保  
代理人 池田 憲保  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ