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審決分類 審判 一部申し立て 特29条の2  F24C
管理番号 1105926
異議申立番号 異議2003-73146  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-01-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-22 
確定日 2004-08-04 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3418389号「アルミパネル設置具」の請求項2ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3418389号の請求項2ないし4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3418389号に係る発明についての出願は、平成14年1月15日(国内優先権主張平成13年5月7日)の出願であって、平成15年4月11日にその発明について特許権の設定登録がなされ、平成15年6月23日に特許掲載公報が発行され、平成15年12月22日に東洋アルミホイルプロダクツ株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成16年4月16日に取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年5月28日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否

(1)訂正の内容
訂正事項a
特許請求の範囲の請求項2中の「姿勢変更用小突出子19が」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子19が」と訂正する。
訂正事項b
特許請求の範囲の請求項2中の「小突出子12と」を「三角錐状の小突出子12と」と訂正する。
訂正事項c
特許請求の範囲の請求項2中の「小突出子12と、からなる」を「小突出子12と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成された」と訂正する。訂正事項d
特許請求の範囲の請求項3中の「姿勢変更用小突出子20を」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子20を」と訂正する。
訂正事項e
特許請求の範囲の請求項3中の「小突出子15と」を「三角錐状の小突出子15と」と訂正する。
訂正事項f
特許請求の範囲の請求項3中の「小突出子15と、からなる」を「小突出子15と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成された」と訂正する。訂正事項g
特許請求の範囲の請求項4中の「姿勢変更用小突出子19が」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子19が」と訂正する。
訂正事項h
特許請求の範囲の請求項4中の「枢結ピン14と、からなる」を「枢結ピン14と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成された」と訂正する。訂正事項i
特許明細書の段落【0006】中の「姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設」と訂正し、同「係止孔に嵌合する小突出子」を「係止孔に嵌合する三角錐状の小突出子」と訂正し、同「からなる。」を「からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。」と訂正する。
訂正事項j
特許明細書の段落【0007】中の「姿勢変更用小突出子を突設し」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子を突設し」と訂正し、同「係止孔に嵌合する小突出子」を「係止孔に嵌合する三角錐状の小突出子」と訂正し、同「からなる。」を「からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。」と訂正する。
訂正事項k
特許明細書の段落【0008】中の「姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設」を「三角錐状の姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設」と訂正し、同「からなる。」を「からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
訂正事項aは図9の記載に、訂正事項dは図11の記載に、そして、訂正事項gは図12の記載にそれぞれ基づいて、姿勢変更用小突出子の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項bは図9の記載に、そして、訂正事項eは図11の記載に基づいて、小突出子の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項c、訂正事項f、訂正事項hは、それぞれ、図9、図11、図12の記載に基づいて、両側壁部の構成を限定するものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項i〜kは、特許請求の範囲の訂正に係る訂正事項a〜hに伴って、発明の詳細な説明の整合を図るものであって、明りょうでない記載の釈明を目的とするものである。
そして、上記訂正事項a〜kは、いずれも新規事項を追加せず、しかも、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断

(1)本件発明
上記のとおり、訂正請求は認められたので、本件特許の請求項2〜4に係る発明は、訂正明細書の請求項2〜4に記載された次の事項により特定されるものである(以下、「本件発明2」〜「本件発明4」という。)。
「【請求項2】磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、上記第1側壁部9には、三角錐状の姿勢変更用小突出子19が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部2には、上記姿勢変更用小突出子19を上記ヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔18が貫設されており、上記枢結手段Jが、上記ヨーク部2に貫設された係止孔8と、上記保持部3に突設されて上記係止孔8に嵌合する三角錐状の小突出子12と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。
【請求項3】磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、上記ヨーク部2に三角錐状の姿勢変更用小突出子20を突設し、上記保持部3に姿勢変更用係止孔21を貫設し、上記枢結手段Jが、上記保持部3に貫設された係止孔13と、上記ヨーク部2に突設されて上記係止孔13に嵌合する三角錐状の小突出子15と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。
【請求項4】磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、上記第1側壁部9には、三角錐状の姿勢変更用小突出子19が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部2には、上記姿勢変更用小突出子19を上記ヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔18が貫設されており、上記枢結手段Jが、上記ヨーク部2に貫設された係止孔8と、上記保持部3に貫設された係止孔13と、上記ヨーク部2の係止孔8と上記保持部3の上記係止孔13とに挿通する枢結ピン14と、からなり、上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。」

(2)先願明細書
当審で取消の理由に引用した、本件出願日前の他の出願である特願2001-312120号(特開2002-257357号)の願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「先願明細書」という。)には、以下の記載がある。
イ.「【請求項1】シート状のパネルをコンロに取付けるためのコンロ用パネル取付具であって、前記パネルの端部に挟み込むように係合される係合部材と、前記コンロへの取付面の位置が前記パネルの面に対して角度を変えて変化するように、前記係合部材に移動自在に接続される固定部材とを備えた、コンロ用パネル取付具。【請求項8】係合部材は、第1平面部と、これに対向する第2平面部と、これらを連結する連結部とからなる断面コの字状を有し、前記固定部材は、前記第2平面部の両側において接続部を介して回動自在に接続され、且つ前記第2平面部の側に位置して前記コンロに着脱自在に固定される、請求項1記載のコンロ用パネル取付具。」(特許請求の範囲【請求項1】、【請求項8】)
ロ.「【発明が解決しようとする課題】上記のような従来のテーブルコンロ用パネル取付具は、油除けパネルの面に対してマグネットホルダの取付側はそれに直交する方向に固定されているため、テーブルコンロの側面に取付けねばならない。このため、テーブルコンロと周囲の壁面との間のスペースが小さい場合には取付けにくくなる。又、係合片は金属シートに固定されているため、テーブルコンロの使用状況に応じて例えば油除けパネルを若干傾けたりして使用することができないため、使い勝手が良いとは言えない。この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、テーブルコンロ等に対する取付範囲を拡大するとともに油除けパネルの取付方向を調整することが容易にできるコンロ用パネル取付具を提供することを目的とする。」(段落【0006】〜【0008】)
ハ.「図11はこの発明の第2の実施の形態によるパネル取付具の外観形状を示した斜視図である。図を参照して、パネル取付具15は、油除けパネルを取付けるための係合部材24と、係合部材24に対して脱着自在に取付けられ、テーブルコンロに固定される固定部材29とから構成されている。係合部材24はバネ板等の1枚の矩形形状の金属シートを加工することによって形成されている。・・・(中略)・・・。第1平面部25はその下部が連結部27となって第2平面部26に対して連結され、その下方部分が張り出し部51となり、更にその上方端の部分が第2平面部26に対して外方に傾斜するように曲げ加工されている。・・・(中略)・・・。一方、第2平面部26の両側縁は第1平面部25側に対して反対方向に折り曲げられ、折り曲げ片47a,折り曲げ片47bが形成されている。折り曲げ片47a,折り曲げ片47bには、各々内方側に突出する第1突出部48及び第2突出部49が形成されている。第1平面部25の面と第2平面部26の面とは所定間隔を有しており、これは後述するように係合部材24が係合する油除けパネルの断面厚さに対応したものである。一方、固定部材29は円盤形状の磁石32と、磁石32を格納する磁石ホルダ30と、係合部材24に対して回動自在に接続する接続部31とから構成されている。尚、接続部31には図示しない開口が形成され、折り曲げ片47に形成されている第1突出部48と回動自在に係合している。又、磁石ホルダ30の両側壁には一対の開口50が形成されており、これらは固定部材29が二点鎖線の位置に移動した際、折り曲げ片47の各々に形成されている第2突出部49に係合し、その状態が保持されるように機能する。」(段落【0079】〜【0084】)
ニ.「このように第2の実施の形態によるパネル取付具にあっては、固定部材29たる磁石ホルダ30が係合部材24に対して回動自在に接続されている。そのため、テーブルコンロ18の上面及び側面のいずれの面に対しても、容易に且つ確実にパネル取付具15を取付けることが可能となり、使い勝手が向上する。尚、固定部材29は、上述のように接続部31において係合部材24に対して回動自在に接続されている。その接続態様は図16で示した断面構造と同一である。従って、固定部材29は係合部材24に対して脱着自在となるため、各々の部材を別途制作し、これを組み立てればよいので効率的な製造が可能になる。尚、上記の第2の実施の形態では、係合部材に設けた突出部と固定部材に設けた開口とによって回動構造を構成しているが、これに代えた回動構造を採用しても良い事は言うまでもない。」(段落【0092】、【0093】)
そして、図11及び図12からみて、第1平面部の上部は、第2平面部の上部と反する向きに傾斜状に形成され、両平面部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるような構成が把握できる。
以上の記載及び図面の記載によると、先願明細書には、次の発明が記載されている。
磁石と、該磁石が格納された固定部材(磁石ホルダ)と、パネルの端部を挟み込むように係合する第2平面部に第1平面部が連結されている金属シートにて形成された係合部材と、上記固定部材と上記係合部材とを、コンロへの取付面の位置がパネルの面に対して角度を変えて変化するように、接続部を介して相互に回動自在に接続され、上記第2平面部には第2突出部が内方側に突出して形成され、上記固定部材には、上記第2突出部に脱着自在に係合する開口が形成され、上記接続部が、上記固定部材に形成された開口と、上記第2平面部に形成された第1突出部と、からなり、上記第1平面部の上部は、上記第2平面部の上部と反する向きに傾斜状に形成され、両平面部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成されたコンロ用パネル取付具(以下、「先願発明」という。)。

(3)対比・判断

[本件発明2について]
本件発明2と先願発明とを対比すると、先願発明の「格納」は本件発明2の「固着」に、以下同様に、「固定部材(磁石ホルダ)」は「ヨーク部」に、「端部」は「下端」に、「挟み込むように係合」は「挟持状に支持」に、「第2平面部」は「第1側壁部」に、「第1平面部」は「第2側壁部」に、「連結」は「連設」に、「金属シート」は「板材」に、「係合部材」は「保持部」に、「回動自在」は「揺動可能」に、「コンロへの取付面の位置がパネルの面に対して角度を変えて変化するように」は「折畳・展開切り換え自在とする」に、「脱着自在に係合」は「離脱可能に係止」に、「接続部」は「枢結手段」に、「第2突出部」は「姿勢変更用小突出子」に、「内方側」は「左右内側方向」に、「突出して形成」は「突設」に、「開口」は「貫設された係止孔」に、「第1突出部」は「小突出子」に、「パネル設置具」は「パネル取付具」に、それぞれ相当している。
したがって、両者は、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、パネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え、上記第1側壁部には、姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部には、上記姿勢変更用小突出子を上記ヨーク部の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔が貫設されており、上記枢結手段が、上記ヨーク部に貫設された係止孔と、上記保持部3に突設されて上記係止孔8に嵌合する小突出子と、からなることを特徴とするパネル設置具の点で一致し、次のイ〜ハの点で一応相違する。
イ.本件発明2のパネルは、アルミパネルであるのに対し、先願発明のパネ ルは、材料が限定されていない点。
ロ.本件発明2の姿勢変更用小突子及び小突出子は、三角錐状であるのに対 し、先願発明の姿勢変更用突子及び小突出子は、その限定がない点。
ハ.本件発明2は、第1側壁部9の上部と、第2側壁部10の上部は、共に 、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙 間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されているのに対し、先願発 明は、第1平面部の上部は、第2平面部の上部と反する向きに傾斜状に形 成され、両平面部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように 構成されたものである点。
そこで、上記イ〜ハの点について検討する。
まず、イの点についてみると、コンロ回りに設置するパネルとしてアルミパネルは、本件出願持において、例を挙げるまでもなく周知の材料である。 次に、ロの点について検討する。
先願発明の姿勢変更用小突出子は、図16にあるように、基部よりも小径の先部を有する突出子である。このような形状であれば、弾性変形による係止、状態保持等の機能において、三角錐状としたものと変わるところが認められない。小突出子に関しても、弾性変形による係止の機能については、同様である。
してみると、姿勢変更用小突出子及び小突出子について、これらを三角錐状のものとした点は、先願発明のものと比べ、効果において差異の認められない構成上の微差に過ぎない。
さらに、ハの点について検討する。
上記のとおり、先願発明のものも、側壁部の一方の上部を拡開状としたものである。
そして、当該分野において、コンロ用パネル設置具を構成する取付具両側壁部の上部を、共に、相反する向き傾斜状に形成し、隙間を次第に拡開状とした点は、本件出願前、周知の技術である(例として、実願昭63-131552号(実開平2-52007号)のマイクロフィルム、特開平8-126582号公報参照。)。
以上、イ〜ハの点は、いずれも先願発明と対比した場合、具体化手段における微差に属するものであって、本件発明2は、先願発明と実質同一である。

[本件発明3について]
本件発明3と先願発明とを対比すると、先願発明の「格納」は本件発明3の「固着」に、以下同様に、「固定部材(磁石ホルダ)」は「ヨーク部」に、「端部」は「下端」に、「挟み込むように係合」は「挟持状に支持」に、「第2平面部」は「第1側壁部」に、「第1平面部」は「第2側壁部」に、「連結」は「連設」に、「金属シート」は「板材」に、「係合部材」は「保持部」に、「回動自在」は「揺動可能」に、「コンロへの取付面の位置がパネルの面に対して角度を変えて変化するように」は「折畳・展開切り換え自在とする」に、「接続部」は「枢結手段」に、「第2突出部」は「姿勢変更用小突出子」に、「突出して形成」は「突設」に、「開口」は「貫設された係止孔」に、「脱着自在に係合」は「離脱可能に係止」に、「第1突出部」は「小突出子」に、「パネル取付具」は「パネル設置具」に、それぞれ相当している。
したがって、両者は、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、パネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え、上記保持部又はヨーク部に、姿勢変更用小突出子又は姿勢変更用係止孔を貫設し、上記枢結手段が、上記ヨーク部又は保持部に設けられた、突設された小突出子又は貫設された係止孔と、からなるパネル設置具の点で一致し、次のイ〜ニの点で一応相違する。
イ.本件発明3のパネルは、アルミパネルであるのに対し、先願発明のパネ ルは、材料が限定されていない点。
ロ.本件発明3では、姿勢変更用小突出子及び小突出子をヨーク部に、そし て、姿勢変更用係止孔及び係止孔を保持部に設けているのに対し、先願発 明では、姿勢変更用小突出子及び小突出子を保持部に、そして、姿勢変更 用係止孔及び係止孔をヨーク部に設けている点。
ハ.本件発明3の姿勢変更用小突子及び小突出子は、三角錐状であるのに対 し、先願発明の姿勢変更用突子及び小突出子は、その限定がない点。
ニ.本件発明3は、第1側壁部9の上部と、第2側壁部10の上部は、共に 、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙 間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されているのに対し、先願発 明は、第1平面部の上部は、第2平面部の上部と反する向きに傾斜状に形 成され、両平面部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように 構成されたものである点。
イ、ハ、ニの点については、[本件発明2について]において検討したとおりであるので、ロの点について検討する。
部材相互の係合、枢支手段として、いずれの部材に凸状部材を設け、他方に凹状部を形成するかは、設計上の微差に過ぎない。
したがって、イ〜ニの点は、いずれも先願発明と対比した場合、具体化手段における微差に属するものであって、本件発明3は、先願発明と実質同一である。

[本件発明4について]
本件発明4と先願発明とを対比すると、先願発明の「格納」は本件発明3の「固着」に、以下同様に、「固定部材(磁石ホルダ)」は「ヨーク部」に、「端部」は「下端」に、「挟み込むように係合」は「挟持状に支持」に、「第2平面部」は「第1側壁部」に、「第1平面部」は「第2側壁部」に、「連結」は「連設」に、「金属シート」は「板材」に、「係合部材」は「保持部」に、「回動自在」は「揺動可能」に、「コンロへの取付面の位置がパネルの面に対して角度を変えて変化するように」は「折畳・展開切り換え自在とする」に、「接続部」は「枢結手段」に、「第2突出部」は「姿勢変更用小突出子」に、「内方側」は「左右内側方向」に、「脱着自在に係合」は「離脱可能に係止」に、「突出して形成」は「突設」に、「開口」は「貫設された係止孔」に、「第1突出部」は「小突出子」に、「パネル設置具」は「パネル取付具」に、それぞれ相当している。
したがって、両者は、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、パネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え、上記第1側壁部には、姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部には、上記姿勢変更用小突出子を上記ヨーク部の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔が貫設されているパネル設置具の点で一致し、次のイ〜ニの点で一応相違する。
イ.本件発明4のパネルは、アルミパネルであるのに対し、先願発明のパネ ルは、材料が限定されていない点。
ロ.本件発明4では、枢結手段は、ヨーク部に貫設された係止孔と、保持部 に貫設された係止孔と、上記ヨーク部の係止孔と上記保持部の係止孔とに 挿通する枢結ピンとからなるものであるのに対し、先願発明では、枢結手 段は、ヨーク部に貫設された係止孔と、保持部に突設されて上記係止孔に 嵌合する小突出子とからなるものである点。
ハ.本件発明4の姿勢変更用小突子は、三角錐状であるのに対し、先願発明 の姿勢変更用突子は、その限定がない点。
ニ.本件発明4は、第1側壁部9の上部と、第2側壁部10の上部は、共に 、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙 間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されているのに対し、先願発 明は、第1平面部の上部は、第2平面部の上部と反する向きに傾斜状に形 成され、両平面部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように 構成されたものである点。
イ、ハ、ニの点については、[本件発明2について]において検討したとおりであるので、ロの点について検討する。
部材相互の枢支手段として、係止孔及びこれを挿通する枢結ピンを用いることは、例を挙げるまでもなく、本願出願前、周知・慣用の技術手段である。そして、先願発明は、上記(2)ニで示したように、他の回動(枢結)手段による実施の形態を許容するものである。
したがって、イ〜ニの点は、いずれも先願発明と対比した場合、具体化手段における微差に属するものであって、本件発明4は、先願発明と実質同一である。

[むすび]
以上のとおり、本件発明2、3、4は、その出願の日前の特許出願であって、その出願後に出願公開がされた上記先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも本件発明2、3、4の発明者がその出願前の特許出願に係る上記先願明細書に記載された発明の発明者と同一ではなく、また本件出願の時において、その出願人が上記他の出願の出願人と同一でもない。
したがって、本件発明2、3、4についての特許は、特許法第29条の2第1項の規定に違反してなされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
アルミパネル設置具
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する保持部3と、を備え、該保持部3が、第1側壁部9と、該第1側壁部9に対向するように配設され他端側へ次第に拡開するような誘導用傾斜面10aが形成された第2側壁部10と、該第1側壁部9・第2側壁部10の一端を連結する弯曲連結部11と、を備え、
上記第1側壁部9・第2側壁部10は一本の線材から一体成型され、上記第1側壁部9が、上記ヨーク部2を回転可能に連結する連結部7を有し、
上記弯曲連結部11によって、上記アルミパネル4の巻き込み膨出部4aが嵌合される嵌入溝Gが、形成され、
上記第1側壁部9と上記第2側壁部10の間の隙間Sは、上記弯曲連結部11にて形成された上記嵌入溝Gよりも小さく設定され、
上記ヨーク部2に、上記連結部7が離脱可能に連結される係止孔8が貫設されることを特徴とするアルミパネル設置具。
【請求項2】 磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、
上記第1側壁部9には、三角錐状の姿勢変更用小突出子19が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部2には、上記姿勢変更用小突出子19を上記ヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔18が貫設されており、
上記枢結手段Jが、上記ヨーク部2に貫設された係止孔8と、上記保持部3に突設されて上記係止孔8に嵌合する三角錐状の小突出子12と、からなり、
上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。
【請求項3】 磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、
上記ヨーク部2に三角錐状の姿勢変更用小突出子20を突設し、上記保持部3に姿勢変更用係止孔21を貫設し、
上記枢結手段Jが、上記保持部3に貫設された係止孔13と、上記ヨーク部2に突設されて上記係止孔13に嵌合する三角錐状の小突出子15と、からなり、
上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。
【請求項4】 磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する第1側壁部9に第2側壁部10が連設されている板材にて形成された保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備え、
上記第1側壁部9には、三角錐状の姿勢変更用小突出子19が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部2には、上記姿勢変更用小突出子19を上記ヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔18が貫設されており、
上記枢結手段Jが、上記ヨーク部2に貫設された係止孔8と、上記保持部3に貫設された係止孔13と、上記ヨーク部2の係止孔8と上記保持部3の上記係止孔13とに挿通する枢結ピン14と、からなり、
上記第1側壁部9の上部と、上記第2側壁部10の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部9,10から形成される隙間Sが上方へ次第に拡開状となるように構成されたことを特徴とするアルミパネル設置具。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミパネルをコンロ周りに設置するアルミパネル設置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のアルミパネル設置具は、磁石付きヨークであり、この磁石付きヨークは、予め、各種接着剤又は(ホットメルトのような)薬品等でアルミパネルに接着されており、アルミパネルは、その磁石の吸着にて、コンロ周りに設置されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のアルミパネル設置具では、アルミパネルへの接着前に、アルミパネル若しくは磁石付きヨークの接着面に、ゴミや油等が付着していた場合などは、当然に相互の接着力が弱くなり、アルミパネルのコンロへの設置前(使用前)に既に磁石付きヨークがアルミパネルからはずれかけていたり、又は、接着剤や薬品等自体が熱に弱いため、設置中(使用中)にはずれてコンロの上にアルミパネルが倒れてくるなど、使用者にとって極めて危険であるだけでなく、煩わしいことでもあった。
【0004】
そこで、本発明は、アルミパネルをコンロに容易に、確実に、安定して設置することができる安価なアルミパネル設置具を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係るアルミパネル設置具は、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、アルミパネルの下端を挾持状に支持する保持部と、を備え、該保持部が、第1側壁部と、該第1側壁部に対向するように配設され他端側へ次第に拡開するような誘導用傾斜面が形成された第2側壁部と、該第1側壁部・第2側壁部の一端を連結する弯曲連結部と、を備え;上記第1側壁部・第2側壁部は一本の線材から一体成型され、上記第1側壁部が、上記ヨーク部を回転可能に連結する連結部を有し;上記弯曲連結部によって、上記アルミパネルの巻き込み膨出部が嵌合される嵌入溝が、形成され;上記第1側壁部と上記第2側壁部の間の隙間は、上記弯曲連結部にて形成された上記嵌入溝よりも小さく設定され;上記ヨーク部に、上記連結部が離脱可能に連結される係止孔が貫設される。
【0006】
また、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、アルミパネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え;上記第1側壁部には、三角錐状の姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部には、上記姿勢変更用小突出子を上記ヨーク部の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔が貫設されており;上記枢結手段が、上記ヨーク部に貫設された係止孔と、上記保持部に突設されて上記係止孔に嵌合する三角錐状の小突出子と、からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。
【0007】
また、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、アルミパネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え;上記ヨーク部に三角錐状の姿勢変更用小突出子を突設し、上記保持部に姿勢変更用係止孔を貫設し;上記枢結手段が、上記保持部に貫設された係止孔と、上記ヨーク部に突設されて上記係止孔に嵌合する三角錐状の小突出子と、からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。
【0008】
また、磁石と、該磁石が固着されたヨーク部と、アルミパネルの下端を挾持状に支持する第1側壁部に第2側壁部が連設されている板材にて形成された保持部と、上記ヨーク部と上記保持部とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段と、を備え;上記第1側壁部には、三角錐状の姿勢変更用小突出子が左右内側方向に突設され、上記ヨーク部には、上記姿勢変更用小突出子を上記ヨーク部の左右外側から離脱可能に係止する姿勢変更用係止孔が貫設されており;枢結手段が、上記ヨーク部に貫設された係止孔と、上記保持部に貫設された係止孔と、上記ヨーク部の係止孔と上記保持部の上記係止孔とに挿通する枢結ピンと、からなり;上記第1側壁部の上部と、上記第2側壁部の上部は、共に、相反する向きに傾斜状に形成され、両側壁部から形成される隙間が上方へ次第に拡開状となるように構成される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
【0010】
図1〜図3に、本発明に係るアルミパネル設置具の実施の一形態を示し、本設置具1は、磁石5と、該磁石5が固着されたヨーク部2と、アルミパネル4の下端を挾持状に支持する保持部3と、上記ヨーク部2と上記保持部3とを相互に揺動可能に連結して折畳・展開切り換え自在とする枢結手段Jと、を備えている。なお、ヨーク部2、保持部3は、金属製であり、アルミパネル4は、コンロ6周りへの、油・ゴミ等の飛散と放熱を防止するための遮蔽板である。そして、本設置具1は、アルミパネル4をコンロ6(周り)に設置するものである。
【0011】
ヨーク部2は、図1と図8に示すように、短筒状(浅皿状)であり、その周壁の左右両側に係止孔8,8が貫設されており、ヨーク部2の内部に、円盤形の磁石5が嵌入状に接着されている。
【0012】
保持部3は、図1と図7に示すように、第1側壁部9と、第1側壁部9に対向するように配設された第2側壁部10と、第1側壁部9・第2側壁部10の一端を連結する弯曲連結部11と、を備え、第1側壁部9が、ヨーク部2を回転可能に連結する連結部7を有している。
【0013】
第1側壁部9と第2側壁部10の間の隙間Sは、弯曲連結部11にて形成される嵌入溝Gよりも小さく設定されている。即ち、隙間Sは、図2に示すアルミパネル4の厚みよりも若干大きく設定され、嵌入溝Gは、図2に示すアルミパネル4の下端縁に形成される巻き込み膨出部4aよりも若干大きく設定されている。
【0014】
第2側壁部10の他端(開口)側には、隙間Sが他端側へ次第に拡開するような誘導用傾斜面10aが形成されている。そして、上記ヨーク部2を除いた部位―――即ち、第1側壁部9、第2側壁部10―――は、1本の線材から一体成型される。
【0015】
連結部7は、保持部3の弾性変形により、容易にヨーク部2の係止孔8に離脱可能に連結でき、連結後、ヨーク部2が保持部3に対して揺動(回転)可能となる。即ち、枢結手段Jが、ヨーク部2の係止孔8と、該係止孔8に挿通状に枢結される保持部3の連結部7と、からなる。そして、枢結手段Jにて、図1に示すように、ヨーク部2を保持部3に接近させて折畳状態としたり、(図4に示すように、)ヨーク部2を保持部3から離間させて展開状態としたり、連結部7廻りに、ヨーク部2を揺動させることができる。
【0016】
次に、本設置具1の使用方法及び作用(機能)について説明する。
まず、図2(イ)に示すように、アルミパネル4の膨出部4aを、保持部3の隙間Sに差し込んでいく。このとき、巻き込み膨出部4aは、第2側壁部10の傾斜面10aに案内されて、確実にかつ容易に、隙間Sに挿入されていく。
【0017】
そして、図2(ロ)に示すように、アルミパネル4が保持部3にて挾持状に支持された取付状態となる。この際、アルミパネル4の巻き込み膨出部4aは、保持部3の嵌入溝Gに嵌合され(くわえ込まれ)ているため、アルミパネル4と本設置具1は、外れることなく確実に固定される。
【0018】
このように、アルミパネル4を、本設置具1の保持部3(隙間S)に差し込むだけで、本設置具1に簡単に取り付けることができる。
【0019】
次に、アルミパネル4をコンロ6に設置するには、アルミパネル4に、上述のようにして、複数個の本設置具1…を(所定位置に)取り付け、図3に示すように、本設置具1のヨーク部2(磁石5)を、コンロ6の側面に、そのままの状態で、吸着させて、コンロ6周りにアルミパネル4を設置することができる。なお、そのままの状態とは、磁石5の吸着面5aと、アルミパネル4の保持部3(隙間S)への挿入方向(垂直方向)と、が略平行となる状態(即ち、図1に示す折畳状態)をいう。従って、本設置具1により、アルミパネル4の安定した取付状態を保持しながら、コンロ6に常に安全に設置される。
【0020】
また、アルミパネル4をコンロ6の上面に設置する場合には、まず、図4に示すように、本設置具1のヨーク部2を揺動させて、磁石5の吸着面5aと、アルミパネル4の保持部3(隙間S)への挿入方向(垂直方向)と、が略直交するようにした展開状態とし、図5に示すように、本設置具1のヨーク部2(磁石5)を、コンロ6の上面に、吸着させて、コンロ6上面にアルミパネル4を設置することができる。
【0021】
なお、当然に、保持部3がヨーク部2と回転可能に連結されているため、図6に示すように、ヨーク部2を実線にて示す状態や仮想線にて示す状態等の(コンロ6の)取付面に応じた状態に、容易に揺動させることができる。
【0022】
次に、図9・図10に本発明の他の実施の形態を示し、図1と比較すると明らかな如く次の構成が相違する。即ち、図9・図10では、保持部3が板材にて形成され、さらに、枢結手段Jが、ヨーク部2に貫設された係止孔8と、保持部3に突設されて上記係止孔8に嵌合する小突出子12と、からなっている。
【0023】
保持部3は、1枚の平板部材(鋼片)から形成されており、具体的に述べると、第1側壁部9に、切欠孔部16が貫設され、切欠孔部16の内周縁の一部から連結部7を介して第2側壁部10が連設されている。従って、保持部3を(一体成形にて)一体化して材料を節約し、簡素な構成で、プレス加工にて安価に製作できる。
【0024】
小突出子12は、第1側壁部9に、(押圧成形等にて)左右内側方向に突設され、係止孔8は、ヨーク部2の突片17に、(打抜成形等にて)貫設されており、突片17(及び第1側壁部9)の弾性変形にて、小突出子12を係止孔8にヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止することができる。即ち、ヨーク部2と保持部3とが小突出子12廻りに相互に揺動可能となり、図10(イ)に示す本設置具1の展開状態、乃至、図10(ロ)に示す本設置具1の折畳状態とすることができる。
【0025】
また、第1側壁部9には、姿勢変更用小突出子19が、(押圧成形等にて)左右内側方向に突設され、ヨーク部2には、姿勢変更用係止孔18が、(打抜成形等にて)貫設されており、ヨーク部2(及び保持部3)の弾性変形にて、姿勢変更用小突出子19を姿勢変更用係止孔18にヨーク部2の左右外側から離脱可能に係止することができる。即ち、姿勢変更用小突出子19と姿勢変更用係止孔18との係止にて、図10(ロ)に示すように、本設置具1の折畳状態を維持することができる。なお、姿勢変更用小突出子19の高さ寸法(突出寸法)は、姿勢変更用係止孔18からの離脱を容易とするように小さく設定されている。
【0026】
次に、図11に本発明の別の実施の形態を示し、図9と比較すると明らかな如く次の構成が相違する。即ち、図11では、枢結手段Jが、保持部3に貫設された係止孔13と、ヨーク部2に突設されて上記係止孔13に嵌合する小突出子15と、からなり、さらに、ヨーク部2に姿勢変更用小突出子20を突設し、保持部3に姿勢変更用係止孔21を貫設している。
【0027】
次に、図12に本発明のさらに他の実施の形態を示し、図9と比較すると明らかな如く次の構成が相違する。即ち、図12では、枢結手段Jが、ヨーク部2に貫設された係止孔8と、保持部3に貫設された係止孔13と、上記ヨーク部2の係止孔8と上記保持部3の係止孔13とに挿通する枢結ピン14と、からなり、ヨーク部2と保持部3とが枢結ピン14廻りに相互に揺動可能となる。なお、枢結ピン14は、ヨーク部2と保持部3とに挿通された後に、その先端がかしめられて、引き抜きが防止される。
【0028】
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されず、例えば、アルミパネル4の巻き込み膨出部4aが嵌合される保持部3の嵌入溝Gを省略してもよく、また、ヨーク部2の一端に貫設された係止孔8を無くして、替わりに一端をカール状にしてもよく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0029】
【発明の効果】
本発明は上述の如く構成されるので、次に記載する効果を奏する。
【0030】
(請求項1によれば)アルミパネル4に簡易かつ、確実にしかも常に安定した状態で取り付けることができ、アルミパネル4をコンロ6に容易に、確実に、安定して設置することができる。また、ヨーク部2と保持部3とを相互に揺動させることで、どのような場所でも、本設置具1を介して、アルミパネル4を設置することができ、便利なものとなる。即ち、本設置具1を、例えば、コンロ6の側面、上面のどちらにでも共用(使用)することができる。さらに、構造が簡単で安価となる。
また、簡単な構造で、アルミパネル4を確実に挾持状に支持することができ、コンロ6に設置されたアルミパネル4の倒れを確実に防止できる一層安全性の高いものとなる。
さらに、枢結手段を簡単な構造とできると共に容易に製造できる。
【0031】
(請求項2,3,4によれば)アルミパネル4に簡易かつ、確実にしかも常に安定した状態で取り付けることができ、アルミパネル4をコンロ6に容易に、確実に、安定して設置することができる。また、ヨーク部2と保持部3とを相互に揺動させることで、どのような場所でも、本設置具1を介して、アルミパネル4を設置することができ、便利なものとなる。即ち、本設置具1を、例えば、コンロ6の側面、上面のどちらにでも共用(使用)することができる。さらに、構造が簡単で安価となる。また、保持部3が板材にて形成されているため、頑丈な保持部3にて、アルミパネル4を一層安定して保持することができる。
また、枢結手段Jを簡単な構造とできると共に容易に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】
本発明のアルミパネルへの取り付けを示す作用説明図である。
【図3】
図1の本発明がアルミパネルに取り付けられ、コンロ側面に設置された際の斜視図である。
【図4】
展開状態を示す斜視図である。
【図5】
図4の本発明がアルミパネルに取り付けられ、コンロ上面に設置された際の斜視図である。
【図6】
作用説明図である。
【図7】
保持部の実施の一形態を示す斜視図である。
【図8】
ヨーク部の実施の一形態を示す斜視図である。
【図9】
本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図10】
作用説明図である。
【図11】
本発明の別の実施の形態を示す斜視図である。
【図12】
本発明のさらに他の実施の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
2 ヨーク部
3 保持部
4 アルミパネル
5 磁石
7 連結部
8 係止孔
9 第1側壁部
10 第2側壁部
11 弯曲連結部
12 小突出子
13 係止孔
14 枢結ピン
15 小突出子
J 枢結手段
S 隙間
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-06-09 
出願番号 特願2002-5667(P2002-5667)
審決分類 P 1 652・ 16- ZA (F24C)
最終処分 取消  
前審関与審査官 豊島 唯  
特許庁審判長 岡 千代子
特許庁審判官 井上 哲男
岡本 昌直
登録日 2003-04-11 
登録番号 特許第3418389号(P3418389)
権利者 赤松 久輝
発明の名称 アルミパネル設置具  
代理人 中谷 武嗣  
代理人 葛西 ▲泰▼二  
代理人 中谷 武嗣  

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